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9話 天使の思い 作:19
クレア「ヤマト~、アオヒサ居たわよ。って…あれ?ヤマト?」
アオヒサ「居ないのか?」
クレア「おかしいわね…。ここで待っててって言ったのに…」
ヤマトが居なくなっていたことを不審に思った二人は街中を散策することにした。
アオヒサ「しかし…大牙ってのはかなり怖い奴だよな。一回デュエルに負けたからって人を殺すなんて…」
クレア「そんな奴よアイツは…。アナタだって、なんとか助かってるけど知ってるでしょ?セキュリティだって、アイツが関係してるってなった事件な何軒も目を背けてきたわ。それだけ危ないの。大牙に関わるって…」
クレアはセキュリティで仕事をする父親が精鋭部隊に派遣された時、全滅させられた挙句に重度の大怪我を負わされたことを根に持っている。その父親は未だに病室のベッドで寝たきりにされているとか…。
クレア「もう1年前の話よ。まだ父さんは目を覚まさない…時々病院に行くんだけど、本当に息をしてるだけ…」
アオヒサ「そうだったんだ……。でもまぁ、きっと目を覚ましてくれるよ。その時までに大牙を倒して、オヤジさんをビックリさせてやろうぜ!」
クレア「…ふふ、そうね。できてるといいわね…」
ヤマト LP9400 手札1
場
メドロウ・ケイロン ☆4 攻撃力1700
メドロウ・サイクロス ☆4 攻撃力1900
セット魔法罠カード×1
少年 LP6800 手札3
場
ジェットメン ☆3 攻撃力1200
セット魔法罠カード×1
少年「ぼ、僕のターン、ドロー!」
ヤマトのライフ回復コンボに驚きながらも戦術を考えた少年は、一枚の魔法カードを発動する。
少年「僕は手札から永続魔法『機械帝国』を発動!このカードが発動されている限り、僕の場の機械族モンスターは1体で二体分として扱い、攻撃力・守備力を400ポイントアップする!」
ジェットメン 攻撃力1200 → 1600
少年「さらに、手札から『パトロボ』を特殊召喚!」
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
キャタピラの脚。ロボットのような上半身は、ハニワのような形をしている。
少年「『パトロボ』は相手フィールド上にモンスターが存在し、自分の場に機械族モンスターが存在する場合に手札から特殊召喚できる。そして、魔法カード『機械複製術』を発動!僕の場に存在する攻撃力500以下の機械族モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名のモンスター2体をデッキから特殊守召喚する!攻撃力500の『パトロボ』を指定し、2体特殊召喚!」
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
少年「『パトロボ』は自分フィールド上に存在するモンスターの数だけ戦闘では破壊されない」
ヤマト「『機械帝国』の効果で場の機械族は1体で2体分になる…つまり『パトロボ』自身を含めて、合計8回の攻撃に耐えられるのか…!」
少年「そうだよ。そのまま僕はターンエンド。そして、エンドフェイズ時に『ジェットメン』の効果発動!相手に600ポイントのダメージを与える!そして、自分の場に機械族モンスターが3体以上存在する場合、与えるダメージは2倍になる!」
ヤマト「うわあぁ!」
ヤマト LP9400 → 8200
少年「まだだよ!『パトロボ』の効果発動!自分ターンのエンドフェイズ時、僕の場に存在する機械族モンスターの数×100ポイントのダメージを与える。僕の場には2体分になっているモンスターが4体…800ポイントのダメージだ!」
ヤマト「くっ!うぅ…!」
ヤマト LP8200 → 7400
少年「『パトロボ』はもう2体残っている…残りのダメージも受けてもらうよ!」
ヤマト「ぐうぅぅ!」
ヤマト LP7400 → 6600 → 5800
少年 LP6800 手札1
場
ジェットメン ☆3 攻撃力1600
パトロボ ☆1 守備力1000 ×3
魔 機械帝国
