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005:嵐を掴む手 作:天2
005:嵐を掴む手
「俺のターン! ドロー!」
物真似師のフィールドには《青眼の白龍》が3体。その高い壁を突破しなければ、物真似師のLPには届かない。
だがユーイの手札にはまだそのピースが揃ってはいなかった。このドローにそれは掛かっている。
ユーイがカードをドローし、それを確認する。
「よしッ!」
引いたのは、それを埋めるに足るカードだった。
そしてユーイは物真似師に視線を向ける。
奴は魔力を消費し過ぎたためか、それとも精神的に劣勢のためか、顔色が優れない。
「1つ、聞きたい」
しかしそんなこと気にも止めずユーイが問う。
「お前のそのデッキは間違いなく海馬のデッキだ。奴以外に《青眼の白龍》を持っているデュエリストはいないからな。だが、いくらお前が海馬コーポレーションから派遣されているとは言え、奴が自分のデッキを他人に貸し出すとは思えない。そのデッキ、どうやって手に入れた?」
ユーイの問いを聞き終えると、物真似師はゲへへへと下品に笑う。
「そんな質問に素直に答えると思うか?」
物真似師に教える気は無さそうだ。
確かに奴にユーイの問いに答える義務などない。
物真似師は笑う。
「だが1つ教えてやるよ……。言っただろう……俺様は死の物真似師……。俺様がするのは……死者の物真似だけよ。何が……言いたいか分かるか?」
魔力欠乏の苦しさに耐えながらも奴は笑みを深くする。
「そう……海馬セトは既に死んでいる」
ユーイの表情がぴくりと動く。
「何だと?」
ユーイにもそれがこちらの動揺を誘うためのブラフである可能性は分かっている。
だが反応せざるを得なかった。デュエリストとしての理性より、感情の反射が勝ってしまったという感じだ。
「信じるも信じないもテメェの自由だがよォ……少し考えれば分かることだよなァ……。死にでもしない限り、あの海馬が自分のデッキを手放すなんてことがあんのかってよ……」
確かにあの海馬がちょっとやそっとのことでデッキが他人の手に渡るような状況になるのを許すはずがない。余程のことが起きたのであろうことは想像に容易い。
だが一方で、あの海馬がそう簡単にくたばるようなタマかという疑問もある。むしろ殺しても死にそうにない。ユーイの知る海馬セトとは、そういう男だ。
そもそもそれが事実なら、誰がドール確保を物真似師に指図したと言うのか。
「……それで俺の動揺を誘っているつもりか? 悪いが俺の知る海馬はそう簡単に死ぬような男じゃあない。俺はそんなハッタリ信じないぜ」
「ゲゲゲ、だが海馬セトが死んだのは事実。そしてテメェにそれを確かめる機会がもう訪れねェってこともな」
物真似師がバッと両手を広げる。
「俺様のフィールドには《青眼の白龍》が3体! テメェがどう言おうと、その事実に変わりはねェ! 俺様が力に溺れているだと? だがそれが何だ!? この《青眼の白龍》共を超えねェ限り、テメェに俺様のLPを削りきることはできねェ! クソみてェな魔力しかねぇテメェに《青眼の白龍》より上級のモンスターなんて用意できるはずがねェんだからなッ!!」
ギャハハハハッと笑う物真似師。
だがユーイはその言葉に呆れるように嘆息する。
「モンスターの強さはレベルの高さで決まるものじゃあないぜ。それにデュエリストの強さも魔力だけで決まるわけじゃあない」
物真似師は笑うのを止めて、何かおかしなものでも見るようにユーイを見る。
「何を言ってやがる? モンスターは高レベルほど強く、デュエリストは魔力が全てだッ! んなもん、子供でも知ってる常識だろうがッ!」
「そんな常識、俺が砕いてみせる。見せてやるよ、デュエリストの本当の『強さ』ってやつを……」
そう言うと、ユーイは手を天に翳すように上げる。
「一体、何をーーー」
するつもりだ、と続けようとして、物真似師は気付く。
他者の物真似を生業にしているからこそ気付けた、と言った方が正確だろうか。普段から他者のちょっとした動きに注意を払うことが癖になっている彼だからこそ、ユーイとその周りに生じた小さな変化を敏感に感じ取ることができた。
普通のデュエリストには見えない魔力の流れを何となく感じる。
「魔力が……掌に集まっている?」
