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HOME > 遊戯王SS一覧 > TURN 36 疾闘―再会と激突―

TURN 36 疾闘―再会と激突― 作:Dann

 雀夜【LP:4000】 零時【LP:4000】

 「ドロー!」

 雀夜【SP:0】 零時【SP:0】

 「俺はモンスターを伏せ、ターン終了だ」

――雀夜【LP:4000・手札:5・SP:0・場:伏せモンスター×1】


 「俺のターン!」

 雀夜【SP:1】 零時【SP:1】

 「《UN・リーヴェニ》を召喚!」
 【ATK/1000 ★2】

 黄土色の蛙のような鈍重な悪魔が召喚された。

 「《リーヴェニ》の効果を発動! このカードの召喚に成功した時、デッキから《UN》モンスター1体を墓地に送る!」

 零時は《UN・ノインクス》を墓地に送った。

 「バトルフェイズ。《リーヴェニ》で伏せモンスターを攻撃!」

 伏せモンスターは《ヴァリアブル・タイガー》。
 【DEF/100】

 【ATK/1000 vs DEF/100】

 《ヴァリアブル・タイガー》を戦闘破壊。

 「メインフェイズ2。カードを2枚伏せてターンエンド」

――零時【LP:4000・手札:3・SP:1・場:リーヴェニ(ATK)、伏せカード×2】


 「俺のターン!」

 雀夜【SP:2】 零時【SP:2】

 「《ヴァリアブル・ツアーズ》を召喚」
 【ATK/1600 ★3】

 「……《ヴァリアブル・ツアーズ》の効果発動。このターンの攻撃を封じる代わりに、相手に500ポイントのダメージを与える! “アドバンス・チェーン”!」
 「うわっ!」
 零時【LP:3500】


 「? なんで雀夜は《ツアーズ》の効果を使ったんだ?」

 ボルト・ランナーの画面に映る雀夜と零時の決闘の状況を見て真は狩に尋ねた。

 「《UN》は破壊された時に墓地から一気に復活する……墓地の《ノインクス》の攻撃力は1800……《ツアーズ》より高いから場に出て欲しく無かったんだろう……」
 「それに、もし仮に次のターンで零時が自爆特攻してもダメージは600ポイント。今加えた効果ダメージで合計1100ポイント、差は結構広がるわね」
 「なるほど……」

 狩と葵の解説で真は納得した。


 「よく考えてやがる……」
 「《UN》のしつこさはよく知っているからな」

 雀夜は零時のデッキ、【UN】をアカデミアの頃に何度も見た。
 対して零時は雀夜のデッキ、【ヴァリアブル】をアカデミアを退学になる日に1度見たきりである。
 情報アドバンテージの差は明確である。

 「カードを1枚伏せてターン終了」

――雀夜【LP:4000・手札:4・SP:2・場:ツアーズ(ATK)、伏せカード×1】


 「俺のターン、ドロー!」

 雀夜【SP:3】 零時【SP:3】

 「確かに、俺は【ヴァリアブル】をよくは知らない……が、デッキが変化したのはお前だけじゃない! 《リーヴェニ》をリリースし、《UN・ベヒモト》をアドバンス召喚!」
 【ATK/2300 ★6】

 《リーヴェニ》は光となって散り、その光の中から全身真っ赤でバケツのように丸く、体中ゴツイ作りの悪魔《ベヒモト》が現れた。

 「!?」
 「さらに《Sp(スピードスペル)-スピード・ストーム》発動! コイツはスピードカウンターが3つ以上ある場合、相手に1000ポイントのダメージを与える!」
 「何っ!」

 雀夜【LP:3000】

 雀夜のスピードカウンターに変化は無かった。
 新たに作られた《スピード・ワールド2》になってから、ライフ1000ダメージ1つにつきスピードカウンターが減る効果は無くなったのだ。
 代わりにスピードカウンターと《Sp》がより有効に活用できるように効果が新たに追加された。

