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5:約束の価値 作:ほーがん
第5話「約束の価値」
「可能性の幼子よ、今こそ殻を突き破り絶望の翼を広げよ!!シンクロ召喚!!舞い上がれ!!《究極完全成態 グレート・モルフォ(☆8/地/昆虫/シンクロ/3500・3000)》!!!」
禍々しい模様をした巨大な翼を広げ、昆虫の王はフィールドに君臨する。突風吹き荒れる中、木嶋は笑いながら叫んだ。
「さぁ、叩き潰してやるよ・・・・!!!!」
遊牙は驚愕する。
「シンクロ、モンスターだと・・・。」
木嶋は卑しい笑い声を上げた。
「ひはははっ!!!どうだ、こいつこそが俺の新しい切り札!!《究極完全成態 グレート・モルフォ》の効果発動!!自分の墓地に存在する昆虫族モンスターを2体除外する事で、このカード以下の攻撃力を持つモンスターを全て破壊する!!」
木嶋は自分の墓地からカードを取り出す。
「俺は墓地から《デーモン・レディバグ》と《ファイアー・バンブルビートル》を除外し、お前の《コープスナイト・デッドシェリー》を破壊する!!」
巨大な昆虫の王は翼を翻し、鱗粉を飛ばした。その鱗粉は無数の”針”となって、姫騎士の体を貫いた。
「くっ、『デッドシェリー』・・・。」
苦い顔をする遊牙。木嶋はその様子を見ながらニヤリと笑う。
「これでお前を守るモンスターは居ねぇ・・・!バトルだぁ!!《究極完全成態 グレート・モルフォ》でダイレクトアタック!!」
昆虫の王は翼を広げ、遊牙の元へ迫る。だがその瞬間、遊牙は手札のカードを取り出した。
「俺は手札の《コープスナイト・ヴェルナンド》を墓地に捨て、その効果を発動。相手モンスターの直接攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了させる。」
遊牙の手札から実体を持たない闇の騎士が出現し、昆虫の王に立ち塞がる。
だが、木嶋は笑ったまま叫んだ。
「無駄だ!!《デーモン・レディバグ》をシンクロ素材としたシンクロモンスターがバトルする場合、相手の発動した効果は無効化される!!よって《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果は無効だ!!!」
木嶋の言葉と共に闇の騎士はその姿を消した。そこには、巨翼を広げ遊牙を見下ろす昆虫の王の姿があった。
「喰らえ!!『モス・ポイズニック・ハリケーン』!!!」
翻された翼から放たれた暴風で、遊牙は吹き飛ばされ、地面を削りながら壁に叩き付けられた。
「ぐはっ・・・・!!!(LP4000→500)」
その様子に木嶋は、自分のカードを見て驚いた。
「モンスターの攻撃が本当に相手を吹き飛ばした・・!!凄い!!これが四賢人の一人、へラルド様のお力か・・!!」
遊牙は左肩の出血を右手で押さえながら、立ち上がった。
「モンスターの攻撃が、本物の衝撃になった・・・。前のデュエルでは、こんな事は無かったはず。あの、木嶋という男、一体何があった・・・。」
遊牙は木嶋を睨んだ。木嶋は相変わらず卑しげな笑みを浮かべている。
「どうした!!《究極完全成態 グレート・モルフォ》にビビったか!!?」
遊牙は木嶋を睨みつけたまま言った。
「何もないならさっさとターンエンドしたらどうだ。」
「へっ、その威勢が何時まで続くか見物だな!俺はカードを2枚セットし、ターンエンド!!」
木嶋は手札を2枚、D・ディスクに叩き付けた。
そして、ターンは遊牙へと移る。
「俺の・・ターン。」
遊牙は血の付いた右手で、D・ディスクからカードを引いた。
「俺は手札から《コープスナイト・ケリウス(☆4/闇/アンデット/0・2100)》を召喚。このカードは召喚成功時に守備表示になる。」
大きな盾を持った騎士がフィールドに膝を付いた。
「(こんな所で、倒れる訳にはいかない。なんとか、あのモンスターを倒さなくては。)」
ルナは屋敷の外で遊牙の帰りを待っていた。
「ん?」
道具箱とD・ディスクを持って玄関先に出て来たカケルは、門の前に立つルナに気づいた。
「おーいルナ。門の前で突っ立ってどうしたんだ?」
