第４４話　二日目　『相棒』ＶＳ『色物』②　作：白金　将

～昼　死闘場～
聖戦士「女王、あれはいかがなものでしょう」
女王「皆が楽しんでるからいいじゃない。ほら、見てみなさい」
女王「食い入るように彼女の事を見ているでしょう……？」
聖戦士「あ……」
聖戦士「承知しました」
聖戦士（あの女戦士には気の毒だが……観客の楽しみを奪う訳にはいかん）

女王「けれど、びっくりしたわね。彼女、あまり嫌がってるように見えないわ」
聖戦士「いや、むしろ、思考停止しているようにも思えますが……」
女王「余程あの虎が気に入ったのね」
聖戦士（そう言う訳じゃないと思うんだが……）



女戦士「ひぃ！　あぁ、ううっ、だめぇ！」ﾋﾞｸﾝﾋﾞｸﾝ
ペット虎「」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ
調教師（これはこれでいい……のか？）
調教師（硬直状態になったからあとは隊長頼みか……少し悲しいが仕方ない）

女戦士（あたまが、おかしく、なっちゃう……！）
女戦士（考えなきゃ、考えなきゃ、負けちゃだめ……！）
女戦士「ひゃぁっ！」
ペット虎「ｸｰﾝ」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ



射手（女戦士さんを助けに行かないと……）
射手（でもこっちも動けないんだし……）

ｽﾊﾟｯ

射手（……！）
射手（だんだん矢の方角がこっちに向かって来てるんだし……何か使える物は……）
射手（そうだ……！）

ｽﾊﾟｯ

射手（格の違いと言う物を見せてやるんだし）
射手（少し上に向かって弓を構えて……こう！）

ｽﾊﾟｯ

ﾋｭｰ


ｶﾞｻｯ





ｽﾊﾟｯ

射手（向こうが動いた……囮の矢は少し向こう側に落ちたからこっちはもう来ないんだし）
射手（草に矢が当たってる音はするけど徐々に遠ざかって行ってるんだし）
射手（……ん？）

ｻｯ

射手（前の方からかすかに音がするんだし……）
射手（気のせい……？）

ｶﾞｻｯ

射手（違うんだし……！　予想外だけど逆にこれはチャンス……）
射手（前方なんだし！）

ｽﾊﾟｯ

ｺﾝｯ

格闘戦士「一本！」
弩級隊隊長「何だと……！」
射手「物音一つが命取りになるんだし！」



剣士「どうだ？」
訓練生「射手ちゃん、頑張ってますね……女戦士さんは……」

女戦士「ひいやぁぅ！　も、もうやめてぇ……ふぁぁ！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

訓練生「どうしてこうなったんです？」
剣士「私も詳しくは知らん」
賢者「女戦士さんの性癖と虎の相性が良かったんでしょう」
剣士「おいそんなこと言うな」
賢者「ケモナーという神が与えた能力……動物相手にも興奮できる女戦士さんって」
訓練生「……」

訓練生「賢者さんってこんな人ですっけ？」
剣士「いつも通りだよ」
賢者（眼福眼福……！）ｷﾗｷﾗ

剣士「ただ、女戦士と虎は動かないだろうな。お互いに点は入らないだろうけど」
剣士「そうなった場合、鍵は射手と隊長の方だ。あれで勝った方がマッチの勝者を決める」
賢者「女戦士さんは虎に打ち勝てるかしらね……」ﾜｸﾜｸ
訓練生「賢者さんは違う事考えてる気がしますけど……」



～昼　医療テント～
スカ黄「ねーねー、なんで私たちは見ちゃ駄目なの？」
スカ青「気になる」
エアトス「そ、それはね……女王様が駄目っておっしゃったから……」
エアトス（子供たちにあんなものを見せるわけにはいかない……！）ｶｧｧ///



～午後　死闘場～
吹き矢兵（格闘戦士は射手と隊長の方の審判だが……）
吹き矢兵（ケモナープレイを延々と見てなきゃいけない私の気持ちも考えてほしい物だ）
吹き矢兵（アーチャー同士の対決は得てして長くなりやすいからな……）
吹き矢兵（三回戦も控えてるだけに早く終わってほしいが）

格闘戦士（膠着状態か……）
格闘戦士（一瞬も気が抜けないから本当に大変だ）
格闘戦士（それだったら女戦士と虎のプレイでも見てた方がいい気がするが……）
格闘戦士（だけどこれ二回戦なんだよな……ま、昔は一昼夜やってた試合もあったけど）




射手（一発当てたんだし……でもまた隠れちゃったんだし）
射手（日も徐々に傾いてきてるから夜になる前に仕留めないと……）

ｽﾊﾟｯ
ｺﾝｯ

格闘戦士「一本！」
射手「あ……！」
弩級隊隊長「後ろがガラ空きだったぞ」



女戦士「ひぃぃ！　はう、んんっ、むふぅ！？」ｶﾞｸｶﾞｸ
女戦士（は、早くしないと、日が暮れちゃう……！）
女戦士（でも、でも、どうにもできないのぉぉぉぉ！）

調教師（終わったら虎に拳骨入れておくか……こりゃ後で怒られないか心配だ）
調教師（一応この里にも子供はいるんだ。教育上この試合はあまりよろしくない……）