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23:極限のドロップ・ドロー・前編 作:ほーがん
第23話「極限のドロップ・ドロー・前編」
互いのプレイヤーは手札を持ち、睨み合う。男は身を乗り出すと、叫んだ。
「まずは俺のターンだ!俺は手札から魔法カード、《黒魔術のヴェール》を発動!ライフを1000払い、手札・墓地から魔法使い族・闇属性のモンスターを特殊召喚する!俺は《E/m(イレイズマジシャン)アルケミー・マイスター(☆5/闇/魔法使い/ペンデュラム/1300・2200)》を特殊召喚!!(LP4000→3000)」
男の場に、禍々しい色合いをしたフラスコを手に持つ魔術師が出現する。
「ペンデュラムモンスターがいきなりお出ましか・・・」
身構えるカケル。男は高揚した声で言った。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、このカードを破壊する事で、デッキからレベル4以下の「E/m」モンスターを2体まで手札に加える!!俺が加えるのは《E/mサイコ・インフェクショナー(☆2/闇/魔法使い/ペンデュラム/300・300)》と《E/mハザード・インセイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・1000)》の2枚だ!!」
魔術師はフラスコの中身を飲み干すと、急激に膨れ上がり爆散した。男は加えたカードを見せつけ、叫ぶ。
「さぁ、行こうか!!俺はスケール1の《E/mハザード・インセイン》とスケール7の《E/mサイコ・インフェクショナー》でペンデュラムスケールをセッティング!!」
モニターに囲まれた銀色の室内に、光の柱が浮かび上がる。
「これでレベル2から6までのモンスターが同時に召喚可能!!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから《E/mアルケミー・マイスター》、そして手札からは《E/mバーサーク・ブレイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1400・900)》!!」
邪悪なる光を突き破り、先刻の魔術師と、脳の肥大化した容貌を持つ魔術師が姿を現した。
「ペンデュラム召喚か・・・!」
そのモンスターを睨むキジマ。男は変わらぬ調子でデュエルを進める。
「俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果を発動!このモンスターはペンデュラム召喚された場合、レベルが4になる!!ペンデュラムだけでは終わらない、その先の脅威まで味わってもらう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》でオーバーレイ!!」
次に出現するは、黒き閃光の渦。それを見たリンカが呟く。
「・・あれは・・・まずい・・・あの、モンスターが・・・」
渦の中へと飛び込む2体の魔術師。男は高らかに叫んだ。
「猛煙に揺らめく魔術の力にて、鉄屑の大地に裁きの闇を齎せ!!エクシーズ召喚!!瞠目せよ!!ランク4、《E/mクリメイション・スレイヤー(★4/闇/魔法使い/エクシーズ/2500・2000)》!!」
暗黒の炎を纏う、闇の魔導士。その冷たき煙は静かに、そして気付かれることなく命を奪って行く。
「ペンデュラムからのエクシーズ。さすがに簡単には行かなそうですね。」
固唾を飲むハル。
「俺はカードを2枚セットし、ターンエンド!!」
男のターンが終わる。次に動いたのはハルだった。
「僕が行きます!僕のターン!僕はカードを4枚セットし・・・」
ハルが手札のカードを取り出そうとした瞬間、男が笑う。
「ちょっと待ったぁ!!このターンのスタンバイフェイズ、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使う事で、俺は3つの効果から1つを選んで発動できる!!俺が選ぶ効果はこれだ!!『このターン、相手はカードをセットする事ができない』!!」
闇の魔導士は奇妙な笑い声を上げると、ハルのフィールド目掛け火球を放った。その炎が、ハルの魔法・罠ゾーンを埋め尽くす。
「そ、そんな・・・これじゃあ・・・くっ!僕は《マンジュ・ゴッド(☆4/光/天使/1400・1000)》を召喚!その効果により、デッキから儀式モンスター《人形儀神 ゼペット・マリオネッター(☆7/光/魔法使い/儀式/0・3000)》を手札に加える!・・・ターンエンド。」
なんとかモンスターを召喚したハルは、手札の罠カードを持て余したまま、ターン終了を宣言する。その表情はこわばっていた。
「ハルの罠カード戦術が封じられたか・・・!今度は俺だ!俺のターン!」
次に動くはキジマ。キジマは手札のカードを取り出すと、そのカードをディスクにセットした。
「俺はチューナーモンスター、《D=Mー追葬のウルミ(☆2/地/昆虫/チューナー/800・800)》を召喚!」
キジマの前に女型のカマキリが現れた。それを確認した男は声を上げる。
「この瞬間、《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを使う事で、3つの効果の内、1つを使う!俺は、『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』効果を使用!!さぁ、これでシンクロ召喚はできねーぞ?」
「なんだと・・・!」
