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15:『王』のカード~毒の竜 作:天
《捕食植物キメラフレシア》が打ち破られたことで美少女決闘者を大ダメージが襲う。
美少女決闘者(LP3200→1500)
しかし美少女決闘者は微動だにしなかった。
少し俯きぎみに、まるでダメージすら噛み締めているかのようだ。
攻撃を終えた《E・HERO アクエリアス》はユーイのフィールドに戻り、まるで寄り添うようにして立つ。
「・・・・?」
虎の子の融合モンスターが倒されたのだ、ショックは小さくはないだろう。
しかし美少女決闘者の肩がくつくつと揺れている。
「自分のモンスターがやられたのに、何か可笑しいか?」
彼女が震えながらも笑っているのはすぐに分かった。
まさか気が振れたわけでもあるまい。ユーイは眉を寄せる。
すると美少女決闘者はすっきりとした顔を見せた。
「可笑しいわけじゃあないわ。嬉しいのよ」
「嬉しい?」
「ええ、嬉しい。そう、嬉しいのよ。まるでずうっと探していた物がようやく見つかった時みたいに。こんなに嬉しいことはないわ」
美少女決闘者はそう話すが、ユーイにはその意味が理解できない。ますます訝るが、美少女決闘者はそれすら嬉しそうに笑みを深める。
「似ている・・・」
「なに?」
「『似ている』・・・と言ったの。キミのそのモンスターと私の『切り札』。やはりあの日渡された2枚のカードは対となるカードだった。姿形やステータスは違うけれど、その根底に流れているものがよく『似ている』。まるで血を分けた兄妹のように」
今では誰だったか思い出せないが、あの日『あの人』に渡された白紙のカードは2枚。
1枚は今まさに美少女決闘者の前に立ちはだかっている《E・HERO アクエリアス》の元になったカード。そしてもう1枚は彼女の元にある。
「何を言って――――」
「キミには色々と驚かされた。今度は私がキミを驚かしてあげる」
先に言った通り、彼女が異能保持者を見たのはこれが初めてだ。あるいはかつて親交のあったミヅキなどもそうだったのかもしれないが、当時はそんなこと思いもしなかった。とにかくあんな奇跡のような力に触れたのは彼女にとって初めての衝撃だったのは確かだ。
「へぇ、そいつは楽しみだな。オレはこれでターンエンドだ」
しかし白紙のカードに新たにイラストが浮き上がる――――新たなモンスターが生まれる瞬間に立ち会ったということならば、これが初めてではない。
「私のターン、ドロー」
『あの人』から渡されたカードは2枚あった。
『王』の魂に寄り添うカードと『彼女自身』の魂に寄り添うカード。
『王』のカードは自ら主を選び《E・HERO アクエリアス》となった。それと同様に『彼女自身』のカードも、今から数年も前に主を選び新たなモンスターとしてすでに『生まれ出でて』いたのだ。
「《捕食植物キメラフレシア》のモンスター効果。《捕食植物キメラフレシア》は墓地に送られることで、次のスタンバイフェイズにデッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カードを1枚手札に加えることができる。私はこの効果でデッキから再び《融合》を手札に加える」
美少女決闘者のデッキが《融合》を選び出し、彼女に捧げる。
「そして私は墓地の《捕食植物コーディセップス》の効果を発動!《捕食植物コーディセップス》は墓地のこのカードを除外することで、墓地の「捕食植物」モンスター2体を特殊召喚することができる! この効果で墓地の《捕食植物オフリス・スコーピオ》と《捕食植物ダーリング・コブラ》を特殊召喚!」
《捕食植物コーディセップス》は《捕食植物オフリス・スコーピオ》の効果を発動させる手札コストとして墓地に送られていたモンスターだ。美少女決闘者は《捕食植物キメラフレシア》を倒された後のための布石としてすでにこのカードを墓地に送っていたのだ。
その力によって、美少女決闘者のフィールドに《捕食植物オフリス・スコーピオ》と《捕食植物ダーリング・コブラ》が再び舞い戻る。さらに彼女の手札には《融合》もある。
「まさかまた《捕食植物キメラフレシア》を融合召喚するつもりか? そのモンスターでは《E・HERO アクエリアス》には勝てないぞ」
モンスター同士にはどうしようもない相性というものがある。《捕食植物キメラフレシア》単体ではどう頑張っても《E・HERO アクエリアス》には勝てない。相性が抜群に悪いのだ。その点において《E・HERO アクエリアス》は《捕食植物キメラフレシア》にとってはまさに天敵と言えるモンスターだった。
「私がこれから召喚するのは、当然《捕食植物キメラフレシア》ではない。《捕食植物キメラフレシア》と同じ融合素材で融合召喚できる別のモンスターだ。そして、このモンスターこそが私のエースにして、最後の切り札!!」
美少女決闘者が手札から魔法カードを発動する。
そのカードは当然《融合》だ。
「《融合》発動ッ! フィールドの《捕食植物オフリス・スコーピオ》と《捕食植物ダーリング・コブラ》を融合ッ!!」
フィールドの2体の捕食植物が再び溶け合う。
しかし今度生まれ変わるのは同じ捕食植物ではない。
ユーイは美少女決闘者から今までとは比較にならない魔力が吹き上がるのを感じていた。
(まだこれほどの魔力を隠していたのか・・・!)