通常、魔力は身体全体に行き渡っているものだ。
モンスターを召喚したり魔法カードを発動したりする時にデュエルディスクがそれを吸い上げることはあるが、デュエル中に意識して魔力をデュエルディスク以外の箇所に集めることなどない。
と言うか、そんなことはできない。デュエルは魔力を使って行うものだが、自在に魔力を操作できるわけではない。その辺りの微細な調整は全てデュエルディスクが自動で行うため、特殊な訓練でも受けていない限りそんな芸当を意識的にできるわけがない。
「何を……何をやってるんだァーッ!?」
ユーイの意味不明な行動に物真似師は困惑する。
しかしそのユーイは、慌てる物真似師を意に介さず小さく呟いた。
「『スキル』発動ーーー」
☆☆☆
ドールと金髪はその変化を唖然と見上げていた。
「なんだァ、こりゃ……?」
眼前では光の粒子がユーイの手を中心に渦を巻いている。まるで周囲から何かを粒子状にして手が吸い込んでいるかのようだ。
「何かのカード効果か? でもそれらしい動きはなかったぞ!?」
ユーイが何らかのカードを発動した様子はなかった。先ほどの《ピンポイント・ガード》の時のように爆発で視界が遮られていたわけでもなし、それを見落としたとは思えない。
ならばこの状況は、ただの自然現象かユーイ自身が引き起こしたものとしか考えられない。
「自然現象ーーーてのは無理があるよな」
「うむ。これは間違うことなくユーイがやっておることじゃ」
ユーイの手が吸い込む力は段々と勢いを増してきている。そのせいで強い風が発生し、ドールや金髪の髪を乱す。それは最早小さな嵐とさえ言えた。
「『スキル』ーーーそれはある一定の境地に達したデュエリストのみが習得し得る特殊能力じゃ。その能力は個人の特性によって異なり、その心持ちが反映されると言われておる。デュエリスト自身の心の力ーーー謂わば魔力が進化し、形として力を持ったものといったところかの」
「あのユーイって奴、んなスゲー力を隠してたのかよッ!?」
「隠しておったわけではあるまい。一口にスキルと言うても千差万別じゃ。中には発動するのに厳しい条件があるものもあり、そう易々と気軽に使えるものばかりとは限らぬ。じゃがーーー」
ドールは改めてユーイを見る。
彼女にはユーイが何をしようとしているのか、察しはついていた。
周りからユーイの掌に集まっていっている粒子。あれはおそらくこの世界そのものが持っている超自然的な力が視覚化したものだろう。世界を構成する物質の一部であり、謂わば『世界の魔力』と言えるものだ。
そして魔力が集まり塊となったものと言えば、思いつくものは1つしかない。
「じゃが……何だよ?」
言い淀むドールに、金髪が首を傾げる。
それを嫌悪するようにドールは嘆息した。
「何でも他人に訊けば答えをもらえると思うておるのが、うぬらの未熟なところじゃぞ。ユーイが何をしようとしておるのか、見ておれば分かるわ」
金髪を一刀の下切り捨て、ドールは愉快げに2人のデュエリストを見比べた。
「ーーーユーイとあの海馬の偽物とでは、やはり役者が違った……ということじゃ」
☆☆☆
「スキルだとォ!? ふざけるなッ! テメェみてェな魔力も大してないカスが、スキルなんて使えるわけがねェ!」
金髪とは違いどうやら既にスキルについて知っていたらしい物真似師は唾を飛ばして激昂する。
「お前は魔力を絶対視しすぎだ。魔力の多さとデュエリストの強さは必ずしもイコールなんかじゃあない」
「んなわけがあるかッ! デュエリストってのは魔力量が全てだッ! 魔力量が多ければ、それだけ強力なモンスターを使役できるッ! 魔力量こそが、デュエリストの格を決める絶対の基準だろうがッ!」
どうもおかしい、とユーイは内心首を捻る。
あまりにも会話にならな過ぎる。刈田も物真似師も魔力というものを不自然なほどに盲信しているように思える。しかも2人の言葉から推測するに、その考えこそが一般的社会通念として圧倒的多数に信奉されているようなのだ。それはピースから得た以前の自分の記憶とは、あまりにも大きく食い違っている。
「それならその常識を俺が覆してやる。俺は俺の信じる闘い方を貫くだけだ」
ユーイの掌の中で何かが結実するのを感じる。
「待たせたな。これが俺のスキルの力だ」
粒子の集束が止み、掌が強い閃光を放つ。
「“掴め”ーーー『ストーム・アクセス』!!」