キジマは驚愕のあまり言葉を失う。焦りに震える手で、手札のカードを取り出した。
「俺は・・・カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」
「なんつう効果だ・・・けど!これで奴のモンスターにオーバーレイ・ユニットは無い!挽回してやるぜ、俺のターン!」
カケルは手札のカードを取り出そうとした。しかし、その前に男が口を開く。
「待て!俺はスタンバイフェイズに罠カードを発動!《ユニット・チャージ》!!このカードは、自分フィールドのエクシーズモンスター1体を選択して発動する!!そのモンスターと同じ種族のモンスターを墓地から2体選び、オーバーレイ・ユニットとする!!」
「オーバーレイ・ユニットを補充するカードだと!?」
男の墓地からカードが迫り出す。そのカードを手に取ると、男は闇の魔導士に向かって放り投げた。
「俺は墓地の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》を、オーバーレイ・ユニットに復帰させる!!」
そのカードを受け取った魔導士は、カケルを見下ろしカラカラと笑う。男は続けざまに叫んだ。
「そして、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果を選択!使うのはもちろん、『このターン、相手は魔法カードを発動できない』効果だ!!お前が融合使いなのは知ってんだぞ!!」
「くっ!!」
カケルは苦虫を噛み潰したような表情をする。男は嘲笑混じりに言った。
「ふはははっ!!愚かしくも貴様らは、ここでデュエルを行い、自らの手の内を俺に明かしてくれた!デュエルは全て、この部屋から見させて貰ってたからなぁ。ただ、最初に捕まえた女はデュエルをしていなかった故に、やや気がかりではあったが、魔法だけとかいう頭のおかしい構築で助かったぜ!!はっはっはっ!!!」
その言葉にキジマは叫ぶ。
「ふざけるな!こんな卑劣な戦術を使うお前に、人のデッキにどうこう言う資格はねぇ!!」
「卑劣だと?デュエルとは、勝利こそが全て!!勝つ為に手段を選ばない事に、何の否がある!!否があるとすれば、対抗できない貴様の方だ!!」
歯を食いしばるキジマ。しかし、それはある種の正論だった。その勝利への貪欲さ、そして、そこから生まれる圧倒的な力。それこそが、この世界を滅ぼしたのだから。
カケルは手札のカードを見つめた。
「(魔法が使えない・・・。今、俺の手札には《アタッチメント・カタパルト》と《武装融合》が揃ってる。本来なら全力で掛かれる手札だ。だが・・・)くっ!俺はモンスターを裏守備でセットする!そして、カードを1枚セットしてターンエンドだ!」
カケルに行動を見た男は、満足そうに笑った。
「はっはっはっ!!そうするしか無いよなぁ!?ええ!?さて、後は・・・ガキが一人か。へっ、どんな手を使うのか知らないが、所詮はガキだ。稚拙な戦術で足掻くがいい。」
しかし、マーナは毅然とした態度で口を開く。
「私のターン!!私は永続魔法《絶対守護域(アブソリュート・サンクチュアリ)》を発動!!」
マーナの場に表示された魔法カード。それを見て男は言う。
「ほう、魔法カードか。」
「このカードが存在する限り、私の場のレベル2以下の天使族は相手の攻撃・効果の対象にならず、効果でも破壊されなくなる!!」
その言葉に、男は笑った。
「ははぁ!!ならば、そいつに対応する厄介なモンスターを出される前に、先手を打つ!!《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果発動!!『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』!!」
魔導士は纏っている光の球を掴むと、マーナのモンスターゾーンに投げつけた。その光が能力を持つモンスターの出現を阻む。
「ガキ、分かったか?この俺に挑むという事が、いかに愚かな事かを!!あっはっはっは!!!」
腹を抱えて笑う男。だが、キジマは笑っていた。
「へっ、馬鹿め。マーナ、お前の戦い方を見せてやれ!」
同じように笑うマーナが頷く。
「うん、ナオト兄ちゃん!私は《ハッピー・ラヴァー(☆2/光/天使/800・500)》を召喚!」
マーナの場で怪しく輝く光をかき分け、小さく愛らしい天使が登場した。
「攻撃力たった800の通常モンスターだと?ふっ、あまりに稚拙すぎて、もはや笑いも起きないな。そんなモンスターをわざわざ永続魔法で守った所で何になる。やはりガキはガキだ。」
「もう、ガキガキうるさーい!私は魔法カード《サウザンドエナジー》を発動!!このターン、私の場のレベル2の通常モンスターの攻撃力・守備力は1000アップする!!(ATK800→1800 DEF500→1500)」
小さな天使は魔法の効力を受け、その力を高める。
「さらに魔法カード《連続魔法》を発動!手札を全て、このカードは今使用した魔法カードと同じ効果になる!《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力・守備力はさらに1000アップ!!(ATK1800→2800 DEF500→2500)」
さらに力を取り込み、巨大化してゆく天使。流石の男も驚きを隠せなかった。
「な、攻撃力2800だと!!」
それを見たカケルは笑う。
「行けぇ、マーナ!!」
それに答えるように、マーナは魔導士を指差した。
「バトル!《ハッピー・ラヴァー》で《E/mクリメイション・スレイヤー》を攻撃!!『ハートビーム』!!」
