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5:アカデミア―その女神とその頭脳 作:天
デュエル・アカデミアの生徒会に所属する『天上院 明日南(テンジョウイン アスナ)』は、アカデミア内でも密かに三女神と呼ばれる指折りの美少女である。
金髪碧眼の持ち主であり、その髪は飴細工の糸のように繊細で美しく、その瞳は見つめられれば吸い込まれてしまいそうなほど澄んでいながらも深い光を湛えている。そのスタイルも抜群で、細い肢体に不似合いなほど豊かな胸は他の男子生徒を狂わせてしまうほどに扇情的な破壊力を誇っている。
また決闘者としても学内でトップクラスを争うほどの実力者であり、品行方正を絵に書いたような性格も相まって他生徒からは高嶺の花として認知されていた。
そんなアスナはここ数日忙しない日々を送っていた。
毎年、デュエル・アカデミアの入学試験は教員ではなく、生徒会が取り仕切るのが通例となっている。そのため昨年から生徒会のメンバーとして活動しているアスナもその準備に奔走していたのだ。
なにせデュエル・アカデミアの受験生は毎年3000人を超える。それらの合否を1日で測らなければならないのだ。少しのミスがその全員を巻き込むかと思えば手抜きはできない。
去年は自分が試験を受ける側だった。
この試験を滞りなく行うために先輩方がこうして奔走してくれていたのだと思うと感慨深いものがあった。
そうして迎えた試験当日である。
アスナは会場前に設置された受付を担当している。
試験会場は二ヶ所設けられており、アスナは第一会場の受け持ちだ。
その受付には早朝から長蛇の列ができており、それらを素早く的確に処理していく必要がある。この時点での対応の遅れは今日一日の全てに支障をきたしてしまうからだ。難しい仕事ではなくとも責任は重大である。
それを充分に認識しているアスナは自身に見とれる男子受験生の視線に目もくれず、自らの仕事に集中し、受付に訪れる受験生を次から次へと凄まじいスピードで処理していた。
「受験番号1826番です」
そんなアスナの前に一人の受験生が立った。
差し出される受験票を素早く確認すると、受付表にチェックを入れる。
と、アスナの手が止まった。
(武藤 遊偉・・・君)
アスナの見る受付表にはそう名前が記されている。
しかしアスナが目を止めたのはその隣の備考欄だ。
(今度、講師として赴任される響先生の推薦者・・・)
デュエル・アカデミアの講師になれるほどの人物は多くない。
それは確かな実力を認められた極限られた人材のみが名乗ることを許される特別な肩書きなのだ。
興味が湧いた。そんな人物が是非にと推薦するほどの決闘者だ、その実力は折り紙つきというものだろう。
アスナも今でこそ受付嬢の真似事などをしているが根っからの決闘者である。強い決闘者とは是非手合わせを願いたい。
フッと視線を上げると、そこには黒髪黒眼の少年が立っていた。
まだ僅かに幼さが残るながらもわりと整った顔立ち。身長はアスナと同じくらいだろうか。
その瞳は真っ直ぐにこちらの目を射抜いてくる。しかしそれは見惚れるという感じではなく、どこか闘いを挑んでいるかのように感じられた。
「武藤・・・ユーイ・・・君ね。えーっと、こちらを真っ直ぐ進んで、先に魔力検査を行って下さい」
アスナにしては珍しく声がどもる。
ユーイは小さく礼を言って、言われた通りに進んでいった。
次の受験生がアスナの前に立ち、彼女はそちらの対応をし始める。
しかし視線はチラリと遠ざかっていくユーイ背中を追う。
(不思議な雰囲気の子・・・)
ここで受付をしながら何人もの決闘者と相対していれば、なんとなくではあるが腕の立つ決闘者は分かる。雰囲気が他とは違うのだ。
しかしあのユーイという少年はそれとも少し違う感じがした。アスナ自身どう表現したらいいものか戸惑うが、そうとしか言い様がない。腕が立つとか立たないとか以前の話で、彼は他の決闘者とはどこか異質な存在感を持っているように思えた。
(それにしても、いつ以来かしら・・・あんなに真っ直ぐに決闘者としての目を向けられたのは・・・)
初対面時にアスナに向けられる視線は大概二種類に分類される。好奇か羨望。自惚れかもしれないが、それが自分の容姿によるものだということは自分でも分かっている。
アスナと言えど女である。綺麗とか魅力的だとか言われるのが嫌なわけではない。
