第７８話 とある勇者と龍のお話⑥　作：ハカラメ

セイントミネルバ「裁きの龍、それが私の正体よ・・・」



エンジェルケルビム「・・・」
セイントミネルバ「あら、あんまり驚かないのね」

ケルビム「私は・・・」
ケルビム「私は、今までずっとあなたの背中を追いかけてきました」
ケルビム「そして私は何度も感銘を受けた・・・私が今までにあったどの人よりも、あなたは強く、優しく、そして気高かった...」
ケルビム「一体、どのように育てばあなたのような人が現れるのかと、そんな事ばかり考えていました」
ケルビム「もしかしたら、ただの天使ではない何かなのではないか・・・と」
セイントミネルバ「ふふっ、考えすぎるのは、あなたの悪い癖ね」

ケルビム「驚いていないと言えば嘘になります・・・でも、どこかで納得している自分もいて...」

セイントミネルバ「・・・」



セイントミネルバ「私が人の姿になった理由は、私にもよく分からないの」

セイントミネルバ「でも、私を倒した後、ミカエルにはある力が宿ったの」
ケルビム「力...？」
セイントミネルバ「龍の力・・・とでも言えばいいかしら。ドラゴン達に生まれつき備わっている力の事よ」
セイントミネルバ「彼には、『次元を操る』能力が宿った・・・そして、他のドラゴンと同様に、半永久的に生きる体を手に入れたの」

セイントミネルバ「私が人の姿になったのも、多分それが関係してると思う...」


セイントミネルバ「それから長い間、私は『セイントミネルバ』として生きてきた・・・元の姿に戻ることは、ただの一度も無かったわ」
ケルビム「じゃあ、一体どうして...」

セイントミネルバ「それは・・・」


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✖✖✖『バイバイミネルバ。あなたの活躍、期待してるわ。存分に暴れて頂戴ね。またどこかでお会いしましょう♪』
✖✖✖『アハハッ、アハハハははは！！！』

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ケルビム「・・・ミネルバ様？」
セイントミネルバ「・・・いや、何でもないわ。あれはきっと、私の心の弱さが生み出した幻影...」
ケルビム「何か、思い当たることでも...？」
セイントミネルバ「ううん違うの、本当になんでもないわ」

セイントミネルバ「私は・・・焦ってたのよ」
セイントミネルバ「六国協定を結び、一度は世界が平和になった・・・」
セイントミネルバ「でも、今は各地で争いが起こっていて・・・このままじゃ、あの時みたいに多くの人が命を落としてしまう・・・」
セイントミネルバ「その焦りが心の隙を作り、そして、私の中の怪物を呼び起こしてしまったのよ・・・」
ケルビム「ミネルバ様...」



セイントミネルバ「私はもう、あの場所には・・・ジャスティス・ワールドには戻れないわ...」
ケルビム「どうしてですかミネルバ様！？ 聖域のみんなだって、話せば分かってくれるはずです！」
セイントミネルバ「私のせいで、もうこれ以上あなたたちに迷惑をかけたくないの」
ケルビム「そんなっ...でも、ミネルバ様自体が悪いわけじゃ...」
セイントミネルバ「いいえ、あれはすべて私の責任よ。それに・・・」

セイントミネルバ「私は・・・メイを傷つけてしまった...私が世界で一番愛している愛娘を、私は・・・『あの人』が助けてくれなかったら、私は、メイを・・・うっ、ううぅ...」ｷﾞｭｯ
ケルビム「ミネルバ様...」ｷﾞｭｯ






～～～



セイントミネルバ「・・・ケルビム、もう大丈夫よ。ていうか、苦しい...」
ケルビム「あっ、す、すすすいません///」


セイントミネルバ「さっ、これで私のお話はおしまいよ。私の秘密は全部あなたに話したわ。もう何も話すことはない...」
ケルビム「ミネルバ様・・・」
セイントミネルバ「だから...私の代わりに、しっかりあの子たちをまとめるのよ、ケルビム」
ケルビム「・・・」


セイントミネルバ「ほら、長話なんかしてるから、もう朝になっちゃったじゃない。みんな待ってるわ、早く帰りなさい！」ｸﾞｲｸﾞｲ
ケルビム「ま、待ってください、まだ私は...」
セイントミネルバ「私が、あなたなら絶対大丈夫だと思ってるから、こんなお願いしてるのよ？ 私の人を見る目が間違ってるはずないわ！ だって私だもの！」ﾌﾝｽｯ

セイントミネルバ「だから・・・」


セイントミネルバ「だから、精一杯頑張りなさい。あなたの事、信じてるから...」


ケルビム「ミネルバ様...」




ｶﾞﾁｬｯ
ケルビム「・・・」

セイントミネルバ「さよならケルビム、しっかりね...」ｸﾙｯ

ケルビム「・・・」






ケルビム「・・・ッ！」

ケルビム「ミネルバ様ッッ！！！」


セイントミネルバ「！？」


ケルビム「私がライトロードの長になるなら、あなたは永久名誉会長ですッ！！」


セイントミネルバ「・・・え？？」

ケルビム「私が課長ならあなたは社長、私が関〇ャニならあなたはS〇AP、私が妖怪〇ォッチならあなたはポケ〇ンです！！」

セイントミネルバ「ちょっ、どうしたのよケルビム！？ いきなり危ないラインに触れるような発言して！」



ケルビム「あなたは、ずっと私たちの前で、私たちを引っ張ってきてくれました。時に厳しく、時に優しく・・・」
ケルビム「だから、あなたにはまだまだ私たちの前を歩いてくれなきゃ困るんです！」

セイントミネルバ「でも・・・私は・・・」

ケルビム「裁きの龍だから何なんです？ 自分が裁きの龍だから迷惑かけるって？？」
ケルビム「馬鹿な事言わないでくださいッッ！！！」

セイントミネルバ「！」ﾋﾞｸｯ

ケルビム「あなたが誰であろうと、どんな事をしようと、私は・・・私たちは、あなたを恐れたりしない、迷惑なんて思わない、あなたを１人になんかさせない！！」



ケルビム「だって、みんなあなたの事が、大好きだから・・・！！！」



セイントミネルバ「ケルビム...」

ケルビム「だから、さよならなんて言わないでください...いつか・・・いつか必ず、私たちの所に帰ってきてください...」

セイントミネルバ「ケル...ビム...」




ｶﾞﾁｬｯ
ケルビム「それじゃあミネルバ様・・・またお会いしましょう...！」

セイントミネルバ「・・・」

セイントミネルバ「・・・ッ！！」






セイントミネルバ「・・・『またね』、ケルビムっ！！！」












第７９話に続く