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遊戯王Messiah-白き救世者/19話:悪夢干渉、弟の声 作:ヒラーズ

――――姉さん…――――
「ん…?」
睡眠中の海理の夢にある少年の声が響く。
だがその声はどこかで聞いたことがある。
懐かしく、聞き覚えのある声…弟の陸也の声だった。

――――駄目か…【悪夢干渉装置】に異変…いや正常に動いている――――
「陸也…?」
その声に対し反応したのか、声を出す。

――――聞こえているか?――――
「ええ、何とか」
――――そうか、ならよかった――――
「本当に陸也なの…?」
声を聞き質問する。陸也の声は本人そのものであるが、試作段階の【悪夢干渉装置】を使用して話しているようだった。

「じゃあ訳があって姿を現せないと言うことなの?」
「ああ…ってお?音声が綺麗に入ったな、よしよし…」
陸也の声は何かを整備するかのようにガチャガチャと音を混ぜる。
「それと……随分と言い遅れてしまったな、いや転生した姉さんには初めましての方がいいかな…?陸也だよ、海理姉さん」
「!?」

転生する前の記憶に写った弟の声と似ている…。
このことに海理は驚き、喋る。
「陸也…よかった、あなたは今、どこにいるの?」
「…それを言ったら姉さんは本来の目的を果たさなくなるから言えない。けどこれだけは伝えておくよ―――俺はずっと近くにいる、今は会えないだけだ。その目的を果たしたら必ず俺に会える…絶対だ」
聞いた海理はさらに質問をしつつ、賊精霊の世界についても話した。

「そうか…だがフリィクスという女性の言ってることはごもっともだよ」
「私は…これから何をすればいいの?それだけを教えて欲しいの…」
陸也は黙る、言って良いのか悪いのか…だが悩む時間もない。
嬉しい事もあってなのか、陸也はあえてヒントを出して答えさせることにした。
「姉さん、【救世】の意味って知ってる?」
「ええ…、世の人を苦から救い出すこと、または人々の嘆きを聞き入れて助ける事…まさか!」
「気づいてくれたなら、もうこの助言は要らないな。最後に伝えておくよ」
「…何を?」
「姉さんのところにハルバード・リンクスがいるだろ?彼は俺の命令で来ているのも当然で唯一、姉さんの味方だよ」
言った事に海理は何故ハルが唯一の味方なのかを聞くが次第に視界が歪んでいく。

「おっと…もう刻限か…今は声だけしかないがそのうち姿も見せるよ」
「待って!まだ話が…!」

――――システムダウン、干渉を終了する…――――











「――――っ!!」
目が覚めると朝を迎えていた。
いい夢なのか悪い夢なのか微妙な感じを出した夢。
だがあの夢の声は間違いなく弟の陸也の声だった。

ピピピッ!
考える途中で目覚まし時計のアラームが鳴り、起床時間を知らせる。
急いでスイッチを押し、朝食を済ませ、登校準備をして数分。
水樹に問いかけた。
「水樹さん」
「何だ?」
「その怪しい教団の本拠地は?」
その問いに水樹はギョっとした目で黙る。
いきなり昨日の言ったことを聞き入れた海理に一瞬だけ静止した。
「やってくれるのか!?」
「120件以上の事件なら動かざる負えません。良いでしょう、その事件。最善を尽くします」
意外な答えに驚きを隠せない水樹は海理に集合場所を言って、別の部屋に行こうとする。
「あの…どこへ?」
「どこって魔奈も誘うんだよ!あいつもいれば百人力じゃねぇか!」
そう言って部屋を出て行く。
心配の一言に過ぎるが、仲間は多ければそれはそれで解決しやすくなる。
だが陸也の話ではハルは唯一味方と言うのなら助けになってくれるのかとハルを探し、登校する。












「宗教団体の詐欺を解決?」
「ええ、あまり好まれてませんが。私のやる事に協力をお願いしたいのです」
「…」
普通は断るだろう。このことを予測している海理は一か八かの確率で頼んだのである。
(やはり…無理でしょうか…)

諦めかける時、意外な返事が待っていたのだった。
「いいよ、同じ学年の人の悩み。一緒に解決しようよ!」
返ってきたのはOKの言葉、夢の通り味方である事は間違いなさそうだ。
「いいんですか?」
「うん、その団体のアジトの場所だけど、明日の放課後まで待ってくれないかな…?」
「え…?探れるんですか?」
「勿論!ここまで仲良くなったのならぼくも協力する。ぼくはそう教えられたんだ」
意外な回答、出会って間もないのに協力まで受けてくれる。
普通ならいきなりすぎて訳を聞こうとするだろう。
だがハルは任せてくれと言わんばかり、大きな画用紙を取り出し、地図を書き始める。

「いくよ…【ヘヴンズ・フィールド・ルーラー(異界空間の支配者)】!」
そう呟くと同時に黙々とクロノヴェイルの地図を書き始め、着々とできあがっていく。
「ハルさん…この地図…ネットの地図より詳しく書いてません!?」
「あと少し…」
ガリガリと鳴り響く鉛筆による記入音。
小さくなっては削っての繰り返しを行い、夕方6時頃に地図が完成する。

「出来た…」
出来た地図が海理の手に渡り、確認を要求され、見つめた。
場所はかなり詳しく書かれており、ネットに記載されている地図よりも遙かに凌駕している。
「この丸い円の場所が僕たち、宗教団体のアジトはこのアカデミアから5㎞離れた教会跡の地下だね」
「そんな事まで…!」
ハルの書いた地図はお絵かきレベルを通り越して最高アートのレベルまで達している事を海理は思い知らされた。
よく見てみると、アカデミアに近い店やレンタカー屋、ましてやそのアジトに到達する時間帯なども記載されており、距離なども詳しく書かれている。

「…常人でも覚えきれない量の情報…一体どこで…!?」
常人の地図制作者でも不可能なくらいの地図、普通は途中で忘れてしまう。
だがハルの使った能力はきっと今後の先、役に立つと判断し、お礼を言った。
「あ…ありがとうございます!この事件が終わったら新しい鉛筆を買ってあげますね!」
「やったぁ!」
ハルは喜び、小さくなった鉛筆をしまう。
「では…明日から行動ですね」
「うん!明日の放課後に集合だね!」
そう言って海理とハルは別れ、女子寮で水樹に報告した。
「マジか!意外な協力者を拾ってきたな海理!」
「まさかハルにそんな力があるとはな…しかも本当に細かい…時間に距離にナビゲート要らないぞこれは…」

そして、明日の調査、及び行動するため自室でいち早く睡眠を取る。
だが少なくとも海理は自分のやるべき事に気づくことが出来た。
(救世…人々を苦から救う…つまり…









「世直し」…ですか…)
考えた後、目を閉じて眠りについたのであった。

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