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Episode108:最期の戦い 作:カズ
第二次アストラル大戦を終え地球の自転速度は元に戻り、危惧していた月の落下も回避できたが、現在生存が確認できているデュエリストは藤堂遊弥、赤城紅葉、黒羽凛、霧野精一、霧野命慈、茨木花奈、神谷希、春野うらら、三上胡桃、高橋彩の10名。
加えて遊矢を取り戻すためエースの所へと向かったユート、ユーゴ、ユーリは未だに戻って来ず、凛、命慈、花奈が彼らに連絡を取ってみたが繋がることはなかった。彼等に限って負けるような事など有り得るはずがないとはいえ、デュエルに絶対はない。
レインという先導者を失い、ホープ・ゼアルを完全覚醒させた希も疲労困憊で目覚める気配がない。戦況は絶望的という他ないが、6人の封印竜使いは皆、ここに至るまでに「覚醒竜」を降臨させることに成功した。呪縛竜使いと戦うための準備は、各々が完了しているといっても過言ではないだろう。
「ねえ遊弥、何度も聞くけど本当に大丈夫なの?トワちゃんと戦って戻ってきたと思ったらぶっ倒れるし……」
「大丈夫だって。まだちょっと疲れてるだけだから」
「ちょっとってアンタ…」
とはいえ、中には万全の状態でないものもいる。遊弥は一度死の淵にまで追いやられており、勝敗を問わずデュエルするだけで命が危ない状況だ。直前まで瀕死だった様を直で見ていた紅葉をはじめ他の皆も彼の身を案じているが、「奏多兄ちゃんを助けるまではもう二度と倒れないから」と強がっている。
時間が待ってくれるのなら遊弥の身体が全快するまで待つのだが、『世界のリセット』まで5時間しかない今となってはそれも不可能だ。
~某所~
「僕達はエースに利用されていた。それは変えようのない事実だ」
「Yes。アストラルwarsでミーの記憶も戻って、確信しマシタ」
「ほんっと、私たちの死因が奴等だったなんて、とんだマリオネットじゃない」
奏多、ルーナ、アレックス、リリー、ソフィアはエースによって隔離された別室にいた。その間は第二次アストラル大戦での封印竜使いの様子を観察しており、自分たちが真に戦うに相応しい相手かどうかを見極めていた。そしてその中で、自分たちの死因が奴等によって呼び出されたオーバーハンドレッド・ナンバーズであることを思い出し、自分たちが利用されていたという真実にも辿り着いた。
アストラル大戦での彼らの活躍を見届けた結果、途中で意識を失ったリリーは無回答、アレックスから不満の声が上がったものの、それ以外の3人は概ね問題ないという結論に至った。
「…マーガレット・リリー。貴方、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫よ」
目覚めて以降、何処か陰っているリリーの横顔を見たソフィアはリリーを案じたが、当の彼女は生前アイドルだったとは思えないほど素っ気無い態度を取った。過呼吸に陥るほど強いショックからはそう簡単に立ち直れるとは到底思えないが、今のリリーには何を言っても聞かないだろうと考えたソフィアは、これ以上の詮索をやめた。
「皆、行こう。この呪われた運命を終わらせるために」
奏多の合図で呪縛竜使い全員がデュエルディスクの画面をタップすると、彼等5人は各々所縁ある場所へとワープするのだった。
~同時刻、封印竜陣営~
「なっ…!これは……強制ワープ!?」
呪縛竜使いが決戦の地へとワープした瞬間、その関係者にあたる封印竜使いも連動してワープ機能が発動するようデュエルディスクに「最初から」細工されていたのだ。あまりに突然の出来事で命慈、そして封印竜を持たない彩たち4名は何が起こったのか理解する間もなく、封印竜使い5名が消えてしまった事実に言葉が詰まっていた。
封印竜使いがそれぞれ飛ばされた場所は、最初に呪縛竜使いとデュエルを行った場所。第二次アストラル大戦による自転速度異常の影響で風化し、世界各地の名所は見る影もない惨状だ。その様は十分に、エースの標榜する『世界のリセット』へと近付いていることを証明していた。
決戦の地へと降り立った総勢10名のデュエリスト─────藤堂遊弥と古城奏多、霧野精一とアレックス・マッカーサー、茨木花奈と清水ルーナ、黒羽凛とマーガレット・リリー、赤城紅葉とソフィア・メルクーリ─────による『世界のリセット』を賭けた死闘が今、始まった。
「「デュエル!!」」
○1st Duel
YUMI→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
KANATA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○2nd Duel
SEIICHI→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
ALEX→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○3rd Duel
HANA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
LUNA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○4th Duel
RIN→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
LILY→LP:8000 手札:5 デッキ:55 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○5th Duel
KUREHA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
SOPHIA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
~ロシア・赤の広場にて~
「奏多兄ちゃん……」
「エースの思惑なら、僕たち呪縛竜使い全員が知っている。それぞれが思っていた『世界のリセット』だって叶わないこともね」
「教えて。奏多兄ちゃんにとっての『世界のリセット』って、一体何だったの?」
「それはデュエルの中で話す。そしてこれは、僕からの最後の頼みだ」
「…?」
「僕を倒してくれ。今の遊弥なら、きっとできる」
「…わかった。やってやる!」
*TURN01
「俺のターン!」
奏多は遊弥にとっての師匠であり、生前でも一度もデュエルに勝つ事はできなかった。呪縛竜決戦でもZオーラによる暴走ありきだったとはいえ大敗を喫した相手だが、それでも奏多は遊弥が自分を超えてくれると信じていた。
全てはこの時のために、遊弥の組み上げたデッキが回り出す。
「『スターダスト・ナイト』を召喚!このカードが召喚に成功した時、デッキから『スターダスト・フュージョン』を手札に加える。そして発動!デッキから『スターダスト・エンジェル』と『スターダスト・オーロライーグル』を墓地へ送り、融合召喚する。星屑の天使よ、極光に輝く翼を得て、更に強く可憐に羽ばたけ。融合召喚!!舞い降りろ、『スターダスト・エンジェル“ff”』!!」
『スターダスト・ナイト』のサーチ範囲は自身以外の『スターダスト』カード全て。今となってはペンデュラムモンスターである『スターダスト・ヴァルキリー』がそのお株を奪っており暫く使っていなかったが、奏多との戦いでは「今までの自分の全てを出し切る」という誓いのもと、再投入するに至った。
「『スターダスト・エンジェル“ff”』の効果発動!1ターンに1度、墓地の『スターダスト』モンスター1体を攻守0で特殊召喚する。蘇れオーロライーグル。そしてレベル4のオーロライーグルと『スターダスト・ナイト』の2体で、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!無限の宇宙を彷徨いし竜よ、生命の宿る青き星に降臨せよ!ランク4『リトルスター・ドラゴン』!!」
『スターダスト・エンジェル“ff”』からオーロライーグルを復活させ、ランク4のエクシーズ召喚へと繋ぐ。トワとのデュエルによって確立されたコンボではあるが、今回は『リトルスター・ウィッチ』ではなく展開重視の『リトルスター・ドラゴン』を呼び出した。
「『リトルスター・ドラゴン』の効果発動!オーバーレイ・ユニットを2つ使い、エクストラデッキから『スターダスト』モンスター1体を特殊召喚する」
「『リトルスター・ドラゴン』の効果を使うターン、バトルフェイズは行えない。だけど先攻1ターン目で使うことで、そのデメリットを帳消しにしたというわけか」
「まあね。現れろ、『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』!!そして墓地へ送られたオーロライーグルの効果をもう一度使い、デッキから『スターダスト・エンジェル』を手札に加える。そして俺はスケール1の『スターダスト・ガール』とスケール8の『スターダスト・エンジェル』でペンデュラムスケールをセッティング!」
『スターダスト・ガール』と『スターダスト・エンジェル』。遊弥のデッキを長く支え続けてきたペンデュラムモンスターの2柱であり、それらのペンデュラムスケールで同時に召喚できるのは、レベル2から7。今の遊弥のデッキならほぼ全てのモンスターをペンデュラム召喚できる。
一度に大量のモンスターを展開できる絶好の機会だったが、彼のフィールドには既に3体のモンスターが揃っている。遊弥がこの局面でペンデュラム召喚したのは『スターダスト・ハルモニア・トランペッター』の1体のみだった。
「ハルモニア・トランぺッターがペンデュラム召喚に成功した時、デッキから『スターダスト』を特殊召喚する。舞い降りろ、『スターダスト・ハルモニア・ハーピスト』!そして特殊召喚されたハーピストの効果を発動し、デッキから『RUM-スターライト・シンフォニー』を手札に加える」
