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第19話 禁断の果実? 作:にしん
“シノビのユージ復活祭”と称した小さなデュエル大会の翌日の夕方。今日はバックの飲料を大量に仕入れたのでお兄さんに手伝ってもらいました。
終わったら帰っていいとは言ったけど、急ぐようにここを後にしたのは多分この後お兄さんの家で行われる昨日の大会の打ち上げのこと。お兄さんやお隣の川澄さんが自炊できるから料理とか作ってくれているのかもしれない。
恵那「おばあちゃん、点検終わったから打ち上げ行ってくるね」
おばあちゃん「気を付けていくんじゃよ」
恵那「はーい」
夏本番に向けてなのかこの夕方の時間帯もだいぶ暖かく・・・というより暑くなってきた。半袖でも快適なぐらい。お兄さんの家までは近いけど自転車に乗って行く。多分準備はもうできているだろうから急いで行かなきゃ。
学生寮のアパートの一つに到着する。ここ近辺は学生寮や社員寮のアパートが並ぶ地域。だけど最近できたようで、お兄さん曰くまだまだ人は少ないとか。なので薄暗くなってきた今だからこそ分かる、明かりがついている部屋の少なさ。自転車をよく見る赤い自転車の隣に置いて目的地に向かって歩く。
そして「要 遊二」と書かれたポストがある扉の前に到着する。少しドキドキするなぁ。大学生の打ち上げってどんな感じなのだろう。みんな未成年だからジュースや炭酸で盛り上がるのかな。
インターホンを鳴らすとすぐに扉が開いた。奥の部屋の方ですでに盛り上がっているようで、川澄さんと瀬戸さんの笑い声が聞こえた。
要「お、来た来た。いらっしゃい」
恵那「お、おじゃまします・・・」
リビングに通されると、驚きの光景が広がっていたーーー・・・!
結花「おーきたーーわーい☆」
静流「ゆっくりしていってね~」
恵那「わ、わわ・・・!?」
手料理が大きめの丸机に置かれているのはともかく、私でも見たことのある焦げ茶色の一升瓶、そして川澄さんたちの手にはビールジョッキ、そしてそこに注がれているのは細かな泡が見える透き通った黄金の液体、その上には純白のふわふわした泡。
恵那「そそそそそ、それ、それって・・・」
結花「えなちゃんもどうぞどうぞ~」
静流「はいジョッキ。要くんお酌をどうぞ」
要「入ります」
渡されたジョッキには見たことのあるデザインの動物さん。そしてそのジョッキにトクトクと音を立てながら注がれるその液体。思考停止しかけている私はその液体を注いでいるお兄さんの方を見る。
要「あー・・・まぁ、大丈夫だ。飲んでみ」
結花「そうだそうだ~。おいし~から~」
恵那「あ、明らかに酔っています・・・!?」
そして炭酸のいい音と共にふわっと出来上がる真っ白な泡。私はかなりの緊張で喉を鳴らす。いやいやいや、まだ私たちには早いやつ。だけどお兄さんたちは余裕の表情でそれをぐびぐびと飲んでいる。
恵那(こ、これって確か味自体はあまり・・・って聞いたけど)
み、みんな飲んでいるし、大丈夫・・・だよね?す、少しだけなら・・・。
私は覚悟を決めてそのジョッキを口元に持っていき、その液体を啜るー
―――
恵那「・・・あ、おいしい。りんごの味・・・?」
その“ジュース”を一口飲んだ恵那さんは目が点になったようなぽかんとした反応をする。それを見て結花と瀬戸さんがハイタッチをして大笑いした。俺も思わず笑ってしまう。
結花「あっははははは、あたしたちがビールなんて飲むわけないじゃーん」
要「まぁみんなまだ未成年だしなー」
恵那「び・・・びっくりしたぁ・・・そ、その瓶見せてくださいっ。えっと・・・“なんちゃってビール(りんご味)”!?そ、そんなものあるんですか!?」
やっぱり本当にビールだと思って飲んだようだ。俺も最初はこれを出された時思わず強烈なツッコミを入れようとしたぐらいだ。やっぱり結花らしい面白いものを用意してきたものだ。ちなみに分類は「炭酸飲料」で、ビールというよりはノンアルコールのシャンパンに近い。だけどこの色といい、いい感じに泡立つこの見た目はまんまビールである。
