第145話 夜会の終わり、朝の訪れ前　作：ヒラーズ

「ふきゅ（急げ！）」
階段を上って数分、ついに水が会場内まで浸水したのだった。
だが俺達がいるフロアは5階、到底浸水はしてこない。
「・・・（確か、あの水は魔法が効かないものの、消す方法はある）」
知ってはいるが・・・問題はそこまで逃げ切れるかだが・・・望みは薄いな。
消す方法、それはある。あの爆弾は一定時間の間だけ敵陣を荒らす戦略兵器だが、大きな弱点がある・・・『太陽の光』。
敵陣を荒らす力は素晴らしい物だが朝と昼は使えないというデメリットを持つ。
恐らく奴らの計画は夜の内に爆破させて俺を倒すつもりだったんだろう。
だが、追放世界の敵国が絡んでいるとなると・・・仮に全てが終わった後、帰って来たとたん、祖国では即会議が開かれるだろう。
そう考えている時だった。

ﾄﾞｺﾞｫﾝ！

下のフロアから何かが爆発した音がした。
咄嗟に俺は窓を覗く。
「！（何だ！？ドラゴン！？）」
俺の視界に写ったのは・・・黄金に輝く竜、何かすごいでかい。
そして会場内が揺れるほどの音が辺りに響く。
「ええい！どこへ行った！！あのマナニアめ！！出てこい！！！」
黄金に輝く竜は白い光線のようなブレスをはき出し、会場内を壊しながらうろついている。
「百騎兵・・・」
「すごく・・・怖い」
「きゅ・・・（まだ気づいていないから大丈夫だ、行くぞ）」
俺達は竜に気づかれないようにこっそり次のフロアへ上る。
詞音が少し転びかけていても俺が支え、そのまま屋上前のフロア・・・15階まで向かっていった。













そして屋上16階－
屋上に着いた俺達は、俺を除くフィーナと詞音は疲れ切っていた。
「ふきゅ」
「そうだね、少し休もう」
「・・・」

屋上に来ると風の音が聞こえる。
下では浸水が続いているが、それはもうすぐで終わる。
俺が空を見ると少しずつ明るくなっている事に気づいた。
朝が近い、このまま何もなければと言う矢先に嫌な気配が走った。
「！（ん！？何か聞こえるぞ？）」
何か下のフロアから大きな羽音が聞こえる。
まさかとはと思い、屋上からしたのフロアを見下ろす。
その瞬間・・・。

「見つけたぞ！百騎兵！！」
なんとまぁ・・・竜が飛翔して屋上まで飛んできた。
ズシリと音を立て着陸し、こちらを睨みつける。
「・・・（やはり、タダでは帰してくれないか）」
「まだ終わっておらん！我と勝負するがいい」
こんな時に限ってデュエルかよ！空気読んでくれよ。
「我の名は『万物真竜ニアラート』！貴様らを食い散らかしてくれようぞ！」
そう言ってニアラートは魔力球のようなものを5つ自分の目の前に並べ、こちらを見つめる。
「ふきゅ・・・」
「そう・・・」
「私達でやるしかないの？」
やるしかない、それだけだ。
俺達はディスクを取り出し、構える。


「「「デュエル」」」

形式はバトルロワイヤルだが実質上3対1である、相手はどんなデッキを持っているか分からない。心してかからないとな。

ニアラート　LP24000
手札5

百騎兵　LP8000
手札5
フィーナ　LP8000
手札5
詞音　LP8000
手札5

「我から先攻だ！ドロー！」
ニアラート
手札5→6

「我は魔法カード『天竜降臨』を発動！デッキから光属性モンスターを任意の枚数分墓地に送り、手札からLD（ライトニング・ドラゴン）－ギガネスを特殊召喚！」
LD－ギガネス　ATK3300　☆8

