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第十八話・1 作:KOUBOU(旧名:光芒)





 試験から数日後。セントラル校の校内は異様な雰囲気に包まれていた。その理由は生徒会より正式に発表があったある二人の卒業生の来校。本校OGにして現役トップクラスのプロデュエリストである天都 遊希とエヴァ・ジムリアの二人がこのセントラル校に戻ってくるのだ。
 同世代デュエリストたちの憧れの美少女デュエリストが来るとなれば否応なしに生徒たちはその日を待ち望む。そんな色めき立つ生徒たちの興奮をよそに忙しいのは生徒会のメンバーたち。本校OGとは世界的有名人を招待するのだ。何か不備があってはセントラル校の沽券にも関わるということになる。

「お二方とも3月に卒業したばかりですけどね……」
「まあ新入生のアタシたちは入れ替わりだし、現役のプロに会えるんだからみんな喜ぶよね☆」
「しかし、よくプロデュエリストのお二人を呼ぶことができましたね。スケジュールなどの調整が必要だったのでは?」
「エヴァ先輩には色々お世話になったんですよ。今でも定期的に連絡を取り合っているんです」

 以前から遊大やベアトリスは遊希、エヴァと連絡を取り合っており、かねてから二人の学校訪問については計画を立てていた。当然二人のプロデュエリストはスケジュール管理もシビアであるが、可愛い後輩たちからの頼みであれば無下にできないのが遊希とエヴァである。

「だが……二人以外も……来るとはなっ……」
「皆さんお忙しいと思うんですけどねぇ。大学生って暇なんですか?」
「そんなことはないと思いますけど……」

 遊大はスマートフォンの通話アプリに目を通す。画面には遊希からのメッセージがひっきりなしに届いていた。









「いやー、卒業して2か月くらいしか経ってないのにずいぶん久々に来た気がするわ」
「そうですね……大学も色々と忙しいですから」
「そんな花の大学生活を送っている私たちの力を借りたいとはね! やはり卒業してもなおこの陽川 千夏(はるかわ ちなつ)の名はセントラル校全体に轟いているのよ!」

 セントラル校の校門前では三人の少女が立っていた。一人はお洒落なギャルのような、一人は清楚な和風のお嬢様のような、もう一人はまるで小学生とも見間違えそうなほど小柄である。一見するとどこにでもいるような(それにしては容姿は整っているが)普通の少女たちではあるが、彼女たちが普通の女性ではないことは腰のホルターに収納されているデュエルディスクが証明していた。

「でもいいのでしょうか。いくら学校対抗戦の壮行会とはいえ、私たち大学生が新入生とデュエルなんて……」
「なになに? 1年生のような青二才とどうして私がデュエルをしなければならないって? あんたも言うようになったわね、詩織(しおり)?」
「け、決してそういう意味では……」
「あのね、千夏。壮行会って言うのは大きな大会に臨む選手たちを励ますためのイベントなの。自分で言うのもなんだけど、私たち大学生と本格的にデュエルを学び始めた高校1年生。普通にやったらどっちが勝つかなんて目に見えてるでしょ?」

 校門の前でいつまでも敷地内に入らず喋り続けている三人の少し後方で一台のタクシーが止まった。そのタクシーからはこの街中に似合わない二人の美少女が下りてくる。タクシーを見送った後、二人は校門前で会話をしている三人の女性に声をかけた。

「綾香サン! 千夏サン! 詩織サン!」
「何してるのよあんたたち」

 二人の美少女のうちの一人、エヴァが満面の笑みを浮かべて三人の名前を呼び、その三人を呆れたような目で見る遊希。星乃 綾香(ほしの あやか)、陽川 千夏、月宮 詩織(つきみや しおり)。遊希とエヴァの同級生にして共に生徒会役員を務めた間柄。そしてこのセントラル校で出会った無二の親友でもある。

「遊希!エヴァちゃん!」
「プロデュエリストの割に随分地味なご到着ね! もっとこう、ヘリからパラシュートでイヤッホゥゥ!って降りてくるものかと思ったわ!」
「……どこの超有名【D-HERO】使いよ。今時そんな登場の仕方をするプロなんていないわ。それで、どうしてこんなところで突っ立ってたの?」
「実はお二人を待っていたんです。ここは私たちにとっても思い出深い場所ですから」
「詩織サン……そうデスネ! じゃあみんなで一緒に足を踏み入れまショウ!」

 そう言って同時にセントラル校の敷地内に足を踏み入れる五人。これに驚いたのはセントラル校の生徒そして教師たちである。普通のOGである綾香、千夏、詩織はまだしも、遊希とエヴァまでが正門から同時に入ってくるとは思っていなかった。よく知った校内を誰も案内もなく歩いていく五人を見た生徒たちは瞬く間に野次馬となって集まってきていた。

