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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第24話:試される覚悟

第24話:試される覚悟 作:光芒






―――な、何者だ貴様は!! 一体何処から……

 遊季都とドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンの間に割って入った1体の蒼い光の竜。突然の乱入者に声を荒げるジョロキアに対して、竜は怒気を込めた咆哮で返す。ジョロキアの言葉を理解しているようだが、竜からは「貴様と話すことなどない」とばかりに拒絶の様子が見て取れた。

(一瞬だった。ほんの一瞬の間にあのドラゴンは遊季都を守るようにして現れた)

 その場にいた者の中で唯一、光の竜の動きを見切れたのは遊路ただ一人であった。かつて様々な世界を回り、破滅の危機に晒された自分たちの世界を救った彼はその時の経験からかそういった事態に目が慣れていたのだろう。しかし、様々な世界を旅したからこそ遊路は感じていた。その竜からはかつてとある世界で共に研鑽を積んだある人物の影を。

―――主様、先程からあの竜をじっと見つめているが……あやつを知っておるのか?
「いや……だが、何処か見知った感覚を覚えるんだ。初めて会ったとは思えない、そんな感じのな」

 遊路たちが見守る中、光の竜は鋭い眼光でドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンを睨みつける。対するドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンはその竜のことを恐れているのか、それとも攻撃できないのか。その二色の眼で光の竜の眼をじっと見据えていた。

―――何をしている、覇王星竜! その邪魔者を駆逐しろ!

 だが、そんなドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンもジョロキアの指示に逆らえないようで、左手で頭を抑えながら攻撃態勢に移る。ドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンの放つ真紅の光を浴びたものは悪魔であろうと紅水晶の牢獄に閉じ込められてしまう。実際にラズベリーがその犠牲になった以上、精霊がまともに受けてしまえばきっとそうなってしまうはずだ。

「に、逃げて……! あの光を受けると……!!」
―――心配は要らないわ。
「!?」

 もうラズベリーのような目に遭うものを増やしたくない。遊季都は光の竜に対して逃げるように伝える。そんな彼の脳裏には美しい女性の声が響いた。

―――逃げずに向かってくるか。ならば死 ねぇ!

 真紅の光が光の竜に対して放たれた。瞬く間に飲み込まれていく光の竜であるが、その竜を覆っていった真紅の光は蒼い光に中和されるかのように消えていく。よく見てみると、その攻撃は徐々に光の竜の中に取り込まれていった。この竜がドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンと同じデュエルモンスターズの精霊であるのであれば、この竜も精霊の力を持っていると思われる。

―――馬鹿な、覇王星竜の攻撃が……!?

 ドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンの放った光を全て吸収し、それを自らのエネルギーに変換した光の竜はそのままそれを撃ち出した。蒼い光の一撃は数倍の威力となって撃ち返され、ドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンをジョロキア諸共飲み込んだ。ドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンは自分が作り出した紅水晶に叩きつけられると、頭を打ったのかしばらく動けないようだった。

―――わー、すごーい!
「なんという力……これなら遊大さんを助けることが……」

 しかし、追い打ちをかけるチャンスでありながら光の竜はそれ以上の攻撃を仕掛けようとはしなかった。このままドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンを倒すことはできる。しかし、諸悪の根源は洗脳の主であるジョロキアであり、ドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンではない。恨むべき仇敵は悪魔のみなのだ。それを悟った光の竜は後ろを振り返ると、遊季都たちを光の球体へと包み込む。

「えっ!?」
「わ、わ、身体が浮いてるんだなぁ」
―――今からあなたたちを遠くに飛ばす。そこで落ち合いましょう。
「ま、待ってください! あなたは……」
―――話は後。まずはあなたたちを安全なところまで連れていく。

 次の瞬間、遊季都は物凄い速さでその場から移動させられるのを感じた。その心に囚われの身となったラズベリーを思う気持ちを残しながら。




















「遊季都、遊季都!」
―――しっかりしろ、遊季都。

 自分の名を呼ぶ声に反応して目を空けると、すぐ横には遊路の姿があった。起き上がった遊季都たちは原っぱのど真ん中にいた。そこは遊大と遊路がデュエルをしたあの地であった。

