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TURN 35 一掃―証の真実―下 作:Dann
「~~♪」
『ル、ルビィ……』
数分間に及ぶルビーとの壮絶な追いかけっこの末、葵はようやくルビーを抱きしめる事に成功した。
「葵ってこんなキャラだったんだな……」
ルビーに全力でじゃれ付く葵の姿を見て真が呟いた。
「やっぱし可愛いわ♪」
悠美が葵目掛けて飛びかかったが、葵はそれを華麗に避け、悠美は壁に激突した。
「……痛い」
「馬鹿か」
痛みで涙目になっている悠美に雀夜が冷たく言い放った。
「……“ID”については終わったのか?」
状況についていけない零時は困りきった表情で雀夜に尋ねた。
「みたいだな……で、なんでお前はセキュリティになった?」
今までとは全く違う、鋭い目つきで雀夜は零時を睨んだ。
雀夜と零時以外のメンバーは、葵や悠美を中心に賑わっている。
「校長は、お前が捕まった後に必死でお前の無実を証明する物を探してた。でも、全部セキュリティの権力によって揉み消された……」
「……」
零時と雀夜はデュエルアカデミアで同級生だった。
二人とも成績は悪くなく、周りからも期待されていた。
しかし、雀夜はカード窃盗の冤罪で捕まり、二人は長い間会えなかった。
先ほど、零時が悠美を捕まえに来なければそれっきりだっただろう。
「俺は、お前のような境遇の人間を減らすためにセキュリティに入った」
零時は真っ直ぐに雀夜を見つめる。
が、雀夜はそれを拒否するかのように目を背けた。
「俺の周りの人がどんな風に動いてたとしても、俺はセキュリティを憎むのを止める事はできない……」
「だがお前は、そんなに憎んでるようには見えないぞ?」
「それは……表情で現せないから、憎悪の感情を表に出してないように見えるんだろうな」
雀夜の表情からはあまり憎悪と言えるような感情は確認できない。
だが本人は憎悪を肯定している。
それは、表情で憎悪を表す事に慣れていないのか、表情でも表しきれないからなのか……
「……セキュリティになった俺も憎むか?」
「俺はセキュリティを信用しない」
即答だった。
「お前が権力を振りかざすのならば、俺はお前も信用しない」
紡がれた言葉にははっきりと憎悪が感じて取れた。
「そんな事は、絶対にしない。これは誓える」
「……そうか」
ようやく雀夜の表情が柔らかくなり、零時と目を合わせた。
「改めて久しぶりだな。零時」
「おう」
二人は3年ぶりの握手を交わした。
「なあ雀夜、決闘しようぜ?」
「あ、ああ」
「ん? 決闘か?」
決闘という単語に反応した真が、雀夜達に近づいた。
「せっかくお互いにD-ホイールがあるんだ。ライディングデュエルやろうぜ」
「お、いいな。やろう」
雀夜の提案に零時が頷き、外へと向かった。
「お~いお前ら~、雀夜とセキュリティの……えっと」
「空 零時だ。宜しく頼むぜ」
真が零時の名前に詰まり、零時が改めて自己紹介した。
「おう」
「ライディングデュエルか……ふむ」
「興味深いわね~」
「~♪」
葵は未だルビーを抱きしめていた。
ルビーも満更ではない表情を浮かべている。
「よし。いいぞ」
ヘルメットを被り、バイザーを降ろした雀夜が零時に言った。
「んじゃ、行くぜ」
「「フィールド魔法、《スピード・ワールド2》セット!」」
『『DuelMode_ON』』
二人のD-ホイールを中心に、世界が変わった。
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」
二台のD-ホイールは勢いよくその場を走り去った。
しばらく走っていると、D-ホイールから機械音声のアナウンスが流れた。
『Lane_Selection……使用可能な最適レーンをサーチ……デュエルレーン、セントラルに申請……Authorization』
システムが自動操縦に代わり、二人をデュエル専用に作られたデュエルレーンへと導いた。
『決闘が開始されます。決闘が開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避してください。決闘が開始されます……』
デュエルレーンへ着くまでに、一般道路にアナウンスが流れ、ソリッドビジョンを駆使したガイドビーコンが現れ、一般の車両を退けて行った。
「うは……すげえな」
「俺も、これほどの物とは思わなかった」
二人が決闘用に作られた施設の凄さに驚いている内に決闘は開始された。
――空 零時【LP:4000】VS遊幻 雀夜【LP:4000】――
零時【SP:0】 雀夜【SP:0】
手動操縦(マニュアル)でのライディングデュエルでは、第一コーナーを先に通った方が先攻となる。
「よし、貰った!」
零時は雀夜の前に出る。
なるほど、セキュリティから支給されるD-ホイールの性能は悪くないらしい。
「だが零時、先攻は貰う!」
「っ!」
完全にコーナーの内側を決めていた零時だったが、雀夜はチューブ状になっているレーンの壁を利用し、少しの間跳躍。
零時の目前に着地し、瞬間に第一コーナーを奪った。
先攻は雀夜だ。
「お前……スゲェな」
零時が雀夜の隣に追いつき、感想を述べた。
「……?」
「……」
何かを呟いている。
零時がセキュリティに入る際に学んだ読唇術で読み取ろうとする。
ま……うま………と……わなか……
「まさか上手く行くとは思わなかった」……だろうか?
