21枚目 キャット・レディー　作：紅瑠璃

～宿「コペルニクス」～

「明日の正午…蜜柑さん、デッキを見直そうよ。」
「そうね。あなたの忍者デッキ…強いけど出だしが遅ければ意味はないもの。」

私…猫山蜜柑は真保とアスナに見直しの提案を持ちかけられ、デッキの見直しをしていた。

「なるほど…蜜柑さんはダムルグ忍者…強いけど…。んー。」
「セットさせないだけで発動はできない…。」

魔封じの芳香があるとしてもそれを手札に来るのを待っていたら負けそう。アスナに聞いたところエクストラデッキからは1体しか出せない…。リンク召喚を多用しなくてはいけないがエクストラデッキの枚数は15まで、カツカツで困り果ててしまう。とりあえず「No.39希望皇ホープ」を3枚、「SNo.39希望皇ホープ・ライトニング」を2枚、「機甲忍者ブレード・ハート」を2枚、「No.12機甲忍者クリムゾン・シャドー」を2枚、「No.11ビッグ・アイ」を１枚、「No.89電脳獣ディアブロシス」を１枚、リンクモンスターを4枚入れてある。大丈夫だろうか…サーチェスはどんなデッキを使うのか…。

「そういえば…忘れてませんよね…。アスナさん…。」
「な、なんのことかしらね～。」
「…。」

蜜柑が自分のデッキで悩んでる中悪いが私…宮野真保はアスナさんに約束を忘れてないか確認するがアスナさんは惚ける。睨み付けてみるとアスナさんはため息をつき、口を開いた。

「蜜柑…真保…。あなた達に言ってないことがあるのよ。私…サイコデュエリストなの。」
「そうだったんだ…。実は私もサイコデュエリストなの！」

真保は蜜柑が広げていたカードを浮かび上がらせた。私のとは違う能力。

「私の能力は、カードに実体を与える能力なのだけど…条件があるの。」

条件…。それはこういうものだった。
●エクストラデッキのモンスターは実体を与えることは出来ない。
●レベルが4以下は実体を与えることはできる。
●魔法、罠はレベル1分として扱われる。
●実体を与えるほど体に負担が生じる。

「実際に使うと扱いにくい能力よ。」
「私も…できるかなぁ！」
「無理よ。サイコデュエリストの能力は一人一つのみ。多用は不可能。」
「でも皆がサイコデュエリストじゃない…密かに誇れるな。」
「そうね…。でも、サイコデュエリストだと言うことは言わない方が…いいよ。」

何故と問われたが素直には言い出せない。何故ならサイコデュエリストだと知られた人間がどんな末路を迎えるか、私は知っている。悪魔と言われ、有るものは火炙りの刑、有るものは魔物の餌、有るものはその身に余る拷問や罰を受ける。真保にはそんな事になってほしくない。私は真保を撫でるしかなかった。

「さぁ、お次は蜜柑。あなたの体について教えてちょうだい。魔物の姿についてね…。」
「わ、私は…。」

蜜柑は私に教えてくれた。元々、自分は猫で転生したら人の姿をしていた。前世の記憶はある上に魔物の姿にもなれた。そして、ある時に一人の学者に捕まり、猫と融合され猫の姿にもなれるようになったと…。

「その…私…猫って見たことないの。猫の姿になってみてよ。」

私は猫を知らない…真保が他に他にと出した犬、ウサギ、ネズミも見たことがない。まぁヴァルコニア始めあの地域は貧困地域になるから知らなくて当たり前か…。

「コレが…猫…この目、耳、顔、腕、肉球、可愛いわね～。鳴き声はにゃぁ～…って鳴くのね。あ、あら…寝ちゃった。」
「寝るのが仕事って言うぐらいだから日中は暖かいとこで寝て、夜は寝てますよ。」

蜜柑は人の姿に戻ると、再びデッキの見直しを行う。そしてデッキが完成されたのは宿の風呂を上がって寝る前だった。部屋の壁はまぁ、寒くない程度には直されている。

～オグラル教会～

「…。メルスス…俺が側に居る。」

明日の正午…それに備え俺はメルススが眠るベッドにいた。お前の病は俺が治す。そう呟き、コロシアムがあったところを眺めた。