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19:覚醒の証・月狂眼の覚醒龍 作:ほーがん
第19話「覚醒の証・月狂眼の覚醒龍」
かつてヒルズタウンと呼ばれたこの街に隕石が落下した。
研究機関の派遣した調査団により、その隕石には月の表面の成分が含まれており、さらに生体反応がある事が分かった。
その生体反応がなんなのか、そしてその生命体と思わしき隕石を安全に保存する為、研究施設の地下深くで実験を行う事が決定した。
―20年前。
調査団は施設の地下深く、機材の搬入作業を続けていた。
「アーノルド教授、いよいよですね。」
横に立つ人物に声をかけられたその男は頷き言った。
「ああ。ここならば万一”こいつ”が暴れたとしても、被害は少ないはずだ。」
「大丈夫ですよ、大気圏突破の影響で動く事すらできない筈ですから。」
作業をしていた一人が男へ近づき、頭を下げた。
「教授、機材の準備完了しました。」
その言葉に男は頷いた。
「うむ。ありがとう。じゃあ、早速始めようか。」
男は機材に近づき、白衣の内ポケットから白紙のカードを取り出した。
「これが上手く行けば、科学にとって大きな進歩になる・・・。」
男はカードを機材にセットする。その目の前には岩の塊のようなものが。
「カウントダウン開始します。」
調査団の一人が言う。男は頷いた。
「5、4、3。」
そこにいる全員が固唾を飲む。
「2、1、0。エネルギー変換、開始!」
機材にスイッチが入る。強い光と電撃のような衝撃が岩の塊へと向かう。
「頼む・・・!」
男は懇願するようにその岩を見つめた。
だが、その時だった。
「な、なんだ!!?」
突如として、岩の塊が砕け散る。その中から黒い翼が広がり、辺りに無数の鎖が突き刺さる。
「きょ、教授!!これは一体!!」
やがて、その黒い翼の持ち主はその姿をあらわにした。
「これは・・・龍!!!」
その黒き龍は地下の暗闇の中、怒号を上げその牙を光らせた。
「じ、実験中止!!!全員速やかに避難・・・」
機材の前に立っていた一人の調査員がスイッチを切ろうと手を伸ばした瞬間、龍の放った鎖に体を貫かれる。
「教授!!逃げて下さい!!教授!!」
男はその龍を見つめていた。
「そうだ・・・かつて、月面調査員の極秘レポートを覗いた事がある・・・。月面には2つの石盤があったと・・・その石盤には龍の姿が・・・。」
龍は口から衝撃波を放ち、地底を削り始めた。
「一体、何をしているのだ・・・。」
男は周りの調査員が逃げ惑う中、惹かれるように龍に近づく。
「そこに何があるというのだ・・・教えてくれ!」
龍は衝撃波を撃ち続けた。地底に亀裂が入り、その奥から光が漏れ出した。
「な、なんだ・・・!何の光だ・・・!」
光が段々と膨張し、亀裂は砕け、大きなトンネルとなった。
龍は叫ぶ。その眩い光の奥。
天にそびえる黄金の使者。それはついに人類と邂逅する。
「こ、これは・・・・!!!」
6本の指に白い翼。3つの目に女性の身体。その光の巨人は閃光を放ち、空間を振動させた。逃げ後れた調査員はその振動に吹き飛ばされ、壁へ激突する。やがてその振動は高まり調査員達の身体を溶かして行く。
男は身体が崩れ行く中、その姿を見て以前自らが考案した仮説を思い出した。
「6本目の指・・・!人間は5本の指を持つが故に、10進法という計算法を使い始めた・・・。だが、一日の長さは24時間・・・1年は12ヶ月・・・。12進法こそが世界の・・・宇宙の謎を解く本当の計算法なのではないか・・・以前、私はそのような仮説を立てた・・・。今、目の前の彼らには・・・彼女らの手には6本目の指がある・・・!!これが・・・宇宙の真理に辿り付いた高次の存在だというのか・・・!!!」
男は震える手でポケットからペンと紙を取り出し、まるで遺言のようにその事を書きなぐった。そして、意識の途絶える直前に、紙の端にこう綴った。
『エルギス・アーノルドから我が息子、ヘラルド・アーノルドへこれを遺す。』
そして、光の中から現れた彼女らは、その力を制御できぬまま惑うように地上へと向かう。そして、突如現れた彼女らを人々はこう呼んだ。
”とても人とは思えない姿。現生人類を遥かに超越する未知の生命体。人智の及ばぬ力・・・まさに・・・”
”『神の鉄槌』”
—20年後。同じ場所にて。
『降誕せよ!!《月狂眼の覚醒龍(☆8/闇/ドラゴン/ペンデュラム/3000・2500)》!!』
石盤を砕き、黒き翼が広がる。鎖は四方に散り、その龍は段々と姿を現した。
遊牙はたじろぐ。
「なんだ・・・このドラゴンは・・・!!」
ノーンは言う。
