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07:レジスタンスの男 作:ほーがん
第7話「レジスタンスの男」
ベッドから飛び出したユーガは、その男ジェイミーに詰め寄った。
「ジェイミー、生きていたのか・・・!!」
その言葉にジェイミーは悲しい目をする。
「ああ・・・俺だけな・・・。」
「そんな・・・じゃあ・・・」
ユーガはその場に崩れた。そのやり取りを見ていたカケル訊ねる。
「ユーガ、この人を知ってるのか?」
床にへたり込むユーガに代わって、ジェイミーは口を開いた。
「君は確か、カケル君と言ったか。ユーガから”村”の話は聞いているかい?」
ジェイミーの言葉にカケルは頷く。
「ああ。ユーガが旅をする前に暮らしていた場所だって。でもそれは、マサカーって連中に・・・」
うつむき気味にジェイミーは言った。
「俺はその村で暮らしていた一人だ。だが、もうユーガと俺以外の生き残りは・・・。」
ユーガは顔を上げた。
「ジェイミーはどうやってマサカーの手から逃れたんだ・・・?」
その疑問にジェイミーは苦い顔をした。
「ヨシトがお前を逃がした後、俺はマサカーと戦った。互いが互いを殺し合う死戦となったが、俺は最後に勝った。しかし・・・ヨシトが犠牲に・・・。」
「・・・ヨシトは・・・死んだのか・・・?」
ジェイミーは目を瞑り沈黙した。
「やはり俺は・・・最後の生き残りに・・・」
ユーガの手が震える。ジェイミーは懺悔するようにユーガに頭を下げた。
「すまない・・・ユーガ。」
「・・・顔を上げてくれジェイミー。お前は悪くない・・・。悪いのはマサカーだ。」
ゆっくりと顔を上げたジェイミーは、悲哀に満ちた顔でユーガを見つめた。
「なぁ・・・その、ヨシトって・・・。」
カケルの声にユーガは静かに語り出した。
「ヨシトは、村のリーダーだった。ヨシトは自分の作った”村”を守っていた。ヨシトは皆に慕われ、ヨシトも皆を大切にしていた。・・・俺をマサカーから逃がしたのもヨシトだった。『きっとお前が最後の生き残りになる。だからなるべく遠くへ逃げろ。』と。」
喋るうち、ユーガが涙を堪えている事にカケルは気付いた。
「・・・ユーガ。」
それでも堪えきれない涙が溢れ、ユーガの頬を伝う。
「俺はヨシトが生きているのではないかと・・・心のどこかでそう思っていた。村の惨状を見る限り、自分が最後の生き残りになる事は間違いなかった。それでも、『あのヨシトが死ぬはず無い』そう思って・・・だから、孤独な旅を乗り越える事もできた。だが・・・ヨシトは・・・もう・・・」
嗚咽を漏らし始めたユーガ。普段の姿からは想像もできない今のユーガを見て、カケルはあたふたとした。
「ああ、ええと。こういう時、なんて言えばいいんだ・・・その・・・」
その時、ジェイミーが口を開く。
「・・・ヨシトは死ぬ間際、俺に言った。『ユーガに託した』と・・・。ユーガ、ヨシトから何を託されたんだ。」
それを聞いたユーガは、左腕のディスクからデッキを取り出した。
「・・・これだ。このデッキは村から逃げる前に、ヨシトが俺にくれた・・・。」
ユーガはデッキを広げてみせた。
「これは、「アライブナイト」・・・ヨシトのカードだ。」
「ユーガのデッキは、ヨシトさんの形見・・・。」
カケルは神妙な顔つきでユーガのデッキを見つめる。
「ヨシト・・・ううっ・・・俺を一人にしないでくれ・・・ヨシト・・・俺は・・・」
泣き崩れるユーガ。カケルはその姿を見て、共に涙を流した。静かな部屋に二人の泣き声が響いた。
その時。
「何時まで泣いている、ユーガ。貴様は赤ん坊か。」
ユーガの後ろから聞こえた声。その声の主、リンカは言い放つ。
「おい、リンカ・・・。そんな言い方はねぇだろ。」
カケルの咎めも気にせずに、リンカは続けた。
「『俺を一人にしないでくれ』だと?お前は既に一人ではないだろ。何のために仲間を探している。お前の成すべき事はなんだ。」
「いくら泣こうが喚こうか、死んだ人間は絶対に帰って来ない。そんな事はお前が一番良く分かっているはずだ。その悲しみと怒りをぶつけるべき相手は誰だ?」
ユーガは顔を上げ、リンカを見つめた。
「お前は生き残ったからこそ、やらねばならない事がある。私にそう言っただろ、ユーガ。だったら立ち上がれ。泣いている暇があったら、自分の目的の為に動け。私は、お前の中に信念を感じたからこそ共に進むと決めた。今こそ、お前の信念を見せろ!立て、ユーガ!!」
リンカは叫んだ。室内に、その声が反響する。ユーガは目を丸くした。
「リンカ・・・」
歩み寄ったリンカは、ユーガに手を差し伸べた。
「もし、立てなくなった時は私が手を貸してやる。カケルも同じだ。その為の仲間だろう。」