彼女が何者なのかは未だ分からないが、確かに只者ではない。
この迸る魔力の量は七星候を自称していたシクスを遥かに上回る。
美少女決闘者が両手を合わせる。
「魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ!今ひとつとなりて、その花弁の奥の地獄から、新たな脅威を生み出せ!融合召喚!現れろ!飢えた牙持つ毒龍。レベル8!《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!」
2体の捕食植物が溶け合う渦を引き裂くようにして、中から巨大な影が這い出てくる。
彼女の口上通り、それは巨大で禍々しいオーラを纏った龍。
紫の体躯、巨大な牙、長い尾。体の周りにはいくつもの球体が飛び交い、その神秘的な輝きは見る者に圧力を与える。
スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン(星8/ATK2800)
「ぐううぅ・・・」
ユーイが思わず呻く。
凄まじいプレッシャーだ。上から押し付けられるような重圧。体を絡め取られるような濃厚な瘴気。
それらはこの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》とやらが、そこに存在しているだけで放つ圧倒的な存在感によるものだ。
「なるほど・・・確かに並のモンスターじゃあない・・・!」
「当然よ、私のエースモンスターなんだから!」
そう言う美少女決闘者だが、それは一種の強がりとも言えた。
ふらつきかける足元を懸命に踏みつける。
(レベル7の《捕食植物キメラフレシア》の後に《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》はさすがにしんどいわね・・・。この、じゃじゃ馬め・・・!)
魔力量だけならアカデミアでも屈指だろうという自負はある。それでも《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を使役するためには魔力をごっそり持っていかれてしまう。同じレベル8のモンスターでも、他のモンスターならばここまでではないはずだ。そういう意味でもこの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》は確かに特別なモンスターであると言えた。
(今の私ではそう長くは維持していられない。一気に――――決める!)
「《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》のモンスター効果ッ!《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》は融合召喚時、特殊召喚された相手モンスター1体の攻撃力分、自身の攻撃力をアップするッ!さらに1ターンに1度、相手のレベル5以上のモンスター1体と同じ効果を得るッ!」
「なにッ!?」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》が纏う球体が妖しい輝きを放ち始めた。
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果は、つまり相手モンスターの攻撃力とモンスター効果を自身に上乗せするということだ。戦闘ではどんなモンスターにも勝て、さらに効果までもコピーできる。それはまさに凶悪の一言。
「言ったでしょ、『似ている』って。私の《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》とキミの《E・HERO アクエリアス》は対となるカードから生まれた、言わば兄妹。当然、効果は似ている」
多少の差違はあれど相手モンスターの力を『奪う』という意味では、2体のモンスターは確かに似ている。
しかし《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の元々の攻撃力は2800。相手モンスターの攻撃力を奪えばさらにその力は増す。これは《E・HERO アクエリアス》にはない圧倒的なアドバンテージだ。
これを通すわけにはいかない。
「くッ・・・!《E・HERO アクエリアス》!!」
《E・HERO アクエリアス》の指先から泡が発せられる。それを振ることでシャボン玉のように泡は分散し《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》に絡み付いた。