だが、アスナは女である前に決闘者でありたいと思っている。戦士でありたいと思っているのだ。そのために女としての部分が妨げになるのだとしたら、やはりそれは邪魔なものでしかない。評価されるのであれば、戦士としての技量を評価されたいのである。
ユーイはそんなアスナの想いなど知るよしもないにも関わらず真っ直ぐに決闘者として目を向けてきた。
恋愛のそれとは違うが、アスナにとって『武藤 ユーイ』の名前は、『気になる存在』として脳裏に刻まれたのだった。
一方で受付を終えたばかりのユーイも、ふと受付を振り返った。
(あの人、かなりデキる人っぽいな・・・)
こちらもこちらでアスナのまだ見ぬ実力を推し測っていた。
(ああいう人がごろごろいるんだな、ここは)
そう思うと、デュエル・アカデミアに入学した後が楽しみになってきた。
ユーイはワクワクする気持ちを押さえきれずに、まずは魔力検査とやらにのぞんだ。
『三沢 大揮(ミサワ ダイキ)』はアスナと同様、生徒会に所属している。
黒髪をオールバックにしたヘアースタイルで、太い眉と理知的な目をした青年である。
アカデミアでは卒業生の多くが軍に入隊するが、彼はデュエルの研究者志望という変わり種だ。
デュエル研究に於いて各国で足並みは様々で、この秤の国は他国の後塵を拝していると彼は考えている。そこに一石を投じる研究者になることこそが彼の野望なのであった。
そんなダイキの本日の担当は魔力検査だった。
魔力検査といっても専用の機器があるわけではなく、単に自身が召喚できる中で最もレベルの高いモンスターの召喚を行い、そこから保有する魔力総量を推定するという恐ろしく曖昧な検査である。この国随一の決闘者育成機関の試験だというのにこの有り様である。ダイキのこの国に対するデュエル研究の遅れへの憂慮は全くもって正しいと言えた。
魔力検査の会場は、王都ながら広大な敷地を誇るデュエル・アカデミアの体育館。
カードと魔力で闘う決闘者ではあるが、体力が不必要かと言われればそうではない。軍に入隊すれば当然有事の際には行軍なども必要であり、身体の鍛練が精神を磨くことにも繋がるので体のトレーニングも必須とされている。そういうわけでデュエル・アカデミアにも体力向上のための施設も数多く設けられている。体育館もその一つと言えよう。
その体育館内にダイキを含めた五人の試験官が立ち、受験生はその前で次々に自身のデッキ内最高のモンスターを召喚していく。
彼らがアカデミア側から渡されているデュエルディスクは特別製で、アドバンス召喚などの手順を踏まずともデッキ内・エクストラデッキ内問わずに高レベルのモンスターを召喚できるよう改造されている。無論、このデュエルディスクは通常のデュエルには使用できない。デュエルとは神聖な儀式であり、そのルールは天により定められたものだ。それを破る行為は天の怒りを買う。
「よし、次ッ!」
前の一組が検査を終え、ダイキが次の組を呼び込むと、その前に躍り出たのは金髪の少年だった。一目で貴族と分かる身なり。
ダイキは手元の書類を確認する。
(受験番号666番、シクス・タイタン・・・)
「よし、始めろ」
ダイキは貴族の生まれではないが、秤の国出身者ならばタイタンの家名を見れば彼が何者なのかすぐに理解できるだろう。
「出でよッ!《戦慄の凶皇―ジェネシス・デーモン》!!」
シクスがカードを掲げながら叫ぶと、轟とともに巨大な体躯の悪魔が姿を現した。
受験生の中からどよめきが起こる。
しかしダイキは冷静に《ジェネシス・デーモン》を見上げ、そしてそれを召喚したシクスの様子を観察する。
(レベル8。攻撃力3000。流石は七星候というところか)
「フ、フハハハッ! どうです、諸先輩方!? ボクこそが七星候タイタン家次期当主にして今年度ナンバーワンルーキー、シクス・タイタン! 主席合格は間違いないですよね!?」
シクスが誇らしげに高笑いする。
他の受験生も実際にレベル8の高レベルモンスターを召喚したのを目の当たりにし、七星候の血筋の持つ魔力に感嘆を漏らしている。
魔力というものは実に様々な要因によってその量や強さを変化させると言われており、その全てが解明されているわけではない。現在解明されているその要因の一つが『遺伝』である。
魔力の強い者同士の子供はやはりその因子を濃く受け継ぐためか同じく魔力の強い子供となる。そしてそれを利用して血筋を磨きあげてきたのが貴族である。魔力の強い貴族はやはり魔力に秀でた家との政略結婚を繰り返し、血に流れる魔力を維持増幅させてきた過去がある。一般に総魔力において一般人よりも貴族の方が秀でていると考えられているのはこのためであり、貴族が選民的な思想になりがちなのもこれに一因がある。
