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虹彩竜と歩むもの/第89話:祭典・2 作:光芒







☆TURN01(ミハエル)


 予期せぬ形で始まった竜司とミハエルのデュエル。今でこそ二人はセントラル校の校長と教頭という間柄で協力して生徒たちの教育に尽力する立場ではあるが、若い頃はプロデュエリストとして覇権を争ったライバル同士である。
 歳を取り、一線から身を引いたとしても、彼らの血脈に流れるデュエリストとしての魂は衰えてはいない。むしろ若い生徒たちのデュエルを常日頃から目にしている今の方が教職という立場に抑圧されている分高まっているといって良かったのだ。

「校長、今では教頭としてあなたを支える身ではあるが……この時ばかりは互いに一人のデュエリストだ。全力で行かせてもらうぞ、竜司!」
「望むところだよミハエル。今の君が出せる全てを見せてもらおうか!」
「では遠慮なく行かせてもらう。まず私は手札の“ヘカテリス”の効果を発動する」


※ヘカテリス
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1500/守1100
(1):自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「神の居城-ヴァルハラ」1枚を手札に加える。


「このカードを手札から墓地へ捨てることでデッキから“神の居城-ヴァルハラ”1枚を手札に加える。そしてそのヴァルハラを発動させてもらう」


※神の居城-ヴァルハラ
永続魔法
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズにこの効果を発動できる。手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する。この効果は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動と処理ができる。


「お得意のヴァルハラか。そのカードには随分と苦労させられたよ」
「私のデッキには欠かせないカードだからな。ヴァルハラがある限り、私は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に手札から天使族モンスター1体を特殊召喚することができる」

 ミハエルのデッキは【天使族】のデッキである。アカデミアに勤める教員において上位に位置する者は【古代の機械】デッキを使うことが許され、歴代に教頭という職を務めてきた者は皆このデッキを愛用していた。
 最もこの世界において【青眼】とは異なり古代の機械はありふれたカードであるのだが、このカードが貴重だった時代からアカデミアに伝わるデッキなのである。そのためミハエルもアカデミアの教頭としてはそのデッキを使うのだが、本気のデュエルに臨む時はプロ時代より愛用する天使族モンスターを主体とするデッキを使うのだ。

「ミハエル先生は天使族のデッキなんですか? となると大天使クリスティアあたりがいたりすると……」
「そうね……昔だったら容赦なくクリスティアを出していたわ。特殊召喚を主体とする青眼相手ならクリスティアは刺さるなんてレベルじゃない。でも……このデュエルではそうしないかもね」

 遊希のその言葉に遊大は首を傾げる。プロ時代の遊希に憧れた彼は当然竜司とミハエルのプロ時代を知っているのだが、当時は画面の前でデュエルを見るだけだった遊大が知っているのは「あくまでデュエルをしている二人」であり、その内面まで知る由はない。
 だが、幼い時からプロとして、人間としての二人を知る遊希は二人が真剣勝負を望むのと同時に、このデュエルを見守る生徒たちに喜んで貰えるようなデュエルをしたいと思えてならなかった。

「私はヴァルハラの効果で手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する。特殊召喚するのは最上級天使族の“アテナ”だ」


※アテナ
効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2600/守800
(1):1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールドの表側表示の天使族モンスター1体を墓地へ送り、「アテナ」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。その天使族モンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、このカード以外の天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された場合に発動する。相手に600ダメージを与える。


(アテナ……今までのミハエル先生のデッキには入っていなかったモンスター……やっぱりデッキの内容を変えてきているようね)
「アテナが存在する状態で私がこのカード以外の天使族モンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚するたびに相手に600ポイントのダメージを与える」
「先攻1ターン目は攻撃できないが、バーンダメージでこちらのライフを削ることができる。ライフアドバンテージは馬鹿にならないからね」
「それを知っているのであれば話は早い。では私は魔法カード“堕天使の追放”を発動する」


※堕天使の追放
通常魔法
「堕天使の追放」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキから「堕天使の追放」以外の「堕天使」カード1枚を手札に加える。