「《E・HERO アクエリアス》の効果で《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果を『奪った』。これでその効果は無効となる」
しかし美少女決闘者にとってそれは想定内。
「当然そうするでしょうね。でもこれでキミには私を妨害する術はもうない」
「――――!!」
ユーイのフィールドは《E・HERO アクエリアス》1体。手札も0。《E・HERO アクエリアス》の効果を使わされてしまったいま、ユーイを守るものは何もない。
「バトルよッ!」
美少女決闘者の宣言に《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》が吠える。まるで自身の破壊衝動をようやく解放できると言わんばかりの強烈な咆哮。
そしてその口の中に紫の凄まじいエネルギーが渦巻く。
「〝侵蝕のデッドリー・インフューズ〟!!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の放った強烈なブレスは、その名の通り死の香りを放ちながら《E・HERO アクエリアス》を葬りさった。
「ぐああああぁぁーーーー!!」
ユーイ(LP500→0)
ユーイの敗北が決まり、その体は吹っ飛ばされた。強かに背中を打ち付け、大の字に寝転がる。
デュエルが終了したことで《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》が消えていく。
それを見送りながら美少女決闘者も深く息を吐いた。
「辛くも勝利・・・・と言ったところかしら。なんとか先輩の面目は保てたようね」
言って、未だ寝転がったままのユーイに歩み寄る。
「強ぇなぁ・・・アンタ」
そのままの体勢でユーイが笑む。
「起き上がって握手の一つでもしたいけど・・・ダメだ、体がぴくりとも動かねぇ」
そう言って笑うユーイからは先ほどまでの剣呑な雰囲気はもう感じられない。どうやらすでに元のユーイに戻っているようだ。
「デュエル・アカデミアにはアンタみたいな決闘者がゴロゴロいるのかな」
「ゴロゴロはいないわ。でも私に比肩する決闘者なら何人かいるわよ」
美少女決闘者が答えるとユーイは嬉しそうに笑って目を閉じる。
「そっか。それは・・・楽し・・・みだなぁ・・・」
言いながらユーイの意識は闇に沈んでいった。
驚いて美少女決闘者が近寄るが、ユーイは穏やかに寝息を立てている。どうやら疲労で落ちてしまっただけらしい。
ホッと安心して見るとユーイのカードが散乱していた。最後吹っ飛ばされた衝撃でデュエルディスクからこぼれ落ちてしまったようだ。
ユーイに片付ける力は残っていまい。仕方なく美少女決闘者はそれらを広い集めてやった。
と、1枚のカードを手に取りその動きが止まる。
見ていたのは、先ほど《E・HERO アクエリアス》の融合素材として使われた《E・HERO シャドー・ミスト》のカード。正確にはそのテキストだ。
そこには当然《E・HERO シャドー・ミスト》の効果が書かれているのだが、それによるとこのカードには墓地に送られた場合にデッキから他の「HERO」モンスターをサーチする能力があるらしい。
「ということは・・・あの時、このモンスターを召喚せず手札融合し攻撃力1500以上の「HERO」モンスターをサーチして《E・HERO アクエリアス》と合わせて召喚していれば、私は《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を召喚する間もなく負けていた・・・?」
それはあくまでも仮定の話だ。結果はすでに出ている。もはや覆ることはない。
それでも美少女決闘者はその場にペタンと座り込んだ。
不意に笑みがこぼれる。
(彼がデュエル後すぐに意識を失ったことを考えれば、彼の魔力はすでに空っぽ。本当にギリギリの闘いだったのだろう。仮に他のモンスターをサーチしていたとしても追加で召喚できるだけの魔力があったかどうかは分からない。けれど・・・)
フッと息が漏れ、美少女決闘者は覆面を外した。
美しく気品漂う素顔が現れた。少し冷たい夜の空気が心地よい。
ユーイは元々レベル5以上のモンスターを召喚できるほどの魔力は備えていなかった。火事場の馬鹿力とでも言うのかレベル6の《E・HERO アクエリアス》を召喚できたことさえ奇跡であり、そこに余力を使う余地はなかっただろう。
それでもやはり考えてしまう。もしユーイに自在にモンスターを操るだけの魔力があったのなら、どんな凄い決闘者となるのだろうか。
ユーイの寝顔を見る。
穏やかで清々しい顔だ。可愛いとすら思える。
そっとその頬に触れてみる。余程疲れているのか反応はない。
自分の動悸が早くなっているのが分かる。足に力が入らない。