さて、ダイキはざわめく受験生達を尻目に静かにシクスの様子を見極めていく。
態度に僅かな虚勢は見受けられるものの、これだけのモンスターを召喚しながらまだ多少の余裕がありそうだ。やはり魔力的な素養は認めねばなるまい。
しかし、と《ジェネシス・デーモン》を見上げる。
(この程度のモンスターを召喚したからといってナンバーワンルーキーを名乗るのは奢りだな)
確かに《ジェネシス・デーモン》は強力なモンスターだ。
レベル8で攻撃力3000というステータスは脅威だろう。しかしそのモンスター効果は自分のターンにのみ、しかも「デーモン」モンスターの除外というコスト付きのカード破壊効果のみ。残りはどちらかと言えば制約だ。
もしシクスがデュエル相手だとして、この程度のモンスターに依存するような闘い方だったならば、正直ダイキの相手としては力不足だろう。
それに、ここにいる受験生達はまだ知らないようだが、レベル8のモンスターを召喚したのは何もシクスだけではない。
(せいぜい実技試験に期待するとしようか)
ダイキは書類の審査欄にチェックを入れ、シクスをA評価とした。
「審査が終わった者は順次、次の筆記試験へと進んでくれ。次ッ!」
そうしてダイキ達試験官は次々に受験生達の魔力を審査していった。
ちょっとした問題が発生したのはそれから間もなくのことだった。
金髪碧眼の持ち主であり、その髪は飴細工の糸のように繊細で美しく、その瞳は見つめられれば吸い込まれてしまいそうなほど澄んでいながらも深い光を湛えている。そのスタイルも抜群で、細い肢体に不似合いなほど豊かな胸は他の男子生徒を狂わせてしまうほどに扇情的な破壊力を誇っている。
また決闘者としても学内でトップクラスを争うほどの実力者であり、品行方正を絵に書いたような性格も相まって他生徒からは高嶺の花として認知されていた。
そんなアスナはここ数日忙しない日々を送っていた。
毎年、デュエル・アカデミアの入学試験は教員ではなく、生徒会が取り仕切るのが通例となっている。そのため昨年から生徒会のメンバーとして活動しているアスナもその準備に奔走していたのだ。
なにせデュエル・アカデミアの受験生は毎年3000人を超える。それらの合否を1日で測らなければならないのだ。少しのミスがその全員を巻き込むかと思えば手抜きはできない。
去年は自分が試験を受ける側だった。
この試験を滞りなく行うために先輩方がこうして奔走してくれていたのだと思うと感慨深いものがあった。
そうして迎えた試験当日である。
アスナは会場前に設置された受付を担当している。
試験会場は二ヶ所設けられており、アスナは第一会場の受け持ちだ。
その受付には早朝から長蛇の列ができており、それらを素早く的確に処理していく必要がある。この時点での対応の遅れは今日一日の全てに支障をきたしてしまうからだ。難しい仕事ではなくとも責任は重大である。
それを充分に認識しているアスナは自身に見とれる男子受験生の視線に目もくれず、自らの仕事に集中し、受付に訪れる受験生を次から次へと凄まじいスピードで処理していた。
「受験番号1826番です」
そんなアスナの前に一人の受験生が立った。
差し出される受験票を素早く確認すると、受付表にチェックを入れる。
と、アスナの手が止まった。
(武藤 遊偉・・・君)
アスナの見る受付表にはそう名前が記されている。
しかしアスナが目を止めたのはその隣の備考欄だ。
(今度、講師として赴任される響先生の推薦者・・・)
デュエル・アカデミアの講師になれるほどの人物は多くない。
それは確かな実力を認められた極限られた人材のみが名乗ることを許される特別な肩書きなのだ。
興味が湧いた。そんな人物が是非にと推薦するほどの決闘者だ、その実力は折り紙つきというものだろう。
アスナも今でこそ受付嬢の真似事などをしているが根っからの決闘者である。強い決闘者とは是非手合わせを願いたい。
フッと視線を上げると、そこには黒髪黒眼の少年が立っていた。
まだ僅かに幼さが残るながらもわりと整った顔立ち。身長はアスナと同じくらいだろうか。
その瞳は真っ直ぐにこちらの目を射抜いてくる。しかしそれは見惚れるという感じではなく、どこか闘いを挑んでいるかのように感じられた。
「武藤・・・ユーイ・・・君ね。えーっと、こちらを真っ直ぐ進んで、先に魔力検査を行って下さい」