 「そして《ベヒモト》の効果を発動! 俺が《Sp》を発動した時、スピードカウンターを1つ乗せる!」

 零時【SP:3→4】

 「ライディングデュエル専用のモンスターだったのか……!」
 「バトル! 《ベヒモト》で《ツアーズ》を攻撃!」

 【ATK/2300 vs ATK/1600】

 「“ブレイド・スタンプ”!」
 「がぁっ……! 罠発動、《ガード・ブロック》!」

 《ベヒモト》の攻撃による衝撃波が雀夜に届く直前に、見えない障壁が雀夜を守った。

 「こいつは相手ターンのダメージ計算直前に発動し、俺を戦闘ダメージから守ってカードを1枚ドローする!」

 《ヴァリアブル・ツアーズ》を戦闘破壊。

 「ちっ……ターン終了だ!」

――零時【LP:3500・手札:2・SP:4・場:ベヒモト(ATK)、伏せカード×2】


 「俺のターンだ!」

 雀夜【SP:4】 零時【SP:5】

 「俺は手札の《ヴァリアブル・ピーフォウル》を墓地に送り、《ヴァリアブル・シルエット・L》を特殊召喚!」
 【DEF/500 ★2】

 雀夜の場にL字型の影が召喚された。

 「さらに《Sp-ヴィジョン・ウィンド》を発動! スピードカウンターが2つ以上ある時、墓地のレベル2以下のモンスターを特殊召喚する。来い、《ヴァリアブル・ピーフォウル》!」
 【ATK/800 ★2】

 「墓地から特殊召喚された《ピーフォウル》の効果発動! デッキからレベル2以下の《ヴァリアブル》を特殊召喚する!」

 雀夜が選んだのは《ヴァリアブル・シルエット・S》。
 【ATK/500 ★2】

 「チューナーか……」
 「行くぞ。レベル2の《シルエット・L》と《ピーフォウル》にレベル2の《シルエット・S》をチューニング!」

 【★2+★2+★2=★6】

 「血塗られた時代に、白き戦士が立ち上がる。その姿を刮目せよ! シンクロ召喚! 目覚めよ、《ヴァリアブル・ストライカー》!」
 【ATK/2400 ★6】

 「“ソード・バックチェンジ”!」

 雀夜の声で《ストライカー》の右肩にはブーメラン、右腕にはロケットアンカーを打ち出す盾、背中には巨大な刀をマウントする器具が取り付けられた。

 「くっ……!」
 「《シルエット・S》が場から墓地へ送られた事によりカードを1枚ドロー! ……なんじゃごりゃっ……」

 雀夜が自分の手札を見て唸った。
 雀夜の手札は4枚となり、《ストライカー》の第二の効果が適用され、右腕と背中に取り付けられた武装は全て外され、代わりに高出力のフローターが取り付けられた。

 「……これは酷いな……《スピード・ワールド2》の効果発動!」

 《スピード・ワールド2》に追加された効果。
 それは、自分のスピードカウンターを定められた個数分取り除く事で様々な効果を発揮する。

 「スピードカウンターを4つ取り除き、手札の《Sp》1枚につき、800ポイントのダメージを与える!」
 【SP:4→0】


 雀夜の手札の《Sp》は4枚。
 《Sp-ハイスピード・クラッシュ》。
 《Sp-ライド・オン・ライトタイム》。
 《Sp-サモン・クローズ》。
 《Sp-ゼロ・リバース》。

 「事故じゃねえかよ!?」
 「全くだ!」

 零時【LP:300】

 「ぐぅぅ!」
 「バトル! 《ストライカー》で《ベヒモト》を攻撃!」

 【ATK/2400 vs ATK/2300】

 「《ベヒモト》を対象にカウンター罠発動。《ホーネット・キル》! 俺の場のモンスターを全てセット!」
 「やばい!」

 零時の場のモンスターは《ベヒモト》1体のみ。
 よってセットされるのも《ベヒモト》のみである。
 セットモンスターをシャッフルする効果は適用されない。

 「攻撃は続行だ」
 「くそっ!」

 伏せモンスターは《UN・ベヒモト》。
 【DEF/1800 ★6】

 「この瞬間、《ホーネット・キル》の効果発動。発動時に選択したモンスターがリバースした場合、その攻撃力分のダメージを与える!」
 【ATK/2300→DAMGE:2300】
 雀夜【LP:700】