『月とは女神の箱船。この広大な宇宙を漂い、死の惑星に生命を与える命の船。月には与える女神と、奪う女神が居た。それは互いに相反する力を持っているが、どちらも必要な存在・・・。そしてその女神には、それぞれ従える龍が居た。一つは赤き力を宿す光の龍。一方は青き力を宿す闇の龍。』
やがて、ノーンは青いオーラを放ち始めた。
『余は王となる。月を、そしてこの世界を自らの手に収め、全てを支配する・・・。そう、赤き光の龍までも!』
遊牙は問う。
「そんなことをしてどうする!!お前は、世界を支配して何をする気なんだ!!」
ノーンは静か言った。
『無だ。全てを無に返す。そして、余以外の者全てが存在しない世界を創り上げる。最大の障壁”ヨシト”無き今、余を止められるものは居ない!』
遊牙は叫んだ。
「ふざけるな!!!そんなことあって良い筈が無い!!!俺はルナと約束した!!お前を倒すと!!そして、俺は必ずその約束を守る!!!」
その叫びを意にも介さず、ノーンは声を上げる。
『《月狂眼の覚醒龍》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した場合、相手フィールドに表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする!』
黒き龍は青い光を放つ。遊牙の前に立つ闇の騎士はその光を浴び、自身の能力を失った。
「『デッドジャック』の効果が無効に・・・!!」
ノーンは手札のカードを1枚取り出す。
『余はカードを1枚セットし、ターンエンド。』
遊牙は怪訝な顔をする。
「(何故だ・・・攻撃力は勝っているのに攻撃して来なかった。一体何を考えている・・・。)」
疑問を持ちつつも、遊牙はデッキに手を伸ばした。
「俺のターン!ドロー!」
遊牙がカードを引いた直後。黒き龍が怒号を上げた。その翼から鎖が伸び、闇の騎士を捕らえる。
「なんだ!!何が起こっている!!?」
ノーンは言い放つ。
『これこそが青き闇の龍《月狂眼の覚醒龍》の能力。相手のスタンバイフェイズに、相手フィールドに存在する全てのモンスターは攻撃表示になり、このターン必ずこのカードを攻撃しなければならない。』
遊牙は驚愕する。
「なんだと!!」
さらにノーンは言葉を続けた。
『そして《月狂眼の覚醒龍》は攻撃を受けた時、自身の攻撃力を倍にする。この世界で何を生み出そうとも、その先に待つ終局は無。この龍は全てを無に返す終局の象徴だ。』
遊牙の額に汗が伝う。
「俺は屈しない・・・。俺はこんな所で倒れはしない!!手札の《コープスナイト・ディビット(☆3/闇/アンデット/100・2000)》の効果発動!手札に存在するこのカードを自分の「コープスナイト」1体に装備する事ができる!俺は《コープスナイト・デッドジャック》に装備する!!」
剣を持たない鎧の闘士は、幻影となって闇の騎士に憑依した。
「《コープスナイト・ディビット》を装備したモンスターは戦闘破壊されず、攻撃力を500アップする!!(ATK2500→3000)」
遊牙は言う。
「これでこのターンは凌ぐ事ができる・・・!すまない、デッドジャック・・・!!」
闇の騎士は鎖に引っ張られ、黒き龍へと向かう。騎士の構えた剣を黒き龍はその目で捉えた。
『この瞬間《月狂眼の覚醒龍》の効果発動。その攻撃力は倍となる!(ATK3000→6000)』
黒き龍はその口から衝撃波を放つ。闇の騎士は鎖から解放され吹き飛ばされた。その衝撃の余波は遊牙へと向かう。
「ぐあああっ・・・!!!(LP4000→1000)」
遊牙は後方へ飛ばされ倒れ込む。
「やはり、衝撃は本物か・・・。」
身体を起こし、立ち上がりながら遊牙は声を漏らした。
ノーンは表情を崩す事無く場のカードを開く。
『余は罠カード《フォーシング・バトル・ペンデュラム》を発動。互いのモンスターが1体ずつの場合に発動できる。ペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、そのモンスター2体は強制的に戦闘を行わなければならない。』
「何!?」
浮かんでいた彫刻の天使が消え、黒き龍は声を上げる。
遊牙は叫んだ。
「デッドジャック!!!」
黒き龍は再び鎖を伸ばし、闇の騎士を捕らえた。
『抵抗など無駄だ。全ては終局へ向かう。それがこの世界の運命!』
鎖に引きずられ闇の騎士は龍へと向かう。龍は再び衝撃波を放つ準備をした。
『これで終わりだ。全てを砕け、月狂眼!『消滅のバニシング・ストリーム』!!』
衝撃波は青い閃光を放ち、地面を削りながら闇の騎士へと向かう。その光に飲み込まれ、龍の前から全てのものが消え去った。
