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HOME > 遊戯王SS一覧 > 17.ファイアー・アップ

17.ファイアー・アップ 作:お野菜のデーモン

古株 先行
LP4000

阿笠 後攻
LP4000

「……まずは手札から『ミスティック・ソーサラーLv3』、効果でデッキから『ミスティック・ソードマンLv2』を特殊召喚」

デュエルの最初、まずは出てきたのはなんか妙な既視感を感じる姿をした魔法少女と、その隣に立つは烏帽子のような兜を被った剣士。
序盤から調子よく、どんどん古株さんの展開が進んでいく。

「手札の『レベルアップ!』を発動、フィールドのミスティックソードマンを墓地に送り……デッキから『ミスティック・ソードマンLv4』を特殊召喚」

少年剣士の身体が眩い光を放つ。そして光が晴れる頃には大きく成長した元少年剣士、現青年剣士が姿を現した。

「カードを1枚伏せてターンエンド、エンドフェイズ時ミスティックソーサラーが効果でレベルアップ、『ミスティック・ソーサラーLv5』を特殊召喚。効果で『ミスティック・ゾーン』を手札に加える」

相方の成長、というか進化を見てやる気を出したのか魔法少女の方も奮起、背が少し伸びたくらいで見た目はあまり変わらないが。

「俺のターン、ドロー!」

しかし厄介なカードには変わらない。早めの対処が必要だ。

「まず護封剣三枚を墓地に送り『護封剣士-トリニティ』を特殊召喚。効果で『闇の護封剣』を……」

「それにチェーンして『月の書』を発動。トリニティを裏側守備表示に」

「……ちっ」

いつものように降り立つ魔法剣士……だったが、彼を月明かりが照らしだす。冷たくもどこか暖かみのあるそれにトリニティは心地良さを覚え、つい眠りについてしまう。トリニティの剣がフィールドに降り立つことは無かった。

「……手札の『封じ』魔法二枚を墓地に送り『シールウィッチ』と効果で『ミミクリボー』を特殊召喚」

「シールウィッチにソーサラーの効果を発動、手札の『神秘斬』を捨て裏側守備表示にする」

続いて出てきた呪符使いの少女も、自分より各上の魔法使いには為す術なく。あっさり無力化されフィールドには箱入り毛玉一匹。さっきからビビって箱に隠れている。

「…手札から『ライトニング・ボルテックス』を発動、手札を1枚捨てて相手フィールドのカード全てを破壊する!」

「くっ…………」

神秘を司る剣士でも、天才魔道士でも自然には適わず。一瞬で古株さんのフィールドは一掃された。

「さらに、デッキの『ライトニング・ストーム』と『サンダー・ボルト』を2枚づつ、『ライトニング・ボルテックス』を墓地に送り『電光の天雷竜』を特殊召喚、バトル!『電光の天雷竜』でダイレクトアタック!」

天雷竜から放たれた雷撃が、古株さんに降り注ぐ。墓地には計6個のサンダー・ライトニング魔法。攻撃力3000の暴力だ。

古株
LP4000→3000

「カードを1枚伏せ、ターンエンド」

にしても……古株さん、マジで表情が変わらない。
まぁそれほど集中してるってことなんだろうが。
一体、何を考えてるんだろうか。
───────────────────────
(自分は、いつまで経っても情けない人間だ)

40、いや30を過ぎてからずっと、自分のことをそう評価していた。
自分のような老耄、もはや誰も取り立てて必要としていないことなど分かりきっているのに。
まだこの舞台でデュエルを続けていたい、その一心で衰えた身体と脳を無理やり動かし足掻き続けている。

(どこまでもワガママで、強情な人間だ)

だがそれもこれも全ては娘、光莉のため。
子供の世界とはかなり特殊な縦社会。
自分ではなく、親がどれだけ凄いかで決まる世界で…私のような親を持つ光莉はさぞ肩身の狭い思いをしていることだろう。
だからこそ、娘にたった一つでも自慢できる「何か」を持たせてあげたい。

(数年前、通算800勝を達成した時には引退の二文字が頭をよぎった。もういいだろうと、心のどこかでそう思った)

しかしこの記録は、当時幼かった光莉やその周囲にとってあまり印象的でなかったはず。

(だからせめてもう一度、光莉が皆に胸を張って誇れる『格好いい父親』になりたい)

今の自分はそのために、このフィールドに立っているのだから。

「……ドロー。まずは手札の『ミスティック・ゾーン』を発動」

神秘の霧がフィールド全体を包む。これ自体に大した効果は無い……今のところは。

「墓地の『神秘斬』を除外し、『ミスティック・ソーサラーLv3』を手札に加えそのまま召喚、効果で『ミスティック・ソードマンLv2』をデッキから特殊召喚」

最初のターンの焼き直しのような展開。しかしここからは一味違う。

「手札の『プロモーション』を発動、ミスティックソードマンをリリースし……『ミスティック・ソードマンLv6』を特殊召喚」

どこからか巨大な手が伸び、ソードマンを連れていく。数秒後に手は帰ってきて……その手には先程よりも、Lv4の頃よりも成長した姿の『ミスティック・ソードマンLv6』が乗っていた。

