1枚目 異次元からの埋葬　作：紅瑠璃

「蜜柑さーん！蜜柑さーん！どこですかー！」

いきなり何故私が蜜柑さんを探しているのか…それは数分前に遡る。

～数分前～

「ホントだって！光がこの辺りに落ちたんだよ！」
「どうせガキのイタズラだろ？鏡とかでよ」

数分前、この王国近くの山に２つの光が落ちてきたと言うことで男が4人見に来たそうだ。そのころ私は意識がハッキリとしない中その声を聞いていた。無論、落ちてきた光というのはタイムカプセルのような物体に入っている私たちだ。

「おいっ。あれだよあれ…。二つあるだろ？」
「ほ、ほんとだ…。しっかしでけぇな…売れるのか？何に使うかもわからねぇのによ。」
「そういうのはグリムゴートについてからで良いだろ。ほら、二人ずつで運ぶぞ！」
「せいのっ！…だ、ダメだダメだ。持ち上がらねぇ。」
「異次元からの棺桶だったりして…。」
「変なこと言うなっ！こんなかに死んだ人が入っているとでも？それもこれも運んでからだ！」

四人の男達はこの物体が重たいと…確かに重そうだ。徐々に手足の感覚を取り戻した私は耳を澄まして聞いていた。何故出ていかないのか？面倒ごとにはさせたくないからだ。

「よしっ！１つだけでも持って帰るぞ」

一人の男がそういうもので皆はそれに賛同したのか蜜柑さんが入っている物体を持ち上げ下山しようとしていた。さすがにそれはいけないと扉を開けようとするが開かない。宇佐見さんに「中から開けるときはこのレバーを下げてね」と言われたのでその通りにするが開かない。壊れてしまったのか…しだいに男たちの声は聞こえなくなった。男たちの声がしなくなってから何度か試した後開いた。私は急いで降り、辺りを見回すが男どころか蜜柑さんが入っていたカプセルすらなくなっていた。そして今に至る。

「ここはどこなのか…。城壁？みたいなのがある…王国かな。とりあえず探さなきゃ。」

景色は不思議な感覚だった。見たこと無いような木々、渚町とは違う空気。私は急いで下山すると村なのか…そこに出た。男達は確か…グリムゴートに行けばわかると言っていた。つまりはグリムゴートを目指した方が良いのだろうが全くわからない。私も姉同様人に話しかけるのが苦手だが声をかけてみる。

「す、すいません…。」
「なにかしら？」

驚いたことに日本語は通じるようだ。村があるということは多少なり文化はあるのだと確信した。私はグリムゴートに行くための道筋を訪ねた。声をかけた人はクスッと笑いながら指を指した。指が示した場所は大きな門があるとこだ。お礼を言い、その門に向かう。するとそこを警備している人…兵士だろう。その兵士に止められた。

「貴様…見慣れぬ奴だ何ようでこのグリムゴート王国に入るか。」
「わ、わたしっ宮野真保って言います！先程大きな物体を担いだ男達を見ませんでしたか？」
「それならこの先に入っていった。」
「そ、その物体の関係者ですっ！通らしてください。」

だが兵士は首を縦に降らず横に降った。

「この門を潜りたくば50シリングを出してもらおうか」
「シ、シリング？」

どうやらシリングというのが必要らしい…あの話からしてシリングはお金なのだろう。つまり、今の食費も寝床もないとなる…。これではわけわからない地について早々倒れてしまう…待てよ。あの男達はまた来るかもしれない…それにかけるしかない…。

〈グゥゥ…〉

「お腹が…」

お腹がなってしまった。空腹の限界も近い…。元の山に戻りながら両手を白衣のポケットに入れる…。

「ん？フルカロリーが4本と透明薬が１本。他にも薬がたっぷり…。」

私が持ち込んだのだ…普段から何があっても良いように消毒薬やフルカロリーといわれる食べ物、透明薬等を入れているのだそれがこうも役立つとは…私はフルカロリーを１本食べる…一日分のカロリーを体に取り入れることにより今から丸一日何も食べなくても平気…だろう。透明薬があるのだからそれを服に染み込ませ、残りを飲めば完全に透明になれるが…門があく気配もない。あまりしたくないが…この注射器を射すしかないのか…私の手にあるのはハッピーシリンジー…快楽を与える薬だ。私は一人である作戦を思い立った…見張りをしている兵士は一人。きっと夜も一人だろう…そうであってほしい。となれば作戦開始まで時間があるため、この村の周辺を捜索することにした。

