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6月1日──新しい日常の始まり 作:コンドル
6月1日、燦々と太陽が輝く朝に、藤玄遊駆の瞼は抵抗も無く開かれた。
軽く伸びをして隣のベッドを見る。得られる情報は輪廻がまだ眠っているという事だけだ。
「・・・」
制服に着替え、次の行動に移りながら心の中で今の自分が置かれている状況にため息をつく。今日は月曜日、平日だ。まずはいつも通り輪廻をベッドから起こさなければならない。
「・・・」
「ン...おはよ遊駆」
輪廻は大きな欠伸をして目覚めた。
午前八時、遊駆達が食堂に到着する。巧、綾羽、友子は既にいつもの席に座って遊駆達を待っているようだ。綾羽が遊駆の存在に気付き、隣の席を空け横に手を振る。
「おはようございます遊駆さん」
「・・・おはよう」
席に座ると、輪廻が何やら不思議そうな表情で周りを見回している。
「・・・どうか...したんですか?」
「なんか、人が少ないような気がしてよ。・・・あ、そうだ。2年生と3年生がいないんだ」
他の者も周りを見回す。
確かにいない。早めに食事を済ませたのだろうか?いや、それなら廊下や他の場所にいるはずだ。平日だが、アカデミアでは授業が始まる前は自由時間のはず。なのにいないとなると、輪廻達は一つの結論に達する。
「先輩方がアカデミアからいなくなっちまってる!」
輪廻の声が食堂中に叫び渡る。周りの一年生達は反射的に声の方を見るが、声の主が自分達の視線による集中砲火を浴びた事に気付き赤面して椅子に座るのを見ると、すぐにまた行動を再開した。
「ヤバイヤバイ、ヤバイって!行方不明事件だぜ!」
「輪廻君、とりあえず落ち着こう。先輩の皆さんが行方不明になっていたら、今ごろアカデミアは大パニックだし、それに、まず行方不明になるなんてあり得ない。だってここは孤島なんだよ?いなくなるわけがない」
冷静にかたる巧の言葉を聞いてか、輪廻も落ち着きを取り戻した。
「そ、それもそうだよな...ウン」
そして輪廻は冷静になり朝食を食べ始める。輪廻も口では納得していたが、どうしても2、3年生の行方が気になってしまった。
午前九時
今日の一時間目は数学だったのだが、予定変更で学年集会となった。なんでも校長先生からの話があるらしい。一年生だけが呼ばれた集会、しかも肝心の校長が中々来ない。クラス担任は黙って校長の到着を待っているだけで他は何もしない。
一部の生徒達は、何が起きるのだろうかと、不安の色を隠しきれなくなってきていたようだった。
「なんだかおかしいぜ...遊駆、どう思う?」
食堂の件もあってか、輪廻は他の生徒達同様に胸が塞がる状態のようだった。
「・・・分からない」
遊駆には、この答えしか出せなかった。
暫く待ってようやく校長がやって来た。
「皆さん、待たせてしまい申し訳ありません」
まず校長は生徒達に待たせてしまったことを詫び頭を下げた。そして間髪を容れずに教壇に持ってきた封筒を広げ凛とした態度でマイク越しに話を始めた。
「長話は嫌いですので、本題のみを述べさせていただきます」
「1週間後、デュエルアカデミア一年生一学期大会を開催いたします。私からは以上です。では担任の皆様、各自教室にてご説明をお願いいたします」
ドッと生徒達の空気が静寂のなかで変わるのを遊駆や輪廻達は肌で感じた。輪廻は拳をギュッと握り、自分の心が一瞬にして人心地ついたのを感じたが、真っ赤に燃え上がる熱い名状しがたいモノが心の中で暴れている事を全身で感じた。
すぐに担任から教室へ戻るようにと指示が聞こえた。
教室に戻る途中、生徒達は真っ直ぐ教室へと足を急がせる。会話をするものは誰一人として存在していなかった。
教室に着く。担任の立花はすでに教室に戻っており、生徒の到着を待っているようだった。
