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1話 転移先の世界 作:ヒラーズ
吸い込まれて数分過ぎただろうか?気が付くと森の中にいた。
頬を抓ったり、自分自身を軽く殴って夢かを確かめる。
「……どうやら夢ではないようだ」
文字通り痛い。本当に異世界転移してしまった。
「そう言えば、父からこれを渡されたな。起動ボタンはこれか?」
カチリと音が鳴り、機械が起動する。
『おはようございます。私は、陸也と海理様の技術を集結せて作られたサポートAI
「Solution」と申します。ソルとお呼びください』
Solution。解決という意味を持った機械か……。
大きさは背負い鞄の大きさだが、不思議と重たくはない。軽量化の施しに成功した証拠か……父と海理様は私の想像を軽く上回って来るな。
「ソル、この世界のスキャンは可能か?」
『ワールドスキャンですね?了解しました、2分お待ちください』
ほう、結構有能だな。いくら時間がかかるとはいえ、2分で終わるとは相当高性能だぞ?
「スキャンが完了いたしました。異世界名「別次元地球γ‐621」。異次元ゲートに莫大な量の時空磁場の嵐を感知、迎えは当分期待できないものとなります」
「時空磁場の嵐だと!?」
時空磁場。追放者たちが異世界に渡る際の異空間ロードで発生する大規模引力磁場の事を指す。その中に入った物質は消滅、死という概念がない奴でも無事では済まない。これに巻き込まれた奴は死を覚悟、死がない奴は消滅を覚悟するしかないほどの大規模災害だ。
「クソッ…!運が無かったか!!」
『只今、あなたの父「白皇陸也」があなたのいる世界を特定いたしました。しかし、時空磁場の嵐の影響で回収は困難を極めています』
どのみち、当分は帰れないという事か……。
『ここでじっとしている暇はありません。運がいい事に、この世界の文明は進んでいます。この世界の人間社会に紛れ込んで、時空磁場の嵐が止むのを待つしかありません』
「簡単に言ってくれるな……」
『幸い、陸也が私のインベントリに金のインゴット、宝石をいくつか入れてあります』
成程、人間社会に紛れ込むには金も必要。っという訳か。
「他には?」
『デッキが1つ収納されてます』
ソルは内部から一つのデッキを取り出す。
私はそのデッキを確認する。
「古生海……私が中学生の時に使っていたデッキか……ロクにギャラクシーに勝てん雑魚カテゴリとバカにされたが…無いよりはマシか」
『おまけに、あなたの服装はこの世界では怪しまれません』
確かに、現に私の服装は普段着に白衣を着こんでるくらいだ。
まぁ、言われるとすれば「ラフな格好してるやつだな」と言われるくらいだろう。
『まずは街へ行きましょう。この森から大変近いところとなっています』
「先ずはそこで生活基盤を立てろと言う事か、了解だ」
やる事が決まった私は森を抜けるために歩く。
10分足らずで出ることが出来たことからそこまで深くない場所だったんだろう。ともあれ幸先がいい。
取りあえず、変な目で見られないように白衣に着いた草や土を払う。
やれやれ、折角の白衣が台無しだ。
*
あれから数時間。街に着いた私は質屋を探し、宝石やインゴットを売りさばいていた。最初は怪しまれたが、盗品ではないことが分かったため、高額で買い取ってもらえた。これで先ず、資金面は何とかなった。
次は拠点となる建物を探さなくてはならない。暫くはホテルを使う羽目になる。しかし、それでは資金も5日ぐらいで底を尽きるのは目に見えている。
だが、危険なマルチタスクをする気はない。一つ一つ着実にこなしていけば、自然と地盤が固まるはずだ。
「マンションでは騒音で何もできん。何か、安い土地などを購入すべきか……」
『その方が効果的だと思います』
ソルが認めるほどだ。先ずは安い土地を購入する方がいいだろう。
「ん?」
公園付近を歩いてると、スマホを掲げて何かをやっている少女の姿があった。
と言っても制服っぽい服装してる事から学生だろう。
「はーい!皆!今日もニコニコデュエル配信だよ!ユウネでーす!」
何やらスマホに向かって何か言ってるが……。
『どうやら彼女は、「動画配信」を行ってるようです』
「しかもデュエル配信と言ったな。他人のデュエルを動画としてばら撒くのは人権云々が黙ってない気がするが……一種のさらし刑みたいなものだ」
『しかし、その配信によって多額の資金を手に入れているところもあるそうです』
「随分と恥知らずな……」
ソルと会話しながら、ユウネという女子学生の会話を聞く。
「今日はタッグフォースルールでやろうと思うんだけど、肝心の組んでくれる人がいません!」
〈ユウネちゃんキター!〉
〈ありゃ、組んでくれる人がいないのか?〉
〈クソ…近くにいればできるのに〉
「そこで!急遽、辺りの人に協力を求めたいと思います」
ふむ、どうやら組んでくれる人物が居ずに野良で組んでくれる人を探してるのか。
だが、この世界はデュエルができる人が沢山いる。少なくともマシな奴が見つかるはずだ。
「ジー……」
「……」
何だ?こっちを見たぞ?
