交流(共通)
メインメニュー
クリエイトメニュー
- 遊戯王デッキメーカー
- 遊戯王オリカメーカー
- 遊戯王オリカ掲示板
- 遊戯王オリカカテゴリ一覧
- 遊戯王SS投稿
- 遊戯王SS一覧
- 遊戯王川柳メーカー
- 遊戯王川柳一覧
- 遊戯王ボケメーカー
- 遊戯王ボケ一覧
- 遊戯王イラスト・漫画
その他
遊戯王ランキング
注目カードランクング
カード種類 最強カードランキング
● 通常モンスター
● 効果モンスター
● 融合モンスター
● 儀式モンスター
● シンクロモンスター
● エクシーズモンスター
● スピリットモンスター
● ユニオンモンスター
● デュアルモンスター
● チューナーモンスター
● トゥーンモンスター
● ペンデュラムモンスター
● リンクモンスター
● リバースモンスター
● 通常魔法
永続魔法
装備魔法
速攻魔法
フィールド魔法
儀式魔法
● 通常罠
永続罠
カウンター罠
種族 最強モンスターランキング
● 悪魔族
● アンデット族
● 雷族
● 海竜族
● 岩石族
● 機械族
● 恐竜族
● 獣族
● 幻神獣族
● 昆虫族
● サイキック族
● 魚族
● 植物族
● 獣戦士族
● 戦士族
● 天使族
● 鳥獣族
● ドラゴン族
● 爬虫類族
● 炎族
● 魔法使い族
● 水族
● 創造神族
● 幻竜族
● サイバース族
● 幻想魔族
属性 最強モンスターランキング
レベル別最強モンスターランキング
レベル1最強モンスター
レベル2最強モンスター
レベル3最強モンスター
レベル4最強モンスター
レベル5最強モンスター
レベル6最強モンスター
レベル7最強モンスター
レベル8最強モンスター
レベル9最強モンスター
レベル10最強モンスター
レベル11最強モンスター
レベル12最強モンスター
デッキランキング
23:極限のドロップ・ドロー・前編 作:ほーがん
第23話「極限のドロップ・ドロー・前編」
互いのプレイヤーは手札を持ち、睨み合う。男は身を乗り出すと、叫んだ。
「まずは俺のターンだ!俺は手札から魔法カード、《黒魔術のヴェール》を発動!ライフを1000払い、手札・墓地から魔法使い族・闇属性のモンスターを特殊召喚する!俺は《E/m(イレイズマジシャン)アルケミー・マイスター(☆5/闇/魔法使い/ペンデュラム/1300・2200)》を特殊召喚!!(LP4000→3000)」
男の場に、禍々しい色合いをしたフラスコを手に持つ魔術師が出現する。
「ペンデュラムモンスターがいきなりお出ましか・・・」
身構えるカケル。男は高揚した声で言った。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、このカードを破壊する事で、デッキからレベル4以下の「E/m」モンスターを2体まで手札に加える!!俺が加えるのは《E/mサイコ・インフェクショナー(☆2/闇/魔法使い/ペンデュラム/300・300)》と《E/mハザード・インセイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・1000)》の2枚だ!!」
魔術師はフラスコの中身を飲み干すと、急激に膨れ上がり爆散した。男は加えたカードを見せつけ、叫ぶ。
「さぁ、行こうか!!俺はスケール1の《E/mハザード・インセイン》とスケール7の《E/mサイコ・インフェクショナー》でペンデュラムスケールをセッティング!!」
モニターに囲まれた銀色の室内に、光の柱が浮かび上がる。
「これでレベル2から6までのモンスターが同時に召喚可能!!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから《E/mアルケミー・マイスター》、そして手札からは《E/mバーサーク・ブレイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1400・900)》!!」
邪悪なる光を突き破り、先刻の魔術師と、脳の肥大化した容貌を持つ魔術師が姿を現した。
「ペンデュラム召喚か・・・!」
そのモンスターを睨むキジマ。男は変わらぬ調子でデュエルを進める。
「俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果を発動!このモンスターはペンデュラム召喚された場合、レベルが4になる!!ペンデュラムだけでは終わらない、その先の脅威まで味わってもらう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》でオーバーレイ!!」
次に出現するは、黒き閃光の渦。それを見たリンカが呟く。
「・・あれは・・・まずい・・・あの、モンスターが・・・」
渦の中へと飛び込む2体の魔術師。男は高らかに叫んだ。
「猛煙に揺らめく魔術の力にて、鉄屑の大地に裁きの闇を齎せ!!エクシーズ召喚!!瞠目せよ!!ランク4、《E/mクリメイション・スレイヤー(★4/闇/魔法使い/エクシーズ/2500・2000)》!!」
暗黒の炎を纏う、闇の魔導士。その冷たき煙は静かに、そして気付かれることなく命を奪って行く。
「ペンデュラムからのエクシーズ。さすがに簡単には行かなそうですね。」
固唾を飲むハル。
「俺はカードを2枚セットし、ターンエンド!!」
男のターンが終わる。次に動いたのはハルだった。
「僕が行きます!僕のターン!僕はカードを4枚セットし・・・」
ハルが手札のカードを取り出そうとした瞬間、男が笑う。
「ちょっと待ったぁ!!このターンのスタンバイフェイズ、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使う事で、俺は3つの効果から1つを選んで発動できる!!俺が選ぶ効果はこれだ!!『このターン、相手はカードをセットする事ができない』!!」
闇の魔導士は奇妙な笑い声を上げると、ハルのフィールド目掛け火球を放った。その炎が、ハルの魔法・罠ゾーンを埋め尽くす。
「そ、そんな・・・これじゃあ・・・くっ!僕は《マンジュ・ゴッド(☆4/光/天使/1400・1000)》を召喚!その効果により、デッキから儀式モンスター《人形儀神 ゼペット・マリオネッター(☆7/光/魔法使い/儀式/0・3000)》を手札に加える!・・・ターンエンド。」