光が渦を巻く。それは竜巻となり、やがて掌の中に収束していった。
ユーイが何かを握るように掌を閉じると、その光は完全に消えた。そして代わりにユーイの手には1枚のカードが握られていた。
「ちょ、ちょっと待て。そ、そのカードは何だ? 手札とは違う……デッキからドローしたのか?」
突然何処からともなく降って湧いたカードの存在に物真似師はいくつものクエスチョンマークを頭に浮かべる。あまりの展開の早さに付いて行けていない。
「このカードはいま生まれたばかりのカードだ。デッキに元々入っていたカードとは違う」
「な、何を言っている……?」
ユーイの答えに物真似師の困惑は更に度合いを増す。
しかしユーイは続ける。
「これが俺のスキル『ストーム・アクセス』の能力だ。『ストーム・アクセス』は、俺のLPが1000以下の時に一度だけ、サイバース族リンクモンスター1体を生み出しエクストラデッキに加えることができるスキル。このカードはその能力によって生まれた俺の新たな力だ」
ユーイの言葉の意味を理解した瞬間、物真似師は唖然と表情を浮かべたたらを踏むようによろけた。
「デュエル中にモンスターをーーーカードを作り出した……だと……。そ、そんなこと……できるわけが……」
物真似師にとって、それはおよそ理解の範疇を超えた事象だった。
通常、デュエリストがカードを入手する方法は限られる。購入するか、譲られるか、奪うか。
『作り出す』或いは『生み出す』等という概念は、初めからない。デュエリスト自身がカードを生成するなんてことが罷り通るならば、デュエルの勝敗に掛かる公平性が根底から覆りかねない。そんなことは、有り得てはならない禁忌の所業なのだ。
だがいくら否定しようと、たったいま目の前で起こった事柄はなかったことにはできない。
「馬鹿な……! そんなスキル、チートじゃあねェか……!」
物真似師は自らの立つ地平が歪むのを感じていた。
魔力で勝る自分が、当然負けるはずがないと思っていた。レベル8の最上級モンスターを3体も擁しているデッキが、下級モンスターしか召喚できないデッキに負けるはずがないと思っていた。
何故なら、それが今までの常識だったから。魔力で劣るデュエリストは弱者であり、レベルの低いモンスターは雑魚。それが絶対の理と信じていたからだ。
「言ったはずだぜ。そんな常識、俺がぶっ壊してやるって。そのためなら俺はチートだろうが何だろうが、使えるもんは全部使う。それが貫くってことだろう」
ユーイはたったいま生み出したカードをエクストラデッキに入れる。
「行くぜ」
そしてユーイのターンが始まる。
「俺は手札から《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚! このカードはフィールドにサイバース族が存在する時、手札から特殊召喚できる!」
現れたのは目元をバイザーで隠した女性型のサイバースモンスター。
《サイバース・ウィザード》の隣に降り立つ。
†
《バックアップ・セクレタリー》
効果モンスター
星3/光属性/サイバース族/攻1200/守 800
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。
(1):自分フィールドにサイバース族モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
†
「更に《スタック・リバイバー》を通常召喚!」
今度はドーム型のボディに目とコンセントコードのようなアームの小型ロボットのサイバースモンスター。
†
《スタック・リバイバー》
効果モンスター
星2/闇属性/サイバース族/攻 100/守 600
このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):このカードを素材としてリンク召喚した場合、このカード以外の自分の墓地の、そのリンク召喚の素材としたレベル4以下の サイバース族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
†
これでユーイのフィールドにはサイバースモンスターが3体。
しかし物真似師の《青眼の白龍》3体と比べると、レベルも攻撃力も比較にならないものでしかない。