「すいません…この周辺の地図とかはありますか？」
「チーズ？」
「地図です！どこに何があるー。とか…。」
「あぁ…地図ね。ほら、あそこに看板があるだろ？あれの向かいのマッサージ屋に地図があるんだ。」

また、私は礼をする。またもや会話ができた。しかしたまに訳のわからない単語が出てくる。それは多少の文化の差だろう。私は言われた通り地図を確認する。

「今私がいるのはグリムゴート王国近くの村だからここね。グリムゴート王国には海があるのね…。」

～夜中～

私は作戦を開始する時だと考えている。こう夜になるまで門の近くにいたが誰も門をくぐらなかった。作戦はこうだ…兵士が一人のとこをハッピーシリンジーを持った私が近づきハッピーシリンジーをその兵士に注射する…その間にグリムゴートに行くということだ…。

「…。あーでも怖いな。やるか。」

私は兵士に近づいた。やはり止められてしまったが女だったのか…一人でバレないと思ったのか頭の鎧を外し私の肩を抱いてきた。そして私はむき出しの顔にめがけ注射器を刺し、ハッピーシリンジーを注入する。兵士は倒れたが快楽を与えているためビクンビクンと打ち上げられた魚のようになっている。その間に門をくぐる…はずだった。

「誰だっ！貴様！」
「うわっ！？」

なんと別の兵士に見つかってしまった。逃げるもあっさりと捕まってしまった。

「お前、怪しい奴だな…殺してやるぞ！」
「ひいっ！ご、ごめんなさい！お、お友だちを探してまして…。と、と言うかある四人の男を探してまして…。助けてください。」

あいにくハッピーシリンジーを奪い取られ何もできない…必死に命乞いをする。そんな中私が無理矢理に連れてこられたのは檻の中…。ぶた箱だ。元いた町で言う警察署らしき所がありそこにつれてこられこの檻の中に放り込まれた。一時的な場所らしく、明日の朝一には王の耳にはいるのだろう。愚痴を呟いていた。

～翌日～

私は王室に連れてこられた…罪状は兵士への攻撃、グリムゴートへの無断浸入だ。

「罪人…名は？」
「み、宮野真保です…。」
「聞いたことがないな…何故無断浸入をした？」
「…と、友達を探しに…話を伺うと…見たこと無い物体を担いだ男達がこの国に来たとか…その中に友達が…。」

話終えると無音が漂う…。心拍数がヤバイことになっている…。王が何か合図をする。私はまた、何処かに連れてかれるようだ…。最悪な状況を予想していた…しかし私は町に連れてかれとある店らしき所に着いた。中からは笑い声が聞こえる。

「にゃっはっは！面白いね！」
「さすが話が通じるって良いねぇ！…おぉぅ。グニル兵長…な、なんでございますかね？」
「この女の友達を探しているのだがお前ら、昨日何か持ってきたようだがその中に…」
「はぁぁっ！蜜柑さん！」

私が見たのは聞き覚えのある声を発する男達四人と蜜柑さんだった。王様は優しい方で全く知らない私の協力をしてくれたのだ…。そして、蜜柑さんに事情を聞く。

「にゃぅ…目を覚ましたらここで…この人たちによくしてもらってたの！」

私の心配や恐怖を知らないで…それよりも無事に再開することができた。その王様にお礼がしたい。私は兵長と呼ばれた人に頼んでみた。そしたら快く受け入れてくれた。

～王室～

私と蜜柑さんは王様にお礼をした。

「何の何の…私は困っている人の味方じゃよ…はて、それはそれ、これはこれなのだが…。無断浸入と兵士への攻撃。この二つをどうするか…。」

私の顔が一気に青ざめたのは何となくわかる。蜜柑さんの弁解により私は２週間檻の中に入ることになってしまった…。