なんだか自分ばかりドキドキしているのが癪になりその顔を覗き込んでみた。鼻が触れ合うくらい近い位置。自分の頬の熱さが伝わってしまいそうだ。
そうしているとなんだか彼の顔に吸い込まれていきそうになり――――
「ユウリっ!!」
「ひゃあいッ!!」
突然名前を呼ばれバネ人形の如く跳ね起きたユウリが見ると、街灯の明かりにも負けない赤い髪の人物がこちらに駆け寄ってきていた。
十六夜アキラだ。
「無断で寮を抜け出すなんて、どういうつもり!?」
寮にいないユウリを心配して探しに来てくれたらしいが、どうやら怒り心頭の様子。
ユウリは(これはただでは済まないな)と半ば諦観めいた気持ちになる。
「これは・・・武藤ユーイ?」
倒れているユーイとそのすぐ側に座るユウリ、そして二人の腕にはデュエルディスク。
その様子を一瞥しただけでアキラはその状況を理解した。
「まさか武藤ユーイとデュエルするために寮を・・・?」
「さすがアキラね、理解が早い」
ユウリの称賛などどこ吹く風でアキラはこめかみをさする。
「あなたが武藤ユーイに興味を抱いているのは知っていたけれど、まさかこんな夜遅くに寮を抜け出して一人で街に出るなんて・・・」
まるでわがままの過ぎる娘を持った母親のように頭を痛めるアキラ。
しかしユウリは悪びれる風もない。
「私はデュエル・アカデミア生徒会会長、影丸ユウリよ?自分の身くらい自分で守れるわ」
その反論に、さすがのアキラも真剣な顔になる。
そしておもむろに片膝を付きユウリにかしずくと、突如慇懃な口調で言う。
「一見平和に見えるこの王都にも諸外国の密偵や工作員が潜んでいるやもしれないのです。もし貴女様がそれらに危害を加えられでもしたらどうなさいます。ご自身のお立場をお考え下さい――――」
そこで一瞬タメを作って、続けてアキラは言った。
「――――影丸ユウリ『第四王女殿下』」
アキラの言葉に、さしものユウリも「う・・・」と口ごもった。
「・・・イジワルなことを言うのね」
「貴女様があまりに聞き分けのないことを仰るからです」
変わらずアキラは頭を下げたまま。
「貴女を侍従として雇った覚えはない。私に何かあろうと、貴女の責任問題が問われたりはしないでしょう」
ユウリがわざと厳しく冷たい言葉で言う。
しかしそんなことは想定内とばかりにアキラは顔を上げて眉を下げる。
「でもあなたに何かあったらきっと私は泣くわよ、ユウリ」
それは王女の側を預かる者としてでも生徒会副会長としてでもなく、学園で唯一人ユウリを下の名前で呼ぶことを許された『親友』としての言葉だった。
ユウリもそんな顔でそんなことを言われては、もう反論する気にもならない。
「まったくあなたはズルいわ。私の負け。黙っていなくなったりしてごめんなさい」
アキラもそれ以上追及することはせず、何もなかったかのように微笑んで立ち上がる。
「で、彼はどうする?まさかこのままここで寝かせておくわけにはいかないでしょう」
ユウリが寮を抜け出した件は何とか誤魔化すとして、倒れたまま眠っているユーイを放置しておくわけにはいかない。
「口の固い者を何人か呼んで、宿まで運んでもらってちょうだい。このままでは風邪を引かせてしまう」
「分かった。後でややこしくなるから、あなたは先に寮へ戻ってなさいよ」
念を押すアキラに、ユウリは「分かっているわよ」と口を尖らせながらまだ整理途中だったユーイのカードをデッキへと戻す。
《E・HERO アクエリアス》と《融合》のカードは少し迷ったがそのままユーイの手元に残すことにした。これらのカードは元々はユウリのものだが、このデュエルの証としてユーイに持っておいて欲しかったのだ。
(《融合》は私からのプレゼント。そして『王』のカードはキミを選んだ。それらのカードはそのうち必ずキミの力になってくれるはず)
『王』のカードがユーイを選んだということが何を意味するのか、ユウリはよく解っていた。
あの日のミヅキの予言がその通りならば、将来ユーイとユウリは結ばれることになる。そしてユーイがやがてこの『秤の国』の王となるのだ。
ユウリにとってそれは決して不快な未来ではない。むしろ望ましいと言える。しかし、それは同時に過酷な闘いの未来でもあることをユウリは感じていた。
今はこの『王』のカードが、ユーイの身を守ってくれることを切に祈るばかりだった。
美少女決闘者(LP3200→1500)
しかし美少女決闘者は微動だにしなかった。
少し俯きぎみに、まるでダメージすら噛み締めているかのようだ。
攻撃を終えた《E・HERO アクエリアス》はユーイのフィールドに戻り、まるで寄り添うようにして立つ。
「・・・・?」
虎の子の融合モンスターが倒されたのだ、ショックは小さくはないだろう。
