18枚目 パワー・インジェクター　作：紅瑠璃

２度の爆発が起きたコロシアムではパニックの嵐となっていた。その対処にオジネクス王国の兵士が出動したがデーモン・ソルジャーやデーモンの騎兵の対処が優先的に行われていた。相手は人ではないためか少々押されている。

「王様…早くお逃げに…」
「皆が戦ってるのに一人だけで逃げれるか！」

王が民を守っているなかある男が近づいてきた。その姿に安心があった。

「ラギル！無事だったか！」
「なぁ…。王様…ヴァルキリーの心臓…どこにある？」
「そ、それは…」
「こんな状況だ。つべこべ言ってられないだろ。」
「そ、そうだな…それは…」

王が「ヴァルキリーの心臓」の有りかを喋り出す前に鉄の斧が投げられてきた。ラギルはその斧を掴み投げてきた相手を睨んだ。

「そいつは…今回の件の首謀者でしょ！あなたも見てたはずよ…。」
「赤の王女…アスナ…か。」

ラギルの前には金と銀の斧を手にしたアスナ・キルディムがいた。

～巨大倉庫～

「はぁ…はぁ…。くっそぉ～…アスナさん。私を置いていって。」

私は宮野真保…。私はアスナさんと一緒にいたはずだろって？いや、それが…。回りの敵を倒してる中アスナさんは私を置いていき私は敵から逃げる羽目になった。そしてとある倉庫の中へと逃げ込んだ。中は暗く、何があるのがわからなかったがそれは逃げ込んだ時だけ…今は何となくわかる。その中に面白いものを見つけた。

「デュエル…ディスク？でも銃？」

見つけた物はデュエルディスクだが、銃のような形をしている。ディスクパッドと銃の二つ…。この二つをどうすることでデュエルが出来るかは何となくわかった。そして、コンパクトになるデュエルディスクもみつけた。この倉庫がどんなものなのかわからないが今必要だ…人生で初めて盗みをすることを即座に決めた。悪いことをするというのはどんな悩み事よりも簡易的に決めることが出来る…そう感じた。ディスクパッドを腕につけ、コンパクトディスクと銃を手に持つ。…早速敵だ…。私は手にした銃型デュエルディスクで敵を…デーモン・ソルジャーを撃っていく。

「さぁ！来なさい。」

意気がるのはいけない…そう感じた。何故か？外に出て銃を構えると20騎以上その場にいて、全員が私をみている…。私は逃げるしかなった。

～教会前～

「ここにいる奴はあらかた片付けたが…。」
「にゃっふー！ほら、次いこうよ！」
「俺は…いけない。メルススを…。はっ。」
「にゅふー。メルススって？」

顔が近い…話は反らすことが出来なさそうだ…。仕方ない。俺はメルススの…妹の話をする。 メルスス…俺の妹だ。妹は病にかっている。その病はわからない…その病のせいで5年は汗を流し、ベッドの上で寝ている。その病を治すためにシリングを集め治してもらおうと言うことだ。シリングは多くもらえる話で困ることはないと考えている。

「じゃーさ…早く終わらせて続きをしよっ♪」
「しかしこんな状況では…」
「コロシアムじゃにゃくてもデュエルがあるし、対戦相手は私がいるよ！」

猫山はにへらっと笑いその場を離れる。光そのもののような顔だった。

～ラギルとアスナの場面～

「さぁて…あなた。先程の人の動きをしてない男…アイツに何かしたからそんな動きが出来たんじゃない？それと…6回の爆発…関係あるんじゃない？」
「まぁ。その二つは俺に関わっている。」
「あなたの目的は…。」
「ヴァルキリーの心臓だよ。」

ペラペラと話すので驚きだ。ヴァルキリーの心臓…この国に伝わる宝玉。宝玉が目当て…とも思えない。さらに闇掛かったものがあると感じた。

「あなたも生かしておけない人物…。」
「やるのか？力ずくは好きな言葉だ。」

緊張感が私の体に走る。汗も流れている。私は力ずくは嫌いな言葉だ。この状況の切り抜け方を必死に探し続ける。

「アァスナァさーーん！」
「真保！」

別の道から宮野真保がやって来た。手には見たこともない銃があった。というか、それを含め三点どこから持ってきたのか知りたいものがある。真保は銃を構える。これで挟み撃ちだ。真保はためらうことなくラギルに攻撃をする。放ったのは弾丸ではない…注射器…。ラギルはよろけて膝をついた。

「これがインジェクターシュート！ってね♪その注射器には神経を麻痺させる薬を入れてあるわ。」
「これでお仕舞いよ！」

私が金と銀の斧をふりおろす。勝負はここで決まる…はずだった。

〈ガキーンッ！〉

「ク、クラヌ…。」
「あなたらしくないな…あの娘の攻撃を受けるなんて。」
「…。」
「喋るのも困難か…。低脳なあなたはここには不要だ。」

私の攻撃を止めた黒い仮面の男…。彼はラギルに冷たく言い放つなり闇を開け、そこにラギルを突き落とした。

「あなた…クラヌ…と言うのね。」
「はぁ…。俺はクラヌ。」

仮面は顔全体を覆い、目や、口は見えない。

「んっ…あなた…どこかで…。」

真保は頭を抑えクラヌに声をかける。私…アスナ・キルディムはラギルの仲間…と言うことはドラゴディウスとドラゴノックスの仲間と連想付け金と銀の斧をカードに戻すとレイピアを抜き、構える。男…クラヌも剣を抜く。真保はしっかりと両手で銃を持ち、構える。