ハーピストの効果によって『RUM』のサーチを行い、そのハーピストとハルモニア・トランぺッターでレベル6のシンクロモンスター『スターダスト・フェイト・フォルトゥーナ』を召喚した。これで遊弥のフィールドには融合、シンクロ、エクシーズモンスターが勢揃いしたが、覚醒竜の加護を受け進化した遊弥の展開は止まらない。
「星屑のペンデュラムは二度揺れる。融合召喚された『スターダスト・エンジェル“ff”』が存在する限り、俺はこのターンのメインフェイズにもう一度ペンデュラム召喚を行える!」
「なっ…!」
「エクストラデッキから戻って来い、『スターダスト・ハルモニア・ハーピスト』!そして『RUM-スターライト・シンフォニー』を発動!『リトルスター・ドラゴン』をランクが2つ上のモンスターに進化させ、このカードとペンデュラムゾーンの『スターダスト・エンジェル』をそのモンスターのオーバーレイ・ユニットとする。宇宙に瞬く星々が、青き地球を輝かす。光へと導け!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!ランク6『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』!!」
呪縛竜決戦へと赴く前、叔母の雪菜から託されたカードの内の1枚。小さな星が眩い光となって、星屑を照らす標となる。
「『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』の効果発動!このカードが『リトルスター・ドラゴン』を素材としてエクシーズ召喚に成功した場合、自分フィールドの『スターダスト』全ての攻撃力は、このカードの守備力と自身のライフ半分を合計した数値分アップする!」
「つまり、合計6300のアップ…!」
『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』自身には攻撃力上昇が起こらないが、遊弥のフィールドにはフォルティシモ、ハルモニア・ハーピスト、フェイト・フォルトゥーナ、シャイニー・ドラゴンの4体の『スターダストが』いる。加えて『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』には「そのモンスター自身のレベル×100だけ攻撃力を上昇する」効果を持つ。双方の効果が合わさり、スターライト・ドラゴン以外の遊弥のモンスターの攻撃力は以下の通り。
『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』→10600
『スターダスト・エンジェル“ff”』→9300
『スターダスト・フェイト・フォルトゥーナ』→9000
『スターダスト・ハルモニア・ハーピスト』→8100
奏多を相手にするのだから、と遊弥はこれまで培ってきた自分の力を1ターン目から全て集約させた。
「カードを2枚伏せて、ターンエンド。そしてハルモニア・ハーピストの効果もターン終了時に発動し、自分フィールドのモンスター1体につき500のライフを回復する」
YUMI→LP:10500 手札:1 デッキ:29 Mゾーン:5 M&Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:1
*TURN02
(伝わってくる。これが本気の遊弥なんだね)
「これが最期のデュエル。元ジュニアチャンピオンとして、師匠として、遊弥の本気に全力で応える!僕のターン、ドロー!」
「この瞬間、フェイト・フォルトゥーナの効果発動!相手が1枚ドローする度、俺はカードの種類を宣言できる。そして宣言した種類のカードだった場合、フェイト・フォルトゥーナは効果を使える。俺が宣言するのは、魔法カード!」
「確かにこの局面なら魔法カードを宣言するしかないけど、残念。外れだよ」
相手フィールドにカードが存在しない後攻1ターン目となる奏多のターンでは、モンスターカードをドローした場合に適用される「モンスター2体の攻撃力を半減する効果」および罠カードのドローによって適用される「奏多のモンスターを全壊させる」効果を宣言しても意味を為さない。そのため魔法カードをドローした場合の「800ダメージを与える」を選択するのが最適解であり、今や遊弥が最も宣言している種類のカードとなっているのだが、そう簡単に当たらないのが現実だ。
「僕はスケール7の『宇宙英雄サターン』をペンデュラムゾーンに置き、そのペンデュラム効果を発動!宇宙英雄はもう片方の自分のペンデュラムゾーンにカードがない時、デッキから宇宙英雄をペンデュラムゾーンに置くことができる」
「手札1枚でもペンデュラムスケールを揃えられるって、やっぱ凄ぇや…」
「サターンの効果で置くのは、スケール3の『宇宙英雄マーキュリー』。これでペンデュラム召喚可能になったけど、速攻魔法『揺れる眼差し』を発動!お互いのペンデュラムゾーンのカードを全て破壊する!」
「くっ…」
「破壊したカードは全部で3枚。よって3つの効果が発動する。遊弥に500ポイントのダメージを与え、デッキから『宇宙英雄ネプチューン』を手札に加え、そして遊弥のセットカード1枚を除外する」
YUMI→LP:10000
トワとのデュエルでも遊弥がこのカードを使ったが、遊弥も奏多もペンデュラム召喚に特化したデッキを使う。だからこそ『揺れる眼差し』は相手がペンデュラム召喚を扱うデッキなら十分なメタカードになるのだ。
しかしこれだけで終わらせないのが元ジュニアチャンピオンとしてのプライド。
「もう一度『揺れる眼差し』を発動!今度は僕のペンデュラムゾーンのカードだけ破壊するけど、遊弥に500ダメージを与え、デッキから『宇宙英雄ヴィーナス』を手札に加える」
「2枚目…マジかよ」
YUMI→LP:9500
奏多は最初の5枚の手札の中に『揺れる眼差し』を2枚持っていた。40枚デッキの中に不特定の同名カードが初手で来る確率が約33%と結構高めだが、カードを1種類に限定すればその確率はその10分の1未満にまで下がる。
それほど低い確率の壁をこの大事な一戦で乗り越えてくるのだから、先代ジュニアチャンピオンの名は伊達ではない。
「ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから現れろ、『宇宙英雄サターン』『宇宙英雄マーキュリー』『宇宙英雄ヴィーナス』『宇宙英雄ネプチューン』!!ペンデュラム召喚された宇宙英雄たちは、果てなき力を呼び起こす。マーキュリーの効果でデッキからフィールド魔法『コズミック・ミルキーウェイ』を手札に加え、サターンの効果でデッキから『宇宙眼の惑星竜』を手札に加える」
「コズミックアイズ……奏多兄ちゃんの分身」
「まだ終わらないよ。『宇宙英雄マルス』を召喚し、効果発動!このカードを含む自分フィールドのモンスターを素材として融合召喚する。果てなき宇宙よ、凍てつく氷をその青き星に宿せ!現れろ、『宇宙眼の細氷竜』!!」
奏多のフィールドに5体の宇宙英雄が揃い、そこから遊弥と同様にエクストラデッキから更なる特殊召喚へと繋げる。手始めに3体融合によって『宇宙眼の細氷竜』を召喚したが、まだフィールドにはチューナーを含む2体のペンデュラムモンスターが残されていた。
「そしてレベル4のマーキュリーにレベル4のヴィーナスをチューニング!宇宙で燃ゆる灼熱の炎よ、永久に煌めけ!シンクロ召喚!!現れろ、『超宇宙英雄ヘリオス』!!」
「この瞬間、罠カード『スターライト・バニッシュ』を発動!特殊召喚されたヘリオスの効果を無効にし、ヘリオスのレベル×200ポイントだけ攻撃力を下げる。これでヘリオスは封じたけど……」
「そう。これで僕のエクストラデッキには5種類の宇宙英雄が揃った。エクストラデッキからマーキュリー、ヴィーナス、マルス、サターン、ネプチューンを墓地へ送ることでこのカードは手札から特殊召喚できる!果てなき宇宙よ、絶望の闇を包み込み我が同胞となれ!降臨せよ、『宇宙眼の惑星竜』!!」
『宇宙眼の惑星竜』を特殊召喚するためには5種類のペンデュラムモンスターをエクストラデッキから墓地へ送る必要がある。サーチと展開に特化した奏多のデッキでも通常なら2ターン掛かるのだが、2枚の『揺れる眼差し』によってサーチ力が上昇し、フィールドでの融合召喚とシンクロ召喚を行う事でその条件を達成させ、最速で呼び出すことができたのだ。
「細氷竜の効果発動!ハルモニア・ハーピストの攻撃力を1000ダウンし、僕のライフを1000ポイント回復する」
「『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』の効果発動!特殊召喚された相手モンスターが効果を発動した時、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、その発動を無効にし破壊する!」
「させないよ。『宇宙眼の惑星竜』の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスターが効果を発動した時、墓地のペンデュラムモンスター1体を除外することで、その発動を無効にする。そして惑星竜が存在する間、『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』は攻撃力が2000ダウンし、通常モンスターとして扱われる」
「くっ…だけどオーバーレイ・ユニットとして取り除かれた『RUM-スターライト・シンフォニー』の効果で、俺は1枚ドローする」
以前の戦いで細氷竜のライフゲイン効果を警戒していた遊弥は、スターライト・ドラゴンの無効効果の発動タイミングを狙っていた。しかし奏多のフィールドにはスターライト・ドラゴンと同様、モンスター効果の発動を無効にする惑星竜が既にいた。加えて「通常モンスターとして扱われる」ため、エクシーズモンスターを対象として発動可能な『RUM』の発動や、エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚するといった逃げ道さえも潰される。