天使は飛翔すると、魔導士目掛け光線を発射した。それに悶え、魔導士は煙のように男の前から霧散する。
「くっ!(LP3000→2700)ば、馬鹿な!こんなガキに俺のモンスターが!!」
不敵に笑うマーナを男は睨む。
「《サウザンドエナジー》の効果を受けたモンスターは、本当はターン終了時に破壊される。けど、私の永続魔法《絶対守護域》の効果で《ハッピー・ラヴァー》は効果では破壊されない!私はこれで、ターンエンド!このエンドフェイズに《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力と守備力は元に戻る。(ATK2800→800 DEF2500→500)」
「彼女、中々やりますね。僕も負けていられません!」
マーナの奮闘に、ハルは笑みを見せる。それとほぼ同時に男が口を開いた。
「ふざけるな・・・こんなガキが、しかも女のガキが、俺に楯突くなど!!俺は破壊された《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!このカードが破壊されたターンのエンドフェイズ、デッキからレベル4以下の「E/m」を特殊召喚する!!俺は《E/mヘイト・スマイリー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1200・1800)》を守備表示で特殊召喚!!そして、次は俺のターンだ!!」
仮面を被る魔術師が男の前に膝を付いた。そして、デッキに手を伸ばすと声を荒げる。
「ドロー!!・・・そうか、このカードか。いいだろう!!俺は魔法カード《極限のドロップ・ドロー》を発動!!」
引いたカードを男はディスクに叩き付けた。
「このカードは手札がこれ1枚の場合に発動できる!!俺はライフを半分払い、デッキから3枚のカードをドローする!!(LP2700→1350)」
「何っ、3枚のドロー!?」
その言葉にたじろぐカケル。男はさらにデッキからカードを引く。
「そして、俺はこのターン、もうカードの効果ではドローできず、エンドフェイズに手札を全て除外する!!そして、除外したカード1枚につき1000ポイント、自分のライフを失う!!ふふっ・・・ははは!!良いカードを引いたぞ!!俺は魔法カード《ペンデュラム・ラウズ》を発動!!」
表示される魔法カード。男は言葉を続けた。
「自分のペンデュラムゾーンに2枚のカードが存在する場合、そのスケールで召喚可能なペンデュラムモンスターを墓地から特殊召喚する!!蘇れ、《E/mアルケミー・マイスター》!!」
漆黒の魔導陣から、フラスコを手に持ち錬金術を操る魔術師が復活を遂げる。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、自身を破壊し、デッキからレベル4以下の「E/m」を2体手札に加える!!俺は《E/mマインド・デストロイヤー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・0)》と《E/mディフィアント・デスペレイ(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/0・2000)》を手札に加える!!」
再び自爆する魔術師。その代償として男に2枚カードが加わった。
「俺を苛つかせるそのガキ、叩き潰してやる!!ペンデュラム召喚!!来い、《E/mアルケミー・マイスター》・《E/mマインド・デストロイヤー》・《E/mディフィアント・デスペレイ》!!そして、《E/mサディスティック・ハッカー(☆6/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・2600)》!!」
揺らめく光の中から、邪悪なる魔術師達はフィールドに降り立った。奇怪な笑い声を発しながら、4体の魔術師は相手のフィールドを凝視する。
「一気に4体のペンデュラム召喚・・・!!」
「どうだ!!これがペンデュラムの凄さ!!今までのデュエルでは、到底成し得なかった複数同時召喚!!俺は初めて目にしたその時から、ずっとこの力が欲しかった!!」
悦に浸る男。その発言にキジマは叫ぶ。
「欲しかっただと!?世界をめちゃくちゃにして、国も街も人々の日常も、全てを壊したペンデュラムが憎いとは思わねぇのか!!?」
「はっ!!考えが幼稚だな、貴様!!人とは常に強さに惹かれる生き物!!少なくとも俺はそうだった!!ペンデュラムは今まで俺が恨み、忌み嫌ってきた全てを破壊してくれた!!そして、思った!!あの力が欲しいと!!あの力さえ手に入れば、全ての人々は俺の前に跪く!!もう誰からも見下される事は無い!!全ての者は俺に奉仕し、俺に畏怖し、俺の為にその身体を捧げる!!名声も、女も、富も、全て俺の物になる!!そして、ついにペンデュラムを手に入れた今、ようやくその願望が叶うのだ!!」
カケルは喚く男を睨み、呟く。
「へっ、てめぇの方がよっぽど幼稚じゃねえか。」
「・・・こういう奴は、この数年で大体死んだと思ったんだが、未だに居やがんのか。こいつが厄介なのは、本当にペンデュラムを手に入れちまった事か。」
キジマも同じように睨む。男は叫んだ。
「この女達は、俺が支配者となる前祝いだ!!それを味わう為にも、さっさと退場して貰おうか!!俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!レベルを4にする!さらに《E/mハザード・インセイン》のペンデュラム効果も発動!手札から2体以上、自分の場にペンデュラム召喚された時、相手フィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊する!!俺が破壊するのは、カマキリ野郎の伏せカードとガキの永続魔法だ!!」