その言葉を聞いたユーガは、涙混じりに小さく笑った。
「・・・ああ、そうだな。すまない、リンカ。もう大丈夫だ。」
ユーガはリンカの手を取らず、自分の力で立ち上がった。
「はぁ・・・敵わねぇな。ったくよ。」
カケルは涙を拭うと、同じように立ち上がる。ユーガは改めて周りを見渡して言った。
「ところで、ここはどこだ?」
その疑問にジェイミーが答える。
「ここは、ダストポリタンの中にある俺の部屋だ。あのデュエルの後、お前をここへ・・・」
それを聞き、ユーガは訊ねた。
「そうだ、俺はあのデュエルでどうなったんだ。」
カケルは戸惑いながらユーガに聞く。
「覚えてないのか・・・?」
ユーガは頷く。リンカは小さく震えながら言う。
「・・・あれは、まるで別人のようだった。ユーガ、あのときお前に何があった。」
困惑するユーガ。その時、ジェイミーが話に割って入った。
「なぁ、ユーガ。もう一度、お前のデッキを見せてくれないか。」
「?・・・ああ。」
ユーガはデッキを手渡す。それを受け取ったジェイミーは、デッキの中身を見て言った。
「・・・やはりな。ユーガのデッキに、「コープスナイト」なんてカードは入っていない。」
「え?じゃあ、あのモンスターは一体・・・。」
カケルはますます困惑する。ジェイミーはある仮説を口にした。
「おそらく、あれはユーガの中に眠る力。もしくは、このデッキ・・・ヨシトのデッキに眠る力。そのどちらかだ。」
リンカはジェイミーに詰め寄る。
「その力とはなんだ。ユーガは一体何者なんだ。」
「わからない・・・。もしかすると、ヨシトはユーガにデッキ以上のものを託したのかもしれない・・・。」
その時、ジェイミーは思う。
「(デッキだけじゃないはずだ・・・。恐らく、その記憶も・・・。)」
ジェイミーはリンカの方を向いた。
「いずれにしろ、ユーガをペンデュラムと戦わせるのは危険だ。また同じ事が起きるかもしれない。」
それを聞いたユーガは強く言い放つ。
「だが、俺はマサカーと戦わなければならない!ヨシトの為にも・・・!だから、この地下街にまで来た!」
ジェイミーはユーガを見つめる。
「手配書の事はカケル君から聞いている。あの男、奴隷商人のカポネがペンデュラムを持っていたのは、恐らくマサカーと繋がりがあるからだろう。この街にマサカーの息が掛かっているのは間違いない。」
「マサカーの目的に近づき、それを探りたい気持ちは分かる。・・・だが、それはあまりにも危険だ。ユーガ。お前はヨシトが命を掛けて守った人間だ。ヨシトだって、お前の平穏な生活を望んでいるはずだ。」
どんな言葉を掛けられても、ユーガの目は揺るがない。その目から伝わる信念に、ジェイミーは小さく溜め息を付いた。
「・・・似てるな、お前は・・・。わかった。俺も一緒に行こう。」
カケルが心配そうに言う。
「でもよ、またユーガがあんなんになったら・・・」
リンカはユーガを鋭い眼差しで見つめた。
「私はユーガを信じる。きっと力をコントロールする術があるはずだ。カケルも仲間ならユーガを信じろ。」
「そうだな・・・ユーガは仲間だもんな!仲間が信じなくてどうすんだって話だよな!」
その様子を見てジェイミーは呟く。
「いい仲間を持ったな、ユーガ。」
ユーガは二人に言う。
「ありがとうリンカ、カケル。まずはもう一度あの男、カポネに会う必要がある。ジェイミー、奴の居場所が分かるか。」
訊ねられたジェイミーは答えた。
「あいつは常に同じ場所に居座っているから、すぐに見つかると思うが。今から行くのか?」
「ああ。奴がここから逃げないうちに、情報を抑える。」
口を動かしながらも、ユーガは既に歩き出していた。
「行くぞ、カケル。」
「おうよ!」
リンカとカケルも後を歩き出す。ジェイミーはそれを追いかけるように付いて行った。
辿り着いたのは、街の一角にある大広間だった。ユーガはその部屋の扉を勢いよく開く。
「カポネという男は居るか。」
その声を聞き、中に居た男達が立ち上がる。
「なんだぁ、このガキは?」
「カポネさんに何の用だ!?」
男達の顔を見たリンカは、ユーガの前に出た。
「また会ったな、下衆共。」
不敵に笑うリンカ。その笑みを見た男達は震え上がった。
「こ、この女は!」
「や、やべぇ、殺されるぞ!!」
男達は一目散に逃げ出し、別の扉へと逃げ込んだ。その広間の中央の椅子に座る人物は、ゆっくりと立ち上がった。
「なんだ、騒がしい・・・」
男がこちらに向いた瞬間、その顔が青ざめる。
「お、お前は・・・!俺を、こ、殺しに来たのか・・!!」
ユーガの顔を見たその男、カポネは怯えた声で言う。ユーガは無言でカポネに歩み寄る。
「や、やめろ!やめてくれ!この通りだ!」
カポネは急いで膝を折ると、床に額を擦り付けた。
「謝る!あんたの仲間を売ろうとしたことは謝る!だ、だから、命だけは・・!!」