「【堕天使】!? それが君の新しい天使族デッキか……」

 堕天使は闇属性・天使族のモンスターで構築されたデッキであり、大半のモンスターが最上級モンスターで構築された大型のデッキである。元々はカテゴリー化されていなかったモンスター群であるが、新規モンスターおよびサポートカードによって一つのデッキとしての形を成すに至ったデッキだ。
 その特徴としては、ライフコストを支払うことで墓地の魔法・罠カードの効果を堕天使モンスターの効果として適用できるところにあり、最上級モンスターのためフィールドに出しにくいが、一度出せさえしてしまえばその高いステータスと共通効果でフィールドを盤石のものにすることができるのだ。

「私はデッキから“堕天使イシュタム”を手札に加える。そして手札のイシュタムの1つ目の効果」


※堕天使イシュタム
効果モンスター
星10/闇属性/天使族/攻2500/守2900
自分は「堕天使イシュタム」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札からこのカードと「堕天使」カード1枚を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。


「このカードと“堕天使スペルビア”を捨てて発動。私はデッキからカードを2枚ドローする。“堕天使ユコバック”を召喚」


※堕天使ユコバック
効果モンスター
星3/闇属性/天使族/攻700/守1000
「堕天使ユコバック」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「堕天使」カード1枚を墓地へ送る。


「召喚に成功した堕天使ユコバック、そしてアテナの効果を発動する」


チェーン2(ミハエル):堕天使ユコバック
チェーン1(ミハエル):アテナ


「ユコバックの効果で私はデッキから堕天使カード“堕天使ゼラート”を墓地に送る。そしてアテナの効果で相手に600のダメージを」

竜司 LP8000→7400

「そしてアテナの1つ目の効果で、ユコバックを墓地に送り、墓地の天使族モンスター1体を対象に発動。そのモンスターを特殊召喚する。蘇れ、堕天使スペルビア!」


※堕天使スペルビア
効果モンスター
星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400
(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、「堕天使スペルビア」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。その天使族モンスターを特殊召喚する。


「そして墓地からの特殊召喚に成功したスペルビアの効果とアテナの効果が発動する」


チェーン2(ミハエル):堕天使スペルビア
チェーン1(ミハエル):アテナ


「スペルビアの効果で墓地のイシュタムを守備表示で特殊召喚。そしてアテナの効果で600のダメージを与える」

竜司 LP7400→6800

「イシュタムの特殊召喚に成功したことでさらにアテナの効果が発動。600ダメージだ」

竜司 LP6800→6200

「先攻1ターン目で1800のダメージか……下手な下級モンスターの攻撃力分のダメージを与えてくるとは恐れ入る」
「相手がお前だからな。せめてそれくらいするのが礼儀というものだ。私はフィールドの堕天使イシュタムの効果を発動。ライフ1000を支払い、墓地の堕天使魔法・罠カードの効果を適用する」

ミハエル LP8000→7000

「墓地の堕天使の追放をデッキに戻し、その効果をイシュタムのものとして適用する。デッキから“堕天使テスカトリポカ”を手札に加える。私はカードを1枚セット。これでターンエンドだ」


ミハエル LP7000 手札2枚
デッキ:30 モンスター:3(アテナ、堕天使スペルビア、堕天使イシュタム)魔法・罠:2(神の居城-ヴァルハラ)墓地:3 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)
竜司 LP6200 手札5枚
デッキ:35 モンスター:0 魔法・罠:0 墓地:0 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)


「凄い……1ターンで大型モンスターが3体も。ペンデュラム召喚もなしで揃えるなんて」
「ええ。堕天使は大型モンスターばかりだけど、天使族のサポートカードが揃えばフィールドを固めることは容易なのよ。でも……」
「でも?」
「相手は竜司さん。それを忘れてはいけないわ」

 竜司のことを幼い頃から知る遊希はわかっていた。ミハエルのこの渾身の1ターン目を凌駕するほどの力を竜司のデッキは秘めていると。


☆TURN02(竜司)


「では私のターン、ドロー。私は手札1枚をコストに“ドラゴン・目覚めの旋律”を発動するよ」


※ドラゴン・目覚めの旋律
通常魔法
(1):手札を1枚捨てて発動できる。攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体までデッキから手札に加える。