すぐに全員が席に着く。生徒達の視線が立花に向いた。
立花は微笑みを崩さない。
立花が説明を始めるのをみな待ちあぐむ。
「では...説明を始めましょうか。大会データを皆さんのデュエルディスクに送りますのでそのデータをインストールして、自分達で確認をお願いします」
書かれた内容はこうだった。
デュエルアカデミア一年生一学期大会とは、新生活に慣れデュエルタクティクスが向上している一年生の、デュエリストとしての更なるレベルアップ、そして、数多くのデュエリストと対戦し友情の輪を広げる、この二つを目的とした大会である。
開催期間について
期間は6月8日午前九時からの2週間、その間で後述する決勝大会に行くための予選を行う。
大会予選場所について
大会予選場所は一年生はこのアカデミア本島(大会時はレッド島と名付ける以下、レッド島)にて行う。なお、決勝には現在2年生が予選を行う予定であるイエロー島にて行う。
大会形式について
形式はクラス関係無しのサバイバル形式を採用する。敗北した者はそこで終了である。
各クラスの敗者と勝者は配布される大会用の選手データに記録されるため、不正を行った場合、その場で失格とする。なお、各クラス残り4名となった場合はサバイバル予選を終了し、決勝へ行く生徒を決めるためのクラス予選を行う。
だが、担任が期間中、1度も対戦を行わずクラス予選に残った者をデータ確認で発見した場合、その選手は失格となる。
敗者復活戦は無しとする。
「大会用の選手データを配布します。このデータは我々教師全員が確認できるため、不正を行ってはいけませんよ」
データをインストールする。遊駆のデュエルディスクからなにやら画面が浮き出てきた。そこには遊駆のクラスと名前、対戦表が書いてある。
「デュエルが開始されると、その画面がデュエルモードに変わります。それで勝敗を明確にするのです」
決勝について
イエロー島で行う。イエロー島まではクラス全員を乗せる船で向かう。
説明は以上である。一年生達のナイスデュエルを期待している。
読み終わると立花が解散を告げた。遊駆達はそれに従いその後このレッド島にて始まる大会について話し合った。まず声を出したのは輪廻だった。
「そっか、先輩方、別の島に行ってたから姿が見えなかったんだな」
「そうみたいだね。よかったね輪廻君、行方不明じゃなくて」
巧はこう言ってからかう節がある。しかし輪廻は安堵の表情を浮かべ次の話に移ろうとしていた。
「俺の目的は優勝だけど、みんなはどうなんだ?遊駆は?」
「・・・そうだな...」
少し考える仕草をして輪廻の方を向いた。
「・・・同じく、優勝...」
それを聞いて輪廻は満面の笑みを浮かべた。
「巧は?やっぱり遊駆に勝つことか?」
巧は立ち上がり輪廻達に背を向ける。
「そうだね、けど予選で遊駆君と闘うのはあまり気が進まないかな。だから...」
遊駆達と目を会わせず歩き始め、眼鏡をクイッと上げる動作をした。
「決勝で会おう。それまで誰にも負けないでね、遊駆君」
「・・・分かった」
巧の発した言葉は単純だが、その言葉には遊駆に決勝まで来て欲しいという『期待』と形容できない『余裕』の二つが含まれているように遊駆は感じた。
巧がいなくなり、輪廻は綾羽に目標を聞こうとしたが、綾羽はボンヤリとした表情だった。
「・・・綾羽」
遊駆が綾羽の名前を呼ぶ。すると飼い犬が主人に呼ばれた時にあげる元気な声での返事が聞こえた。
「・・・目標は」
「私は...」
目標を聞かれても、上手く答えられないようだ。遊駆はこれ以上質問しないようにする。輪廻も遊駆を見て、アイコンタクトで意志疎通をしたように、綾羽には何も聞かなかった。
「友子は?」
「私は、ええっと、い、色んな方と、その、デュエルしてみたい...です」
優勝ではなく数多くのデュエリストと対戦したい。輪廻はそれを聞き激励の言葉を送る。それを友子ははにかみ顔で受け取った。
