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8.焦げカス 作:お野菜のデーモン
6年くらいやってたソシャゲがサ終することになってしまいました。哀しみ。
好きなキャラが限定なり何なりで、日の目を見ることが最後まで無かったことだけ心残り。
まぁ、何はともあれお疲れさんです。
ところで、ずっと大したこと書いてないけど
これ(モノローグ)いる?
───────────────────────
今日、俺はデュエルが行われるスタジアムに来ていた。と言っても……今回は選手側じゃない。観客として、だ。
(へー、観客側からだとこう見えてるのか)
普段フィールド上で見るのとは全く違う、遠くの客にも見えるよう拡大されたソリッドビジョン。
これは……中々迫力がある。
そして、スクリーンに映し出されているのは今日戦うデュエリスト達の表だ。
(あいつは……あそこか)
今日試合を見に来た理由は一つ、あるデュエリストの試合を見るためだ。名前は『射堂影久』。
……馴染みはあるか?俺のメジャー初戦の相手にして……この前、違和感を感じたデュエリストたちのリーダー格だ。
(相手は鎌瀬か。良い奴だけど、別に強いやつでは無い…追い詰められた俺が言うのも変な話だが)
そんなことを考えているうちに試合が始まった。
『「無限起動コロッサルマウンテン」をX召喚!』
出たでた、ロードローラー持ちのコロッサル。鎌瀬の得意技だ。俺のデッキだと少し突破は面倒だけど、今見てみるとあの時は俺のプレミで追い詰められただけで別にそこまで強いカードでもないんだよな。
とはいえ、対処をしくれば面倒なカードには変わらないが……
『……あっやべ……あー、カード伏せて、ターンエンド』
『え?あ、あぁ……じゃ、コロッサルマウンテンでダイレクトアタック』
『ち、負けたか……まいいか、ありがとうございましたー』
(………やっぱり、気のせいじゃない)
この前とは状況が違う。無気力。情熱を一切感じない。そしてようやく思い出した……
(おんなじだ、あいつらと……なんで忘れてた?マイナーリーグの『焦げカス』共のことを……!)
食うか食われるかの世界に身を置く気概のない、上昇志向を忘れ現状維持という病のような言の葉に骨の髄まで侵された腰抜け共。
マイナーリーグにごまんと転がる負け犬共を、俺は侮蔑を込め『焦げカス』と呼んでいた。
(……とはいえ……)
スタンスはよく似てるが、あいつらよりかは遥かにマシだと俺は少し思っている。メジャーはマイナーとは違い、実力の足りないものはふるい落とされ或いは蹴落とされ、マイナーリーグに落とされるかそのままプロから去っていく。
そんな中あいつ及びあいつの仲間たちは精神性はどうあれメジャーリーグに残り続けている。今の試合も練習の時と違いLPも削れていた。
だからハナからやる気のない焦げカス共とは違いまだ少しは気骨がある奴らなのだ。
(そう目くじらたてることもない、か?)
冷静になりゃ焦げカス、焦げカスでないなんてのは俺が勝手に決めてるだけ。誰に言っても伝わらない自己中心的な俺ルール。人には人のやり方があるのだ、怒り滾りはすれどそれを正せと声を大にして言うのは筋違いだろう。
ただの異常者だ、それじゃ。
(……まぁ…)
ファンは、そうでもないようだが。
「射堂のバカヤローー!!
「やる気ねぇ試合してんじゃねぇぞー!!!」
「金返せ雑魚デュエリストー!!!」
(うわぁ……)
なんか胃がキリキリして軽く吐き気もしてくる。ちょっと前まで浴びる側だったもんな、俺……
……あいつは大丈夫だろうか?