『これで全てが終わった・・・。赤き力は余のものだ。そして、この世界も・・・。』
しかし。衝撃波の通った後、白煙の向こう。
「まだだ・・・まだ終わってはいない。(LP1000)」
遊牙はしっかりと足を踏みしめ立っていた。ノーンは驚愕する。
『何故だ。ライフポイントが変化していないだと?』
遊牙は《コープスナイト・ディビット》のカードをノーンに向けた。
「《コープスナイト・ディビット》の効果。装備モンスターが戦闘を行う事によって発生する自分へのダメージが、今のライフポイントを超過している場合、このカードを墓地へ送る事でその戦闘ダメージを0にできる!!」
しかし、ノーンは冷淡に言う。
『だが、その装備カードの効果が無くなったことで、貴様のモンスターは破壊された。余の《月狂眼の覚醒龍》も攻撃力は増加したままだ。状況はどんどん不利になって行くぞ。』
遊牙はうつむき、手札からカードを1枚取り出した。
「俺は・・・モンスターをセット。ターンエンドだ。」
ノーンは言った。
『時間稼ぎなど意味を成さぬ。このターンで全てを終わらせる。余のターン。』
ノーンは引いたカードを確認し、それをD・ディクスに叩き付けた。
『余はスケール3の《月狂傀儡—タイタン(☆8/光/天使/0・1000)》をペンデュラムスケールにセッティング。そして、そのペンデュラム効果を発動。』
その言葉と共にノーンの墓地からカードが迫り出す。
『自分フィールドの「月狂」モンスター1体に2回の攻撃権を与える。余が選ぶのは《月狂眼の覚醒龍》。』
黒き龍は叫びを上げ、その翼を広げる。
『《月狂眼の覚醒龍》よ。あの伏せモンスターを破壊せよ!『チェーン・スレッド・ショット』!!』
翻された翼から無数の鎖が伸び、遊牙のセットモンスターを貫く。
「破壊された《コープスナイト・ギミー(☆3/闇/アンデット/1500・0)》の効果発動!このモンスターが戦闘で破壊された場合、デッキから「コープスナイト」を3枚まで墓地に送る!!俺は《コープスナイト・フリック(☆2/闇/アンデット/700・0)》《コープスナイト・ヴェルナンド(☆6/闇/アンデット/2400・0)》《コープスナイト・ドレア(☆5/闇/アンデット/0・2600)》を墓地に送る!!」
遊牙のデッキからカードが迫り出し、そのまま墓地へ送られる。
『そんなことをして何になる。余の攻撃はまだ残っている。全てを消し去れ《月狂眼の覚醒龍》!!『消滅のバニシング・ストリーム』!!』
放たれた青い閃光と凄まじい衝撃波。空間を振動させながら、その膨大なエネルギーは真っ直ぐと遊牙へ向かった。
だが、その刹那。遊牙の墓地が光り輝く。
「俺はたった今墓地に送った《コープスナイト・フリック》の効果を発動!自分のライフポイントが1000以下の場合、このカードを墓地から除外する事でこのターンの戦闘ダメージを0にする!!」
遊牙の前に騎士の幻影が出現する。その幻影は衝撃波をなんとか受け止め、守り切ったと同時に消滅した。
「俺はまだ倒れない。倒れる訳には行かない・・・!!」
しかし、ノーンは厳しい現実を突きつける。
『貴様のフィールドにカードは0。余には攻撃力6000の《月狂眼の覚醒龍》が居る。さらに次のターン貴様がモンスターを出し攻撃をすれば、その攻撃力は12000に到達する。どう足掻こうと余に勝つ事はできない。』
遊牙は歯を食いしばる。
「まだだ、まだ俺は諦めない!!!」
ノーンは呆れたような声で言う。
『鱗片を持つ者とはいえ、所詮は人に造られた存在か・・・。愚かな。《月狂眼の覚醒龍》を倒せるというのなら見せてみよ!余はターンエンド!』
遊牙はデッキに手を伸ばした。
「(準備は整った・・・。今あの《月狂眼の覚醒龍》を倒す方法は、これしか無い・・・!)」
そして勢いよくカードを引いた。
「俺のターン!!」
遊牙は手札のカードを取り出し言った。
「俺は手札の《コープスナイト・アロウ(☆5/闇/アンデット/1900・0)》の効果を発動!自分のフィールドにモンスターが存在しない場合、このカードと手札の「コープスナイト」を1体墓地に捨てる事で、墓地の「コープスナイト」1体を特殊召喚できる!俺は手札の《コープスナイト・クレス(☆2/闇/アンデット/1100・0)》を墓地に捨て、墓地から《コープスナイト・デッドジャック》を特殊召喚する!!」
闇の騎士は剣を振り上げ、遊牙の墓地から復活を遂げる。
「さらに俺は墓地の《コープスナイト・ドレア》の効果を発動!自分のフィールド・墓地に「コープスナイト」以外のカードが存在しない場合、このカードを墓地から除外する事で、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える!!これで《月狂眼の覚醒龍》の攻撃力は、守備力の数値2500と入れ替わる!!(ATK6000→2500)」