しかし美少女決闘者の肩がくつくつと揺れている。
「自分のモンスターがやられたのに、何か可笑しいか?」
彼女が震えながらも笑っているのはすぐに分かった。
まさか気が振れたわけでもあるまい。ユーイは眉を寄せる。
すると美少女決闘者はすっきりとした顔を見せた。
「可笑しいわけじゃあないわ。嬉しいのよ」
「嬉しい?」
「ええ、嬉しい。そう、嬉しいのよ。まるでずうっと探していた物がようやく見つかった時みたいに。こんなに嬉しいことはないわ」
美少女決闘者はそう話すが、ユーイにはその意味が理解できない。ますます訝るが、美少女決闘者はそれすら嬉しそうに笑みを深める。
「似ている・・・」
「なに?」
「『似ている』・・・と言ったの。キミのそのモンスターと私の『切り札』。やはりあの日渡された2枚のカードは対となるカードだった。姿形やステータスは違うけれど、その根底に流れているものがよく『似ている』。まるで血を分けた兄妹のように」
今では誰だったか思い出せないが、あの日『あの人』に渡された白紙のカードは2枚。
1枚は今まさに美少女決闘者の前に立ちはだかっている《E・HERO アクエリアス》の元になったカード。そしてもう1枚は彼女の元にある。
「何を言って――――」
「キミには色々と驚かされた。今度は私がキミを驚かしてあげる」
先に言った通り、彼女が異能保持者を見たのはこれが初めてだ。あるいはかつて親交のあったミヅキなどもそうだったのかもしれないが、当時はそんなこと思いもしなかった。とにかくあんな奇跡のような力に触れたのは彼女にとって初めての衝撃だったのは確かだ。
「へぇ、そいつは楽しみだな。オレはこれでターンエンドだ」
しかし白紙のカードに新たにイラストが浮き上がる――――新たなモンスターが生まれる瞬間に立ち会ったということならば、これが初めてではない。
「私のターン、ドロー」
『あの人』から渡されたカードは2枚あった。
『王』の魂に寄り添うカードと『彼女自身』の魂に寄り添うカード。
『王』のカードは自ら主を選び《E・HERO アクエリアス》となった。それと同様に『彼女自身』のカードも、今から数年も前に主を選び新たなモンスターとしてすでに『生まれ出でて』いたのだ。
「《捕食植物キメラフレシア》のモンスター効果。《捕食植物キメラフレシア》は墓地に送られることで、次のスタンバイフェイズにデッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カードを1枚手札に加えることができる。私はこの効果でデッキから再び《融合》を手札に加える」
美少女決闘者のデッキが《融合》を選び出し、彼女に捧げる。
「そして私は墓地の《捕食植物コーディセップス》の効果を発動!《捕食植物コーディセップス》は墓地のこのカードを除外することで、墓地の「捕食植物」モンスター2体を特殊召喚することができる! この効果で墓地の《捕食植物オフリス・スコーピオ》と《捕食植物ダーリング・コブラ》を特殊召喚!」
《捕食植物コーディセップス》は《捕食植物オフリス・スコーピオ》の効果を発動させる手札コストとして墓地に送られていたモンスターだ。美少女決闘者は《捕食植物キメラフレシア》を倒された後のための布石としてすでにこのカードを墓地に送っていたのだ。
その力によって、美少女決闘者のフィールドに《捕食植物オフリス・スコーピオ》と《捕食植物ダーリング・コブラ》が再び舞い戻る。さらに彼女の手札には《融合》もある。
「まさかまた《捕食植物キメラフレシア》を融合召喚するつもりか? そのモンスターでは《E・HERO アクエリアス》には勝てないぞ」
モンスター同士にはどうしようもない相性というものがある。《捕食植物キメラフレシア》単体ではどう頑張っても《E・HERO アクエリアス》には勝てない。相性が抜群に悪いのだ。その点において《E・HERO アクエリアス》は《捕食植物キメラフレシア》にとってはまさに天敵と言えるモンスターだった。
「私がこれから召喚するのは、当然《捕食植物キメラフレシア》ではない。《捕食植物キメラフレシア》と同じ融合素材で融合召喚できる別のモンスターだ。そして、このモンスターこそが私のエースにして、最後の切り札!!」
美少女決闘者が手札から魔法カードを発動する。
そのカードは当然《融合》だ。
「《融合》発動ッ! フィールドの《捕食植物オフリス・スコーピオ》と《捕食植物ダーリング・コブラ》を融合ッ!!」
フィールドの2体の捕食植物が再び溶け合う。
しかし今度生まれ変わるのは同じ捕食植物ではない。
ユーイは美少女決闘者から今までとは比較にならない魔力が吹き上がるのを感じていた。
(まだこれほどの魔力を隠していたのか・・・!)