 「うぁぁぁっ!」

 【ATK/2400 vs DEF/1800】

 《UN・ベヒモト》を戦闘破壊。

 「墓地の《UN》達の効果が発動!」

 墓地の《UN・リーヴェニ》、全身が深緑色の横に大きい《UN・ノインクス》が姿を現した。

 《リーヴェニ》【DEF/800 ★2】
 《ノインクス》【DEF/1000 ★4】

 「モンスターが尽きないな……ターンエンド!」

――雀夜【LP:700・手札:4・SP:0・場:ストライカー(ATK)】


 「俺のターン!」

 雀夜【SP:1】 零時【SP:6】

 「墓地の《Sp-スピードストーム》の効果発動! スピードカウンターを3つ取り除き、墓地のこのカードを手札に加える!」
 零時【SP:6→3】

 「ここでもう1度《スピードストーム》を発動すれば俺の勝ちだが……互いにエースを出してない状態で勝っても面白くないよな」
 「セキュリティがそんなので犯罪者を捕まえられるのか……?」

 雀夜は零時に呆れていた。

 「いつもは普通に発動してるだろうが、今回は別だ。とことん楽しむぜ!」
 「はぁ……ま、いいか」
 「そういう事だ。チューナーモンスター《UN・バルディッシュ》を召喚!」
 【ATK/1000 ★3】

 「レベル4の《ノインクス》にレベル3の《バルディッシュ》をチューニング!」
 【★4+★3=★7】

 「……来るか」
 「不完全なる弩砲の名を持つ悪魔よ、未知なる力を解き放て! シンクロ召喚! 激臨せよ! 《UN・バリスタ》!」
 【ATK/2000 ★7】

 「《バリスタ》は墓地の《UN》1体につき、攻撃力が100ポイントアップする!」

 墓地の《UN》は3体。
 《UN・ベヒモト》。
 《UN・ノインクス》。
 《UN・バルディッシュ》。

 「よって攻撃力は300ポイントアップ!」
 【ATK/2300】

 「伏せて置いた《Sp-ヴィクテム・アクセラレーション》発動! スピードカウンターを3つ取り除いて手札を1枚捨て、モンスター1体をリリースして発動!」
 零時【SP:3→0】

 零時は手札から《UN・ユイン》を、場からは《UN・リーヴェニ》を墓地に送った。

 「そして自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまでリリースしたモンスターのレベル×100ポイントアップする!」

 《UN・リーヴェニ》【★2】

 「これで攻撃力が200ポイントアップ!」
 「しかも今の発動コストで墓地の《UN》が2体増えたから……」
 【ATK/2300→2500→2700】

 「バトルフェイズ。《バリスタ》で《ストライカー》を攻撃!」

 【ATK/2700 vs ATK/2400】

 「“ユニモルキュール・カット”!」
 「ぐぅぅ!」

 雀夜【LP:400】

 《ヴァリアブル・ストライカー》を戦闘破壊。

 「俺はターンを終了するぜ!」
 《UN・バリスタ》【ATK/2500】

――零時【LP:300・手札:2・SP:0・場:バリスタ(ATK)】


 「俺のターン、ドロー!」

 雀夜【SP:1】 零時【SP:1】

 「……《ヴァリアブル・ファルコン》を召喚!」
 【ATK/1000 ★3】

 「来た……よくよく考えると、フィニーも柔らかそうでかわいいよね……」
 「な、何言ってんだ……?」

 葵の何気とんでも無い発言に真が後退りする。
 今までの作者の描写が少なすぎて分からないと思うが、普段フィニーが雀夜の肩に止まっている時、両足で両肩に乗っているのだ。
 よってフィニーは普段1メートル近くの大きさはある。
 かわいいとは……言えないだろう。

 「《ファルコン》の効果発動! 墓地の攻撃力1000以下の《ヴァリアブル》1体を復活させる! この効果で俺は《ピーフォウル》を特殊召喚!」
 【ATK/800 ★2】

 「!」
 「さらに《ピーフォウル》の効果発動! デッキからレベル2以下の《ヴァリアブル》を特殊召喚する! 来い、《ヴァリアブル・コンドル》!」
 【ATK/0】

 「流れるようなコンボだな」
 「けど最近コレしか使ってないんだよな……まあいいや。レベル2の《コンドル》、《ピーフォウル》に、レベル3の《ファルコン》をチューニング!」

 【★2+★2+★3=★7】

 「平和を築きし伝説より、守護の翼がここに羽ばたく。その姿を刮目せよ! シンクロ召喚! 全てをなぎ払え! 《ヴァリアブル・フェニックス》!」
 【ATK/2500 ★7】

