TURN 29 決闘―主を求める聖獣―下　作：Dann

　「俺のターン、ドロー！　罠発動《リビングデッドの呼び声》」
　「！」
　「このカードで復活するモンスターは……《ヴァリアブル・タイガー》！」
　【ATK/900】

　再び《ヴァリアブル・タイガー》の効果が発動し、雀夜の手札は4枚となった。

　「チューナーモンスター、《ヴァリアブル・シルエット・Ａ》を召喚！」
　【ATK/1000】

　「……？」
　「レベル3の《タイガー》に、レベル3の《シルエット・Ａ》をチューニング！」

　【★3＋★3＝★6】

　「飛び交う思いの果てに、不屈の闘志が燃え上がる。その姿を刮目せよ！　シンクロ召喚！　切り裂け、《ヴァリアブル・トルーパー》！」
　【ATK/2400】

　雀夜が出したのは2本の剣を持ち、青い鎧を纏った戦士が描かれたシンクロモンスターのカードだった。

　「！」
　「シンクロ素材の《シルエット・Ａ》の効果で攻撃力300ポイントアップ！」
　【ATK/2400→2700】

　「攻撃力が互角になったか……」
　「バトルフェイズ！」
　「なっ！」
　「《トルーパー》で《バルバ》を攻撃！」
　「《バルバ》で《トルーパー》を迎撃……」

　【ATK/2700 vs ATK/2700】

　「“デュエル”！」
　「“牙狼の疾走”！」

　《セイクリッド・ビルダー・バルバ》を戦闘破壊。

　「《ヴァリアブル・トルーパー》の効果発動！　手札を1枚捨てる事で、戦闘で破壊されない！」
　「なるほどな……」

　場の状況は狩が若干不利だが、ライフポイントでは雀夜が圧倒的に不利である。

　「はぁ……ターン終了」

――雀夜【LP：100・手札：2・場：ヴァリアブル・トルーパー(ATK)，リビングデッドの呼び声(対象無し)】


　「俺のターン……モンスターとカードを1枚ずつ伏せターン終了」

――狩【LP：3700・手札：2・場：伏せモンスター×1、伏せカード×1，トレイン・シューター】


　「俺のターン……バトル。《ヴァリアブル・トルーパー》で伏せモンスターを攻撃」

　伏せモンスターは《ビルダー・ランナー》。
　【DEF/1000】

　【ATK/2400 vs DEF/1000】

　「“デュエル”！」

　《ビルダー・ランナー》を戦闘破壊。

　「《トルーパー》もまた守備貫通効果を持っている！」
　「！」

　【LP：2300】

　「くっ……！」
　「カードを1枚伏せてターンエンド」

――雀夜【LP：100・手札：3・場：ヴァリアブル・トルーパー(ATK)，リビングデッドの呼び声(対象無し)】


　「俺のターン……よし。《死者蘇生》を発動」
　「！」
　「蘇らせるのは《ガーディアン・ビルダー・ジーグ》だ！」
　【ATK/2600】

　「むぅ……」

　1度倒した相手が再び現れた事で雀夜が唸る。

　「そして装備魔法《パーツ・ビルダー・マリン》を《ジーグ》に装備する」

　発動された装備魔法が《ジーグ》の真下の魔法＆罠カードゾーンに置かれた。

　「こいつを装備した《ジーグ》は相手に直接攻撃ができる……！」
　「マジかよ……！」

　そのまま狩のターンはバトルフェイズへと段階を進んだ。

　「《ジーグ・マリン》で雀夜を直接攻撃……」

　【ATK/2600 vs LP：100】

　《ガーディアン・ビルダー・ジーグ》の攻撃が通る前に後ろのほうで小さな悲鳴が上がった。

　「うわっ……！　……っと」
　「ん？」

　見ると、後ろで葵が全員の飲み物を盆に乗せ、持ちながらズッコケそうになるのをなんとか持ち直していた。
　このままズッコケていたら雀夜は全員分の飲み物をその身に浴びていただろう。

