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第3話:目覚める覇王 作:光芒
(あのセットカードのうちの1枚はまず間違いなく《ブレイズ・キャノン・マガジン》だろう)
《ブレイズ・キャノン・マガジン》
永続罠
「ブレイズ・キャノン・マガジン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのカード名は、魔法&罠ゾーンに存在する限り「ブレイズ・キャノン-トライデント」として扱う。
(2):自分及び相手メインフェイズにこの効果を発動できる。手札の「ヴォルカニック」カード1枚を墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする。
(3):自分及び相手メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「ヴォルカニック」カード1枚を墓地へ送る。
頭目の男の使うデッキは【ヴォルカニック】。ヴォルカニックは炎属性・炎族で統一されたテーマであり、その多くがバーンダメージを与える効果を持っている。そして【ブレイズ・キャノン】と名のついた魔法・罠カードとも密接な関係を持っており、この2種のカードを組み合わせることで真価を発揮するコントロール色の強いデッキと言える。
(ブレイズ・キャノン・マガジンをサーチしたということは残り1枚の手札はたぶん“あのカード”だ。あのカードでこっちの攻め手を崩しつつ、俺のライフを削るつもりだろう)
デュエルとはそう簡単に勝てるものではない。全てのデュエリストは二人のうち一人しか得ることのできない勝利というものを得るために持てるもの全てを駆使して自分だけのデッキを作り上げる。男は裏稼業の人間であるため、人として遊大とは全く相容れない存在であるが、デュエリストとしてデュエルをする以上、このデュエルには全力で臨む。それがデュエリストとしての礼儀なのだ。
☆TURN02(遊大)
「俺のターン、ドロー。俺は手札から魔法カード《オッドアイズ・リ・バース》を発動」
《オッドアイズ・リ・バース》
通常魔法(オリジナルカード)
(1):自分の手札を2枚まで捨てて発動できる。自分のデッキからカード名の異なる「オッドアイズ」カードをこの効果を発動するために捨てたカードの数だけ選んで手札に加える。この効果を発動するために墓地へ送ったカードと同名カードを手札に加えることができない。
(2):墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動できる。自分の墓地に存在する「オッドアイズ」カード1枚を選んで手札に加える。「オッドアイズ・リ・バース」は1ターンに1度までしか発動できず、このカードの(2)の効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
(遊大さんのデッキは【オッドアイズ】……でもあんなカード見たことない)
―――彼も“オーダーカード”の使い手なのかもしれないね
遊大の使うオッドアイズというテーマのカード自体は遊季都も知っている。だが、遊大の使うオッドアイズの中には遊季都の知らないカードも存在していた。遊季都も持っているが、遊大のこのオッドアイズの中にも彼同様にこの世界でただ一人だけが持つという特別なオーダーカードが存在するのであろう。
「俺は手札の《覇王眷竜ダークヴルム》と《EMオッドアイズ・ドラグーン》を墓地へ捨てて発動。デッキから《オッドアイズ・ファントム・ドラゴン》と《EMオッドアイズ・ユニコーン》の2体のカード名が異なるオッドアイズを手札に加える」
「オッドアイズ……しかもオーダーカードの使い手と来たか。世間で虹彩の皇子と言われるだけあるな」
「さっきからその……虹彩の皇子という呼び方はやめてもらえませんか? 柄ではないので。というか俺いつの間にそんな風に呼ばれてるんですか」
噂とは本人の知らないところで尾鰭がついて広まっていくものである。遊大も御多分の例に漏れず、不良や悪人を懲らしめたり、困っている人を助けたりといった彼の正義感から行ったことが徐々に都市伝説化してしまっていたパターンであった。
「まあいいです、デュエルに戻ります。俺は墓地の覇王眷竜ダークヴルムの効果を発動」
《覇王眷竜ダークヴルム》
ペンデュラム・効果モンスター (制限カード)
星4/闇属性/ドラゴン族/攻1800/守1200
【Pスケール:青5/赤5】
(1):1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキから「覇王門」Pモンスター1体を選び、自分のPゾーンに置く。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしかP召喚できない。
【モンスター効果】
このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「覇王門」Pモンスター1体を手札に加える。
(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。
「墓地にこのカードが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合。ダークヴルムは墓地から特殊召喚できます。特殊召喚に成功したダークヴルムの効果を発動。デッキから《覇王門零》を手札に加える。そして俺は手札から《EMドクロバット・ジョーカー》を召喚」
《EMドクロバット・ジョーカー》
ペンデュラム・効果モンスター(制限カード)
星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守100
【Pスケール:青8/赤8】
(1):自分は「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「EMドクロバット・ジョーカー」以外の「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターの内、いずれか1体を手札に加える。
「召喚に成功したドクロバット・ジョーカーの効果を発動。デッキからドクロバット・ジョーカー以外のEM、魔術師Pモンスター、オッドアイズモンスターのうち1体を手札に加えます。俺は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を手札に加える。そして俺はレベル4のダークヴルムとドクロバット・ジョーカーでオーバーレイ!」
―――おっ、エクシーズ召喚ね!