物真似師はその陣容を見て、僅かに口の端を上げた。
失いかけた自信が持ち直してきたらしい。
「ハ、ハハハ、スキルだ何だと言っていたが、結局はそんな雑魚モンスターを並べただけじゃねェか! そんなもんで俺様の《青眼の白龍》を全滅させるなんてできるわけがねェ!」
「確かに《サイバース・ウィザード》も《バックアップ・セクレタリー》も《スタック・リバイバー》も、攻撃力では《青眼》には及ばない。3体全てを倒すのは無理かもな。だが、それで俺がお前に勝てないわけじゃあないぜ」
「はぁ?」
「何度も言わせるなよ。お前の常識なんて超えてやるって言ってるだろう。勿体ぶるつもりはない。刮目して見ろ!」
ユーイがバッと手を掲げる。
「現れろ! 未来を導くサーキット!!」
ユーイの手から光が迸り、上空に丸いゲートが現れる。
円の中に四角形があり、その上下左右と各角に矢印が施されている。
「サーキット? 何だ、あれは? まだ何か仕掛けてくるつもりか!?」
見上げる物真似師が目を白黒させている。
まるで未知の現象に怯えているようだ。
「アローヘッド確認! 召喚条件は闇属性モンスターを含む効果モンスター2体以上! 俺は《スタック・リバイバー》《サイバース・ウィザード》《バックアップ・セクレタリー》の3体をリンクマーカーにセット!」
ユーイのフィールドの3体のサイバースモンスター達が光の矢となり、サーキットの矢印へと吸い込まれていく。上、右下、左下のリンクマーカーが点灯する。
「サーキット・コンバイン! リンク召喚!! 現れろ! リンク3! 《ダークコード・トーカー》!!」
先ほど確認した召喚条件を満たしたことで、上空のサーキットが起動する。
そして現れ出たのは、漆黒の甲冑に身を包む剣士の姿。その身は闇のオーラを纏い、担ぐように握られた大剣は2匹の黒蛇が絡み合ったような形をしていた。
《青眼の白龍》の美しき白。
《ダークコード・トーカー》の力強き黒。
相反する2つの色が、各々光と闇とを纏いながらここに対峙した。
「俺のターン! ドロー!」
物真似師のフィールドには《青眼の白龍》が3体。その高い壁を突破しなければ、物真似師のLPには届かない。
だがユーイの手札にはまだそのピースが揃ってはいなかった。このドローにそれは掛かっている。
ユーイがカードをドローし、それを確認する。
「よしッ!」
引いたのは、それを埋めるに足るカードだった。
そしてユーイは物真似師に視線を向ける。
奴は魔力を消費し過ぎたためか、それとも精神的に劣勢のためか、顔色が優れない。
「1つ、聞きたい」
しかしそんなこと気にも止めずユーイが問う。
「お前のそのデッキは間違いなく海馬のデッキだ。奴以外に《青眼の白龍》を持っているデュエリストはいないからな。だが、いくらお前が海馬コーポレーションから派遣されているとは言え、奴が自分のデッキを他人に貸し出すとは思えない。そのデッキ、どうやって手に入れた?」
ユーイの問いを聞き終えると、物真似師はゲへへへと下品に笑う。
「そんな質問に素直に答えると思うか?」
物真似師に教える気は無さそうだ。
確かに奴にユーイの問いに答える義務などない。
物真似師は笑う。
「だが1つ教えてやるよ……。言っただろう……俺様は死の物真似師……。俺様がするのは……死者の物真似だけよ。何が……言いたいか分かるか?」
魔力欠乏の苦しさに耐えながらも奴は笑みを深くする。
「そう……海馬セトは既に死んでいる」
ユーイの表情がぴくりと動く。
「何だと?」
ユーイにもそれがこちらの動揺を誘うためのブラフである可能性は分かっている。
だが反応せざるを得なかった。デュエリストとしての理性より、感情の反射が勝ってしまったという感じだ。
「信じるも信じないもテメェの自由だがよォ……少し考えれば分かることだよなァ……。死にでもしない限り、あの海馬が自分のデッキを手放すなんてことがあんのかってよ……」
確かにあの海馬がちょっとやそっとのことでデッキが他人の手に渡るような状況になるのを許すはずがない。余程のことが起きたのであろうことは想像に容易い。
だが一方で、あの海馬がそう簡単にくたばるようなタマかという疑問もある。むしろ殺しても死にそうにない。ユーイの知る海馬セトとは、そういう男だ。
そもそもそれが事実なら、誰がドール確保を物真似師に指図したと言うのか。