なんとかモンスターを召喚したハルは、手札の罠カードを持て余したまま、ターン終了を宣言する。その表情はこわばっていた。
「ハルの罠カード戦術が封じられたか・・・!今度は俺だ!俺のターン!」
次に動くはキジマ。キジマは手札のカードを取り出すと、そのカードをディスクにセットした。
「俺はチューナーモンスター、《D=Mー追葬のウルミ(☆2/地/昆虫/チューナー/800・800)》を召喚!」
キジマの前に女型のカマキリが現れた。それを確認した男は声を上げる。
「この瞬間、《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを使う事で、3つの効果の内、1つを使う!俺は、『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』効果を使用!!さぁ、これでシンクロ召喚はできねーぞ?」
「なんだと・・・!」
キジマは驚愕のあまり言葉を失う。焦りに震える手で、手札のカードを取り出した。
「俺は・・・カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」
「なんつう効果だ・・・けど!これで奴のモンスターにオーバーレイ・ユニットは無い!挽回してやるぜ、俺のターン!」
カケルは手札のカードを取り出そうとした。しかし、その前に男が口を開く。
「待て!俺はスタンバイフェイズに罠カードを発動!《ユニット・チャージ》!!このカードは、自分フィールドのエクシーズモンスター1体を選択して発動する!!そのモンスターと同じ種族のモンスターを墓地から2体選び、オーバーレイ・ユニットとする!!」
「オーバーレイ・ユニットを補充するカードだと!?」
男の墓地からカードが迫り出す。そのカードを手に取ると、男は闇の魔導士に向かって放り投げた。
「俺は墓地の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》を、オーバーレイ・ユニットに復帰させる!!」
そのカードを受け取った魔導士は、カケルを見下ろしカラカラと笑う。男は続けざまに叫んだ。
「そして、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果を選択!使うのはもちろん、『このターン、相手は魔法カードを発動できない』効果だ!!お前が融合使いなのは知ってんだぞ!!」
「くっ!!」
カケルは苦虫を噛み潰したような表情をする。男は嘲笑混じりに言った。
「ふはははっ!!愚かしくも貴様らは、ここでデュエルを行い、自らの手の内を俺に明かしてくれた!デュエルは全て、この部屋から見させて貰ってたからなぁ。ただ、最初に捕まえた女はデュエルをしていなかった故に、やや気がかりではあったが、魔法だけとかいう頭のおかしい構築で助かったぜ!!はっはっはっ!!!」
その言葉にキジマは叫ぶ。
「ふざけるな!こんな卑劣な戦術を使うお前に、人のデッキにどうこう言う資格はねぇ!!」
「卑劣だと?デュエルとは、勝利こそが全て!!勝つ為に手段を選ばない事に、何の否がある!!否があるとすれば、対抗できない貴様の方だ!!」
歯を食いしばるキジマ。しかし、それはある種の正論だった。その勝利への貪欲さ、そして、そこから生まれる圧倒的な力。それこそが、この世界を滅ぼしたのだから。
カケルは手札のカードを見つめた。
「(魔法が使えない・・・。今、俺の手札には《アタッチメント・カタパルト》と《武装融合》が揃ってる。本来なら全力で掛かれる手札だ。だが・・・)くっ!俺はモンスターを裏守備でセットする!そして、カードを1枚セットしてターンエンドだ!」
カケルに行動を見た男は、満足そうに笑った。
「はっはっはっ!!そうするしか無いよなぁ!?ええ!?さて、後は・・・ガキが一人か。へっ、どんな手を使うのか知らないが、所詮はガキだ。稚拙な戦術で足掻くがいい。」
しかし、マーナは毅然とした態度で口を開く。
「私のターン!!私は永続魔法《絶対守護域(アブソリュート・サンクチュアリ)》を発動!!」
マーナの場に表示された魔法カード。それを見て男は言う。
「ほう、魔法カードか。」
「このカードが存在する限り、私の場のレベル2以下の天使族は相手の攻撃・効果の対象にならず、効果でも破壊されなくなる!!」
その言葉に、男は笑った。
「ははぁ!!ならば、そいつに対応する厄介なモンスターを出される前に、先手を打つ!!《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果発動!!『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』!!」
魔導士は纏っている光の球を掴むと、マーナのモンスターゾーンに投げつけた。その光が能力を持つモンスターの出現を阻む。
「ガキ、分かったか?この俺に挑むという事が、いかに愚かな事かを!!あっはっはっは!!!」
腹を抱えて笑う男。だが、キジマは笑っていた。
「へっ、馬鹿め。マーナ、お前の戦い方を見せてやれ!」
同じように笑うマーナが頷く。
「うん、ナオト兄ちゃん!私は《ハッピー・ラヴァー(☆2/光/天使/800・500)》を召喚!」
マーナの場で怪しく輝く光をかき分け、小さく愛らしい天使が登場した。
「攻撃力たった800の通常モンスターだと?ふっ、あまりに稚拙すぎて、もはや笑いも起きないな。そんなモンスターをわざわざ永続魔法で守った所で何になる。やはりガキはガキだ。」
「もう、ガキガキうるさーい!私は魔法カード《サウザンドエナジー》を発動!!このターン、私の場のレベル2の通常モンスターの攻撃力・守備力は1000アップする!!(ATK800→1800 DEF500→1500)」
小さな天使は魔法の効力を受け、その力を高める。
「さらに魔法カード《連続魔法》を発動!手札を全て、このカードは今使用した魔法カードと同じ効果になる!《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力・守備力はさらに1000アップ!!(ATK1800→2800 DEF500→2500)」