　「……だ、大丈夫か？」
　「うん……でも雀夜の方こそ大丈夫なの？」

　どうやら葵は雀夜と狩の決闘の状況を見て驚いてしまったらしい。
　だがしかし、少しオーバーリアクションな気がするが……

　「まあ、大丈夫なんだが……」
　「つまり、この攻撃は通らないという事か？」

　狩からの質問を受け、雀夜は向き直る。
　そして手札から1枚のカードを墓地に捨てた。

　「手札の《ヴァリアブル・シルエット・Ｇ》の効果を発動。相手が直接攻撃してきた時、このカードを手札から捨てる事で戦闘ダメージを0にし、デッキからレベル3以下の《ヴァリアブル》1体を手札に加える」

　雀夜は《ヴァリアブル・ツアーズ》を手札に加えた。

　「しぶといな……そうでなくては面白くない。ターン終了」

――狩【LP：2300・手札：1・場：ジーグ(ATK＋)、パーツ・マリン(ジーグ)】


　「雀夜はコーヒーだったね。置いておくから」

　他の全員に飲み物を配り終えたのか、葵の持つ盆の上には雀夜の分のコーヒーだけだった。
　雀夜は葵に礼を言い、一口喉を潤した。

　「よし、俺のターン！　《ヴァリアブル・ツアーズ》を召喚」
　【ATK/1600】

　「そして《ツアーズ》の効果発動、“アドバンス・チェーン”」
　「……！」

　【LP：1800】

　「さらに相手の場にモンスターがいる事により、《ヴァリアブル・スカイフライ》を特殊召喚！」
　【ATK/200】

　「そして《スカイフライ》特殊召喚時に他の《ヴァリアブル》が2体以上いる時、カードを1枚ドロー」
　「手札が減らないな……」
　「まあな。レベル3の《ツアーズ》に、レベル2の《スカイフライ》をチューニング！」

　【★3＋★2＝★5】

　「神話より目覚めし人形が、魔の縛を撒き散らす。その姿を刮目せよ！　シンクロ召喚。踊り狂え、《ヴァリアブル・マリオネッター》！」
　【ATK/2200】

　「シンクロ素材となった《ヴァリアブル・ツアーズ》の効果で、デッキからレベル4以下の《ヴァリアブル》、《ヴァリアブル・ソルジャー》を手札に加える」

　「そして《マリオネッター》の効果発動。このカードの攻撃を放棄する事で墓地に存在するこのカードのシンクロ素材を1体特殊召喚できる」

　雀夜は墓地に手を伸ばし、その中の《ヴァリアブル・スカイフライ》を場に出した。
　【ATK/200】

　「そして特殊召喚された《スカイフライ》の効果で1ドロー」
　「よくまあそんなにドローする……」
　「手札枚数に重きを置いてるからな。動かしてると自然に手札が増えるんだよ」
　「なるほど」

　雀夜の説明に狩が納得する。

　「魔法カード《ヴァリアブル・サルベージ》発動。墓地の《フィニー》をデッキに戻す。そしてレベル5の《マリオネッター》にレベル2の《スカイフライ》をチュー二ング」

　【★5＋★2＝★7】

　「平和を築きし伝説より、守護の翼がここに羽ばたく。その姿を刮目せよ！」
　『よっしゃあ！』

　フィニーが再び出番が来た事に喜びながら雀夜の頭の上から飛び降り、机の上に止まった。

　「…………シンクロ召喚。再び全てをなぎ払え、《ヴァリアブル・フェニックス》！」
　【ATK/2500】

　「バトルフェイズにシフト。《トルーパー》で《ジーグ》を攻撃！」
　【ATK/2700 vs ATK/2600】

　「“デュエル”……！」

　【LP：1700】

　《ガーディアン・ビルダー・ジーグ》を戦闘破壊。
　それに伴い《パーツ・ビルダー・マリン》も破壊された。

　「く……《ジーグ》の効果発動！」
　「悪いが、《トルーパー》の方が《フィニー》より守備力は上だ。《フィニー》が場に残る」

　ヴァリアブル・トルーパー【DEF/2300】＞ヴァリアブル・フェニックス【DEF/2000】

　「ちっ……」

　悔しそうに狩が舌打ちする。

　「続けて《フィニー》の直接攻撃。昇天（ア）がれ……！」

　【ATK/2500 vs LP：1700】

　『ブレイク・ザ・デスティニー！』
　「！」

　フィニーが自身の攻撃名を叫びながら勢いよく狩に突っ込んで行った。

　「ぶわっ！」
　【LP：0】

　勝者―遊幻雀夜。