「……それで俺の動揺を誘っているつもりか? 悪いが俺の知る海馬はそう簡単に死ぬような男じゃあない。俺はそんなハッタリ信じないぜ」
「ゲゲゲ、だが海馬セトが死んだのは事実。そしてテメェにそれを確かめる機会がもう訪れねェってこともな」
物真似師がバッと両手を広げる。
「俺様のフィールドには《青眼の白龍》が3体! テメェがどう言おうと、その事実に変わりはねェ! 俺様が力に溺れているだと? だがそれが何だ!? この《青眼の白龍》共を超えねェ限り、テメェに俺様のLPを削りきることはできねェ! クソみてェな魔力しかねぇテメェに《青眼の白龍》より上級のモンスターなんて用意できるはずがねェんだからなッ!!」
ギャハハハハッと笑う物真似師。
だがユーイはその言葉に呆れるように嘆息する。
「モンスターの強さはレベルの高さで決まるものじゃあないぜ。それにデュエリストの強さも魔力だけで決まるわけじゃあない」
物真似師は笑うのを止めて、何かおかしなものでも見るようにユーイを見る。
「何を言ってやがる? モンスターは高レベルほど強く、デュエリストは魔力が全てだッ! んなもん、子供でも知ってる常識だろうがッ!」
「そんな常識、俺が砕いてみせる。見せてやるよ、デュエリストの本当の『強さ』ってやつを……」
そう言うと、ユーイは手を天に翳すように上げる。
「一体、何をーーー」
するつもりだ、と続けようとして、物真似師は気付く。
他者の物真似を生業にしているからこそ気付けた、と言った方が正確だろうか。普段から他者のちょっとした動きに注意を払うことが癖になっている彼だからこそ、ユーイとその周りに生じた小さな変化を敏感に感じ取ることができた。
普通のデュエリストには見えない魔力の流れを何となく感じる。
「魔力が……掌に集まっている?」
通常、魔力は身体全体に行き渡っているものだ。
モンスターを召喚したり魔法カードを発動したりする時にデュエルディスクがそれを吸い上げることはあるが、デュエル中に意識して魔力をデュエルディスク以外の箇所に集めることなどない。
と言うか、そんなことはできない。デュエルは魔力を使って行うものだが、自在に魔力を操作できるわけではない。その辺りの微細な調整は全てデュエルディスクが自動で行うため、特殊な訓練でも受けていない限りそんな芸当を意識的にできるわけがない。
「何を……何をやってるんだァーッ!?」
ユーイの意味不明な行動に物真似師は困惑する。
しかしそのユーイは、慌てる物真似師を意に介さず小さく呟いた。
「『スキル』発動ーーー」
☆☆☆
ドールと金髪はその変化を唖然と見上げていた。
「なんだァ、こりゃ……?」
眼前では光の粒子がユーイの手を中心に渦を巻いている。まるで周囲から何かを粒子状にして手が吸い込んでいるかのようだ。
「何かのカード効果か? でもそれらしい動きはなかったぞ!?」
ユーイが何らかのカードを発動した様子はなかった。先ほどの《ピンポイント・ガード》の時のように爆発で視界が遮られていたわけでもなし、それを見落としたとは思えない。
ならばこの状況は、ただの自然現象かユーイ自身が引き起こしたものとしか考えられない。
「自然現象ーーーてのは無理があるよな」
「うむ。これは間違うことなくユーイがやっておることじゃ」
ユーイの手が吸い込む力は段々と勢いを増してきている。そのせいで強い風が発生し、ドールや金髪の髪を乱す。それは最早小さな嵐とさえ言えた。
「『スキル』ーーーそれはある一定の境地に達したデュエリストのみが習得し得る特殊能力じゃ。その能力は個人の特性によって異なり、その心持ちが反映されると言われておる。デュエリスト自身の心の力ーーー謂わば魔力が進化し、形として力を持ったものといったところかの」
「あのユーイって奴、んなスゲー力を隠してたのかよッ!?」
「隠しておったわけではあるまい。一口にスキルと言うても千差万別じゃ。中には発動するのに厳しい条件があるものもあり、そう易々と気軽に使えるものばかりとは限らぬ。じゃがーーー」
ドールは改めてユーイを見る。
彼女にはユーイが何をしようとしているのか、察しはついていた。
周りからユーイの掌に集まっていっている粒子。あれはおそらくこの世界そのものが持っている超自然的な力が視覚化したものだろう。世界を構成する物質の一部であり、謂わば『世界の魔力』と言えるものだ。