 「おお、久しぶりに見るぜ!」
 「そっか。あの時にコイツは見てるんだっけ」
 『ああ。その後、お前が《バーサーカー・ソウル》でオーバーキルしたがな』
 「ハハ……決闘続行だ。《ヴァリアブル・コンドル》の効果発動! 《ヴァリアブル》シンクロモンスターのシンクロ素材となった時、カードを1枚ドローする!」

 これで雀夜の手札は5枚。
 内4枚は《Sp》。

 「……カードを1枚伏せてターンエンド」

――雀夜【LP:400・手札:4・SP:1・場:フィニー(ATK)、伏せカード×1】


 「俺のターン!」
 雀夜【SP:2】 零時【SP:2】

 「《UN・ブッシュ》を召喚!」
 【ATK/1800 ★3】

 「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

――零時【LP:300・手札:1・SP:2・場:バリスタ(ATK),ブッシュ(ATK)、伏せカード×1】


 「……ドロー!」

 雀夜【SP:3】 零時【SP:3】

 「……じゃあ、行くぜ! 《ヴァリアブル・ホッパー》を召喚!」
 【ATK/0 ★1】

 「仕掛けてきたか……!」
 「《Sp-ライド・オン・ライトタイム》発動! スピードカウンターが3つ以上ある時、場のモンスターを1体リリースし、そのモンスターのレベルの数だけフィールド上のカードを破壊する!」

 雀夜は《ヴァリアブル・ホッパー》をリリースした。
 《ヴァリアブル・ホッパー》【★1】

 「俺は《ブッシュ》を破壊!」
 「《ブッシュ》は、魔法・罠・モンスター効果の対象になった時、自壊する」

 《ライド・オン・ライトタイム》によって選択された《ブッシュ》は破壊された。

 「《UN》の破壊をトリガーに、墓地の《UN》達が復活!」

 《UN・ノインクス》【DEF/1000 ★4】
 《UN・バルディッシュ》【DEF/700 ★3】
 《UN・リーヴェニ》【DEF/800 ★2】
 《UN・ユイン》【DEF/200 ★3】

 墓地の《UN》の数が変わった事によって、《バリスタ》の攻撃力も変化した。

 《UN・バリスタ》【ATK/2500→2200】

 「バトル! 《フィニー》で《バリスタ》を攻撃!」

 【ATK/2500 vs ATK/2200】

 「罠発動、《ディフェンス・ブレイク》。自分フィールド上に表守備で存在する守備力500以上の《UN・リーヴェニ》を破壊し、相手モンスター1体を破壊する!」
 「無駄だ! 《フィニー》の効果、俺の場のモンスターが自身だけの場合、コイツに対する相手の魔法・罠の効果は無効になる! “オール・アウト・エフォート”!」

 フィニーの背後には主である雀夜がいる。
 自分の場にはモンスターは居ない。
 自分が突破されれば雀夜は負ける。
 正に“オール・アウト・エフォート―背水の陣―”。
 《リーヴェニ》の必死のタックルを、《フィニー》もまた必死に耐え切った。
 
 「馬鹿な……!」

 《リーヴェニ》が破壊された事で墓地の《ブッシュ》が復活した。
 《バリスタ》の攻撃力は±0のため、変化は無い。

 「巻き戻しが発生するが、攻撃は変更しない!」

 【ATK/2500 vs ATK/2200】

 「“ブレイク・ザ・デスティニー”!!」
 「畜生、負けたぁぁぁ!!!」

 零時【LP:0 DEFEAT】

 勝者――遊幻 雀夜。

 「っしゃあ!」
 「《ヴァリアブル》……ドロー補助が多くてもはや鬼畜だな」
 「大量展開の《UN》に言われたくない。あれ結構きついんだぞ」

 互いに相手のデッキの感想を述べながらデュエルレーンから降り、自宅へと戻った。

 「お疲れ様」
 「いい決闘だったぞ、二人とも」

 帰ってきた雀夜と零時を、葵と真が出迎えた。

 「おう。そういや雀夜、あの伏せカードは何だったんだ?」
 「《ライジング・エナジー》だ。《スクリーン・オフェンス》を警戒してたんだ」
 「なるほどな。さて、俺は一旦局に戻る。あの痴女を逮捕するかはまた検討するぜ」

 そう言い残し、零時は走り去っていった。
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