第148話：斬撃　作：光芒

　幻竜星-チョウホウのS素材になった竜星は地属性のヘイカンと闇属性のジョクト。ヘイカンはS素材となった場合にそのSモンスターに戦闘破壊耐性を与える。そのため仮に攻撃力で上回ってもチョウホウを戦闘破壊することはできない。そしてチョウホウはフィールドに存在する限りS素材にした竜星モンスターと同じ属性の相手モンスターの効果を無効にする。

「高海君のエースカード、オッドアイズや魔術師の属性は大半が闇属性。でもチョウホウが存在する限り、モンスターゾーンのそのカードの効果は無効になるわ」
「……っ、なるほど。そういうことですか」
「メインフェイズ1を終了。バトルフェイズに移るわ！ まずはショウフクで守備表示のオッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンを攻撃！ “竜星昇天波”！」

　オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンにはPゾーンにオッドアイズが存在する場合、自身を含めてフィールドのオッドアイズモンスターに1度だけではあるが破壊耐性を付与することができる。しかし、ミラージュ・ドラゴンは闇属性であるためチョウホウの効果によって効果が封じられてしまった。そもそもPゾーンのアークペンデュラムがバウンスされた以上その効果を発動することはできないのであるが。

輝竜星-ショウフク　ATK2300　VS　オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン　DEF600

「続けてチョウホウでドクロバット・ジョーカーを攻撃！ “竜星幻翼波”！」

幻竜星-チョウホウ　ATK2800　VS　EMドクロバット・ジョーカー　ATK1800

遊大　LP8000→LP7000

「相手のモンスターが破壊された時、ショウフクの効果を発動するわ！ デッキから破壊されたモンスターと同じ属性の幻竜族モンスター1体を特殊召喚するわ！ 特殊召喚するのは闇属性の《魔竜星-トウテツ》！」

《魔竜星-トウテツ》
効果モンスター
星5/闇属性/幻竜族/攻2200/守0
「魔竜星-トウテツ」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから「魔竜星-トウテツ」以外の「竜星」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。
(2)：1ターンに1度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。自分フィールドの「竜星」モンスターのみをS素材としてS召喚する。
(3)：このカードをS素材としたSモンスターは、コントロールを変更できない。

「トウテツでダイレクトアタック！」

魔竜星-トウテツ　ATK2200

遊大　LP7000→LP4800

「っ……！」
「バトルフェイズを終了、メインフェイズ2に移るわ。私はカードを1枚セットしてターンエンドよ。さて、高海君。本当に遊希を守れるだけのデュエリストなら……この程度で音を上げないでちょうだいね？」

智天の神星竜　スケール7→スケール5


遊大　LP4800　手札3枚
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：1　Pゾーン：青/赤　除外：0　EXデッキ：15（4）
綾香　LP8000　手札1枚
デッキ：26　モンスター：3（幻竜星-チョウホウ、輝竜星-ショウフク、魔竜星-トウテツ）魔法・罠：2（セフィラの神託）墓地：6　Pゾーン：青1（竜星因子セフィラツバーン）/赤5（智天の神星竜）除外：1　EXデッキ：12（2）


☆TURN03（遊大）

「俺のターン、ドロー！」

　綾香がセットしたカードはほぼ間違いなくセフィラシウゴの効果でサーチしたカウンター罠、竜星の九支だろう。

《竜星の九支》
カウンター罠
(1)：自分フィールドに「竜星」カードが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードを持ち主のデッキに戻す。その後、このカード以外の自分フィールドの「竜星」カード1枚を選んで破壊する。

　自分フィールドに竜星カードが存在し、モンスターの効果・魔法・罠の発動が発動した時にその発動を無効にしつつそのカードをデッキに戻すカードであり、その後、竜星の九支以外の竜星カード1枚を選んで破壊する。竜星カードの破壊は強制効果であるため、このカードを発動した場合確実に竜星を1枚は破壊しなければならないのだ。

（チョウホウの効果でトウテツを出したのは単に俺にダメージを与えるためじゃない。竜星の九支で破壊する竜星を確保するためだ。トウテツも他の竜星と一緒で破壊されることで他の竜星を呼び出せる。ならここは……）
「いいカードを引きました。魔法カード、ブラック・ホールを発動します！」

