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過ぎ去った日常風景 作:コンドル
注意
①短い話となっています。
②デュエルがありません。
③駄文です。
④本編に少し関わる話があるかも。
⑤随時更新
では、始めます。
1.藤玄遊駆と鶴咲輪廻
ある日の事、デュエルアカデミア寮にて、藤玄遊駆の日記を彼のルームメイトである鶴咲輪廻が発見し藤玄遊駆と共に読んでいるところである。
「4月10日デュエルアカデミア入学式...4月11日ファーストデュエル...これ全部遊駆が書いてるのか?」
「・・・いや、全部じゃ無いが...」
「へー...。えっと?5月6日...」
5月6日(水)
「5月6日ー元気さの裏側」
水曜日と言えば輪廻が録画している大人気のデュエルモンスターズのアニメ、その放送日だ。
寮に戻り次第かばんを置き、テレビをつけアニメの開始を待つ。
アニメが始まる前は特撮新しいヒーローがテレビに初登場した時の子供のように期待や歓喜に満ちた表情を浮かべ、始まるといくつ顔があるのかと聞きたくなるくらい多彩な表情を輪廻は見せてくれる。
遊駆もアニメを視聴しており、よく二人で実況と解説をしているのだ。
「あとちょっとで始まるぜ...!」
番組が始まるのを心待ちにしているのがよくわかる。遊駆がテレビをつけて、ふと、思った事を口にする。
「・・・友子とは一緒に見ないのか?友子も確かアニメ好きじゃなかったか」
「えっ?」
その質問を聞くと輪廻の顔が赤くなりそっぽを向くようにテレビから顔をそらし、遊駆に今の表情を見れないように自らの顔を隠す。
「い、いやぁ...友子も女の子だし、部屋に呼ぶなんてそんな...」
「・・・そうか」
鶴咲輪廻とはこのような人間なのだ。
デュエルを心から愛し、会話をすれば常に話す事はデュエル、デュエル、デュエル。
しかしそんな男もデュエルから離れればただの若者になる。それも超が付くぐらいの、純情な若者にだ。
最初アカデミアに来た時、彼女が欲しいと言っていたが、デュエルで通じなければマトモに女性と話す事が出来ない。赤面する輪廻を見て、遊駆は黙ってアニメを見る事にした。
(・・・おっと)
輪廻に追い討ちをかけるように放送された今回のストーリーはドキドキ胸キュン必須のラブストーリーだ。輪廻の顔はマグロの刺身のように赤くなりついには顔を手で伏せてしまうのだった。
(・・・そんな日だったな...あの後夕食に行き輪廻の奴、まだ赤面してたっけ)
そんな日を回想してどこか遠くを見るように、輪廻の方を見て遊駆は小さく微笑んだ。
2.小込綾羽と空音友子
5月14日(木)
女子寮の食堂では二人の少女が何やら会話をしている。
「5月14日―ガールズトークを少しだけ」
「遊駆さん...」
吐息を漏らし、恋する相手の名前を呟く。今食堂には小込綾羽と空音友子の二人しか座っている者がいない。だが、周りの人混みは穏やかに楽しそうに会話をしながらどこか別の場所へと向かって行く。
「それで遊駆さんが大笑いして...」
綾羽が話しているのは遊駆の事だ。
綾羽も普段は上品で気が利く優しい少女だが、恋愛事となると少し雰囲気が変わる。頬を薄紅色に染めたり可愛らしい声を上げたり、年相応の恋する乙女なのだ。
「・・・」
友子も小さく柔らかそうな手に持っているカフェオレ(砂糖多)を飲みつつ綾羽の話を聞いていた。
「遊駆さんが...」
友子も綾羽と知り合ってからまだ一月も経っていない。だが、同じ女子同士感じる何かがあったのか、すぐに二人は気の置けない関係とまでではないが、よくこうやってガールズトークと言う名のコイバナと称される話をするくらいの仲になっていた。
(・・・楽しそう...)
ただ、毎回友子の頭に現れては消えていく一つの疑問点が、今回も現れた。
(綾羽さんは...遊駆さんの事が好きだって言ってるけど...どこが好きなんだろ?それに...)
綾羽は遊駆の話をすると今日の遊駆はどうだった。や、誉め言葉ばかり口から出てくるが、何故遊駆の事を好きになったのか一度も友子に話さない。一目惚れかと考えてもイマイチしっくりこないのだ。
(それに...細かい行動を把握してたり...遊駆さんの話が大半だし...ヤンデレ...?みたいな気もする...けど...うーん...?)
