第11話　2回目の面会の始まり　作：トマトところてん

前回のあらすじ

話を書く都合上で設定を小出しすることになったけど、特になし。最新話から読んで問題ない。


本編


リラックス効果のある温泉もストレス解消効果のあるお笑い番組やVtuberの動画配信も逆に疲れる事がある。
それでも人気がなければ終わる。
そんな中、きなこの向かいのベッドのおばちゃんが腕組みをしながらテレビを見ていた。
不機嫌なのか。野球の試合を見るおっさんかよと思ったが、どうも違う番組だった。

病院の大部屋をあとにして検査を受けて面会の部屋につくとすでにれんげが先についていた。
前の面会のように大小様々な袋をもっていた。
ゴソゴソとだけいって四次元ポケットのようになんでも出てくる稚拙な描写。
これも仕方ない。
ただ、れんげは少し暗い顔をしていた。それをみて、
「どうしたのれんげちゃん？元気ない？」
「うん」
としか答えないで、黙ったまま袋から取り出した。ストラクだった。
「王者の鼓動？まあ、まだ手に入れてなかったねぇ。安かったの？」
「うん」

気まずいので、きなこはとっさに片手を前につき出して、
「アブソリュートパワーフォース。パワー照射。」
とジェスチャーでパワーを送る。
それをきいてれんげがため息をつく。
「それなんだよ。力こそパワーなんだよ。」
「ん？」
「トートロジー。ま、私はけっこう好きなんだけどね。」
きくと夏休み明けの試験がボロボロだったらしい。
頭の悪そうな表現。わかりやすくていいじゃんと愚痴を吐いていた。それで大変だったらしい。
毎日がエブリデイ。インテリは賢い人。エジソンは偉い人。
「寺の住職を目指す人が国語弱いのはねぇ。って般若心経の暗唱とかするの？」
「うん」
この世の全ては因縁であり、実体はない空っぽなもの。
きなこちゃんの心の傷や憎悪が闇マリク系女子をふわっと生み出した。
「ん？」
きなこが疑問に思う。
宗教が迫害を受けてより強固になり、仲間との絆が深まっていくなか、最後の最後で裏切る親友。裏切り者は非常に重要な課題、ポジションにいる。
友を信じすぎたゆえに、愛が憎しみに変わる。それが私。
「へ？」
私達は憎みあって、アイツのせいで自らの心が揺さぶられ振り回されるのは嫌だと距離を取るようになって。
「ちょっと待って。試験で傷ついたくらいでよわよわすぎない？」
病弱なきなこちゃんは病弱なりに友達を作るも病気がたたって、病弱ゆえに突然死。
誰にも看取られず理不尽に亡くなる。その頃、私はクリスマスの事を考えていて。
「よくあるよね。邦画で。」
きなこはけろっとしている。
「きなこちゃんは優しいよね。いつかどんなことも冷めちゃうのかな。」
「いや、そんなに甘くないと思うよ。姉上ママも意外と俗人で、頭は下げるけど心はグツグツと煮えたぎってるとか。」
うーんときなこは悩む。
ダウナー末っ子？駄々っ子女子れんげちゃん？ざぁーこ、ざぁーこ？
かける言葉が見つからなかった。


ということで、キングのデュエルは常にエンターテイメントでなければならなかったが、まずは腹いせに飯ということで、れんげは黙ったまま袋からカップ麺と菓子パンを取り出した。


続く


最近のストラクで話が書けたらいいなと。