いや、そりゃあ俺より長くメジャーにいるんだから罵詈雑言くらい1つや2つ所じゃないくらい浴びてるだろうが。だからといって精神的にダメージを受けない、という訳では無いだろう。
(……少し、様子でも見に行ってみようかな)
「ばかー!」
……子供の声?いやいてもおかしくは無いんだが。
俺の時にもチラホラ子連れの姿は見えてたし。
「なんでまけちゃうのー!!」
(……行くか)
でもなんでだろう。そんなに大きくもないはずのその子供の声だけ何故か俺の耳にはよく通るように聞こえて…耳の中をまるで反響するかのように、その声は俺の脳裏に残り続けた。
──────────────────────
(控え室、控え室……ここか)
試合が終わったら直帰する、例えば俺みたいなの以外は原則控え室での休憩が許される。
射堂が帰った形跡は無い。
つまりここに居るのだろう。
(お、いたいた……)
「いやー負けちまったよ」
「ドンマイドンマイ、切り替えてこうぜー」
「まだ落とされるほどの戦績じゃなかったし、あんなもんでいーんじゃね?」
(……)
相変わらずムカついてくる。傷の舐め合いとしか思えないプロフェッショナリズムに欠けた会話。しかし別に気にする程では無い。理由は先程言った通りだ。俺には俺のやり方があるように、人には人のやり方がある。だからそれを咎めるのはお門ちが……
「……にしてもさー、まだムカムカしてるよ俺。腹立って仕方ないよさっきの『客』!」
「………………は?」
「俺も聞いてた!酷いこと言うよなー雑魚なんて」
「あれが所謂アンチってやつだな、ネットの方も見てみろよ」
「うわひでー!こっちだって全力でやってんのに!お遊びでやってる奴らにゃプロの俺たちの苦労なんてわかんねーんだろーなー」
………………あいつら、今なんて言った?
「全力で、プレイしてたんですか」
「あん?誰だ……ってあぁ、阿笠か。弱い方の。何しに来たんだ?今日試合ないだろお前」
「ばーか、心無い言葉で傷ついたお前を慰めに来てくれたんだろ!良い後輩じゃねーか」
「答えてください。本当に全力でプレイしてたんですか」
「……あー、さっきの話聞いてたのか?じゃ説明してやるけど。メジャーリーグってのはマイナーの方と違ってだな、年に何十、いや何百回も試合がセッティングされてる。だから精神をすり減らさないように、疲れすぎないように相応の力の出し方ってものがあるんだよ。それを知らずにアイツらはギャーギャー文句ばっかり……」
……アイツ?文句だと?一体誰のことを、なんのことを言ってる?
「ファンの方、泣いてましたよ。それを見て、或いは聞いて、どう思いました?」
「……さっきからうるせーなぁ、毎試合全力出せるほどプロの世界は甘くねーんだよ。でも客はそれ知らねーから騒いでる。つまりだな、こっちの苦労も何も知らねー外野が好き勝手なことほざくなってこ」
………………限界だ。
射堂の言葉を最後まで待たずに俺はアイツの懐に潜り込み……その顔目掛けて、全力の拳を叩き込んでいた。
「ぎゃっ!!?」
「……はぁ!?な、何してんだてめ」
「お前らはプロなんかじゃない」
殴られた頬を抑え、こちらを睨みつける視線を気にせずゆっくりと胸倉を掴んで持ち上げる。
「お前に応援される価値なんて微塵もない。
だがファンは応援していた。声を枯らし、涙を流し、心の底から真剣に、お前の勝利ただそれだけを切実に願っていた」
あの罵声、涙は掛けられた期待を裏切った者に与えられて当然のペナルティ。
それをやれアンチだ、ただの外野という言葉で片付けただと?
ふざけるなよ。
……たった今確信した。こいつらは……
「そんな観客席2万6千とテレビの前のファンたち全員に、同じ戯言言ってこいよ!!!!!!」
こいつらは、焦げカスなんかじゃない。
もはやそれ未満だ。腐りに腐って周りに伝播し続ける害悪、腐れ外道そのものだ。
──────────────────────
阿笠の情緒不安定ノルマ達成。
#アンガーマネジメント覚えろ阿笠
でも大体の場合、プロってファンあってこその
ショー・ビジネスでもありますからね。
そこを疎かにしたやつにブチギレるのはある意味正しいのかもしれない。
でもキレやすいのはまだともかく手も出やすいのは普通に人として終わってるぞ。
わかってるのか おい!