さらに力を取り込み、巨大化してゆく天使。流石の男も驚きを隠せなかった。
「な、攻撃力2800だと!!」
それを見たカケルは笑う。
「行けぇ、マーナ!!」
それに答えるように、マーナは魔導士を指差した。
「バトル!《ハッピー・ラヴァー》で《E/mクリメイション・スレイヤー》を攻撃!!『ハートビーム』!!」
天使は飛翔すると、魔導士目掛け光線を発射した。それに悶え、魔導士は煙のように男の前から霧散する。
「くっ!(LP3000→2700)ば、馬鹿な!こんなガキに俺のモンスターが!!」
不敵に笑うマーナを男は睨む。
「《サウザンドエナジー》の効果を受けたモンスターは、本当はターン終了時に破壊される。けど、私の永続魔法《絶対守護域》の効果で《ハッピー・ラヴァー》は効果では破壊されない!私はこれで、ターンエンド!このエンドフェイズに《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力と守備力は元に戻る。(ATK2800→800 DEF2500→500)」
「彼女、中々やりますね。僕も負けていられません!」
マーナの奮闘に、ハルは笑みを見せる。それとほぼ同時に男が口を開いた。
「ふざけるな・・・こんなガキが、しかも女のガキが、俺に楯突くなど!!俺は破壊された《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!このカードが破壊されたターンのエンドフェイズ、デッキからレベル4以下の「E/m」を特殊召喚する!!俺は《E/mヘイト・スマイリー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1200・1800)》を守備表示で特殊召喚!!そして、次は俺のターンだ!!」
仮面を被る魔術師が男の前に膝を付いた。そして、デッキに手を伸ばすと声を荒げる。
「ドロー!!・・・そうか、このカードか。いいだろう!!俺は魔法カード《極限のドロップ・ドロー》を発動!!」
引いたカードを男はディスクに叩き付けた。
「このカードは手札がこれ1枚の場合に発動できる!!俺はライフを半分払い、デッキから3枚のカードをドローする!!(LP2700→1350)」
「何っ、3枚のドロー!?」
その言葉にたじろぐカケル。男はさらにデッキからカードを引く。
「そして、俺はこのターン、もうカードの効果ではドローできず、エンドフェイズに手札を全て除外する!!そして、除外したカード1枚につき1000ポイント、自分のライフを失う!!ふふっ・・・ははは!!良いカードを引いたぞ!!俺は魔法カード《ペンデュラム・ラウズ》を発動!!」
表示される魔法カード。男は言葉を続けた。
「自分のペンデュラムゾーンに2枚のカードが存在する場合、そのスケールで召喚可能なペンデュラムモンスターを墓地から特殊召喚する!!蘇れ、《E/mアルケミー・マイスター》!!」
漆黒の魔導陣から、フラスコを手に持ち錬金術を操る魔術師が復活を遂げる。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、自身を破壊し、デッキからレベル4以下の「E/m」を2体手札に加える!!俺は《E/mマインド・デストロイヤー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・0)》と《E/mディフィアント・デスペレイ(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/0・2000)》を手札に加える!!」
再び自爆する魔術師。その代償として男に2枚カードが加わった。
「俺を苛つかせるそのガキ、叩き潰してやる!!ペンデュラム召喚!!来い、《E/mアルケミー・マイスター》・《E/mマインド・デストロイヤー》・《E/mディフィアント・デスペレイ》!!そして、《E/mサディスティック・ハッカー(☆6/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・2600)》!!」
揺らめく光の中から、邪悪なる魔術師達はフィールドに降り立った。奇怪な笑い声を発しながら、4体の魔術師は相手のフィールドを凝視する。
「一気に4体のペンデュラム召喚・・・!!」
「どうだ!!これがペンデュラムの凄さ!!今までのデュエルでは、到底成し得なかった複数同時召喚!!俺は初めて目にしたその時から、ずっとこの力が欲しかった!!」
悦に浸る男。その発言にキジマは叫ぶ。
「欲しかっただと!?世界をめちゃくちゃにして、国も街も人々の日常も、全てを壊したペンデュラムが憎いとは思わねぇのか!!?」
「はっ!!考えが幼稚だな、貴様!!人とは常に強さに惹かれる生き物!!少なくとも俺はそうだった!!ペンデュラムは今まで俺が恨み、忌み嫌ってきた全てを破壊してくれた!!そして、思った!!あの力が欲しいと!!あの力さえ手に入れば、全ての人々は俺の前に跪く!!もう誰からも見下される事は無い!!全ての者は俺に奉仕し、俺に畏怖し、俺の為にその身体を捧げる!!名声も、女も、富も、全て俺の物になる!!そして、ついにペンデュラムを手に入れた今、ようやくその願望が叶うのだ!!」
カケルは喚く男を睨み、呟く。
「へっ、てめぇの方がよっぽど幼稚じゃねえか。」
「・・・こういう奴は、この数年で大体死んだと思ったんだが、未だに居やがんのか。こいつが厄介なのは、本当にペンデュラムを手に入れちまった事か。」
キジマも同じように睨む。男は叫んだ。
「この女達は、俺が支配者となる前祝いだ!!それを味わう為にも、さっさと退場して貰おうか!!俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!レベルを4にする!さらに《E/mハザード・インセイン》のペンデュラム効果も発動!手札から2体以上、自分の場にペンデュラム召喚された時、相手フィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊する!!俺が破壊するのは、カマキリ野郎の伏せカードとガキの永続魔法だ!!」