セット魔法罠カード×1
ヤマト「くぅ…僕のターン、ドロー!」
壁を固めてくる戦法、戦闘破壊耐性を持つモンスターが場にならび、しかも効果ダメージまで与えてくる。早く決着をつけなければ、このまま効果ダメージだけで押し切られてしまう。
ヤマト「手札から魔法カード『天聖の転生』を発動!僕の手札の『天聖』カード1枚、または『メドロウ』モンスター2体をデッキに戻すことで、デッキからカードを2枚ドローする。そして、ドローしたカードが『メドロウ』モンスターなら、さらにもう一枚ドローが可能。『天声分離』を戻して…ドローォ!」
引いた2枚のカードを確認する…。
ヤマト「手札には『メドロウ・ドリアー』が存在していた、よって、さらにもう一枚ドロー!」
手札を2枚から3枚に増やすことに成功したヤマトは、一気に畳み掛ける。
ヤマト「悪いけど、一気に突破させてもらうよ!手札から『メドロウ・ドリアー』を召喚!」
メドロウ・ドリアー ☆2 攻撃力300
木の精霊であるモンスターが召喚される。このモンスターからの幾つもの逆境を乗り越えてきたのだ。
ヤマト「このモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキの一番上のカード3枚を確認できる。その中にレベル5以下の『メドロウ』モンスターが存在するなら、そのモンスター1体を特殊召喚する…!」
カードを3枚めくり、確認する。 魔法カード…罠カード…、モンスターカード!
ヤマト「確認した中には、レベル5『メドロウ・ゴーレム』が存在した。『メドロウ・ゴーレム』を特殊召喚!」
メドロウ・ゴーレム ☆5 守備力2200
ヤマト「ここで、僕は手札から『メドロウ・ノーム』の効果発動!このモンスターを手札から捨てることで、僕の場の『メドロウ』モンスター2体につき1枚デッキからカードをドローする。僕の場には4体のモンスターが存在する。よってカードを2枚ドロー!」
メドロウ・サイクロス、ケイロン、ドリアー、ゴーレムの4体がいることによって手札を4枚にまで巻き返す。
ヤマト「まだだ、レベル5『メドロウ・ゴーレム』に、レベル2『メドロウドリアー』をチューニング!」
二体のモンスターからそれぞれのレベルとなる☆が放たれ一列になり、それを光線が飲み込む。
ヤマト「聖戦士が翼を広げ、剣を振るう…!シンクロ召喚! 大いなる光!舞い踊れ!『Hメドロウ・ヴァルキス』!」
Hメドロウ・ヴァルキス ☆7 攻撃力1900
少年「シンクロ召喚…」
ヤマト「そう、これがシンクロ召喚だ。そして『メドロウ・ドリアー』が『メドロウ』シンクロモンスターの素材となった場合、自分は1000ポイントライフを回復する」
ヤマト LP5800 → 6800
少年「でも、ライフを回復しただけじゃ僕のコンボは超えられないよ…」
ヤマト「そうだ、だから、僕はこのカードを使う!リバースカードオープン!罠カード『天聖の粛正』発動!相手の場のモンスターが僕の場の『メドロウ』モンスターより多い場合、その差だけ相手は場のモンスターを手札に戻さなければならない!破壊耐性があっても、手札に戻るのは破壊じゃない…!」
少年「そうか…『機械帝国』の効果で、モンスターは2体分…その差は…4体!?」
そう、4体のモンスター、つまり少年の場のモンスターを全て手札に戻さなければならないのだ。
少年「うぅ…」
渋々モンスターを回収する少年に対し、ヤマトは宣言する。
ヤマト「バトルだ!『メドロウ・サイクロス』でダイレクトアタック!」
少年「うわっ!」
少年 LP 6800 → 4900
サイクロスが少年を突き飛ばし、ダメージを与える。子供が苦しんでいるのは心が痛むが、悪魔のカードを引き離す為だと自分に言い聞かせ攻撃を続けた。
ヤマト「次だ!『メドロウ・ケイロン』でダイレクトアタック!」
少年「わあぁ!」
少年 LP4900 → 3200
ヤマト「最後だ!『Hメドロウ・ヴァルキス』で、ダイレクトアタック!」
少年「うわああぁぁ!」
少年 LP3200 → 1300
ヤマト「(うぅ…相手が子供だと攻撃し辛いな…。それに、ダメージだって実際に起きてるんだし、死なないだろうけど、子供相手には…)カードを1枚伏せて、ターンエンド」