　竜星に魔法カードの耐性を与えるのは《風竜星-ホロウ》をS素材にしなければならない。そのため、ブラック・ホールを通せばフィールドの竜星は全滅する。トウテツやチョウホウの効果でモンスターを呼び出すことはできるが、チョウホウを失えば遊大のオッドアイズたちを止める手段が無くなってしまう。そうなれば綾香に迷う余地はない。

「ブラック・ホールの発動にチェーンしてカウンター罠、竜星の九支を発動するわ！」

チェーン2（綾香）：竜星の九支
チェーン1（遊大）：ブラック・ホール

「チェーン2の竜星の九支の効果でブラック・ホールの発動を無効にしてデッキに戻すわ！」
「チェーン1のブラック・ホールの発動は無効になります」
「そして竜星の九支の効果でトウテツを破壊する！ そして破壊されたトウテツの効果でデッキから水竜星-ビシキを守備表示で特殊召喚する！……ねえ、高海君。あなた、可愛い顔して強かなところもあるのね」
「何のことですか？」
「ブラック・ホールは囮。私に竜星の九支を使わせるための」
「……さすがです、星乃先輩。遊希さんが親友として認めるだけありますね。俺は強欲で貪欲な壺を発動！ デッキトップ10枚を除外し、2枚ドローします！」

　ハイリスク・ハイリターンの代名詞ともいえる強欲で貪欲な壺。欲しいカードが除外されてしまうリスクこそあるが、それだけに確実に通したいカードであった。

「もし、このデュエルの相手が星乃先輩でなかったら……俺は負けていたでしょうね。俺は手札から速攻魔法、揺れる眼差しを発動します！」
（揺れる眼差し……ここでそんなカードを引けるなんて）
「Pゾーンのカードを全て破壊し、破壊したカードの数に応じて効果を適用します。俺のPゾーンにはカードはありません。ですが、揺れる眼差しの効果が及ぶのは相手のPゾーンもです！」

　この場において遊大以外にPモンスターをデッキに入れているのは綾香のみ。もし同じ状況で相手がエヴァ、千夏、詩織であればここでの揺れる眼差しは腐ってしまっていたのだ。

「星乃先輩のセフィラツバーンと智天の神星竜を破壊します！ 破壊したカードは2枚！ よって星乃先輩に500ダメージを与え、デッキからPモンスター1体を手札に加えます！」

綾香　LP8000→LP7500

「俺はデッキからオッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴンを手札に加えます。そしてスケール6のオッドアイズ・ミノタウロスとスケール8のアークペンデュラムをPゾーンにセッティング！」
「またアークペンデュラムを……でもその組み合わせでペンデュラム召喚できるのはレベル7のモンスターだけよ！」
「レベル7のモンスターだけで十分です！ 俺はEXデッキからレベル7のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを、手札からレベル7のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンと《オッドアイズ・セイバー・ドラゴン》をペンデュラム召喚！！」

　現れたのは2体のオッドアイズと、全身を剣のような鱗で覆ったドラゴンであった。メインデッキに入るオッドアイズの中でも珍しい非Pモンスターのオッドアイズが1体。それがこのオッドアイズ・セイバー・ドラゴンであった。

《オッドアイズ・セイバー・ドラゴン》
効果モンスター
星7/光属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
(1)：このカードが手札にある場合、自分メインフェイズに自分フィールドの光属性モンスター1体をリリースして発動できる。自分の手札・デッキ・フィールドから「オッドアイズ・ドラゴン」1体を墓地へ送り、このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。

「オッドアイズ・セイバー・ドラゴン……！？」
「このオッドアイズ・セイバー・ドラゴンはランサー・ドラゴンと同じ光属性のオッドアイズです。よってチョウホウに効果を無効にされません！ メインフェイズ1を終えてバトルフェイズに移行します！ オッドアイズ・セイバー・ドラゴンで輝竜星-ショウフクを攻撃！ “斬撃のスラッシュ・バースト”！」

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン　ATK2800　VS　輝竜星-ショウフク　ATK2300