「デッキから攻撃力3000以上かつ守備力2500以下のドラゴン族モンスター“青眼の白龍”と“青眼の亜白龍(ブルーアイズ・オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン)”を手札に加える」
(手札コストとして墓地に送ったのは“太古の白石”か……相変わらず油断も隙も無いな、竜司)
「そして手札の青眼の白龍を見せることで、手札の青眼の亜白龍をフィールドに特殊召喚する! 現れよ、青眼の亜白龍!」

 竜司のフィールドに現れたのは、青眼の白龍によく似たドラゴンでありながら、全身に血管のような刻印が刻まれたドラゴン。青眼の白龍のオルタナティブ(代替品、既存のものと取って代わるもの)の名を与えられた青眼の亜白龍だった。
 効果モンスターとなったことで青眼の白龍が受けられた通常モンスターを対象にするサポートは受けられなくなったが、青眼の白龍と同等の攻撃力を有し、青眼の白龍にはない力を秘めたモンスターである。そしてこのモンスターも所持しているのは世界で竜司をはじめとした海馬コーポレーションに認められた数人のデュエリストだけであった。


※青眼の亜白龍
特殊召喚・効果モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。手札の「青眼の白龍」1体を相手に見せた場合に特殊召喚できる。この方法による「青眼の亜白龍」の特殊召喚は1ターンに1度しかできない。
(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「青眼の白龍」として扱う。
(2):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。


「今見せた青眼の白龍をコストに魔法カード、トレード・インを発動。デッキからカードを2枚ドローするよ」
「互いに手札消費が激しい分、それを補うカードは欠かせないな」
「全くだね。だがその方が動きが多くて派手なデュエルになる。“魅せる”者としては願ったり叶ったりじゃないかな?」

 プロデュエリストとしてデュエル漬けの日々を送った竜司とミハエルであるが、彼らはプロとして勝利と同じくらい大切にしていたものがあった。それはプロの自分たちのデュエルを心待ちにしていた観客たちの喜ぶ顔である。プロのデュエルは単なるデュエルではなく、ショーの一面もある。故にショーの花形であるプロデュエリストたちはそのショーを成立させる=観客に喜ばれるようなデュエルをする必要があったのだ。
 幼い頃の遊希は勝ちを求めるがあまりそこまで気が回らなかったが、竜司やミハエルはそれを理解してプロとして振る舞っていた。彼らがそれを理解していたからこそ、遊希は二人を日々の言動や態度はどうあれデュエリストとして、人間として慕っているのである。

「魔法カード、復活の福音を発動。墓地のレベル7か8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。私が特殊召喚するのはもちろん青眼の白龍だ」


※青眼の白龍
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。


 青眼の白龍を見た観客である生徒たちからは感嘆の声が漏れた。宝石のような青の瞳に美しい白い身体を持ちながら、その美しい身体に似合わぬ強大な攻撃力。デュエリストならば誰もが憧れるカードの1枚が現れることで、否が応でも会場のボルテージは上昇する。

「青眼の亜白龍の効果を発動。堕天使イシュタムを破壊する!」
「ならばその効果にチェーンして私は堕天使テスカトリポカの効果を発動する!」


※堕天使テスカトリポカ
効果モンスター
星9/闇属性/天使族/攻2800/守2100
自分は「堕天使テスカトリポカ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの「堕天使」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに手札のこのカードを捨てる事ができる。
(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。


チェーン2(ミハエル):堕天使テスカトリポカ
チェーン1(竜司):青眼の亜白龍


「これによりイシュタムは破壊から守られる。そして亜白龍はその効果を発動したターンは攻撃できない」
「ああそうだ。でもこれで厄介なテスカトリポカは使わせることができたし、そもそもこうすれば問題ない。私はフィールドの青眼の白龍と青眼の白龍としても扱う青眼の亜白龍2体を墓地に送る。そしてこのモンスターを融合召喚扱いで特殊召喚する! 現れよ!“青眼の双爆裂竜(ブルーアイズ・ツインバースト・ドラゴン)”!!」