友子もアニメやネットで知った言葉だが、ヤンデレについては、簡単に言えば『危険な愛情』といった感じか。極端な例を上げれば
『意中の相手が自分以外の異性と話していると怒り、何らかの方法で意中の相手か話していた異性を抹消する』最悪の場合『相手を監禁し独占する』といったようなものだ。
(少しだけヤンデレに該当するところはある...でも...綾羽さん優しいし...他の人が遊駆さんと話しててもなんとも無いし...それに...どっちかって言ったら...)
「友子ちゃん?聞いてますか?」
声を聞いて友子は我に帰り、急いでカフェオレを飲み干す。
「何か考え事ですか?」
綾羽が不思議そうな顔をして友子を見つめる。
「・・・い、いえ...その...」
(綾羽さんなら...大丈夫かな...?)
「その...遊駆さんの事、考えてました...」
少し試してみたい。友子はそう思い、とんでもない嘘をついた。無論、罪悪感は大きいが。
「・・・」
綾羽は黙って友子の方を見ている。
(アニメで見た知識だから通用するかわかんないけど...ヤンデレな人だったら...多分私これから痛い目に逢うのかな...?)
やっぱりやめれば良かったと心の中で後悔するも、綾羽は友子を見つめ、そして、小さく笑った。
「ウフフ、友子ちゃんも遊駆さんの事好きなんですか?」
「・・・えっ?そう言う訳じゃない...です。」
「そうですかぁ...。けどもし遊駆さんの事好きだったら...」
「だったら...?」
友子の予想する答えは1つ。
ヤンデレらしく「放送禁止用語」と恐怖を植え付けられるくらいのトーンで言われる。
遊駆の事を考える→好きなんですか?と思考し、質問に移られた時点で嫌な予感しかしない。冷や汗が出てきた。逃げようか?友子がいくら考えても身体が動かない。綾羽が次になんて言うかが友子の生命を決めると言ってもいいかもしれない。
「だったら私達、恋のライバルだったりして」
「・・・え?」
予想していなかった答えに友子は思わず声を出す。
「そんな事になったら、私の部屋にある少女漫画みたいですね。・・・本気で遊駆さんが好きだったら私、負けませんから、ね」
「・・・」
(ホントに綾羽さんヤンデレなのかな...?)
ヤンデレとはなんぞや。綾羽について思う友子であった。
3.遊駆、輪廻、山野巧
5月20日(水)
「幻装騎士フェニックスで攻撃!」
「サファイアで応戦する」
デュエルスペースでデュエリストが闘っている。
「5月14日―エースモンスター」
デュエルが終わり、輪廻は万歳をした。
「っしゃぁっ!俺の勝ちぃ!楽しかったぜ遊駆!」
「・・・」
「二人ともありがとう。・・・うーん」
悩ましげな声を出す巧を見て輪廻が心配そうに話かける。
「どうしたんだよ巧?なんか不満な所でもあんのか?」
「いや...ふと思ったんだけどね」
「何?」
「遊駆君、それに輪廻君、君達、エースを先に出しすぎじゃないかな?ほぼ毎回遊駆君はサファイア、輪廻君はフェニックスを出して闘っているよね?」
二人が頷く。
巧のデータによると、二人は常にデュエルが始まると互いに自分のデッキのエースを出し早期決着で終わっているのだ。
「・・・」
「問題...ではないんだけどね、遊駆君。僕は今見ているだけだからいいけど、二人とも、なんだかそれを察してるみたいなデュエルになってる気がするんだよ」
それとはつまり、互いにこのターンにエースを出してくると思うからか、自然にプレイングが甘くなっているのではないか。というのが巧の感想だ。
「・・・」
「確かに...どこかそんな感じもあったかもな。・・・よし!ならもう一回だ!今度はフェニックスもサファイアも暫く出さずにやってみようぜ!」
「・・・そうだな」
「けどよ巧、俺達にそんなアドバイスして良いのか?俺達また強くなっちまうぜ?」
輪廻は軽く笑いながらそんな事を言う。
「いいさ。僕もワンパターンなデュエルをで勝ちたくないからね。まさかとは思うけど、他のデュエリストとも同じ戦法で闘ってるのかい?」
「・・・へっ、ワンパターンか...」
「エースを出すのもかっこいいけどね」
「・・・だが」
「そうだな。だけど、せっかくのデュエルだ。もっと楽しむ時間は多くなきゃ」
「・・・じゃあ、もう一回、やってくれる?」
煽るように言い、遊駆と輪廻は再びデュエルの準備を始めた。巧は二回目のデュエルを観察し二人の戦法を記録していく。常に進化して行く彼らのデュエル、まだまだ成長中のようだ。
(良し。また研究していくぞ...!遊駆君、待っていてくれ!)
