26話：極秘裏の英雄？白フードの少年　作：ヒラーズ

第2章：邂逅、白き邪神　開幕




ハルがいなくなって5日が経過、ゴールデンウィークを迎えた海理達は各々別の行動で休みを満喫していた。海理は買い物、魔奈は自分の姉、魔姫と共に事務所に訪れ、風花は実家の店番を、巴は寮に残り、寝ている。
退屈な連休日を迎えた中、水樹は一人バイクを走らせてクロノヴェイル中を回っていた。

「やっぱ休みの日はバイクをブンシャカ回すのが一番だぜ！」
そう言いつつ、あちこちの店に行っては買い食いの繰り返しで満足してる。
だが次で買い物をした店を出た時だった。

「おい、ちぃーと面貸せや」
「ま…待って下さい、どこか気に障る事をしましたか？」
「ん…？」
水樹は途中で誰かがチンピラに絡まれてる声が聞こえ、声のした方向を見る。
そこには一人の少女が5人のチンピラに絡まれており、怒りを買ってしまったのか、手を引っ張られ誰も居ない寂れた廃工場に連れて行かれる。
それを見た水樹は後を追って、廃工場に入る。
「治安は維持しておかねぇとな…」













「ようし…どう痛みつけてやろうか」
「最近じゃ『白き救世者』が他の連中をぶっ飛ばしてサツ公に突きだしてやがるから何も出来やしねぇ」
「それよりもコイツJKですぜ？犯るか？」
「ここなら誰も来やしねぇ、犯るか」

その事を聞いた水樹は咄嗟に扉を破る。
「お？何だ？」
「てめぇら…謝ってるのにそんな仕打ちはねぇだろ！」
水樹は一人のチンピラを殴りつけようと右ストレートを決めようとするが、片手で受け止められ、取り押さえられる。
途中で体を地面に叩きつけられ、四肢を押さえられては殴られた。

「ぐっ…」
「オラオラァ！生意気な不良嬢ちゃんにはお仕置きしなくちゃな！」
顔を殴られては腹に拳が入り、水樹は血を吐く。
「っ…やめて…っ！」
「へへっ、安心しろ。お前の次にあいつも同じようにしてやるからな？」

絶望的な状況、助けはいない。
水樹も諦めた時。

ﾋｭﾝ…！ﾄﾞｽｯ！

突如一本のナイフが水樹を取り押さえていた男の脳天に刺さる。
そして大量に血を噴き出させて倒れる。表情はニヤついたまま息を止める。
そう…死 んでいるのだった。

「おい！どうした！！」
「くそ！どこからだ！！」
あちこちを探す、押さえられていた水樹は拘束から解放され、少女の隣に行き、話しかける。

「…大丈夫か？」
「はい…何とか…あなたこそ大丈夫ですか？」
水樹はよろよろと歩きながら大丈夫だと言って体勢を崩す。
あまりにもダメージがでかい。これ以上戦えばまずいと感じたのか少女を連れて逃げようとするが…。

「どこへ行く気だ！」
「待て！誰も帰してやるとは言ってねぇだろ！」
残りのチンピラ達が捕まえようと走り出した時、突如少年の声が聞こえた。
「そこまでにしておけ、無能者の雑魚共」
口の悪い言葉、その言葉はチンピラ達の背後から響いた。
振り向くと、フード付きの白いロングコートを着た少年の姿があった。
顔はフードで隠されて見えないが水樹は理解した。「この少年がナイフを投げた本人」だと。

「てめぇ…何者だ？フードなんか被りやがって」
「そんなに殺られてぇのか？」
その言葉に白フードの少年は一人のチンピラに指をさし、言う。
「それは今置かれている状況下で言ってるのか？【サイコプロミネンス（念獄炎）】…」
宣言した瞬間、二人のチンピラの体が燃えだす。
「うわあああ！！」
「ぎゃあああ！！」

消しても消えぬ獄炎にその体を焼かれ、黒焦げになった。
その様を見た残りのチンピラは腰を抜かす。
「ひいいぃぃ！ば…ばばばっ…化け物ぉ！！」
「何で何もねぇのに人が燃えるんだよ！」


「…そんなにあの世に逝きたくないなら、俺とデュエルをして勝ってから言うのだな」
白フードの少年はディスクを構えながら水樹達の前に立ち、チンピラ二人の前に立ちふさがる。
「こんな可憐な少女を傷つけるとは愚かな奴だ、二人まとめてかかってこい」
「畜生！こんな奴叩き潰してやる！」
「そこをどいて貰うぜ！」
まるで騎士が現れたような登場の仕方をした白フードの少年、後ろから水樹が話しかける。
「大丈夫なのか！？相手はチンピラ二人だぞ！？」
「問題ない、俺はその程度ではやられん。後でその傷は治療してやるからそこで安静しててくれ」
そう言ってデュエルが始まった。
ルールはリミットブレイクルールだが、タッグフォース形式となった。


「「デュエル！！」」

白フードの少年　LP8000
手札5

チンピラ二人　LP8000
歴尾
手札5
佐次
手札5


「先攻は俺が貰う、ドロー！」
白フードの少年
手札5→6

「俺は手札から永続魔法『奈落経典-呪いの書-』を発動！LPを1000払ってデッキから闇属性の悪魔族、天使族モンスター1体を召喚条件無視して特殊召喚する。俺が出すモンスターは邪神ドレッド・ルートだ」

奈落経典-呪いの書-／Original Card
永続魔法
このカード効果の①と②はどちらも1ターンに1度しか発動できない。 ①：LPを1000払って発動する。デッキから闇属性の悪魔族、天使族モンスターのどちらか1体を召喚条件無視して特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
②：手札にあるカードを2枚捨てて発動する。自分のデッキからカードを5枚めくり、その中からカードを3枚選び手札に加える、その後選んだカード以外のカードはデッキに戻し、シャッフルする。

邪神ドレッド・ルート
☆10/闇属性/悪魔族／効果　ATK4000→4500／
このカードは特殊召喚できない。自分フィールド上に存在するモンスター３体を生け贄に捧げた場合のみ通常召喚する事ができる。このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、このカード以外のフィールド上のモンスターの攻撃力・守備力は半分になる。

白フードの少年　LP8000→7000

「何だぁ？いきなりレベルが高ぇモンスターだとぉ？」
「だがこれでお前らはこのモンスターの攻撃力を越え辛くなったはずだ。カードを2枚伏せてターンエンド」
いきなり現れたのは三邪神の一体。しかしこの世界では三邪神の存在を知らない。タダのカードであれ、この世界で言うのであるならばレアカードだろう。

「邪神…ドレッド・ルート…」
「何とも恐ろしいカードを…」
水樹達もそのモンスターを見て若干引き下がる。
序盤から攻守4000越えのモンスターが目の前に出てきているのが恐ろしく感じるのか静かに白フードの少年の方を見る。
（何者なんだ…！？あいつ！？）