光の柱より発生した突風が二人のカードを吹き飛ばした。
「くっ・・・!」
「わ、私の《絶対守護域》が・・・!」
「へっ、ガキ!!これでお前のモンスターを守るカードは無くなったなぁ!さらに俺は《E/mマインド・デストロイヤー》の効果発動!このカードのペンデュラム召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体と手札を1枚を除外し、カードの種類を宣言する!相手の手札を確認し、宣言した種類のカードが存在した場合、そのカードを全て捨てさせる!!俺は《E/mサディスティック・ハッカー》を除外し、罠カードを宣言!!そして、このカードの効果を受けるのは、お前だ!!」
男が指を刺した先で、ハルが叫ぶ。
「そんな、さっき僕がカードを伏せようとした所を見ておいて、こんなの・・・卑怯だ!!」
「いいから、さっさと手札を見せろよ。ほら。」
ハルは歯を食いしばり、渋々手札を公開する。その手に握られた4枚の罠カードを見ると、男は高笑いした。
「はははっ!!その罠カード、全部捨てて貰おうか!!」
「ぐっ・・・!!」
ハルは震える手で、カードを墓地へ送った。男は続けざまに言う。
「俺はたった今、除外された《E/mサディスティック・ハッカー》の効果を発動!!このカードが破壊以外の方法でフィールドを離れた時、このカードをデッキに戻し、全てのプレイヤーに1000のダメージを与える!!だが、俺は《E/mサイコ・インフェクショナー》のペンデュラム効果を発動!このカードがペンデュラムゾーンに存在する限り、俺への効果ダメージは代わりに相手が受ける!!俺が選ぶプレイヤーはガキ、お前だ!!さぁ、喰らいやがれ!!」
空間を引き裂き現れた、細長い無数の腕を持つ魔術師はその指を伸ばすと、四方に電撃を放った。
「ぐっ・・!!(LP4000→3000)」
「ううっ!(LP4000→3000)」
「くっ!!(LP4000→3000)」
「あああっ!!(LP4000→2000)」
ダメージによろけるカケル達。より多くのダメージを受け、マーナの体は堪え難い衝撃に悶えた。
「大丈夫か、マーナ!!」
キジマの言葉に、マーナは擦れた声で答える。
「まだ・・・大丈夫・・・だもん。まだ・・・戦える!」
「ほう、ペンデュラムの力に耐えるか、ガキ。なら、お前のお友達から葬ってやろう!《E/mヘイト・スマイリー》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのレベル3以下のモンスター1体を破壊できる!《ハッピー・ラヴァー》を破壊だぁ!!」
魔術師はブーメランのように仮面を投げると、小さき天使を切り裂いた。
「《ハッピー・ラヴァー》が・・・!!」
マーナの表情が悲しみに染まる。キジマは焦燥に駆られた。
「まずい、これでマーナのフィールドはがら空き!!」
「ふははっ!!貴様らには、新たな支配者たるこの俺の、生け贄となって貰おう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》、《E/mヘイト・スマイリー》、《E/mマインド・デストロイヤー》、《E/mディフィアント・デスペレイ》でオーバーレイ!!」
またしても黒き閃光がフィールドに渦巻く。ハルは男の言葉に耳を疑った。
「4体のモンスターを素材に・・・!?」
男は叫ぶ。
「歪なる世界に終焉訪れし時、新たな時代の王が生まれる!!世界を、星を、無窮の闇を越え、その頂きに降り立て!!エクシーズ召喚!!」
その光はまるで、全ての飲み込むかのように膨張し、やがて爆発的な速度で拡大する。
「轟臨せよ!!ランク4!!《E/m(イレイズ・マグニフィセント)ビッグバン・スプレマシー(★4/闇/悪魔/エクシーズ/0・0)》!!!」
次回 第24話「極限のドロップ・ドロー・後編」
※1話としては長くなってしまったので前後編に分けました。ご了承ください。
互いのプレイヤーは手札を持ち、睨み合う。男は身を乗り出すと、叫んだ。
「まずは俺のターンだ!俺は手札から魔法カード、《黒魔術のヴェール》を発動!ライフを1000払い、手札・墓地から魔法使い族・闇属性のモンスターを特殊召喚する!俺は《E/m(イレイズマジシャン)アルケミー・マイスター(☆5/闇/魔法使い/ペンデュラム/1300・2200)》を特殊召喚!!(LP4000→3000)」
男の場に、禍々しい色合いをしたフラスコを手に持つ魔術師が出現する。
「ペンデュラムモンスターがいきなりお出ましか・・・」
身構えるカケル。男は高揚した声で言った。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、このカードを破壊する事で、デッキからレベル4以下の「E/m」モンスターを2体まで手札に加える!!俺が加えるのは《E/mサイコ・インフェクショナー(☆2/闇/魔法使い/ペンデュラム/300・300)》と《E/mハザード・インセイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・1000)》の2枚だ!!」
魔術師はフラスコの中身を飲み干すと、急激に膨れ上がり爆散した。男は加えたカードを見せつけ、叫ぶ。
「さぁ、行こうか!!俺はスケール1の《E/mハザード・インセイン》とスケール7の《E/mサイコ・インフェクショナー》でペンデュラムスケールをセッティング!!」
モニターに囲まれた銀色の室内に、光の柱が浮かび上がる。
「これでレベル2から6までのモンスターが同時に召喚可能!!ペンデュラム召喚!!エクストラデッキから《E/mアルケミー・マイスター》、そして手札からは《E/mバーサーク・ブレイン(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1400・900)》!!」
邪悪なる光を突き破り、先刻の魔術師と、脳の肥大化した容貌を持つ魔術師が姿を現した。
「ペンデュラム召喚か・・・!」
そのモンスターを睨むキジマ。男は変わらぬ調子でデュエルを進める。
「俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果を発動!このモンスターはペンデュラム召喚された場合、レベルが4になる!!ペンデュラムだけでは終わらない、その先の脅威まで味わってもらう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》でオーバーレイ!!」
次に出現するは、黒き閃光の渦。それを見たリンカが呟く。
「・・あれは・・・まずい・・・あの、モンスターが・・・」
渦の中へと飛び込む2体の魔術師。男は高らかに叫んだ。
「猛煙に揺らめく魔術の力にて、鉄屑の大地に裁きの闇を齎せ!!エクシーズ召喚!!瞠目せよ!!ランク4、《E/mクリメイション・スレイヤー(★4/闇/魔法使い/エクシーズ/2500・2000)》!!」
暗黒の炎を纏う、闇の魔導士。その冷たき煙は静かに、そして気付かれることなく命を奪って行く。
「ペンデュラムからのエクシーズ。さすがに簡単には行かなそうですね。」
固唾を飲むハル。
「俺はカードを2枚セットし、ターンエンド!!」
男のターンが終わる。次に動いたのはハルだった。
「僕が行きます!僕のターン!僕はカードを4枚セットし・・・」
ハルが手札のカードを取り出そうとした瞬間、男が笑う。
「ちょっと待ったぁ!!このターンのスタンバイフェイズ、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使う事で、俺は3つの効果から1つを選んで発動できる!!俺が選ぶ効果はこれだ!!『このターン、相手はカードをセットする事ができない』!!」
闇の魔導士は奇妙な笑い声を上げると、ハルのフィールド目掛け火球を放った。その炎が、ハルの魔法・罠ゾーンを埋め尽くす。
「そ、そんな・・・これじゃあ・・・くっ!僕は《マンジュ・ゴッド(☆4/光/天使/1400・1000)》を召喚!その効果により、デッキから儀式モンスター《人形儀神 ゼペット・マリオネッター(☆7/光/魔法使い/儀式/0・3000)》を手札に加える!・・・ターンエンド。」
なんとかモンスターを召喚したハルは、手札の罠カードを持て余したまま、ターン終了を宣言する。その表情はこわばっていた。
「ハルの罠カード戦術が封じられたか・・・!今度は俺だ!俺のターン!」
次に動くはキジマ。キジマは手札のカードを取り出すと、そのカードをディスクにセットした。
「俺はチューナーモンスター、《D=Mー追葬のウルミ(☆2/地/昆虫/チューナー/800・800)》を召喚!」
キジマの前に女型のカマキリが現れた。それを確認した男は声を上げる。
「この瞬間、《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを使う事で、3つの効果の内、1つを使う!俺は、『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』効果を使用!!さぁ、これでシンクロ召喚はできねーぞ?」
「なんだと・・・!」
キジマは驚愕のあまり言葉を失う。焦りに震える手で、手札のカードを取り出した。
「俺は・・・カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」
「なんつう効果だ・・・けど!これで奴のモンスターにオーバーレイ・ユニットは無い!挽回してやるぜ、俺のターン!」
カケルは手札のカードを取り出そうとした。しかし、その前に男が口を開く。
「待て!俺はスタンバイフェイズに罠カードを発動!《ユニット・チャージ》!!このカードは、自分フィールドのエクシーズモンスター1体を選択して発動する!!そのモンスターと同じ種族のモンスターを墓地から2体選び、オーバーレイ・ユニットとする!!」
「オーバーレイ・ユニットを補充するカードだと!?」
男の墓地からカードが迫り出す。そのカードを手に取ると、男は闇の魔導士に向かって放り投げた。
「俺は墓地の《E/mアルケミー・マイスター》と《E/mバーサーク・ブレイン》を、オーバーレイ・ユニットに復帰させる!!」
そのカードを受け取った魔導士は、カケルを見下ろしカラカラと笑う。男は続けざまに叫んだ。
「そして、俺は《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果を選択!使うのはもちろん、『このターン、相手は魔法カードを発動できない』効果だ!!お前が融合使いなのは知ってんだぞ!!」
「くっ!!」
カケルは苦虫を噛み潰したような表情をする。男は嘲笑混じりに言った。
「ふはははっ!!愚かしくも貴様らは、ここでデュエルを行い、自らの手の内を俺に明かしてくれた!デュエルは全て、この部屋から見させて貰ってたからなぁ。ただ、最初に捕まえた女はデュエルをしていなかった故に、やや気がかりではあったが、魔法だけとかいう頭のおかしい構築で助かったぜ!!はっはっはっ!!!」
その言葉にキジマは叫ぶ。
「ふざけるな!こんな卑劣な戦術を使うお前に、人のデッキにどうこう言う資格はねぇ!!」
「卑劣だと?デュエルとは、勝利こそが全て!!勝つ為に手段を選ばない事に、何の否がある!!否があるとすれば、対抗できない貴様の方だ!!」
歯を食いしばるキジマ。しかし、それはある種の正論だった。その勝利への貪欲さ、そして、そこから生まれる圧倒的な力。それこそが、この世界を滅ぼしたのだから。
カケルは手札のカードを見つめた。
「(魔法が使えない・・・。今、俺の手札には《アタッチメント・カタパルト》と《武装融合》が揃ってる。本来なら全力で掛かれる手札だ。だが・・・)くっ!俺はモンスターを裏守備でセットする!そして、カードを1枚セットしてターンエンドだ!」
カケルに行動を見た男は、満足そうに笑った。
「はっはっはっ!!そうするしか無いよなぁ!?ええ!?さて、後は・・・ガキが一人か。へっ、どんな手を使うのか知らないが、所詮はガキだ。稚拙な戦術で足掻くがいい。」
しかし、マーナは毅然とした態度で口を開く。
「私のターン!!私は永続魔法《絶対守護域(アブソリュート・サンクチュアリ)》を発動!!」
マーナの場に表示された魔法カード。それを見て男は言う。
「ほう、魔法カードか。」