X(エクシーズ)召喚は同じレベルのモンスターを複数体揃えて素材にすることでそのレベルに応じたランクを持ったモンスターをEXデッキから特殊召喚する召喚法である。Xモンスターは素材にしたモンスターをオーバーレイユニットとし、そのオーバーレイユニットを消費することで効果を発動するのだ。
「“漆黒の闇より現れるは、愚鈍なる力に抗う反逆の牙。幻影に潜みし竜よ、全てを貫け!” 咆哮せよ《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
レベル4のダークヴルムとドクロバット・ジョーカーを素材にしたことで現れたのは漆黒の鋭い牙を持ったランク4のダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン。ランク4のXモンスターを代表するモンスターの1体であった。
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。
「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果。オーバーレイユニットを2つ取り除き、相手フィールドに表側表示で存在するモンスター1体を対象として発動。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップさせる。対象はもちろんアグニマズドVです」
「だったらその効果にチェーンしてリバースカードオープンだ。永続罠、ブレイズ・キャノン・マガジンを発動」
チェーン2(男):ブレイズ・キャノン・マガジン
チェーン1(遊大):ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
「チェーン2のブレイズ・キャノン・マガジンの効果を発動。手札の《ヴォルカニック・バックショット》を墓地へ送ってデッキから1枚ドローする」
「やっぱり持っていたか……チェーン1のダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果。アグニマズドVの攻撃力を半分にし、その数値分ダーク・リベリオンの攻撃力をアップさせる」
真竜皇アグニマズドV ATK2900→ATK1450
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ATK2500→ATK3950
「だが、墓地へ送られたヴォルカニック・バックショットの効果を発動!」
《ヴォルカニック・バックショット》
効果モンスター
星2/炎属性/炎族/攻500/守0
このカードが墓地へ送られた時、相手ライフに500ポイントダメージを与える。
このカードが「ブレイズ・キャノン」と名のついたカードの効果によって墓地へ送られた場合、手札・デッキから「ヴォルカニック・バックショット」2体を墓地へ送る事で、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。
「そしてブレイズ・キャノンの効果で墓地に送られたバックショットの2つ目の効果を発動!」
チェーン2(男):ヴォルカニック・バックショット
チェーン1(男):ヴォルカニック・バックショット
「チェーン2のバックショットの2つ目の効果で俺はデッキから残り2枚のバックショットを墓地へ送り、相手フィールドのモンスターを全て破壊する! 焼き尽くしちまえ!」
ブレイズ・キャノン・マガジンから放たれたヴォルカニック・バックショットは灼熱の弾丸として遊大のフィールドに降り注ぐ。ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンは灼熱の炎に焼き尽くされる形で消滅していった。
「ダーク・リベリオンが!!」
―――PモンスターはX素材になった場合は墓地へ送られるためP召喚で特殊召喚することができない。ダークヴルムは自己蘇生が可能だが、それも1ターンに1度きり。手痛い反撃を食らったな。
―――でもブレイズ・キャノン・マガジンをセットしていることはわかっているのになんでX召喚したんだろうね。
ラズベリーとポップロックは冷静に戦況を分析する。元々はデュエルモンスターズとは関係のない悪魔であったが、彼女たち悪魔はこの世界に存在する限りデュエルモンスターズのカードとして存在している。カードとしてデュエルに参加することで彼女たちはすっかりデュエルモンスターズのルールやタクティクスに詳しくなっていた。
「そしてチェーン1のバックショットの効果。墓地へ送られたことで相手ライフに500のダメージを与える。バックショット3体が送られているから1500のダメージだ!」
遊大 LP8000→LP6500
「せっかくのダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンだったが無駄に終わっちまったな」
「……本当に無駄だとお思いですか? これであなたはこのターンもうブレイズ・キャノン・マガジンの効果を発動できない」
