TURN 34 共闘―緊急の召使―下　作：Dann

　黒Bにターンが回った。

　〔My turn． Draw〕

　そしてこのターン、2ターン前に発動した《封印の黄金櫃》の効果で除外した《六武の門》が手札に加わった。

　〔Spell Card Activate 《Gateway of the Six》〕

　《六武の門》が発動された。
　黒Bの背後に大きな門が出現した。

　「さて、大量展開が来るぞ……！」
　「ええ。来るわね……」

　〔I summon 《Legendary Six Samurai - Kageki》〕

　黒Bが召喚したのは背中に1対の副腕を設えた「四本腕の鬼神」と恐れられた切り込み役、《真六武衆－カゲキ》だった。
　【ATK/200　★3】
　《六武衆》が召喚された事によって《門》にカウンターが乗った。

　《六武の門》【武士道カウンター：2】

　〔Monster’s effect activate〕

　《カゲキ》の効果が発動した。
　その効果で黒Bが出したのはチューナーモンスター、《六武衆の影武者》。
　【ATK/400　★2】

　再び《門》にカウンターが乗った。

　《六武の門》【武士道カウンター：4】

　「お、おい。黒Bが自分で喋らなくなってきたぞ……」
　「作者も英語訳疲れたのかしら……？」
　〔Furthermore, special summons in there being 《The Six Samurai》 except 《Legendary Six Samurai - Kizan》 on my field in ,《Legendary Six Samurai - Kizan》．〕

　黒Bは自分フィールド上に《真六武衆－キザン》以外の《六武衆》が場に居る事により、《真六武衆－キザン》を特殊召喚した。
　【ATK/1800　★4】

　それによって更に《門》にカウンターが乗る。

　《六武衆の門》【武士道カウンター：6】

　「1度の召喚・特殊召喚でカウンターが2つ乗るとか……インチキ効果だろ」
　「1体破壊すればそれをトリガーに墓地から大量展開するあなたの言う言葉かしら？」

　セキュリティの愚痴に悠美が小馬鹿にするように言った。

　「だが、コレで奴の手札は0だ……」
　〔I tune up 《Kagemusha of the Six Samurai》 of level 2 in《Legendary Six Samurai - Kageki》 of level 3〕

　【★3＋★2＝★5】

　〔Synchro Summon． 《Legendary Six Samurai - Shi En》！〕

　光の輪から現れたのは、覇気に満ち溢れ、見る者を萎縮させるような視線を持ち、斬り捨てた敵将の返り血や燃える炎の揺らめきによって更に赤みを増した真紅の甲冑を身に纏った若武者、《真六武衆－シエン》だった。
　【ATK/2500　★5】

　新たな《六武衆》の登場により、《門》は更にカウンターを溜めた。

　《六武の門》【武士道カウンター：8】

　〔Trap activate，《Double-Edged Sword Technique》〕

　《諸刃の活人剣術》。
　その効果は自分の墓地から「六武衆」2体を選択し、攻撃表示で特殊召喚すると言う物だった。

　「まだ展開する気かよ！？」

　黒Bは再び《カゲキ》と《影武者》を特殊召喚した。
　《真六武衆－カゲキ》【ATK/200　★3】
　《六武衆の影武者》【ATK/400　★2】

　《六武の門》【武士道カウンター：10】

　「うわ～……展開力の凶悪さは異常ね」
　　〔I tune up 《Kagemusha of the Six Samurai》 of level 2 in《Legendary Six Samurai - Kageki》 of level 3〕

　【★3＋★2＝★5】

　〔Synchro Summon． 《Legendary Six Samurai - Shi En》！〕
　《真六武衆－紫炎》【ATK/2500　★5】

　《六武の門》【武士道カウンター：12】

　〔Trap activate，《Double-Edged Sword Technique》〕

　再び《諸刃の活人剣術》が発動された。
　《真六武衆－カゲキ》【ATK/200　★3】
　《六武衆の影武者》【ATK/400　★2】

　　《六武の門》【武士道カウンター：14】

　「なんだよコイツ……どんだけ展開する気だよ！？」
　〔Of course until I cannot do it〕

　セキュリティへの答えは「自分が展開できなくなるまで」だった。

　〔I tune up 《Kagemusha of the Six Samurai》 of level 2 in《Legendary Six Samurai - Kageki》 of level 3〕