ユーガはカポネを見下ろし、口を開いた。
「聞きたい事がある。」
カポネは涙を目に溜めながら、顔を上げる。
「へ?」
突き刺さるような鋭い眼光でカポネを睨みつけ、ユーガはドスの効いた声で言った。
「貴様、マサカーを知っているな。」
カポネは困惑した顔で言う。
「ま、マサカー?し、知らない!」
その言葉にユーガは怒鳴った。
「ふざけるな!!奴らと繋がりがあるのは分かっている!!さぁ、答えろ!!」
震えて縮こまるカポネは、途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「ほ、本当です・・・し、しら、知らないんです・・・!」
激昂しそうになったユーガを見かねて、ジェイミーが間に入る。
「じゃあ、あんたはペンデュラムカードをどこで手に入れたんだ?」
カポネは震える声で答えた。
「う、売ってたんです。この街の露店街で。俺はそこの商人から買っただけで、マサカーなんてのは知りません・・・。」
ユーガはカポネに掴み掛かった。
「商人とは誰だ!!言え!!」
カポネは恐怖に打ち震えながら言う。
「ひぃっ!わ、分かりません!ごめんなさいぃぃ!命だけは!」
後ろからカケルが声を掛ける。
「ユーガ、これ以上こいつを問い詰めても無駄っぽいぜ。ここまでやって言わないって事は、本当に知らないんだろ。」
その言葉を聞き、ユーガはカポネから手を放した。
「くっ・・・」
焦燥の表情を浮かべるユーガにリンカが言う。
「とりあえず、その露店街に行ってみたらどうだ。何かわかるかもしれん。」
「・・・ああ。そうだな。」
カポネを一瞥し、一行は広間を後にした。
ジェイミーに案内され、ユーガ達は露店街に着いた。
そこはユーガとカケルが入って来た場所に広がっていた商人の集まりよりも、もっと大規模な露店”街”。簡易的ではあるが、カウンターを持ち店の形をした商い所が数多く並んでいる。それはかつての文明における商売を想起させる様態をしていた。それを見たユーガ達に、ここが街である事を改めて認識させるには十分なほどに。
「はぇ〜こんな場所がダストポリタンにあるなんてな。」
一度来た事があるカケルでも、この場所は知らなかったようだ。
「この地下街は階層も多くかなり入り組んでいるからな。俺もどこまで把握できてるかわからないくらいだ。」
実際に住むジェイミーですら把握しきれていない地下街。その懐の深さは計り知れなかった。
「さて、怪しい奴を探すとするか。」
歩き出そうとしたリンカ。ユーガはその肩を掴み、足を止めさせる。
「待て、リンカ。お前一人を歩かせる訳にはいかない。」
若く顔立ちの整っているリンカを一人で歩かせれば、また奴隷商人の的にされかねない。ユーガはそれを危惧していた。
その時。
「ん?なんだ・・・」
ユーガは、先刻からリンカが代わりに背負っていた自分のバックパックに違和感を感じた。
「ゆ、ユーガ!これはだな・・・」
焦るようにユーガを見るリンカ。ユーガはバックパックを蓋を開けた。
「これは・・・」
その中身。本来ならば、数ヶ月は持つ筈の食料が半分以上無くなっていた。ユーガはリンカを問い質す。
「リンカ、これはどういうことだ。」
リンカは開き直るように言う。
「私は食べたい時に食べていただけで・・・大体、2日に1食計算での数ヶ月分など、私には足りん!」
それを聞き、ユーガは頭を抱えた。
「う、少し食べ過ぎたとは思っている・・・。すまない、ユーガ。」
少々申し訳なさそうにしたリンカは、ユーガに謝る。しかし、ユーガは溜め息を付きつつも言った。
「いや、食事に困らせないと誓ったのは俺だ。リンカが謝る必要はない。しかし・・・」
ユーガは横目で露店に並ぶ食品を見つめた。そのどれもが質の良さそうな保存食だが、問題は値段だった。
「俺は金というものを持っていない・・・。ここに来ればなんとかなると思っていたが、そう甘くはなかったか。」
カケルは肩を竦める。
「俺も、次の仕事が入るまで文無しだ。」
その話にジェイミーが口を挟む。
「一応、稼ぐ方法ならあるぞ。」
ユーガはジェイミーに訊ねる。
「それはなんだ。教えてくれ、ジェイミー。」
その質問に答えるように、ジェイミーはユーガのディスクを指差し言った。
「”それ”さ。」
そして。
「さぁ、始まるぜぇ地獄のデスマッチ!!今日のチャンピオンは果たして誰だぁ!?」
一行が訪れたのは、露店街からそう遠くない場所に位置する闘技場だった。
「ここは・・・」
「グラディエーターズフィールド。言うなればデュエルの闘技場だ。エントリーは誰でも出来るし、勝ち残って行けばこのダストポリタンでの買い物に悩むことは無くなるだろう。ただ、それなりに危険ではあるが・・・。」
説明するジェイミー。ユーガは問う。