アスナにしては珍しく声がどもる。
ユーイは小さく礼を言って、言われた通りに進んでいった。
次の受験生がアスナの前に立ち、彼女はそちらの対応をし始める。
しかし視線はチラリと遠ざかっていくユーイ背中を追う。
(不思議な雰囲気の子・・・)
ここで受付をしながら何人もの決闘者と相対していれば、なんとなくではあるが腕の立つ決闘者は分かる。雰囲気が他とは違うのだ。
しかしあのユーイという少年はそれとも少し違う感じがした。アスナ自身どう表現したらいいものか戸惑うが、そうとしか言い様がない。腕が立つとか立たないとか以前の話で、彼は他の決闘者とはどこか異質な存在感を持っているように思えた。
(それにしても、いつ以来かしら・・・あんなに真っ直ぐに決闘者としての目を向けられたのは・・・)
初対面時にアスナに向けられる視線は大概二種類に分類される。好奇か羨望。自惚れかもしれないが、それが自分の容姿によるものだということは自分でも分かっている。
アスナと言えど女である。綺麗とか魅力的だとか言われるのが嫌なわけではない。
だが、アスナは女である前に決闘者でありたいと思っている。戦士でありたいと思っているのだ。そのために女としての部分が妨げになるのだとしたら、やはりそれは邪魔なものでしかない。評価されるのであれば、戦士としての技量を評価されたいのである。
ユーイはそんなアスナの想いなど知るよしもないにも関わらず真っ直ぐに決闘者として目を向けてきた。
恋愛のそれとは違うが、アスナにとって『武藤 ユーイ』の名前は、『気になる存在』として脳裏に刻まれたのだった。
一方で受付を終えたばかりのユーイも、ふと受付を振り返った。
(あの人、かなりデキる人っぽいな・・・)
こちらもこちらでアスナのまだ見ぬ実力を推し測っていた。
(ああいう人がごろごろいるんだな、ここは)
そう思うと、デュエル・アカデミアに入学した後が楽しみになってきた。
ユーイはワクワクする気持ちを押さえきれずに、まずは魔力検査とやらにのぞんだ。
『三沢 大揮(ミサワ ダイキ)』はアスナと同様、生徒会に所属している。
黒髪をオールバックにしたヘアースタイルで、太い眉と理知的な目をした青年である。
アカデミアでは卒業生の多くが軍に入隊するが、彼はデュエルの研究者志望という変わり種だ。
デュエル研究に於いて各国で足並みは様々で、この秤の国は他国の後塵を拝していると彼は考えている。そこに一石を投じる研究者になることこそが彼の野望なのであった。
そんなダイキの本日の担当は魔力検査だった。
魔力検査といっても専用の機器があるわけではなく、単に自身が召喚できる中で最もレベルの高いモンスターの召喚を行い、そこから保有する魔力総量を推定するという恐ろしく曖昧な検査である。この国随一の決闘者育成機関の試験だというのにこの有り様である。ダイキのこの国に対するデュエル研究の遅れへの憂慮は全くもって正しいと言えた。
魔力検査の会場は、王都ながら広大な敷地を誇るデュエル・アカデミアの体育館。
カードと魔力で闘う決闘者ではあるが、体力が不必要かと言われればそうではない。軍に入隊すれば当然有事の際には行軍なども必要であり、身体の鍛練が精神を磨くことにも繋がるので体のトレーニングも必須とされている。そういうわけでデュエル・アカデミアにも体力向上のための施設も数多く設けられている。体育館もその一つと言えよう。
その体育館内にダイキを含めた五人の試験官が立ち、受験生はその前で次々に自身のデッキ内最高のモンスターを召喚していく。
彼らがアカデミア側から渡されているデュエルディスクは特別製で、アドバンス召喚などの手順を踏まずともデッキ内・エクストラデッキ内問わずに高レベルのモンスターを召喚できるよう改造されている。無論、このデュエルディスクは通常のデュエルには使用できない。デュエルとは神聖な儀式であり、そのルールは天により定められたものだ。それを破る行為は天の怒りを買う。
「よし、次ッ!」
前の一組が検査を終え、ダイキが次の組を呼び込むと、その前に躍り出たのは金髪の少年だった。一目で貴族と分かる身なり。
ダイキは手元の書類を確認する。
(受験番号666番、シクス・タイタン・・・)
「よし、始めろ」
ダイキは貴族の生まれではないが、秤の国出身者ならばタイタンの家名を見れば彼が何者なのかすぐに理解できるだろう。
「出でよッ!《戦慄の凶皇―ジェネシス・デーモン》!!」
シクスがカードを掲げながら叫ぶと、轟とともに巨大な体躯の悪魔が姿を現した。