「このカードが存在する限り、私の場のレベル2以下の天使族は相手の攻撃・効果の対象にならず、効果でも破壊されなくなる!!」
その言葉に、男は笑った。
「ははぁ!!ならば、そいつに対応する厄介なモンスターを出される前に、先手を打つ!!《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、効果発動!!『このターン、相手は効果モンスターを特殊召喚できない』!!」
魔導士は纏っている光の球を掴むと、マーナのモンスターゾーンに投げつけた。その光が能力を持つモンスターの出現を阻む。
「ガキ、分かったか?この俺に挑むという事が、いかに愚かな事かを!!あっはっはっは!!!」
腹を抱えて笑う男。だが、キジマは笑っていた。
「へっ、馬鹿め。マーナ、お前の戦い方を見せてやれ!」
同じように笑うマーナが頷く。
「うん、ナオト兄ちゃん!私は《ハッピー・ラヴァー(☆2/光/天使/800・500)》を召喚!」
マーナの場で怪しく輝く光をかき分け、小さく愛らしい天使が登場した。
「攻撃力たった800の通常モンスターだと?ふっ、あまりに稚拙すぎて、もはや笑いも起きないな。そんなモンスターをわざわざ永続魔法で守った所で何になる。やはりガキはガキだ。」
「もう、ガキガキうるさーい!私は魔法カード《サウザンドエナジー》を発動!!このターン、私の場のレベル2の通常モンスターの攻撃力・守備力は1000アップする!!(ATK800→1800 DEF500→1500)」
小さな天使は魔法の効力を受け、その力を高める。
「さらに魔法カード《連続魔法》を発動!手札を全て、このカードは今使用した魔法カードと同じ効果になる!《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力・守備力はさらに1000アップ!!(ATK1800→2800 DEF500→2500)」
さらに力を取り込み、巨大化してゆく天使。流石の男も驚きを隠せなかった。
「な、攻撃力2800だと!!」
それを見たカケルは笑う。
「行けぇ、マーナ!!」
それに答えるように、マーナは魔導士を指差した。
「バトル!《ハッピー・ラヴァー》で《E/mクリメイション・スレイヤー》を攻撃!!『ハートビーム』!!」
天使は飛翔すると、魔導士目掛け光線を発射した。それに悶え、魔導士は煙のように男の前から霧散する。
「くっ!(LP3000→2700)ば、馬鹿な!こんなガキに俺のモンスターが!!」
不敵に笑うマーナを男は睨む。
「《サウザンドエナジー》の効果を受けたモンスターは、本当はターン終了時に破壊される。けど、私の永続魔法《絶対守護域》の効果で《ハッピー・ラヴァー》は効果では破壊されない!私はこれで、ターンエンド!このエンドフェイズに《ハッピー・ラヴァー》の攻撃力と守備力は元に戻る。(ATK2800→800 DEF2500→500)」
「彼女、中々やりますね。僕も負けていられません!」
マーナの奮闘に、ハルは笑みを見せる。それとほぼ同時に男が口を開いた。
「ふざけるな・・・こんなガキが、しかも女のガキが、俺に楯突くなど!!俺は破壊された《E/mクリメイション・スレイヤー》の効果発動!!このカードが破壊されたターンのエンドフェイズ、デッキからレベル4以下の「E/m」を特殊召喚する!!俺は《E/mヘイト・スマイリー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1200・1800)》を守備表示で特殊召喚!!そして、次は俺のターンだ!!」
仮面を被る魔術師が男の前に膝を付いた。そして、デッキに手を伸ばすと声を荒げる。
「ドロー!!・・・そうか、このカードか。いいだろう!!俺は魔法カード《極限のドロップ・ドロー》を発動!!」
引いたカードを男はディスクに叩き付けた。
「このカードは手札がこれ1枚の場合に発動できる!!俺はライフを半分払い、デッキから3枚のカードをドローする!!(LP2700→1350)」
「何っ、3枚のドロー!?」
その言葉にたじろぐカケル。男はさらにデッキからカードを引く。
「そして、俺はこのターン、もうカードの効果ではドローできず、エンドフェイズに手札を全て除外する!!そして、除外したカード1枚につき1000ポイント、自分のライフを失う!!ふふっ・・・ははは!!良いカードを引いたぞ!!俺は魔法カード《ペンデュラム・ラウズ》を発動!!」
表示される魔法カード。男は言葉を続けた。
「自分のペンデュラムゾーンに2枚のカードが存在する場合、そのスケールで召喚可能なペンデュラムモンスターを墓地から特殊召喚する!!蘇れ、《E/mアルケミー・マイスター》!!」
漆黒の魔導陣から、フラスコを手に持ち錬金術を操る魔術師が復活を遂げる。
「《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した時、自身を破壊し、デッキからレベル4以下の「E/m」を2体手札に加える!!俺は《E/mマインド・デストロイヤー(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・0)》と《E/mディフィアント・デスペレイ(☆4/闇/魔法使い/ペンデュラム/0・2000)》を手札に加える!!」
再び自爆する魔術師。その代償として男に2枚カードが加わった。
「俺を苛つかせるそのガキ、叩き潰してやる!!ペンデュラム召喚!!来い、《E/mアルケミー・マイスター》・《E/mマインド・デストロイヤー》・《E/mディフィアント・デスペレイ》!!そして、《E/mサディスティック・ハッカー(☆6/闇/魔法使い/ペンデュラム/1000・2600)》!!」
揺らめく光の中から、邪悪なる魔術師達はフィールドに降り立った。奇怪な笑い声を発しながら、4体の魔術師は相手のフィールドを凝視する。
「一気に4体のペンデュラム召喚・・・!!」
「どうだ!!これがペンデュラムの凄さ!!今までのデュエルでは、到底成し得なかった複数同時召喚!!俺は初めて目にしたその時から、ずっとこの力が欲しかった!!」
悦に浸る男。その発言にキジマは叫ぶ。
