第02話選考会開始!　作：風鼠

グループ1集合場所
モブ1「…とにかく、劇の確認ね。」
モブ2「私たちは…鎌三?!」
モブ３「そ…そんな…」

今回の私たちの劇は『鎌倉三代記』…「鎌三」と呼ばれる事も多い劇だが…

歌舞伎の劇の姫の役の中でも最も難しいと呼ばれる3つの劇の１つで、それら3つを合わせて「3姫」と呼ぶ。

鎌倉三代記に登場する時姫は『3姫』の中のその一つなのだ。それに、時姫以外にも主要人物の一人である「三浦之助」という役も難しい。

モブ1「…どうやら、一部分だけやればいいみたいわね…」

モブ「…どうしましょう」

葵「そうだねぇ～時姫と三浦之助をどうするか…だね♪」

カンナ「はうう…」
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別室

5つのモニターが、それぞれ別のグループの様子を映し出す。

それを見つめる2人の女性

???5「ん～1グループの子たち、困ってるね～。」

???6「?そんなに困る話だっけ…?」

???5「だよね～。他のグループはもう舞踊練習に入ってるけど‥」

そこに…

???７「…彩愛さん…」

???6→彩愛「ん？どうかしたの？スイレンちゃん」

2人の女性より小柄で黒髪の「スイレン」と呼ばれる少女が一枚の紙を見せる。

???7→スイレン「…そこに…落ちてた…」

彩愛「ちょっと見せてくれる。」

スイレン「うん…はい」

持っていた紙を彩愛に手渡し、彩愛は紙を眺める。

彩愛「…これって…グループ1の舞踊内容じゃない!茜‥もしかして…」

???6→茜「あっちゃ～…楓ちゃん…置き間違えたな…」

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葵達は劇の役決めを行っていくが…

カンナ「はうう…だれも無理ですよ～」

葵「…よし由里ちゃんに頼んでみよう!」

カンナ「でも…さっきの…頼みづらいよぉ」

モブ3「そ、そうだよ。さっき‥一人で目立ちたいって言ってたし…」

葵「…でも、おんなじグループになったんだもん。みんなでやらなきゃ!」

そういって葵は、由里の下へ近づく

葵「ね、ねぇ‥由里ちゃん!」

由里「なによ。」

不機嫌そうに答える

葵「いやぁ～由里ちゃんに‥やってもらいたい役があって…」

由里「はぁ…見せてみなさい…ってえぇ?!ワタクシにこんな役を?!」

葵「えへへ…駄目かな?」

由里「…仕方ないですわね…はぁ、頭が痛いですわ…」

その後、

楓『それではぁ～グループ１の演武を開始いたします。』

葵「ファイトーおー!」

カンナ「はい、頑張りましょう!葵さん!」

グループ1が舞踊を開始する。

由里「ふん、追い詰めたぞ時姫!観念しな。その首この刀で切ってやるわ（なんでワタクシがこんな役を…）」

葵「時姫!ここは私が…」

カンナ「はい、任せましたよ!」

モニター室

スイレン「…!…」

茜「!…もしかして、スイレン。あの子とこの子、見てた?」

スイレン「うん…あの子達、なんだか楽しそう…」

茜「…うんそうだね。（スイレンの箔付きか…期待できるね）」

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特になにも問題は無く劇は終わり…拍手に包まれる

葵「ほえぇ～疲れたぁ～」
カンナ「ですね～」

葵達は一生懸命劇を終え、他のグループを観戦する為、観戦席へ移動した。

葵「あ!あそこ３席も空いてる!一緒に座ろ!カンナちゃん!」

カンナ「はい!」

葵「へへ…あ、瑞樹の分も席とっとこぉ～」

楓『さて次は、グループ2の舞踊でぇ～す!』

楓の声と共にグループ2が舞踊を開始し、選考が開始した。

グループ2の題材は、人間と妖怪の戦いの話であった。

???5「…えい、そいや‥…ここです!‥よし決まった…」