墓地から飛び出した騎士の幻影は、黒き龍の身体を貫きその攻撃力と守備力を入れ替えた。
『余の《月狂眼の覚醒龍》が・・・!だが、余の《月狂眼の覚醒龍》は攻撃を受ければその攻撃力は倍となる。相打ちを狙おうとも無駄だ。』
ノーンの言葉に、遊牙は行動で返した。
「俺は墓地の《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果発動!!自分の墓地に「コープスナイト」以外のカードが存在しない場合、このカード以外の「コープスナイト」1体を墓地から除外する事で、自分フィールドの「コープスナイト」1体はターン終了時まで除外したモンスターの攻撃力分、その攻撃力をアップする!!俺は墓地の《コープスナイト・フラーケン》を除外し、その攻撃力2000を《コープスナイト・デッドジャック》にプラスする!!(ATK2500→4500)」
ノーンは冷淡に言う。
『《月狂眼の覚醒龍》は攻撃を受ければ、その攻撃力を倍にし5000にまで強化される。やはり貴様は不完全な存在・・・。余に勝つ事などできはしない。』
しかし。遊牙は言った。
「これで全ての準備は整った!!俺は墓地の《コープスナイト・クレス》の効果発動!!」
遊牙の墓地でカードが光る。遊牙はノーンに向けて言い放った。
「《コープスナイト・クレス》は自分の墓地に「コープスナイト」以外のカードが存在しない場合、デュエル中1度だけ相手の墓地の魔法・罠カードを発動できる!!俺はお前の墓地から罠カード《フォーシング・バトル・ペンデュラム》を発動!!」
ノーンは驚いた様子を見せる。
『余のカードを利用するだと・・・!』
遊牙は言葉を続ける。
「《フォーシング・バトル・ペンデュラム》は互いのモンスターが1体ずつの場合に発動できる罠カード!ペンデュラムゾーンのカードを全て破壊することで、そのモンスター2体は強制的に戦闘を行う!!俺はお前がセッティングしている《月狂傀儡―タイタン》を破壊!!」
ノーンのフィールドに浮かんでいた彫刻の天使が崩れ落ちる。
「そして、《コープスナイト・デッドジャック》は《月狂眼の覚醒龍》と戦闘を行う!だが、これは俺からの攻撃ではなく、カードの効果によるバトル!!よって《月狂眼の覚醒龍》の効果は発動しない!!」
段々とノーンの表情が崩れ始める。
『貴様・・・!!』
遊牙は黒き龍を指差し叫んだ。
「砕け散れ《月狂眼の覚醒龍》!!『殲滅のサイレントスライサー』!!!」
闇の騎士は剣を構え、一直線に駆け出す。黒き龍は翼から鎖を伸ばすが、騎士はそれをはね除け上空で剣を振りかざした。音も無く急降下した闇の騎士は、その刹那に黒き龍を切り裂いた。
『ぬぅぅううう!(LP4000→2000)だが、この瞬間《月狂眼の覚醒龍》の効果発動。このカードがフィールドを離れた場合、ペンデュラムゾーンにセッティングされる。』
黒き龍は石盤の姿になり、ノーンのフィールドに浮かんだ。
「お前の切り札は倒した!!俺はもう、お前に屈しはしない!!これでターンエンドだ!!」
遊牙の言葉にノーンは言った。
『切り札だと。笑止。余の切り札はこんな物ではない。見せてやろう・・・。世界の終わりを司る、究極の神を・・・。余のターン!!』
その時、ノーン—ルナの肉体—に変化が現れる。背中には白い翼が生え、両手には6本目の指が。
「ノーン!!!ルナの身体に何をする!!!」
ノーンは静かな声で言う。
『時が来たのだ。この肉体はついに鍵としての力に覚醒する。この決闘も終わりの時だ。余は《月狂眼の覚醒龍》のペンデュラム効果を発動!!』
自らの場に浮かぶ石盤を指差し、ノーンは声を荒げた。
『ペンデュラムゾーンに存在する《月狂眼の覚醒龍》を破壊する事で、余は神を呼ぶことができる!!』
その言葉と同時に石盤が砕け散る。そして、月面が裂けながら揺れ始め、周りは黒い影に包まれて行く。
「なんだ・・・何が来る・・!!」
遊牙はたじろぐ。ノーンは高らかに叫びを上げた。
『全ての形在りし者達よ!!世界の終焉訪れし時、その無力さに打ち拉がれん!!おお神よ!!世界に混沌を齎し、新たな時代の礎とならん!!』
世界の終わりを司る、究極の女神。その姿はこの世界を包み、破壊と混沌に染めてゆく。
『我が神!!!《月狂女神(ルナティック・ゴッデス)—ディスノミア(☆12/神/幻神獣族/0・0)》』
次回第20話「生きとし生ける者の希望」
かつてヒルズタウンと呼ばれたこの街に隕石が落下した。