「まさか……ダーク・リベリオンは囮だってのか!?」
ペンデュラム召喚は一度に複数体のモンスターを特殊召喚できるが、行えるのは1ターンに1度だけ。ペンデュラム召喚でモンスターを揃えたところで、そこにブレイズ・キャノン・マガジンとヴォルカニック・バックショットのコンボを決められてしまえば遊大は攻め手を失うことになっていた。
そのため遊大は敢えてダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンをX召喚することで、男にブレイズ・キャノン・マガジンの効果を発動させたのだ。本命のペンデュラム召喚を通すために。
「俺はPゾーンにスケール4のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンとスケール8のEMオッドアイズ・ユニコーンをセッティング。そして俺は永続魔法《魂のペンデュラム》を発動」
《魂のペンデュラム》
永続魔法
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分のPゾーンのカード2枚を対象として発動できる。対象のカードのPスケールをそれぞれ、1つ上げるか下げる(最小1まで)。
(2):自分のPモンスターがP召喚される度にこのカードにカウンターを1つ置く。
(3):フィールドのPモンスターの攻撃力は、このカードのカウンターの数×300アップする。
(4):このカードのカウンターを3つ取り除いて発動できる。このターン、自分は通常のP召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにモンスターをP召喚できる。
遊大のフィールドの両端、青と赤のPゾーンには2体のモンスターの姿が浮かび上がる。これで遊大はこのターンに1度だけ、レベル5から7までのモンスターを手札・EXデッキから特殊召喚できるようになった。
―――揺れろ魂のペンデュラム、天空に描け光のアーク。ペンデュラム召喚! 現れろ、俺と共に果てなき旅路を歩む竜。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!―――
遊大のフィールドには世にも珍しき二色の眼を持った真紅の竜が現れる。このドラゴンこそが彼のデッキの中核を為すカードの1体であるオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンだ。
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》
ペンデュラム・効果モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
【Pスケール:青4/赤4】
「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」の(1)(2)のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分のPモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。
(2):自分エンドフェイズに発動できる。
このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。
「ペンデュラム召喚に成功したことで魂のペンデュラムにカウンターを1つ置きます。そしてカウンターの数×300ポイント、フィールドのPモンスターの攻撃力はアップします」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2500→ATK2800
「そしてオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与えるダメージは倍になる。ダーク・リベリオンの効果で攻撃力の下がったアグニマズドVを破壊すれば大きなダメージを与えられます」
「それを含めてのダーク・リベリオンって訳か。だが……詰めが甘いぜ、坊主」
「えっ?」
「リバースカードオープン! 罠カード《アクセル・ドライブ》発動!」
聞き慣れないカードの存在に遊大は首を傾げた。
《アクセル・ドライブ》
通常罠(オリジナルカード)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分及び相手メインフェイズに自分がドライヴ条件を満たしている場合に発動できる。自分フィールドに存在するモンスター1体を素材にEXデッキからDモンスターをD召喚する。
「俺はこのカードの効果で相手ターンでもD(ドライヴ)召喚が行える!」
「相手ターンにドライヴ召喚!?」
「俺はブレイズ・キャノンと名のついたカードの効果で相手に1500以上のダメージを与えたことでドライヴ条件を達成!」