恵那「ほ、本気にした私が恥ずかしいです・・・うぅ」
要「あはは、そういうことだからゆっくり食べ飲みしようぜ」
結花「そろそろメインの料理も焼けるからねー」
瀬戸「ちなみに私はお皿と“モンスターハンティング・ザ・ワールド”の“ジラフィウス”のジョッキを用意しただけ」
思いっきり赤面した恵那さんに俺たちはほっこりした。
恵那「あっ、川澄さん酔ってたんじゃ・・・」
結花「演技演技~☆うまかったでしょ?酔ったことないけどねっ」
恵那「うぅ、やられました・・・」
しばらくしてメイン料理が出来上がる。俺はそれをオーブンから取り出し、包丁で切れ目を入れてリビングへ持っていく。
要「今日のメインは極厚香草チキンステーキだ」
結花&静流「ひゅーひゅー!」
恵那「す、すごぉい・・・」
なんちゃってビールが入ったジョッキで乾杯しまくる俺たち。この料理も瀬戸さんが持ってきたジョッキのモンスターが出るゲーム“モンスターハンティング・ザ・ワールド”で出てくる料理をイメージしたもので、大きな皿の上にまるで鳥の丸焼きと言わんばかりに皮を外側にして盛られたチキンステーキがこんもりと乗っている。香草のいい匂いが部屋中に充満する。
結花「あとおっこっめー、おーこめこめー」
結花が謎のダンスをしながらどんぶりにご飯をよそっていた。
静流「準備できたみたいだし、打ち上げと言ったらねぇ」
結花「おっ、そうだな(確信)」
要「主役は俺だけど、主催者は恵那さんだし、幹事っぽく始めてほしいな」
恵那「わ、私?」
恵那さんは立ち上がる。そして謎のキョロキョロ。更に深呼吸。コンビニ店員やカードショップの時、そしてデュエル中の時とは違う、普段の恵那さんらしいおどおどとした態度かわいい。
恵那「こ、今回は初めての大会お疲れ様でしたというのと、“シノビのユージ”復活おめでとうございますということで・・・えっと、か、乾杯っ」
三人「かんぱーい」
ーーー
おまけ
結花「お酒やたばこは二十歳になってから。だぞ」
要「間際らしいことをしたお前が言うなて」
恵那「ほ、本当にびーるを飲んでいる気分になってきました・・・!まだまだいけます・・・!」
静流「ちょ、恵那ちゃん、これ炭酸結構強いから休憩挟まないと・・・あっ」
恵那「うっ!っ~~~!」
ーーー
おまけその2
<ジラフィウス> 分類:古獣
青白い体毛にデニム状に蒼白の雷のラインが走る、神話の麒麟にシマウマのデニムを取り込んだようなモンスター。現れた時には広範囲に雷が雲の中を駆け巡ると言われているが、目撃例はほとんどない。
終わったら帰っていいとは言ったけど、急ぐようにここを後にしたのは多分この後お兄さんの家で行われる昨日の大会の打ち上げのこと。お兄さんやお隣の川澄さんが自炊できるから料理とか作ってくれているのかもしれない。
恵那「おばあちゃん、点検終わったから打ち上げ行ってくるね」
おばあちゃん「気を付けていくんじゃよ」
恵那「はーい」
夏本番に向けてなのかこの夕方の時間帯もだいぶ暖かく・・・というより暑くなってきた。半袖でも快適なぐらい。お兄さんの家までは近いけど自転車に乗って行く。多分準備はもうできているだろうから急いで行かなきゃ。
学生寮のアパートの一つに到着する。ここ近辺は学生寮や社員寮のアパートが並ぶ地域。だけど最近できたようで、お兄さん曰くまだまだ人は少ないとか。なので薄暗くなってきた今だからこそ分かる、明かりがついている部屋の少なさ。自転車をよく見る赤い自転車の隣に置いて目的地に向かって歩く。
そして「要 遊二」と書かれたポストがある扉の前に到着する。少しドキドキするなぁ。大学生の打ち上げってどんな感じなのだろう。みんな未成年だからジュースや炭酸で盛り上がるのかな。
インターホンを鳴らすとすぐに扉が開いた。奥の部屋の方ですでに盛り上がっているようで、川澄さんと瀬戸さんの笑い声が聞こえた。
要「お、来た来た。いらっしゃい」
恵那「お、おじゃまします・・・」
リビングに通されると、驚きの光景が広がっていたーーー・・・!
