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HOME > 遊戯王SS一覧 > 12.勝つということ、負けるということ

12.勝つということ、負けるということ 作:お野菜のデーモン

おれ「アルカナハートたのち~~~~~~~~~AC6やめらんね~~~~~~~~
そういや前回のSS投稿いつだったっけ?SSを見る、ポチッとな…w」

11.勝つためなら 2024-08-06

2024-08-06

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な、なにィィィィィィィッ
ドド
   ド
     ド
       ド
        ド
          ド ドド

これは!気をつけろっ、何者かの『スタンド攻撃』を受けているッ!

つーわけで、続きです。
───────────────────────
「ドロー」

返しのターンのドロー…正直これはどうでもいい。重要なのは、イカサマしてまで守ったこれだ。

「手札から『融解炉』を発動。フィールドの『エレメントキマイラ』をリリースし、カードを2枚ドローする」

ソリッドビジョンに映し出された巨大な炉にエレメントキマイラは飲み込まれ…そこから二枚の光が飛び出て俺の手札となる。これがまず一回目のドロー。

「リバースカードオープン、『焦げた指輪』」

続いて、ブラフ用にセットしてた焦げた指輪を発動。
リリースしたばかりの『エレメントキマイラ』、『護封剣士-トリニティ』と護封剣三枚をデッキに戻しまた2ドロー。
これで一気に4ドロー、目当てのカードも引けたし準備は整った。

「まずデッキから三枚の護封剣を落とし『護封剣士-トリニティ』。トリニティの効果では光の護封剣を選ぶ」

再び現れる護封剣の剣士。
先の恨みもあるのだろう、油断なくフィールドのモンスターを睨み付けている。

「手札から『無機融合』を発動。今墓地に送った護封剣を全てデッキに戻し、『エレメントキマイラ』を再召喚だ」

そしてこいつも再降臨。三つの剣を身に纏った大エース、エレメントキマイラ。
相手の動きは……無い。
イカサマが見抜かれ、万策尽きたとでも言わんばかりの怯えた表情でこちらを見ている。

(終わらせてやる)
「『青い涙の天使』で『赫月に蠢く竜』の効果を無効にしてから……バトルフェイズだ」
射堂LP4000→3400

だが、容赦してやらない。このバカ踊りを終わらせる言葉を、俺は宣言した。
───────────────────────
(……終わった)

ビギナーラックだけの、いけ好かない後輩をぶっ飛ばす簡単なデュエルだったはずなのに。
今はどうだ?

「『エレメントキマイラ』で『赫月に蠢く竜』に攻撃」

出せばいつも安心だったはずの俺のエースが、跡形もなく消し飛ばされていく。

射堂LP3400→3250


「さらに効果で墓地の『無機融合』の効果を発動、墓地の『シールウィッチ』、『封じ』魔法二枚をデッキに戻しもう一体の『エレメントキマイラ』を特殊召喚、そして『トロイメアフェニックス』に攻撃」

射堂LP3250→2650

「言わなくても分かるな?今攻撃した『エレメントキマイラ』の効果発動」

思えば……一体いつ頃からだっただろうか。
負けることに危機感を感じなくなっていたのは。

「『護封剣士-トリニティ』でダイレクトアタック」

射堂LP2650→750

上を目指すための気力が枯れ果て、
試合結果にも頓着しなくなり。
マジになるのは馬鹿らしいとドン底で嗤って。
しかし見下せる誰かがいないと安心できなくなったのは。

「『エレメントキマイラ』でダイレクトアタック、終わりだ!」

一体、何時からだ?




「……ば、『バトル・フェーダー』っ」

「……なに?」

気付けば、空っぽだった俺の盤面には一体の振り子時計が。
どうせ負けると分かっているのに、俺の手と口は勝手に動いていた。動かずには居られなかった。

「効果でバトルフェイズ終了……ふ、そのままターンエンド」

(ま、負けたら破滅なんだ、こうなりゃ……やれる所まで足掻いてやる)

ギリギリの瀬戸際、ここに来てようやく、俺の止まってた心が動き始めた。
───────────────────────
(……ほんの少し、いい眼光になったじゃねえか)

さっきまでのあいつの目には何も無い、虚無な焦げカス野郎の目だった。だが今は違う。

(そうこなくっちゃあな、面白くない)

「ドロー。…勝てる、勝てるぞ……まず、墓地の『赫月に蠢く竜』の効果でフィールドの『バトルフェーダー』を除外し、特殊召喚する!」

先程倒したはずの闇の竜が、再びフィールドに現れる。若干疲れているように見えるがその強靭な肉体は健在だ。

「更に手札から『エビルナイツ・シーフキャット』を召喚、効果で『護封剣士-トリニティ』のコントロールを奪う、寄越せ!」

「……ホラよ」

次に現れたるは赫き月に魅入られた泥棒猫、その色香には鍛え抜かれた戦士も適わず……フラフラと相手フィールドに付きこちらに剣先を向けてくる。ちょっと顔が赤く見えるのはきっと錯覚だ。

