11枚目 ゴブリンのやりくり上手　作：紅瑠璃

デッキがない私はアスナさんに連れてかれとある店の前にいた。アスナさんはこの店の主人を「ゴブリン」と言うので私がもんもんと考えていると「ゴーブ・リンだよ。皆してゴブリンって言うけど…。」と話した。ニックネーム的なものだろうか…私とアスナさんはその店の中に入る。そもそもアスナさんは色々と仕事があるはずだが空いた時間で…いや、無理矢理空けた時間で私といる。今は王位を譲る為の会議だがなんだかをしているはずなのに…そういえば次の王は誰なのか、私は聞いた。

「私の妹…シャーシよ。可愛いのよ♪年齢は…いや、秘密よ！」

シャーシ・キルディムが次のヴァルコニア王国を納める訳だがこの人のようになるのだろうか…。数日しか付き合ってないがかなり無茶をする性格なのがわかった。

「にしても…来ないわね。ゴブリン！」

〈ガンガラガッシャーンッ！〉

「は、はーい。おぉ…アスナさん！」

大きな物音がすると一人の男性がやって来た。縦横に大きな人だがどちらかと言うと横に大きく、年齢は中年とか…その辺だろう。ターバンのような帽子に赤い羽織ものが目立つがどうしても腹が目立つ。

「今日はどのような用件で？」
「そうね…この眼鏡ちゃんのデッキが欲しくてね。」

確かに私と言えば「眼鏡」「薬剤師」「白衣」「緑」だろう…店の品物的には壺が主だがまぁ衣服も食品もあるから多種ある。ゴブリンと呼ばれた男は私を手招きするとある部屋を案内してくれた。そこには右も左もカード…何から手をつけてよいのかわからなくなるほどだ。

「ゴブリン。シリングは私が出すから…とびっきり強いのあげてよね。」

アスナさんはそういうと私をおいて何処かへ…きっと仕事だろう。シリングはこの世界で言う「お金」であることが薄々わかった。にしても…横に大きい中年の男性と中学生の女子が二人っきり…危険な香りはする。

「眼鏡ちゃんはこの属性、種族、召喚方、戦術とかある？」
「え？あぁ…シンクロを使うのが好きです。気がつくとサイキック族を使います。」
「PSYフレームかな？」
「でもあれはシンクロをするには少々遅い気が…。それにシンクロのレベルが7と8。また、癖が強くて…私には扱いにくいですかね…。」

するとカードを漁るゴーブ・リン…おっと癖だ。ゴブリン。私は再度確認と言う体でデュエルのルールも教えてもらうことにした。

～城の中～

「にゃーぅ？」

私は用意された部屋で自分の「忍者」デッキを見直していた。ホープ忍者が良いのか…ダムルグ忍者がよいのか…忍者と１つとっても多種多様…渚町に居た間は「忍者ウリア」や、「シンゲツロック」や何故か知らないが「召喚忍者」があった。ただ他のデッキが強いのもあってか上位で見たことはない。この世界ではインターネットはない。

「この世界にも忍者カードあるかも…。」
「あの…。」

扉が開き、顔が見えた。その顔は幼く、髪の色は何処と無くアスナに似ていた。

「にゃんでしょう？」
「あなたがグリムゴートの猫？」

そんな通り名は知らないがある程度あってそうなのでそう答えた。すると室内に入ってきて握手を求められた。

「私はシャーシ・キルディムです。お父様の国を助けていただき、ありがとうございます！」
「んにゃ？キルディム…？アスにゃの…？」
「ん？アスニャ？」

そうだ…私は「な」が言えない。頭の中では言えても口では言えない…毎日練習はしているが言えない。その事を伝えると理解してくれて納得してもらえた。

「私はそのアスナ・キルディムの妹…シャーシ・キルディムです。次期王女です。」
「あぁ…あにゃたが…。頑張って下さい。」

素っ気ない態度が嫌だったのか私の背中に乗ってきた。

「私は13歳です！子供扱いしないで下さい！」
「十分…二十分子供だよ。そうだ…この国でカードがあるとこにゃい？」
「それでしたら…ゴブリンの店はどうでしょう？」
「にゃにゃ！？それは…緑色の全裸のぼっ…」
「なんのことです？」

確かに13歳に何てことを言おうとしたのか…。前々に読んだ同人誌か。そんなことよりもその店にアスナさんと真保ちゃんが行ったような…その時何故行かなかったか？それはとても重要な日向ぼっこをしていたからだ。

「どこにあるのさ？」
「教えて差し上げます！ついてくるです！」

あんなのが次期王女か…。そう思いこの国の安泰を祈り、シャーシ・キルディムの後を着いていく。

～ゴブリンの店～

「う～ん。サイキックと言えど難しいな。」

まだ悩んでいたサイキック…シンクロ。と言えど先ほどまでルールを教えてもらっていた時間が大半だ。

「眼鏡ちゃんは飲み込みが早くてイイね！」
「あ、ありがとうございます…。ん？」

チラッと見たことカードに何処か魅力を感じだ…そのカードはチューナーでレベル2で効果が面白く名前も好みだ。

「この…バイオゲノム？色々と見せてください！」
「バイオゲノム…ちょっと待ってな…。ほれ。」

出されたのはシンクロモンスター。次に魔法、モンスターと出てくる。

「バイオゲノム・キャット…バイオゲノム・ドッグ…。」

私の顔に笑顔が出たのは私自身でもわかる。あとは関連カード、使えそうなカードを漁り出すだけだ。

「ゴブリン！」
「おぉっと…またお客さんだ。」

ゴブリンが退室するとすぐに戻ってきた。蜜柑さんとアスナさんに似た女の子が入ってきた。

「んにゃ！真保ちゃんまだ居たか！この子がアスにぁさんが言ってた妹だよ。」
「シャーシ・キルディムです。この人の案内役で来たのです！シリングは姉に請求です！」
「ははっ！さぁさぁ…何でも買って下さいねぇ。もうどーんと…。」

蜜柑さんは新しくカードを入れたいとこの店に来たようだ。蜜柑さんのデッキは「忍者」なのでその関連カードを探す。私も「バイオゲノム」のカードを探さなくては…。


～オジネクス国～

「んー。コロシアム…楽しみだなぁラギル。」

闇の組織である俺がこんなことをしなくてはならないなんて…。もういっそのことこんな国を破壊してしまおうか…。そんなことしたらオスクリタ様に消されちまう。そもそも頭の弱い俺に相談するなんて物好きだ…。俺は王室を出ると隣に居たクラヌに出くわした。

「自由に歩いてんじゃねぇーよ。彼女は？」
「そんな関係じゃない…。今は踊り子の仕事だ。にしても何度見ても闇の存在である俺らがこんな光に生きるなんて」
「あぁ…。まぁこれも星の源を集めれば神のカードが手にはいるんだ。そのためだと思えば…な。」

神のカード…融合、シンクロ、エクシーズにはそれぞれ神が存在する。今は融合の神を手にしているが残り２枚…それを手にするには星の源が必要となる。俺は再び闇の中へと戻る。光は…眩しすぎる。