「ここが一番手っ取り早く金を稼げるんだな。」
「ああ。だが、やるかどうかはユーガの自由だ。」
その言葉に、ユーガは考える間もなく即答する。
「やるしかあるまい。俺達の命が関わっている。それに・・・」
ユーガは目の前の闘技場を見つめた。
「誰でも参加できるとなれば、マサカーと関わりのある人間が出て来るかもしれない。」
「確かに、可能性はあるな。」
ジェイミーの言葉を聞くや否や、ユーガは歩き出そうとした。そこでリンカは呼び止める。
「待て、ユーガ。私も一緒に行こう。」
ユーガは振り向き、リンカに言う。
「いや、リンカには危険だ。俺一人で行く。」
そう言い残し進もうとしたユーガに、リンカは掴み掛かった。
「危険なのはユーガ、お前もだ。私の所為でお前だけを危険な目に遭わすわけにはいかない。」
「しかし、リンカ・・・」
はぁー、と息を吐いたカケルが二人の間に入る。
「俺も行くぜ。どうせ誰が出ても危険な事に変わりはねぇんだ。だったら、皆で出た方がいっぱい稼げて得だろ?」
二人の目を見るユーガ。その目はどう見ても説得に応じてくれそうには無かった。諦めた表情でユーガは口を開く。
「・・・わかった。」
リンカは笑う。
「決まりだな。」
三人の様子を見たジェイミーは微笑む。
「やはり、いい仲間だな。ユーガ。」
こうして、ユーガ達は闘技場へと歩き出した。
「報告。奴が出るぞ。注意しておけ。」
「了解。」
そして、闘技場内に実況の声が高らかに響く。
「さぁ、いよいよ開始だぜぇ!!野郎ども準備はいいか!?」
その声に、場内から歓声が上がる。
「まずは今日の一本目ぇ!!登場するのは、こいつだぁ!!」
闘技場の右側より、大柄の男が姿を表す。
「現在4連勝中の猛者!!地獄の猟犬、ボガード・ハウンド!!」
巨体を震わせ、その男ボガードは雄叫びを上げた。
「対するは、おおっと!?これはどうしたことだぁ!!」
左側から、悠々と登場する小柄な影。
「これは珍しい女性参加者だぁ!!謎の美少女、リンカ!!」
ボガードの前に出たリンカは得意げに腕を組み、鼻を鳴らした。
「お、女だ・・・」
「誰かの奴隷じゃねーの?」
「若ぇ女だぁ・・・」
ざわつく客席。それだけ、この闘技場で女性の存在は珍しいようだった。
リンカの姿を見たボガードは嘲るように言う。
「おい、アマ!てめぇみたいなクソアマが上がれるような場所じゃねーんだよ!分かるか!?あ!?」
しかし、リンカは態度を崩さない。
「大口を叩くのは勝ってからにしたらどうだ、虚仮威しの木偶の坊が。」
それを聞き、ボガードは獣のように唸る。
「(威嚇のつもりか・・・?大した脳の無さそうな男だ。)」
リンカはボガードを鼻で笑う。
「いきなり両者、熱い睨み合いです!!さぁ、配当金が出ました!・・・な、な、なんと!!リンカちゃんに掛ければ、10倍!!10倍の配当金です!!これは凄い!!果たしてリンカちゃんに掛けるチャレンジャーは居るのでしょうか!!?」
実況の声に観客達は笑う。
「おいおい、あんなガキアマに掛ける奴居んのか〜?」
「ボガード、その女ぶっ壊しちまっていいぞ!!」
「ボガードやってくれ〜!!女なんかズタズタにしちまえ〜!!」
その声は、リンカに対する罵倒とボガードに対する煽りで占められていた。
ステージの影から見守るユーガは、小さくも勇ましいリンカの背中を見つめる。
「(いざという時は俺が守る。・・・仲間を傷つけさせはしない。)」
そして、実況は高潮した観客に合わせるように宣言した。
「それじゃあ行くぜぇ!!第一試合、スタート!!」
両者はディスクを構え、叫ぶ。
『デュエル!!(LP4000 VS LP4000)』
次回 第8話「悪夢の爪」
ベッドから飛び出したユーガは、その男ジェイミーに詰め寄った。
「ジェイミー、生きていたのか・・・!!」
その言葉にジェイミーは悲しい目をする。
「ああ・・・俺だけな・・・。」
「そんな・・・じゃあ・・・」
ユーガはその場に崩れた。そのやり取りを見ていたカケル訊ねる。
「ユーガ、この人を知ってるのか?」
床にへたり込むユーガに代わって、ジェイミーは口を開いた。
「君は確か、カケル君と言ったか。ユーガから”村”の話は聞いているかい?」
ジェイミーの言葉にカケルは頷く。
「ああ。ユーガが旅をする前に暮らしていた場所だって。でもそれは、マサカーって連中に・・・」
うつむき気味にジェイミーは言った。
「俺はその村で暮らしていた一人だ。だが、もうユーガと俺以外の生き残りは・・・。」
ユーガは顔を上げた。
「ジェイミーはどうやってマサカーの手から逃れたんだ・・・?」
その疑問にジェイミーは苦い顔をした。
「ヨシトがお前を逃がした後、俺はマサカーと戦った。互いが互いを殺し合う死戦となったが、俺は最後に勝った。しかし・・・ヨシトが犠牲に・・・。」