「リンク召喚だ、まずはシーフキャットとトリニティで『トロイメア・ケルベロス』、効果でまず1体目の『エレメントキマイラ』を破壊する!」

「墓地の『ミミクリ─」

「待った、その前に『墓穴の指名者』だ!選ぶのは『ミミクリボー』!」

「…ちっ」

しまった、止められてしまった。そして止められたということは当然……
一体目の『エレメントキマイラ』が三つの首に噛み砕かれる。

「行けるぞ、そのまま再びリンク召喚『トロイメア・ユニコーン』!効果でデッキに戻すのは、二枚目の『エレメントキマイラ』!」

邪悪の竜とケルベロスを生贄に出されるのは、悪夢のユニコーン。
二体目も敢え無くExデッキに戻される。

「もう一度墓地の『赫月に蠢く竜』の効果発動、墓地のブッチャーキラーを除外し特殊召喚だ!」

2度目、デュエル中通して言えば4回目の特殊召喚を迎えた『赫月に蠢く竜』。心做しかゲッソリしているようだが……所有者の覇気に当てられてか、ガッツは十分そうだ。

「やれる、『トロイメア・ユニコーン』と『赫月に蠢く竜』でリンク召喚『鎖龍蛇スカルデット』!」

次に出てくるのは、全身を鎖で縛り付けられた龍。
4体以上で出せばドローだったか?あと見た目の割に医者がよく使ってるな、今は関係ないが。

「『赫月に蠢く竜』の効果で『トロイメアユニコーン』除外、そして……3度目の特殊召喚!更にスカルデッドのリンク先に特殊召喚したことで攻撃力は……2650!」

「これは……!」

3度目の降臨。今までより大きく見えるのはきっと、気のせいではない。

「バトルフェイズ!まずはスカルデッドで『エレメントキマイラ』を攻撃!!」

攻撃宣言と同時に、幾つもの鎖が『エレメントキマイラ』を締め上げる。それを解こうと暴れるが適わず……『エレメントキマイラ』が最後に感じたのは、自分の体が鎖によってブツ切りになっていく感覚だった。

阿笠LP4000→3700

「次に、『赫月に蠢く竜』で……」

「待ちな、『エレメントキマイラ』は戦闘を行った……効果で通常魔法を発動する権利が、俺には残っている」

「はっ、だからどうした!『無機融合』で二体目の『エレメントキマイラ』を出すか?そんなの無意味……」

「……発動するのは『焦げた指輪』さ」

「……なに?」

キマイラの肉片が、俺の指に集まる。それは少しずつ形を成し……少し焼け焦げた鉄輪へと変化する。

「デッキに戻すのは『エレメントキマイラ』二体、『護封剣士-トリニティ』、そして『無機融合』と『融解炉』」

「…何考えてやがる?」

「教える義理はない」

宣言した五枚がデッキ、Exに戻り、俺の手元には二枚のカード……上出来だ。

「まぁ、いいさ。『赫月に蠢く竜』でダイレクトアタック!『シャドウエンハンス』!!」

「ぐぁぁっ……!」

阿笠LP3700→1050

「そのままターンエンド、さあこい!どうせ意味無いだろうけどな!!は、ハハハ──」

「……それは違うな」

「あ……?」

「勝ったのは、俺の方だ。ドロー」

最後のドロー、しかしここはどうでもいい、
既に手札は完成してる。

「デッキから『火炎地獄』2枚、『昼夜の大火事』3枚を墓地に送り『スパーキングマジシャン』を特殊召喚する」

ゴウ、と炎が巻き起こる。その中から現れたのは全身が炎で出来た少年魔術師。

「な、なんだ……!?」

「そして『スパーキングマジシャン』の効果発動、墓地の『火炎地獄』一枚と『昼夜の大火事』二枚を手札に加える」

スパーキングマジシャンの身体の一部が俺の手札に加わる……これで、全ては揃った。

「そして今手札に加わった魔法カードを全て発動する、燃えろ!」

「ぐ、ううぅぅっ……!」

射堂LP1350→50

「っ……!」

阿笠LP1050→550

炎がお互いを焼き尽くす。しかし、これだけでは仕留めるに至らない。『スパーキングマジシャン』の効果はこのターン与える効果ダメージを半分にするからだ。

「……く、ふふ……やはり俺の…!」

「あぁ、俺の勝ちだ……『無機融合』を使ってな……!」

「なっ……!?」

墓地の『火炎地獄』二枚、『昼夜の大火事』一枚をデッキに戻し、現れるのは全身を燃え上がらせた形態の『エレメントキマイラ』

「バトル、『赫月に蠢く竜』に攻撃。ダメージは受け破壊されるが……言わなくても、わかるよな」

「…………あぁ」

破壊されても効果は発動する
俺が選んだのは『昼夜の大火事』。

阿笠 Win
LP550→400

射堂 Lose
LP50→0

両者極限までLPを減らし合った激闘の最後の一撃は、とても呆気ないものだった。

───────────────────────
今の射堂は茫然自失、正しくその言葉が似合う状態だった。
試合の勝敗が記された電光ボードを何も言わずに見つめている。

「……」

こんな状態のやつに詰め寄るほど、俺は落ちてない。そっと背を向け、選手用の通路に向かう。

「待てよ、おい」

「あ?」

入ってすぐ、何人かに取り囲まれる。全員……射堂一派のやつらだ。

「お前を帰らせるわけには──」

「やめろ」

相手はやる気満々、どうした物かと考えていると……後ろから声が。

「しゃ、射堂!?だけどよ……」

「もう、やめよう。俺も、お前らも」

そういう射堂の声色は、とても静かであると同時にどこか威圧感を感じるもので。俺に詰め寄っていた連中は怖々といった様子で帰っていく。

「……射堂」

「負けたよ。完全敗北だ。なぁ、阿笠」









「負けるって、こんなに悔しかったか」

……そう言って隣を通り過ぎる射堂の顔を、俺は覗かなかった。
今になってあいつが可哀想とか、許してやりたくなったとか、そういう訳じゃない。
ただ…最後にあれほどの燃え上がりを見せた男にデュエリストとして、プロの後輩として敬意を表したくなった。それだけだ。

───────────────────────
最後の一撃は、切ない。
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