「そこの白衣を着た人!あなたに決めた!!」
〈草〉
〈あ、ズリィぞ!〉
〈誰だ此奴?〉
「……私でいいのか?」
「全然!むしろ負けても怒らないよ!」
〈ユウネちゃん優しー!〉
〈足を引っ張るなよ~!〉
何だこの言われようは……私は巻き込まれただけなのだが……。
「そう言えば、自己紹介してなかったね!私は天川遊音!あなたは?」
「……九重だ」
「成程!ココノエちゃんだね!」
何故カタカナ呼びなんだ…言われ慣れてるからいいが。
「お願いなんだけど、今日だけ、タッグフォースルールの勉強のため、組んでくれないかな?」
「……」
『組んでも問題ないと思います。こうやって信頼と人脈を作るのも生存戦略の一つです』
遊音は「やっぱダメ?」と言うが、私は仕方なく「わかった。ただ実力は期待するな」と釘を刺しておいた。
「やった!じゃあ、早速向かおうか!」
「……待ち合わせでもしてたのか?」
「勿論!」
……やっぱり断っておくべきだったか?
頬を抓ったり、自分自身を軽く殴って夢かを確かめる。
「……どうやら夢ではないようだ」
文字通り痛い。本当に異世界転移してしまった。
「そう言えば、父からこれを渡されたな。起動ボタンはこれか?」
カチリと音が鳴り、機械が起動する。
『おはようございます。私は、陸也と海理様の技術を集結せて作られたサポートAI
「Solution」と申します。ソルとお呼びください』
Solution。解決という意味を持った機械か……。
大きさは背負い鞄の大きさだが、不思議と重たくはない。軽量化の施しに成功した証拠か……父と海理様は私の想像を軽く上回って来るな。
「ソル、この世界のスキャンは可能か?」
『ワールドスキャンですね?了解しました、2分お待ちください』
ほう、結構有能だな。いくら時間がかかるとはいえ、2分で終わるとは相当高性能だぞ?
「スキャンが完了いたしました。異世界名「別次元地球γ‐621」。異次元ゲートに莫大な量の時空磁場の嵐を感知、迎えは当分期待できないものとなります」
「時空磁場の嵐だと!?」
時空磁場。追放者たちが異世界に渡る際の異空間ロードで発生する大規模引力磁場の事を指す。その中に入った物質は消滅、死という概念がない奴でも無事では済まない。これに巻き込まれた奴は死を覚悟、死がない奴は消滅を覚悟するしかないほどの大規模災害だ。
「クソッ…!運が無かったか!!」
『只今、あなたの父「白皇陸也」があなたのいる世界を特定いたしました。しかし、時空磁場の嵐の影響で回収は困難を極めています』
どのみち、当分は帰れないという事か……。
『ここでじっとしている暇はありません。運がいい事に、この世界の文明は進んでいます。この世界の人間社会に紛れ込んで、時空磁場の嵐が止むのを待つしかありません』
「簡単に言ってくれるな……」
『幸い、陸也が私のインベントリに金のインゴット、宝石をいくつか入れてあります』
成程、人間社会に紛れ込むには金も必要。っという訳か。
「他には?」
『デッキが1つ収納されてます』
ソルは内部から一つのデッキを取り出す。
私はそのデッキを確認する。
「古生海……私が中学生の時に使っていたデッキか……ロクにギャラクシーに勝てん雑魚カテゴリとバカにされたが…無いよりはマシか」
『おまけに、あなたの服装はこの世界では怪しまれません』
確かに、現に私の服装は普段着に白衣を着こんでるくらいだ。
まぁ、言われるとすれば「ラフな格好してるやつだな」と言われるくらいだろう。
『まずは街へ行きましょう。この森から大変近いところとなっています』
「先ずはそこで生活基盤を立てろと言う事か、了解だ」
やる事が決まった私は森を抜けるために歩く。
10分足らずで出ることが出来たことからそこまで深くない場所だったんだろう。ともあれ幸先がいい。
取りあえず、変な目で見られないように白衣に着いた草や土を払う。
やれやれ、折角の白衣が台無しだ。
*
あれから数時間。街に着いた私は質屋を探し、宝石やインゴットを売りさばいていた。最初は怪しまれたが、盗品ではないことが分かったため、高額で買い取ってもらえた。これで先ず、資金面は何とかなった。