「細氷竜を破壊したかったんだろうけど、残念だったね。そしてこれが僕の全力だ!レベル8の惑星竜、細氷竜、ヘリオスの3体でオーバーレイ!!」
「…来る!」
「幾億の刻と共に創られし宇宙よ、我ら同胞の力集わせ、在るべき姿に生まれ変わらん!エクシーズ召喚!!降臨せよ、『超宇宙眼の惑星龍』!!」
奏多の分身『宇宙眼の惑星竜』が三つ首の姿となって進化した『超宇宙眼の惑星龍』は、彼の究極の切り札。これまでのデュエルでも公式戦で使用したのは、レインとのジュニアチャンピオン防衛戦だけであり、それ以外に彼がこのカードを使用した経歴は残されていない。
しかし遊弥は、トワから『超宇宙眼の惑星龍』に関する情報を事前に得られていたこともあり、奏多が1ターン目からそれを召喚してくるだろうと読んでいた。そのために『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』を用いた鉄壁の布陣を作り上げたのだが、それでも奏多の方が一枚上手だった。
「ネオ・コズミックアイズ……俺が、このモンスターを相手する日が来るなんて」
「今の遊弥なら、このカードを出すに相応しいからね。ネオ・コズミックアイズの効果発動!自身のオーバーレイ・ユニットを2つ取り除くことで、このターン中、ネオ・コズミックアイズはオーバーレイ・ユニットとして取り除いたモンスター全ての効果を獲得する」
この効果で取り除いたのは『宇宙眼の細氷竜』と『超宇宙英雄ヘリオス』。遊弥のモンスターの攻撃力を1000下げつつ自分のライフを1000回復できる効果に加え、ヘリオスには「最も攻撃力の高い相手モンスターの攻撃力の半分を自身の攻撃力として加える」効果がある。攻撃力4500を誇るネオ・コズミックアイズに攻撃力を上乗せされてしまえば、遊弥の超攻撃的な布陣でさえ容易に突破されてしまう。
2体分のモンスター効果を得た『超宇宙眼の惑星龍』によって、ハルモニア・ハーピストの攻撃力が更に1000ダウンし、自身の攻撃力も9800にまで上昇した。
「さあバトルだ!ネオ・コズミックアイズ、ハルモニア・ハーピストを攻撃!アルティメット・プラネット・ストリーム!!」
「ぐっ…ぁぁぁぁぁぁっ!!」
YUMI→LP:6300
このターンだけでも既に4200ダメージを受け、奏多のライフは1万。以前と同じく圧倒的な差で遊弥を追い詰めている。
「フィールド魔法『コズミック・ミルキーウェイ』を発動。カードを1枚伏せてターンエンド。そしてターン終了時、『コズミック・ミルキーウェイ』の効果発動!デッキから『宇宙英雄ユピテール』をエクストラデッキに表で置く」
「……やっぱ強いや、奏多兄ちゃんは」
「遊弥、楽しんでいるのか?こんな状況だっていうのに」
「だってさ、奏多兄ちゃんと初めて本気でデュエルが出来るんだよ?こんな楽しい事があるか!」
初めて奏多からデュエルを教わってから他界するまで、奏多は遊弥にデュエルを教えるという名目で手加減をしていた。「一度くらい本気でデュエルしてもいいじゃんかー」と遊弥が駄々をこねた結果、奏多が文字通り「本気」のデュエルをしたこともあったのだがやはり勝てず、当時小学生だった彼が3日も拗ねた過去がある。
しかし今の遊弥はあの時とは違い、奏多が本気を出して戦えるデュエリストとなった。このデュエルの勝敗で世界の命運が決まってしまうというのに、奏多との本気のデュエルが本当に楽しいのか、遊弥は笑っていた。
*TURN03
(さあ、一緒に戦おう)
「俺のターン、ドロー!」
手札は3枚。今の盤面なら総攻撃を仕掛ければ奏多のライフを0にすることもできるが、奏多のセットカードを警戒した遊弥は、一旦体制を立て直す選択をした。
「フォルティシモの効果発動!墓地のオーロライーグルを攻守0で特殊召喚する」
「ネオ・コズミックアイズの効果発動!相手の効果が発動した時、墓地の『宇宙英雄ヴィーナス』を除外することで、その発動を無効にし破壊する」
「『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』の効果発動!特殊召喚されたモンスターが効果を発動した時、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、その発動を無効にし破壊する。そして、墓地の『スターダスト』1体を特殊召喚する」
「ネオ・コズミックアイズを破壊してきたか……。なら僕はその上を行く!ネオ・コズミックアイズが破壊されたことで、墓地から自身以外の『コズミックアイズ』を3体まで特殊召喚する。そして罠カード『コズミック・シュヴァルツシルト』を発動!コズミックアイズが破壊された時、相手フィールドのカードを全て除外する!」
「くっ…!」
結果だけ見れば遊弥が1ターン目で築き上げた盤面が無に帰る形となったが、奏多にとってもこの結果は最良とは言い難かった。バトルフェイズ中に『コズミック・シュヴァルツシルト』を発動していたら、奏多の盤面にコズミックアイズを2体残した状態で次のターンをで遊弥を迎撃するための準備ができていた。しかしバトルフェイズ前に発動せざるを得ない状況となり、盤面にモンスターが1体少ない状態となる。
奏多もトップレベルのデュエリスト。その「1体」の差が勝敗結果を決める分水嶺となり得ることを分かっていたからこそ、遊弥のこの選択には良い顔ができなかった。
「俺はスケール1の『スターダスト・ブライトホーン・ユニコーン』とスケール4の『スターダスト・ハルモニア・トランぺッター』でペンデュラムスケールをセッティング!」
「またペンデュラム召喚をしてくるのか。だけどこれで手札は1枚。さあ、どうする?」
「ハルモニア・トランぺッターのペンデュラム効果発動!このカードのペンデュラムスケールを10に変更する。ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから蘇れ。ハルモニア・トランぺッター、ハルモニア・ハーピスト!そして……現れろ、トワの分身!『銀河眼の光子竜』!!」
遊弥がペンデュラム召喚によって呼び出したのは、奏多とトワを繋いでいた思い出のカード『銀河眼の光子竜』。彼のデッキとはこれといったシナジーはないが、遊弥はこのカードに賭けていた。
一方の奏多は、遊弥のデッキから思いもよらないカードが出てきても大して驚きはしなかった。呪縛竜決戦前にトワと相対した時に起こった銀河眼と宇宙眼の共鳴現象、それに近しい力を遊弥から感じ取っていたからだ。
(この感覚……やはりそうだったか)
「第二次アストラル大戦で戦ったあの時……いや、それよりも前から既に、そのカードを託されていたみたいだね」
「奏多兄ちゃんに負けた後だったかな。トワがデッキに入れてくれてたんだ」
「だけど出すのが遅かったね。『超宇宙眼の惑星龍』を効果で破壊しなければバトルフェイズでお互いに除外して、光子竜の攻撃力上昇も狙えたのに。折角の光子竜もそれじゃあ宝の持ち腐れだ」
「違うよ。このカードには、トワの想いも一緒に込められてるんだ。宝の持ち腐れなんかじゃない」
『銀河眼の光子竜』には相手モンスターと戦闘を行う際、自身とその相手モンスターを一時的に除外できる効果を持つ。そして除外したモンスターがエクシーズモンスターであれば、そのモンスターが持っていたオーバーレイ・ユニット1つにつき攻撃力が500上昇した状態で帰還できる。
破壊せずに除外するため『コズミック・シュヴァルツシルト』の全体除去効果にも引っ掛からず、奏多の盤面を空けた状態で直接攻撃を仕掛けられたのだから、遊弥のこの選択はプレイミスと思われても仕方なかった。
しかし遊弥はそれを承知の上でこの選択をした。全ては「最後の希望」へと繋げるために。
「ハルモニア・トランぺッターのモンスター効果で、デッキから『スターダスト・メイデン・ミコ』を特殊召喚する。そして『スターダスト・メイデン・ミコ』の効果発動!『宇宙眼の細氷竜』の効果を無効にする」
「惑星竜の効果発動!相手フィールドのモンスターが効果を発動した時、墓地の『宇宙英雄マーキュリー』を除外することで、その発動を無効にする。そしてメイデン・ミコは惑星竜がモンスターゾーンに存在する間、通常モンスターとして扱い、攻撃力も2000ダウンする」
「くっ…だけどまだこれから!俺はレベル6のメイデン・ミコにレベル2のハルモニア・トランぺッターをチューニング!遥かなる未来を守護する竜よ、白銀の翼はためかせ、世界を呪縛より解放せよ。シンクロ召喚!!来たれ、『封印竜ソニック・スター』!!」
メイデン・ミコの効果で細氷竜を封じようとするが、奏多の分身は何度でも立ちはだかる。そしてそれに応えるように、遊弥も自身の相棒『封印竜ソニック・スター』とトワの分身『銀河眼の光子竜』を並びたてる。
「封印竜……。だけどこの局面で出したところで、僕のコズミックアイズ達を突破することはできない!」
「確かに俺1人の力じゃ、奏多兄ちゃんには勝てないかもしれない。だから俺は……トワと一緒に戦う!そしてこれが、トワから託された希望の力だ!俺はレベル8の『封印竜ソニック・スター』と『銀河眼の光子竜』でオーバーレイ!!」
「なっ!?遊弥のデッキにランク8のエクシーズモンスターなんていないはず。一体何を……!?」
遊弥がトワから託されていたカードは『銀河眼の光子竜』以外にもう1枚あった。それはアストラル大戦での激闘の果てに生まれた、言うなれば2人にとっての「最後の希望」。
─────宇宙にさまよう光と闇、その狭間に眠りし哀しきドラゴンたちよ。その力を集わせ、真実の扉を開け!─────
─────降臨せよ、銀河究極龍!『No.62 銀河眼の光子竜皇(ギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン)』!!─────
~現在の状況~
YUMI→LP:6300 手札:0 デッキ:26 Mゾーン:2 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:2
V S