そして魔力が集まり塊となったものと言えば、思いつくものは1つしかない。
「じゃが……何だよ?」
言い淀むドールに、金髪が首を傾げる。
それを嫌悪するようにドールは嘆息した。
「何でも他人に訊けば答えをもらえると思うておるのが、うぬらの未熟なところじゃぞ。ユーイが何をしようとしておるのか、見ておれば分かるわ」
金髪を一刀の下切り捨て、ドールは愉快げに2人のデュエリストを見比べた。
「ーーーユーイとあの海馬の偽物とでは、やはり役者が違った……ということじゃ」
☆☆☆
「スキルだとォ!? ふざけるなッ! テメェみてェな魔力も大してないカスが、スキルなんて使えるわけがねェ!」
金髪とは違いどうやら既にスキルについて知っていたらしい物真似師は唾を飛ばして激昂する。
「お前は魔力を絶対視しすぎだ。魔力の多さとデュエリストの強さは必ずしもイコールなんかじゃあない」
「んなわけがあるかッ! デュエリストってのは魔力量が全てだッ! 魔力量が多ければ、それだけ強力なモンスターを使役できるッ! 魔力量こそが、デュエリストの格を決める絶対の基準だろうがッ!」
どうもおかしい、とユーイは内心首を捻る。
あまりにも会話にならな過ぎる。刈田も物真似師も魔力というものを不自然なほどに盲信しているように思える。しかも2人の言葉から推測するに、その考えこそが一般的社会通念として圧倒的多数に信奉されているようなのだ。それはピースから得た以前の自分の記憶とは、あまりにも大きく食い違っている。
「それならその常識を俺が覆してやる。俺は俺の信じる闘い方を貫くだけだ」
ユーイの掌の中で何かが結実するのを感じる。
「待たせたな。これが俺のスキルの力だ」
粒子の集束が止み、掌が強い閃光を放つ。
「“掴め”ーーー『ストーム・アクセス』!!」
光が渦を巻く。それは竜巻となり、やがて掌の中に収束していった。
ユーイが何かを握るように掌を閉じると、その光は完全に消えた。そして代わりにユーイの手には1枚のカードが握られていた。
「ちょ、ちょっと待て。そ、そのカードは何だ? 手札とは違う……デッキからドローしたのか?」
突然何処からともなく降って湧いたカードの存在に物真似師はいくつものクエスチョンマークを頭に浮かべる。あまりの展開の早さに付いて行けていない。
「このカードはいま生まれたばかりのカードだ。デッキに元々入っていたカードとは違う」
「な、何を言っている……?」
ユーイの答えに物真似師の困惑は更に度合いを増す。
しかしユーイは続ける。
「これが俺のスキル『ストーム・アクセス』の能力だ。『ストーム・アクセス』は、俺のLPが1000以下の時に一度だけ、サイバース族リンクモンスター1体を生み出しエクストラデッキに加えることができるスキル。このカードはその能力によって生まれた俺の新たな力だ」
ユーイの言葉の意味を理解した瞬間、物真似師は唖然と表情を浮かべたたらを踏むようによろけた。
「デュエル中にモンスターをーーーカードを作り出した……だと……。そ、そんなこと……できるわけが……」
物真似師にとって、それはおよそ理解の範疇を超えた事象だった。
通常、デュエリストがカードを入手する方法は限られる。購入するか、譲られるか、奪うか。
『作り出す』或いは『生み出す』等という概念は、初めからない。デュエリスト自身がカードを生成するなんてことが罷り通るならば、デュエルの勝敗に掛かる公平性が根底から覆りかねない。そんなことは、有り得てはならない禁忌の所業なのだ。
だがいくら否定しようと、たったいま目の前で起こった事柄はなかったことにはできない。
「馬鹿な……! そんなスキル、チートじゃあねェか……!」
物真似師は自らの立つ地平が歪むのを感じていた。
魔力で勝る自分が、当然負けるはずがないと思っていた。レベル8の最上級モンスターを3体も擁しているデッキが、下級モンスターしか召喚できないデッキに負けるはずがないと思っていた。
何故なら、それが今までの常識だったから。魔力で劣るデュエリストは弱者であり、レベルの低いモンスターは雑魚。それが絶対の理と信じていたからだ。
「言ったはずだぜ。そんな常識、俺がぶっ壊してやるって。そのためなら俺はチートだろうが何だろうが、使えるもんは全部使う。それが貫くってことだろう」