葵「ほえぇ、あの黒子の子すごいねぇ～」

黒子役の小柄な少女の手にかかると、登場人物の衣装が見る見るうちに変わっていく…

カンナ「手先器用ですねぇ～」

その後第2グループの歌舞伎舞踊も順調に終え…

葵「ほえ～、さっきの子たちも可愛かったなぁ～」

カンナ「次はグループ3ですね～」

葵「あ!瑞樹のグループだ!」

カンナ「瑞樹…さん、お友達…ですか?」

葵「うん♪親友なんだぁ～。スタイル良くて～頭も良くてぇ～いい子なんだよ♪」

その発言後舞台上に瑞樹が現れる

葵「…あ!瑞樹だ!頑張ってねー瑞樹!」

舞台上で瑞樹が若干顔を赤らませた。

グループ３の演舞が始まり…

瑞樹が計算されたと思われる舞は、観戦していた人を魅了した。

カンナ「…瑞樹さんの舞綺麗です～。」

葵「だねぇ～」

グループ３終了し、舞台上で次のグループ4が準備を急いでいる。

葵「あ!瑞樹ぃ～こっちこっち!」

葵が瑞樹に対して賑やかに大きく手を振る

瑞樹「まったく、葵は…こっちが恥ずかしいじゃないの…?葵この子は‥一緒のグループの子の…」

葵「あ、紹介するね!兎原カンナちゃん!仲良くなったんだぁ!」

カンナ「あ、瑞樹さん。よろしくお願いいたします～」

瑞樹「よろしく。」

楓『グループ4準備ができ次第、開始してください!』

楓の進行で、グループ4の舞踊も開始した。

グループ4の題材は、姫と庶民による恋愛だった。

???4「姫…きれいですね…ぜひ、ワタクシと付き合ってくれないでしょうか」
モブ４「はう(///)はい。」

葵「あの子…王子様みたいにかっこいい!」

一見美形の少年にしか見えない少女が、立ち役（男性役）として舞台で舞っていた。

瑞樹「えぇ…ホントね…。」

グループ４、５と順調に終了し、選考会が無事に終了した。

楓『本日の選考は以上で～す結果は、後日申込用紙に記入された住所に封筒に同封して送らせていただきますので、よろしくおねがいしまぁ～す！』
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選考終了後の後日とある朝

時計『ジリリりリ…』

時計が6時30分を指し示すと同時に部屋の中に時計のベルが鳴り響く

葵「んん…朝かぁ…」

時計のベルを止め目をこすりながら、眠そうに体を起こす

葵「ん～…良く寝たぁ～。起きたらまずは…ストレッチだよね。」

自室で手先から足先まで、約20分かけて入念にストレッチを行う…これが彼女の毎朝の習慣である

葵「…よし!これでストレッチかんりょ～!そろそろリビングに行きますか♪」

軽快な足取りで、自分の部屋を出る。

葵「おはよ～!お父さん、お母さん!」

リビングに葵の明るい声が響き渡る

葵の父「ああ…おはよう、葵」

葵の父は視線を新聞から一瞬葵に移し挨拶を交わした後、また新聞に移す。

葵の母「あら、葵！おはよう!朝ごはんできてるわよ～♪」

母は、明るい声と笑顔で葵とあいさつを交わす。

葵の父「…そういえば…葵…お前充てに封筒きてたぞ。」

葵「え?ほんと？」

葵のいつも座る椅子の目の前には朝ごはんを押しのけ、一通の水色の封筒が。

その封筒には…

葵「歌舞姫制度合否結果…はうう、やっと来たー!(キラキラ)」

両腕で封筒を可能の限り高く上げ、目を輝かせる

葵の母「早く開けて、開けてよ葵!お母さん、さっきからドキドキしっぱなしなのよ♪（キラキラ…）」

両手をブンブンと振り、輝く目を娘に向ける

葵「うん♪そうだねお母さん!」

葵の父（やはり…親子だな…）

葵「じゃあ、お母さんお父さん、開けるよ!」

葵の母「うん!」

葵「えい!」

葵は、封筒の口を勢いよくビリッと破り、封筒の中身を取り出す…

葵＆母（わくわく…）

葵は、紙に書かれた文字をゆっくりと読み上げる…



葵「この度…桜木葵は、歌舞伎制度に合格しました…合格!?」