4月14日──愛を味わって　作：コンドル

小込綾羽は好きになった相手を王子様と呼び、自分好みのラブストーリーを書き上げる人間だ。あの４月１１日に彼女が藤玄遊駆を見て一目惚れをしたその時から彼女の中では既に彼女と遊駆が恋人になるまでの架空の恋愛ストーリーが始まっていた。
そして書くだけでは恋心を抑えられなくなり、ついに現実で遊駆に告白する。
１日中遊駆を監視してタイミングを見て告白するも、当然のようにフラれ、想像と現実の違いに錯乱し、暫くした後、彼女はたった一つの身勝手な結論に達した。

(そっか...。ここはデュエルアカデミア。王子様はデュエルで私を彼女にするかどうか決めようとしてるんだ...。もう、意地悪な人。だったらこのデュエル、勝たなければいけませんね。)

そして綾羽が遊駆にデュエルを申し込み、遊駆が承諾する。
綾羽が勝利した際に遊駆は綾羽の恋人となるという条件を付けて...。

二人がデュエルディスクを起動させ、デッキをセットし、シャッフルが完了する。

(このデュエルに勝てば王子様が恋人に...！勝たなきゃ！このデュエル...！)

「準備は良いですか？｣
遊駆が静かに頷く。

　　　　デュエル！！

先行は綾羽だ。
「私のターン！私はモンスターをセットし、カードを１枚セット！ターンエンドです。」

綾羽　LP 4000　手札3　場　モンスター1　伏1

遊駆　LP 4000　手札5　場　無

「俺のターン。ドロー。」
「･･･俺は『JMー縁のクリソコラ』を通常召喚。｣

「フッ。｣　LV4　ATK 1600　DEF 1200

「クリソコラの効果発動。自身が召喚に成功した時、手札からレベル2以下の『JM』モンスター1体を特殊召喚する。俺は『JMー友愛のロードナイト』を特殊召喚する。｣

「チャア！」　LV 1　ATK 100　DEF 200

ピンク色のフワフワした髪の毛、ピンク色のローブを纏った幼い女性のJM。その手には手作りの小さな杖が握られている。

「行くぞ。」

現れろ。未来へ続くサーキット。
アローヘッド確認。
召喚条件は『地属性モンスター2体』
俺は『JMー縁のクリソコラ』と『JMー友愛のロードナイト』をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。
現れろ、リンク2
『ミセス･レディエント』

「･･･」　LINK2　ATK 1400　リンクマーカー　左下　右下

「ミセス･レディエントの効果発動。このカードがフィールドに存在する限り、地属性モンスターの攻守は500アップし、風属性モンスターの攻守は400ダウンする。｣　

「･･･バウ。｣　ATK 1400→1900
爪を研ぎ始めたミセス･レディエントが自身の効果によって攻撃力が上昇する。

「バトル。俺は『ミセス･レディエント』で伏せモンスターを攻撃。｣

ミセス･レディエントの研ぎ澄まされた爪が伏せモンスターを切り裂く。

伏せモンスターは薔薇恋人(バラ･ラヴァー)

「俺はこれでターンエンド。｣

綾羽　LP 4000　手札3　場　伏1

遊駆　LP 4000　手札4　場　モンスター1

「私のターン！ドロー！」

綾羽が手札を確認し、作戦を練る。

(･･･遊駆さんに私の強さをアピールする。けれど遊駆さんと一緒にいる時間も味わいたい...。とりあえずあのミセス･レディエントを倒さないと。)

「私は手札から永続魔法『花嫁修業』を発動します！」
(よし、ここから...。)
「永続魔法『花嫁修業』の効果発動！自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から『薔薇花嫁』(ローズブライド)モンスターを1体特殊召喚できます！｣
「私は手札から『薔薇花嫁－白薔薇』(ローズブライド－ホワイトローズ)を特殊召喚！」

「ワァイ！」　LV2　ATK 300　DEF 700

地面から出現した一本の白薔薇。
それが開花し中から純白のウエディングドレスを着た小さい花嫁が登場する。

「私は『薔薇花嫁―白薔薇』の効果発動！このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドに存在する『薔薇花嫁』モンスターの数だけライフを300回復します！私のフィールドには1体の『薔薇花嫁』。よって300ライフを回復します！」