「欲しかっただと!?世界をめちゃくちゃにして、国も街も人々の日常も、全てを壊したペンデュラムが憎いとは思わねぇのか!!?」
「はっ!!考えが幼稚だな、貴様!!人とは常に強さに惹かれる生き物!!少なくとも俺はそうだった!!ペンデュラムは今まで俺が恨み、忌み嫌ってきた全てを破壊してくれた!!そして、思った!!あの力が欲しいと!!あの力さえ手に入れば、全ての人々は俺の前に跪く!!もう誰からも見下される事は無い!!全ての者は俺に奉仕し、俺に畏怖し、俺の為にその身体を捧げる!!名声も、女も、富も、全て俺の物になる!!そして、ついにペンデュラムを手に入れた今、ようやくその願望が叶うのだ!!」
カケルは喚く男を睨み、呟く。
「へっ、てめぇの方がよっぽど幼稚じゃねえか。」
「・・・こういう奴は、この数年で大体死んだと思ったんだが、未だに居やがんのか。こいつが厄介なのは、本当にペンデュラムを手に入れちまった事か。」
キジマも同じように睨む。男は叫んだ。
「この女達は、俺が支配者となる前祝いだ!!それを味わう為にも、さっさと退場して貰おうか!!俺は《E/mアルケミー・マイスター》の効果発動!レベルを4にする!さらに《E/mハザード・インセイン》のペンデュラム効果も発動!手札から2体以上、自分の場にペンデュラム召喚された時、相手フィールドの魔法・罠カードを2枚まで破壊する!!俺が破壊するのは、カマキリ野郎の伏せカードとガキの永続魔法だ!!」
光の柱より発生した突風が二人のカードを吹き飛ばした。
「くっ・・・!」
「わ、私の《絶対守護域》が・・・!」
「へっ、ガキ!!これでお前のモンスターを守るカードは無くなったなぁ!さらに俺は《E/mマインド・デストロイヤー》の効果発動!このカードのペンデュラム召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体と手札を1枚を除外し、カードの種類を宣言する!相手の手札を確認し、宣言した種類のカードが存在した場合、そのカードを全て捨てさせる!!俺は《E/mサディスティック・ハッカー》を除外し、罠カードを宣言!!そして、このカードの効果を受けるのは、お前だ!!」
男が指を刺した先で、ハルが叫ぶ。
「そんな、さっき僕がカードを伏せようとした所を見ておいて、こんなの・・・卑怯だ!!」
「いいから、さっさと手札を見せろよ。ほら。」
ハルは歯を食いしばり、渋々手札を公開する。その手に握られた4枚の罠カードを見ると、男は高笑いした。
「はははっ!!その罠カード、全部捨てて貰おうか!!」
「ぐっ・・・!!」
ハルは震える手で、カードを墓地へ送った。男は続けざまに言う。
「俺はたった今、除外された《E/mサディスティック・ハッカー》の効果を発動!!このカードが破壊以外の方法でフィールドを離れた時、このカードをデッキに戻し、全てのプレイヤーに1000のダメージを与える!!だが、俺は《E/mサイコ・インフェクショナー》のペンデュラム効果を発動!このカードがペンデュラムゾーンに存在する限り、俺への効果ダメージは代わりに相手が受ける!!俺が選ぶプレイヤーはガキ、お前だ!!さぁ、喰らいやがれ!!」
空間を引き裂き現れた、細長い無数の腕を持つ魔術師はその指を伸ばすと、四方に電撃を放った。
「ぐっ・・!!(LP4000→3000)」
「ううっ!(LP4000→3000)」
「くっ!!(LP4000→3000)」
「あああっ!!(LP4000→2000)」
ダメージによろけるカケル達。より多くのダメージを受け、マーナの体は堪え難い衝撃に悶えた。
「大丈夫か、マーナ!!」
キジマの言葉に、マーナは擦れた声で答える。
「まだ・・・大丈夫・・・だもん。まだ・・・戦える!」
「ほう、ペンデュラムの力に耐えるか、ガキ。なら、お前のお友達から葬ってやろう!《E/mヘイト・スマイリー》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのレベル3以下のモンスター1体を破壊できる!《ハッピー・ラヴァー》を破壊だぁ!!」
魔術師はブーメランのように仮面を投げると、小さき天使を切り裂いた。
「《ハッピー・ラヴァー》が・・・!!」
マーナの表情が悲しみに染まる。キジマは焦燥に駆られた。
「まずい、これでマーナのフィールドはがら空き!!」
「ふははっ!!貴様らには、新たな支配者たるこの俺の、生け贄となって貰おう!!俺はレベル4の《E/mアルケミー・マイスター》、《E/mヘイト・スマイリー》、《E/mマインド・デストロイヤー》、《E/mディフィアント・デスペレイ》でオーバーレイ!!」
またしても黒き閃光がフィールドに渦巻く。ハルは男の言葉に耳を疑った。
「4体のモンスターを素材に・・・!?」
男は叫ぶ。
「歪なる世界に終焉訪れし時、新たな時代の王が生まれる!!世界を、星を、無窮の闇を越え、その頂きに降り立て!!エクシーズ召喚!!」
その光はまるで、全ての飲み込むかのように膨張し、やがて爆発的な速度で拡大する。
「轟臨せよ!!ランク4!!《E/m(イレイズ・マグニフィセント)ビッグバン・スプレマシー(★4/闇/悪魔/エクシーズ/0・0)》!!!」
次回 第24話「極限のドロップ・ドロー・後編」
※1話としては長くなってしまったので前後編に分けました。ご了承ください。
現在のイイネ数 | 61 |
---|
↑ 作品をイイネと思ったらクリックしよう(1話につき1日1回イイネできます)
同シリーズ作品
イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
---|---|---|---|---|---|---|
137 | プロローグ:終わりの始まり | 1166 | 2 | 2016-01-25 | - | |
57 | 01:生き残った戦士 | 1116 | 3 | 2016-01-26 | - | |
80 | 02:デッド・オア・アライブ | 1116 | 3 | 2016-01-27 | - | |
62 | 03:賞金稼ぎ・カケル | 1033 | 2 | 2016-01-28 | - | |
64 | 04:ゴミ溜めの地下街 | 1017 | 2 | 2016-02-02 | - | |
