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間章.阿笠遊理の休日 作:お野菜のデーモン
やぁ、僕だ。チャンピオンの方の阿笠遊理だ。
今回は阿笠くんの休日に迫っていこうと思う。
「休みの時(7話冒頭)一人神経衰弱してたけど、それ以外はなにやってるの?」とか、気になる人も居るかもしれないし。……え、いない?というかそんな昔の話覚えてない……?
…そっか…
……まぁとにかく、今回はそういう話らしい。
前の間章でも言ったけど、あまり面白くないから飛ばしても構わないと作者は言っていたね。
それじゃあ、本文へどうぞ。
───────────────────────
集中、またの名をコンセントレーション。
どんな状況にも動じず、冷静に盤面を見極める。
プロとしてやっていくなら必須の技術。
「…………」
そしてこれはトランプタワー、と呼ばれるものだ。
いや、カードで作ってるからカードタワーか?
そんなことはどうでもいい。
ここまで俺が積み上げたのは4段。
そして……最後の5段目を、今置こうとしている。
(……凄まじい、凄まじい緊張感、だがこれを乗り越えてこそのプロ…!)
もしかしたら噛瀬との腕賭けたデュエルの時より集中してるかも知れない。さぁ行くぞ、置くぞ……!
「おーい阿笠居るかー?」
「なっ……」
……一瞬、一瞬だった。タワーが崩れていく。俺の約二時間が、無常にも。同時に俺の足元も崩れ落ちていく錯覚に陥る……
「お前今暇?良かったらちょっと出掛けね?」
「ユニークな遺言だな、殺す」
「なっなんでーーー!!?」
取り敢えず下手人のこいつ、噛瀬は殺す。
そう誓ったのだった。
───────────────────────
「……落ち着きましたでしょうか」
「すまん」
昔読んだ漫画みたいに顔が大きくなった噛瀬を見て、今更罪悪感が湧いてきて謝ってしまう。
「まぁいいけどさ。それより今お前、暇?」
「見ればわかるだろう」
「暇なんだな」
「違う暇じゃない。あれを見ろ」
「……見たけど。ただのカードの山じゃん」
俺は崩れ去ったトランプタワーを指さす。
イマイチピンと来てないようなので、説明してやろう。
「俺は、あれをトランプタワーの形に組み上げることで集中力を磨くトレーニングをしていた。少なくとも、今日一日はそうする予定だ」
「そーいうのを世間では暇って言うんじゃ…」
「暇じゃない」
「そ、そうか……」
全く、人が大真面目に解説してるというのに。
何でも否定から入るヤツはモテないぞ」
「てめ、声に出てんぞコラ!余計なお世話だ!てか、そーいうお前こそモテない要素盛り沢山じゃねーか!」
「……何、だと……?」
「無愛想で口下手で、オマケに負けず嫌いで喧嘩早い!あとその服だよ服!スタジアム来る時は結構良い服着てたのによ、どうなってんだその服は!」
……なんと、いうことだ。
こう挙げ連ねられてみると俺は……わりと人として終わっているのではないか?