KANATA→LP:10000 手札:1 デッキ:27 Mゾーン:1 M&Tゾーン:0 Fゾーン:1 Pゾーン:2
Episode108初登場オリカ紹介
○リトルスター・ドラゴン(ランク4 風)
ドラゴン族/エクシーズ/効果
攻2000/守2000
レベル4の「スターダスト」モンスター×2
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードのⅩ素材を2つ取り除いて発動できる(この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない)。EXデッキから「スターダスト」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
○トゥインクル☆スターライト・ドラゴン(ランク6 風)
ドラゴン族/エクシーズ/効果
攻2500/守2300
レベル6の風属性モンスター×3
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが「リトルスター・ドラゴン」を素材としてⅩ召喚した場合に発動できる。自分フィールドの「スターダスト」モンスターの攻撃力は、このカードの守備力と自分LPの半分を合計した数値分アップする。②:相手フィールドの特殊召喚されたモンスターが効果を発動した時、このカードのⅩ素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。その後、墓地の「スターダスト」モンスター1体を特殊召喚する。
加えて遊矢を取り戻すためエースの所へと向かったユート、ユーゴ、ユーリは未だに戻って来ず、凛、命慈、花奈が彼らに連絡を取ってみたが繋がることはなかった。彼等に限って負けるような事など有り得るはずがないとはいえ、デュエルに絶対はない。
レインという先導者を失い、ホープ・ゼアルを完全覚醒させた希も疲労困憊で目覚める気配がない。戦況は絶望的という他ないが、6人の封印竜使いは皆、ここに至るまでに「覚醒竜」を降臨させることに成功した。呪縛竜使いと戦うための準備は、各々が完了しているといっても過言ではないだろう。
「ねえ遊弥、何度も聞くけど本当に大丈夫なの?トワちゃんと戦って戻ってきたと思ったらぶっ倒れるし……」
「大丈夫だって。まだちょっと疲れてるだけだから」
「ちょっとってアンタ…」
とはいえ、中には万全の状態でないものもいる。遊弥は一度死の淵にまで追いやられており、勝敗を問わずデュエルするだけで命が危ない状況だ。直前まで瀕死だった様を直で見ていた紅葉をはじめ他の皆も彼の身を案じているが、「奏多兄ちゃんを助けるまではもう二度と倒れないから」と強がっている。
時間が待ってくれるのなら遊弥の身体が全快するまで待つのだが、『世界のリセット』まで5時間しかない今となってはそれも不可能だ。
~某所~
「僕達はエースに利用されていた。それは変えようのない事実だ」
「Yes。アストラルwarsでミーの記憶も戻って、確信しマシタ」
「ほんっと、私たちの死因が奴等だったなんて、とんだマリオネットじゃない」
奏多、ルーナ、アレックス、リリー、ソフィアはエースによって隔離された別室にいた。その間は第二次アストラル大戦での封印竜使いの様子を観察しており、自分たちが真に戦うに相応しい相手かどうかを見極めていた。そしてその中で、自分たちの死因が奴等によって呼び出されたオーバーハンドレッド・ナンバーズであることを思い出し、自分たちが利用されていたという真実にも辿り着いた。
アストラル大戦での彼らの活躍を見届けた結果、途中で意識を失ったリリーは無回答、アレックスから不満の声が上がったものの、それ以外の3人は概ね問題ないという結論に至った。
「…マーガレット・リリー。貴方、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫よ」
目覚めて以降、何処か陰っているリリーの横顔を見たソフィアはリリーを案じたが、当の彼女は生前アイドルだったとは思えないほど素っ気無い態度を取った。過呼吸に陥るほど強いショックからはそう簡単に立ち直れるとは到底思えないが、今のリリーには何を言っても聞かないだろうと考えたソフィアは、これ以上の詮索をやめた。
「皆、行こう。この呪われた運命を終わらせるために」
奏多の合図で呪縛竜使い全員がデュエルディスクの画面をタップすると、彼等5人は各々所縁ある場所へとワープするのだった。
~同時刻、封印竜陣営~
「なっ…!これは……強制ワープ!?」
呪縛竜使いが決戦の地へとワープした瞬間、その関係者にあたる封印竜使いも連動してワープ機能が発動するようデュエルディスクに「最初から」細工されていたのだ。あまりに突然の出来事で命慈、そして封印竜を持たない彩たち4名は何が起こったのか理解する間もなく、封印竜使い5名が消えてしまった事実に言葉が詰まっていた。
封印竜使いがそれぞれ飛ばされた場所は、最初に呪縛竜使いとデュエルを行った場所。第二次アストラル大戦による自転速度異常の影響で風化し、世界各地の名所は見る影もない惨状だ。その様は十分に、エースの標榜する『世界のリセット』へと近付いていることを証明していた。
決戦の地へと降り立った総勢10名のデュエリスト─────藤堂遊弥と古城奏多、霧野精一とアレックス・マッカーサー、茨木花奈と清水ルーナ、黒羽凛とマーガレット・リリー、赤城紅葉とソフィア・メルクーリ─────による『世界のリセット』を賭けた死闘が今、始まった。
「「デュエル!!」」
○1st Duel
YUMI→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
KANATA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○2nd Duel
SEIICHI→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
ALEX→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○3rd Duel
HANA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
LUNA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○4th Duel
RIN→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
LILY→LP:8000 手札:5 デッキ:55 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
○5th Duel
KUREHA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
V S
SOPHIA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0
~ロシア・赤の広場にて~
「奏多兄ちゃん……」
「エースの思惑なら、僕たち呪縛竜使い全員が知っている。それぞれが思っていた『世界のリセット』だって叶わないこともね」
「教えて。奏多兄ちゃんにとっての『世界のリセット』って、一体何だったの?」
「それはデュエルの中で話す。そしてこれは、僕からの最後の頼みだ」
「…?」
「僕を倒してくれ。今の遊弥なら、きっとできる」
「…わかった。やってやる!」
*TURN01
「俺のターン!」
奏多は遊弥にとっての師匠であり、生前でも一度もデュエルに勝つ事はできなかった。呪縛竜決戦でもZオーラによる暴走ありきだったとはいえ大敗を喫した相手だが、それでも奏多は遊弥が自分を超えてくれると信じていた。
全てはこの時のために、遊弥の組み上げたデッキが回り出す。
「『スターダスト・ナイト』を召喚!このカードが召喚に成功した時、デッキから『スターダスト・フュージョン』を手札に加える。そして発動!デッキから『スターダスト・エンジェル』と『スターダスト・オーロライーグル』を墓地へ送り、融合召喚する。星屑の天使よ、極光に輝く翼を得て、更に強く可憐に羽ばたけ。融合召喚!!舞い降りろ、『スターダスト・エンジェル“ff”』!!」
『スターダスト・ナイト』のサーチ範囲は自身以外の『スターダスト』カード全て。今となってはペンデュラムモンスターである『スターダスト・ヴァルキリー』がそのお株を奪っており暫く使っていなかったが、奏多との戦いでは「今までの自分の全てを出し切る」という誓いのもと、再投入するに至った。
「『スターダスト・エンジェル“ff”』の効果発動!1ターンに1度、墓地の『スターダスト』モンスター1体を攻守0で特殊召喚する。蘇れオーロライーグル。そしてレベル4のオーロライーグルと『スターダスト・ナイト』の2体で、オーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!!無限の宇宙を彷徨いし竜よ、生命の宿る青き星に降臨せよ!ランク4『リトルスター・ドラゴン』!!」
『スターダスト・エンジェル“ff”』からオーロライーグルを復活させ、ランク4のエクシーズ召喚へと繋ぐ。トワとのデュエルによって確立されたコンボではあるが、今回は『リトルスター・ウィッチ』ではなく展開重視の『リトルスター・ドラゴン』を呼び出した。
「『リトルスター・ドラゴン』の効果発動!オーバーレイ・ユニットを2つ使い、エクストラデッキから『スターダスト』モンスター1体を特殊召喚する」
「『リトルスター・ドラゴン』の効果を使うターン、バトルフェイズは行えない。だけど先攻1ターン目で使うことで、そのデメリットを帳消しにしたというわけか」