彼女が何者なのかは未だ分からないが、確かに只者ではない。
この迸る魔力の量は七星候を自称していたシクスを遥かに上回る。
美少女決闘者が両手を合わせる。
「魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ!今ひとつとなりて、その花弁の奥の地獄から、新たな脅威を生み出せ!融合召喚!現れろ!飢えた牙持つ毒龍。レベル8!《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!」
2体の捕食植物が溶け合う渦を引き裂くようにして、中から巨大な影が這い出てくる。
彼女の口上通り、それは巨大で禍々しいオーラを纏った龍。
紫の体躯、巨大な牙、長い尾。体の周りにはいくつもの球体が飛び交い、その神秘的な輝きは見る者に圧力を与える。
スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン(星8/ATK2800)
「ぐううぅ・・・」
ユーイが思わず呻く。
凄まじいプレッシャーだ。上から押し付けられるような重圧。体を絡め取られるような濃厚な瘴気。
それらはこの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》とやらが、そこに存在しているだけで放つ圧倒的な存在感によるものだ。
「なるほど・・・確かに並のモンスターじゃあない・・・!」
「当然よ、私のエースモンスターなんだから!」
そう言う美少女決闘者だが、それは一種の強がりとも言えた。
ふらつきかける足元を懸命に踏みつける。
(レベル7の《捕食植物キメラフレシア》の後に《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》はさすがにしんどいわね・・・。この、じゃじゃ馬め・・・!)
魔力量だけならアカデミアでも屈指だろうという自負はある。それでも《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を使役するためには魔力をごっそり持っていかれてしまう。同じレベル8のモンスターでも、他のモンスターならばここまでではないはずだ。そういう意味でもこの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》は確かに特別なモンスターであると言えた。
(今の私ではそう長くは維持していられない。一気に――――決める!)
「《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》のモンスター効果ッ!《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》は融合召喚時、特殊召喚された相手モンスター1体の攻撃力分、自身の攻撃力をアップするッ!さらに1ターンに1度、相手のレベル5以上のモンスター1体と同じ効果を得るッ!」
「なにッ!?」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》が纏う球体が妖しい輝きを放ち始めた。
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果は、つまり相手モンスターの攻撃力とモンスター効果を自身に上乗せするということだ。戦闘ではどんなモンスターにも勝て、さらに効果までもコピーできる。それはまさに凶悪の一言。
「言ったでしょ、『似ている』って。私の《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》とキミの《E・HERO アクエリアス》は対となるカードから生まれた、言わば兄妹。当然、効果は似ている」
多少の差違はあれど相手モンスターの力を『奪う』という意味では、2体のモンスターは確かに似ている。
しかし《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の元々の攻撃力は2800。相手モンスターの攻撃力を奪えばさらにその力は増す。これは《E・HERO アクエリアス》にはない圧倒的なアドバンテージだ。
これを通すわけにはいかない。
「くッ・・・!《E・HERO アクエリアス》!!」
《E・HERO アクエリアス》の指先から泡が発せられる。それを振ることでシャボン玉のように泡は分散し《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》に絡み付いた。
「《E・HERO アクエリアス》の効果で《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の効果を『奪った』。これでその効果は無効となる」