光の柱より発生した突風が二人のカードを吹き飛ばした。
「くっ・・・!」
「わ、私の《絶対守護域》が・・・!」
「へっ、ガキ!!これでお前のモンスターを守るカードは無くなったなぁ!さらに俺は《E/mマインド・デストロイヤー》の効果発動!このカードのペンデュラム召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体と手札を1枚を除外し、カードの種類を宣言する!相手の手札を確認し、宣言した種類のカードが存在した場合、そのカードを全て捨てさせる!!俺は《E/mサディスティック・ハッカー》を除外し、罠カードを宣言!!そして、このカードの効果を受けるのは、お前だ!!」
男が指を刺した先で、ハルが叫ぶ。
「そんな、さっき僕がカードを伏せようとした所を見ておいて、こんなの・・・卑怯だ!!」
「いいから、さっさと手札を見せろよ。ほら。」
ハルは歯を食いしばり、渋々手札を公開する。その手に握られた4枚の罠カードを見ると、男は高笑いした。
「はははっ!!その罠カード、全部捨てて貰おうか!!」
「ぐっ・・・!!」
ハルは震える手で、カードを墓地へ送った。男は続けざまに言う。
「俺はたった今、除外された《E/mサディスティック・ハッカー》の効果を発動!!このカードが破壊以外の方法でフィールドを離れた時、このカードをデッキに戻し、全てのプレイヤーに1000のダメージを与える!!だが、俺は《E/mサイコ・インフェクショナー》のペンデュラム効果を発動!このカードがペンデュラムゾーンに存在する限り、俺への効果ダメージは代わりに相手が受ける!!俺が選ぶプレイヤーはガキ、お前だ!!さぁ、喰らいやがれ!!」
空間を引き裂き現れた、細長い無数の腕を持つ魔術師はその指を伸ばすと、四方に電撃を放った。
「ぐっ・・!!(LP4000→3000)」
「ううっ!(LP4000→3000)」
「くっ!!(LP4000→3000)」
「あああっ!!(LP4000→2000)」
ダメージによろけるカケル達。より多くのダメージを受け、マーナの体は堪え難い衝撃に悶えた。
「大丈夫か、マーナ!!」
キジマの言葉に、マーナは擦れた声で答える。
「まだ・・・大丈夫・・・だもん。まだ・・・戦える!」
「ほう、ペンデュラムの力に耐えるか、ガキ。なら、お前のお友達から葬ってやろう!《E/mヘイト・スマイリー》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのレベル3以下のモンスター1体を破壊できる!《ハッピー・ラヴァー》を破壊だぁ!!」
魔術師はブーメランのように仮面を投げると、小さき天使を切り裂いた。
「《ハッピー・ラヴァー》が・・・!!」
マーナの表情が悲しみに染まる。キジマは焦燥に駆られた。
「まずい、これでマーナのフィールドはがら空き!!」
「ふははっ!!貴様らには、新たな支配者たるこの俺の、生け贄となって貰おう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》、《E/mヘイト・スマイリー》、《E/mマインド・デストロイヤー》、《E/mディフィアント・デスペレイ》でオーバーレイ!!」
またしても黒き閃光がフィールドに渦巻く。ハルは男の言葉に耳を疑った。
「4体のモンスターを素材に・・・!?」
男は叫ぶ。
「歪なる世界に終焉訪れし時、新たな時代の王が生まれる!!世界を、星を、無窮の闇を越え、その頂きに降り立て!!エクシーズ召喚!!」
その光はまるで、全ての飲み込むかのように膨張し、やがて爆発的な速度で拡大する。
「轟臨せよ!!ランク4!!《E/m(イレイズ・マグニフィセント)ビッグバン・スプレマシー(★4/闇/悪魔/エクシーズ/0・0)》!!!」
次回 第24話「極限のドロップ・ドロー・後編」
※1話としては長くなってしまったので前後編に分けました。ご了承ください。
互いのプレイヤーは手札を持ち、睨み合う。男は身を乗り出すと、叫んだ。
「まずは俺のターンだ!俺は手札から魔法カード、《黒魔術のヴェール》を発動!ライフを1000払い、手札・墓地から魔法使い族・闇属性のモンスターを特殊召喚する!俺は《E/m(イレイズマジシャン)アルケミー・マイスター(☆5/闇/魔法使い/ペンデュラム/1300・2200)》を特殊召喚!!(LP4000→3000)」
男の場に、禍々しい色合いをしたフラスコを手に持つ魔術師が出現する。
「ペンデュラムモンスターがいきなりお出ましか・・・」
身構えるカケル。男は高揚した声で言った。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、このカードを破壊する事で、デッキからレベル4以下の「E/m」モンスターを2体まで手札に加える!!俺が加えるのは《E/mサイコ・インフェクショナー(☆2/闇/魔法使い/ペンデュラム/300・300)》と《E/mハザード・インセイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・1000)》の2枚だ!!」
魔術師はフラスコの中身を飲み干すと、急激に膨れ上がり爆散した。男は加えたカードを見せつけ、叫ぶ。