「まあね。現れろ、『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』!!そして墓地へ送られたオーロライーグルの効果をもう一度使い、デッキから『スターダスト・エンジェル』を手札に加える。そして俺はスケール1の『スターダスト・ガール』とスケール8の『スターダスト・エンジェル』でペンデュラムスケールをセッティング!」
『スターダスト・ガール』と『スターダスト・エンジェル』。遊弥のデッキを長く支え続けてきたペンデュラムモンスターの2柱であり、それらのペンデュラムスケールで同時に召喚できるのは、レベル2から7。今の遊弥のデッキならほぼ全てのモンスターをペンデュラム召喚できる。
一度に大量のモンスターを展開できる絶好の機会だったが、彼のフィールドには既に3体のモンスターが揃っている。遊弥がこの局面でペンデュラム召喚したのは『スターダスト・ハルモニア・トランペッター』の1体のみだった。
「ハルモニア・トランぺッターがペンデュラム召喚に成功した時、デッキから『スターダスト』を特殊召喚する。舞い降りろ、『スターダスト・ハルモニア・ハーピスト』!そして特殊召喚されたハーピストの効果を発動し、デッキから『RUM-スターライト・シンフォニー』を手札に加える」
ハーピストの効果によって『RUM』のサーチを行い、そのハーピストとハルモニア・トランぺッターでレベル6のシンクロモンスター『スターダスト・フェイト・フォルトゥーナ』を召喚した。これで遊弥のフィールドには融合、シンクロ、エクシーズモンスターが勢揃いしたが、覚醒竜の加護を受け進化した遊弥の展開は止まらない。
「星屑のペンデュラムは二度揺れる。融合召喚された『スターダスト・エンジェル“ff”』が存在する限り、俺はこのターンのメインフェイズにもう一度ペンデュラム召喚を行える!」
「なっ…!」
「エクストラデッキから戻って来い、『スターダスト・ハルモニア・ハーピスト』!そして『RUM-スターライト・シンフォニー』を発動!『リトルスター・ドラゴン』をランクが2つ上のモンスターに進化させ、このカードとペンデュラムゾーンの『スターダスト・エンジェル』をそのモンスターのオーバーレイ・ユニットとする。宇宙に瞬く星々が、青き地球を輝かす。光へと導け!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!ランク6『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』!!」
呪縛竜決戦へと赴く前、叔母の雪菜から託されたカードの内の1枚。小さな星が眩い光となって、星屑を照らす標となる。
「『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』の効果発動!このカードが『リトルスター・ドラゴン』を素材としてエクシーズ召喚に成功した場合、自分フィールドの『スターダスト』全ての攻撃力は、このカードの守備力と自身のライフ半分を合計した数値分アップする!」
「つまり、合計6300のアップ…!」
『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』自身には攻撃力上昇が起こらないが、遊弥のフィールドにはフォルティシモ、ハルモニア・ハーピスト、フェイト・フォルトゥーナ、シャイニー・ドラゴンの4体の『スターダストが』いる。加えて『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』には「そのモンスター自身のレベル×100だけ攻撃力を上昇する」効果を持つ。双方の効果が合わさり、スターライト・ドラゴン以外の遊弥のモンスターの攻撃力は以下の通り。
『スターダスト・シャイニー・ドラゴン』→10600
『スターダスト・エンジェル“ff”』→9300
『スターダスト・フェイト・フォルトゥーナ』→9000
『スターダスト・ハルモニア・ハーピスト』→8100
奏多を相手にするのだから、と遊弥はこれまで培ってきた自分の力を1ターン目から全て集約させた。
「カードを2枚伏せて、ターンエンド。そしてハルモニア・ハーピストの効果もターン終了時に発動し、自分フィールドのモンスター1体につき500のライフを回復する」
YUMI→LP:10500 手札:1 デッキ:29 Mゾーン:5 M&Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:1
*TURN02
(伝わってくる。これが本気の遊弥なんだね)
「これが最期のデュエル。元ジュニアチャンピオンとして、師匠として、遊弥の本気に全力で応える!僕のターン、ドロー!」
「この瞬間、フェイト・フォルトゥーナの効果発動!相手が1枚ドローする度、俺はカードの種類を宣言できる。そして宣言した種類のカードだった場合、フェイト・フォルトゥーナは効果を使える。俺が宣言するのは、魔法カード!」
「確かにこの局面なら魔法カードを宣言するしかないけど、残念。外れだよ」
相手フィールドにカードが存在しない後攻1ターン目となる奏多のターンでは、モンスターカードをドローした場合に適用される「モンスター2体の攻撃力を半減する効果」および罠カードのドローによって適用される「奏多のモンスターを全壊させる」効果を宣言しても意味を為さない。そのため魔法カードをドローした場合の「800ダメージを与える」を選択するのが最適解であり、今や遊弥が最も宣言している種類のカードとなっているのだが、そう簡単に当たらないのが現実だ。
「僕はスケール7の『宇宙英雄サターン』をペンデュラムゾーンに置き、そのペンデュラム効果を発動!宇宙英雄はもう片方の自分のペンデュラムゾーンにカードがない時、デッキから宇宙英雄をペンデュラムゾーンに置くことができる」
「手札1枚でもペンデュラムスケールを揃えられるって、やっぱ凄ぇや…」
「サターンの効果で置くのは、スケール3の『宇宙英雄マーキュリー』。これでペンデュラム召喚可能になったけど、速攻魔法『揺れる眼差し』を発動!お互いのペンデュラムゾーンのカードを全て破壊する!」
「くっ…」
「破壊したカードは全部で3枚。よって3つの効果が発動する。遊弥に500ポイントのダメージを与え、デッキから『宇宙英雄ネプチューン』を手札に加え、そして遊弥のセットカード1枚を除外する」
YUMI→LP:10000
トワとのデュエルでも遊弥がこのカードを使ったが、遊弥も奏多もペンデュラム召喚に特化したデッキを使う。だからこそ『揺れる眼差し』は相手がペンデュラム召喚を扱うデッキなら十分なメタカードになるのだ。
しかしこれだけで終わらせないのが元ジュニアチャンピオンとしてのプライド。
「もう一度『揺れる眼差し』を発動!今度は僕のペンデュラムゾーンのカードだけ破壊するけど、遊弥に500ダメージを与え、デッキから『宇宙英雄ヴィーナス』を手札に加える」
「2枚目…マジかよ」
YUMI→LP:9500
奏多は最初の5枚の手札の中に『揺れる眼差し』を2枚持っていた。40枚デッキの中に不特定の同名カードが初手で来る確率が約33%と結構高めだが、カードを1種類に限定すればその確率はその10分の1未満にまで下がる。
それほど低い確率の壁をこの大事な一戦で乗り越えてくるのだから、先代ジュニアチャンピオンの名は伊達ではない。
「ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから現れろ、『宇宙英雄サターン』『宇宙英雄マーキュリー』『宇宙英雄ヴィーナス』『宇宙英雄ネプチューン』!!ペンデュラム召喚された宇宙英雄たちは、果てなき力を呼び起こす。マーキュリーの効果でデッキからフィールド魔法『コズミック・ミルキーウェイ』を手札に加え、サターンの効果でデッキから『宇宙眼の惑星竜』を手札に加える」
「コズミックアイズ……奏多兄ちゃんの分身」
「まだ終わらないよ。『宇宙英雄マルス』を召喚し、効果発動!このカードを含む自分フィールドのモンスターを素材として融合召喚する。果てなき宇宙よ、凍てつく氷をその青き星に宿せ!現れろ、『宇宙眼の細氷竜』!!」
奏多のフィールドに5体の宇宙英雄が揃い、そこから遊弥と同様にエクストラデッキから更なる特殊召喚へと繋げる。手始めに3体融合によって『宇宙眼の細氷竜』を召喚したが、まだフィールドにはチューナーを含む2体のペンデュラムモンスターが残されていた。
「そしてレベル4のマーキュリーにレベル4のヴィーナスをチューニング!宇宙で燃ゆる灼熱の炎よ、永久に煌めけ!シンクロ召喚!!現れろ、『超宇宙英雄ヘリオス』!!」
「この瞬間、罠カード『スターライト・バニッシュ』を発動!特殊召喚されたヘリオスの効果を無効にし、ヘリオスのレベル×200ポイントだけ攻撃力を下げる。これでヘリオスは封じたけど……」
「そう。これで僕のエクストラデッキには5種類の宇宙英雄が揃った。エクストラデッキからマーキュリー、ヴィーナス、マルス、サターン、ネプチューンを墓地へ送ることでこのカードは手札から特殊召喚できる!果てなき宇宙よ、絶望の闇を包み込み我が同胞となれ!降臨せよ、『宇宙眼の惑星竜』!!」
『宇宙眼の惑星竜』を特殊召喚するためには5種類のペンデュラムモンスターをエクストラデッキから墓地へ送る必要がある。サーチと展開に特化した奏多のデッキでも通常なら2ターン掛かるのだが、2枚の『揺れる眼差し』によってサーチ力が上昇し、フィールドでの融合召喚とシンクロ召喚を行う事でその条件を達成させ、最速で呼び出すことができたのだ。
「細氷竜の効果発動!ハルモニア・ハーピストの攻撃力を1000ダウンし、僕のライフを1000ポイント回復する」
「『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』の効果発動!特殊召喚された相手モンスターが効果を発動した時、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、その発動を無効にし破壊する!」