午後七時
「それじゃあ大会頑張ろうな!」
時間はあっという間に過ぎていく。今日は解散、そして皆が自室に戻っていく。
遊駆と輪廻の部屋
「そういや綾羽、なんか我ここにあらずって感じで大人しかったよな、遊駆の声には反応してたのに」
「・・・綾羽にもなにかきっとあるんだろう」
フーン、と言って輪廻は椅子に座る。
「遊駆って綾羽に...その、告白されたんだよな?それから大分経って、どうなんだよ、遊駆としては?フッたけど、時間が経って好きになりましたとか、な?」
輪廻の頬が赤い。
「・・・さぁな...」
遊駆はこうとしか答えられなかった。結局輪廻は一人小さく様々な感情が入り交じった唸り声を出すのであった。
「・・・輪廻」
暫く唸っていると輪廻は遊駆から声をかけられた。
「輪廻...俺達は別行動にしないか」
その言葉の意味、輪廻にはよく理解できる。別行動にすれば様々なデュエリストと出会い闘うことになる。
「強くなって俺を越えるっつう事かい?」
「・・・」
無言で頷く。
「・・・ヘヘッ、だったら俺は、遊駆に負けないようにもっと強くなる!」
「・・・なら俺はその上へ行く」
「なら決まりだな...遊駆、決勝で会おうぜ」
「クラスの決勝だがな」
「決勝は決勝さ!・・・頑張ろうな」
「・・・ああ」
目を合わせる。握手はしなかった。握手をしなくても、目を合わせるだけで、伝わる言葉が、想いがあった。二人の真っ赤に燃え上がる闘志は、瞳から十分に伝わっていた。
そして1週間が過ぎた。
「来たな...大会当日」
アカデミア本館にある時計を見る。現在午前8時59分。
アカデミア全体が沈黙に包まれている。音がする物は、時計の針の音だけだ。
カチッカチッカチッ...
ゴーン!
アカデミア本館のベルが鳴り響く。
「行くぜ!」
「・・・」
6月8日、この日から2週間、デュエリストの楽園デュエルアカデミアはデュエリストの戦場と化す!
軽く伸びをして隣のベッドを見る。得られる情報は輪廻がまだ眠っているという事だけだ。
「・・・」
制服に着替え、次の行動に移りながら心の中で今の自分が置かれている状況にため息をつく。今日は月曜日、平日だ。まずはいつも通り輪廻をベッドから起こさなければならない。
「・・・」
「ン...おはよ遊駆」
輪廻は大きな欠伸をして目覚めた。
午前八時、遊駆達が食堂に到着する。巧、綾羽、友子は既にいつもの席に座って遊駆達を待っているようだ。綾羽が遊駆の存在に気付き、隣の席を空け横に手を振る。
「おはようございます遊駆さん」
「・・・おはよう」
席に座ると、輪廻が何やら不思議そうな表情で周りを見回している。
「・・・どうか...したんですか?」
「なんか、人が少ないような気がしてよ。・・・あ、そうだ。2年生と3年生がいないんだ」
他の者も周りを見回す。
確かにいない。早めに食事を済ませたのだろうか?いや、それなら廊下や他の場所にいるはずだ。平日だが、アカデミアでは授業が始まる前は自由時間のはず。なのにいないとなると、輪廻達は一つの結論に達する。
「先輩方がアカデミアからいなくなっちまってる!」
輪廻の声が食堂中に叫び渡る。周りの一年生達は反射的に声の方を見るが、声の主が自分達の視線による集中砲火を浴びた事に気付き赤面して椅子に座るのを見ると、すぐにまた行動を再開した。
「ヤバイヤバイ、ヤバイって!行方不明事件だぜ!」
「輪廻君、とりあえず落ち着こう。先輩の皆さんが行方不明になっていたら、今ごろアカデミアは大パニックだし、それに、まず行方不明になるなんてあり得ない。だってここは孤島なんだよ?いなくなるわけがない」
冷静にかたる巧の言葉を聞いてか、輪廻も落ち着きを取り戻した。
「そ、それもそうだよな...ウン」