『ル、ルビィ……』
数分間に及ぶルビーとの壮絶な追いかけっこの末、葵はようやくルビーを抱きしめる事に成功した。
「葵ってこんなキャラだったんだな……」
ルビーに全力でじゃれ付く葵の姿を見て真が呟いた。
「やっぱし可愛いわ♪」
悠美が葵目掛けて飛びかかったが、葵はそれを華麗に避け、悠美は壁に激突した。
「……痛い」
「馬鹿か」
痛みで涙目になっている悠美に雀夜が冷たく言い放った。
「……“ID”については終わったのか?」
状況についていけない零時は困りきった表情で雀夜に尋ねた。
「みたいだな……で、なんでお前はセキュリティになった?」
今までとは全く違う、鋭い目つきで雀夜は零時を睨んだ。
雀夜と零時以外のメンバーは、葵や悠美を中心に賑わっている。
「校長は、お前が捕まった後に必死でお前の無実を証明する物を探してた。でも、全部セキュリティの権力によって揉み消された……」
「……」
零時と雀夜はデュエルアカデミアで同級生だった。
二人とも成績は悪くなく、周りからも期待されていた。
しかし、雀夜はカード窃盗の冤罪で捕まり、二人は長い間会えなかった。
先ほど、零時が悠美を捕まえに来なければそれっきりだっただろう。
「俺は、お前のような境遇の人間を減らすためにセキュリティに入った」
零時は真っ直ぐに雀夜を見つめる。
が、雀夜はそれを拒否するかのように目を背けた。
「俺の周りの人がどんな風に動いてたとしても、俺はセキュリティを憎むのを止める事はできない……」
「だがお前は、そんなに憎んでるようには見えないぞ?」
「それは……表情で現せないから、憎悪の感情を表に出してないように見えるんだろうな」
雀夜の表情からはあまり憎悪と言えるような感情は確認できない。
だが本人は憎悪を肯定している。
それは、表情で憎悪を表す事に慣れていないのか、表情でも表しきれないからなのか……
「……セキュリティになった俺も憎むか?」
「俺はセキュリティを信用しない」
即答だった。
「お前が権力を振りかざすのならば、俺はお前も信用しない」
紡がれた言葉にははっきりと憎悪が感じて取れた。
「そんな事は、絶対にしない。これは誓える」
「……そうか」
ようやく雀夜の表情が柔らかくなり、零時と目を合わせた。
「改めて久しぶりだな。零時」
「おう」
二人は3年ぶりの握手を交わした。
「なあ雀夜、決闘しようぜ?」
「あ、ああ」
「ん? 決闘か?」
決闘という単語に反応した真が、雀夜達に近づいた。
「せっかくお互いにD-ホイールがあるんだ。ライディングデュエルやろうぜ」
「お、いいな。やろう」
雀夜の提案に零時が頷き、外へと向かった。
「お~いお前ら~、雀夜とセキュリティの……えっと」
「空 零時だ。宜しく頼むぜ」
真が零時の名前に詰まり、零時が改めて自己紹介した。
「おう」
「ライディングデュエルか……ふむ」
「興味深いわね~」
「~♪」
葵は未だルビーを抱きしめていた。
ルビーも満更ではない表情を浮かべている。
「よし。いいぞ」
ヘルメットを被り、バイザーを降ろした雀夜が零時に言った。
「んじゃ、行くぜ」
「「フィールド魔法、《スピード・ワールド2》セット!」」
『『DuelMode_ON』』
二人のD-ホイールを中心に、世界が変わった。
「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」
二台のD-ホイールは勢いよくその場を走り去った。
しばらく走っていると、D-ホイールから機械音声のアナウンスが流れた。
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システムが自動操縦に代わり、二人をデュエル専用に作られたデュエルレーンへと導いた。
『決闘が開始されます。決闘が開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避してください。決闘が開始されます……』
デュエルレーンへ着くまでに、一般道路にアナウンスが流れ、ソリッドビジョンを駆使したガイドビーコンが現れ、一般の車両を退けて行った。
「うは……すげえな」
「俺も、これほどの物とは思わなかった」
二人が決闘用に作られた施設の凄さに驚いている内に決闘は開始された。
――空 零時【LP:4000】VS遊幻 雀夜【LP:4000】――
零時【SP:0】 雀夜【SP:0】
手動操縦(マニュアル)でのライディングデュエルでは、第一コーナーを先に通った方が先攻となる。
「よし、貰った!」
零時は雀夜の前に出る。
なるほど、セキュリティから支給されるD-ホイールの性能は悪くないらしい。
「だが零時、先攻は貰う!」
「っ!」
完全にコーナーの内側を決めていた零時だったが、雀夜はチューブ状になっているレーンの壁を利用し、少しの間跳躍。
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先攻は雀夜だ。
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「……?」
「……」
何かを呟いている。
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ま……うま………と……わなか……
「まさか上手く行くとは思わなかった」……だろうか?
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