―――よかった、遊季都。目覚めた
「遊路さん、ポップロック、チャーハン……」
「よかった、意識ははっきりしているようだ。怪我はないか?」
「は、はい。でも、僕のせいでラズベリーが……」

 周りには梓や盛雄はもちろん、ポップロックら悪魔たちもいた。しかし当然のことながらそこにラズベリーの姿はない。もしもラズベリーが捕まったことが夢であったならばどれだけ嬉しいことか。頭をぶんぶんと振りながら立ち上がった遊季都は後ろの方から強い力を感じた。振り返ってみると、そこには自分たちを助けてくれた光の竜がいた。光の竜はまるで銀河が渦巻いているような美しい瞳で遊季都を見つめていた。

―――全員揃っているようね。まずは一安心、と言ったところかしら?
「あ、あの……さっきは、その……助けてくれて、ありがとうございました」

 改めて目にする光の竜はとても美しく、遊季都は直視することができなかった。そのため言葉が不自然なタイミングで途切れ途切れになってしまう。

―――礼には及ばないわ。こちらこそ、あなたの大事なものを取り返せずに終わって申し訳なかった。できることなら取り返したかったのだけど……

 対する光の竜はどこか申し訳なさそうにしていた。光の竜が言うにはジョロキアの洗脳が思ったよりも深く根付いているようで、遊大を助けるには洗脳の主であるジョロキアを完全に消滅させなければいけないという。光の竜からしてみれば、遊季都たちを守りつつジョロキアを倒すというのはあの状況では難しいと判断し、一時撤退という道を選んだのだった。

「そんな、ラズベリーを助けてくれようとしただけでもありがたいです」
―――優しいのね、あなたは。まるで彼みたい。
「彼?」
―――……こっちの話よ。あなたはあの悪魔……ラズベリーを助け出したい。そうよね?

 光の竜のその問いに、遊季都は首を縦に振る。ラズベリーを助け、遊大を洗脳から解放する。それが彼の願いだ。光の竜は遊季都の想いを受け取った上で告げた。

―――私はすぐにでもドラグリステル・ペンデュラム・ドラゴンを止めに行く。でも……あなたを連れていくことはできない。
「えっ……?」

 その非情な言葉に遊季都の思考が停止する。何も言葉を続けられずにいる遊季都に代わってポップロックとチャーハンが光の竜を問い質す。

―――光の竜よ、何故遊季都を連れていくことができないんだ?
―――遊季都はラズベリー様を助けたいし、遊大を助けたい。その思いはとても強い。

 ラズベリーほどではないが、ポップロックとチャーハンも遊季都と契約してそれなりの時を過ごしてきた。ラズベリーほど彼を溺愛している、というわけではないが、彼らも遊季都の人となりは知っている。そんな彼に本懐を遂げさせたい。悪魔でありながら、悪魔らしからぬ人間らしい理由で遊季都の同行を求めた。
 光の竜は彼らの訴えを遮ることなく聞き届ける。その様は精霊と言うよりも何処か人間臭さを感じさせるものであった。だが、全てを聞いた上で光の竜は何故遊季都を連れていけないのか淡々と述べる。

―――……確かに彼の思いの強さは伝わってくる。でも、思いばかりが強くても意味がないわ。それに伴うだけの力が必要なの。相手は精霊を洗脳するだけの力を持った悪魔であり、そしてその洗脳によって力を増した精霊。悪魔と契約しているとはいえ、相手取るはそれ相応のリスクが生じる。果たして彼にそのリスクを受け入れられるだけの実力があるのかしら?

 言うだけ、思うだけであればそれは誰でもできることである。しかし、実行するになれば話は別だ。どれほど飾り立てられた言葉であっても、中身が伴ってなくては意味がない。

―――それに相手はあなたが助けたいと願う高海 遊大。彼と友情を結んだあなたはそんな彼と戦うことになる。親友同士傷つけあうことなるかもしれない。そんな状況でも、あなたはいつものあなたでいられるのかしら?
「っ……」
「なあ、ちょっといいかな?」

 返答に困る遊季都に助け船を出したのは他ならぬ遊路であった。遊季都と光の竜のやり取りをそれまでずっと黙って聞いていた遊路であるが、彼の思いもポップロックやチャーハンのそれと同じであった。