「させないよ。『宇宙眼の惑星竜』の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスターが効果を発動した時、墓地のペンデュラムモンスター1体を除外することで、その発動を無効にする。そして惑星竜が存在する間、『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』は攻撃力が2000ダウンし、通常モンスターとして扱われる」
「くっ…だけどオーバーレイ・ユニットとして取り除かれた『RUM-スターライト・シンフォニー』の効果で、俺は1枚ドローする」
以前の戦いで細氷竜のライフゲイン効果を警戒していた遊弥は、スターライト・ドラゴンの無効効果の発動タイミングを狙っていた。しかし奏多のフィールドにはスターライト・ドラゴンと同様、モンスター効果の発動を無効にする惑星竜が既にいた。加えて「通常モンスターとして扱われる」ため、エクシーズモンスターを対象として発動可能な『RUM』の発動や、エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚するといった逃げ道さえも潰される。
「細氷竜を破壊したかったんだろうけど、残念だったね。そしてこれが僕の全力だ!レベル8の惑星竜、細氷竜、ヘリオスの3体でオーバーレイ!!」
「…来る!」
「幾億の刻と共に創られし宇宙よ、我ら同胞の力集わせ、在るべき姿に生まれ変わらん!エクシーズ召喚!!降臨せよ、『超宇宙眼の惑星龍』!!」
奏多の分身『宇宙眼の惑星竜』が三つ首の姿となって進化した『超宇宙眼の惑星龍』は、彼の究極の切り札。これまでのデュエルでも公式戦で使用したのは、レインとのジュニアチャンピオン防衛戦だけであり、それ以外に彼がこのカードを使用した経歴は残されていない。
しかし遊弥は、トワから『超宇宙眼の惑星龍』に関する情報を事前に得られていたこともあり、奏多が1ターン目からそれを召喚してくるだろうと読んでいた。そのために『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』を用いた鉄壁の布陣を作り上げたのだが、それでも奏多の方が一枚上手だった。
「ネオ・コズミックアイズ……俺が、このモンスターを相手する日が来るなんて」
「今の遊弥なら、このカードを出すに相応しいからね。ネオ・コズミックアイズの効果発動!自身のオーバーレイ・ユニットを2つ取り除くことで、このターン中、ネオ・コズミックアイズはオーバーレイ・ユニットとして取り除いたモンスター全ての効果を獲得する」
この効果で取り除いたのは『宇宙眼の細氷竜』と『超宇宙英雄ヘリオス』。遊弥のモンスターの攻撃力を1000下げつつ自分のライフを1000回復できる効果に加え、ヘリオスには「最も攻撃力の高い相手モンスターの攻撃力の半分を自身の攻撃力として加える」効果がある。攻撃力4500を誇るネオ・コズミックアイズに攻撃力を上乗せされてしまえば、遊弥の超攻撃的な布陣でさえ容易に突破されてしまう。
2体分のモンスター効果を得た『超宇宙眼の惑星龍』によって、ハルモニア・ハーピストの攻撃力が更に1000ダウンし、自身の攻撃力も9800にまで上昇した。
「さあバトルだ!ネオ・コズミックアイズ、ハルモニア・ハーピストを攻撃!アルティメット・プラネット・ストリーム!!」
「ぐっ…ぁぁぁぁぁぁっ!!」
YUMI→LP:6300
このターンだけでも既に4200ダメージを受け、奏多のライフは1万。以前と同じく圧倒的な差で遊弥を追い詰めている。
「フィールド魔法『コズミック・ミルキーウェイ』を発動。カードを1枚伏せてターンエンド。そしてターン終了時、『コズミック・ミルキーウェイ』の効果発動!デッキから『宇宙英雄ユピテール』をエクストラデッキに表で置く」
「……やっぱ強いや、奏多兄ちゃんは」
「遊弥、楽しんでいるのか?こんな状況だっていうのに」
「だってさ、奏多兄ちゃんと初めて本気でデュエルが出来るんだよ?こんな楽しい事があるか!」
初めて奏多からデュエルを教わってから他界するまで、奏多は遊弥にデュエルを教えるという名目で手加減をしていた。「一度くらい本気でデュエルしてもいいじゃんかー」と遊弥が駄々をこねた結果、奏多が文字通り「本気」のデュエルをしたこともあったのだがやはり勝てず、当時小学生だった彼が3日も拗ねた過去がある。
しかし今の遊弥はあの時とは違い、奏多が本気を出して戦えるデュエリストとなった。このデュエルの勝敗で世界の命運が決まってしまうというのに、奏多との本気のデュエルが本当に楽しいのか、遊弥は笑っていた。
*TURN03
(さあ、一緒に戦おう)
「俺のターン、ドロー!」
手札は3枚。今の盤面なら総攻撃を仕掛ければ奏多のライフを0にすることもできるが、奏多のセットカードを警戒した遊弥は、一旦体制を立て直す選択をした。
「フォルティシモの効果発動!墓地のオーロライーグルを攻守0で特殊召喚する」
「ネオ・コズミックアイズの効果発動!相手の効果が発動した時、墓地の『宇宙英雄ヴィーナス』を除外することで、その発動を無効にし破壊する」
「『トゥインクル☆スターライト・ドラゴン』の効果発動!特殊召喚されたモンスターが効果を発動した時、オーバーレイ・ユニットを1つ使い、その発動を無効にし破壊する。そして、墓地の『スターダスト』1体を特殊召喚する」
「ネオ・コズミックアイズを破壊してきたか……。なら僕はその上を行く!ネオ・コズミックアイズが破壊されたことで、墓地から自身以外の『コズミックアイズ』を3体まで特殊召喚する。そして罠カード『コズミック・シュヴァルツシルト』を発動!コズミックアイズが破壊された時、相手フィールドのカードを全て除外する!」
「くっ…!」
結果だけ見れば遊弥が1ターン目で築き上げた盤面が無に帰る形となったが、奏多にとってもこの結果は最良とは言い難かった。バトルフェイズ中に『コズミック・シュヴァルツシルト』を発動していたら、奏多の盤面にコズミックアイズを2体残した状態で次のターンをで遊弥を迎撃するための準備ができていた。しかしバトルフェイズ前に発動せざるを得ない状況となり、盤面にモンスターが1体少ない状態となる。
奏多もトップレベルのデュエリスト。その「1体」の差が勝敗結果を決める分水嶺となり得ることを分かっていたからこそ、遊弥のこの選択には良い顔ができなかった。
「俺はスケール1の『スターダスト・ブライトホーン・ユニコーン』とスケール4の『スターダスト・ハルモニア・トランぺッター』でペンデュラムスケールをセッティング!」
「またペンデュラム召喚をしてくるのか。だけどこれで手札は1枚。さあ、どうする?」
「ハルモニア・トランぺッターのペンデュラム効果発動!このカードのペンデュラムスケールを10に変更する。ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから蘇れ。ハルモニア・トランぺッター、ハルモニア・ハーピスト!そして……現れろ、トワの分身!『銀河眼の光子竜』!!」
遊弥がペンデュラム召喚によって呼び出したのは、奏多とトワを繋いでいた思い出のカード『銀河眼の光子竜』。彼のデッキとはこれといったシナジーはないが、遊弥はこのカードに賭けていた。
一方の奏多は、遊弥のデッキから思いもよらないカードが出てきても大して驚きはしなかった。呪縛竜決戦前にトワと相対した時に起こった銀河眼と宇宙眼の共鳴現象、それに近しい力を遊弥から感じ取っていたからだ。
(この感覚……やはりそうだったか)
「第二次アストラル大戦で戦ったあの時……いや、それよりも前から既に、そのカードを託されていたみたいだね」
「奏多兄ちゃんに負けた後だったかな。トワがデッキに入れてくれてたんだ」
「だけど出すのが遅かったね。『超宇宙眼の惑星龍』を効果で破壊しなければバトルフェイズでお互いに除外して、光子竜の攻撃力上昇も狙えたのに。折角の光子竜もそれじゃあ宝の持ち腐れだ」
「違うよ。このカードには、トワの想いも一緒に込められてるんだ。宝の持ち腐れなんかじゃない」
『銀河眼の光子竜』には相手モンスターと戦闘を行う際、自身とその相手モンスターを一時的に除外できる効果を持つ。そして除外したモンスターがエクシーズモンスターであれば、そのモンスターが持っていたオーバーレイ・ユニット1つにつき攻撃力が500上昇した状態で帰還できる。
破壊せずに除外するため『コズミック・シュヴァルツシルト』の全体除去効果にも引っ掛からず、奏多の盤面を空けた状態で直接攻撃を仕掛けられたのだから、遊弥のこの選択はプレイミスと思われても仕方なかった。
しかし遊弥はそれを承知の上でこの選択をした。全ては「最後の希望」へと繋げるために。
「ハルモニア・トランぺッターのモンスター効果で、デッキから『スターダスト・メイデン・ミコ』を特殊召喚する。そして『スターダスト・メイデン・ミコ』の効果発動!『宇宙眼の細氷竜』の効果を無効にする」
「惑星竜の効果発動!相手フィールドのモンスターが効果を発動した時、墓地の『宇宙英雄マーキュリー』を除外することで、その発動を無効にする。そしてメイデン・ミコは惑星竜がモンスターゾーンに存在する間、通常モンスターとして扱い、攻撃力も2000ダウンする」
「くっ…だけどまだこれから!俺はレベル6のメイデン・ミコにレベル2のハルモニア・トランぺッターをチューニング!遥かなる未来を守護する竜よ、白銀の翼はためかせ、世界を呪縛より解放せよ。シンクロ召喚!!来たれ、『封印竜ソニック・スター』!!」
メイデン・ミコの効果で細氷竜を封じようとするが、奏多の分身は何度でも立ちはだかる。そしてそれに応えるように、遊弥も自身の相棒『封印竜ソニック・スター』とトワの分身『銀河眼の光子竜』を並びたてる。
「封印竜……。だけどこの局面で出したところで、僕のコズミックアイズ達を突破することはできない!」
「確かに俺1人の力じゃ、奏多兄ちゃんには勝てないかもしれない。だから俺は……トワと一緒に戦う!そしてこれが、トワから託された希望の力だ!俺はレベル8の『封印竜ソニック・スター』と『銀河眼の光子竜』でオーバーレイ!!」