「……俺は、どうすれば……!?」
「簡単だ、お前目つき悪いだけで顔はいいからな。無愛想なのも口下手なのも寡黙クールってことで誤魔化せる。そうなると負けず嫌いとキレやすさはギャップ要素で好感度アップだ。すると……問題なのはその服だ」
……好きなカード発表プチリュウ、かなり気に入っているTシャツなんだがな。
「今のご時世そんなのガキしか着ねーよ。つーわけで服買いに行くぞ!」
「わかった。すぐ行く」
「着替えろ莫迦!俺が恥ずかしいわ!」
───────────────────────
……結局無理やり着替えさせられた。これは俺が気合い入れる時に着る勝負服みたいなもん。あまりおいそれと着るもんじゃないんだがな。
「ま、こんなもんか。にしても何がまぁ悲しゅうて男の服選ばなきゃいかんのかね……」
「俺に選ばせりゃいいだろ」
「オメーが選んでもダサT在庫が増えるだけだろが。びっくりしたわ!クローゼット開いたら一面にプチリュウとキマイラ!……ふぅ、なんか今日大声ばっか出してる気がする……ちょっと、飲みもん買ってくるわ……」
「金やろうか」
「え、マジ?いいの?」
まあ色々選んでもらった礼としては弱いが、ということで五百円硬貨を渡す。さて待ってる間はどうするか……取り敢えずスマホを開こうとした、その時だった。
カメラのシャッター音が、耳に飛び込んできた。
「……なんだ?」
「やばっバレた……」
見てみると、そこにはサングラスをかけハンチング帽を被った如何にもなやつが。
俺にカメラを向けてるあたりそういうことなのだろう。バレたと見るや否や逃げ出したが……そうは問屋が卸さない。
「……ふっ!」
「……ああっ!?ウチのカメラ!」
デュエルアンカー(リストバンド版)でカメラだけを捕え、手繰り寄せる。このタイプはあまり使ったことないが、この程度なら朝飯前だ。
「ちょっ、返して……!」
「返してもいいが写真は消せ。プライベートだ。約束できないならこれはそのまま地面に叩き付ける」
ぴょんぴょこ跳ねて何とか取り戻そうとしてくるが、身長差も合って余裕で制圧。
てかこいつ、女か。
「約束、約束します!だから返して!」
「……ホラよ」
「ほっ、良かったぁ。じゃ、そういう事で……」
「ちょい待ちな、俺の目の前で消してけ」
「うっ…………はい、消しました」
……よし、ちゃんと消してるな。これで大丈夫か。
気を取り直して、スマホに意識を切り替える。
「じーっ……」
「……まだ何かあるのか?」
「…何か、不祥事とか起こさないかなーって」
「は?」
何だこの女は。つい手が出そうになるが……いけない、それこそこいつが待ち望む『不祥事』だ。と思い直す。
「いやウチ…じゃなくて私は見ての通り記者なんですけど……あ、自己紹介が遅れました。ネットでフリーの記者として活動させて頂いております、『実生つむぎ』です」
ぺこり、と頭を下げられ、こっちも反射的に軽く頭を下げる。俺が知ってる数少ない円滑なコミュニケーション術の一つだ。
「『阿笠遊理』の名前は、今や私たちの業界では大人気なんですよ。何せあの無敵のチャンピオンと一言一句同じ名前、更には同じ背景も持つ期待の新星!これだけでも十分注目に値しますが……」
「…チャンピオンが怪我したそのすぐ後にメジャーデビュー、そこまでならいいですよ。頭のおかしくなった首脳陣の奇行で片付けられます。ただ、ずっとマイナーリーグで燻ってたのにいきなり頭角を現し出すって…なーんか、話が出来すぎじゃないですか?実は何か、大きな裏があったりして……」
……実生の目が少し鋭くなり、その手にはいつの間にか何かが握られている。
小型の録音装置だろうか?ここから先、下手な発言は首を絞めることになりそうだ。
「さあな、偶然じゃないか?」
「まさか、これは信頼出来る筋からの情報なんですけどね……」
──チャンピオンが事故に遭う直前、貴方は彼と飲みに出掛けている。
「………何?」
「その後も貴方は、近くの公園で一度だけチャンピオンと出会っている。しかしその会話は誰にも聞かれていない……ふふ、偶然と呼ぶには些か……奇妙ですよねぇ?」
目の前のこの女は、身長においては頭一つ、二つ分も違うはずなのに。
つい見上げてしまいそうになるほどの、威圧感をこいつは放っている。
「おとぼけは無しでお願いしますよ遊理選手。貴方は……一体、何者なんですか?」
「…………あんた相手に隠し事はできなそうだ」