 融合モンスターの中には「融合」およびその類似効果を持った魔法・罠カードを必要とせずに融合召喚が可能なモンスターも一定数存在する。遥か昔にアカデミアに在学していた伝説のデュエリストが愛用した“E・HERO ネオス”とその仲間であるネオスペーシアンおよびかつて世界を制したこともある【剣闘獣】が代表的なカードであり、それらの2種は指定のモンスターをデッキに戻すことで融合召喚が可能である。
 だが、ネオスおよび剣闘獣はエンドフェイズならびに戦闘終了時にデッキに戻るというデメリットがあり、その強力な融合モンスターをフィールドに維持しにくいというリスクがあった。融合カードを使って融合召喚されるモンスターに比べて召喚しやすい分のバランスと考えれば無理はない。しかし、青眼にも融合カードを必要とせずに融合召喚できる融合モンスターが存在する。そしてそのモンスターにデメリットらしきデメリットはなかった。


※青眼の双爆裂竜
融合・効果モンスター
星10/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
「青眼の白龍」+「青眼の白龍」
このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。
●自分のモンスターゾーンの上記カードを墓地へ送った場合にエクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。
(1):このカードは戦闘では破壊されない。
(2):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。
(3):このカードの攻撃によって相手モンスターが破壊されなかったダメージステップ終了時に発動できる。その相手モンスターを除外する。


「融合を使わない青眼……そんなモンスターが存在するなんて」
「なるほど、そう来るのね。さすが竜司さん」
「ではバトルフェイズと行かせてもらう。青眼の双爆裂竜は1度のバトルフェイズに2回までモンスターに攻撃できる。まずはアテナを攻撃!“滅びのジェミニ・ストリーム”!」

青眼の双爆裂竜 ATK3000 VS アテナ ATK2600

ミハエル LP7000→6600

「続けて堕天使スぺルビアに攻撃!“滅びのジェミニ・ストリーム”第二打!!」

青眼の双爆裂竜 ATK3000 VS 堕天使スペルビア ATK2900

ミハエル LP6600→6500

 双頭の青眼の前に為す術なく撃破されるミハエルのモンスターたち。それでもテスカトリポカの効果でイシュタムを守れたことは大きく、フィールドをがら空きにするという事態は防ぐことができた。
 ただ青眼の双爆裂竜は戦闘では破壊されず、このモンスターとの戦闘で破壊されなかったモンスターをゲームから除外することができる。そのため双爆裂竜より守備力の高いモンスターを出して壁にしたところで反射ダメージを覚悟で戦闘を行えばそのモンスターは除外されてしまう。
 そして竜司の墓地にはドラゴン族モンスターの破壊を除外することで無効にする復活の福音があるため、竜司のフィールドは見た目以上に万全であると言えた。

「さすがだな、竜司。私のフィールドをここまで荒らしていくとは」
「それくらいしないとアカデミアの校長は務まらないよ」
「確かに」
(……イシュタムを残してしまったのは想定外だったかな。でも双爆裂竜を前にしてもミハエルは落ち着いている。元々ポーカーフェイスの得意な奴だったが、あのセットカードに何かあると見た方が良さそうかな)
「私はカードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに墓地の太古の白石の効果を発動する」


※太古の白石
チューナー・効果モンスター
星1/光属性/ドラゴン族/攻600/守500
「太古の白石」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「ブルーアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「ブルーアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。


「デッキからブルーアイズモンスターとして扱う白き霊龍を特殊召喚する。そして特殊召喚に成功した白き霊龍の効果で相手の魔法・罠カード1枚をゲームから除外する! 除外するのはそのセットカードだ!」
「ならばその効果にチェーンしてリバースカードを発動する! 罠カード、戦線復帰!」


チェーン2(ミハエル):戦線復帰
チェーン1(竜司):白き霊龍→戦線復帰


「チェーン2の戦線復帰の効果で墓地のスペルビアを守備表示で特殊召喚する」
「ふむ……戦線復帰か。リビングデッドの呼び声だったら無効にできたのだけど……チェーン1の白き霊龍の効果でその戦線復帰を除外するよ」
「墓地からの特殊召喚に成功したスペルビアの効果を発動する。墓地の堕天使ゼラートを特殊召喚する!」