ドライヴ召喚―――それはドライヴモンスターが指定する条件を満たした場合に通常召喚権を消費することでEXデッキからドライヴモンスターを特殊召喚する召喚法だ。レベルを持たない、赤い枠のカードを見た遊大は何処か不思議そうに首を傾げた。
「俺は炎属性モンスター、真竜皇アグニマズドVを素材にEXデッキから《ヴォルカニック・サラマンダー》をドライヴ召喚!」
現れたのは全身を炎で覆った巨大な大蜥蜴のようなモンスターである。燃え盛る身体からは溶岩が涎のように流れ落ち、身体を覆っている鱗がその熱で今にも溶けてしまいそうな様相だった。
《ヴォルカニック・サラマンダー》
ドライヴ・効果モンスター(オリジナルカード)
炎属性/炎族/攻2000/守0
【D条件】1ターン内に「ブレイズ・キャノン」と名のついたカードの効果で相手ライフに合計1500以上のダメージを与えた場合、自分フィールドに存在する炎属性モンスター1体をD素材としてこのカードはD召喚できる。
(1):このカードのD召喚に成功した場合、500LPを払って自分の墓地に存在する炎属性モンスターを2体まで選んで発動できる。そのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える。この効果を発動したターン「ヴォルカニック」と名のついたモンスターは攻撃できない。
(2):1ターンに1度、500LPを払って発動できる。自分のデッキから「ヴォルカニック」または「ブレイズ・キャノン」と名のついたカード1枚を選んで手札に加える。
「ヴォルカニック・サラマンダー」の(1)の効果は1ターンに1度までしか発動できない。
「ドライヴ召喚にドライヴモンスター……へえ、この世界にはそんな召喚法があるのか……」
「えっ?」
遊大のふと漏らしたこの言葉に遊季都は耳を疑った。外国暮らしが長くてデュエル甲子園のことを知らないならともかく、この世界において普通に存在しているドライヴ召喚およびドライヴモンスターのことを知らないというのはあまりに不自然なことである。
(遊大さんは……ドライヴ召喚を知らない……?)
「ドライヴ召喚に成功したヴォルカニック・サラマンダーの効果を発動!」
男 LP8000→LP7500
「ライフ500を支払い、ヴォルカニックモンスターの攻撃権を放棄することで俺の墓地の炎属性モンスター2体の攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える!」
ヴォルカニック・サラマンダーの効果を聞いてどこか穏やかな様子の遊大の顔が曇る。男の墓地には現時点で3体の炎属性モンスターが存在している。しかし、そのうちの1体であるヴォルカニック・カウンターの攻撃力は0。よって男が選ぶモンスターなど最初から決まっているようなものであった。
「俺が選ぶのはアグニマズドVとヴォルカニック・ロケット。この2体の攻撃力の合計は4800! この一撃で吹っ飛びな!!」
遊大 LP6500→LP1700
「っ……」
「遊大さん!!」
まるで生きているかのような爆炎が遊大を飲み込んでいく。ソリッドビジョンであるため実際の炎のように焼死する危険はない。だが、負ければ遊大の身の保証がないデュエルにおいて4800のバーンダメージは致命傷と言ってもいいだろう。
―――ドライヴモンスターだけあって、えげつない効果ね……
―――しかも攻撃不可のデメリットも相手ターンであれば無意味。よく考えられているな。
(このままだと遊大さんが……僕の、僕のせいで……)
「遊季都くん、デュエルはまだ終わっていないよ」
爆炎の中で遊大はデュエルの前まで見せていた穏やかな笑みを浮かべていた。バーン主体のデッキを相手取りながら遊大の残りライフは1700。そして相手の墓地には戦闘ダメージに反応してバーンダメージを発生させるヴォルカニック・カウンターが存在している。そのためこのターンで決めなければまず間違いなく遊大の敗北で終わってしまう。しかし、そんな状況においても遊大はこのデュエルを楽しんでいたのだ。
「さて、ドライヴ召喚にドライヴモンスター……色々としてくれたけど。あなたのデュエルには重さを感じない。軽いですね」
「なんだと……その残りライフでよく言えたもんだな!!」
「ライフなんて最悪1でも残っていればいい。0にならない限り、デュエルには負けませんから。俺は墓地のEMオッドアイズ・ドラグーンの効果を発動します」
遊大のフィールドにはコミカルな外見にデフォルメされたオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのような小さなドラゴンに乗った鎧騎士のようなモンスターが舞い戻る。このカードもオーダーカードのようで、遊季都の知らないカードであった。
《EMオッドアイズ・ドラグーン》
ペンデュラム・効果モンスター(オリジナルカード)
星4/闇属性/戦士族/攻1900/守1400
【Pスケール:青3/赤3】
(1):Pゾーンのこのカードと相手フィールドに存在するモンスター1体を対象として発動できる。このカードとそのカードを破壊し、自分のデッキから「オッドアイズ」と名のついたモンスター1体を選んで手札に加える。「EMオッドアイズ・ドラグーン」のP効果は1ターンに1度までしか発動できない。
