第112話　団員から仲間、友へ　作：くちなし

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「これで終わりだ！！琰魔竜レッド・デーモン・アビスで、ダイレクトアタック！！！」

早苗LP1500➡0


司「な、、何という事でしょう、、！形成逆転！最終戦を制したのは、兄妹の兄の方、水無月！咲夜でーす！！」

シーン、、、会場は静まり返ったまま。
咲夜の場にはそれぞれイリア、白桃、無花果、咲の5体の龍が咆哮を上げる。

早苗はピットに帰っていたが、咲夜はコースを未だに走っており、スピードも下がるところか、一向に上がっている。

イ「咲夜！」
桃「何で止まらないの、、？」
梨「、、、」

ーEmergency Call、発動ー

み「え？音梨さん、何か言いました？」
梨「、、、」

一瞬呟いた咲の言葉は誰にも聞き取れず、且つ1秒、かかっていたのだろうか。0.1秒並みの速さか？

梨「何キロ、、？」
無「今は時速80Kmです」
梨「そう、、」

すると、咲はまた、早口言葉並みの、いや、それよりも早口に何かを言った。

ー緊急停止プログラム、始動－

早口言葉以上の早口で言ったその直後、空中から何かが落ちてきた。

司「なに、？あれ、、クッション、、？」
咲「な、、！？」

コース上にクッションが落ちて来て、コースを塞ぐ。咲夜はブレーキを掛けるが、止まれず、クッションに突っ込む。

ル「クッション、、！？」
イ「咲夜、、！」
梨「、、、」

★☆★☆

咲「う、、うぅぅん、、？」

目覚めると、天井が見える。

無「ん、お目覚めになられましたか」

リンゴの皮むきをしながら声をかけてきた。

咲「何が起こった？デュエルは？」
無「何も覚えていないのですか？デュエルなら、貴方が勝ったじゃないですか」
咲「え、、？」

無花果は咲夜が豹変したあたりからの事を話す。

咲「そんな事が、、」
無「皆、心配しましたよ。なにせ試合が終わっているのに、止まる気配がないんですもの。やっと止まった
時には時速150Kmですからね」
咲「音梨さん？」
無「そうです。音梨さんの冷静な判断に救われました。そうそう、失礼ですが、貴方の眠っている間に、デッキを拝見させて貰いました」

咲夜はデッキを見る。特に変わっているところは無かった。

咲「何か分からないけど、心配かけたみたいだね。ごめん」
無「それは貴方の隣に居る人に行ってあげてください」

咲夜の隣なんて誰もいない。しかし、下を見てみると、ハルヒと白桃が寝ていた。

咲「、、」

そっとハルヒの頬を突っついてやる。起きてたらどうなっているだろう、、と考えつつも、こんな事出来るのは
こんな時ぐらいしか無いからね。
隣の白桃には額を撫でてやった。2人とも寝顔が可愛いな、と心の中で思う咲夜。

ガチャ。ドアが開く。そこに入って来たのは朝比奈先輩。

み「あ、、」
咲「、、」

後ろ頭を掻く咲夜。

み「さ、、咲夜くんー！」
咲「あ、、朝比奈さん！？」

入って来るなり咲夜の所に駆け寄って、抱きしめてくるみかん。その声に反応したのか、2人は目覚める。

ハ「、、」
桃「ん、、？」
ハ「ああ！」
桃「さぁぁくぅやぁぁ、、(怒)」
ハ「あんた、、何してるのかしら、、団長の隣で堂々と、、」
咲「ち、、違っ、、これには、訳が、、」
2人「問答無用！言語道断よ！ずっといたのに、後回しなんて！」
咲「え、、？」
無「あらまｗ」
ハ「あ、、」
桃「あ、、」
2人「この、バカ――！！」
咲「おいおい、やめてよぉー！」

2人も咲夜に抱き着いてきた。

咲「みんな心配してくれてありがとな」
ハ「わ、、私は別に団長としての義務を果たしただけなんだからっ！」
桃「べ、別に心配なんかっ、、してないですの！」
み「よかったぁ～♬」
ハ「ちょっと！みかんちゃん！咲夜から離れなさいよ！」
咲「結局同じことがしたいだけなのか、、」
ハ「べつに、、！そうじゃないって」
咲「今ならいいんだぜｗ」
ハ「しょうがないわね、、やってあげるわよ！これは貸しなんだからねっ！」
桃「じゃあ、私もやるんですの！」

3人から引っ張りだこになっている咲夜は、上半身はみかんに抱き着かれ、足の上にはハルヒが乗っかり、
さらには白桃の膝枕をされて身動きが取れない。

無「モテモテですね。羨ましいｗ」
咲「何言ってるんだ、、撃ち抜くぞ」
無「ｗｗ冗談です」

咲「ちょっと苦しい、、」
ハ「こんなことになるなんて早々ないんだから！感謝しなさいよ！」

確かに、早々どころか、もう2度と無いと思った方が良いと思うな。ツンデレハルヒがこんなになっている所と、
白桃が意地張って膝枕している所、朝比奈先輩に抱き付かれた所なんて見られたら、アカデミア中の男子
生徒から『呪詛のお札+呪いの手紙+皮肉、誹謗中傷の言葉+果たし状と名乗った決闘』をフルコースで
頂く事間違いナシだろう。特に朝比奈先輩なんかアカデミア1の人気女子生徒だからな。ま、見た目だけで
判断している奴が殆どだと思うが。まさにオリパでホルアクティを引いた、という事並みに激レアだろう。

僕自身、皆が心配してくれる事に喜びを感じていたし、逆に迷惑をかけてしまった事の罪悪感とを比に
算出したらかなり差が出るだろうが、その比は後で補えばいい。もしこいつらに何か危機が及ぶような
事があったのなら、迷わず助けることを選択しよう、そう思った。
なぜなら、ハルヒが勝手に作ったとはいえ、「世界のデュエルを大いに盛り上げる早柿ハルヒの団」こと
『SDA団』の一員であり、いつからなったかは知らんが、ただの「団員」と言う言葉だけのグループには
入りきらない。仲間、友、、この2つが妥当だろう。そんな感じになってるからだ。クイズの時に、僕を奮い
立たせたのもハルヒだったし、さっきのデュエル、チーム全員で繋いだデュエルは、これは団員だから
ではなく、勝ちたい、という思いを1つにしているからだ。

それだけではない。SDA団以外にも、イリア、ルカナ、蓮、有希もそうだ。蓮と有希は前線離脱となったがあの時に託した『カオス・ソルジャーー開闢の使者ー』と有希の思いは他のメンバーと同等だと言ってもいいだろう。2人とも、まったく連絡がこないが、大丈夫だろうか。特に有希は。

とにかく、今は今。これからはまだ分からないが、これまでに助けられた部分、これから助けられた、り支えられたりする部分もたくさんあるだろうが、その2倍、いや3倍にして返してやるからな。期待してろよｗ


第113話へ続く