第５７話　最終日　オワリはじまり　作：白金　将

※タイトルはとある曲名です。一度検索することを強くお勧めします。

～夜　広場～
女王「……終わったわね」
聖戦士「はい」

女王「おつかれさま」
聖戦士「最後は助けられました」
女王「あなたが戦っている所、久しぶりに見た気がするわね」
聖戦士「そうですか？」

聖戦士「それこそ女王の戦っている姿を見るのも久しぶりです」
女王「ふふっ」
女王「あなた、大分喋るようになったんじゃない？」
聖戦士「っ……！」//

女王「……あら？」

エアトス「おつかれさまです」
女王「テントの方は平気？」
エアトス「怪我人が全員夜の宴会に出るそうで」
エアトス「おかげで暇になりました」
女王「そう」

女王「里から離れるのはいつ頃かしら」
エアトス「それが……」
エアトス「もうしばらくはこちらに滞在する予定です」
女王「何かあるのかしらね」
女王「まぁ、気の済むまでここにいなさい。新しく家も手配する？」
エアトス「いや……そこまでは」

聖戦士「……」
聖戦士（彼女、どこか浮かない顔をしているな）

聖戦士「何か言いたいことがあるのか？」
エアトス「えっ……？」
エアトス「……その」



～夜　広場～
スカ黄「あ、おねーちゃんだ！」
スカ青「眠い……」
女戦士「やほー」
射手「ＺＺＺ……」

女戦士「射手ちゃんまだ起きないんだよー」
女戦士「この辺に座らせとこ」
射手「むにゃむにゃ……」

訓練生「おつかれみたいですね」
女戦士「いつもは全然運動してないからねー」
女戦士「そろそろ起きるかな？」
射手「ＺＺＺ……」

射手「……うぇ？」
女戦士「起きたー！」ｷﾞｭ
射手「わ、わわ、ここは……！」//
訓練生「広場の宴会場ですよ。おつかれさまでした、射手ちゃん」

スカ黄「射手ちゃん頑張ってたね！」
スカ青「凄い」
射手「う、そんなに言われると照れるんだし」
射手「女戦士さんが頑張ってくれたからなんだし」

女戦士「お姉ちゃんだから頑張ったもんねー」ｷﾞｭｩ
射手「ひゃっ！？　ちょ、ちょっと、女戦士さん……」
女戦士「なあに？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
射手「あう……」
射手（なんか試合中に思い切り「お姉ちゃん」って呼んじゃった気がするんだし）//

女戦士「お酒おいしいねー」ｺﾞｸｺﾞｸ
訓練生「そんなに飲んだらすぐに飛んじゃいますよ」
スカ黄「飲み過ぎいけないんだー！」
スカ青「……」ｸﾋﾟｸﾋﾟ

射手「あうっ……」ﾎﾞｫ
女戦士「酔ってる射手ちゃんかわいぃー！」ｷﾞｭ
射手「わぁぁぁ」///

射手「お姉ちゃん……」//
女戦士「なあに？」
射手「なんだか、ねむく、なってきたんだし……」ｷﾞｭ
射手「ＺＺＺ……」
女戦士「ありゃま」



スカ黄「ＺＺＺ……」
スカ青「ＺＺＺ……」
射手「ＺＺＺ……」

訓練生「……」
訓練生「あの、女戦士さん」
女戦士「なあに？」
訓練生「……私も、いいですか？」
女戦士「ほえ？」

女戦士「いいよー！」
訓練生「それでは……えいっ」ｷﾞｭ
女戦士「よしよーし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

訓練生「お姉ちゃんの事、思い出します」
女戦士「訓練生ちゃんのお姉さんってどんな人なの？」
訓練生「……」

訓練生「とても優しいお姉ちゃんでした」
訓練生「訓練も人一倍頑張っていて……あれ？」ｸﾞｽﾝ
女戦士「……」ｷﾞｭ

女戦士「大丈夫だよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
訓練生「すいません……ううっ……」ｸﾞｽｸﾞｽ





