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HOME > 遊戯王SS一覧 > 4話 拠点作成、錬成術の初披露

4話 拠点作成、錬成術の初披露 作:ヒラーズ

※日常回です

翌日、安いビジネスホテルで寝泊まりをしていた私は個室のベッドの上で目を覚ます。

「もう朝か…」
『おはようございます。今日の天気は快晴です。散歩には良い日和となるでしょう』
「…そうだな」

最早ソルが目覚まし時計的な立ち位置になろうとしてるな。
朝起きて歯を磨き、顔を洗う。
そう言えば、ここまでスッキリ起きれるのは久しぶりだ。追放世界にいた時は研究室に籠りっぱなしで二~三徹はしてた。そのせいで家族に心配され、父からは一旦研究室を封鎖されたくらいだ。

「今日は…安い土地を買って、建築材料を買う。それが目標だったな」
『はい。建材を売る店や不動産は常に把握しております。後は向かうだけです』

ホント有能だな、ソルは……。

『それと、あなたの父である陸也からメッセージが1件届いております』
「何!?」

その言葉で私は驚きを隠せなかった。迷いなくそのメッセージを開いた。
内容は謝罪と私が置かれている状況などがつらつらと並べられていた。
時空磁場の嵐は撤去が困難を極めており、私の方側から何らかの干渉をしない限り、近づけないらしい。
最悪な事に、何もしないまま取り除く作業を進めた場合は10年以上の時を費やす羽目になり、私側で異常を解決すれば最低でも3年で撤去が完了できるらしい。

「最低でも3年はかかるのか……しかし、10年も待てないな」
『これを止めれなかったことを悔やんでるように見えますが』
「……父は悪くないし、罪はない。あの計画を立てたは私だ。責任は私にある」

親として責務を全うできずに悔やんだ文も所々見える。そして、父だけではなく母や海理様、他の姉妹、いわば姉たちも私を救い出すべく動いてるようだった。

『愛されているのですね』
「それを機械に言われたくないのだが……」

最後の行に目を通したとたん、私の中で僅かな希望が見えた。

「支援物資を送れるだと!?」

そう言えば、時空磁場の嵐の事故を想定した実験で、補給や支援物資を送れるかの実験に参加したことがある。まさか成功したというのか!?

「これがもし本当に可能なら、生活基盤を整えるのに何の問題がなくなる……!」
『流石、あなたの父です。ここまで技術を進ませるとは、未来が明るいです』
「こうしてはいられんな…こちらもメッセージを返そう」

私は感謝の文を送るように入力した。これで大丈夫だろう。

「行くぞソル。今日のタスクを済ませる」
『かしこまりました。ナビゲート致します』

やる気の出た私は身支度を済ませ、行動を開始するのであった。



「此処が例の安い土地か……いかにも呪われている感じだな」

午前10時ごろには案内をされ、案内人は去っていく。
そしてこの土地だが、家そのものはない。だが、地面からとてつもなく強い邪気、妖気、霊力が漏れてるのが分かった。

『悪霊に対する浄化作業が必要になります』
「わかっている。そのために準備を進めたんだろう?」

私は買ってきた鉄の棒で土地を囲むように円を描き始める。
そして細かいルーンを書き足していき、大きな魔法円が完成した。

「こんな感じか……」
『サイズも素材もばっちりです』

この魔法円は錬成術の魔法円だ。これにある素材を入れ込むことで、特殊な錬成術を発動できる。運よくこの辺りは人があまり寄り付かないため、見られることはない。

「では始めるぞ
『ご武運を』
「ああ、見ててくれ。私の錬成術、いや……錬金術をな」

魔法円の中に塩、灰、紙切れを放り投げる。魔法円が神々しく光り始め、術式が起動した。

「錬成術、【天】……《天国門》発動……悪霊どもよ、大人しく天国に行ってこい」

光と共に何やら人魂のようなものが次々と魔法円の中に入っていく。その中でお礼するかのような声も時に聞こえるが、一部は浄化されたくないような声も聞こえた。その声だけは無視したが。

それから一時間後、魔法円は消滅する。

「ソル、チェック頼む」
『かしこまりました。……検査結果。浄化作業が完全に完了いたしました。おめでとうございます。「呪われた土地」から「ただの土地」になりました』