―――何かしら、風峰 遊路?
(まだ名乗ってないのに俺の名を……やっぱりそうか)
「もし遊季都にその思いの強さを裏付けるだけの力があったんならどうする?」
「……遊路さん?」
「遊季都、ラズベリーを失ったばかりで心中穏やかじゃないことはわかるが……お前、今デュエルできるか?」

 遊季都は遊路の言いたいことをすぐに理解した。光の竜に遊季都の実力をデュエルで示す。デュエリストならではの解決方法であった。

「はい! 僕、できます!」
―――……なるほど、デュエリストならデュエルでその力を示す。単純だけど明快な解決方法ね。いいわ、乗ってあげる。その代わり……あなたのデュエルの相手は彼女に務めてもらうわ。
「彼女?」

 遊季都が首を傾げると、光の竜が自身の身体を粒子へと変えて消える。それと時を同じくして“彼女”こと白朧院 梓が一歩また一歩と歩き出した。ここに来て何故梓とデュエルをするのだろうか、と思った遊季都であるが、対峙した梓の瞳の中ではあの光の竜のそれと同じように銀河が渦巻いていた。
 この姿のままではデュエルはできない、と思った光の竜は自身の意識を梓の意識とシンクロさせることで彼女に憑依したのである。

「白朧院……さん?」
「赤崎さん、私がお相手致しますわ。あなたがこのデュエルで力を示せば、あなたにも悪魔と戦うという大役を担って頂きます」

 もちろん光の竜自らが人間の姿に変身してデュエルをすることのできるのだが、これからの戦いで対峙するのはすっかり親友となった遊大だ。いざ彼と戦うことになった場合、その気持ちが鈍らない可能性がないとも言い切れない。そのため、敢えて遊季都にとって大事な仲間である梓の身体を借りて対峙することで、その決意が本物かどうかを試す。それが光の竜の真意であった。

「わかりました。僕も全力で行きます!」
「その意気ですわ。あっ……そう言えば大事なことを言い忘れていましたわ」
「大事なこと?」









―――そう言えば自己紹介がまだでしたわね、私はデュエルモンスターズの精霊―――









―――《覇王星竜ドラグリステル・フォトン・ドラゴン》!!―――








―――赤崎 遊季都さん、このデュエルであなたの力を私に示しなさい!!―――












●次回予告

音無 林檎
「高海くんを、そしてラズベリーさんを助けるため。ゆっきーはあずにゃんの身体を借りたデュエルモンスターズの精霊、覇王星竜ドラグリステル・フォトン・ドラゴンとのデュエルに臨む。でもゆっきーが見たこともないモンスターが次から次へと繰り出してきていきなりピンチに!?」

次回 猛攻、銀河眼(ギャラクシーアイズ)!

音無 林檎
「ちなみに作者は最初盛雄くんに憑依させようとも思ったらしいけど、それだとギャグが強くなっちゃうからやめたんだって。盛雄くんに憑依すると許●ョが●瑜になるようなものだから違和感しかないだろうしねー」







●後書き
 Alesさん作の「雪と光竜と夢幻世界」において「雪と光竜と夢幻世界」×「銀河竜を駆る少女」「虹彩竜と歩むもの」のコラボレーションが開催されます。天都 遊希や高海 遊大といった作品の顔をはじめとしたキャラが活躍する、とのことですのでそちらも宜しくお願い致します。







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ギガプラント
⚫褚が周⚫に……確かにギャグっぽくなってしまいそう。声は変わらないのに…。
相棒を残していくのは辛い展開ですね。力を示すため遊季都君のデュエルが行われますが、今回はラズベリアが使えないんでしょうね…ちょっと悲しいところです。 (2019-02-27 02:04)
光芒
ギガプラントさん
無双をやってその二人の声優が同じ人と知って仰天した記憶があります。孫策と龐統、関平と丁奉が同じなのも未だに信じられませんが(脱線

>相棒を残していくのは辛い展開ですね。力を示すため遊季都君のデュエルが行われますが、今回はラズベリアが使えないんでしょうね…ちょっと悲しいところです。
切り札兼一番の相棒であるラズベリーがいない状態で遊季都がどれだけ戦えるか、ということを示す戦いになりそうです。
(2019-02-28 00:29)

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