第16話：遊大VSチャレンジャーZ！後編　作：光芒

☆TURN02（梓）

（オッドアイズ・ランサー・ドラゴンは攻撃力3000でオッドアイズカードの破壊を他のカードを身代わりにすることで防ぐことができます。でも今の私にとって厄介なのはオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンの方……）

　オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンの効果はEXデッキから特殊召喚されたモンスターの効果をターン終了時まで無効にするというもの。S召喚をはじめEXデッキのモンスターを多用する梓にとってはかなり面倒な相手となる。

（如何にして遊大さんにペルソナ・ドラゴンの効果を使わせるか……ですわね）
「私のターン、ドローです。私のフィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できます。現れなさい！《TG ストライカー》！」

《TG ストライカー》
チューナー・効果モンスター
星2/地属性/戦士族/攻800/守0
(1)：相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「TG ストライカー」以外の「TG」モンスター1体を手札に加える。

「【TG（テックジーナス）】！？……一つ聞いていい？ この世界においてそのカードはどんな立ち位置にあるの？」
「TGのことですか？ 何の変哲もないカードですが……」
「そ、そうなんだ。俺の世界では一部【TG】のカードはは大会で優秀な成績を修めないと手に入れることができないんだ。だから驚いちゃった」

　そう言って苦笑いを浮かべる遊大。世界が違えばカードの価値も違うのだろう。最も世界が違ってもカードの強さに変化はない。

「……デュエルを続行します。そしてレベル4以下のモンスターが特殊召喚されたことで、手札の《TG ワーウルフ》の効果を発動します！ このカードを手札から特殊召喚します！」

《TG ワーウルフ》
効果モンスター
星3/闇属性/獣戦士族/攻1200/守0
(1)：レベル4以下のモンスターが特殊召喚された時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「TG ワーウルフ」以外の「TG」モンスター1体を手札に加える。

「私はレベル3のTG ワーウルフに、レベル2のチューナーモンスター、TG ストライカーをチューニング！」
「召喚権を使わずにシンクロ召喚に繋げてくるか……」
「“遥かなる未来の科学を以て力を得た獣よ。更なる進化を遂げ、全ての知を司る番人となりなさい！” シンクロ召喚！《TG ハイパー・ライブラリアン》！」

《TG ハイパー・ライブラリアン》
シンクロ・効果モンスター（制限カード）
星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
(1)：このカードがフィールドに存在し、自分または相手が、このカード以外のSモンスターのS召喚に成功した場合に発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、自分はデッキから1枚ドローする。

「……」
（ペルソナ・ドラゴンの効果は使いませんか。ならば無理矢理にでも使わせて差し上げます）
「更に私はライフを1000支払い、魔法カード《簡易融合》を発動します」

《簡易融合（インスタント・フュージョン）》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1)：1000LPを払って発動できる。レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

梓　LP8000→LP7000

「簡易融合？ まあ、S素材になるモンスターを召喚権を使わずに出せるという点ではわかるけど……」
「もちろん本来の用途はそうですが、こういった使い方もできますの。現れなさい！《サウザンド・アイズ・サクリファイス》！」

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》
融合・効果モンスター
星1/闇属性/魔法使い族/攻0/守0
「サクリファイス」＋「千眼の邪教神」
(1)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカード以外のフィールドのモンスターは表示形式を変更できず、攻撃できない。
(2)：1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する（1体のみ装備可能）。
(3)：このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になり、このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する。

「サウザンド・アイズ・サクリファイス……そういうことか」
「簡易融合の効果で融合召喚されたモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊されてしまいます。ですが、効果は問題なく発動できますわ！ サウザンド・アイズ・サクリファイスの効果を発動！ 対象のモンスターをこのカードの装備カード扱いとしてサウザンド・アイズ・サクリファイスに装備します。対象はオッドアイズ・ランサー・ドラゴンです！」

　かつてペガサス・J・クロフォードが武藤 遊戯とのデュエルにおいて使った切り札とされるカードがこのサウザンド・アイズ・サクリファイスというモンスターである。攻守の値は0であるが、相手モンスターを自身の装備カードとすることで間接的に除去することができるこのカードは簡易融合の効果で特殊召喚できるモンスターの中では最もポピュラーなものであるといえた。

「させないよ！ チェーンしてオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンの効果を発動！」

　そしてそのモンスターの強さを遊大は知っている。この効果を通せば一気に彼の戦線は瓦解してしまう。

チェーン2（遊大）：オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン
チェーン1（梓）：サウザンド・アイズ・サクリファイス

「チェーン2のペルソナ・ドラゴンの効果でサウザンド・アイズ・サクリファイスの効果を無効にする！」
「チェーン1のサウザンド・アイズ・サクリファイスの効果は無効にされたため発動できません。ですが、これでペルソナ・ドラゴンの効果は封じました！ 私は更に手札から魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動！」