次は拠点となる建物を探さなくてはならない。暫くはホテルを使う羽目になる。しかし、それでは資金も5日ぐらいで底を尽きるのは目に見えている。
だが、危険なマルチタスクをする気はない。一つ一つ着実にこなしていけば、自然と地盤が固まるはずだ。
「マンションでは騒音で何もできん。何か、安い土地などを購入すべきか……」
『その方が効果的だと思います』
ソルが認めるほどだ。先ずは安い土地を購入する方がいいだろう。
「ん?」
公園付近を歩いてると、スマホを掲げて何かをやっている少女の姿があった。
と言っても制服っぽい服装してる事から学生だろう。
「はーい!皆!今日もニコニコデュエル配信だよ!ユウネでーす!」
何やらスマホに向かって何か言ってるが……。
『どうやら彼女は、「動画配信」を行ってるようです』
「しかもデュエル配信と言ったな。他人のデュエルを動画としてばら撒くのは人権云々が黙ってない気がするが……一種のさらし刑みたいなものだ」
『しかし、その配信によって多額の資金を手に入れているところもあるそうです』
「随分と恥知らずな……」
ソルと会話しながら、ユウネという女子学生の会話を聞く。
「今日はタッグフォースルールでやろうと思うんだけど、肝心の組んでくれる人がいません!」
〈ユウネちゃんキター!〉
〈ありゃ、組んでくれる人がいないのか?〉
〈クソ…近くにいればできるのに〉
「そこで!急遽、辺りの人に協力を求めたいと思います」
ふむ、どうやら組んでくれる人物が居ずに野良で組んでくれる人を探してるのか。
だが、この世界はデュエルができる人が沢山いる。少なくともマシな奴が見つかるはずだ。
「ジー……」
「……」
何だ?こっちを見たぞ?
「そこの白衣を着た人!あなたに決めた!!」
〈草〉
〈あ、ズリィぞ!〉
〈誰だ此奴?〉
「……私でいいのか?」
「全然!むしろ負けても怒らないよ!」
〈ユウネちゃん優しー!〉
〈足を引っ張るなよ~!〉
何だこの言われようは……私は巻き込まれただけなのだが……。
「そう言えば、自己紹介してなかったね!私は天川遊音!あなたは?」
「……九重だ」
「成程!ココノエちゃんだね!」
何故カタカナ呼びなんだ…言われ慣れてるからいいが。
「お願いなんだけど、今日だけ、タッグフォースルールの勉強のため、組んでくれないかな?」
「……」
『組んでも問題ないと思います。こうやって信頼と人脈を作るのも生存戦略の一つです』
遊音は「やっぱダメ?」と言うが、私は仕方なく「わかった。ただ実力は期待するな」と釘を刺しておいた。
「やった!じゃあ、早速向かおうか!」
「……待ち合わせでもしてたのか?」
「勿論!」
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21 | 序章 | 113 | 0 | 2024-04-12 | - | |
16 | 1話 転移先の世界 | 130 | 2 | 2024-04-13 | - | |
27 | 2話 初陣、タッグバトルにて① | 206 | 4 | 2024-04-15 | - | |
24 | 3話 初陣、タッグバトルにて② | 166 | 4 | 2024-04-18 | - | |
19 | 4話 拠点作成、錬成術の初披露 | 143 | 2 | 2024-04-22 | - | |
24 | 5話 仕方なき事、スカウト受諾 | 135 | 2 | 2024-04-24 | - | |
7 | 6話 リトルシグマ | 73 | 2 | 2024-04-28 | - | |
7 | 7話 掲示板回 | 50 | 0 | 2024-04-29 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/04/27 新商品 INFINITE FORBIDDEN カードリスト追加。
- 05/01 01:54 評価 3点 《魔法妖精 バーガンディ》「総合評価:即効性はあるけど《魔力の棘…
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いわばタッグデュエルですね。アニメでもあまり見かけないルールらしいですが……。 (2024-04-14 07:47)