～その頃～
剣士「終わっちまったな……里もいつも通りに戻るのか」
賢者「なんだか寂しいわね」
賢者「ずっとこんな雰囲気が続けばいいのに」
剣士「ははは」

賢者「……この時期のあなた、カッコいいから」//
剣士「そ、そうか……？」//

剣士「……今年も、迷惑かけたな」
賢者「気にしないで」
賢者「そんなあなたが好きだから」
剣士「あ……」ｶｧ//

剣士「その、あまり面と向かって言われるとだな」
賢者「私も結構恥ずかしいんだから」

賢者「こら、目をそらさない」
剣士「う」
剣士（やはり賢者にはかなわないな……）
賢者（私もいつからこうなっちゃったのかしらね……この人のせいかしら）





～真夜中　食堂～
調理師「酒は余るかと考えていたが……」

女王「来たわよ」
吹き矢兵「格闘戦士さんちょっと波紋出してみてくださいよ」
格闘戦士「ＨＡＨＡＨＡこの食堂が消し飛ぶぞ」
女王「確かにあなたの現役時代は凄かったわね……」
聖戦士「ごもっともです」
エアトス「いったい何の話ですか？」

調理師「余るわけがないんだよなぁ」

格闘戦士「残りの酒は？」
調理師「残念だが、こいつが最後の一本だ」ﾄﾝ
吹き矢兵「今年も飲みきったか……」
女王「あなたもご苦労でしたね」
調理師「そりゃ、まぁ」
エアトス「……」

エアトス「ところで、なんで調理師さんはここにいるんです？」
エアトス「見た限りアマゾネスに関わる人には見えませんが……」
調理師「ふむ」

調理師「昔の事だがな……」



―　―　―　―　―　―　―
～過去　とあるハンバーガーショップ～
シェフ「違う！　またお前はハングリーバーガーの作り方を失敗したのか！」
調理師「すいません！　今すぐに作り直します！」
シェフ「もう遅い！　客は急いでたから帰っちまったじゃねぇか！」



調理師「……どうしましたか」
シェフ「ハングリーバーガーの配達だ」
調理師「わかりました」

調理師（俺がやりたいことは……これなのか？）



調理師「シェフ」
シェフ「どうした」
調理師「……俺、ここ、出て行きます」
シェフ「……」

シェフ「好きにしろ」
調理師「……」ｽﾀｽﾀ
―　―　―　―　―　―　―


～真夜中　食堂～
調理師「あの後、いろいろな店を回ってはいろんな料理を食って、盗めるわざは全部盗んできた」
調理師「けどよ……俺を評価してくれる人はいなかったんだ」
調理師「そこでこの里に流れ着いた」
調理師「最初は捕まって死にかけたが……料理を作った所、女王が気に入ったそうでな」
女王「ﾌﾌｯ」

エアトス「そんなことが……」
調理師「なんだかんだでよくやって来たよ」
格闘戦士「んじゃ、バーガーを作ってくれ、と言えば作れるのか？」
調理師「うむ」

調理師「昔よりはマシだろうがな」
調理師「どうもアレだけは苦手でね……」





～真夜中　広場～
射手「ＺＺＺ……」
スカ黄「ＺＺＺ……」
スカ青「ＺＺＺ……」

女戦士「寝ちゃったね」
訓練生「なんだかかわいいですね」
女戦士「本当に妹みたい」

女戦士「……私、里から帰った方が良いのかな」
訓練生「それはっ」

訓練生「……私が決めることではありませんでしたね」
女戦士「そうだね」
女戦士「……どうしたらいいんだろう」
女戦士「帰り方もわかってないけど……いつかは帰らなくちゃいけないんだよね？」
訓練生「……」
訓練生「今はまだ、考えないでください」ｷﾞｭ
女戦士「！？」

訓練生「女戦士さんは笑っているのが素敵です」
女戦士「訓練生ちゃん……」ｷﾞｭ
女戦士「」ﾁｭ
訓練生「！？」
女戦士「ほっぺたにちゅーしちゃった」//











～真夜中　ミストバレー湿地帯～


ﾋｭｳｳｳ

？？？「ヴ……」


ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ


？？？「ア゛アアアァァァァ！」