カケルはルナに歩み寄り声を掛けたがルナは門の向こうを見つめたままだった。
「何してるのかな、遊牙。」
ルナは小さい声でぽつりと呟く。
「んー何って、買い出しだろ。」
カケルは答える。
「でも、買い出しにしては遅いと思う。」
ルナの手が震える。
「まぁ遊牙の事だから、いろんな店回ってるか、ジルと話込んでるんじゃねぇの?」
カケルの言葉に、ルナは突然叫んだ。
「遊牙が危ないの!私、行かなくちゃ!!」
目に涙を溜めたルナは、門を開き飛び出した。
「お、おいルナ!待てよ!!」
カケルは突然走り出したルナの後を追いかけた。
遊牙は木嶋に問うた。
「お前達は何者だ。何故、こんな事をする。」
遊牙の言葉に木嶋は答えた。
「俺達は、この世界の平和を守るデュエル戦士同盟『DWA』。お前のような危険因子を叩くのが俺の役目だ!」
遊牙は荒い息で言う。
「俺が、危険因子だと。」
木嶋は声を荒げる。
「被験体『0042』を庇ったこと!!それが何よりの証拠だ!!」
遊牙は叫ぶ。
「彼女はルナだ!!『0042』などという名前ではない!!」
木嶋は苛ついた声で言う。
「何も知らねぇガキが、知ったような口を利くんじゃねぇ!!何もないならさっさとターンを終わらせろ!!」
遊牙は歯を食いしばる。
「このデュエルに勝って、全てを聞き出してやる。俺は手札から《コープスナイト・アリエル(☆2/闇/アンデット/チューナー/900・0)》を特殊召喚。そして《コープスナイト・ケリウス》の効果発動。1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの「コープスナイト」モンスター1体につき、自身のレベルを1つ上げる。この効果で《コープスナイト・ケリウス》のレベルを5に変更する。」
騎士の持つ盾に光が灯り、そのレベルが1つ上がる。
「俺はレベル5となった《コープスナイト・ケリウス》にレベル2の《コープスナイト・アリエル》をチューニング!」
幼い少女の騎士は再び光の輪となり、盾持ちの騎士を包み込んでゆく。
「闇の甲冑よ!鋼の闘志をその身に宿し、敵を切り裂く騎士となれ!シンクロ召喚!現れよ《コープスナイト・デッドジャック(☆7/闇/アンデット/シンクロ/2500・2000)》!!」
光の中から出現した誇り高き騎士は、剣を携えフィールドに降り立つ。その眼前には巨大な昆虫の王が翼を広げて対峙していた。
「あのモンスターは・・・!!!今思い出しても胸糞わりィ!!!」
木嶋は現れたモンスターを怒りに満ちた目で睨みつけた。
「俺は墓地の《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果を発動!このカードが墓地に存在し、墓地に「コープスナイト」モンスター以外のカードが存在しない場合、1度だけ《コープスナイト・ヴェルナンド》以外の「コープスナイト」1体を墓地から除外する事で、自分フィールドの「コープスナイト」1体の攻撃力をターン終了時まで除外したモンスターの攻撃力分アップさせる!俺は墓地から《コープスナイト・デッドシェリー》を除外し、その攻撃力2200を《コープスナイト・デッドジャック》の攻撃力にプラスする!(ATK2500→4700)」
闇の騎士は仲間の力を得て、その攻撃力を上げ黒いオーラを放ち始めた。
「バトルだ!《コープスナイト・デッドジャック》で《究極完全成態 グレート・モルフォ》を攻撃!!『殲滅のサイレントスライサー』!!」
剣を構え、闇の騎士は駆け出す。その斬撃は昆虫の王の体を音も無く切り裂く。
と、思われた。しかし。
「リバースカード発動!!罠カード《ヒール・ノックアウト》!!」
木嶋は余裕の表情でカードを発動する。
「何っ!」
「こいつの効果は知ってるよなぁ?相手へのダメージを0にする代わりに《究極完全成態 グレート・モルフォ》の攻撃力は相手モンスターの攻撃力分アップする!!(ATK3500→8200)」
昆虫の王は耳を劈く奇声を上げ、闇の騎士の攻撃を止めた。
「さぁ、蹴散らせ《究極完全成態 グレート・モルフォ》!!奴のモンスターを叩きのめせ!!!!」