「・・・ヨシトは・・・死んだのか・・・?」
ジェイミーは目を瞑り沈黙した。
「やはり俺は・・・最後の生き残りに・・・」
ユーガの手が震える。ジェイミーは懺悔するようにユーガに頭を下げた。
「すまない・・・ユーガ。」
「・・・顔を上げてくれジェイミー。お前は悪くない・・・。悪いのはマサカーだ。」
ゆっくりと顔を上げたジェイミーは、悲哀に満ちた顔でユーガを見つめた。
「なぁ・・・その、ヨシトって・・・。」
カケルの声にユーガは静かに語り出した。
「ヨシトは、村のリーダーだった。ヨシトは自分の作った”村”を守っていた。ヨシトは皆に慕われ、ヨシトも皆を大切にしていた。・・・俺をマサカーから逃がしたのもヨシトだった。『きっとお前が最後の生き残りになる。だからなるべく遠くへ逃げろ。』と。」
喋るうち、ユーガが涙を堪えている事にカケルは気付いた。
「・・・ユーガ。」
それでも堪えきれない涙が溢れ、ユーガの頬を伝う。
「俺はヨシトが生きているのではないかと・・・心のどこかでそう思っていた。村の惨状を見る限り、自分が最後の生き残りになる事は間違いなかった。それでも、『あのヨシトが死ぬはず無い』そう思って・・・だから、孤独な旅を乗り越える事もできた。だが・・・ヨシトは・・・もう・・・」
嗚咽を漏らし始めたユーガ。普段の姿からは想像もできない今のユーガを見て、カケルはあたふたとした。
「ああ、ええと。こういう時、なんて言えばいいんだ・・・その・・・」
その時、ジェイミーが口を開く。
「・・・ヨシトは死ぬ間際、俺に言った。『ユーガに託した』と・・・。ユーガ、ヨシトから何を託されたんだ。」
それを聞いたユーガは、左腕のディスクからデッキを取り出した。
「・・・これだ。このデッキは村から逃げる前に、ヨシトが俺にくれた・・・。」
ユーガはデッキを広げてみせた。
「これは、「アライブナイト」・・・ヨシトのカードだ。」
「ユーガのデッキは、ヨシトさんの形見・・・。」
カケルは神妙な顔つきでユーガのデッキを見つめる。
「ヨシト・・・ううっ・・・俺を一人にしないでくれ・・・ヨシト・・・俺は・・・」
泣き崩れるユーガ。カケルはその姿を見て、共に涙を流した。静かな部屋に二人の泣き声が響いた。
その時。
「何時まで泣いている、ユーガ。貴様は赤ん坊か。」
ユーガの後ろから聞こえた声。その声の主、リンカは言い放つ。
「おい、リンカ・・・。そんな言い方はねぇだろ。」
カケルの咎めも気にせずに、リンカは続けた。
「『俺を一人にしないでくれ』だと?お前は既に一人ではないだろ。何のために仲間を探している。お前の成すべき事はなんだ。」
「いくら泣こうが喚こうか、死んだ人間は絶対に帰って来ない。そんな事はお前が一番良く分かっているはずだ。その悲しみと怒りをぶつけるべき相手は誰だ?」
ユーガは顔を上げ、リンカを見つめた。
「お前は生き残ったからこそ、やらねばならない事がある。私にそう言っただろ、ユーガ。だったら立ち上がれ。泣いている暇があったら、自分の目的の為に動け。私は、お前の中に信念を感じたからこそ共に進むと決めた。今こそ、お前の信念を見せろ!立て、ユーガ!!」
リンカは叫んだ。室内に、その声が反響する。ユーガは目を丸くした。
「リンカ・・・」
歩み寄ったリンカは、ユーガに手を差し伸べた。
「もし、立てなくなった時は私が手を貸してやる。カケルも同じだ。その為の仲間だろう。」
その言葉を聞いたユーガは、涙混じりに小さく笑った。
「・・・ああ、そうだな。すまない、リンカ。もう大丈夫だ。」
ユーガはリンカの手を取らず、自分の力で立ち上がった。
「はぁ・・・敵わねぇな。ったくよ。」
カケルは涙を拭うと、同じように立ち上がる。ユーガは改めて周りを見渡して言った。
「ところで、ここはどこだ?」
その疑問にジェイミーが答える。
「ここは、ダストポリタンの中にある俺の部屋だ。あのデュエルの後、お前をここへ・・・」
それを聞き、ユーガは訊ねた。
「そうだ、俺はあのデュエルでどうなったんだ。」
カケルは戸惑いながらユーガに聞く。
「覚えてないのか・・・?」
ユーガは頷く。リンカは小さく震えながら言う。
「・・・あれは、まるで別人のようだった。ユーガ、あのときお前に何があった。」
困惑するユーガ。その時、ジェイミーが話に割って入った。
「なぁ、ユーガ。もう一度、お前のデッキを見せてくれないか。」
「?・・・ああ。」
ユーガはデッキを手渡す。それを受け取ったジェイミーは、デッキの中身を見て言った。
「・・・やはりな。ユーガのデッキに、「コープスナイト」なんてカードは入っていない。」
「え?じゃあ、あのモンスターは一体・・・。」
カケルはますます困惑する。ジェイミーはある仮説を口にした。