心の中でそう叫び、巧は心の中に存在する、ある決意を更に強くした。
4.空音友子
友子の部屋に小さいダンボール箱が届いた。
「何...かな?」
「6月8日─両親からの贈り物」
ダンボールを開けると、その中には手紙らしきものと友子の好きなお菓子袋が入っていた。差出人を見ると母親の名前が書いている。
アカデミアに、このように愛する子に手紙を出すのは珍しい事だ。手紙を読んだ子がホームシックになることがあるため、手紙を送る家庭はあまりいないのだが、それでも送るという事は、何か重要な用事だろうか?
(お母さんからだ...)
手紙が入っているだろう白い封筒を開ける。案の定手紙だ。手紙を開く。
手紙の内容はこうだった。
「友子へ
お元気ですか?そちらでの生活は慣れましたか?こちらは毎日元気に生活しているという連絡のお手紙と、それと友子の好きなお菓子をお送りします。友子、寂しい時はいつでも電話でも手紙でもしていいからね。私は大丈夫だけど、お父さん、顔には出さないのだけれど、毎日の食事の時に必ず友子の話をして、『アイツに悪い男がついたら大変だ』なんて余計な心配しているものですから。
あ、そうそう。この前お父さんと一緒にショッピングに行った時にデュエルモンスターズのパックをお父さんが買ったら、可愛いヒヨコさんみたいなカードを手にいれ、『友子にあげたい』と呟いていたので、そのカードも一緒に送っておきます。是非活用してみて下さい。
他にも言いたいことは沢山あるけれど...最後に一つだけ。いつも言っていることだけど、友子、私達家族は、あなたの事を愛しているわ。離れていても、いつもあなたのことを思っている。そのことを忘れないで。
それでは、これからの活躍を祈って。手紙書くのをもっと練習します。体に気を付けてね母より」
「お母さん...」
お菓子を全て出すと、ダンボールの底にヒヨコさんみたいな効果モンスターカードが3枚ある。偶然だろうか。
「お父さん...」
手紙を胸元に寄せ、ギュッと小さな手で抱き締める。
「ありがとう...!私頑張るから...!私も、お父さんとお母さんの事、大好きだよ...!」
友子は再び送られてきた物を見つめる。
自分を応援している両親の声が、そのカードや手紙から聞こえてくるようだった。
①短い話となっています。
②デュエルがありません。
③駄文です。
④本編に少し関わる話があるかも。
⑤随時更新
では、始めます。
1.藤玄遊駆と鶴咲輪廻
ある日の事、デュエルアカデミア寮にて、藤玄遊駆の日記を彼のルームメイトである鶴咲輪廻が発見し藤玄遊駆と共に読んでいるところである。
「4月10日デュエルアカデミア入学式...4月11日ファーストデュエル...これ全部遊駆が書いてるのか?」
「・・・いや、全部じゃ無いが...」
「へー...。えっと?5月6日...」
5月6日(水)
「5月6日ー元気さの裏側」
水曜日と言えば輪廻が録画している大人気のデュエルモンスターズのアニメ、その放送日だ。
寮に戻り次第かばんを置き、テレビをつけアニメの開始を待つ。
アニメが始まる前は特撮新しいヒーローがテレビに初登場した時の子供のように期待や歓喜に満ちた表情を浮かべ、始まるといくつ顔があるのかと聞きたくなるくらい多彩な表情を輪廻は見せてくれる。
遊駆もアニメを視聴しており、よく二人で実況と解説をしているのだ。
「あとちょっとで始まるぜ...!」
番組が始まるのを心待ちにしているのがよくわかる。遊駆がテレビをつけて、ふと、思った事を口にする。
「・・・友子とは一緒に見ないのか?友子も確かアニメ好きじゃなかったか」
「えっ?」
その質問を聞くと輪廻の顔が赤くなりそっぽを向くようにテレビから顔をそらし、遊駆に今の表情を見れないように自らの顔を隠す。
「い、いやぁ...友子も女の子だし、部屋に呼ぶなんてそんな...」
「・・・そうか」
鶴咲輪廻とはこのような人間なのだ。
デュエルを心から愛し、会話をすれば常に話す事はデュエル、デュエル、デュエル。
しかしそんな男もデュエルから離れればただの若者になる。それも超が付くぐらいの、純情な若者にだ。
最初アカデミアに来た時、彼女が欲しいと言っていたが、デュエルで通じなければマトモに女性と話す事が出来ない。赤面する輪廻を見て、遊駆は黙ってアニメを見る事にした。
(・・・おっと)