「さぁ、行こうか!!俺はスケール1の《E/mハザード・インセイン》とスケール7の《E/mサイコ・インフェクショナー》でペンデュラムスケールをセッティング!!」
モニターに囲まれた銀色の室内に、光の柱が浮かび上がる。
「これでレベル2から6までのモンスターが同時に召喚可能!!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから《E/mアルケミー・マイスター》、そして手札からは《E/mバーサーク・ブレイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1400・900)》!!」
邪悪なる光を突き破り、先刻の魔術師と、脳の肥大化した容貌を持つ魔術師が姿を現した。
「ペンデュラム召喚か・・・!」
そのモンスターを睨むキジマ。男は変わらぬ調子でデュエルを進める。
「俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果を発動!このモンスターはペンデュラム召喚された場合、レベルが4になる!!ペンデュラムだけでは終わらない、その先の脅威まで味わってもらう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》でオーバーレイ!!」
次に出現するは、黒き閃光の渦。それを見たリンカが呟く。
「・・あれは・・・まずい・・・あの、モンスターが・・・」
渦の中へと飛び込む2体の魔術師。男は高らかに叫んだ。
「猛煙に揺らめく魔術の力にて、鉄屑の大地に裁きの闇を齎せ!!エクシーズ召喚!!瞠目せよ!!ランク4、《E/mクリメイション・スレイヤー(★4/闇/魔法使い/エクシーズ/2500・2000)》!!」
暗黒の炎を纏う、闇の魔導士。その冷たき煙は静かに、そして気付かれることなく命を奪って行く。
「ペンデュラムからのエクシーズ。さすがに簡単には行かなそうですね。」
固唾を飲むハル。
「俺はカードを2枚セットし、ターンエンド!!」
男のターンが終わる。次に動いたのはハルだった。
「僕が行きます!僕のターン!僕はカードを4枚セットし・・・」
ハルが手札のカードを取り出そうとした瞬間、男が笑う。
「ちょっと待ったぁ!!このターンのスタンバイフェイズ、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使う事で、俺は3つの効果から1つを選んで発動できる!!俺が選ぶ効果はこれだ!!『このターン、相手はカードをセットする事ができない』!!」
闇の魔導士は奇妙な笑い声を上げると、ハルのフィールド目掛け火球を放った。その炎が、ハルの魔法・罠ゾーンを埋め尽くす。
「そ、そんな・・・これじゃあ・・・くっ!僕は《マンジュ・ゴッド(☆4/光/天使/1400・1000)》を召喚!その効果により、デッキから儀式モンスター《人形儀神 ゼペット・マリオネッター(☆7/光/魔法使い/儀式/0・3000)》を手札に加える!・・・ターンエンド。」
なんとかモンスターを召喚したハルは、手札の罠カードを持て余したまま、ターン終了を宣言する。その表情はこわばっていた。
「ハルの罠カード戦術が封じられたか・・・!今度は俺だ!俺のターン!」
次に動くはキジマ。キジマは手札のカードを取り出すと、そのカードをディスクにセットした。
「俺はチューナーモンスター、《D=Mー追葬のウルミ(☆2/地/昆虫/チューナー/800・800)》を召喚!」
キジマの前に女型のカマキリが現れた。それを確認した男は声を上げる。
「この瞬間、《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを使う事で、3つの効果の内、1つを使う!俺は、『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』効果を使用!!さぁ、これでシンクロ召喚はできねーぞ?」
「なんだと・・・!」
キジマは驚愕のあまり言葉を失う。焦りに震える手で、手札のカードを取り出した。
「俺は・・・カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」
「なんつう効果だ・・・けど!これで奴のモンスターにオーバーレイ・ユニットは無い!挽回してやるぜ、俺のターン!」
カケルは手札のカードを取り出そうとした。しかし、その前に男が口を開く。
「待て!俺はスタンバイフェイズに罠カードを発動!《ユニット・チャージ》!!このカードは、自分フィールドのエクシーズモンスター1体を選択して発動する!!そのモンスターと同じ種族のモンスターを墓地から2体選び、オーバーレイ・ユニットとする!!」
「オーバーレイ・ユニットを補充するカードだと!?」
男の墓地からカードが迫り出す。そのカードを手に取ると、男は闇の魔導士に向かって放り投げた。
「俺は墓地の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》を、オーバーレイ・ユニットに復帰させる!!」
そのカードを受け取った魔導士は、カケルを見下ろしカラカラと笑う。男は続けざまに叫んだ。
「そして、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果を選択!使うのはもちろん、『このターン、相手は魔法カードを発動できない』効果だ!!お前が融合使いなのは知ってんだぞ!!」
「くっ!!」
カケルは苦虫を噛み潰したような表情をする。男は嘲笑混じりに言った。