「おそらく、あれはユーガの中に眠る力。もしくは、このデッキ・・・ヨシトのデッキに眠る力。そのどちらかだ。」
リンカはジェイミーに詰め寄る。
「その力とはなんだ。ユーガは一体何者なんだ。」
「わからない・・・。もしかすると、ヨシトはユーガにデッキ以上のものを託したのかもしれない・・・。」
その時、ジェイミーは思う。
「(デッキだけじゃないはずだ・・・。恐らく、その記憶も・・・。)」
ジェイミーはリンカの方を向いた。
「いずれにしろ、ユーガをペンデュラムと戦わせるのは危険だ。また同じ事が起きるかもしれない。」
それを聞いたユーガは強く言い放つ。
「だが、俺はマサカーと戦わなければならない!ヨシトの為にも・・・!だから、この地下街にまで来た!」
ジェイミーはユーガを見つめる。
「手配書の事はカケル君から聞いている。あの男、奴隷商人のカポネがペンデュラムを持っていたのは、恐らくマサカーと繋がりがあるからだろう。この街にマサカーの息が掛かっているのは間違いない。」
「マサカーの目的に近づき、それを探りたい気持ちは分かる。・・・だが、それはあまりにも危険だ。ユーガ。お前はヨシトが命を掛けて守った人間だ。ヨシトだって、お前の平穏な生活を望んでいるはずだ。」
どんな言葉を掛けられても、ユーガの目は揺るがない。その目から伝わる信念に、ジェイミーは小さく溜め息を付いた。
「・・・似てるな、お前は・・・。わかった。俺も一緒に行こう。」
カケルが心配そうに言う。
「でもよ、またユーガがあんなんになったら・・・」
リンカはユーガを鋭い眼差しで見つめた。
「私はユーガを信じる。きっと力をコントロールする術があるはずだ。カケルも仲間ならユーガを信じろ。」
「そうだな・・・ユーガは仲間だもんな!仲間が信じなくてどうすんだって話だよな!」
その様子を見てジェイミーは呟く。
「いい仲間を持ったな、ユーガ。」
ユーガは二人に言う。
「ありがとうリンカ、カケル。まずはもう一度あの男、カポネに会う必要がある。ジェイミー、奴の居場所が分かるか。」
訊ねられたジェイミーは答えた。
「あいつは常に同じ場所に居座っているから、すぐに見つかると思うが。今から行くのか?」
「ああ。奴がここから逃げないうちに、情報を抑える。」
口を動かしながらも、ユーガは既に歩き出していた。
「行くぞ、カケル。」
「おうよ!」
リンカとカケルも後を歩き出す。ジェイミーはそれを追いかけるように付いて行った。
辿り着いたのは、街の一角にある大広間だった。ユーガはその部屋の扉を勢いよく開く。
「カポネという男は居るか。」
その声を聞き、中に居た男達が立ち上がる。
「なんだぁ、このガキは?」
「カポネさんに何の用だ!?」
男達の顔を見たリンカは、ユーガの前に出た。
「また会ったな、下衆共。」
不敵に笑うリンカ。その笑みを見た男達は震え上がった。
「こ、この女は!」
「や、やべぇ、殺されるぞ!!」
男達は一目散に逃げ出し、別の扉へと逃げ込んだ。その広間の中央の椅子に座る人物は、ゆっくりと立ち上がった。
「なんだ、騒がしい・・・」
男がこちらに向いた瞬間、その顔が青ざめる。
「お、お前は・・・!俺を、こ、殺しに来たのか・・!!」
ユーガの顔を見たその男、カポネは怯えた声で言う。ユーガは無言でカポネに歩み寄る。
「や、やめろ!やめてくれ!この通りだ!」
カポネは急いで膝を折ると、床に額を擦り付けた。
「謝る!あんたの仲間を売ろうとしたことは謝る!だ、だから、命だけは・・!!」
ユーガはカポネを見下ろし、口を開いた。
「聞きたい事がある。」
カポネは涙を目に溜めながら、顔を上げる。
「へ?」
突き刺さるような鋭い眼光でカポネを睨みつけ、ユーガはドスの効いた声で言った。
「貴様、マサカーを知っているな。」
カポネは困惑した顔で言う。
「ま、マサカー?し、知らない!」
その言葉にユーガは怒鳴った。
「ふざけるな!!奴らと繋がりがあるのは分かっている!!さぁ、答えろ!!」
震えて縮こまるカポネは、途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「ほ、本当です・・・し、しら、知らないんです・・・!」
激昂しそうになったユーガを見かねて、ジェイミーが間に入る。
「じゃあ、あんたはペンデュラムカードをどこで手に入れたんだ?」
カポネは震える声で答えた。
「う、売ってたんです。この街の露店街で。俺はそこの商人から買っただけで、マサカーなんてのは知りません・・・。」
ユーガはカポネに掴み掛かった。
「商人とは誰だ!!言え!!」
カポネは恐怖に打ち震えながら言う。
「ひぃっ!わ、分かりません!ごめんなさいぃぃ!命だけは!」
後ろからカケルが声を掛ける。