「なっ!?遊弥のデッキにランク8のエクシーズモンスターなんていないはず。一体何を……!?」
遊弥がトワから託されていたカードは『銀河眼の光子竜』以外にもう1枚あった。それはアストラル大戦での激闘の果てに生まれた、言うなれば2人にとっての「最後の希望」。
─────宇宙にさまよう光と闇、その狭間に眠りし哀しきドラゴンたちよ。その力を集わせ、真実の扉を開け!─────
─────降臨せよ、銀河究極龍!『No.62 銀河眼の光子竜皇(ギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン)』!!─────
~現在の状況~
YUMI→LP:6300 手札:0 デッキ:26 Mゾーン:2 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:2
V S
KANATA→LP:10000 手札:1 デッキ:27 Mゾーン:1 M&Tゾーン:0 Fゾーン:1 Pゾーン:2
Episode108初登場オリカ紹介
○リトルスター・ドラゴン(ランク4 風)
ドラゴン族/エクシーズ/効果
攻2000/守2000
レベル4の「スターダスト」モンスター×2
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードのⅩ素材を2つ取り除いて発動できる(この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない)。EXデッキから「スターダスト」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
○トゥインクル☆スターライト・ドラゴン(ランク6 風)
ドラゴン族/エクシーズ/効果
攻2500/守2300
レベル6の風属性モンスター×3
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが「リトルスター・ドラゴン」を素材としてⅩ召喚した場合に発動できる。自分フィールドの「スターダスト」モンスターの攻撃力は、このカードの守備力と自分LPの半分を合計した数値分アップする。②:相手フィールドの特殊召喚されたモンスターが効果を発動した時、このカードのⅩ素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。その後、墓地の「スターダスト」モンスター1体を特殊召喚する。
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イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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115 | Episode01:危ないスタート | 2396 | 1 | 2015-06-21 | - | |
121 | Episode02:悪魔のドラゴン | 1956 | 2 | 2015-06-22 | - | |
87 | Episode03:切り札 | 1475 | 2 | 2015-06-23 | - | |
101 | Episode04:紅蓮の悪魔 | 1538 | 2 | 2015-06-23 | - | |
89 | Episode05:終止符 | 1435 | 2 | 2015-06-25 | - | |
76 | Episode06の前に(更新済) | 1259 | 2 | 2015-06-25 | - | |
99 | Episode06:黒羽 凛 | 1422 | 1 | 2015-06-27 | - | |
83 | Episode07:同調 | 1327 | 1 | 2015-06-30 | - | |
74 | Episode08:変則試合 | 1318 | 2 | 2015-07-04 | - | |
147 | Episode09:2人の絆 | 1446 | 2 | 2015-07-05 | - | |
71 | Episode10:覚醒 | 1314 | 1 | 2015-07-09 | - | |
89 | Episode11:解放 | 1329 | 2 | 2015-07-13 | - | |
149 | Episode12:最後の封印竜 | 1315 | 0 | 2015-07-14 | - | |
75 | Episode13:ダイヤの煌めき | 1121 | 0 | 2015-07-25 | - | |
97 | Episode14:友のために | 1189 | 0 | 2015-08-12 | - | |
85 | ビヨンドモンスター・ビヨンド召喚について | 1703 | 2 | 2015-08-13 | - | |
131 | 番外編01:遊弥と紅葉の… | 1169 | 2 | 2015-08-19 | - | |
121 | Episode15:紅蓮魔竜解放 | 1399 | 2 | 2015-08-22 | - | |
87 | Episode16:ライセンス | 1277 | 2 | 2015-08-24 | - | |
168 | 少し遅めのキャラ設定(随時更新) | 2148 | 5 | 2015-08-29 | - | |
94 | Episode17:地獄の猛特訓 | 1259 | 1 | 2015-09-06 | - | |
143 | Episode18:関門 | 1423 | 1 | 2015-09-13 | - | |
89 | Episode19:スピードの中で | 1262 | 2 | 2015-09-18 | - | |
119 | Episode20:初の対外試合 | 1279 | 2 | 2015-09-20 | - | |
90 | Episode21:シンクロ封印 | 1222 | 1 | 2015-09-22 | - | |
76 | Episode22:1つの答え | 1213 | 2 | 2015-09-24 | - | |
75 | Episode23:黒羽の誇り | 1261 | 2 | 2015-10-01 | - | |
95 | Episode24:ハイスピードバトル | 1309 | 3 | 2015-10-06 | - | |
69 | Episode25:超越する力 | 1196 | 2 | 2015-10-11 | - | |
80 | Episode26:運命の決戦 | 1190 | 3 | 2015-10-20 | - | |
90 | Episode27:来訪者、天導レイン | 1285 | 2 | 2015-11-03 | - | |
90 | Episode28:遊弥vsレイン | 1366 | 2 | 2015-11-09 | - | |
81 | Episode29:舞い降りた天使 | 1288 | 2 | 2015-12-05 | - | |
77 | Episode30:天使と悪魔 | 1390 | 3 | 2015-12-09 | - | |
100 | Episode31:禁断の無限暗黒竜 | 1451 | 2 | 2015-12-12 | - | |
75 | 番外編02:凛と紅葉が… | 1245 | 0 | 2016-01-05 | - | |
83 | Episode32:パワー・ツール | 1221 | 3 | 2016-01-29 | - | |
80 | Episode33:死した希望の使者 | 1161 | 2 | 2016-01-31 | - | |
111 | Episode34:高貴の翼 | 1439 | 3 | 2016-02-04 | - | |
88 | Epi35:戦慄のリバースビヨンド | 1287 | 1 | 2016-02-13 | - | |
82 | Epi36:加速するカウントダウン | 1245 | 2 | 2016-02-20 | - | |
80 | Epi37:希望のカード『V☆S』 | 1211 | 3 | 2016-03-25 | - | |
72 | Episode38:朱色の夜 | 1218 | 0 | 2016-04-11 | - | |
147 | Episode39:並び立つ盟友 | 1422 | 2 | 2016-04-22 | - | |
81 | Episode40:精一と彩 | 1292 | 2 | 2016-05-30 | - | |
79 | Episode41:漆黒の鎮魂歌 | 1289 | 4 | 2016-06-22 | - | |
124 | Episode42:涅槃の境地へ | 1312 | 4 | 2016-07-02 | - | |
75 | Episode43:トワノキズナ | 1243 | 3 | 2016-07-23 | - | |
140 | Episode44:銀河と宇宙 | 1440 | 3 | 2016-08-09 | - | |
122 | Episode45:銀河眼vs宇宙眼 | 1523 | 0 | 2016-08-20 | - | |
61 | Episode46:絶望の凱旋 | 1112 | 0 | 2016-08-24 | - | |
87 | Episode47:刻まれた記憶の欠片 | 1151 | 1 | 2016-09-06 | - | |
120 | Episode48:希望の行方 | 1490 | 0 | 2016-09-13 | - | |
84 | Episode49:悪夢の決戦前夜 | 1091 | 0 | 2016-10-03 | - | |
73 | Episode50:創世の星屑竜 | 1057 | 0 | 2016-10-25 | - | |
127 | Episode51:託された未来 | 1187 | 0 | 2016-10-30 | - | |