「それはつまり、これから話すことは全て真実と思っていいと?」
圧に負け、俺は全てを話した。チャンピオン阿笠の怪我の真実、ただの交通事故などではなく俺を庇った結果の負傷だと。
「公園での邂逅は、実はアンタが思ってるほど大したことじゃない。これを、『エレメントキマイラ』を受け取っただけだ」
「なるほど、なるほど……」
そうやって話してると、いつの間にか実生が放っていた威圧感のようなものも消え去っていて。
真剣そうにメモを取る実生は、身長も相まってまるで子どものようだ。
「……いやあー、いい話が聞けました!ご協力、ありがとうございます!」
「……今の話、記事に書くのか?」
「へ?いや書きませんけど」
「は?」
信じられない。といった顔をしてると、その証拠とでも言うべきか手の機械(やっぱり録音装置だった)を目の前で地面に叩きつけて壊し、スマホを取り出すとその中に収められていた録音データも目の前で消してみせる。
「はい、これでぜーんぶまっさらですよ!」
「いや、いやいやいや……じゃあアンタ、何のために」
「何のためって、記事にするためですよ」
パタン、とメモ帳を閉じ、ペンを指先で弄びながら続ける。
「私、遊理選手のファンなんですよ。日本人特有の判官贔屓とかじゃなくて。マイナーリーグで燻ってた時からずーっと注目してました」
「だからこそ、そんな人に不正の噂が立っているのが許せなかった。知ってます?さっき言った仮説、私の場合はただの脅しのタネでしたけど……今のを本気で信じて、粗探しをしてる人が居ます。何人、何十、いやもしかしたら何百人も……そんな人達の濁った目が、今もあなたの事を見つめてる」
そう言われて軽く周囲を見渡す……俺から目を逸らしたり、離れる人間が何人か見える。
「でも、真実は違った。貴方は私が見込んだとおりの人だった。だから私も記事にします。貴方は真っ直ぐで、とても強い人だと!」
パシャリ、とまた写真を撮られる。
先程は咎めたそれを、今度は咎める気にならなかった。
「記事のタイトルは『期待の新星、阿笠遊理。マイナーからメジャーに登り詰めた不屈の男に迫る!』なんてのはどうでしょう!もちろんチャンピオンとの会話はぼかして書きますよ。貴方にとっても、触れられたくないところでしょう?」
「……ふ、アンタは良い奴だな」
「清く、正しく、美しくが私のモットーですから!さて…私はそろそろ行きますけど、もしよろしければこれからもちょくちょく取材させていただいても?」
俺の答えはもちろん『YES』。経験から言って、こういういい意味でバカなやつは信用出来る。邪険に扱うこともないだろう。
「じゃあこれ、私の電話番号です!気が向いたら連絡してください、待ってまーす!」
そう言って実生は人混みに消えていった。身長低いから見えなくなるのもすぐだ。
「見~た〜ぞ〜」
「ん、帰ってきてたのか」
「ちょっと前にな。てかお前、やるじゃねーか!」
「何がだ」
「何って、今の子ファンなんだろ?途中から見てたぜ、写真撮らせてやるなんてしっかりファンサービスできてるじゃねえか、見直したぜ!」
……なんか、勘違いされてる気がする。いやある意味勘違いではないのだが。
「でさ、最後の方よく見えなかったが何やってたんだ?」
「あぁ、電話番号を貰った。連絡してくれだと」
「ヒュー!やるじゃねーかこの伊達男!じゃああの女の子に恥かかせないためにも、その終わってるファッションセンスをどうにかしねーとな!」
「……」
今日は、長い一日になりそうだ。
───────────────────────
実生つむぎが 阿笠の友人に
加わった!
名前の読みは「みばえ」です。
つまり「みばえつむぎ」ということになります。
これから出てくるは分かりませんが。
本筋には関係の無いキャラというわけです。
遊☆戯☆王─Mimesis─
NEXT Chapter
「俺、子供の頃は嫌な事全部から逃げてました」
(私は、いつまで経っても情けない人間だ)
「パパが負けてばっかだから、みんなからバカにされるんだ!!」
chapter2
親子
「答えろよ。真剣に、ひたむきに努力している人の一体どこが面白いんだ?」
coming soon……
今回は阿笠くんの休日に迫っていこうと思う。
「休みの時(7話冒頭)一人神経衰弱してたけど、それ以外はなにやってるの?」とか、気になる人も居るかもしれないし。……え、いない?というかそんな昔の話覚えてない……?