ヤマト LP6800 手札3
場
メドロウ・サイクロス ☆4 攻撃力1900
メドロウ・ケイロン ☆4 攻撃力1700
Hメドロウ・ヴァルキス ☆7 攻撃力1900
セット魔法罠カード×1
少年「ま…ま、負けない…」
ヤマト「?」
倒れた少年は、唸るように小さく言った。拳を作り、腕に力を入れている。
少年「大牙の兄ちゃんは…僕にレアカードをくれたんだ…僕が負けちゃったら…せっかく貰ったカードで、負けたことになるから…兄ちゃんが…がっかりしちゃうから…僕は、負けたくないんだぁ!」
立ちあがった。まだ子供だというのに気合を出して立った。その力が悪魔のカードからの影響なのかはヤマトには分からない。それとも、人間が持つ底力というものなのだろうか…。
少年「ドロー! やっと…来てくれた…!」
少年の表情に余裕が映る。
少年「僕は手札から魔法カード『機械王の号令』を発動!ライフを500ポイント払うことで、手札からレベル3以下の機械族モンスターを可能な限り特殊召喚する!さっき戻された『ジェットメン』と『パトロボ』3体を特殊召喚!」
少年 LP1300 → 800
ジェットメン ☆3 攻撃力1200 → 1600
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
フィールド魔法、機械帝国の効果によってステータスがアップした機械族モンスター達。しかし、少年の狙いはバーンではなく、手札に残っている『切り札のモンスター』であった。
少年「僕は、2体分となっている『ジェットメン』をリリースして、『パーフェクト機械王』をアドバンス召喚!」
パーフェクト機械王 ☆8 攻撃力2700 → 5700 → 6100
白と赤を基準とした巨大な人型のロボットが召喚され、木々をなぎ倒しながら場に降ってきた。砂煙を上げ堂々と現れたモンスターに、少年は期待の眼差しを向ける。
ヤマト「攻撃力…6100!?」
少年「『パーフェクト機械王』は、このモンスター以外の僕の場に存在する機械族モンスター1体につき攻撃力を500ポイントアップさせる効果がある。僕の場には、『機械帝国』の効果で2体分になった『パトロボ』が3体…。6体分攻撃力をアップしてるんだ!」
ヤマト「『機械帝国』の効果でさらに400アップ…なんて攻撃力だ…!」
少年「バトル!『パーフェクト機械王』で『Hメドロウ・ヴァルキス』を攻撃だ!《パーフェクトナックル》!」
拳を振り上げ、機械王はその大きな拳でヴァルキスに殴りかかる。
ヤマト「くっ、ヴァルキスの効果発動!このモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ時、相手モンスターの攻撃力または守備力が元々の数値と違っていた場合、その変化している数値だけ、ヴァルキスの攻撃力をアップする!《シャイン・アップ》!」
空からの光を吸収したヴァルキスに力が宿る。機械王の上昇した3400分の数値がヴァルキスに加わった。
Hメドロウ・ヴァルキス 攻撃力1900 → 5300
少年「でも、そんな攻撃力じゃ僕の機械王には勝てない!」
その通りだった。攻撃力の上がったヴァルキスは左手に持つ盾で防ごうとしたが、その威力に負けて破壊されてしまった。
ヴァルキスの弱点…。それは元の攻撃力が1900以上のモンスターには攻撃力をアップしても勝てないということ…。変化するのは相手が変化した数値だけ、攻撃力が100でも上回るモンスターが居れば、数値を変化させたところで相手も変わっている…。それがヴァルキスの弱点なのだ。
少年「ターンエンド。ここで、『パトロボ』の効果発動!僕の場の機械族モンスター1体につき100ポイントのダメージを与える!それの…三回分だ!」
ヤマト「うあああぁ!」
ヤマト LP6800 → 6000 → 5200 → 4400 → 3600
パトロボから発射される8発の小型ミサイル。それを3体がそれぞれ乱れ撃ちし、ヤマトに当たって爆発したり、地面を小さく吹き飛ばしたりする。
ターンが終わる度に2400ものダメージ、これでは回復が追いつかない…!