【モンスター効果】
(1):このカードが墓地に存在し、自分のPゾーンに「オッドアイズ」カードが2枚存在する場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
(2):このカードの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキから「EMオッドアイズ・ドラグーン」以外の「オッドアイズ」カード1枚を選んで手札に加える。
「EMオッドアイズ・ドラグーン」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度までしか発動できない。
EMオッドアイズ・ドラグーン ATK1900→ATK2200
「バトルフェイズに移行します! 俺はオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでヴォルカニック・サラマンダーを攻撃!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは咆哮と共にその身を低く身構える。オッドアイズの紅と翠の瞳が倒すべき敵としてヴォルカニック・サラマンダーの姿を認識した証だった。
「そして俺のオッドアイズモンスターの攻撃宣言時にPゾーンのEMオッドアイズ・ユニコーンとオッドアイズ・ファントム・ドラゴンのP効果を発動!」
《EMオッドアイズ・ユニコーン》
ペンデュラム・効果モンスター
星1/光属性/獣族/攻100/守600
【Pスケール:青8/赤8】
(1):このカードがPゾーンに存在する限り1度だけ、自分の「オッドアイズ」モンスターの攻撃宣言時、そのモンスター以外の自分フィールドの「EM」モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで、対象のモンスターの元々の攻撃力分アップする。
【モンスター効果】
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「EM」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力分だけ自分はLPを回復する。
《オッドアイズ・ファントム・ドラゴン》
ペンデュラム・効果モンスター
星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
【Pスケール:青4/赤4】
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「オッドアイズ」カードが存在する場合、自分の表側表示モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。その自分のモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで1200アップする。
【モンスター効果】
「オッドアイズ・ファントム・ドラゴン」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):P召喚したこのカードの攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。自分のPゾーンの「オッドアイズ」カードの数×1200ダメージを相手に与える。
チェーン2(遊大):EMオッドアイズ・ユニコーン
チェーン1(遊大):オッドアイズ・ファントム・ドラゴン
「チェーン2のオッドアイズ・ユニコーンのP効果。攻撃宣言をしたオッドアイズモンスター以外の俺のEMモンスター1体を対象として発動します。その攻撃モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで対象のモンスターの元々の攻撃力分アップします。対象はオッドアイズ・ドラグーンです!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK2800→ATK4700
「そしてチェーン1のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンのP効果。もう片方のPゾーンにオッドアイズカードが存在する場合、自分の表側表示モンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃力を1200アップさせる! オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃力は更に1200アップ!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK4700→ATK5900
「攻撃力……5900だと!?」