…そっか…
……まぁとにかく、今回はそういう話らしい。
前の間章でも言ったけど、あまり面白くないから飛ばしても構わないと作者は言っていたね。
それじゃあ、本文へどうぞ。
───────────────────────
集中、またの名をコンセントレーション。
どんな状況にも動じず、冷静に盤面を見極める。
プロとしてやっていくなら必須の技術。
「…………」
そしてこれはトランプタワー、と呼ばれるものだ。
いや、カードで作ってるからカードタワーか?
そんなことはどうでもいい。
ここまで俺が積み上げたのは4段。
そして……最後の5段目を、今置こうとしている。
(……凄まじい、凄まじい緊張感、だがこれを乗り越えてこそのプロ…!)
もしかしたら噛瀬との腕賭けたデュエルの時より集中してるかも知れない。さぁ行くぞ、置くぞ……!
「おーい阿笠居るかー?」
「なっ……」
……一瞬、一瞬だった。タワーが崩れていく。俺の約二時間が、無常にも。同時に俺の足元も崩れ落ちていく錯覚に陥る……
「お前今暇?良かったらちょっと出掛けね?」
「ユニークな遺言だな、殺す」
「なっなんでーーー!!?」
取り敢えず下手人のこいつ、噛瀬は殺す。
そう誓ったのだった。
───────────────────────
「……落ち着きましたでしょうか」
「すまん」
昔読んだ漫画みたいに顔が大きくなった噛瀬を見て、今更罪悪感が湧いてきて謝ってしまう。
「まぁいいけどさ。それより今お前、暇?」
「見ればわかるだろう」
「暇なんだな」
「違う暇じゃない。あれを見ろ」
「……見たけど。ただのカードの山じゃん」
俺は崩れ去ったトランプタワーを指さす。
イマイチピンと来てないようなので、説明してやろう。
「俺は、あれをトランプタワーの形に組み上げることで集中力を磨くトレーニングをしていた。少なくとも、今日一日はそうする予定だ」
「そーいうのを世間では暇って言うんじゃ…」
「暇じゃない」
「そ、そうか……」
全く、人が大真面目に解説してるというのに。
何でも否定から入るヤツはモテないぞ」
「てめ、声に出てんぞコラ!余計なお世話だ!てか、そーいうお前こそモテない要素盛り沢山じゃねーか!」
「……何、だと……?」
「無愛想で口下手で、オマケに負けず嫌いで喧嘩早い!あとその服だよ服!スタジアム来る時は結構良い服着てたのによ、どうなってんだその服は!」
……なんと、いうことだ。
こう挙げ連ねられてみると俺は……わりと人として終わっているのではないか?