「た・・・高い！」
「我はカードを3枚伏せ、ターンエンド」
「うにぇ！（俺のターン！）」
百騎兵
手札5→6

「・・・（手札から永続魔法『奈落経典-呪いの書-』を発動！LPを1000払って、デッキから幻魔皇ラビエルを特殊召喚！効果で500打点が上がる！）」
百騎兵　LP8000→7000
幻魔皇ラビエル　ATK4000→4500　☆10

「・・・（バトルロワイヤルだから初手は攻撃できない、カードを3枚伏せてターン終了）」
「私のターン！」
フィーナ
手札5→6

「魔法カード『光の援軍』！デッキの1番上からカードを3枚墓地に捨て、デッキからレベル4以下の【ライトロード】モンスター1体を手札に加える！」
なるほど、ライトロードデッキか！
「さらに！『ソーラー・エクスチェンジ』を発動！手札のハンター ライコウを捨てて2枚ドローするよ！その後デッキの1番上からカードを2枚墓地に送り・・・自分の墓地に4種類以上存在する場合、このカードを手札から特殊召喚！現れよ！裁きの龍！！」
裁きの龍　ATK3000　☆8

ええっ！？初っ端から裁きの龍だと！？
「カードを1枚伏せてターンエンド、エンドフェイズ時にデッキの1番上からカードを4枚墓地に送る」
「私のターン…」
詞音
手札5→6

「まずは始まり――『神曲楽式「前奏曲」』を発動、さらに手札から『神曲｢隻眼の神ー全知の神ー｣』を発動！LPを2000払い主神オーディントークンを特殊召喚！」
詞音　LP8000→6000
主神オーディントークン　ATK3000　☆8

「一気に3000超えのモンスターが並んだだと！？」
「ターンエンド」
これで攻撃できない初手は終わった、後は相手の出方次第だな。
「我のターン！」
ニアラート
手札1→2

「くくっ・・・ならばギガネスのモンスター効果発動！LPを1000払い、相手モンスター1体の攻撃力を2000下げる！対象はオーディントークンだ」
「・・・え？」
「ふきゅ・・・（させるか！罠カードを2枚発動！『あまのじゃくの呪い』と『バトルマニア』だ！このターン、攻守のアップ、ダウンが逆になる！よって下げるんじゃなくて、上がるぞ！）」
ニアラート　LP24000→23000
オーディントークン　ATK3000→5000

「馬鹿な！コスト払い損だと！？」
さらにバトルを行わなくてはならないため、強制的にバトルに入る。
「ちぃ・・・裁きの龍を攻撃！」
「ふきゅ（残念ながらそれも通らない、『地縛霊の誘い』を発動！ラビエルを攻撃して貰う）」
ラビエルの拳が電撃の竜の体を砕き、僅かなダメージを与えた。
ニアラート　LP23000→21800

「ふん・・・モンスターをセットしてターンエンドだ」
畜生・・・LPが多い、次のターンでLPを4桁まで削らないと辛いぞ。
「きゅ・・・（俺のターン）」
百騎兵
手札2→3

「・・・（奈落経典の効果で邪神アバターを特殊召喚し、手札から永続魔法『美食経典-暴食解禁の書-』を発動）」
百騎兵　LP7000→6000
邪神アバター　ATK？→500→4600（ラビエルの打点をコピーし100上回った）
「何ぃ！」
「ヴァイ！（バトル！ラビエルで伏せモンスターを攻撃し、アバターでダイレクトアタック！）」
「させぬ！罠カード『道連れ』を発動！破壊は受けるが、アバターを道連れにする！」
互いにモンスターが破壊され、俺の場に残ったのはラビエルのみとなった。
だが、俺のライフは多くした。
百騎兵　LP6000→10600

さて・・・美食経典の効果で回復したのはいいが、ここからどう削ろう。
俺は手札を確認し、カードを1枚伏せてターンを終了した。
「きゅ（ターン終了だ）」







次回、真竜を裁く経典の神曲
※タイトルが変わる可能性があります。