98 | 05:別次元の力 | 987 | 3 | 2016-02-03 | - | |
90 | 06:その時、何が起こったのか。 | 1009 | 3 | 2016-02-05 | - | |
73 | 07:レジスタンスの男 | 990 | 3 | 2016-02-08 | - | |
82 | 08:悪夢の爪 | 1148 | 4 | 2016-02-12 | - | |
93 | 09:純粋なる悪意 | 1031 | 3 | 2016-02-13 | - | |
112 | 10:過ち | 1092 | 3 | 2016-02-16 | - | |
112 | 11:分断された仲間たち | 927 | 2 | 2016-02-21 | - | |
100 | 12:新たなる出発 | 1123 | 2 | 2016-02-23 | - | |
116 | 13:邪悪な賢者 | 1005 | 2 | 2016-03-06 | - | |
126 | 14:忘却都市と生存兵 | 1171 | 4 | 2016-03-07 | - | |
96 | 15:悲しみの追憶 | 1039 | 2 | 2016-03-09 | - | |
154 | 16:強襲する黒羽 | 1154 | 2 | 2016-05-24 | - | |
88 | 17:第2の村 | 910 | 2 | 2016-05-25 | - | |
103 | EX:キャラ・設定まとめ※情報随時更新中 | 1052 | 0 | 2016-05-26 | - | |
100 | 18:月華の黒薔薇 | 1070 | 3 | 2016-05-27 | - | |
101 | 19:清潔を手に入れろ! | 1024 | 2 | 2016-05-30 | - | |
110 | 20:戦いは湯煙の中で | 1001 | 2 | 2016-06-01 | - | |
115 | 21:罠を越えた先に | 1027 | 2 | 2016-06-02 | - | |
116 | 22:渦巻くは、黒い欲望 | 944 | 2 | 2016-06-03 | - | |
61 | 23:極限のドロップ・ドロー・前編 | 911 | 2 | 2016-06-07 | - | |
94 | 24:極限のドロップ・ドロー・後編 | 968 | 2 | 2016-06-07 | - | |
85 | 25:秘められた殺意(ちから) | 963 | 2 | 2016-06-09 | - | |
73 | 26:闇の甲冑 VS 呪痕の牙 | 856 | 2 | 2016-06-10 | - | |
177 | 27:戦いの涙 | 1891 | 2 | 2016-06-10 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/10/25 新商品 SUPREME DARKNESS カードリスト追加。
- 11/22 03:01 評価 6点 《ブラック・ソニック》「総合評価:攻撃宣言時のため、BFの数を…
- 11/22 02:53 評価 4点 《BF-竜巻のハリケーン》「総合評価:ローレベルで展開能力があ…
- 11/22 02:47 評価 3点 《ブラック・リベンジ》「総合評価:《ゴッドバードアタック》で相…
- 11/22 02:14 評価 7点 《赤酢の踏切》「「使用後、場に残り続けるフリーチェーン除去」と…
- 11/22 01:39 評価 10点 《頼もしき守護者》「なんと、下級《エクソシスター》を《大霊術…
- 11/22 01:18 評価 10点 《ピラミッドパワー》「《妖精伝姫-カグヤ 》《妖精伝姫-シラユ…
- 11/22 00:06 評価 10点 《大寒気》「《ハーピィの狩場》の自壊を防ぐ他《女神ヴェルダン…
- 11/22 00:02 コンプリート評価 クリムゾン・ノヴァさん ⭐QUARTER CENTURY LIMITED PACK⭐
- 11/21 23:05 評価 5点 《Evil★Twin チャレンジ》「ちょっと弱すぎる。 一応相手…
- 11/21 20:56 評価 8点 《紅蓮魔獣 ダ・イーザ》「 相手が後攻を選択し、しかも《強欲で…
- 11/21 20:30 評価 10点 《スキルドレイン》「 遊戯王を脳筋フィジカルゲーにできる、超…
- 11/21 19:51 デッキ ガイア
- 11/21 19:47 評価 8点 《青眼の究極亜竜》「《青眼の究極竜》《真青眼の究極竜》に続く同…
- 11/21 19:34 評価 7点 《Evil★Twin イージーゲーム》「永続罠でキスキルかリィラ…
- 11/21 18:56 SS 79話 天道虫 その②
- 11/21 18:49 一言 リンクペンデュラムのオリカを作りたいんですがやっぱり不可能ですかね…
- 11/21 17:23 評価 8点 《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》「 『混沌を制す者』シリ…
- 11/21 16:45 評価 6点 《混沌帝龍 -終焉の使者-》「 嘗ての遊戯王を文字通り"混沌" と…
- 11/21 16:09 評価 8点 《超魔導剣士-ブラック・パラディン》「 3DSの最強カードバト…
- 11/21 15:56 評価 4点 《混沌の黒魔術師》「 エラッタ前に戻しても何とかなりそうな気も…
Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
1VS4でも全くヒケを取らないE/mデッキ。でもだいたいクリメイション・スレイヤーのせい。 (2016-06-07 09:02)
世界の崩壊を望む、そんな人間だって居るよというお話でした。本当に秩序も道徳もなくなってしまえば、むしろこういう人間の方が普通なのかもしれませんね。
新しいペンデュラムテーマが登場しましたが、その強さは出て来るエクシーズモンスターに集約されている。というのは、ちょっと前までの某ペンデュラムデッキ群をモチーフにしています。やや描写が極端になってしまいましたね。 (2016-06-07 14:05)