結花「おーきたーーわーい☆」
静流「ゆっくりしていってね~」
恵那「わ、わわ・・・!?」
手料理が大きめの丸机に置かれているのはともかく、私でも見たことのある焦げ茶色の一升瓶、そして川澄さんたちの手にはビールジョッキ、そしてそこに注がれているのは細かな泡が見える透き通った黄金の液体、その上には純白のふわふわした泡。
恵那「そそそそそ、それ、それって・・・」
結花「えなちゃんもどうぞどうぞ~」
静流「はいジョッキ。要くんお酌をどうぞ」
要「入ります」
渡されたジョッキには見たことのあるデザインの動物さん。そしてそのジョッキにトクトクと音を立てながら注がれるその液体。思考停止しかけている私はその液体を注いでいるお兄さんの方を見る。
要「あー・・・まぁ、大丈夫だ。飲んでみ」
結花「そうだそうだ~。おいし~から~」
恵那「あ、明らかに酔っています・・・!?」
そして炭酸のいい音と共にふわっと出来上がる真っ白な泡。私はかなりの緊張で喉を鳴らす。いやいやいや、まだ私たちには早いやつ。だけどお兄さんたちは余裕の表情でそれをぐびぐびと飲んでいる。
恵那(こ、これって確か味自体はあまり・・・って聞いたけど)
み、みんな飲んでいるし、大丈夫・・・だよね?す、少しだけなら・・・。
私は覚悟を決めてそのジョッキを口元に持っていき、その液体を啜るー
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その“ジュース”を一口飲んだ恵那さんは目が点になったようなぽかんとした反応をする。それを見て結花と瀬戸さんがハイタッチをして大笑いした。俺も思わず笑ってしまう。
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恵那「ほ、本気にした私が恥ずかしいです・・・うぅ」
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結花「そろそろメインの料理も焼けるからねー」
瀬戸「ちなみに私はお皿と“モンスターハンティング・ザ・ワールド”の“ジラフィウス”のジョッキを用意しただけ」
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恵那「あっ、川澄さん酔ってたんじゃ・・・」
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しばらくしてメイン料理が出来上がる。俺はそれをオーブンから取り出し、包丁で切れ目を入れてリビングへ持っていく。
要「今日のメインは極厚香草チキンステーキだ」
結花&静流「ひゅーひゅー!」
恵那「す、すごぉい・・・」
なんちゃってビールが入ったジョッキで乾杯しまくる俺たち。この料理も瀬戸さんが持ってきたジョッキのモンスターが出るゲーム“モンスターハンティング・ザ・ワールド”で出てくる料理をイメージしたもので、大きな皿の上にまるで鳥の丸焼きと言わんばかりに皮を外側にして盛られたチキンステーキがこんもりと乗っている。香草のいい匂いが部屋中に充満する。
結花「あとおっこっめー、おーこめこめー」
結花が謎のダンスをしながらどんぶりにご飯をよそっていた。
静流「準備できたみたいだし、打ち上げと言ったらねぇ」
結花「おっ、そうだな(確信)」
要「主役は俺だけど、主催者は恵那さんだし、幹事っぽく始めてほしいな」
恵那「わ、私?」
恵那さんは立ち上がる。そして謎のキョロキョロ。更に深呼吸。コンビニ店員やカードショップの時、そしてデュエル中の時とは違う、普段の恵那さんらしいおどおどとした態度かわいい。
恵那「こ、今回は初めての大会お疲れ様でしたというのと、“シノビのユージ”復活おめでとうございますということで・・・えっと、か、乾杯っ」
三人「かんぱーい」
ーーー
おまけ
結花「お酒やたばこは二十歳になってから。だぞ」
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恵那「ほ、本当にびーるを飲んでいる気分になってきました・・・!まだまだいけます・・・!」
静流「ちょ、恵那ちゃん、これ炭酸結構強いから休憩挟まないと・・・あっ」
恵那「うっ!っ~~~!」
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