翻した翼から放たれた鱗粉は、針となって騎士に降り注ぐ。甲冑は砕け散り、騎士の体は無惨に爆散した。
「デッド・・・ジャックが・・・。」
遊牙は膝を折り、呆然と昆虫の王を見つめた。
「ひはははっ!!ざまぁねぇぜ!!ははははっ!!!」
木嶋は腹を抱えて嘲笑した。
「さらに俺は罠カードを発動!!《爆弾グモの糸》!!」
新たなカードが木嶋のフィールドで開かれる。
「自分フィールドの昆虫族モンスターが、相手モンスターをバトルで破壊した場合に発動できる!!破壊したモンスターのレベルまたはランクの数×200のダメージを相手に与える!!」
呆然と膝立ちをする遊牙の体に、罠カードから伸びた糸が巻き付く。
「俺の勝ちだ、ガキ。」
ニタリと笑った木嶋の言葉と同時に、巻き付いた糸が爆発した。
「すまない・・・・ル・・・ナ・・・。(LP500→0)」
『勝者:木嶋直都』
勝者の名が掲げられた瞬間、遊牙はその場に倒れ込んだ。
その時。
「遊牙!!!」
やっと辿り着いたルナが、動かない遊牙に走り寄った。
「遊牙、遊牙!!」
ルナは涙を流しながら遊牙を揺するが、遊牙は一向に反応しない。
「あっはははっ!!飛んで火に入る夏の虫とはこのことだなぁ、『0042』!!!」
木嶋思わぬ収穫に、ニヤリと笑う。
「おい、遊牙!!大丈夫か!!」
追いついたカケルがルナと遊牙へ近づく。だが、その瞬間《究極完全成態 グレート・モルフォ》が大きく翼を羽ばたかせた。
「うわああっ!!!」
突然の暴風にカケルは吹き飛ばされ、建物の側面に叩き付けられた。
「ふん、必要なのはこのガキと『0042』だけだ。さぁ、俺と来い『0042』!!」
腕を掴んだ木嶋を振り払い、ルナは遊牙を抱きしめた。
「嫌!!!絶対に遊牙から離れない!!」
涙を溜めた目でルナは木嶋を睨んだ。
だが、その瞬間。木嶋のD・ディスクの《究極完全成態 グレート・モルフォ》のカードが怪しく光った。
『『ああ、どこに行ってたんだい『0042』。早く帰って来なさい。』』
突然、ルナに謎のビジョンが見える。ルナは腕から力を抜き、遊牙を放した。
「はい。ヘラルド様。」
ルナは、立ち上がり木嶋の前に立った。
「な、なんだかやけに素直になったな。まぁ、いい。ヘラルド様がお前をお待ちだ。」
急変したルナの反応に困惑しつつも、木嶋は通信機を取り出した。
「こちら3番隊隊長、木嶋直都。ヘラルド様、無事『0042』を捕獲しました。それとあの少年を倒し、いつでも確保できる状態にあります。」
通信の相手は落ち着いた声で言う。
「うん、ご苦労。君ならやれると思ってたよ。あ、でも少年はいいや。」
その言葉に木嶋は聞き返す。
「いいのですか?」
「攻撃の実体化能力を持ってるって聞いたから何かに使えるかと思ったけど、一人のデュエリストに負けて屈服するくらいじゃ期待できそうにないね。」
木嶋は通信機を持ったまま敬礼をした。
「了解しました。では、本部に戻ります。」
通信機を仕舞った木嶋はルナに向かって言った。
「じゃあ、本部まで着いて来い。」
ルナは無表情で答える。
「了解。」
「おい、ルナ!どこ行くんだよ!」
戻って来たカケルがルナに向かって叫ぶ。しかし、ルナが歩みを止めることは無かった。
「どうなってんだよ・・・。おい、遊牙、しっかりしろ遊牙!!」
カケルは遊牙を揺さぶったが、遊牙は目を覚まさなかった。
次回第6話「四賢人のヘラルド」
「可能性の幼子よ、今こそ殻を突き破り絶望の翼を広げよ!!シンクロ召喚!!舞い上がれ!!《究極完全成態 グレート・モルフォ(☆8/地/昆虫/シンクロ/3500・3000)》!!!」
禍々しい模様をした巨大な翼を広げ、昆虫の王はフィールドに君臨する。突風吹き荒れる中、木嶋は笑いながら叫んだ。
「さぁ、叩き潰してやるよ・・・・!!!!」
遊牙は驚愕する。
「シンクロ、モンスターだと・・・。」
木嶋は卑しい笑い声を上げた。
「ひはははっ!!!どうだ、こいつこそが俺の新しい切り札!!《究極完全成態 グレート・モルフォ》の効果発動!!自分の墓地に存在する昆虫族モンスターを2体除外する事で、このカード以下の攻撃力を持つモンスターを全て破壊する!!」
木嶋は自分の墓地からカードを取り出す。