　【★3＋★2＝★5】

　〔Synchro Summon． 《Legendary Six Samurai - Shi En》！〕
　《真六武衆－シエン》【ATK/2500　★5】

　《六武の門》【武士道カウンター：16】

　そして黒Bは《六武の門》の効果を発動させた。
　発動したのはカウンターを4つ取り除き、《六武衆》をサーチする効果。

　《六武の門》【武士道カウンター：12】

　黒Bが手札に加えたのは《六武衆の師範》。

　そして《師範》自身の効果で特殊召喚された。

　【ATK/2100　★5】

　《六武の門》【武士道カウンター：14】

　すると今度は、カウンターを2つ取り除いて場に表側表示で存在する《六武衆》または《紫炎》と名の付いた効果モンスター１体の攻撃力を、エンドフェイズまで500ポイントアップする効果を7回使った。

　《六武の門》【武士道カウンター：14→12→10→8→6→4→2→0】

　《真六武衆－シエン》【ATK/2500→6000】×3
　《真六武衆－キザン》【ATK/5300】
　《六武衆の師範》【ATK/2100→5600】

　ようやく黒Bは展開するのを止めた。

　　〔……Battle phase．　I attack it in 《Urgentness Ballista》 in 《Legendary Six Samurai - Shi En》〕

　【ATK/6000 vs ATK/2400】

　「……し……るなよ……」
　〔？〕
　「調子乗るなよ！」

　セキュリティの怒号と共に悠美は罠カードを発動させた。

　「お姉さんに任せなさい！　カウンター罠発動《ホーネット・キル》。自分の場の《ＵＮ》を選択して発動し、《ＵＮ》モンスターを全てセットする」

　悠美は《バリスタ》を選択した。

　〔How did it do it？　The attack continues it！〕

　黒Bは何も気にせず攻撃を続行させた。
　伏せモンスターは《ＵＮ・バリスタ》。
　【DEF/1100　★7】

　「この瞬間、《ホーネット・キル》効果発動よ。発動時に選択したモンスターがリバースした時、相手にその攻撃力分のダメージが与えられる。じゃね♪」
　〔！？〕

　機械であるが故に黒ロボット達は知らない。
　この世界において、“ガチ”と呼ばれるカードがいかに無力であるかと言うことを。

　黒B【LP：0】

　戦闘は続行され、《バリスタ》は破壊された。

　「そしてこの瞬間、墓地の《ＵＮ》達が蘇る……」

　《ＵＮ・バルディッシュ》【ATK/1000　★3】
　《ＵＮ・ユイン》【ATK/500　★3】
　《ＵＮ・ヒューゴー》【ATK/1600　★4】

　《ＵＮ・アビゴル》には蘇生効果は無かった。
　そして、黒Bが敗北した事により、強制的にエンドフェイズとなり、セキュリティへとターンが移った。
　相手もまた黒Bに代わり黒Aがする事になった。

――黒B【＜DEFEAT＞場：シエン×3(ATK)，キザン(ATK)，師範(ATK)、六武の門】


　「そして俺のターン、ド……！」

　セキュリティがカードをドロー使用とした時、急にその動きが止まった。

　「どうしたの？」
　「…………右手が……痛い」

　セキュリティはその場にうずくまり、右手の甲をおさえた。

　「ハモン……これって」

　悠美は痛みの原因をハモンに問いかけた。

　『えぇ。その可能性が高いわ……悠美！』
　「りょ～かい！♪」

　ハモンと悠美は何かを悟ったのだろう。
　悠美はセキュリティの肩に手を置いた。

　「カードを引きなさい。そうするといくらか楽になるわ」
　「え？」

　今までのように下品な笑顔やしてやったりと言うような笑顔ではない。
　とても優しい笑顔だった。

　「ほら。ドローカードが待ってるわよ？」
　「……ああ……ドロー！！」

　セキュリティの勢いのよいドローと共に、右手の甲に変化が訪れた。
　何やら記号らしきものが浮かび上がってくる。

　「…………これは！？」
　「さあ、見せてやりなさい。あなたの力を！」

　黒いオーラを放つそのカードをセキュリティは召喚した。

　「俺は3体の悪魔族モンスターをリリース！　《幻魔皇ラビエル》を、特殊召喚！！！」

　【ATK/4000　★10】

　『…………！！！』

　現れたのは、オベリスクと似た形の青く、大きい魔物。
　三幻魔の1体、幻魔皇ラビエルだった。

　「《ラビエル》で、《師範》を攻撃だぁ！」
　〔！〕

　【ATK/4000 vs ATK/2100】

　「“天界蹂躙拳”！！」

　黒A【LP：0】

　勝者――影天　悠美＆セキュリティペア


　「やったわね」
　「ああ。それに、何気に俺達、パーフェクトデュエルだ」

　悠美【LP：4000】
　セキュリティ【LP：4000】

　「フフ……ねぇセキュリティ君、名前何て言うの？」

　悠美はパートナーであるセキュリティに名前を問うた。

　「…………空　零時（ウツホ　レイジ）だ」