少年 LP800 手札0
場
パーフェクト機械王 ☆8 攻撃力6100
パトロボ ☆1 守備力1000 ×3
魔 機械帝国
セット魔法罠カード
ヤマト「僕のターン、ドロー!」
なんとかしなければいけない。あの攻撃力を超えるモンスターを出す、またはカード効果で除去するしかない…。
ヤマト「『メドロウ・サイクロス』と『メドロウ・ケイロン』を守備表示にし、『メドロウ・ケイロン』の効果発動。手札の『メドロウ・イグニス』を墓地へ送って、ライフを1000ポイント回復する。さらに、墓地に存在する『メドロウ・マーメイド』の効果発動!このモンスターを除外することで、僕は墓地に存在する『メドロウ』モンスター1体につき200ポイントライフを回復する」
ヤマトの墓地には『メドロウ・ドリアー』『メドロウ・ゴーレム』『Hメドロウ・ヴァルキス』が存在している。合計で600ポイントの回復だ。
ヤマト LP3600 → 4600 → 5200
ヤマト LP5200 手札2
場
メドロウ・サイクロス ☆4 守備力0
メドロウ・ケイロン ☆4 守備力300
セット魔法罠カード×2
少年「僕のターンだ、ドロー! …リバースカードオープン!魔法カード『究極へのプログラム』発動!」
ずっと伏せられていたカードがついに発動された。まるで今までは力を蓄積していたかのようなそのカードにヤマトも身構える。
少年「僕のライフを500ポイント払って、僕の場に存在する攻撃力4000以上の機械族モンスター1体を除外して発動する。手札・デッキ・墓地から『アルティメット機械王』を特殊召喚するっ! きて…、『アルティメット機械王』!!!」
少年 LP800 → 300
発動した魔法カードが輝き、パーフェクト機械王は異次元の彼方へと吸収された。その異次元から飛来する黒いパーツがパーフェクト機械王に装備されていき、全く別の姿へと変化する。白い部分は黒へ、赤い部分は輝く緑に変わり、体格も一回り大きくなる。
パーフェクト機械王はアルティメット機械王へ変化し、異次元の彼方より帰還する。辺りに砂埃をまき散らし、木々を揺らしながら現れた巨大なロボットモンスター。
アルティメット機械王 ☆11 攻撃力???
ヤマト「コイツが…悪魔のカードか…!」
戯曲魔神・ドラマドーラと同じだ。イットとイズが持っていたあのカードと同じ邪悪な気。大牙が所持していたカードなのだろう。禍々しい気を感じる。
少年「『アルティメット機械王』の攻撃力と守備力は、僕の場に存在する機械族モンスター1体につき1000ポイント攻撃力をアップする。つまり、攻撃力…」
ヤマト「『機械帝国』と合わさって8400…!!」
アルティメット機械王 攻撃力8400
少年「それだけじゃない。手札から装備魔法『メカニカルブレード』を『アルティメット機械王』に装備! 装備モンスターが攻撃する場合、相手に半分の貫通ダメージを与える!バトルだ!『アルティメット機械王』で『メドロウ・サイクロス』を攻撃!《アルティメット・スラッシュ》!!」
アルティメット機械王が右手に持つ大きなツルギに自身のエネルギーを注ぎ込み、渾身の一撃を守備表示のサイクロスに与える。切り裂かれたサイクロスは爆散し、ヤマトは大ダメージを受けてしまう。
ヤマト LP5200 → 1000
吹き飛ばされたヤマトは後ろの木に叩きつけられる。そして、ライフは風前の灯となってしまった…。
少年「ターンエンド…。3体の『パトロボ』の効果で、お兄ちゃんのライフは0だ…!」
ヤマト「り、リバースカードオープン!速攻魔法『天聖の加護』発動!僕のデッキから『メドロウ』モンスター1体を墓地へ送ることで、そのモンスターの攻撃力分ライフを回復する!デッキの『メドロウ・イグニス』を墓地へ送り、その攻撃力1500分のライフを回復! うぐぅう!」