※堕天使ゼラート
星8/闇属性/天使族/攻2800/守2300
自分の墓地に闇属性モンスターが4種類以上存在する場合、このカードは闇属性モンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):手札から闇属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。
(2):このカードの(1)の効果を発動したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。


「結局フィールドは元通り、か。やはり君を私の右腕に選んで正解だったよミハエル」
「それはどうも。だが、相手を褒めている余裕はないと思った方がいいぞ?」
「ご忠告どうも。では次のターンでこれを覆してみるといいさ」


ミハエル LP6500 手札1枚
デッキ:30 モンスター:3(堕天使イシュタム、堕天使スペルビア、堕天使ゼラート)魔法・罠:1(神の居城-ヴァルハラ)墓地:3 Pゾーン:青/赤 除外:1 エクストラデッキ:15(0)
竜司 LP6200 手札4枚
デッキ:29 モンスター:2(青眼の双爆裂竜、白き霊龍)魔法・罠:0 墓地:6 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:14(0)


☆TURN03(ミハエル)


「私のターン、ドロー。手札の闇属性モンスター“堕天使ルシフェル”を墓地に送り、堕天使ゼラートの効果を発動する。相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 青眼の双爆裂竜は戦闘破壊されず、自身との戦闘で破壊されなかったモンスターをゲームから除外する。しかし、効果破壊に対する耐性は持ち合わせておらず、それは同じく青眼の白龍の進化形ともいえる“ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン”とは対の耐性となっている。

「ゼラートの効果は通させない。墓地の復活の福音を除外することでドラゴン族モンスター1体を破壊から守る。双爆裂竜は破壊されない!」
「だが白き霊龍は破壊される。もちろんこの2体でどちらを残すかを選ばされるとしたら私も双爆裂竜を選ぶがな」
「……どうやらこれは君の狙い通りのようだね」

 前のターン、竜司はミハエルに堕天使に破壊耐性を与えるテスカトリポカを早めに消費させた。戦闘・効果による破壊を防ぐという効果は残されると後々厄介であると感じたからだ。
 しかし、このターンではミハエルが竜司に同じことをした。高い攻撃力も相まって耐性を持つモンスターが比較的少ないドラゴン族において、復活の福音は高レベルのドラゴン族を中軸に添えるデッキにおいては必要不可欠なカード。このカードを早めに消費させておくことで、確実に反撃を決めたいからだ。そしてここで復活の福音を消費させるということはミハエルに、竜司の双爆裂竜を打倒し、形勢をひっくり返す算段があるということを意味する。

「遊希さん、堕天使の最高火力は今ゼラートの効果で墓地に送ったルシフェルの3000ですよね?」
「ええ。ルシフェルは高い打点および展開が可能だけど、特殊召喚のできないモンスター。切り札ではあるけど、癖の強いところがあるから手札コストにしてしまうケースは少なくないわ。いざとなったら“堕天使アムドゥシアス”の効果でサルベージできるしね」
「ということはあのミハエル先生の残り1枚の手札が……」
「逆転のカード、ということかもしれないわね」

 遊希と遊大。経験や知識に差異はあるが、そのどちらにおいても遊希の方が圧倒的に上であると言っていいだろう。しかし、この時は二人ともそのミハエルの意図を見抜いていた。

「できれば堕天使だけで勝ちたいが、そうも行かないのがデュエルというものだ。だから私は使えるものは使わせてもらう。私は“捕食植物サンデウ・キンジー”を召喚!」


※捕食植物サンデウ・キンジー
効果モンスター
星2/闇属性/植物族/攻600/守200
「捕食植物サンデウ・キンジー」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分が融合素材とする捕食カウンターが置かれたモンスターの属性は闇属性として扱う。
(2):自分メインフェイズに発動できる。闇属性の融合モンスターカードによって決められた、フィールドのこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド及び相手フィールドの捕食カウンターが置かれたモンスターの中から選んで墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。