綾羽　LP 4000→4300

白薔薇が投げたブーケを受け取り薔薇の匂いを堪能しながら綾羽のライフが回復した。

「更に『薔薇花嫁―緑薔薇』(ローズブライド－グリーンローズ)を通常召喚！｣

「･･･」　LV2　ATK200　DEF500

今度は地面から緑色の薔薇が出現し、その中から緑色のウエディングドレスを纏った穏やかな雰囲気の幼い薔薇花嫁が召喚される。

「私は『薔薇花嫁―緑薔薇』の効果発動！このカードがフィールドにいる限り一度だけ、自身と相手モンスター1体の攻撃力を0にします！」

緑薔薇の投げたブーケがミセス･レディエントに当たり、ミセス･レディエントがその場に眠るように倒れた。

「･･･」　ATK1900→0
「･･･」　ATK 200→0

「バトル！私は『薔薇花嫁－白薔薇』で『ミセス･レディエント』を攻撃！」

ミセス･レディエントの周りに植物の巨大な白薔薇が無数に出現する。レディエントは逃げ場を探すが、どこへ逃げても白薔薇が出現し、疲れ果てたレディエントはついに無数の白薔薇に締め付けられ苦しみながら消滅した。

(まずはレディエントを破壊。更に遊駆さんに戦闘ダメージそして...。)

遊駆「･･･」LP 4000→3700

「私は『薔薇花嫁－白薔薇』の効果発動！このカードが相手モンスターを破壊した時、破壊した相手モンスターの元々の攻撃力分のライフを回復します。『ミセス･レディエント』の元々の攻撃力は1400。よって1400のライフを回復します！」

綾羽LP4300→5700

「だが墓地に行ったレディエントの効果発動。このカードが戦闘、効果で破壊された場合、墓地から地属性モンスター1体を手札に加える。･･･俺はクリソコラを手札に加える。」


「メインフェイズ2に行きます。」

そう宣言すると綾羽は両手をパーをしてガッツポーズをするように両腕を上げた。

「行きます！」

現れて！私達の未来を照らすサーキット！
アローヘッド確認！召喚条件は『薔薇花嫁』モンスター2体
私は『薔薇花嫁－白薔薇』と『薔薇花嫁－緑薔薇』をリンクマーカーにセット！サーキットコンバイン！
リンク召喚！リンク2！
『薔薇花嫁－赤薔薇』(ローズブライド－レッドローズ)！

「ウフフ...。｣　LINK2　ATK 1000
リンクマーカー　左下　右下

深紅のウエディングドレスを纏った17、18歳の薔薇花嫁。
他の幼い薔薇花嫁モンスターとは違い、大人っぽさを感じさせる。

「私はこれでターンエンド。さあどうぞ遊駆さん。」

綾羽　LP 5700　手札1　場　永魔1　伏1　

遊駆　LP 3700　手札4　場　無

「俺のターン。ドロー。」

遊駆の手札はこれで5枚。十分な手札に攻めてくるなら今だろう。と、綾羽は考える。
(必ずこのターンで遊駆は私を追い詰めに来る。けど、負ける訳には...！)

「俺はクリソコラを再び召喚。」

「フッ」　LV4　ATK 1600　DEF 1200

「そして効果により手札から、『JMー防御のパイライト』を特殊召喚。｣

「ヤァッ！」　LV1　ATK0　DEF2100

金色のラインが入った黒いローブを着た少女が召喚される。

「更に手札から魔法カード『再生する宝石』を発動。フィールドに『JM』と名のついたモンスターが2体以上いる場合、墓地にいる『JM』モンスター1体を特殊召喚する。俺は『JMー友愛のロードナイト』を特殊召喚。｣

「チャア！」　LV1　ATK100　DEF 200

遊駆のフィールドにJMが三体並んだ。綾羽が身構える。

･･･現れろ。未来へ続くサーキット
アローヘッド確認。
召喚条件は『JM』モンスター2体以上
俺は『JMー縁のクリソコラ』、『パイライト』、『ロードナイト』をリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。
リンク召喚。現れろリンク3。
『JMー英知のサファイア』

「ハァッ！」　LINK3　ATK 2500リンクマーカー　上　左下　右下

黒いローブに蒼いラインの入った遊駆のエースモンスターが召喚された。

(来ましたね、遊駆さんのエースモンスター...！)