「……俺は、どうすれば……!?」
「簡単だ、お前目つき悪いだけで顔はいいからな。無愛想なのも口下手なのも寡黙クールってことで誤魔化せる。そうなると負けず嫌いとキレやすさはギャップ要素で好感度アップだ。すると……問題なのはその服だ」
……好きなカード発表プチリュウ、かなり気に入っているTシャツなんだがな。
「今のご時世そんなのガキしか着ねーよ。つーわけで服買いに行くぞ!」
「わかった。すぐ行く」
「着替えろ莫迦!俺が恥ずかしいわ!」
───────────────────────
……結局無理やり着替えさせられた。これは俺が気合い入れる時に着る勝負服みたいなもん。あまりおいそれと着るもんじゃないんだがな。
「ま、こんなもんか。にしても何がまぁ悲しゅうて男の服選ばなきゃいかんのかね……」
「俺に選ばせりゃいいだろ」
「オメーが選んでもダサT在庫が増えるだけだろが。びっくりしたわ!クローゼット開いたら一面にプチリュウとキマイラ!……ふぅ、なんか今日大声ばっか出してる気がする……ちょっと、飲みもん買ってくるわ……」
「金やろうか」
「え、マジ?いいの?」
まあ色々選んでもらった礼としては弱いが、ということで五百円硬貨を渡す。さて待ってる間はどうするか……取り敢えずスマホを開こうとした、その時だった。
カメラのシャッター音が、耳に飛び込んできた。
「……なんだ?」
「やばっバレた……」
見てみると、そこにはサングラスをかけハンチング帽を被った如何にもなやつが。
俺にカメラを向けてるあたりそういうことなのだろう。バレたと見るや否や逃げ出したが……そうは問屋が卸さない。
「……ふっ!」
「……ああっ!?ウチのカメラ!」
デュエルアンカー(リストバンド版)でカメラだけを捕え、手繰り寄せる。このタイプはあまり使ったことないが、この程度なら朝飯前だ。
「ちょっ、返して……!」
「返してもいいが写真は消せ。プライベートだ。約束できないならこれはそのまま地面に叩き付ける」
ぴょんぴょこ跳ねて何とか取り戻そうとしてくるが、身長差も合って余裕で制圧。
てかこいつ、女か。
「約束、約束します!だから返して!」
「……ホラよ」
「ほっ、良かったぁ。じゃ、そういう事で……」
「ちょい待ちな、俺の目の前で消してけ」
「うっ…………はい、消しました」
……よし、ちゃんと消してるな。これで大丈夫か。
気を取り直して、スマホに意識を切り替える。
「じーっ……」
「……まだ何かあるのか?」
「…何か、不祥事とか起こさないかなーって」
「は?」
何だこの女は。つい手が出そうになるが……いけない、それこそこいつが待ち望む『不祥事』だ。と思い直す。
「いやウチ…じゃなくて私は見ての通り記者なんですけど……あ、自己紹介が遅れました。ネットでフリーの記者として活動させて頂いております、『実生つむぎ』です」
ぺこり、と頭を下げられ、こっちも反射的に軽く頭を下げる。俺が知ってる数少ない円滑なコミュニケーション術の一つだ。
「『阿笠遊理』の名前は、今や私たちの業界では大人気なんですよ。何せあの無敵のチャンピオンと一言一句同じ名前、更には同じ背景も持つ期待の新星!これだけでも十分注目に値しますが……」
「…チャンピオンが怪我したそのすぐ後にメジャーデビュー、そこまでならいいですよ。頭のおかしくなった首脳陣の奇行で片付けられます。ただ、ずっとマイナーリーグで燻ってたのにいきなり頭角を現し出すって…なーんか、話が出来すぎじゃないですか?実は何か、大きな裏があったりして……」
……実生の目が少し鋭くなり、その手にはいつの間にか何かが握られている。
小型の録音装置だろうか?ここから先、下手な発言は首を絞めることになりそうだ。
「さあな、偶然じゃないか?」
「まさか、これは信頼出来る筋からの情報なんですけどね……」
──チャンピオンが事故に遭う直前、貴方は彼と飲みに出掛けている。
「………何?」
「その後も貴方は、近くの公園で一度だけチャンピオンと出会っている。しかしその会話は誰にも聞かれていない……ふふ、偶然と呼ぶには些か……奇妙ですよねぇ?」
目の前のこの女は、身長においては頭一つ、二つ分も違うはずなのに。
つい見上げてしまいそうになるほどの、威圧感をこいつは放っている。
「おとぼけは無しでお願いしますよ遊理選手。貴方は……一体、何者なんですか?」