「ふはははっ!!愚かしくも貴様らは、ここでデュエルを行い、自らの手の内を俺に明かしてくれた!デュエルは全て、この部屋から見させて貰ってたからなぁ。ただ、最初に捕まえた女はデュエルをしていなかった故に、やや気がかりではあったが、魔法だけとかいう頭のおかしい構築で助かったぜ!!はっはっはっ!!!」
その言葉にキジマは叫ぶ。
「ふざけるな!こんな卑劣な戦術を使うお前に、人のデッキにどうこう言う資格はねぇ!!」
「卑劣だと?デュエルとは、勝利こそが全て!!勝つ為に手段を選ばない事に、何の否がある!!否があるとすれば、対抗できない貴様の方だ!!」
歯を食いしばるキジマ。しかし、それはある種の正論だった。その勝利への貪欲さ、そして、そこから生まれる圧倒的な力。それこそが、この世界を滅ぼしたのだから。
カケルは手札のカードを見つめた。
「(魔法が使えない・・・。今、俺の手札には《アタッチメント・カタパルト》と《武装融合》が揃ってる。本来なら全力で掛かれる手札だ。だが・・・)くっ!俺はモンスターを裏守備でセットする!そして、カードを1枚セットしてターンエンドだ!」
カケルに行動を見た男は、満足そうに笑った。
「はっはっはっ!!そうするしか無いよなぁ!?ええ!?さて、後は・・・ガキが一人か。へっ、どんな手を使うのか知らないが、所詮はガキだ。稚拙な戦術で足掻くがいい。」
しかし、マーナは毅然とした態度で口を開く。
「私のターン!!私は永続魔法《絶対守護域(アブソリュート・サンクチュアリ)》を発動!!」
マーナの場に表示された魔法カード。それを見て男は言う。
「ほう、魔法カードか。」
「このカードが存在する限り、私の場のレベル2以下の天使族は相手の攻撃・効果の対象にならず、効果でも破壊されなくなる!!」
その言葉に、男は笑った。
「ははぁ!!ならば、そいつに対応する厄介なモンスターを出される前に、先手を打つ!!《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果発動!!『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』!!」
魔導士は纏っている光の球を掴むと、マーナのモンスターゾーンに投げつけた。その光が能力を持つモンスターの出現を阻む。
「ガキ、分かったか?この俺に挑むという事が、いかに愚かな事かを!!あっはっはっは!!!」
腹を抱えて笑う男。だが、キジマは笑っていた。
「へっ、馬鹿め。マーナ、お前の戦い方を見せてやれ!」
同じように笑うマーナが頷く。
「うん、ナオト兄ちゃん!私は《ハッピー・ラヴァー(☆2/光/天使/800・500)》を召喚!」
マーナの場で怪しく輝く光をかき分け、小さく愛らしい天使が登場した。
「攻撃力たった800の通常モンスターだと?ふっ、あまりに稚拙すぎて、もはや笑いも起きないな。そんなモンスターをわざわざ永続魔法で守った所で何になる。やはりガキはガキだ。」
「もう、ガキガキうるさーい!私は魔法カード《サウザンドエナジー》を発動!!このターン、私の場のレベル2の通常モンスターの攻撃力・守備力は1000アップする!!(ATK800→1800 DEF500→1500)」
小さな天使は魔法の効力を受け、その力を高める。
「さらに魔法カード《連続魔法》を発動!手札を全て、このカードは今使用した魔法カードと同じ効果になる!《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力・守備力はさらに1000アップ!!(ATK1800→2800 DEF500→2500)」
さらに力を取り込み、巨大化してゆく天使。流石の男も驚きを隠せなかった。
「な、攻撃力2800だと!!」
それを見たカケルは笑う。
「行けぇ、マーナ!!」
それに答えるように、マーナは魔導士を指差した。
「バトル!《ハッピー・ラヴァー》で《E/mクリメイション・スレイヤー》を攻撃!!『ハートビーム』!!」
天使は飛翔すると、魔導士目掛け光線を発射した。それに悶え、魔導士は煙のように男の前から霧散する。
「くっ!(LP3000→2700)ば、馬鹿な!こんなガキに俺のモンスターが!!」
不敵に笑うマーナを男は睨む。
「《サウザンドエナジー》の効果を受けたモンスターは、本当はターン終了時に破壊される。けど、私の永続魔法《絶対守護域》の効果で《ハッピー・ラヴァー》は効果では破壊されない!私はこれで、ターンエンド!このエンドフェイズに《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力と守備力は元に戻る。(ATK2800→800 DEF2500→500)」
「彼女、中々やりますね。僕も負けていられません!」
マーナの奮闘に、ハルは笑みを見せる。それとほぼ同時に男が口を開いた。
「ふざけるな・・・こんなガキが、しかも女のガキが、俺に楯突くなど!!俺は破壊された《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!このカードが破壊されたターンのエンドフェイズ、デッキからレベル4以下の「E/m」を特殊召喚する!!俺は《E/mヘイト・スマイリー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1200・1800)》を守備表示で特殊召喚!!そして、次は俺のターンだ!!」
仮面を被る魔術師が男の前に膝を付いた。そして、デッキに手を伸ばすと声を荒げる。