「……すごい人気ねあんたたち」
「一応プロだし」
「そうだな。私たち二人が揃えばこうなるのは必然というものだ」
「……ねえ、エヴァのそのキャラ付けはなんなの?」
「こうする方がデュエルの時に遊希さんとの対比が目立つんデス。人目があるところではこうしなきゃいけないのが辛いところデスガ……」
「プロはただ勝つだけじゃダメなの。大変な職業よ」
「色々と試行錯誤されてるんですね……えっとまずは校長室に向かいましょうか」

 遊希たちは校長室に向かい、そこで待機していた竜司、そして教頭のミハエルと再会した。とはいえつい最近まで教師と生徒という間柄だったこともありそれほど再会を懐かしむことはなかった。
 むしろ竜司と綾香は親子であり、遊希は幼いころから竜司やミハエルと旧知の仲だ。挨拶もそこそこに遊希たちが次に向かったのは生徒会室。その入り口の前ではベアトリスと遊大、そして結衣の三人が五人を待っていた。

「お久しぶりです、先輩方」
「久しぶりね! 私たちがいなくなってもしっかりやってる?」
「まだ不慣れなところはありますがなんとか」
「そうですか……私たちもなったばかりは色々と大変でしたし、わからないことがあればいつでも連絡してくださいね?」
「ありがとうございます。私たち以外のメンバーは今は会場の準備の方に入っていますので、しばらく生徒会室でゆっくりしていってください」

 ベアトリスに生徒会室に通された五人はこれまた数か月ぶりに訪れた生徒会室のソファに腰を下ろす。

「それにしてもベアトリスと結衣が生徒会で一緒になるなんてね! あの時はまさかアカデミアで再会するなんて思わなかったわ!」
「今や未来を担うプロデュエリストですからね」
「遊希、あんた色々な人の人生変えてるじゃん」
「何よその言い方。なんか引っかかるわね」
 
 そう言って遊希はチラリとベアトリスの後ろに立つ遊大に視線を送る。そんな遊希からの視線に気づいた遊大はニコリと微笑み返す。目が合った遊希は思わず視線を逸らしてしまうのだが、年頃の少女たちがそれを見逃すわけはない。

「ところで今二人はどんな関係? どこまで行ったの?」
「どこまでって……私と彼はあくまで師匠と弟子。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「えっ、でもこの間キスされたって言って―――」
「ちょっ、エヴァ……」

 エヴァの暴露に一層盛り上がる生徒会室。そんな盛り上がりの中一人結衣は遊大をなんとも言えない眼で睨みつけていた。

「……もうそんなことまでしてるんですか?」
「うーん、否定はしない」
「変なところで潔いのやめてください。全く……」

 そう言って結衣はため息をついた。ため息をつくと幸せが逃げる、とはよく言うがそうなるとセントラル校に入学した結衣からはどれほどの幸せが逃げているのだろうか。

「えーっ、センパイだけズルい! アタシも天都 遊希とキスしたいな!」
「そんなことできるわけ―――ってなんでいるんですか! あなたは美鈴先輩たちと一緒に会場の準備に行っていたのでは!?」

 どこからともなく現れた遊舞は結衣に構うことなく、まさに風のようにするりと動いては座っている遊希の目の前に立ち、視線を彼女に合わせるかのようにしゃがみこむ。

「……あなたは?」
「アタシ、新入生主席の風花 遊舞ですっ☆ ずっとずーっとあなたに会いたかったんです!」
「そう、あなたが噂の」
「えっ、アタシのこと知ってくれているんだ! アタシ、今日というこの日を一生ものにしたいと思ってるの! だからまずは―――」

 そう言って遊舞は遊希の唇に自らのそれを重ねた。時間が一瞬止まった後、遊希と遊舞の間に遊大が割って入った。

「へへっ、やっちゃった☆」
「はい、そこまで。今は離れていようか」
「えーっ、なんでー?」
「俺にした時もそうだけど、日本ではそういうことはみだりにしないものだよ」
「ちぇーっ」

 この新入生のあまり大胆すぎる行動に誰もが言葉を失う中、一人遊希は変な感情に襲われていた。見ず知らずの少女に唇を奪われ、そして遊大にもそのようなことをしていた。普通なら不快極まりないことだろう。

(どうして……なんで嫌な気持ちにならないのかしら)

 しかし、遊希が抱いていたのは全く別のことだった。窓から入る季節の変わり目の風が、遊希の頬を撫でた気がした。








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から揚げ
お久しぶりです!

まさか遊舞ちゃんが遊希さんにキスするとはびっくりです
キマシタワーはここですか?

遊舞ちゃんには、この調子で遊希さんと留奈ちゃんの巨乳を触ってほしいです! (2024-09-12 18:18)

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