「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンのモンスター効果はご存知ですよね? モンスターとの戦闘で発生する相手への戦闘ダメージを倍にします。行け―――オッドアイズ! “螺旋のストライクバースト”!!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ATK5900 VS ヴォルカニック・サラマンダー ATK2000
神秘の竜の一撃が灼熱の鎧を貫いた。二色に煌めく螺旋状の一撃が瞬く間に男を飲み込んでいく。
「ぐおおおっ―――!!」
「本来の戦闘ダメージは3900、でもその倍は……7800。オッドアイズの効果を発動。“リアクション・フォース”。これが本当に一撃で決めるデュエルです」
あらゆるカードの効果を組み合わせて1体のモンスターの攻撃で相手を叩き潰す。穏やかかつ冷静ながら、その心の中では闘志の炎が燃えている。まさに今の遊大は例えるならば周りに立つ者全てを打ち砕く「覇王」と呼ぶに相応しい存在であった。
男 LP7500→LP0
●次回予告
舞原 留奈
「さすが遊大だ。わるいやつなんておまえのてきじゃないな! だが、デュエリストでもしょせんわるいやつはわるいやつ! まけたとわかったとたん、ぶきをつかっておそいかかってきた! おい、おまえたちはそれでもデュエリストか! デュエリストとしてのほこりをわすれたやつなんてやっつけてやれ!」
次回 『ふたりの疑念』
舞原 留奈
「なに? ひらがなばっかりでよみにくい? よけいなおせわだ、ふんっ!」
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90 | 第30話:決戦・4~受け継がれる想い~ | 821 | 3 | 2019-03-19 | - | |
64 | 第31話:決戦・5~決闘の果てに~ | 752 | 3 | 2019-03-22 | - | |
103 | 第32話:時空を超えた共闘 | 998 | 5 | 2019-03-25 | - | |
80 | エピローグ 焔獄と虹彩の輪舞・1 | 802 | 4 | 2019-03-30 | - | |
81 | エピローグ:焔獄と虹彩の輪舞・2 | 726 | 4 | 2019-04-03 | - | |
87 | エピローグ:焔獄と虹彩の輪舞・3 | 892 | 2 | 2019-04-06 | - | |
109 | エピローグ:焔獄と虹彩の輪舞・4 | 825 | 5 | 2019-04-11 | - | |
97 | エピローグ:焔獄と虹彩の輪舞・5 | 886 | 4 | 2019-04-13 | - | |
96 | 最終話:帰結する世界 | 1147 | 5 | 2019-04-15 | - |
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圧倒的でドライヴすらあっけなく倒す…まさに覇王ッスね(プリニー風)
陸也「留奈さん、ひらがなで言って読みやすいと言ってる奴がいるから気にしなくて良いぞ」
(2019-01-08 07:40)
オリカを混ぜつつのヴォルカニックとの対決は良かったですね。大ダメージを受けても全く動じない遊大に凄みがあります。
ひらがなばかりの留奈ちゃん可愛い。それに、かの軍神もひらがなばかりだぞ(BASARA感) (2019-01-08 08:08)
正義は勝つ。王道ですが、書いていて一番楽しい展開であったりもします。
実際遊大自身は未だにドライヴ召喚がどんなものかを完全に理解してしませんが、少し見ただけである程度どんなものか感覚がつかめるのも虹彩竜での一年があったからではないでしょうかね。
ター坊さん
まあ緊急同調やワンダー・エクシーズ、星遺物からの目醒めのように相手ターンでも特殊召喚を行えるカードがあるので相手ターンドライヴ召喚ができるカードがあってもおかしくはないと思いました。最もその性質上相手ターンにできちゃうと色々と悪さしそうなのがドライヴ召喚ですが。
>ひらがなばかりの留奈ちゃん可愛い。それに、かの軍神もひらがなばかりだぞ(BASARA感)
実際あの時代の女性は漢字が書けず平仮名を使っていましたからね。あの越後の宝塚スターの性別は別として。なお女性の振りして書いたら即特定された人間もいたもよう(あれは平安時代ですが
ギガプラントさん
コメントありがとうございます。一応この世界、というかこの作品ではドライヴ召喚は至極一般的なものとして採用されています。色々なテーマにもドライヴモンスターも存在しているようです(出るとは限りませんが
>遊大君はオリカとOCGでとことん強くなったオッドアイズデッキのようですね。高攻撃力のストライクバーストは非常に爽快です。エキサイティーン!
アーペンやアドバンスの時点で結構な強化になってはいるんですけどね。お仲間(【EM】【魔術師】)が揃い過ぎてて余り日の目を浴びていないような。なのでこんなカードあったらいいなを思い切りオリカとして使っています。
(2019-01-08 23:13)