第142話 決勝戦 経典VS方界　作：ヒラーズ

あの試合から数分後、俺達は待機室にて次に出場するメンバーを決めていた。
「・・・（もう・・・考える必要はないな？）」
「決まってるじゃねぇか！」
「・・・」
「言う必要あります？」
はい・・・俺が行くしかない。
だがなぁ・・・優勝すれば洪水発生爆弾が爆発、一応考えた策はあるんだが・・・クォーツ達が肯定してくれるかが問題だな。
そう、俺は考えていた。このまま試合が進み、俺達が優勝すれば鏡は手に入るものの、奴らが仕掛けていた爆弾が起爆する。この会場・・・いやヴァルプルギス全体が洪水で飲まれ、賞品入手どころか帰れなくなる。
それだけは御免被る。船を取り返せぬままあの世に行くなど、むしろ俺についてきた仲間の人生をたたき壊すようなものだ。
「・・・」
「百騎兵さん？」
これは賭けだ。少しでもいい、こいつらだけでも避難させないと・・・唯一行動しやすい者は・・・シャルしかいない。
「ふきゅ・・・（シャル、ちょっと話がある）」
「？」
俺はシャルを連れて、廊下でシャルにネクロの情報を少しだけ言う。だがシャル達の住んでいる世界の正体はあえて言わない。この真実はシャル達には知らない方が良い。重すぎる・・・。












「この会場と都市に爆弾が！？」
「・・・（そうだ、しかも下手するとこの都市全体に多大な被害が及ぶ、そこで頼みがある）」
シャルは少し考え込み、黙り込むも「続けて」と言った。
「・・・（俺が最後の相手と戦っている間、ノイエの魔法でクォーツ達を連れて元の世界に戻っていてくれ。ここから先、言葉で解決できるほどのものではなくなった。）」
無論、作戦はある。これが裏目に出なければ会場の参加者及び観客は全員助かる。
「きゅ・・・（先ずはノイエの魔法でクォーツ達を脱出させて、俺が優勝した直後にハナコの魔法で会場の周りの時間を一定時間止める、気づかせるには爆発する音を聞かせなければならないが、その直後でもいい）」
「ですが、ハナコさん達でなくてもいいのでは？他の魔女さんでも」
「・・・（いや、この事件はハナコ、ノイエ、アナベル以外の魔女達は全員グルという可能性は捨てきれない）」
ただでさえマナニアハンターズがどこかで爆破準備を整えているかも分からない。それにあの爆弾の性能も知ってる。
「きゅ・・・（あの爆弾から発生する水は魔法でも除去できない特殊な水だ。爆発すればたちまちこの都市全体が沈む、信じられないと思うがこれが事実だ）」
「…じゃあ、百騎兵さんは？」
「きゅ・・・（俺には俺での考えがある、作戦はそれだけだ）」
「もし…失敗したら？」
「きゅ・・・（人生終了だ。だからこそ失敗できない、お前さんだって死にたくないだろ？）」
俺がそう言うと、シャルが少し黙る。
まぁ、疑うに越したことはない。ネクロの情報は必ずと言っても過言ではない。
「きゅ・・・（この事実をクォーツ達に伝えるのか伝えないのかは任せる。それだけだ）」
俺はその事だけをシャルに伝え、デュエルフィールドに急ぐ。
「……」
シャルは考えた…もしそれが事実なら一大事であると…。
この時、シャル達は思っていなかったであろう。
後に自分らが夜会の英雄になる事を……。





















『ついに来ました！デュエルサンクチュアリ決勝戦、最終試合！この戦いで勝利を握るのは一体どっちのチームになるか！！赤コーナー、チーム「リペアラーズ」リーダー、百騎兵！青コーナー、チーム「プライムレディーズ」リーダー、キュリム・ビッツ！』
結局は大将戦で幕引きとは・・・運が良いのか悪いのか・・・。
「タッグでは勝てなかったが、次は勝つ！勝てなくとも傷跡くらいは残してくれよう！！」
「きゅ・・・（それは互い様だな）」
「本気で来い！」
「・・・」
何か違和感あるな、この女は・・・。
「ふきゅ・・・（お前さん、何者だ？俺の言葉を理解してるなり、その口ぶり的に何を隠している？）」
「ふん、そんなに知りたければ我に勝ってみるがいい！」
何だよその二流悪党の捨て台詞は？阿呆か？
「ふきゅ・・・（お前さんのような女はいつ以来だろうか・・・叩き潰さねば分からんとはネタが古い）」
いいだろう、本気で叩き潰してやろう。
『それではルールの確認だぁ！』

『LP8000戦』
『スタンダードデュエル』
『リンク、ペンデュラム禁止』
『禁止制限、解除』

「ふっ、最後の戦いにおいて悔いのないルールだな」
ホントそれな。
俺達は互いにディスクを構えて言う。

「デュエル！」
「うにぇ！」


キュリム　LP8000
手札5

百騎兵　LP8000
手札5


「先攻は我だ！ドロー！」
キュリム
手札5→6

「方界胤ウィジャムを召喚し、『天使の施し』で墓地を肥やす！カードを2枚伏せ、ウィジャムをリリースして方界獣ダーク・ガネックスを特殊召喚しターンエンド」
方界獣ダーク・ガネックス　ATK0→1000

「・・・（俺のターン、ドロー）」
百騎兵
手札5→6

方界デッキか・・・少々厄介だな・・・。




次回、方界の恐怖
※タイトルが変わる可能性があります。