「捕食植物!?」
「一見堕天使とは何の関係もないモンスターだ。だが、サンデウ・キンジーの2つ目の効果を発動。闇属性の融合モンスターカードによって決められたフィールドのこのカードを含む融合素材モンスターを手札およびフィールドのモンスターから選んで墓地に送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!」
「君も融合カードなしで融合召喚か……」
「融合カード無しでの融合はお前の専売特許ではない、ということだ。私は捕食植物サンデウ・キンジーとレベル8の闇属性モンスター、堕天使ゼラートを墓地に送り融合させる!“甘美なる芳香で獲物を誘う魅惑の花よ。破壊の力奮う堕天使よ。今一つとなりて、思うがまま全てを貪れ。”融合召喚!!」

 二つの命が混ざり合い、生まれたのは紫色の身体を持つ禍々しき竜であり、そしてその竜を遊大はよく知っていた。



「現れよ! “グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン”!!」









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ター坊
ミハエル教頭!アンタがユーリのカードを使いますか!?
新顔の堕天使とブルーアイズの対決。聖と邪の対決はプロらしいエンタメみたいですね。 (2018-02-28 18:01)
光芒
ター坊さん
OCG化された時期の関係上前作には出てきませんでしたが、オッドアイズ以外の四天竜(三天竜?)は一般流通されているのでミハエルが持っていても実はそんなにおかしくなかったりします。まあスターヴもといグリーディーの本当の使い手は後々出てくるのですが(フラグ

確かに青眼(光)と堕天使(闇)の対決は見ものですね。特段狙ったわけではないのですが、深く考えず書いていると自然と面白い組み合わせになるというものです。
(2018-03-02 23:16)
から揚げ
お互いに大型モンスターを手足の如く使い熟し、一瞬たりとも目の離せない丁々発止の激闘を繰り広げていて、御二方共、流石は元プロデュエリストに上り詰められた程の技量の持ち主だと感服しました!どちらが勝ってもおかしくない名勝負ですね!

御二方程の領域になると、デッキとデュエリストが人馬一体の様になっている事が鮮明に感じられ、正に魂と魂のぶつかり合いになっていて、第51話の地の文で書かれていた「デュエリストにとってデッキは己の魂である」という事を体現していますね!

51話で前述の文を見た時は目から鱗でしたね!私の場合はデッキを一つの組織と考えて、デッキを作る時にカード同士をシナジーさせる事や強い戦術を作る事を主眼においていたので、デュエリストとはこんなに熱くて素晴らしい方々なんだと改めて勉強させて頂きました!感謝致します!

熱いデュエリストの魂を持った光芒さんだからこそ、「銀河眼を駆る少女」と「虹彩竜と歩む者」という最高の名作をお書きになられる事が出来たのだと思います!一人のデュエリストとして光芒さんを尊敬しております! (2018-03-06 08:28)
光芒
から揚げさん
ここで51話の描写を持って来るから揚げさんにも驚きです。確かにそう言った表現はしましたが、から揚げさんが思われているほど深い意味で書いたわけではないですが、そこまで心に残っていたとなると感無量です。

>熱いデュエリストの魂を持った光芒さんだからこそ、「銀河眼を駆る少女」と「虹彩竜と歩む者」という最高の名作をお書きになられる事が出来たのだと思います!一人のデュエリストとして光芒さんを尊敬しております!
あ、ありがとうございます。あまり褒められ慣れていないので、そこまで言われると少しこそばゆい感じがします。
(2018-03-10 00:15)