「ドロー!!・・・そうか、このカードか。いいだろう!!俺は魔法カード《極限のドロップ・ドロー》を発動!!」
引いたカードを男はディスクに叩き付けた。
「このカードは手札がこれ1枚の場合に発動できる!!俺はライフを半分払い、デッキから3枚のカードをドローする!!(LP2700→1350)」
「何っ、3枚のドロー!?」
その言葉にたじろぐカケル。男はさらにデッキからカードを引く。
「そして、俺はこのターン、もうカードの効果ではドローできず、エンドフェイズに手札を全て除外する!!そして、除外したカード1枚につき1000ポイント、自分のライフを失う!!ふふっ・・・ははは!!良いカードを引いたぞ!!俺は魔法カード《ペンデュラム・ラウズ》を発動!!」
表示される魔法カード。男は言葉を続けた。
「自分のペンデュラムゾーンに2枚のカードが存在する場合、そのスケールで召喚可能なペンデュラムモンスターを墓地から特殊召喚する!!蘇れ、《E/mアルケミー・マイスター》!!」
漆黒の魔導陣から、フラスコを手に持ち錬金術を操る魔術師が復活を遂げる。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、自身を破壊し、デッキからレベル4以下の「E/m」を2体手札に加える!!俺は《E/mマインド・デストロイヤー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・0)》と《E/mディフィアント・デスペレイ(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/0・2000)》を手札に加える!!」
再び自爆する魔術師。その代償として男に2枚カードが加わった。
「俺を苛つかせるそのガキ、叩き潰してやる!!ペンデュラム召喚!!来い、《E/mアルケミー・マイスター》・《E/mマインド・デストロイヤー》・《E/mディフィアント・デスペレイ》!!そして、《E/mサディスティック・ハッカー(☆6/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・2600)》!!」
揺らめく光の中から、邪悪なる魔術師達はフィールドに降り立った。奇怪な笑い声を発しながら、4体の魔術師は相手のフィールドを凝視する。
「一気に4体のペンデュラム召喚・・・!!」
「どうだ!!これがペンデュラムの凄さ!!今までのデュエルでは、到底成し得なかった複数同時召喚!!俺は初めて目にしたその時から、ずっとこの力が欲しかった!!」
悦に浸る男。その発言にキジマは叫ぶ。
「欲しかっただと!?世界をめちゃくちゃにして、国も街も人々の日常も、全てを壊したペンデュラムが憎いとは思わねぇのか!!?」
「はっ!!考えが幼稚だな、貴様!!人とは常に強さに惹かれる生き物!!少なくとも俺はそうだった!!ペンデュラムは今まで俺が恨み、忌み嫌ってきた全てを破壊してくれた!!そして、思った!!あの力が欲しいと!!あの力さえ手に入れば、全ての人々は俺の前に跪く!!もう誰からも見下される事は無い!!全ての者は俺に奉仕し、俺に畏怖し、俺の為にその身体を捧げる!!名声も、女も、富も、全て俺の物になる!!そして、ついにペンデュラムを手に入れた今、ようやくその願望が叶うのだ!!」
カケルは喚く男を睨み、呟く。
「へっ、てめぇの方がよっぽど幼稚じゃねえか。」
「・・・こういう奴は、この数年で大体死んだと思ったんだが、未だに居やがんのか。こいつが厄介なのは、本当にペンデュラムを手に入れちまった事か。」
キジマも同じように睨む。男は叫んだ。
「この女達は、俺が支配者となる前祝いだ!!それを味わう為にも、さっさと退場して貰おうか!!俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!レベルを4にする!さらに《E/mハザード・インセイン》のペンデュラム効果も発動!手札から2体以上、自分の場にペンデュラム召喚された時、相手フィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊する!!俺が破壊するのは、カマキリ野郎の伏せカードとガキの永続魔法だ!!」
光の柱より発生した突風が二人のカードを吹き飛ばした。
「くっ・・・!」
「わ、私の《絶対守護域》が・・・!」
「へっ、ガキ!!これでお前のモンスターを守るカードは無くなったなぁ!さらに俺は《E/mマインド・デストロイヤー》の効果発動!このカードのペンデュラム召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体と手札を1枚を除外し、カードの種類を宣言する!相手の手札を確認し、宣言した種類のカードが存在した場合、そのカードを全て捨てさせる!!俺は《E/mサディスティック・ハッカー》を除外し、罠カードを宣言!!そして、このカードの効果を受けるのは、お前だ!!」
男が指を刺した先で、ハルが叫ぶ。
「そんな、さっき僕がカードを伏せようとした所を見ておいて、こんなの・・・卑怯だ!!」
「いいから、さっさと手札を見せろよ。ほら。」
ハルは歯を食いしばり、渋々手札を公開する。その手に握られた4枚の罠カードを見ると、男は高笑いした。
「はははっ!!その罠カード、全部捨てて貰おうか!!」
「ぐっ・・・!!」
ハルは震える手で、カードを墓地へ送った。男は続けざまに言う。