よし、順調だな。オカルトが好きなマニア達には悪いが、オカルトスポットを1つ潰させてもらった。

「後は建材が届くだけだな。今のうちに設計図を作っておくぞ」
『それは名案です。協力しましょう』

それから数時間後に全ての建材が届いた。
呪われた土地から何の変哲もない土地になったのに驚いた作業員たちだったが、数分で手馴れ、去っていた。

「さて、邪魔者はいなくなった。始められるな」
『そうしたいところなのですが、どうやらお客様がご到着されました』

客人だと?この世界で私に友達はいないのだが……。

「やっと見つけた!ココノエちゃん!」
「!? 遊音か!?」
「もう!どこ行ってたの!急にいなくなって私やスタッフさん、視聴者さん達がびっくりしたんだからね!」
「…それは悪かったな。あの練習動画はどうなってる?」
「そりゃもうばっちり!視聴回数が12万再生、コメントも100件以上!タグも滅茶苦茶付けられてるよ!」

良かったではないか。伸びに伸びきってるぞ。

「それでなのだが……私に何の用なんだ?」
「そうそう、昨日の件で事務所の所長が、ココノエちゃんをスカウトしたいんだって!」
「断る」
「即答!?」

私の即答に遊音は白目をむいた。
確かに人脈や信頼、後ろ盾は今後必要になるだろう。だが、所属してしまえば、その影響が必ず出る。そう、活動や行動に足枷が付けられるようなものだ。
彼女には悪いが、そのスカウトには答えられない。

「悪いが、その辺は他を当たってくれ」
「ま、待って!せめて!今日はあの時戦ってくれたあの人の日常を少し覗く回を作ると視聴者さんに言っちゃったから、配信の許可ぐらいは……」

最近の動画配信者はそんなことするのだな……建てるとしても拠点だから別にいいが、誰も見ないと思うぞ?

「それは別に構わない。誰も見ないと思うがな」
「だって!皆さん!」

〈ハイ!見ます!〉
〈どんな日常が見れるのかな?〉
〈あ、ココノエじゃん!〉

……もう配信してるな。抜け目がない。

『諦めましょう。此処は建築に集中すべきです』
「わかっている」

私は振り向かずに建材をいくつか持って長さなどを調整し始める。

「お、始まった!」

〈wkwk〉
〈一人で何をしようってんだ?〉

「ソル、ブーストモードをオンラインにしてくれ」
『了解、ブーストモード、オンラインにしました』
「え、ちょ…速っ!」

〈え〉
〈急に加速した!?〉
〈おいおい、骨組み作りがどんどん出来上がって来るぞ!?〉
〈それだけじゃない…形も少しずつ出来上がってくぞ!?〉

コメントからはまるで「アニメや映画を見てるようだ」というような言葉が寄せられている。

「す、すごい…!まるで建築番組を早送りで見てるみたい…」

〈す、数分もしないうちに、骨組みが終わった…だと!?〉
〈普通なら何カ月もかかる工程を僅か数分で……〉



「ふむ、半分完成か……」
『ブーストモード冷却中、しばらくお待ちください』
「では休憩としよう」
「ええ!?もう半分!?」

〈嘘だろ…〉
〈しかも綺麗に一軒家……一軒家?〉
〈でかいな……少し金持ちの奴が住むくらいの大きさだぞ〉
〈待て待て、これで半分だと!?〉

「え、えーと……ココノエちゃんの予定だと、後どれくらいで建築が終わるの?」
「そうだな……この土地の土が上出来だからな。後20分くらいあれば完成するだろう」

その言葉で、遊音と視聴者が固まっていた。
まぁ、この建築速度はこの世界では異常だ。追放世界ではいつもの速度なのだが……。
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ランペル
【困惑】配信ゲストのココノエさん、突然家を建て始めてしまう

父からの通信が入り、こちらから干渉しない限り追放世界に戻るには10年以上の時間が必要とのこと。しかし、こちら側から異常を解決できれば3年ほどで準備が整うらしく、当然それを目標にまずは拠点の作成をすることに!
支援物資も届き、呪われた土地の浄化をしれっとやり遂げいざ拠点づくり。と言うタイミングで、前回の配信者遊音と再会。事務所へのスカウト兼インタビュー配信をしているとのこと。ソルの高い技術力の元、数分から数十分で一軒家が完成!

どういうことだってばよ…(視聴者。
世界規模の技術力の差を見せつけられましたな。 (2024-04-23 17:52)
ヒラーズ
ランペルさん、コメントありがとうございます。
これこそ、人外級の技術力!
しかし、ちゃんと常識は持ってますぞ。ただ、この後はどうなるか…… (2024-04-23 18:47)

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