「ユーガ、これ以上こいつを問い詰めても無駄っぽいぜ。ここまでやって言わないって事は、本当に知らないんだろ。」
その言葉を聞き、ユーガはカポネから手を放した。
「くっ・・・」
焦燥の表情を浮かべるユーガにリンカが言う。
「とりあえず、その露店街に行ってみたらどうだ。何かわかるかもしれん。」
「・・・ああ。そうだな。」
カポネを一瞥し、一行は広間を後にした。
ジェイミーに案内され、ユーガ達は露店街に着いた。
そこはユーガとカケルが入って来た場所に広がっていた商人の集まりよりも、もっと大規模な露店”街”。簡易的ではあるが、カウンターを持ち店の形をした商い所が数多く並んでいる。それはかつての文明における商売を想起させる様態をしていた。それを見たユーガ達に、ここが街である事を改めて認識させるには十分なほどに。
「はぇ〜こんな場所がダストポリタンにあるなんてな。」
一度来た事があるカケルでも、この場所は知らなかったようだ。
「この地下街は階層も多くかなり入り組んでいるからな。俺もどこまで把握できてるかわからないくらいだ。」
実際に住むジェイミーですら把握しきれていない地下街。その懐の深さは計り知れなかった。
「さて、怪しい奴を探すとするか。」
歩き出そうとしたリンカ。ユーガはその肩を掴み、足を止めさせる。
「待て、リンカ。お前一人を歩かせる訳にはいかない。」
若く顔立ちの整っているリンカを一人で歩かせれば、また奴隷商人の的にされかねない。ユーガはそれを危惧していた。
その時。
「ん?なんだ・・・」
ユーガは、先刻からリンカが代わりに背負っていた自分のバックパックに違和感を感じた。
「ゆ、ユーガ!これはだな・・・」
焦るようにユーガを見るリンカ。ユーガはバックパックを蓋を開けた。
「これは・・・」
その中身。本来ならば、数ヶ月は持つ筈の食料が半分以上無くなっていた。ユーガはリンカを問い質す。
「リンカ、これはどういうことだ。」
リンカは開き直るように言う。
「私は食べたい時に食べていただけで・・・大体、2日に1食計算での数ヶ月分など、私には足りん!」
それを聞き、ユーガは頭を抱えた。
「う、少し食べ過ぎたとは思っている・・・。すまない、ユーガ。」
少々申し訳なさそうにしたリンカは、ユーガに謝る。しかし、ユーガは溜め息を付きつつも言った。
「いや、食事に困らせないと誓ったのは俺だ。リンカが謝る必要はない。しかし・・・」
ユーガは横目で露店に並ぶ食品を見つめた。そのどれもが質の良さそうな保存食だが、問題は値段だった。
「俺は金というものを持っていない・・・。ここに来ればなんとかなると思っていたが、そう甘くはなかったか。」
カケルは肩を竦める。
「俺も、次の仕事が入るまで文無しだ。」
その話にジェイミーが口を挟む。
「一応、稼ぐ方法ならあるぞ。」
ユーガはジェイミーに訊ねる。
「それはなんだ。教えてくれ、ジェイミー。」
その質問に答えるように、ジェイミーはユーガのディスクを指差し言った。
「”それ”さ。」
そして。
「さぁ、始まるぜぇ地獄のデスマッチ!!今日のチャンピオンは果たして誰だぁ!?」
一行が訪れたのは、露店街からそう遠くない場所に位置する闘技場だった。
「ここは・・・」
「グラディエーターズフィールド。言うなればデュエルの闘技場だ。エントリーは誰でも出来るし、勝ち残って行けばこのダストポリタンでの買い物に悩むことは無くなるだろう。ただ、それなりに危険ではあるが・・・。」
説明するジェイミー。ユーガは問う。
「ここが一番手っ取り早く金を稼げるんだな。」
「ああ。だが、やるかどうかはユーガの自由だ。」
その言葉に、ユーガは考える間もなく即答する。
「やるしかあるまい。俺達の命が関わっている。それに・・・」
ユーガは目の前の闘技場を見つめた。
「誰でも参加できるとなれば、マサカーと関わりのある人間が出て来るかもしれない。」
「確かに、可能性はあるな。」
ジェイミーの言葉を聞くや否や、ユーガは歩き出そうとした。そこでリンカは呼び止める。
「待て、ユーガ。私も一緒に行こう。」
ユーガは振り向き、リンカに言う。
「いや、リンカには危険だ。俺一人で行く。」
そう言い残し進もうとしたユーガに、リンカは掴み掛かった。
「危険なのはユーガ、お前もだ。私の所為でお前だけを危険な目に遭わすわけにはいかない。」
「しかし、リンカ・・・」
はぁー、と息を吐いたカケルが二人の間に入る。
「俺も行くぜ。どうせ誰が出ても危険な事に変わりはねぇんだ。だったら、皆で出た方がいっぱい稼げて得だろ?」
二人の目を見るユーガ。その目はどう見ても説得に応じてくれそうには無かった。諦めた表情でユーガは口を開く。
「・・・わかった。」
リンカは笑う。
「決まりだな。」
三人の様子を見たジェイミーは微笑む。
「やはり、いい仲間だな。ユーガ。」