そして輪廻は冷静になり朝食を食べ始める。輪廻も口では納得していたが、どうしても2、3年生の行方が気になってしまった。
午前九時
今日の一時間目は数学だったのだが、予定変更で学年集会となった。なんでも校長先生からの話があるらしい。一年生だけが呼ばれた集会、しかも肝心の校長が中々来ない。クラス担任は黙って校長の到着を待っているだけで他は何もしない。
一部の生徒達は、何が起きるのだろうかと、不安の色を隠しきれなくなってきていたようだった。
「なんだかおかしいぜ...遊駆、どう思う?」
食堂の件もあってか、輪廻は他の生徒達同様に胸が塞がる状態のようだった。
「・・・分からない」
遊駆には、この答えしか出せなかった。
暫く待ってようやく校長がやって来た。
「皆さん、待たせてしまい申し訳ありません」
まず校長は生徒達に待たせてしまったことを詫び頭を下げた。そして間髪を容れずに教壇に持ってきた封筒を広げ凛とした態度でマイク越しに話を始めた。
「長話は嫌いですので、本題のみを述べさせていただきます」
「1週間後、デュエルアカデミア一年生一学期大会を開催いたします。私からは以上です。では担任の皆様、各自教室にてご説明をお願いいたします」
ドッと生徒達の空気が静寂のなかで変わるのを遊駆や輪廻達は肌で感じた。輪廻は拳をギュッと握り、自分の心が一瞬にして人心地ついたのを感じたが、真っ赤に燃え上がる熱い名状しがたいモノが心の中で暴れている事を全身で感じた。
すぐに担任から教室へ戻るようにと指示が聞こえた。
教室に戻る途中、生徒達は真っ直ぐ教室へと足を急がせる。会話をするものは誰一人として存在していなかった。
教室に着く。担任の立花はすでに教室に戻っており、生徒の到着を待っているようだった。
すぐに全員が席に着く。生徒達の視線が立花に向いた。
立花は微笑みを崩さない。
立花が説明を始めるのをみな待ちあぐむ。
「では...説明を始めましょうか。大会データを皆さんのデュエルディスクに送りますのでそのデータをインストールして、自分達で確認をお願いします」
書かれた内容はこうだった。
デュエルアカデミア一年生一学期大会とは、新生活に慣れデュエルタクティクスが向上している一年生の、デュエリストとしての更なるレベルアップ、そして、数多くのデュエリストと対戦し友情の輪を広げる、この二つを目的とした大会である。
開催期間について
期間は6月8日午前九時からの2週間、その間で後述する決勝大会に行くための予選を行う。
大会予選場所について
大会予選場所は一年生はこのアカデミア本島(大会時はレッド島と名付ける以下、レッド島)にて行う。なお、決勝には現在2年生が予選を行う予定であるイエロー島にて行う。
大会形式について
形式はクラス関係無しのサバイバル形式を採用する。敗北した者はそこで終了である。
各クラスの敗者と勝者は配布される大会用の選手データに記録されるため、不正を行った場合、その場で失格とする。なお、各クラス残り4名となった場合はサバイバル予選を終了し、決勝へ行く生徒を決めるためのクラス予選を行う。
だが、担任が期間中、1度も対戦を行わずクラス予選に残った者をデータ確認で発見した場合、その選手は失格となる。
敗者復活戦は無しとする。
「大会用の選手データを配布します。このデータは我々教師全員が確認できるため、不正を行ってはいけませんよ」
データをインストールする。遊駆のデュエルディスクからなにやら画面が浮き出てきた。そこには遊駆のクラスと名前、対戦表が書いてある。
「デュエルが開始されると、その画面がデュエルモードに変わります。それで勝敗を明確にするのです」
決勝について
イエロー島で行う。イエロー島まではクラス全員を乗せる船で向かう。
説明は以上である。一年生達のナイスデュエルを期待している。