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32 第33話:成長 504 3 2017-04-23 -
34 第34話:双子・1 475 4 2017-04-25 -
58 第35話:双子・2 479 2 2017-04-28 -
40 第36話:幻奏 496 2 2017-05-04 -
56 第37話:戦術 560 2 2017-05-08 -
44 第38話:門番 537 5 2017-05-12 -
47 第39話:白黒 388 3 2017-05-17 -
35 第40話:奇跡 465 6 2017-05-19 -
45 第41話:錬装 491 4 2017-05-23 -
55 第42話:命運 414 2 2017-05-27 -
45 第43話:覚悟 510 3 2017-05-30 -
42 第44話:条件 430 3 2017-06-03 -
35 1万アクセス記念企画のお知らせ 593 5 2017-06-04 -
49 第45話:幻影 475 4 2017-06-08 -
26 第46話:黒牙 432 2 2017-06-14 -
34 遊大たちが7月制限について語るようです 494 2 2017-06-14 -
33 第47話:終幕 539 4 2017-06-17 -
36 第48話:宣誓 478 2 2017-06-22 -
33 サブキャラクター紹介・2 428 2 2017-06-24 -
38 第49話:編入 415 6 2017-06-29 -
32 第50話:理由 479 4 2017-07-03 -
28 番外編:七夕 428 6 2017-07-07 -
36 第51話:一歩 528 5 2017-07-12 -
37 第52話:修練 417 4 2017-07-17 -
27 第53話:自信 393 5 2017-07-20 -
63 第54話:克服 414 4 2017-07-24 -
25 第55話:猛攻 394 6 2017-08-02 -
28 第56話:障壁 317 3 2017-08-08 -
21 第57話:意地 304 3 2017-08-13 -
25 第58話:提案 399 3 2017-08-17 -
27 第59話:来訪 380 3 2017-08-27 -
40 第60話:交錯 397 3 2017-09-04 -
30 第61話:諜報 351 3 2017-09-11 -
83 遊大たちが10月制限について語るそうです 498 5 2017-09-14 -
32 第62話:暴露 330 2 2017-09-21 -
31 第63話:決意 401 4 2017-09-25 -
18 第64話:結束 368 4 2017-10-02 -
17 第65話:渇望 511 3 2017-10-07 -
26 第66話:証明 331 4 2017-10-13 -
22 第67話:空想 317 2 2017-10-16 -
29 第68話:魔鎖 343 2 2017-10-23 -
20 第69話:喝采 300 2 2017-10-27 -
27 第70話:胸愛 371 3 2017-11-01 -
28 第71話:点火 331 4 2017-11-07 -
17 第72話:誘惑 307 3 2017-11-15 -
26 第73話:憤怒 307 5 2017-11-18 -
22 第74話:反攻 249 2 2017-11-22 -
9 第75話:夢追 319 2 2017-11-27 -
16 第76話:剣閃 278 2 2017-12-02 -
9 第77話:膠着 218 2 2017-12-09 -
18 遊大たちが1月制限について語るようです 351 4 2017-12-11 -
12 第78話:豹変 233 2 2017-12-17 -
18 第79話:親心 265 4 2017-12-22 -
9 第80話:疾風 234 2 2017-12-30 -
11 番外編:隠想 326 3 2018-01-01 -
9 第81話:異能 258 2 2018-01-08 -
20 第82話:要塞 199 2 2018-01-13 -
13 第83話:相反 238 3 2018-01-17 -
12 第84話:特異 290 5 2018-01-22 -
8 第85話:忌避 343 4 2018-01-29 -
9 第86話:転生 388 4 2018-02-06 -
14 第87話:変貌 349 4 2018-02-14 -
19 第88話:祭典・1 267 4 2018-02-22 -
9 第89話:祭典・2 303 4 2018-02-28 -
9 第90話:祭典・3 263 4 2018-03-10 -
19 18年4月制限について語るようです 405 4 2018-03-14 -
13 第91話:閉幕 289 4 2018-03-22 -
11 第92話:令嬢 246 4 2018-03-31 -
10 第93話:共闘 237 4 2018-04-07 -
13 第94話:古豪 214 3 2018-04-15 -
6 第95話:護心 218 2 2018-04-19 -
6 番外編:裏話 324 4 2018-04-29 -
21 第96話:転機 255 4 2018-05-03 -
10 第97話:敬意 174 0 2018-05-13 -
7 第98話:遺托 259 4 2018-05-17 -
10 番外編:青春 212 2 2018-05-23 -
16 第99話:疾駆 202 6 2018-06-12 -
12 遊大たちが18年7月制限について語ります 192 0 2018-06-14 -
5 第100話:戦士 154 0 2018-06-19 -
7 第101話:懐古 166 2 2018-06-24 -
5 第102話:降竜 149 0 2018-06-30 -
3 第103話:乱入 165 3 2018-07-06 -
5 第104話:奮起 136 0 2018-07-15 -
9 第105話:白翼 149 0 2018-07-22 -
8 第106話:夢境 190 3 2018-07-30 -