研究機関の派遣した調査団により、その隕石には月の表面の成分が含まれており、さらに生体反応がある事が分かった。
その生体反応がなんなのか、そしてその生命体と思わしき隕石を安全に保存する為、研究施設の地下深くで実験を行う事が決定した。
―20年前。
調査団は施設の地下深く、機材の搬入作業を続けていた。
「アーノルド教授、いよいよですね。」
横に立つ人物に声をかけられたその男は頷き言った。
「ああ。ここならば万一”こいつ”が暴れたとしても、被害は少ないはずだ。」
「大丈夫ですよ、大気圏突破の影響で動く事すらできない筈ですから。」
作業をしていた一人が男へ近づき、頭を下げた。
「教授、機材の準備完了しました。」
その言葉に男は頷いた。
「うむ。ありがとう。じゃあ、早速始めようか。」
男は機材に近づき、白衣の内ポケットから白紙のカードを取り出した。
「これが上手く行けば、科学にとって大きな進歩になる・・・。」
男はカードを機材にセットする。その目の前には岩の塊のようなものが。
「カウントダウン開始します。」
調査団の一人が言う。男は頷いた。
「5、4、3。」
そこにいる全員が固唾を飲む。
「2、1、0。エネルギー変換、開始!」
機材にスイッチが入る。強い光と電撃のような衝撃が岩の塊へと向かう。
「頼む・・・!」
男は懇願するようにその岩を見つめた。
だが、その時だった。
「な、なんだ!!?」
突如として、岩の塊が砕け散る。その中から黒い翼が広がり、辺りに無数の鎖が突き刺さる。
「きょ、教授!!これは一体!!」
やがて、その黒い翼の持ち主はその姿をあらわにした。
「これは・・・龍!!!」
その黒き龍は地下の暗闇の中、怒号を上げその牙を光らせた。
「じ、実験中止!!!全員速やかに避難・・・」
機材の前に立っていた一人の調査員がスイッチを切ろうと手を伸ばした瞬間、龍の放った鎖に体を貫かれる。
「教授!!逃げて下さい!!教授!!」
男はその龍を見つめていた。
「そうだ・・・かつて、月面調査員の極秘レポートを覗いた事がある・・・。月面には2つの石盤があったと・・・その石盤には龍の姿が・・・。」
龍は口から衝撃波を放ち、地底を削り始めた。
「一体、何をしているのだ・・・。」
男は周りの調査員が逃げ惑う中、惹かれるように龍に近づく。
「そこに何があるというのだ・・・教えてくれ!」
龍は衝撃波を撃ち続けた。地底に亀裂が入り、その奥から光が漏れ出した。
「な、なんだ・・・!何の光だ・・・!」
光が段々と膨張し、亀裂は砕け、大きなトンネルとなった。
龍は叫ぶ。その眩い光の奥。
天にそびえる黄金の使者。それはついに人類と邂逅する。
「こ、これは・・・・!!!」
6本の指に白い翼。3つの目に女性の身体。その光の巨人は閃光を放ち、空間を振動させた。逃げ後れた調査員はその振動に吹き飛ばされ、壁へ激突する。やがてその振動は高まり調査員達の身体を溶かして行く。
男は身体が崩れ行く中、その姿を見て以前自らが考案した仮説を思い出した。
「6本目の指・・・!人間は5本の指を持つが故に、10進法という計算法を使い始めた・・・。だが、一日の長さは24時間・・・1年は12ヶ月・・・。12進法こそが世界の・・・宇宙の謎を解く本当の計算法なのではないか・・・以前、私はそのような仮説を立てた・・・。今、目の前の彼らには・・・彼女らの手には6本目の指がある・・・!!これが・・・宇宙の真理に辿り付いた高次の存在だというのか・・・!!!」
男は震える手でポケットからペンと紙を取り出し、まるで遺言のようにその事を書きなぐった。そして、意識の途絶える直前に、紙の端にこう綴った。
『エルギス・アーノルドから我が息子、ヘラルド・アーノルドへこれを遺す。』
そして、光の中から現れた彼女らは、その力を制御できぬまま惑うように地上へと向かう。そして、突如現れた彼女らを人々はこう呼んだ。
”とても人とは思えない姿。現生人類を遥かに超越する未知の生命体。人智の及ばぬ力・・・まさに・・・”
”『神の鉄槌』”
—20年後。同じ場所にて。
『降誕せよ!!《月狂眼の覚醒龍(☆8/闇/ドラゴン/ペンデュラム/3000・2500)》!!』
石盤を砕き、黒き翼が広がる。鎖は四方に散り、その龍は段々と姿を現した。
遊牙はたじろぐ。
「なんだ・・・このドラゴンは・・・!!」
ノーンは言う。
『月とは女神の箱船。この広大な宇宙を漂い、死の惑星に生命を与える命の船。月には与える女神と、奪う女神が居た。それは互いに相反する力を持っているが、どちらも必要な存在・・・。そしてその女神には、それぞれ従える龍が居た。一つは赤き力を宿す光の龍。一方は青き力を宿す闇の龍。』
やがて、ノーンは青いオーラを放ち始めた。