「俺は墓地から《デーモン・レディバグ》と《ファイアー・バンブルビートル》を除外し、お前の《コープスナイト・デッドシェリー》を破壊する!!」
巨大な昆虫の王は翼を翻し、鱗粉を飛ばした。その鱗粉は無数の”針”となって、姫騎士の体を貫いた。
「くっ、『デッドシェリー』・・・。」
苦い顔をする遊牙。木嶋はその様子を見ながらニヤリと笑う。
「これでお前を守るモンスターは居ねぇ・・・!バトルだぁ!!《究極完全成態 グレート・モルフォ》でダイレクトアタック!!」
昆虫の王は翼を広げ、遊牙の元へ迫る。だがその瞬間、遊牙は手札のカードを取り出した。
「俺は手札の《コープスナイト・ヴェルナンド》を墓地に捨て、その効果を発動。相手モンスターの直接攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了させる。」
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だが、木嶋は笑ったまま叫んだ。
「無駄だ!!《デーモン・レディバグ》をシンクロ素材としたシンクロモンスターがバトルする場合、相手の発動した効果は無効化される!!よって《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果は無効だ!!!」
木嶋の言葉と共に闇の騎士はその姿を消した。そこには、巨翼を広げ遊牙を見下ろす昆虫の王の姿があった。
「喰らえ!!『モス・ポイズニック・ハリケーン』!!!」
翻された翼から放たれた暴風で、遊牙は吹き飛ばされ、地面を削りながら壁に叩き付けられた。
「ぐはっ・・・・!!!(LP4000→500)」
その様子に木嶋は、自分のカードを見て驚いた。
「モンスターの攻撃が本当に相手を吹き飛ばした・・!!凄い!!これが四賢人の一人、へラルド様のお力か・・!!」
遊牙は左肩の出血を右手で押さえながら、立ち上がった。
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遊牙は木嶋を睨んだ。木嶋は相変わらず卑しげな笑みを浮かべている。
「どうした!!《究極完全成態 グレート・モルフォ》にビビったか!!?」
遊牙は木嶋を睨みつけたまま言った。
「何もないならさっさとターンエンドしたらどうだ。」
「へっ、その威勢が何時まで続くか見物だな!俺はカードを2枚セットし、ターンエンド!!」
木嶋は手札を2枚、D・ディスクに叩き付けた。
そして、ターンは遊牙へと移る。
「俺の・・ターン。」
遊牙は血の付いた右手で、D・ディスクからカードを引いた。
「俺は手札から《コープスナイト・ケリウス(☆4/闇/アンデット/0・2100)》を召喚。このカードは召喚成功時に守備表示になる。」
大きな盾を持った騎士がフィールドに膝を付いた。
「(こんな所で、倒れる訳にはいかない。なんとか、あのモンスターを倒さなくては。)」
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「ん?」
道具箱とD・ディスクを持って玄関先に出て来たカケルは、門の前に立つルナに気づいた。
「おーいルナ。門の前で突っ立ってどうしたんだ?」
カケルはルナに歩み寄り声を掛けたがルナは門の向こうを見つめたままだった。
「何してるのかな、遊牙。」
ルナは小さい声でぽつりと呟く。
「んー何って、買い出しだろ。」
カケルは答える。
「でも、買い出しにしては遅いと思う。」
ルナの手が震える。
「まぁ遊牙の事だから、いろんな店回ってるか、ジルと話込んでるんじゃねぇの?」
カケルの言葉に、ルナは突然叫んだ。
「遊牙が危ないの!私、行かなくちゃ!!」
目に涙を溜めたルナは、門を開き飛び出した。
「お、おいルナ!待てよ!!」
カケルは突然走り出したルナの後を追いかけた。
遊牙は木嶋に問うた。
「お前達は何者だ。何故、こんな事をする。」
遊牙の言葉に木嶋は答えた。
「俺達は、この世界の平和を守るデュエル戦士同盟『DWA』。お前のような危険因子を叩くのが俺の役目だ!」