「更にミスティックソードマンに『団結の力』を装備しバトル、ミスティック・ソードマンで『電光の天雷竜』を攻撃」

団結の力、無限。仲間の力も借り天雷竜に致命の一撃を与えて見せた。

阿笠
LP4000→3100

続けて、ミスティック・ソーサラーで裏側守備表示の『シールウィッチ』も破壊。

「手札を1枚伏せターンエンド……それと同時に『ミスティック・ソードマンLv6』と『ミスティック・ソーサラーLv3』はレベルアップする。まずは『ミスティック・ソーサラーLv5』。効果で手札に加えるのは『神秘斬』。そして……現れろ、影を切り裂く神秘の剣客『ミスティック・ソードマンLv8』!」

……このカードをソリッドビジョンで見るのは久しぶりだ。すっかり錆び付いてしまった自分とは対照的に、このカードは昔と変わらぬ鋭い視線を相手に向けていた。
───────────────────────
(来たか……)

状況はかなりマズイ。あのモンスター……名前は、さっき古株さんが口上を上げてたから分かるだろうが『ミスティック・ソードマンLv8』。
古株さんが全盛期の頃から愛用してるカードで…実はあれ自体は大したことない。問題はフィールド魔法、『ミスティック・ゾーン』の方だ。

(フィールドのミスティック・ソードマンよりレベルの低いモンスターを召喚・特殊召喚した場合、無条件に裏側守備表示……か)

何を隠そう、俺のデッキのモンスターは『電光の天雷竜』以外は全員レベルが8以下。図らずもガンメタられているという訳だ。

(逆に言えば『電光の天雷竜』さえ出せれば勝てる、が……問題なのは……)

『ミスティック・ソーサラーLv5』。あいつもまた曲者。手札を捨てることで召喚・特殊召喚されたモンスターを裏側守備表示にする能力がある…
天雷竜を出すだけなら今からでもできる。ただし、何の考えもなしに出せば待ってるのはあれによる裏側守備表示。
結論……万事休す。

(だが、弱音を吐いてても始まらない)

「……俺のターン、ドロー!……よし、今引いた『焦げた指輪』発動。墓地の『ライトニング・ストーム』二枚、『サンダーボルト』、『ライトニング・ボルテックス』と……あとはなんでもいいか」

残りは適当に『光の護封剣』を戻し2ドロー……よし、行ける。

「デッキの『ライトニング・ストーム』と『ライトニング・ボルテックス』2枚づつ、『サンダー・ボルト』を墓地に送り『電光の天雷竜』特殊召喚!」

当然、ここは止められる。だがそこまでは計算内。

「手札の『無機融合』発動!」

いつも『エレメントキマイラ』しか出してないから忘れられがちだが……こいつの効果は『融合素材の記載されていない融合モンスターの特殊召喚』。
つまり……

「墓地の『「守備」封じ』、『焦げた指輪』、『「攻撃」封じ』をデッキに戻し『電光の天雷竜』再度召喚!」

問題なく『電光の天雷竜』が出せるという訳だ。

(問題なく通ってくれよ……!)
「墓地の『ライトニング・ストーム』を除外し効果をコピー、相手フィールドの表側攻撃表示モンスターを全て破壊する!!」

これさえ通れば、あとはどうとでもなる。
勝利はもう目の前だ。
そんな俺の考えは……

「……『無限泡影』発動、『電光の天雷竜』の効果を無効にする」

「……っ!」

いとも容易く、粉砕された。

(……いや、まだだ!)

「デッキの『火炎地獄』3枚、『昼夜の大火事』2枚を墓地に送り『スパーキングマジシャン』を特殊召喚!」

裏側守備表示にされるが問題ない、墓地の『無機融合』で『火炎地獄』を回収しターンエンド。

(この効果で手札に加えたカードは発動できない、だが次のターンなら……!)

これが今俺の打てる最善手。次の古株さんのターンには天雷竜の無効も解除され攻撃力は2000。十分耐え切れる。次のターンで『火炎地獄』を発動できたら俺の勝ちだった。

「僕のターン、ドロー」

そう『だった』。過去形であるこの言葉が意味する言葉は一つ。

「墓地の『神秘斬』を除外し、デッキから『ミスティック・ソーサラーLv3』を手札に加え、そのまま召喚」

俺のターンは、来なかったということだ。

「効果で『ミスティック・ソードマンLv2』をデッキから特殊召喚……これで『団結の力』を装備した『ミスティック・ソードマンLv8』の攻撃力は6000」

「しまっ……!」

「もちろんバトルフェイズ『ミスティック・ソードマンLv8』で『電光の天雷竜』を攻撃、ミスティックブレード!!」

天雷竜と神秘の剣士の激突……という程の物にもならず。一刀のもとに首を切り落とされ、天雷竜は斃されてしまう。

阿笠 LOSE
LP3100→0

古株 WIN
LP1000
───────────────────────
主人公……普通に負けてんスけど……
いいんスかこれで……
ちなみに本来はナレ死する予定でしたが
ウ…ウソやろ
こ……こんなことが……
こんなことが許されていいのか
と思ったのとデータが消し飛んだのをきっかけにやめました。
停電には気をつけよう!
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