《ワン・フォー・ワン》
通常魔法（制限カード）
(1)：手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

「私は手札の《TG スクリュー・サーペント》を墓地へ送り、デッキからレベル1のチューナーモンスター《TG タンク・ラーヴァ》を特殊召喚します！」

《TG タンク・ラーヴァ》
チューナー・効果モンスター
星1/地属性/昆虫族/攻0/守0
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードを「TG」SモンスターのS素材とする場合、このカードをチューナー以外のモンスターとして扱う事ができる。
(2)：このカードが「TG」SモンスターのS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「TGトークン」（機械族・地・星1・攻/守0）1体を攻撃表示で特殊召喚する。

「私はレベル1のサウザンド・アイズ・サクリファイスにレベル1のチューナーモンスター、TG タンク・ラーヴァをチューニング！ “千の眼を持つ悪魔よ。更なる進化を遂げ、時空を翔ける翼となりなさい！” シンクロ召喚！ 《TG レシプロ・ドラゴン・フライ》！」

《TG レシプロ・ドラゴン・フライ》
シンクロ・効果モンスター
星2/風属性/昆虫族/攻300/守300
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体
1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「TG」と名のついたシンクロモンスター1体を選択して発動する事ができる。選択したモンスターを墓地へ送る。さらに、墓地へ送ったモンスターのシンクロ召喚に使用したシンクロモンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、この一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

「シンクロ召喚に成功したことでハイパー・ライブラリアンの効果を発動。デッキからカードを1枚ドローします」
「レベル2のシンクロモンスター……でもチューナーモンスターじゃないから更なるシンクロ召喚に繋げることはできないよ」
「確かに、今のままではこれ以上のシンクロ召喚は行えません。なので……新しい力を使うまでです！ 私は―――1ターンに2種類以上のTGシンクロモンスターのシンクロ召喚に成功したことで、ドライヴ条件を達成しました！！」

　通常召喚権を消費することでEXデッキからその条件を満たすモンスターを特殊召喚できるのがドライヴ召喚だ。遊大たちの世界には存在しなかったこの世界独自の召喚法をこの世界のデュエリストは使いこなす。それは梓においても例外ではなかった。

「ドライヴ召喚……だから通常召喚権を使わなかったのか」
「私はTGモンスターであるレシプロ・ドラゴン・フライを素材にEXデッキからこのモンスターをドライヴ召喚します！ 現れなさい！ 《TG トライデント・ランチャー》！！」

　迸る光と共に現れたのは金色や銀色が入り混じった近未来的なデザインの鎧を纏った三叉の槍を持った戦士であった。


《TG トライデント・ランチャー》
ドライヴ・効果モンスター（オリジナルカード/※本来はリンクモンスター）
地属性/機械族/攻2200/守1700
【D条件】1ターンに「TG」と名のついたSモンスターを2種類以上S召喚に成功した場合、自分フィールドに表側表示で存在する「TG」と名のついたSモンスター1体を素材としてこのカードはD召喚できる。
【モンスター効果】
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：このカードがD召喚に成功した場合に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「TG」モンスターをそれぞれ1体ずつ選んで、自分フィールドに表側守備表示で特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「TG」モンスターしか特殊召喚できない。
(2)：相手は自分フィールドに存在する「TG」Sモンスターを効果の対象にできない。


「TGのドライヴモンスター……そんなカードが存在しているのか」
「ドライヴ召喚に成功したトライデント・ランチャーの効果を発動致しますわ！ 私の手札・デッキ・墓地からTGモンスターをそれぞれ1体ずつ選んで自分フィールドに表側守備表示で特殊召喚します！ 現れなさい！ スクリュー・サーペント、2体のタンク・ラーヴァ！」

《TG スクリュー・サーペント》
チューナー・効果モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1300/守500
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、「TG スクリュー・サーペント」以外の自分の墓地のレベル4以下の「TG」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
(2)：墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの「TG」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルをターン終了時まで1つ上げる、または下げる。

「一気にモンスター3体を特殊召喚……これがドライヴ召喚の力か」
「スクリュー・サーペントには召喚・特殊召喚に成功した場合に墓地のレベル4以下のTG1体を蘇生する効果を持っていますが、モンスターゾーンが全て埋まっているので発動できません。ですが十分です！ 私はレベル1のタンク・ラーヴァにレベル4のチューナーモンスター、TG スクリュー・サーペントをチューニング！ “遥かなる未来の科学を以て力を得た昆虫よ。更なる進化を遂げ、何者にも捉われぬものとなりなさい！” シンクロ召喚！ 現れなさい！ シンクロチューナー《TG ワンダー・マジシャン》！」