「俺はたった今、除外された《E/mサディスティック・ハッカー》の効果を発動!!このカードが破壊以外の方法でフィールドを離れた時、このカードをデッキに戻し、全てのプレイヤーに1000のダメージを与える!!だが、俺は《E/mサイコ・インフェクショナー》のペンデュラム効果を発動!このカードがペンデュラムゾーンに存在する限り、俺への効果ダメージは代わりに相手が受ける!!俺が選ぶプレイヤーはガキ、お前だ!!さぁ、喰らいやがれ!!」
空間を引き裂き現れた、細長い無数の腕を持つ魔術師はその指を伸ばすと、四方に電撃を放った。
「ぐっ・・!!(LP4000→3000)」
「ううっ!(LP4000→3000)」
「くっ!!(LP4000→3000)」
「あああっ!!(LP4000→2000)」
ダメージによろけるカケル達。より多くのダメージを受け、マーナの体は堪え難い衝撃に悶えた。
「大丈夫か、マーナ!!」
キジマの言葉に、マーナは擦れた声で答える。
「まだ・・・大丈夫・・・だもん。まだ・・・戦える!」
「ほう、ペンデュラムの力に耐えるか、ガキ。なら、お前のお友達から葬ってやろう!《E/mヘイト・スマイリー》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのレベル3以下のモンスター1体を破壊できる!《ハッピー・ラヴァー》を破壊だぁ!!」
魔術師はブーメランのように仮面を投げると、小さき天使を切り裂いた。
「《ハッピー・ラヴァー》が・・・!!」
マーナの表情が悲しみに染まる。キジマは焦燥に駆られた。
「まずい、これでマーナのフィールドはがら空き!!」
「ふははっ!!貴様らには、新たな支配者たるこの俺の、生け贄となって貰おう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》、《E/mヘイト・スマイリー》、《E/mマインド・デストロイヤー》、《E/mディフィアント・デスペレイ》でオーバーレイ!!」
またしても黒き閃光がフィールドに渦巻く。ハルは男の言葉に耳を疑った。
「4体のモンスターを素材に・・・!?」
男は叫ぶ。
「歪なる世界に終焉訪れし時、新たな時代の王が生まれる!!世界を、星を、無窮の闇を越え、その頂きに降り立て!!エクシーズ召喚!!」
その光はまるで、全ての飲み込むかのように膨張し、やがて爆発的な速度で拡大する。
「轟臨せよ!!ランク4!!《E/m(イレイズ・マグニフィセント)ビッグバン・スプレマシー(★4/闇/悪魔/エクシーズ/0・0)》!!!」
次回 第24話「極限のドロップ・ドロー・後編」
※1話としては長くなってしまったので前後編に分けました。ご了承ください。
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58 | 01:生き残った戦士 | 1119 | 3 | 2016-01-26 | - | |
81 | 02:デッド・オア・アライブ | 1120 | 3 | 2016-01-27 | - | |
63 | 03:賞金稼ぎ・カケル | 1035 | 2 | 2016-01-28 | - | |
65 | 04:ゴミ溜めの地下街 | 1020 | 2 | 2016-02-02 | - | |
99 | 05:別次元の力 | 990 | 3 | 2016-02-03 | - | |
90 | 06:その時、何が起こったのか。 | 1009 | 3 | 2016-02-05 | - | |
74 | 07:レジスタンスの男 | 993 | 3 | 2016-02-08 | - | |
83 | 08:悪夢の爪 | 1151 | 4 | 2016-02-12 | - | |
94 | 09:純粋なる悪意 | 1034 | 3 | 2016-02-13 | - | |
112 | 10:過ち | 1092 | 3 | 2016-02-16 | - | |
113 | 11:分断された仲間たち | 930 | 2 | 2016-02-21 | - | |
101 | 12:新たなる出発 | 1126 | 2 | 2016-02-23 | - | |
117 | 13:邪悪な賢者 | 1008 | 2 | 2016-03-06 | - | |
126 | 14:忘却都市と生存兵 | 1171 | 4 | 2016-03-07 | - | |
97 | 15:悲しみの追憶 | 1042 | 2 | 2016-03-09 | - | |
155 | 16:強襲する黒羽 | 1158 | 2 | 2016-05-24 | - | |
89 | 17:第2の村 | 913 | 2 | 2016-05-25 | - | |
104 | EX:キャラ・設定まとめ※情報随時更新中 | 1055 | 0 | 2016-05-26 | - | |
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62 | 23:極限のドロップ・ドロー・前編 | 913 | 2 | 2016-06-07 | - | |
95 | 24:極限のドロップ・ドロー・後編 | 971 | 2 | 2016-06-07 | - | |
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1VS4でも全くヒケを取らないE/mデッキ。でもだいたいクリメイション・スレイヤーのせい。 (2016-06-07 09:02)
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