『余は王となる。月を、そしてこの世界を自らの手に収め、全てを支配する・・・。そう、赤き光の龍までも!』
遊牙は問う。
「そんなことをしてどうする!!お前は、世界を支配して何をする気なんだ!!」
ノーンは静か言った。
『無だ。全てを無に返す。そして、余以外の者全てが存在しない世界を創り上げる。最大の障壁”ヨシト”無き今、余を止められるものは居ない!』
遊牙は叫んだ。
「ふざけるな!!!そんなことあって良い筈が無い!!!俺はルナと約束した!!お前を倒すと!!そして、俺は必ずその約束を守る!!!」
その叫びを意にも介さず、ノーンは声を上げる。
『《月狂眼の覚醒龍》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功した場合、相手フィールドに表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする!』
黒き龍は青い光を放つ。遊牙の前に立つ闇の騎士はその光を浴び、自身の能力を失った。
「『デッドジャック』の効果が無効に・・・!!」
ノーンは手札のカードを1枚取り出す。
『余はカードを1枚セットし、ターンエンド。』
遊牙は怪訝な顔をする。
「(何故だ・・・攻撃力は勝っているのに攻撃して来なかった。一体何を考えている・・・。)」
疑問を持ちつつも、遊牙はデッキに手を伸ばした。
「俺のターン!ドロー!」
遊牙がカードを引いた直後。黒き龍が怒号を上げた。その翼から鎖が伸び、闇の騎士を捕らえる。
「なんだ!!何が起こっている!!?」
ノーンは言い放つ。
『これこそが青き闇の龍《月狂眼の覚醒龍》の能力。相手のスタンバイフェイズに、相手フィールドに存在する全てのモンスターは攻撃表示になり、このターン必ずこのカードを攻撃しなければならない。』
遊牙は驚愕する。
「なんだと!!」
さらにノーンは言葉を続けた。
『そして《月狂眼の覚醒龍》は攻撃を受けた時、自身の攻撃力を倍にする。この世界で何を生み出そうとも、その先に待つ終局は無。この龍は全てを無に返す終局の象徴だ。』
遊牙の額に汗が伝う。
「俺は屈しない・・・。俺はこんな所で倒れはしない!!手札の《コープスナイト・ディビット(☆3/闇/アンデット/100・2000)》の効果発動!手札に存在するこのカードを自分の「コープスナイト」1体に装備する事ができる!俺は《コープスナイト・デッドジャック》に装備する!!」
剣を持たない鎧の闘士は、幻影となって闇の騎士に憑依した。
「《コープスナイト・ディビット》を装備したモンスターは戦闘破壊されず、攻撃力を500アップする!!(ATK2500→3000)」
遊牙は言う。
「これでこのターンは凌ぐ事ができる・・・!すまない、デッドジャック・・・!!」
闇の騎士は鎖に引っ張られ、黒き龍へと向かう。騎士の構えた剣を黒き龍はその目で捉えた。
『この瞬間《月狂眼の覚醒龍》の効果発動。その攻撃力は倍となる!(ATK3000→6000)』
黒き龍はその口から衝撃波を放つ。闇の騎士は鎖から解放され吹き飛ばされた。その衝撃の余波は遊牙へと向かう。
「ぐあああっ・・・!!!(LP4000→1000)」
遊牙は後方へ飛ばされ倒れ込む。
「やはり、衝撃は本物か・・・。」
身体を起こし、立ち上がりながら遊牙は声を漏らした。
ノーンは表情を崩す事無く場のカードを開く。
『余は罠カード《フォーシング・バトル・ペンデュラム》を発動。互いのモンスターが1体ずつの場合に発動できる。ペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、そのモンスター2体は強制的に戦闘を行わなければならない。』
「何!?」
浮かんでいた彫刻の天使が消え、黒き龍は声を上げる。
遊牙は叫んだ。
「デッドジャック!!!」
黒き龍は再び鎖を伸ばし、闇の騎士を捕らえた。
『抵抗など無駄だ。全ては終局へ向かう。それがこの世界の運命!』
鎖に引きずられ闇の騎士は龍へと向かう。龍は再び衝撃波を放つ準備をした。
『これで終わりだ。全てを砕け、月狂眼!『消滅のバニシング・ストリーム』!!』
衝撃波は青い閃光を放ち、地面を削りながら闇の騎士へと向かう。その光に飲み込まれ、龍の前から全てのものが消え去った。
『これで全てが終わった・・・。赤き力は余のものだ。そして、この世界も・・・。』
しかし。衝撃波の通った後、白煙の向こう。
「まだだ・・・まだ終わってはいない。(LP1000)」
遊牙はしっかりと足を踏みしめ立っていた。ノーンは驚愕する。
『何故だ。ライフポイントが変化していないだと?』