「サファイアの効果発動。このカードが特殊召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローする。カード1枚、ドロー。」

「更に墓地に存在する『JMー友愛のロードナイト』の効果発動。
フィールドにJMリンクモンスターが存在する場合、このカードを墓地からそのリンクモンスターのリンクマーカー先に特殊召喚する。｣

「チャア！」　LV1　ATK100　DEF 200

ロードナイトがサファイアのリンク先に特殊召喚された瞬間、サファイアが赤薔薇の頭上に魔方陣を作成し始める。

「サファイアの更なる効果。このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された場合、相手モンスター1体の攻撃力を500ダウンさせる。」

「･･･」　ATK 1000→500

サファイアの作成した魔方陣から出現した宝石のサファイアの雨が赤薔薇に当たり赤薔薇の攻撃力が下がる。

「バトル。俺は『JMー英知のサファイア』で『薔薇花嫁－赤薔薇』を攻撃。」
　　　　宝･石･魔･導　(ジュエルマジック)

バチバチと音を立て勢いよくサファイアが蒼い光球を発射する。
赤薔薇が身構えたその時だった。

「速攻魔法『スケープ･ゴート』発動！私のフィールドに羊トークン4体を守備表示で特殊召喚します！そして赤薔薇のリンク先にモンスターが存在する場合、相手モンスターが赤薔薇を攻撃してきた時にその攻撃対象をリンク先のモンスターに移します！」

光球が赤薔薇に当たらずリンク先の羊トークンに命中する。

「ロードナイトで羊トークンを攻撃。」

赤薔薇のリンク先にいる羊トークンを破壊する。

「･･･俺はカードを2枚セット。ターンエンド。｣

綾羽　LP5700　手札1　場　モンスター3　永魔1

遊駆　LP3700　手札1　場　モンスター2　伏2

「私のターン、ドロー！」
ドローしたカードを見て綾羽が笑った。
(･･･このデュエル、私の勝ちみたいですね。)

「･･･」
遊駆は表情を変えずに立っている。
(ライフはまだ3700、まだ大丈夫。･･･なんて思ってたりして。残念ですけど、このターンで遊駆さんのライフは0ですよ。さぁ、いきましょうか。)

「私は手札から2体目の『薔薇花嫁－緑薔薇』を召喚！」

「･･･」　LV2　ATK200　DEF 500

「緑薔薇の効果発動！このカードがフィールドに存在する限り一度だけらこのカードの攻撃力を0にした後に相手モンスター1体の攻撃力を0にします！私は『JMー友愛のロードナイト』の攻撃力を0にします！」

「･･･」　ATK200→0
「･･･」　ATK100→0

「そして！」

現れて！私達の未来を照らすサーキット！
アローヘッド確認！
召喚条件は『薔薇花嫁』モンスター2体以上！
私は『薔薇花嫁―赤薔薇』と『薔薇花嫁―緑薔薇』をリンクマーカーにセット！サーキットコンバイン！
リンク召喚！リンク3！
『薔薇花嫁－黒薔薇』

「...！」　LINK3　ATK 2000　リンクマーカー　左下　下　右下

漆黒のドレス、ブーケ、そして薔薇。今までの薔薇花嫁とは違うなにかしらの威圧感を放っている綾羽のエースモンスター。
黒薔薇が場に現れた瞬間、黒薔薇の周りに槍となった数本の巨大な黒い薔薇がサファイアの胴体を貫き、遊駆にも黒い薔薇が刺さる。

「･･･！」　LP3700→1200

「黒薔薇はリンク召喚に成功した時、相手フィールドにいるモンスター1体を破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えるか、自身のライフに加算するか選択できます。私はサファイアを破壊して遊駆さんに『ダメージを与える』方を選択しました。」
「･･･！」
「気づきましたね。さあ、これで終わりです！バトル！」

黒薔薇が白薔薇と同じように地面から植物の巨大な黒薔薇を出現させる。

「私は『薔薇花嫁－黒薔薇』で『JMー友愛のロードナイト』を攻撃！」
　　　ラブ･スパイラル！！

槍となった巨大な黒薔薇がロードナイト目掛けて放たれる
「･･･ッ！」