しかし美少女決闘者にとってそれは想定内。
「当然そうするでしょうね。でもこれでキミには私を妨害する術はもうない」
「――――!!」
ユーイのフィールドは《E・HERO アクエリアス》1体。手札も0。《E・HERO アクエリアス》の効果を使わされてしまったいま、ユーイを守るものは何もない。
「バトルよッ!」
美少女決闘者の宣言に《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》が吠える。まるで自身の破壊衝動をようやく解放できると言わんばかりの強烈な咆哮。
そしてその口の中に紫の凄まじいエネルギーが渦巻く。
「〝侵蝕のデッドリー・インフューズ〟!!」
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》の放った強烈なブレスは、その名の通り死の香りを放ちながら《E・HERO アクエリアス》を葬りさった。
「ぐああああぁぁーーーー!!」
ユーイ(LP500→0)
ユーイの敗北が決まり、その体は吹っ飛ばされた。強かに背中を打ち付け、大の字に寝転がる。
デュエルが終了したことで《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》が消えていく。
それを見送りながら美少女決闘者も深く息を吐いた。
「辛くも勝利・・・・と言ったところかしら。なんとか先輩の面目は保てたようね」
言って、未だ寝転がったままのユーイに歩み寄る。
「強ぇなぁ・・・アンタ」
そのままの体勢でユーイが笑む。
「起き上がって握手の一つでもしたいけど・・・ダメだ、体がぴくりとも動かねぇ」
そう言って笑うユーイからは先ほどまでの剣呑な雰囲気はもう感じられない。どうやらすでに元のユーイに戻っているようだ。
「デュエル・アカデミアにはアンタみたいな決闘者がゴロゴロいるのかな」
「ゴロゴロはいないわ。でも私に比肩する決闘者なら何人かいるわよ」
美少女決闘者が答えるとユーイは嬉しそうに笑って目を閉じる。
「そっか。それは・・・楽し・・・みだなぁ・・・」
言いながらユーイの意識は闇に沈んでいった。
驚いて美少女決闘者が近寄るが、ユーイは穏やかに寝息を立てている。どうやら疲労で落ちてしまっただけらしい。
ホッと安心して見るとユーイのカードが散乱していた。最後吹っ飛ばされた衝撃でデュエルディスクからこぼれ落ちてしまったようだ。
ユーイに片付ける力は残っていまい。仕方なく美少女決闘者はそれらを広い集めてやった。
と、1枚のカードを手に取りその動きが止まる。
見ていたのは、先ほど《E・HERO アクエリアス》の融合素材として使われた《E・HERO シャドー・ミスト》のカード。正確にはそのテキストだ。
そこには当然《E・HERO シャドー・ミスト》の効果が書かれているのだが、それによるとこのカードには墓地に送られた場合にデッキから他の「HERO」モンスターをサーチする能力があるらしい。
「ということは・・・あの時、このモンスターを召喚せず手札融合し攻撃力1500以上の「HERO」モンスターをサーチして《E・HERO アクエリアス》と合わせて召喚していれば、私は《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を召喚する間もなく負けていた・・・?」
それはあくまでも仮定の話だ。結果はすでに出ている。もはや覆ることはない。
それでも美少女決闘者はその場にペタンと座り込んだ。
不意に笑みがこぼれる。
(彼がデュエル後すぐに意識を失ったことを考えれば、彼の魔力はすでに空っぽ。本当にギリギリの闘いだったのだろう。仮に他のモンスターをサーチしていたとしても追加で召喚できるだけの魔力があったかどうかは分からない。けれど・・・)
フッと息が漏れ、美少女決闘者は覆面を外した。
美しく気品漂う素顔が現れた。少し冷たい夜の空気が心地よい。
ユーイは元々レベル5以上のモンスターを召喚できるほどの魔力は備えていなかった。火事場の馬鹿力とでも言うのかレベル6の《E・HERO アクエリアス》を召喚できたことさえ奇跡であり、そこに余力を使う余地はなかっただろう。
それでもやはり考えてしまう。もしユーイに自在にモンスターを操るだけの魔力があったのなら、どんな凄い決闘者となるのだろうか。
ユーイの寝顔を見る。
穏やかで清々しい顔だ。可愛いとすら思える。
そっとその頬に触れてみる。余程疲れているのか反応はない。
自分の動悸が早くなっているのが分かる。足に力が入らない。
なんだか自分ばかりドキドキしているのが癪になりその顔を覗き込んでみた。鼻が触れ合うくらい近い位置。自分の頬の熱さが伝わってしまいそうだ。
そうしているとなんだか彼の顔に吸い込まれていきそうになり――――
「ユウリっ!!」
「ひゃあいッ!!」