「…………あんた相手に隠し事はできなそうだ」
「それはつまり、これから話すことは全て真実と思っていいと?」
圧に負け、俺は全てを話した。チャンピオン阿笠の怪我の真実、ただの交通事故などではなく俺を庇った結果の負傷だと。
「公園での邂逅は、実はアンタが思ってるほど大したことじゃない。これを、『エレメントキマイラ』を受け取っただけだ」
「なるほど、なるほど……」
そうやって話してると、いつの間にか実生が放っていた威圧感のようなものも消え去っていて。
真剣そうにメモを取る実生は、身長も相まってまるで子どものようだ。
「……いやあー、いい話が聞けました!ご協力、ありがとうございます!」
「……今の話、記事に書くのか?」
「へ?いや書きませんけど」
「は?」
信じられない。といった顔をしてると、その証拠とでも言うべきか手の機械(やっぱり録音装置だった)を目の前で地面に叩きつけて壊し、スマホを取り出すとその中に収められていた録音データも目の前で消してみせる。
「はい、これでぜーんぶまっさらですよ!」
「いや、いやいやいや……じゃあアンタ、何のために」
「何のためって、記事にするためですよ」
パタン、とメモ帳を閉じ、ペンを指先で弄びながら続ける。
「私、遊理選手のファンなんですよ。日本人特有の判官贔屓とかじゃなくて。マイナーリーグで燻ってた時からずーっと注目してました」
「だからこそ、そんな人に不正の噂が立っているのが許せなかった。知ってます?さっき言った仮説、私の場合はただの脅しのタネでしたけど……今のを本気で信じて、粗探しをしてる人が居ます。何人、何十、いやもしかしたら何百人も……そんな人達の濁った目が、今もあなたの事を見つめてる」
そう言われて軽く周囲を見渡す……俺から目を逸らしたり、離れる人間が何人か見える。
「でも、真実は違った。貴方は私が見込んだとおりの人だった。だから私も記事にします。貴方は真っ直ぐで、とても強い人だと!」
パシャリ、とまた写真を撮られる。
先程は咎めたそれを、今度は咎める気にならなかった。
「記事のタイトルは『期待の新星、阿笠遊理。マイナーからメジャーに登り詰めた不屈の男に迫る!』なんてのはどうでしょう!もちろんチャンピオンとの会話はぼかして書きますよ。貴方にとっても、触れられたくないところでしょう?」
「……ふ、アンタは良い奴だな」
「清く、正しく、美しくが私のモットーですから!さて…私はそろそろ行きますけど、もしよろしければこれからもちょくちょく取材させていただいても?」
俺の答えはもちろん『YES』。経験から言って、こういういい意味でバカなやつは信用出来る。邪険に扱うこともないだろう。
「じゃあこれ、私の電話番号です!気が向いたら連絡してください、待ってまーす!」
そう言って実生は人混みに消えていった。身長低いから見えなくなるのもすぐだ。
「見~た〜ぞ〜」
「ん、帰ってきてたのか」
「ちょっと前にな。てかお前、やるじゃねーか!」
「何がだ」
「何って、今の子ファンなんだろ?途中から見てたぜ、写真撮らせてやるなんてしっかりファンサービスできてるじゃねえか、見直したぜ!」
……なんか、勘違いされてる気がする。いやある意味勘違いではないのだが。
「でさ、最後の方よく見えなかったが何やってたんだ?」
「あぁ、電話番号を貰った。連絡してくれだと」
「ヒュー!やるじゃねーかこの伊達男!じゃああの女の子に恥かかせないためにも、その終わってるファッションセンスをどうにかしねーとな!」
「……」
今日は、長い一日になりそうだ。
───────────────────────
実生つむぎが 阿笠の友人に
加わった!
名前の読みは「みばえ」です。
つまり「みばえつむぎ」ということになります。
これから出てくるは分かりませんが。
本筋には関係の無いキャラというわけです。
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「俺、子供の頃は嫌な事全部から逃げてました」
(私は、いつまで経っても情けない人間だ)
「パパが負けてばっかだから、みんなからバカにされるんだ!!」
chapter2
親子
「答えろよ。真剣に、ひたむきに努力している人の一体どこが面白いんだ?」
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