29枚目 歯車街　作：紅瑠璃

「ギア…タウン…。」
「そうだ。ここはギアタウン…ここにいる人たちは隣のシムアテから拉致してきた大人だ！」

私…クユリルがオードレアンの時計塔の地下に続く階段を下り、たどり着いた所それは「歯車街」だった。働く大人はシムアテの住民だと言う。その光景を見て、いくつか疑問を感じた。

「なぜここに街を？」
「古くから地下文明があったらしくてね…ここはその跡地だ。」
「ここで何をしているの？」
「兵器製造…とだけ言おうかな。」
「なぜ、大人を拉致したの…。」
「大人は子より力がある。それに親がいない子は学ぶこともできない。頭が良くならないアホの集まりだ。万が一、攻めてきてもどうにでもなる。」
「あの…大人たちの首についているものは…？」

私は今のところだが、最後に気になったものをあげた。拉致してきた大人達の首には何かはめられていたのだ。

「あぁ…それはね…。…おっと百聞は一見にしかずかな…オスクリタ様がそう教えてくれたよ。」

ボマーは笑いながら私を連れ、ある場所に向かった。その場所では一人の男性が首にはめられている物を弄ろうとしていた。

「全く…大人の中にもあういうアホはいるもんだ。君は…」

ボマーは男に向かい、機械を当てるとその人のデーターが出てきた。

「アミリク・ガーニック…。年齢は18…。ボマー…彼をどうするの？」
「こうするのさ…。」

ボマーは手に握れるほどのボタンを取りだし、ボタンを押す。すると先程まで首にはめられている物を弄ろうとしていた男…アミリクが爆発した。

「ここにいるやつら…皆の首にあるのはこの爆弾だ。私の気分次第でいつでも殺せる。が、クユリルのような美しい女性には優しくねぇ～。」

先程の彼は爆死…。彼はどんな思いで首の爆弾を外そうとしたのか…。考えようとすると悲しくなるので考えるのを止めた。

「ギアタウン…と言う名のボマーキングダムってわけね。好き勝手してなさい…。」
「クユリル…突然のようで悪いが君にはここの護衛をしてほしい。」
「何故？」
「こちら側の人手が足りてなくてね…。」
「…。居てはあげるけど…。」

ここで何をしているのかが気になる…が、人をボタン１つで殺すのは勘弁だ。それよりも勘弁なのは剣やナイフで殺す事だ。

～シムアテ～

「にゃふー。多少読み書き出来て助かった…。」
「でも、皆親がいないってのに呑気ね。」
「あの頃の年頃は…親が疎ましく思いますよ。」
「何々～。真保ちゃんには反抗期があったとか～？」
「ち、ちがいますよ！」

私たち…蜜柑、真保、アスナは授業のようなものを終え、疲れていた。

「でも、食事はどうしているのかしら…。」
「それは…自分達で作るが多いな。」

現れたのはラス。ラス・オントは私たちに料理と出してくれたが出てきたのは悲しくなるような物だった…。

「あ、ありがとう。ラス。いただきます。」
「いただきます。」
「トリムルート…。」

ありがとうの言葉でラスの顔が少し赤くなった気がした…。 ミカは見た！みたいな感じだった。あれ？あれは家政婦のような…。時間はそのまま食後、寝る支度となっていった。私はラスに突然呼ばれた。

「な、なぁ…。蜜柑よ。」
「にゃご？はは～ん。真保ちゃんだね！」
「ぬわっ！？///」
「一目惚れ～。」
「か、からかうなよ！と、友達からで良いんだ。何が好きとかさ、何が嫌いとか…教えてくれよ！」
「そう言うのは！自分で声かける！次に進めにゃいよ！」
「何が進めないの？」

真保がお風呂から上がってきたようで頭をタオルで拭きながらやって来た。私は…ラスの背中をトンッと叩き、部屋を出た。

「どうしたのかな…蜜柑さん。」
「な、なぁ…寝るまで時間あるだろ…。は、話そうぜ。」
「…ラス？どうかしたの？」
「…何でもない。」

影から見守る私は「違う！そうじゃにゃい！」と思いながらもラスと真保の会話を聞いていた。

「なーにしてんのよ…。」
「にゃう！？アスニャ…静かに…。」
「…もう寝るのだけど…。部屋は通って良いかしら？」
「バカっ！良い雰囲気にゃんだよ！」
「知らないわよ！今眠いのよ！」

私たちが大声で話すもんだからラスと真保にばれてしまった。

「…蜜柑さん？」
「…。」
「ったく…ほら、寝なさい。」

アスナさんにそう言われ、各自部屋に戻りその日を終えた。