ユーイはたったいま生み出したカードをエクストラデッキに入れる。
「行くぜ」
そしてユーイのターンが始まる。
「俺は手札から《バックアップ・セクレタリー》を特殊召喚! このカードはフィールドにサイバース族が存在する時、手札から特殊召喚できる!」
現れたのは目元をバイザーで隠した女性型のサイバースモンスター。
《サイバース・ウィザード》の隣に降り立つ。
†
《バックアップ・セクレタリー》
効果モンスター
星3/光属性/サイバース族/攻1200/守 800
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。
(1):自分フィールドにサイバース族モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
†
「更に《スタック・リバイバー》を通常召喚!」
今度はドーム型のボディに目とコンセントコードのようなアームの小型ロボットのサイバースモンスター。
†
《スタック・リバイバー》
効果モンスター
星2/闇属性/サイバース族/攻 100/守 600
このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1):このカードを素材としてリンク召喚した場合、このカード以外の自分の墓地の、そのリンク召喚の素材としたレベル4以下の サイバース族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
†
これでユーイのフィールドにはサイバースモンスターが3体。
しかし物真似師の《青眼の白龍》3体と比べると、レベルも攻撃力も比較にならないものでしかない。
物真似師はその陣容を見て、僅かに口の端を上げた。
失いかけた自信が持ち直してきたらしい。
「ハ、ハハハ、スキルだ何だと言っていたが、結局はそんな雑魚モンスターを並べただけじゃねェか! そんなもんで俺様の《青眼の白龍》を全滅させるなんてできるわけがねェ!」
「確かに《サイバース・ウィザード》も《バックアップ・セクレタリー》も《スタック・リバイバー》も、攻撃力では《青眼》には及ばない。3体全てを倒すのは無理かもな。だが、それで俺がお前に勝てないわけじゃあないぜ」
「はぁ?」
「何度も言わせるなよ。お前の常識なんて超えてやるって言ってるだろう。勿体ぶるつもりはない。刮目して見ろ!」
ユーイがバッと手を掲げる。
「現れろ! 未来を導くサーキット!!」
ユーイの手から光が迸り、上空に丸いゲートが現れる。
円の中に四角形があり、その上下左右と各角に矢印が施されている。
「サーキット? 何だ、あれは? まだ何か仕掛けてくるつもりか!?」
見上げる物真似師が目を白黒させている。
まるで未知の現象に怯えているようだ。
「アローヘッド確認! 召喚条件は闇属性モンスターを含む効果モンスター2体以上! 俺は《スタック・リバイバー》《サイバース・ウィザード》《バックアップ・セクレタリー》の3体をリンクマーカーにセット!」
ユーイのフィールドの3体のサイバースモンスター達が光の矢となり、サーキットの矢印へと吸い込まれていく。上、右下、左下のリンクマーカーが点灯する。
「サーキット・コンバイン! リンク召喚!! 現れろ! リンク3! 《ダークコード・トーカー》!!」
先ほど確認した召喚条件を満たしたことで、上空のサーキットが起動する。
そして現れ出たのは、漆黒の甲冑に身を包む剣士の姿。その身は闇のオーラを纏い、担ぐように握られた大剣は2匹の黒蛇が絡み合ったような形をしていた。
《青眼の白龍》の美しき白。
《ダークコード・トーカー》の力強き黒。
相反する2つの色が、各々光と闇とを纏いながらここに対峙した。
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国民の妹的祖母☆ドールちゃんじゃ!!
遂にユーイの反撃が始まったが、まさかユーイの隠し玉がこんなスキルじゃったとはの……!
ま、儂は知っておったがw
しかもリンク召喚まで使うのじゃぞ!
《ダークコード・トーカー》とは如何なる力を秘めたモンスターなのじゃろうの!?
これは儂も知らぬww
次回の遊戯王LOTD
『繋がる力』
は、明日投稿じゃ♪ (2020-11-02 22:38)