輪廻に追い討ちをかけるように放送された今回のストーリーはドキドキ胸キュン必須のラブストーリーだ。輪廻の顔はマグロの刺身のように赤くなりついには顔を手で伏せてしまうのだった。
(・・・そんな日だったな...あの後夕食に行き輪廻の奴、まだ赤面してたっけ)
そんな日を回想してどこか遠くを見るように、輪廻の方を見て遊駆は小さく微笑んだ。
2.小込綾羽と空音友子
5月14日(木)
女子寮の食堂では二人の少女が何やら会話をしている。
「5月14日―ガールズトークを少しだけ」
「遊駆さん...」
吐息を漏らし、恋する相手の名前を呟く。今食堂には小込綾羽と空音友子の二人しか座っている者がいない。だが、周りの人混みは穏やかに楽しそうに会話をしながらどこか別の場所へと向かって行く。
「それで遊駆さんが大笑いして...」
綾羽が話しているのは遊駆の事だ。
綾羽も普段は上品で気が利く優しい少女だが、恋愛事となると少し雰囲気が変わる。頬を薄紅色に染めたり可愛らしい声を上げたり、年相応の恋する乙女なのだ。
「・・・」
友子も小さく柔らかそうな手に持っているカフェオレ(砂糖多)を飲みつつ綾羽の話を聞いていた。
「遊駆さんが...」
友子も綾羽と知り合ってからまだ一月も経っていない。だが、同じ女子同士感じる何かがあったのか、すぐに二人は気の置けない関係とまでではないが、よくこうやってガールズトークと言う名のコイバナと称される話をするくらいの仲になっていた。
(・・・楽しそう...)
ただ、毎回友子の頭に現れては消えていく一つの疑問点が、今回も現れた。
(綾羽さんは...遊駆さんの事が好きだって言ってるけど...どこが好きなんだろ?それに...)
綾羽は遊駆の話をすると今日の遊駆はどうだった。や、誉め言葉ばかり口から出てくるが、何故遊駆の事を好きになったのか一度も友子に話さない。一目惚れかと考えてもイマイチしっくりこないのだ。
(それに...細かい行動を把握してたり...遊駆さんの話が大半だし...ヤンデレ...?みたいな気もする...けど...うーん...?)
友子もアニメやネットで知った言葉だが、ヤンデレについては、簡単に言えば『危険な愛情』といった感じか。極端な例を上げれば
『意中の相手が自分以外の異性と話していると怒り、何らかの方法で意中の相手か話していた異性を抹消する』最悪の場合『相手を監禁し独占する』といったようなものだ。
(少しだけヤンデレに該当するところはある...でも...綾羽さん優しいし...他の人が遊駆さんと話しててもなんとも無いし...それに...どっちかって言ったら...)
「友子ちゃん?聞いてますか?」
声を聞いて友子は我に帰り、急いでカフェオレを飲み干す。
「何か考え事ですか?」
綾羽が不思議そうな顔をして友子を見つめる。
「・・・い、いえ...その...」
(綾羽さんなら...大丈夫かな...?)
「その...遊駆さんの事、考えてました...」
少し試してみたい。友子はそう思い、とんでもない嘘をついた。無論、罪悪感は大きいが。
「・・・」
綾羽は黙って友子の方を見ている。
(アニメで見た知識だから通用するかわかんないけど...ヤンデレな人だったら...多分私これから痛い目に逢うのかな...?)
やっぱりやめれば良かったと心の中で後悔するも、綾羽は友子を見つめ、そして、小さく笑った。
「ウフフ、友子ちゃんも遊駆さんの事好きなんですか?」
「・・・えっ?そう言う訳じゃない...です。」
「そうですかぁ...。けどもし遊駆さんの事好きだったら...」
「だったら...?」
友子の予想する答えは1つ。
ヤンデレらしく「放送禁止用語」と恐怖を植え付けられるくらいのトーンで言われる。
遊駆の事を考える→好きなんですか?と思考し、質問に移られた時点で嫌な予感しかしない。冷や汗が出てきた。逃げようか?友子がいくら考えても身体が動かない。綾羽が次になんて言うかが友子の生命を決めると言ってもいいかもしれない。
「だったら私達、恋のライバルだったりして」
「・・・え?」
予想していなかった答えに友子は思わず声を出す。
「そんな事になったら、私の部屋にある少女漫画みたいですね。・・・本気で遊駆さんが好きだったら私、負けませんから、ね」
「・・・」
(ホントに綾羽さんヤンデレなのかな...?)