125 | 番外編03:遊弥と花奈の... | 1249 | 2 | 2016-11-02 | - | |
104 | 未投稿オリカ紹介①(使用者:藤堂遊弥) | 1244 | 0 | 2016-11-09 | - | |
114 | 未投稿オリカ紹介②(使用者:赤城紅葉) | 1225 | 0 | 2016-11-26 | - | |
100 | 未投稿オリカ紹介③(使用者:茨木花奈) | 1222 | 0 | 2016-12-08 | - | |
57 | 未投稿オリカ紹介④(使用者:霧野命慈) | 1030 | 0 | 2016-12-20 | - | |
61 | 未投稿オリカ紹介⑤(使用者:霧野精一) | 1120 | 0 | 2016-12-30 | - | |
102 | Episode52:極寒の夏 | 1189 | 2 | 2017-01-01 | - | |
150 | Episode53:闇の邂逅 | 1340 | 2 | 2017-01-07 | - | |
82 | Episode54:呪縛竜復活 | 1103 | 0 | 2017-01-11 | - | |
123 | Episode55:届かぬ声で... | 1029 | 2 | 2017-01-15 | - | |
135 | Episode56:禁忌の目覚め | 1112 | 5 | 2017-01-19 | - | |
120 | Episode57:共鳴する四龍 | 1154 | 4 | 2017-01-25 | - | |
73 | Episode58:本当の気持ち | 1254 | 3 | 2017-01-30 | - | |
77 | Episode59:真実への鍵 | 1133 | 2 | 2017-02-08 | - | |
76 | IF01:バレンタインデー | 1316 | 6 | 2017-02-11 | - | |
69 | Episode60:エレンとアレックス | 1141 | 3 | 2017-02-16 | - | |
173 | ルール改訂と今後の進行について | 1371 | 2 | 2017-02-18 | - | |
64 | Episode61:想いの証 | 1042 | 5 | 2017-02-21 | - | |
87 | Episode62:茨の道標 | 1214 | 5 | 2017-02-27 | - | |
131 | Episode63:光と闇の花 | 1080 | 3 | 2017-03-20 | - | |
86 | Episode64:渇望と葛藤 | 1120 | 2 | 2017-03-23 | - | |
80 | Episode65:麗しき孤月 | 1063 | 2 | 2017-03-29 | - | |
144 | Episode66:月夜のイリュージョン | 1401 | 2 | 2017-04-21 | - | |
158 | Episode67:常闇に消える月華 | 1393 | 1 | 2017-05-05 | - | |
103 | Episode68:模索者たち | 1123 | 4 | 2017-07-22 | - | |
116 | Episode69:純黒の反逆者 | 1233 | 0 | 2017-07-27 | - | |
131 | Episode70:紅と黒の禁呪 | 1134 | 2 | 2017-08-07 | - | |
96 | Episode71:希望は往く | 1247 | 3 | 2017-08-17 | - | |
147 | Episode72:リリーの過去 | 1265 | 2 | 2017-08-24 | - | |
80 | Episode73:異次元の亡霊 | 1201 | 2 | 2017-09-13 | - | |
117 | Episode74:覚醒の鼓動 | 1371 | 3 | 2017-09-22 | - | |
133 | Episode75:挑戦者の儀 | 1118 | 0 | 2017-10-05 | - | |
138 | Episode76:神速の決闘 | 1212 | 2 | 2017-11-14 | - | |
59 | Episode77:動き出す陰謀 | 917 | 2 | 2018-01-23 | - | |
82 | Episode78:最期の兄弟喧嘩 | 914 | 2 | 2018-03-03 | - | |
148 | Episode79:黄龍の手向け | 971 | 2 | 2018-03-28 | - | |
113 | Episode80:堕天使の罠 | 951 | 0 | 2018-04-14 | - | |
108 | Episode81:断罪する魔神 | 945 | 0 | 2018-04-19 | - | |
122 | Episode82:姫君のバイブル | 1046 | 1 | 2018-05-07 | - | |
126 | Episode83:開かれたページ | 1082 | 0 | 2018-05-11 | - | |
164 | Episode84:望まぬ決戦 | 1106 | 2 | 2018-05-29 | - | |
78 | 未投稿オリカ紹介⑥(使用者:古城奏多) | 978 | 0 | 2018-05-31 | - | |
141 | 未投稿オリカ紹介⑦(使用者:清水ルーナ) | 1182 | 0 | 2018-06-02 | - | |
144 | 未投稿オリカ紹介⑧(使用者:アレックス) | 1051 | 0 | 2018-06-04 | - | |
64 | 未投稿オリカ紹介⑨(使用者:リリー) | 882 | 0 | 2018-06-06 | - | |
196 | 未投稿オリカ紹介⑩(使用者:ソフィア) | 1276 | 0 | 2018-06-06 | - | |
123 | 呪縛竜のおさらい | 884 | 0 | 2018-06-06 | - | |
113 | IF02:星 遊未 | 876 | 0 | 2018-06-09 | - | |
83 | Episode85:新たなる激闘へ | 1063 | 0 | 2018-07-10 | - | |
115 | Episode86:愛するもの | 965 | 0 | 2018-07-27 | - | |
80 | Episode87:涅槃を超えた先 | 932 | 0 | 2018-08-10 | - | |
128 | Episode88:終焉の弧光 | 1344 | 0 | 2018-09-12 | - | |
70 | 【重要】投稿再開のお知らせ | 820 | 3 | 2022-06-04 | - | |
49 | Episode89:四竜が紡いだ奇跡 | 507 | 3 | 2022-06-25 | - | |
55 | Episode90:光臨者、天導レイン | 504 | 2 | 2022-07-07 | - | |
55 | Episode91:舞い堕ちた天使 | 485 | 2 | 2022-09-03 | - | |
56 | Episode92:紅の決意 | 532 | 0 | 2022-09-19 | - | |
50 | Episode93:凛々しい黒羽 | 576 | 0 | 2022-10-04 | - | |
63 | Episode94:最強の双子 | 515 | 0 | 2022-10-24 | - | |
41 | Episode95:最凶の龍 | 536 | 0 | 2022-12-29 | - | |
49 | Episode96:神の恵 | 514 | 0 | 2023-01-18 | - | |
69 | Episode97:先導者vs時空竜 | 611 | 0 | 2023-01-22 | - | |
40 | Episode98:トワノチカイ | 498 | 0 | 2023-02-14 | - | |
47 | Episode99:遊弥、復活 | 503 | 0 | 2023-03-12 | - | |
45 | Episode100:目覚めし星の光 | 541 | 0 | 2023-03-26 | - | |
59 | Episode101:決戦・冀望郷 | 451 | 0 | 2023-05-03 | - | |
33 | Episode102:最弱の意地 | 413 | 0 | 2023-06-28 | - | |
32 | Episode103:永遠の友達 | 296 | 0 | 2023-11-26 | - | |
43 | Episode104:うららの運命 | 204 | 0 | 2024-04-29 | - | |
28 | Episode105:胡桃の最終演目 | 211 | 0 | 2024-05-06 | - | |
23 | Episode106:希望の少女たち | 201 | 1 | 2024-05-16 | - | |
36 | Episode107:輝く希望 | 273 | 0 | 2024-08-11 | - | |
23 | 第4章完結記念外伝&重大発表 | 269 | 0 | 2024-08-13 | - | |
32 | 第4章初登場オリカまとめ | 229 | 0 | 2024-08-17 | - | |
14 | IF03:愛の形 | 85 | 0 | 2024-10-24 | - | |
3 | Episode108:最期の戦い | 15 | 0 | 2024-11-16 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/10/25 新商品 SUPREME DARKNESS カードリスト追加。
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