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木嶋は声を荒げる。
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遊牙は歯を食いしばる。
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「俺はレベル5となった《コープスナイト・ケリウス》にレベル2の《コープスナイト・アリエル》をチューニング!」
幼い少女の騎士は再び光の輪となり、盾持ちの騎士を包み込んでゆく。
「闇の甲冑よ!鋼の闘志をその身に宿し、敵を切り裂く騎士となれ!シンクロ召喚!現れよ《コープスナイト・デッドジャック(☆7/闇/アンデット/シンクロ/2500・2000)》!!」
光の中から出現した誇り高き騎士は、剣を携えフィールドに降り立つ。その眼前には巨大な昆虫の王が翼を広げて対峙していた。
「あのモンスターは・・・!!!今思い出しても胸糞わりィ!!!」
木嶋は現れたモンスターを怒りに満ちた目で睨みつけた。
「俺は墓地の《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果を発動!このカードが墓地に存在し、墓地に「コープスナイト」モンスター以外のカードが存在しない場合、1度だけ《コープスナイト・ヴェルナンド》以外の「コープスナイト」1体を墓地から除外する事で、自分フィールドの「コープスナイト」1体の攻撃力をターン終了時まで除外したモンスターの攻撃力分アップさせる!俺は墓地から《コープスナイト・デッドシェリー》を除外し、その攻撃力2200を《コープスナイト・デッドジャック》の攻撃力にプラスする!(ATK2500→4700)」
闇の騎士は仲間の力を得て、その攻撃力を上げ黒いオーラを放ち始めた。
「バトルだ!《コープスナイト・デッドジャック》で《究極完全成態 グレート・モルフォ》を攻撃!!『殲滅のサイレントスライサー』!!」
剣を構え、闇の騎士は駆け出す。その斬撃は昆虫の王の体を音も無く切り裂く。
と、思われた。しかし。
「リバースカード発動!!罠カード《ヒール・ノックアウト》!!」
木嶋は余裕の表情でカードを発動する。
「何っ!」
「こいつの効果は知ってるよなぁ?相手へのダメージを0にする代わりに《究極完全成態 グレート・モルフォ》の攻撃力は相手モンスターの攻撃力分アップする!!(ATK3500→8200)」
昆虫の王は耳を劈く奇声を上げ、闇の騎士の攻撃を止めた。
「さぁ、蹴散らせ《究極完全成態 グレート・モルフォ》!!奴のモンスターを叩きのめせ!!!!」
翻した翼から放たれた鱗粉は、針となって騎士に降り注ぐ。甲冑は砕け散り、騎士の体は無惨に爆散した。
「デッド・・・ジャックが・・・。」
遊牙は膝を折り、呆然と昆虫の王を見つめた。
「ひはははっ!!ざまぁねぇぜ!!ははははっ!!!」
木嶋は腹を抱えて嘲笑した。
「さらに俺は罠カードを発動!!《爆弾グモの糸》!!」
新たなカードが木嶋のフィールドで開かれる。
「自分フィールドの昆虫族モンスターが、相手モンスターをバトルで破壊した場合に発動できる!!破壊したモンスターのレベルまたはランクの数×200のダメージを相手に与える!!」
呆然と膝立ちをする遊牙の体に、罠カードから伸びた糸が巻き付く。
「俺の勝ちだ、ガキ。」
ニタリと笑った木嶋の言葉と同時に、巻き付いた糸が爆発した。
「すまない・・・・ル・・・ナ・・・。(LP500→0)」
『勝者:木嶋直都』
勝者の名が掲げられた瞬間、遊牙はその場に倒れ込んだ。
その時。
「遊牙!!!」
やっと辿り着いたルナが、動かない遊牙に走り寄った。
「遊牙、遊牙!!」
ルナは涙を流しながら遊牙を揺するが、遊牙は一向に反応しない。
「あっはははっ!!飛んで火に入る夏の虫とはこのことだなぁ、『0042』!!!」
木嶋思わぬ収穫に、ニヤリと笑う。
「おい、遊牙!!大丈夫か!!」
追いついたカケルがルナと遊牙へ近づく。だが、その瞬間《究極完全成態 グレート・モルフォ》が大きく翼を羽ばたかせた。
「うわああっ!!!」
突然の暴風にカケルは吹き飛ばされ、建物の側面に叩き付けられた。
