113話 ハイスクールサプライズ　作：紅瑠璃

「う、宇佐美さん…それに真保ちゃんまで。」
「私…ハブられた…。」
「さっ…早速作業に入って。」

宇佐美は真保に作業に入ってもらうよう急かす。ここに来て真保…と言うことはこの状況を打開できる薬を作るのか…伊月はそのように考えていた。しかし、そんなことよりも外に涌き出たゾンビの後片付けが先だった。宇佐美はこの場を皆に任せ校舎内へと急ぐ。

「これ…キリがねぇな。中は相当酷いものだったろ？」
「う、うん…。」
「どうした？」
「えっ！あ、あぁ…感情移入…ってやつかな。」
「優しいんだな。」
「話…無駄。…崩れろ…狂目の柱…。」

暴れたいのか京子がゾンビに向かって行った。小さな刀を抜き出しては、解放。多数のゾンビ相手に暴れ倒す。しかし頭は良いが考えるの事が面倒に感じる京子は力加減が出来ずにゾンビの内蔵も引き抜いてしまう。その光景に引き気味の人々。

「血…な、内蔵…。いやっ…。やだ…。」
「朱音？大丈夫か？…トラウマってやつか。中は大丈夫なのか？」

～校舎内～

黄蜂、ネア、蜜柑は第３校舎へと渡る廊下にいた。上ほどではないがこちらもゾンビが多い。

「はぁ…はぁ…。真面目にヤバイな…。」
「しかしここを乗り越え、3階に上がり皆を助け、下に降りる際に生存者を集めればミッションはクリア。」
「乗り越えれば…ね。蜜柑！戻って！」
「んにゃ？にょっと！…黄蜂…にゃにか策でも？」
「少し…本気だそうかしら。ハザードスティンガ！」

黄蜂のスタンド…ヘイル・ブリザードが徐々に消えるが代わりに握りこぶしサイズの氷の蜂が100匹出てきてはゾンビ達を攻撃する。

「また進化したの！？」
「ヘイル・ブリザードは自由自在に形を変えられるわ…時には銃。時にはガトリング…偵察用…援護用…護衛…何でも出来るけどハザードスティンガは…攻撃特化型。攻撃力も素早さもこちらの方が上回る…。そして刺した相手を中から凍らせる。もちろん絶対零度の数値でね。」

ゾンビ達が体内から氷付く。３人は先を急ぐ。第３校舎についたとき第2校舎側から夢月がよろめきながらやって来た。

「皆方…大丈夫か…。」
「夢月こそ…にゃにがあったの？」
「私は…」

夢月が何かを言う前に黄蜂が割って入った。

「夢月！単独行動は隊の全滅に近づけるわ！なぜ勝手に動いた！」
「っ！？…す、すまぬ…。し、しかし…第2校舎の生存者を全て外に出した。」
「そういうことじゃない！あなたが要れば第３校舎まで容易にたどり着いた。その前に私らがゾンビになっていたでしょうね！」
「私は…機械だからゾンビにはならない。」
「ネ、ネア…今はそう言うのは…。」

黄蜂はネアがそんなことを言うものだから舌打ちをして無言で歩き始めた。夢月は反省をしているようだった。そして蜜柑はまたさっきと同じ質問をする。

「先程申したように生存者は全て外に出した。しかし…」
「しかし？」
「大型のゾンビが現れてな…なんとか両手両足を切り落として来たのだが…攻撃を避けたときに飛んできた床の破片が刺さって…。」
「ふん。私らが要ればそんなことにならなかったんじゃない？」

反省をしているのにさらに追い討ちをする。まるで蜂のように…。

～グラウンド～

「コレで…どうだ！」

トラックの中で黙々と作業していた真保が出てきた。真保はそこに倒れているゾンビに薬を射ち込む。ゾンビになってる時点で生き返るわけがない。そう思っていたが薬を撃ち込んでからそれが変わった。みるみるうちに人に戻っていく事に回りの人々は驚きが隠せなかった。だけど首と体を離されているのでどのみち生き返らない…しかし、怪物の姿で天に昇るより人の姿で天に昇らせた方がよいだろう。その調子で今度は大型のゾンビに射ってみるがその体は砂のように崩れていった…。

「まさか…。人の形したゾンビにしか効かない？おねーちゃん！」
「え？…なにコレ。」
「それをあそこにいる人の形した生きたゾンビと人の形をしていない生きたゾンビ…２体に射ってきて！」
「うん…。」

姉の京子は妹の言われた通りに種類が違うゾンビ２体に薬を射つ。すると人の形した生きたゾンビは元に戻るが人の形をしていないゾンビは崩れた。

「やっぱり…生きてようが死んでようが人の形したゾンビにしか効かない…。大型のゾンビは出遅れ…。早く蜜柑さんに知らせなきゃ！」

～第３校舎～

「あにゃ！…真保から連絡だ。」

蜜柑は真保から聞いた情報に驚いた。それを皆に伝えると皆も驚いていた。そして携帯をしまい、鈴菜の元に急ぐ。

「殺すなと言えど…無茶を言うものだ！」
「なら殺しちゃえば？加減ができない相手だし。大丈夫でしょ…」
「いやっ！手足を切り落とそうよ！だって杉山がいるんでしょ？オペレーション…にゃんとかってやつで後でくっつければ良いんだし！」
「今はそれがよいと考えられます」
「そんな、手足をゴロゴロ落としたらごちゃごちゃしない？コレお前の腕やん！って」
「黄蜂…」
「な、何よ…。」
「お主のスタンドとやらで氷付けにしていけばよいのではないか？」
「そうね…。知ってた。さて、進みましょうか。」

階段を登るとゾンビが多かったが全て黄蜂のスタンドにより凍らされた。そしてPC室までやって来た。

「鈴菜！」
「黄蜂…良かった…現在生存者29人。」
「わかった。それよりなに？このゾンビ…」
「あぁ…田沼先生よ。」
「あぁ…あのタヌキじい。…緑のタヌキになったと…笑うわ。」
「そんにゃことより！ここからでよう！」

教室を出るとクラスの人は喜びの言葉を口にしたがこの校舎が揺れたことにより不安の言葉を口々にする。その後、大型のゾンビが3体、黄蜂達の前に現れたのだ。諦めの表情をする者が現れた。

「この夢月暦…この場は私に任せ、行け！」
「ちょっ！さっき言ったこと忘れたの！？」
「黄蜂！私がここを抜け出すための時間を作る…殿を任せてくれぬか。」
「にゃらミカも…。」
「猫山殿…殿に二人もいらぬ。行け！例え私が朽ちようとも…お主らと多数の生存者を守れれば朽ちることは本望だ。」
「待て！…クソッ…バカ侍。皆さんをグラウンドまで誘導します。離れたら助からない。助かりたかったらついてきてください！」

夢月がゾンビに立ち向かっていった。そしてその隙に黄蜂、蜜柑、ネア、鈴菜は2階に降りる階段をに生存者を連れていく。夢月は一人第３校舎の3階に残った。蜜柑が最後に見たときには倒しているはずなのに増えていくようだ…しかし、夢月は倒れない、怯まない。夢月は蜜柑に気がついたのか優しく微笑んだ。