遊牙は《コープスナイト・ディビット》のカードをノーンに向けた。
「《コープスナイト・ディビット》の効果。装備モンスターが戦闘を行う事によって発生する自分へのダメージが、今のライフポイントを超過している場合、このカードを墓地へ送る事でその戦闘ダメージを0にできる!!」
しかし、ノーンは冷淡に言う。
『だが、その装備カードの効果が無くなったことで、貴様のモンスターは破壊された。余の《月狂眼の覚醒龍》も攻撃力は増加したままだ。状況はどんどん不利になって行くぞ。』
遊牙はうつむき、手札からカードを1枚取り出した。
「俺は・・・モンスターをセット。ターンエンドだ。」
ノーンは言った。
『時間稼ぎなど意味を成さぬ。このターンで全てを終わらせる。余のターン。』
ノーンは引いたカードを確認し、それをD・ディクスに叩き付けた。
『余はスケール3の《月狂傀儡—タイタン(☆8/光/天使/0・1000)》をペンデュラムスケールにセッティング。そして、そのペンデュラム効果を発動。』
その言葉と共にノーンの墓地からカードが迫り出す。
『自分フィールドの「月狂」モンスター1体に2回の攻撃権を与える。余が選ぶのは《月狂眼の覚醒龍》。』
黒き龍は叫びを上げ、その翼を広げる。
『《月狂眼の覚醒龍》よ。あの伏せモンスターを破壊せよ!『チェーン・スレッド・ショット』!!』
翻された翼から無数の鎖が伸び、遊牙のセットモンスターを貫く。
「破壊された《コープスナイト・ギミー(☆3/闇/アンデット/1500・0)》の効果発動!このモンスターが戦闘で破壊された場合、デッキから「コープスナイト」を3枚まで墓地に送る!!俺は《コープスナイト・フリック(☆2/闇/アンデット/700・0)》《コープスナイト・ヴェルナンド(☆6/闇/アンデット/2400・0)》《コープスナイト・ドレア(☆5/闇/アンデット/0・2600)》を墓地に送る!!」
遊牙のデッキからカードが迫り出し、そのまま墓地へ送られる。
『そんなことをして何になる。余の攻撃はまだ残っている。全てを消し去れ《月狂眼の覚醒龍》!!『消滅のバニシング・ストリーム』!!』
放たれた青い閃光と凄まじい衝撃波。空間を振動させながら、その膨大なエネルギーは真っ直ぐと遊牙へ向かった。
だが、その刹那。遊牙の墓地が光り輝く。
「俺はたった今墓地に送った《コープスナイト・フリック》の効果を発動!自分のライフポイントが1000以下の場合、このカードを墓地から除外する事でこのターンの戦闘ダメージを0にする!!」
遊牙の前に騎士の幻影が出現する。その幻影は衝撃波をなんとか受け止め、守り切ったと同時に消滅した。
「俺はまだ倒れない。倒れる訳には行かない・・・!!」
しかし、ノーンは厳しい現実を突きつける。
『貴様のフィールドにカードは0。余には攻撃力6000の《月狂眼の覚醒龍》が居る。さらに次のターン貴様がモンスターを出し攻撃をすれば、その攻撃力は12000に到達する。どう足掻こうと余に勝つ事はできない。』
遊牙は歯を食いしばる。
「まだだ、まだ俺は諦めない!!!」
ノーンは呆れたような声で言う。
『鱗片を持つ者とはいえ、所詮は人に造られた存在か・・・。愚かな。《月狂眼の覚醒龍》を倒せるというのなら見せてみよ!余はターンエンド!』
遊牙はデッキに手を伸ばした。
「(準備は整った・・・。今あの《月狂眼の覚醒龍》を倒す方法は、これしか無い・・・!)」
そして勢いよくカードを引いた。
「俺のターン!!」
遊牙は手札のカードを取り出し言った。
「俺は手札の《コープスナイト・アロウ(☆5/闇/アンデット/1900・0)》の効果を発動!自分のフィールドにモンスターが存在しない場合、このカードと手札の「コープスナイト」を1体墓地に捨てる事で、墓地の「コープスナイト」1体を特殊召喚できる!俺は手札の《コープスナイト・クレス(☆2/闇/アンデット/1100・0)》を墓地に捨て、墓地から《コープスナイト・デッドジャック》を特殊召喚する!!」
闇の騎士は剣を振り上げ、遊牙の墓地から復活を遂げる。
「さらに俺は墓地の《コープスナイト・ドレア》の効果を発動!自分のフィールド・墓地に「コープスナイト」以外のカードが存在しない場合、このカードを墓地から除外する事で、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える!!これで《月狂眼の覚醒龍》の攻撃力は、守備力の数値2500と入れ替わる!!(ATK6000→2500)」
墓地から飛び出した騎士の幻影は、黒き龍の身体を貫きその攻撃力と守備力を入れ替えた。