ヤンデレとはなんぞや。綾羽について思う友子であった。
3.遊駆、輪廻、山野巧
5月20日(水)
「幻装騎士フェニックスで攻撃!」
「サファイアで応戦する」
デュエルスペースでデュエリストが闘っている。
「5月14日―エースモンスター」
デュエルが終わり、輪廻は万歳をした。
「っしゃぁっ!俺の勝ちぃ!楽しかったぜ遊駆!」
「・・・」
「二人ともありがとう。・・・うーん」
悩ましげな声を出す巧を見て輪廻が心配そうに話かける。
「どうしたんだよ巧?なんか不満な所でもあんのか?」
「いや...ふと思ったんだけどね」
「何?」
「遊駆君、それに輪廻君、君達、エースを先に出しすぎじゃないかな?ほぼ毎回遊駆君はサファイア、輪廻君はフェニックスを出して闘っているよね?」
二人が頷く。
巧のデータによると、二人は常にデュエルが始まると互いに自分のデッキのエースを出し早期決着で終わっているのだ。
「・・・」
「問題...ではないんだけどね、遊駆君。僕は今見ているだけだからいいけど、二人とも、なんだかそれを察してるみたいなデュエルになってる気がするんだよ」
それとはつまり、互いにこのターンにエースを出してくると思うからか、自然にプレイングが甘くなっているのではないか。というのが巧の感想だ。
「・・・」
「確かに...どこかそんな感じもあったかもな。・・・よし!ならもう一回だ!今度はフェニックスもサファイアも暫く出さずにやってみようぜ!」
「・・・そうだな」
「けどよ巧、俺達にそんなアドバイスして良いのか?俺達また強くなっちまうぜ?」
輪廻は軽く笑いながらそんな事を言う。
「いいさ。僕もワンパターンなデュエルをで勝ちたくないからね。まさかとは思うけど、他のデュエリストとも同じ戦法で闘ってるのかい?」
「・・・へっ、ワンパターンか...」
「エースを出すのもかっこいいけどね」
「・・・だが」
「そうだな。だけど、せっかくのデュエルだ。もっと楽しむ時間は多くなきゃ」
「・・・じゃあ、もう一回、やってくれる?」
煽るように言い、遊駆と輪廻は再びデュエルの準備を始めた。巧は二回目のデュエルを観察し二人の戦法を記録していく。常に進化して行く彼らのデュエル、まだまだ成長中のようだ。
(良し。また研究していくぞ...!遊駆君、待っていてくれ!)
心の中でそう叫び、巧は心の中に存在する、ある決意を更に強くした。
4.空音友子
友子の部屋に小さいダンボール箱が届いた。
「何...かな?」
「6月8日─両親からの贈り物」
ダンボールを開けると、その中には手紙らしきものと友子の好きなお菓子袋が入っていた。差出人を見ると母親の名前が書いている。
アカデミアに、このように愛する子に手紙を出すのは珍しい事だ。手紙を読んだ子がホームシックになることがあるため、手紙を送る家庭はあまりいないのだが、それでも送るという事は、何か重要な用事だろうか?
(お母さんからだ...)
手紙が入っているだろう白い封筒を開ける。案の定手紙だ。手紙を開く。
手紙の内容はこうだった。
「友子へ
お元気ですか?そちらでの生活は慣れましたか?こちらは毎日元気に生活しているという連絡のお手紙と、それと友子の好きなお菓子をお送りします。友子、寂しい時はいつでも電話でも手紙でもしていいからね。私は大丈夫だけど、お父さん、顔には出さないのだけれど、毎日の食事の時に必ず友子の話をして、『アイツに悪い男がついたら大変だ』なんて余計な心配しているものですから。
あ、そうそう。この前お父さんと一緒にショッピングに行った時にデュエルモンスターズのパックをお父さんが買ったら、可愛いヒヨコさんみたいなカードを手にいれ、『友子にあげたい』と呟いていたので、そのカードも一緒に送っておきます。是非活用してみて下さい。
他にも言いたいことは沢山あるけれど...最後に一つだけ。いつも言っていることだけど、友子、私達家族は、あなたの事を愛しているわ。離れていても、いつもあなたのことを思っている。そのことを忘れないで。
それでは、これからの活躍を祈って。手紙書くのをもっと練習します。体に気を付けてね母より」
「お母さん...」
お菓子を全て出すと、ダンボールの底にヒヨコさんみたいな効果モンスターカードが3枚ある。偶然だろうか。
「お父さん...」
手紙を胸元に寄せ、ギュッと小さな手で抱き締める。
「ありがとう...!私頑張るから...!私も、お父さんとお母さんの事、大好きだよ...!」
友子は再び送られてきた物を見つめる。
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