受験生の中からどよめきが起こる。
しかしダイキは冷静に《ジェネシス・デーモン》を見上げ、そしてそれを召喚したシクスの様子を観察する。
(レベル8。攻撃力3000。流石は七星候というところか)
「フ、フハハハッ! どうです、諸先輩方!? ボクこそが七星候タイタン家次期当主にして今年度ナンバーワンルーキー、シクス・タイタン! 主席合格は間違いないですよね!?」
シクスが誇らしげに高笑いする。
他の受験生も実際にレベル8の高レベルモンスターを召喚したのを目の当たりにし、七星候の血筋の持つ魔力に感嘆を漏らしている。
魔力というものは実に様々な要因によってその量や強さを変化させると言われており、その全てが解明されているわけではない。現在解明されているその要因の一つが『遺伝』である。
魔力の強い者同士の子供はやはりその因子を濃く受け継ぐためか同じく魔力の強い子供となる。そしてそれを利用して血筋を磨きあげてきたのが貴族である。魔力の強い貴族はやはり魔力に秀でた家との政略結婚を繰り返し、血に流れる魔力を維持増幅させてきた過去がある。一般に総魔力において一般人よりも貴族の方が秀でていると考えられているのはこのためであり、貴族が選民的な思想になりがちなのもこれに一因がある。
さて、ダイキはざわめく受験生達を尻目に静かにシクスの様子を見極めていく。
態度に僅かな虚勢は見受けられるものの、これだけのモンスターを召喚しながらまだ多少の余裕がありそうだ。やはり魔力的な素養は認めねばなるまい。
しかし、と《ジェネシス・デーモン》を見上げる。
(この程度のモンスターを召喚したからといってナンバーワンルーキーを名乗るのは奢りだな)
確かに《ジェネシス・デーモン》は強力なモンスターだ。
レベル8で攻撃力3000というステータスは脅威だろう。しかしそのモンスター効果は自分のターンにのみ、しかも「デーモン」モンスターの除外というコスト付きのカード破壊効果のみ。残りはどちらかと言えば制約だ。
もしシクスがデュエル相手だとして、この程度のモンスターに依存するような闘い方だったならば、正直ダイキの相手としては力不足だろう。
それに、ここにいる受験生達はまだ知らないようだが、レベル8のモンスターを召喚したのは何もシクスだけではない。
(せいぜい実技試験に期待するとしようか)
ダイキは書類の審査欄にチェックを入れ、シクスをA評価とした。
「審査が終わった者は順次、次の筆記試験へと進んでくれ。次ッ!」
そうしてダイキ達試験官は次々に受験生達の魔力を審査していった。
ちょっとした問題が発生したのはそれから間もなくのことだった。
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さて、発生したちょっとした問題とは…? (2017-12-29 23:09)
これからもどこかで聞いた名前の方々が登場しますが、まるっと気のせいですね(笑)
早くデュエルしたいですが、入学試験がもうちょっとだけ続きます。頑張ります。 (2017-12-30 18:13)
遊戯王GXと異世界ファンタジーの世界が見事に融合して独自の世界観が秀逸に構築されている上に、その世界の様子が鮮明に表現されていまして、とても惹かれました!
シクスに絡まれていたチヨちゃんを助けに行った上に、エルフモンスターとブリッツ・マジシャンを巧みに連携させて、ジェネシス・デーモン共々シクスを華麗に撃破したユーイが、とてもカッコ良かったです!
名家の貴族を難なく退けた上に、アカデミアでも屈指の強者である明日南さんからも一目置かれている辺り、ユーイが非常に高い技量を持った実力者である事が伺えますね!
次回も楽しみにしております!ご無理の無い様にご執筆なさって下さい!応援しております!
質問をさせて頂きますが、ヒスイさんと明日南さんへのパイタッチはありますか?お二人共抜群のナイスバディで、とても魅力的ですね! (2018-01-03 13:21)
長文のコメントいただきありがとうございます!
全然気付いてませんでした、申し訳ありません。
亀更新で、まだ世界観を語れてはいませんが異世界ファンタジーの遊戯王を気に入っていただければ幸いです。
パイタッチはその内あるかもしれません。ユーイとは限りませんが。
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2018-01-14 13:26)