はぁ・・・
好きなキャラが限定なり何なりで、日の目を見ることが最後まで無かったことだけ心残り。
まぁ、何はともあれお疲れさんです。
ところで、ずっと大したこと書いてないけど
これ(モノローグ)いる?
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今日、俺はデュエルが行われるスタジアムに来ていた。と言っても……今回は選手側じゃない。観客として、だ。
(へー、観客側からだとこう見えてるのか)
普段フィールド上で見るのとは全く違う、遠くの客にも見えるよう拡大されたソリッドビジョン。
これは……中々迫力がある。
そして、スクリーンに映し出されているのは今日戦うデュエリスト達の表だ。
(あいつは……あそこか)
今日試合を見に来た理由は一つ、あるデュエリストの試合を見るためだ。名前は『射堂影久』。
……馴染みはあるか?俺のメジャー初戦の相手にして……この前、違和感を感じたデュエリストたちのリーダー格だ。
(相手は鎌瀬か。良い奴だけど、別に強いやつでは無い…追い詰められた俺が言うのも変な話だが)
そんなことを考えているうちに試合が始まった。
『「無限起動コロッサルマウンテン」をX召喚!』
出たでた、ロードローラー持ちのコロッサル。鎌瀬の得意技だ。俺のデッキだと少し突破は面倒だけど、今見てみるとあの時は俺のプレミで追い詰められただけで別にそこまで強いカードでもないんだよな。
とはいえ、対処をしくれば面倒なカードには変わらないが……
『……あっやべ……あー、カード伏せて、ターンエンド』
『え?あ、あぁ……じゃ、コロッサルマウンテンでダイレクトアタック』
『ち、負けたか……まいいか、ありがとうございましたー』
(………やっぱり、気のせいじゃない)
この前とは状況が違う。無気力。情熱を一切感じない。そしてようやく思い出した……
(おんなじだ、あいつらと……なんで忘れてた?マイナーリーグの『焦げカス』共のことを……!)
食うか食われるかの世界に身を置く気概のない、上昇志向を忘れ現状維持という病のような言の葉に骨の髄まで侵された腰抜け共。
マイナーリーグにごまんと転がる負け犬共を、俺は侮蔑を込め『焦げカス』と呼んでいた。
(……とはいえ……)
スタンスはよく似てるが、あいつらよりかは遥かにマシだと俺は少し思っている。メジャーはマイナーとは違い、実力の足りないものはふるい落とされ或いは蹴落とされ、マイナーリーグに落とされるかそのままプロから去っていく。
そんな中あいつ及びあいつの仲間たちは精神性はどうあれメジャーリーグに残り続けている。今の試合も練習の時と違いLPも削れていた。
だからハナからやる気のない焦げカス共とは違いまだ少しは気骨がある奴らなのだ。
(そう目くじらたてることもない、か?)
冷静になりゃ焦げカス、焦げカスでないなんてのは俺が勝手に決めてるだけ。誰に言っても伝わらない自己中心的な俺ルール。人には人のやり方があるのだ、怒り滾りはすれどそれを正せと声を大にして言うのは筋違いだろう。
ただの異常者だ、それじゃ。
(……まぁ…)
ファンは、そうでもないようだが。
「射堂のバカヤローー!!
「やる気ねぇ試合してんじゃねぇぞー!!!」
「金返せ雑魚デュエリストー!!!」
(うわぁ……)
なんか胃がキリキリして軽く吐き気もしてくる。ちょっと前まで浴びる側だったもんな、俺……
……あいつは大丈夫だろうか?
