16話　お互いの科学・3　作：ヒラーズ

茜　LP2000
手札3
場
千年王朝の盾　☆5　DEF３０００

魔法・罠ゾーン
伏せカード（破械雙極）
伏せカード
七精の開門

ココノエ　LP8000
手札5
場
エクシーズ・アーマー・フォートレス　★5　ATK２５００
Ｎｏ.８１ 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ　★10　DEF４０００
機関重連アンガー・ナックル　LINK2　ATK１５００
セリオンズ“キング”レギュラス（ゴライアス装備）　☆8　ATK２８００
クシャトリラ・アライズハート　★7　ATK３０００
魔法・罠
超接地展開
無限起動ゴライアス（レギュラスに装備されてる）
伏せカード3枚

「（アライズハートを何とかしないと何もできない。先ずは超接地展開を破壊しないと意味はない。問題は彼女の伏せカード。アーマードエクシーズ系だと思うけど、前の増Gの効果で大量の手札になっている。違う可能性もある）」

「……どうした？ドローしてから考えた方がいいぞ。そのドローで逆転できる可能性もあるからな」

〈いいこと言うなぁ〉
〈そうそう、ドローしたカードで逆転できるのも決闘者として悪く無き〉
〈ちゃんと待ってくれるココノエちゃん優しい〉

「……ドロー！」

茜
手札3→4

「……ターンエンド」

どうやら逆転の一手は引けなかったようだな。
……普通の強者なら「お前はその程度でしかない」とか言われそうだが、私はそうは言わない。手札事故には抗えんからな。

「私のターン！！」

ココノエ
手札5→6

「スペリオル・ドーラを攻撃表示に変更。さらにスペリオルの効果を発動、Ⅹ素材を一つ取り除き、アライズハートを選択。これで完全な耐性を得た。ドーラで《千年王朝の盾》を攻撃！」
「これは……増Gを通した時点で負けていたか……」
「そうとは限らん。正直に言えば、私の序盤の手札、事故っていたからな」

〈草〉
〈また事故ってんのかよｗｗｗ〉
〈そのデッキぐちゃぐちゃ過ぎない？ｗ〉

「トドメだ！アライズハートでダイレクトアタック！」
「……これは完敗した」

茜　LP２０００→０

WIN！
ココノエ

＊

「すごい！2ターンキルだなんて強すぎるよ！」
「いや、彼女の科学論文（デッキ）は強力だった。あくまでエクゾディアを出される前に倒した方を選んだからな」

さて、どうやって二人きりになるかだ。

「じゃあ、今度はワタシとデュエルするのデース！」
「やめなさい。あなたがやるのはユウネちゃんからでしょ？」

エリスは「茜ちゃんずるいのデスヨ」と言って気を落とす。
私は連戦でも構わないのだがな。流石の茜も相手に戦力を公開するのを恐れたか。

「さて、長いデュエルを見てくれたんだ。そろそろトイレ休憩も頃合いではないのか？」
「あ、視聴者さんのこと考えてくれてたの？ありがとうココノエちゃん！そんなわけで一時休憩になるよ～」

＊

休憩の間、私は茜と二人きりになる。

「……」
「……」

互いに沈黙が続く。
その中で私は茜のの力を見抜こうとしていたが、先に沈黙は破られた。

「ココノエ、いや……白皇九重」
「フルネームで呼ばれるとはな」

自分から情報をさらけ出しに行ったか？
先ずは質問をしてみるか。

「……お前はこの世界の人間ではない。単刀直入に聞く。お前は…何者だ？」
「……本名「銅鐸茜」。こっちでの名は茜以外は偽名で通ってる。追放世界「レスタヴィル王国」の王宮科学者。階級は技術少尉」

レスタヴィル王国……花と鉄の王国と呼ばれた国家。
レクス公国とは中立の関係ではあったが、あの国もこの世界に手を出していたのか…。

「目的は？」
「それはもう。あなたは理解してるはず」

言わずもがな、という奴か。
成程、どうやら私も明かさなければならんようだな。

「言われた通り、私は「白皇九重」。レクス公国の第04技術部局長。階級は技術大尉だ。魔術・錬成術・錬金術・医術・薬学・科学をメインに武術を少々」
「錬成術まで嗜んでいるとは……流石「白皇九姉妹」の末っ子。恐ろしい」

何だその四天王みたいな呼び方。そこまで恐れられてるのか？

「私は魔術・錬金術・科学・心理学しかない。武術もそこそこ。お互い軍人がいるのは共感できる」
「そうか？」

しかし、心理学か……嘘が付けなくなったな。