こうして、ユーガ達は闘技場へと歩き出した。
「報告。奴が出るぞ。注意しておけ。」
「了解。」
そして、闘技場内に実況の声が高らかに響く。
「さぁ、いよいよ開始だぜぇ!!野郎ども準備はいいか!?」
その声に、場内から歓声が上がる。
「まずは今日の一本目ぇ!!登場するのは、こいつだぁ!!」
闘技場の右側より、大柄の男が姿を表す。
「現在4連勝中の猛者!!地獄の猟犬、ボガード・ハウンド!!」
巨体を震わせ、その男ボガードは雄叫びを上げた。
「対するは、おおっと!?これはどうしたことだぁ!!」
左側から、悠々と登場する小柄な影。
「これは珍しい女性参加者だぁ!!謎の美少女、リンカ!!」
ボガードの前に出たリンカは得意げに腕を組み、鼻を鳴らした。
「お、女だ・・・」
「誰かの奴隷じゃねーの?」
「若ぇ女だぁ・・・」
ざわつく客席。それだけ、この闘技場で女性の存在は珍しいようだった。
リンカの姿を見たボガードは嘲るように言う。
「おい、アマ!てめぇみたいなクソアマが上がれるような場所じゃねーんだよ!分かるか!?あ!?」
しかし、リンカは態度を崩さない。
「大口を叩くのは勝ってからにしたらどうだ、虚仮威しの木偶の坊が。」
それを聞き、ボガードは獣のように唸る。
「(威嚇のつもりか・・・?大した脳の無さそうな男だ。)」
リンカはボガードを鼻で笑う。
「いきなり両者、熱い睨み合いです!!さぁ、配当金が出ました!・・・な、な、なんと!!リンカちゃんに掛ければ、10倍!!10倍の配当金です!!これは凄い!!果たしてリンカちゃんに掛けるチャレンジャーは居るのでしょうか!!?」
実況の声に観客達は笑う。
「おいおい、あんなガキアマに掛ける奴居んのか〜?」
「ボガード、その女ぶっ壊しちまっていいぞ!!」
「ボガードやってくれ〜!!女なんかズタズタにしちまえ〜!!」
その声は、リンカに対する罵倒とボガードに対する煽りで占められていた。
ステージの影から見守るユーガは、小さくも勇ましいリンカの背中を見つめる。
「(いざという時は俺が守る。・・・仲間を傷つけさせはしない。)」
そして、実況は高潮した観客に合わせるように宣言した。
「それじゃあ行くぜぇ!!第一試合、スタート!!」
両者はディスクを構え、叫ぶ。
『デュエル!!(LP4000 VS LP4000)』
次回 第8話「悪夢の爪」
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80 | 02:デッド・オア・アライブ | 1116 | 3 | 2016-01-27 | - | |
62 | 03:賞金稼ぎ・カケル | 1033 | 2 | 2016-01-28 | - | |
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98 | 05:別次元の力 | 987 | 3 | 2016-02-03 | - | |
90 | 06:その時、何が起こったのか。 | 1009 | 3 | 2016-02-05 | - | |
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100 | 12:新たなる出発 | 1123 | 2 | 2016-02-23 | - | |
116 | 13:邪悪な賢者 | 1005 | 2 | 2016-03-06 | - | |
126 | 14:忘却都市と生存兵 | 1171 | 4 | 2016-03-07 | - | |
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61 | 23:極限のドロップ・ドロー・前編 | 912 | 2 | 2016-06-07 | - | |
94 | 24:極限のドロップ・ドロー・後編 | 968 | 2 | 2016-06-07 | - | |
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
というか配当金10倍かぁ。これは一気に稼げそうな予感…! (2016-02-08 09:20)
そして始まるデスマッチ。果たして一攫千金なるか? (2016-02-08 10:09)
>ギガプラントさん
こういう展開って良いですよね。リンカが初参加かつ、女性に対する評価が低い地下社会のせいで配当金がすごいことになってしまいました。果たして一気に稼げるのか否かは次回をお楽しみに。
>ター坊さん
なんだかんだ言って、リンカは一行の芯のような存在に成りつつある気がします。物語を書く上でも、ズバッと意見を言ってくれるキャラクターは貴重ですね。 (2016-02-12 02:36)