いや、そりゃあ俺より長くメジャーにいるんだから罵詈雑言くらい1つや2つ所じゃないくらい浴びてるだろうが。だからといって精神的にダメージを受けない、という訳では無いだろう。
(……少し、様子でも見に行ってみようかな)
「ばかー!」
……子供の声?いやいてもおかしくは無いんだが。
俺の時にもチラホラ子連れの姿は見えてたし。
「なんでまけちゃうのー!!」
(……行くか)
でもなんでだろう。そんなに大きくもないはずのその子供の声だけ何故か俺の耳にはよく通るように聞こえて…耳の中をまるで反響するかのように、その声は俺の脳裏に残り続けた。
──────────────────────
(控え室、控え室……ここか)
試合が終わったら直帰する、例えば俺みたいなの以外は原則控え室での休憩が許される。
射堂が帰った形跡は無い。
つまりここに居るのだろう。
(お、いたいた……)
「いやー負けちまったよ」
「ドンマイドンマイ、切り替えてこうぜー」
「まだ落とされるほどの戦績じゃなかったし、あんなもんでいーんじゃね?」
(……)
相変わらずムカついてくる。傷の舐め合いとしか思えないプロフェッショナリズムに欠けた会話。しかし別に気にする程では無い。理由は先程言った通りだ。俺には俺のやり方があるように、人には人のやり方がある。だからそれを咎めるのはお門ちが……
「……にしてもさー、まだムカムカしてるよ俺。腹立って仕方ないよさっきの『客』!」
「………………は?」
「俺も聞いてた!酷いこと言うよなー雑魚なんて」
「あれが所謂アンチってやつだな、ネットの方も見てみろよ」
「うわひでー!こっちだって全力でやってんのに!お遊びでやってる奴らにゃプロの俺たちの苦労なんてわかんねーんだろーなー」
………………あいつら、今なんて言った?
「全力で、プレイしてたんですか」
「あん?誰だ……ってあぁ、阿笠か。弱い方の。何しに来たんだ?今日試合ないだろお前」
「ばーか、心無い言葉で傷ついたお前を慰めに来てくれたんだろ!良い後輩じゃねーか」
「答えてください。本当に全力でプレイしてたんですか」
「……あー、さっきの話聞いてたのか?じゃ説明してやるけど。メジャーリーグってのはマイナーの方と違ってだな、年に何十、いや何百回も試合がセッティングされてる。だから精神をすり減らさないように、疲れすぎないように相応の力の出し方ってものがあるんだよ。それを知らずにアイツらはギャーギャー文句ばっかり……」
……アイツ?文句だと?一体誰のことを、なんのことを言ってる?
「ファンの方、泣いてましたよ。それを見て、或いは聞いて、どう思いました?」
「……さっきからうるせーなぁ、毎試合全力出せるほどプロの世界は甘くねーんだよ。でも客はそれ知らねーから騒いでる。つまりだな、こっちの苦労も何も知らねー外野が好き勝手なことほざくなってこ」
………………限界だ。
射堂の言葉を最後まで待たずに俺はアイツの懐に潜り込み……その顔目掛けて、全力の拳を叩き込んでいた。
「ぎゃっ!!?」
「……はぁ!?な、何してんだてめ」
「お前らはプロなんかじゃない」
殴られた頬を抑え、こちらを睨みつける視線を気にせずゆっくりと胸倉を掴んで持ち上げる。
「お前に応援される価値なんて微塵もない。
だがファンは応援していた。声を枯らし、涙を流し、心の底から真剣に、お前の勝利ただそれだけを切実に願っていた」
あの罵声、涙は掛けられた期待を裏切った者に与えられて当然のペナルティ。
それをやれアンチだ、ただの外野という言葉で片付けただと?
ふざけるなよ。
……たった今確信した。こいつらは……
「そんな観客席2万6千とテレビの前のファンたち全員に、同じ戯言言ってこいよ!!!!!!」
こいつらは、焦げカスなんかじゃない。
もはやそれ未満だ。腐りに腐って周りに伝播し続ける害悪、腐れ外道そのものだ。
──────────────────────
阿笠の情緒不安定ノルマ達成。
#アンガーマネジメント覚えろ阿笠
でも大体の場合、プロってファンあってこその
ショー・ビジネスでもありますからね。
そこを疎かにしたやつにブチギレるのはある意味正しいのかもしれない。
でもキレやすいのはまだともかく手も出やすいのは普通に人として終わってるぞ。
わかってるのか おい!
はぁ・・・
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