《TG ワンダー・マジシャン》
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星5/光属性/魔法使い族/攻1900/守0
チューナー＋チューナー以外の「TG」モンスター1体以上
(1)：このカードがS召喚に成功した場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。そのカードを破壊する。
(2)：相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターを素材としてS召喚する。
(3)：フィールドのこのカードが破壊された場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

「シンクロ召喚に成功したワンダー・マジシャンの効果、そしてシンクロ素材として墓地に送られたタンク・ラーヴァの効果、シンクロ召喚に成功したことでハイパー・ライブラリアンの効果を発動します！ ワンダー・マジシャンの効果でフィールドの魔法・罠カード1枚、Pゾーンのアークペンデュラムを破壊し、ハイパー・ライブラリアンの効果で1枚ドロー、タンク・ラーヴァの効果でTGトークン1体を特殊召喚しますわ！」
「だったらその効果にチェーンしてランサー・ドラゴンの効果、そしてミラージュ・ドラゴンの効果をチェーンして発動する！」

チェーン5（遊大）：オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン
チェーン4（遊大）：オッドアイズ・ランサー・ドラゴン
チェーン3（梓）：TG タンク・ラーヴァ
チェーン2（梓）：TG ハイパー・ライブラリアン
チェーン1（梓）：TG ワンダー・マジシャン

「チェーン5のミラージュ・ドラゴンの効果でペルソナ・ドラゴンに1ターンに1度、戦闘・効果に対する破壊耐性を与える！ そしてチェーン4のランサー・ドラゴンの効果でアークペンデュラムの破壊をミラージュ・ドラゴンを身代わりに破壊することで無効にする！」
「っ！ アークペンデュラムを守られましたか……チェーン3のタンク・ラーヴァの効果で私のフィールドにTGトークン1体を特殊召喚します。そしてチェーン2のライブラリアンの効果で1枚ドロー。チェーン1のワンダー・マジシャンの効果の対象はアークペンデュラムですが、破壊されません」
「オッドアイズが破壊されたことでアークペンデュラムのP効果を発動！ デッキからEMオッドアイズ・ドラグーンを守備表示で特殊召喚！ そして特殊召喚に成功したドラグーンの効果でデッキからオッドアイズ・ジークペンデュラム・ドラゴンを手札に加えるよ」

　遊大と梓によって繰り返される効果の応酬。梓の狙いは多数のモンスターの展開と遊大の展開の軸であるアークペンデュラムを破壊すること。しかし、展開の要であるアークペンデュラムを守られたどころか、ドラグーンのリクルートを許しPモンスターをサーチさせてしまったことは梓にとっては痛手であった。

（ジークペンデュラムはP効果でオッドアイズの破壊をトリガーにフィールドのカード1枚を対象を取らずに破壊する……だったらこのターンで少しでも遊大さんの戦力を削ります！）
「私はレベル1のTGトークンにレベル1のタンク・ラーヴァをチューニング。シンクロ召喚！ 現れなさい、2体目のレシプロ・ドラゴン・フライ！」

　梓のフィールドにはレベル5のSモンスターが2体、レベル2のSモンスターが1体の計3体のSモンスターが存在している。これら3体のレベルの合計は12。

「シンクロ召喚に成功したことでハイパー・ライブラリアンの効果を発動。デッキからカードを1枚ドローします。参ります！ これが私の切り札です！ 私は―――レベル5のハイパー・ライブラリアンとレベル2のレシプロ・ドラゴン・フライの2体のシンクロモンスターに、レベル5のシンクロチューナー、ワンダー・マジシャンをチューニング！！」

　遊大は元の世界でレベル12のSモンスターを切り札にしているデュエリストとデュエルをしたことがある。そのデュエルではなんとか勝利を収めたものの、レベル12という最高レベルのSモンスターを撃破するのはそう簡単にできることではなかった。

（レベル12のシンクロ……まさかこんなにも容易く出してくるとは）
「“遥かなる未来の科学は無限の力となる。次元の壁を突き破り、未知なる世界の扉を開きなさい！”」





――― デルタアクセル！！ 現れなさい、私の最高の力！―――





―――《TG ハルバード・キャノン》！！―――










●次回予告
音無 林檎
「レベル12のシンクロモンスター！？ 星乃先輩以外にもそんな大型シンクロモンスターを使うデュエリストがいるなんて……ていうか梓ちゃんって私たち同じ学年なの！？ そんなすごいデュエリストがいっぱいいるってことはチームのトリを務める赤崎 遊季都君っていう男の子も同じくらい強いデュエリストなのかなぁ？」

次回　相対する闇と炎の竜　前編

音無 林檎
「友達の好として高海君を応援したいけど……あずにゃんやゆっきーにも頑張って欲しいなぁ」