『余の《月狂眼の覚醒龍》が・・・!だが、余の《月狂眼の覚醒龍》は攻撃を受ければその攻撃力は倍となる。相打ちを狙おうとも無駄だ。』
ノーンの言葉に、遊牙は行動で返した。
「俺は墓地の《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果発動!!自分の墓地に「コープスナイト」以外のカードが存在しない場合、このカード以外の「コープスナイト」1体を墓地から除外する事で、自分フィールドの「コープスナイト」1体はターン終了時まで除外したモンスターの攻撃力分、その攻撃力をアップする!!俺は墓地の《コープスナイト・フラーケン》を除外し、その攻撃力2000を《コープスナイト・デッドジャック》にプラスする!!(ATK2500→4500)」
ノーンは冷淡に言う。
『《月狂眼の覚醒龍》は攻撃を受ければ、その攻撃力を倍にし5000にまで強化される。やはり貴様は不完全な存在・・・。余に勝つ事などできはしない。』
しかし。遊牙は言った。
「これで全ての準備は整った!!俺は墓地の《コープスナイト・クレス》の効果発動!!」
遊牙の墓地でカードが光る。遊牙はノーンに向けて言い放った。
「《コープスナイト・クレス》は自分の墓地に「コープスナイト」以外のカードが存在しない場合、デュエル中1度だけ相手の墓地の魔法・罠カードを発動できる!!俺はお前の墓地から罠カード《フォーシング・バトル・ペンデュラム》を発動!!」
ノーンは驚いた様子を見せる。
『余のカードを利用するだと・・・!』
遊牙は言葉を続ける。
「《フォーシング・バトル・ペンデュラム》は互いのモンスターが1体ずつの場合に発動できる罠カード!ペンデュラムゾーンのカードを全て破壊することで、そのモンスター2体は強制的に戦闘を行う!!俺はお前がセッティングしている《月狂傀儡―タイタン》を破壊!!」
ノーンのフィールドに浮かんでいた彫刻の天使が崩れ落ちる。
「そして、《コープスナイト・デッドジャック》は《月狂眼の覚醒龍》と戦闘を行う!だが、これは俺からの攻撃ではなく、カードの効果によるバトル!!よって《月狂眼の覚醒龍》の効果は発動しない!!」
段々とノーンの表情が崩れ始める。
『貴様・・・!!』
遊牙は黒き龍を指差し叫んだ。
「砕け散れ《月狂眼の覚醒龍》!!『殲滅のサイレントスライサー』!!!」
闇の騎士は剣を構え、一直線に駆け出す。黒き龍は翼から鎖を伸ばすが、騎士はそれをはね除け上空で剣を振りかざした。音も無く急降下した闇の騎士は、その刹那に黒き龍を切り裂いた。
『ぬぅぅううう!(LP4000→2000)だが、この瞬間《月狂眼の覚醒龍》の効果発動。このカードがフィールドを離れた場合、ペンデュラムゾーンにセッティングされる。』
黒き龍は石盤の姿になり、ノーンのフィールドに浮かんだ。
「お前の切り札は倒した!!俺はもう、お前に屈しはしない!!これでターンエンドだ!!」
遊牙の言葉にノーンは言った。
『切り札だと。笑止。余の切り札はこんな物ではない。見せてやろう・・・。世界の終わりを司る、究極の神を・・・。余のターン!!』
その時、ノーン—ルナの肉体—に変化が現れる。背中には白い翼が生え、両手には6本目の指が。
「ノーン!!!ルナの身体に何をする!!!」
ノーンは静かな声で言う。
『時が来たのだ。この肉体はついに鍵としての力に覚醒する。この決闘も終わりの時だ。余は《月狂眼の覚醒龍》のペンデュラム効果を発動!!』
自らの場に浮かぶ石盤を指差し、ノーンは声を荒げた。
『ペンデュラムゾーンに存在する《月狂眼の覚醒龍》を破壊する事で、余は神を呼ぶことができる!!』
その言葉と同時に石盤が砕け散る。そして、月面が裂けながら揺れ始め、周りは黒い影に包まれて行く。
「なんだ・・・何が来る・・!!」
遊牙はたじろぐ。ノーンは高らかに叫びを上げた。
『全ての形在りし者達よ!!世界の終焉訪れし時、その無力さに打ち拉がれん!!おお神よ!!世界に混沌を齎し、新たな時代の礎とならん!!』
世界の終わりを司る、究極の女神。その姿はこの世界を包み、破壊と混沌に染めてゆく。
『我が神!!!《月狂女神(ルナティック・ゴッデス)—ディスノミア(☆12/神/幻神獣族/0・0)》』
次回第20話「生きとし生ける者の希望」
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- 2024/10/25 新商品 SUPREME DARKNESS カードリスト追加。
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次回は最終決戦いよいよ決着です。 (2015-06-17 07:38)