読み終わると立花が解散を告げた。遊駆達はそれに従いその後このレッド島にて始まる大会について話し合った。まず声を出したのは輪廻だった。
「そっか、先輩方、別の島に行ってたから姿が見えなかったんだな」
「そうみたいだね。よかったね輪廻君、行方不明じゃなくて」
巧はこう言ってからかう節がある。しかし輪廻は安堵の表情を浮かべ次の話に移ろうとしていた。
「俺の目的は優勝だけど、みんなはどうなんだ?遊駆は?」
「・・・そうだな...」
少し考える仕草をして輪廻の方を向いた。
「・・・同じく、優勝...」
それを聞いて輪廻は満面の笑みを浮かべた。
「巧は?やっぱり遊駆に勝つことか?」
巧は立ち上がり輪廻達に背を向ける。
「そうだね、けど予選で遊駆君と闘うのはあまり気が進まないかな。だから...」
遊駆達と目を会わせず歩き始め、眼鏡をクイッと上げる動作をした。
「決勝で会おう。それまで誰にも負けないでね、遊駆君」
「・・・分かった」
巧の発した言葉は単純だが、その言葉には遊駆に決勝まで来て欲しいという『期待』と形容できない『余裕』の二つが含まれているように遊駆は感じた。
巧がいなくなり、輪廻は綾羽に目標を聞こうとしたが、綾羽はボンヤリとした表情だった。
「・・・綾羽」
遊駆が綾羽の名前を呼ぶ。すると飼い犬が主人に呼ばれた時にあげる元気な声での返事が聞こえた。
「・・・目標は」
「私は...」
目標を聞かれても、上手く答えられないようだ。遊駆はこれ以上質問しないようにする。輪廻も遊駆を見て、アイコンタクトで意志疎通をしたように、綾羽には何も聞かなかった。
「友子は?」
「私は、ええっと、い、色んな方と、その、デュエルしてみたい...です」
優勝ではなく数多くのデュエリストと対戦したい。輪廻はそれを聞き激励の言葉を送る。それを友子ははにかみ顔で受け取った。
午後七時
「それじゃあ大会頑張ろうな!」
時間はあっという間に過ぎていく。今日は解散、そして皆が自室に戻っていく。
遊駆と輪廻の部屋
「そういや綾羽、なんか我ここにあらずって感じで大人しかったよな、遊駆の声には反応してたのに」
「・・・綾羽にもなにかきっとあるんだろう」
フーン、と言って輪廻は椅子に座る。
「遊駆って綾羽に...その、告白されたんだよな?それから大分経って、どうなんだよ、遊駆としては?フッたけど、時間が経って好きになりましたとか、な?」
輪廻の頬が赤い。
「・・・さぁな...」
遊駆はこうとしか答えられなかった。結局輪廻は一人小さく様々な感情が入り交じった唸り声を出すのであった。
「・・・輪廻」
暫く唸っていると輪廻は遊駆から声をかけられた。
「輪廻...俺達は別行動にしないか」
その言葉の意味、輪廻にはよく理解できる。別行動にすれば様々なデュエリストと出会い闘うことになる。
「強くなって俺を越えるっつう事かい?」
「・・・」
無言で頷く。
「・・・ヘヘッ、だったら俺は、遊駆に負けないようにもっと強くなる!」
「・・・なら俺はその上へ行く」
「なら決まりだな...遊駆、決勝で会おうぜ」
「クラスの決勝だがな」
「決勝は決勝さ!・・・頑張ろうな」
「・・・ああ」
目を合わせる。握手はしなかった。握手をしなくても、目を合わせるだけで、伝わる言葉が、想いがあった。二人の真っ赤に燃え上がる闘志は、瞳から十分に伝わっていた。
そして1週間が過ぎた。
「来たな...大会当日」
アカデミア本館にある時計を見る。現在午前8時59分。
アカデミア全体が沈黙に包まれている。音がする物は、時計の針の音だけだ。
カチッカチッカチッ...
ゴーン!
アカデミア本館のベルが鳴り響く。
「行くぜ!」
「・・・」
6月8日、この日から2週間、デュエリストの楽園デュエルアカデミアはデュエリストの戦場と化す!
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