綾香　LP7500→LP7000

「っ！ でもライフ500を削る程度で……！」
「戦闘で相手モンスターを破壊して墓地へ送ったセイバー・ドラゴンの効果を発動します！」
「セイバー・ドラゴンの効果！？」

　その斬撃でショウフクを切り裂いたセイバー・ドラゴンはそのままチョウホウの方へと向き直る。そして返す刀でチョウホウの身体をも真っ二つに切り裂いた。

「セイバー・ドラゴンは相手モンスターを破壊して墓地へ送った場合、相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊することができます。効果による破壊のため、ヘイカンで戦闘破壊耐性を得たチョウホウであっても倒せます！」
「……破壊されたチョウホウの効果を発動するわ。デッキからチューナー1体を手札に加える。私はデッキから2体目の闇竜星-ジョクトを手札に加えるわ」
「ですが、これでオッドアイズたちの効果を発動することができるようになりました！ オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンで水竜星-ビシキを攻撃！ 螺旋のストライクバースト！」

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン　ATK2500　VS　水竜星-ビシキ　DEF2000

「Pゾーンのオッドアイズ・ミノタウロスの効果！ オッドアイズモンスターに貫通効果を与えます！ そしてオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンがモンスターと戦闘を行った時、相手が受ける戦闘ダメージは倍になります！ リアクション・フォース！」

綾香　LP7000→LP6000

「破壊されたビシキの効果を発動！ デッキから炎竜星-シュンゲイを攻撃表示で特殊召喚するわ！」
（……やっぱり竜星の継戦能力の高さは相当だ。普通の相手ならこのターンで決められたのに）
「オッドアイズ・ファントム・ドラゴンで炎竜星-シュンゲイを攻撃！ “夢幻のスパイラルフレイム”！」

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン　ATK2500　VS　炎竜星-シュンゲイ　ATK1900

綾香　LP6000→LP5400

「破壊された炎竜星-シュンゲイの効果を発動！ デッキから竜星1体を守備表示で特殊召喚するわ！」
「その効果にチェーンしてオッドアイズ・ファントム・ドラゴンの効果を発動します！」

チェーン2（遊大）：オッドアイズ・ファントム・ドラゴン
チェーン1（綾香）：炎竜星-シュンゲイ

「チェーン2のファントム・ドラゴンの効果で星乃先輩にPゾーンのオッドアイズの数×1200ポイントのダメージを与えます！ “幻視の力 アトミック・フォース”！」

綾香　LP5400→LP3000

「チェーン1のシュンゲイの効果で私はデッキから2体目のセフィラシウゴを守備表示で特殊召喚するわ！」
「……削り切れないか。バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移行します」

　フィールドにはレベル7のオッドアイズが3体存在している。そのためランク7のX召喚が可能な状況にあった。選択肢としては効果を発動する度に500ダメージを与える真紅眼の鋼炎竜か攻撃を止めつつ展開もできるオッドアイズ・アブソリュート・ドラゴンの二択となる。

「俺はこのままターンエンドです」

　しかし、X召喚をすることなく遊大はターンを終えた。綾香のフィールドにはレベル6のセフィラシウゴが存在しており、手札にはチョウホウの効果でレベル2のチューナーモンスターであるジョクトが加わっている。この2体で2体目のショウフクを特殊召喚されてしまえば、またしてもバウンス効果を発動されてしまうからだ。

（……不思議だな、こんな状況なのに前より冷静に場を見れているなんて。これも俺が成長したってことなのかな）


遊大　LP4800　手札0枚
デッキ：22　モンスター：3（オッドアイズ・セイバー・ドラゴン、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、オッドアイズ・ファントム・ドラゴン）魔法・罠：0　墓地：2　Pゾーン：青6（EMオッドアイズ・ミノタウロス）/赤8（オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン）除外：10　EXデッキ：15（3）
綾香　LP3000　手札2枚
デッキ：23　モンスター：1（宝竜星-セフィラシウゴ）魔法・罠：1（セフィラの神託）墓地：12　Pゾーン：青/赤　除外：1　EXデッキ：12（4）