突然名前を呼ばれバネ人形の如く跳ね起きたユウリが見ると、街灯の明かりにも負けない赤い髪の人物がこちらに駆け寄ってきていた。
十六夜アキラだ。
「無断で寮を抜け出すなんて、どういうつもり!?」
寮にいないユウリを心配して探しに来てくれたらしいが、どうやら怒り心頭の様子。
ユウリは(これはただでは済まないな)と半ば諦観めいた気持ちになる。
「これは・・・武藤ユーイ?」
倒れているユーイとそのすぐ側に座るユウリ、そして二人の腕にはデュエルディスク。
その様子を一瞥しただけでアキラはその状況を理解した。
「まさか武藤ユーイとデュエルするために寮を・・・?」
「さすがアキラね、理解が早い」
ユウリの称賛などどこ吹く風でアキラはこめかみをさする。
「あなたが武藤ユーイに興味を抱いているのは知っていたけれど、まさかこんな夜遅くに寮を抜け出して一人で街に出るなんて・・・」
まるでわがままの過ぎる娘を持った母親のように頭を痛めるアキラ。
しかしユウリは悪びれる風もない。
「私はデュエル・アカデミア生徒会会長、影丸ユウリよ?自分の身くらい自分で守れるわ」
その反論に、さすがのアキラも真剣な顔になる。
そしておもむろに片膝を付きユウリにかしずくと、突如慇懃な口調で言う。
「一見平和に見えるこの王都にも諸外国の密偵や工作員が潜んでいるやもしれないのです。もし貴女様がそれらに危害を加えられでもしたらどうなさいます。ご自身のお立場をお考え下さい――――」
そこで一瞬タメを作って、続けてアキラは言った。
「――――影丸ユウリ『第四王女殿下』」
アキラの言葉に、さしものユウリも「う・・・」と口ごもった。
「・・・イジワルなことを言うのね」
「貴女様があまりに聞き分けのないことを仰るからです」
変わらずアキラは頭を下げたまま。
「貴女を侍従として雇った覚えはない。私に何かあろうと、貴女の責任問題が問われたりはしないでしょう」
ユウリがわざと厳しく冷たい言葉で言う。
しかしそんなことは想定内とばかりにアキラは顔を上げて眉を下げる。
「でもあなたに何かあったらきっと私は泣くわよ、ユウリ」
それは王女の側を預かる者としてでも生徒会副会長としてでもなく、学園で唯一人ユウリを下の名前で呼ぶことを許された『親友』としての言葉だった。
ユウリもそんな顔でそんなことを言われては、もう反論する気にもならない。
「まったくあなたはズルいわ。私の負け。黙っていなくなったりしてごめんなさい」
アキラもそれ以上追及することはせず、何もなかったかのように微笑んで立ち上がる。
「で、彼はどうする?まさかこのままここで寝かせておくわけにはいかないでしょう」
ユウリが寮を抜け出した件は何とか誤魔化すとして、倒れたまま眠っているユーイを放置しておくわけにはいかない。
「口の固い者を何人か呼んで、宿まで運んでもらってちょうだい。このままでは風邪を引かせてしまう」
「分かった。後でややこしくなるから、あなたは先に寮へ戻ってなさいよ」
念を押すアキラに、ユウリは「分かっているわよ」と口を尖らせながらまだ整理途中だったユーイのカードをデッキへと戻す。
《E・HERO アクエリアス》と《融合》のカードは少し迷ったがそのままユーイの手元に残すことにした。これらのカードは元々はユウリのものだが、このデュエルの証としてユーイに持っておいて欲しかったのだ。
(《融合》は私からのプレゼント。そして『王』のカードはキミを選んだ。それらのカードはそのうち必ずキミの力になってくれるはず)
『王』のカードがユーイを選んだということが何を意味するのか、ユウリはよく解っていた。
あの日のミヅキの予言がその通りならば、将来ユーイとユウリは結ばれることになる。そしてユーイがやがてこの『秤の国』の王となるのだ。
ユウリにとってそれは決して不快な未来ではない。むしろ望ましいと言える。しかし、それは同時に過酷な闘いの未来でもあることをユウリは感じていた。
今はこの『王』のカードが、ユーイの身を守ってくれることを切に祈るばかりだった。
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それにしてもまさか美少女決闘者の正体が生徒会長で、あんな凶悪なドラゴンの使い手で、しかも王女様だったなんて驚いたザウルス!
さて次回は決闘者ファイル♯3を挟んで、いよいよデュエル・アカデミア入学だドン!オレ様の再登場も近いザウルス! (2018-02-26 23:47)
案の定出てきたスターヴ・ヴェノム。ということはいつかダリべやクリアウィングとか他のドラゴン達も…?と期待してしまいます。それにしても飄々としたユウリの態度、良いですね。 (2018-02-27 18:27)
いつもコメントありがとうございます!なんか初めて褒められたような気がします、嬉しいです!
そろそろSS感想板で感想や評価を訊いてみたいですね。まだ早いでしょうか? (2018-02-28 19:24)