ｖｓＤ・Ｋ！ １ターンキルの恐怖！⑤　作：はにわ

　
「ーーお前は勘違いしているようだな。
俺が底の知れたただのワンキル使いとでも思ったか？」

「か、勘違い・・・っ！？」

「はっきり言ってやろう。
今まで俺に１ターンで屠られた連中は、俺の戦術に付いてこれなかっただけのことだ。
１ターンキルなど、結果の１つに過ぎん」

「結果の１つ・・・？」

「ただ１ターンキルを決めることぐらいなら、俺以外の四天王でも、誰もが容易にやれる。
地影、水花と戦ったお前なら分かるだろう」

デュエル・キラーの言葉に透矢は思い返す。
確かに水花の時は、防御手段が整ってなければ、最初のターンで終わっていた。
地影にしてもその実力は十二分に把握している。

「１ターンキル、などという言葉に囚われているから、
己のスタイルを忘れ、そしてデュエルの本質をも見失う」

「俺が見失ってる・・・？」

「お前も俺が倒してきた者たちと同じだ」

透矢はデュエル・キラーの言葉に言い返せなくなる。
透矢の中では何か言い返してやる、という気持ちが強くあるにも関わらず。
何かに縛られたように、透矢は沈黙させられたのだ。

「ーーそれを今から教えてやろう」

「ーーくっ！」

マントを翻し、中の黒ずくめの服装が見える。
その大柄な身体が構えをとったのを見て、透矢も身構えた。

「さて、お前はエンド宣言をしたわけだが・・・それに待ったをかけておこう」

「何だよ、待ったってーー」

「お前のエンドフェイズに、俺は手札から速攻魔法カードを発動する。
ーー『予期せぬ突風』！」

「な、何だってっ？！
俺のターン中に、手札から速攻魔法カードの発動だと？！」

デュエル・キラーのフィールドには何もない。
しかし５枚の手札から突如発動された１枚の速攻魔法。
しかしまだ透矢のターン。
速攻魔法カードを相手のターンで使いたいなら、場に伏せなければならないのは常識のルールである。

「予期せぬ突風はな、相手の魔法・罠カードが３枚以上の時、
相手ターン中でも手札から発動出来るんだよ」

「は・・・っ！」

透矢は自分の場を見る。
透矢の魔法・罠カードゾーンには３枚のリバース・カード。
予期せぬ突風の、特殊な発動条件を満たしている。

「そしてその効果は・・・相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを２枚まで選択して、手札に戻す！」

「し、しまった！」

「その２枚を手札に戻せ」

デュエル・キラーが指定した２枚、それが透矢の手札に戻る。
戻ってきたのは『誘発同盟』、『轟炎の報復』の２枚。
透矢は唇を噛む。

「さて、エンドフェイズだが・・・やることは、ないな？」

「ぐ・・・」

「ではそのまま俺のターンに移らさせてもらおう」

デュエル・キラーは知りながら、敢えて確認をとった。
エンドフェイズではカードのセットなどの行動はとれないため、透矢に何もやることはないのは、分かりきった事だ。

かくしてデュエル・キラーへターンが渡り、ドローフェイズにカードを１枚ドローする。
これで再び手札は５枚。

「では望み通りにこれからお前を討ち取ってやろう」

「ーーっ！」

「このターンで・・・終わりにしてやる。
ラスト・ターンだ！」

デュエル・キラーが自信に満ちた声で高々とそう宣言した。
最後のターン、ラスト・ターンと。

標的となった者はただ座してその時を見守るのみ。
デュエルが終了を告げるその時を。