「ふん、必要なのはこのガキと『0042』だけだ。さぁ、俺と来い『0042』!!」
腕を掴んだ木嶋を振り払い、ルナは遊牙を抱きしめた。
「嫌!!!絶対に遊牙から離れない!!」
涙を溜めた目でルナは木嶋を睨んだ。
だが、その瞬間。木嶋のD・ディスクの《究極完全成態 グレート・モルフォ》のカードが怪しく光った。
『『ああ、どこに行ってたんだい『0042』。早く帰って来なさい。』』
突然、ルナに謎のビジョンが見える。ルナは腕から力を抜き、遊牙を放した。
「はい。ヘラルド様。」
ルナは、立ち上がり木嶋の前に立った。
「な、なんだかやけに素直になったな。まぁ、いい。ヘラルド様がお前をお待ちだ。」
急変したルナの反応に困惑しつつも、木嶋は通信機を取り出した。
「こちら3番隊隊長、木嶋直都。ヘラルド様、無事『0042』を捕獲しました。それとあの少年を倒し、いつでも確保できる状態にあります。」
通信の相手は落ち着いた声で言う。
「うん、ご苦労。君ならやれると思ってたよ。あ、でも少年はいいや。」
その言葉に木嶋は聞き返す。
「いいのですか?」
「攻撃の実体化能力を持ってるって聞いたから何かに使えるかと思ったけど、一人のデュエリストに負けて屈服するくらいじゃ期待できそうにないね。」
木嶋は通信機を持ったまま敬礼をした。
「了解しました。では、本部に戻ります。」
通信機を仕舞った木嶋はルナに向かって言った。
「じゃあ、本部まで着いて来い。」
ルナは無表情で答える。
「了解。」
「おい、ルナ!どこ行くんだよ!」
戻って来たカケルがルナに向かって叫ぶ。しかし、ルナが歩みを止めることは無かった。
「どうなってんだよ・・・。おい、遊牙、しっかりしろ遊牙!!」
カケルは遊牙を揺さぶったが、遊牙は目を覚まさなかった。
次回第6話「四賢人のヘラルド」
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90 | 23:意地の張り合い!昆虫レース開幕? | 927 | 3 | 2015-06-22 | - | |
119 | オリカ説明:リチャード編 | 804 | 2 | 2015-06-22 | - | |
96 | 23.5:輝岩鎧竜の逆鱗 | 859 | 4 | 2015-06-23 | - | |
47 | 24:開幕!チャリティーデュエル大会 | 904 | 3 | 2015-06-24 | - | |
78 | メインキャラ解説 | 735 | 4 | 2015-06-25 | - | |
105 | 25:ルナ、デュエルします! | 1051 | 3 | 2015-06-25 | - | |
65 | 26:心に巣食う魔物 | 910 | 3 | 2015-06-26 | - | |
75 | 27:太古のデュエル!恐竜VSマンモス? | 941 | 3 | 2015-06-27 | - | |
81 | 28:銀河に響け!スペースアイドル再び | 950 | 3 | 2015-06-29 | - | |
120 | 29:二日目開始!誘惑される遊牙? | 885 | 3 | 2015-07-01 | - | |
94 | 30:ルナ、またまたデュエルします! | 929 | 3 | 2015-07-10 | - | |
127 | 31:光差す道となれ! | 998 | 5 | 2015-07-11 | - | |
104 | 32:ぶつかり合う本気 | 896 | 4 | 2015-07-20 | - | |
214 | 33:出揃った出場者 | 2022 | 3 | 2015-07-22 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/10/25 新商品 SUPREME DARKNESS カードリスト追加。
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次回から物語の本題に入って行く感じになると思います。
よかったら読んでみてください。 (2015-05-07 21:45)