発射されたミサイルが着弾する前になんとかライフの回復に成功し、ギリギリで持ちこたえる。
ヤマト LP1000 → 2500 → 100
少年 LP300
場
アルティメット機械王 ☆11 攻撃力8400
パトロボ ☆1 守備力1000
ヤマト「僕の、ターン……。ドロー!」
引いたカードを見て、ヤマトはフッと微笑む。
少年「?」
ヤマト「君は、大牙を良い人だと言ったね」
少年「う、うん…」
ヤマト「違う。ソイツは、恐ろしい奴なんだ。何人も人を殺し、カードを奪い…。君が持っているそのレアカードだって、他の人から奪った物だ」
少年「そ、そんな…」
ヤマト「君の『アルティメット機械王』…ソレも、人から無理矢理………。僕は君を助けたい。悪魔のカードは危険だ。現に、今デュエルしてる僕はこんなに傷ついている。僕はまだしも、君はその力を友人に使うのか?誰かを傷つけることで、君の大切な人は喜んでくれるのか…?」
少年「そ、それは…」
押し黙ってしまった。小さな子供には、重いことを言ってしまっただろうか。
ヤマト「だから、僕は君から悪魔のカードを引き離す。そして、君みたいな人間たちを助けたい…!」
少年「人間たち?」
ヤマト「僕はね、人間じゃないんだ。天界から来た、天使なんだ。その力を持って、君を守る!」
白い翼を広げ、天使であるということを証明する。少年は驚いているが、ヤマトはそのままデュエルを続ける。
ヤマト「僕は手札から『メドロウ・ディーネ』を召喚!」
メドロウ・ディーネ ☆3 攻撃力1000
下半身が魚の少女が召喚される。ヤマトの反撃が始まった。
ヤマト「『メドロウ・ディーネ』が召喚に成功した場合、墓地に存在するレベル4以下の『メドロウ』モンスター1体を選択して特殊召喚する。『メドロウ・ドリアー』を特殊召喚!」
メドロウ・ドリアー ☆2 攻撃力300
ヤマト「『メドロウ・ドリアー』の効果発動!このモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキトップのカード3枚を確認し、その中に存在するレベル5以下の『メドロウ』モンスター1体を特殊召喚する!」
カードを確認していく。罠カード、罠カード……… モンスターカード!
ヤマト「確認した中には『メドロウ・シルフ』が存在していた!よって、『メドロウ・シルフ』を特殊召喚!」
メドロウ・シルフ ☆3 攻撃力1300
ヤマト「そして、リバースカードオープン!『天聖の儀』発動!このカードの効果で僕はシンクロ召喚する! レベル3『メドロウ・ディーネ』とレベル4『メドロウ・ケイロン』にレベル2『メドロウ・ドリアー』をチューニング!」
3体のモンスターが宙を舞う。一列に並んだ☆を光が飲み込み、逆転の一手を生み出すモンスターへと変化した!
3 + 4 + 2 = 9 !
ヤマト「天の光よ、大いなる正義よ、勇翼を煌めかせ、地上に舞い降りろ! シンクロ召喚!」
EXデッキから一体のシンクロモンスターが場に出される。
ヤマト「光臨せよ!『Hメドロウア・ワイバーン』!!」
Hメドロウア・ワイバーン ☆9 攻撃力2500
白い翼竜が天より姿を表し、光の粒を降らせながらアルティメット機械王を見下ろす。
少年「でも、その攻撃力じゃ僕の『アルティメット機械王』には…!」
ヤマト「『Hメドロウア・ワイバーン』はシンクロ召喚に成功した場合、シンクロ召喚に成功するまでにこのデュエル中自分が回復した数値の半分、攻撃力をアップする!そしてシンクロ素材となった『メドロウ・ドリアー』の効果によって、自分は1000ポイントライフを回復する!」
ヤマト LP100 → 1100
ヤマトがこのデュエル中に回復した数値、『メドロウ・ケイロン』の効果で2000、『天声の呼び声』の効果で1000、『メドロウ・ドリアー』の効果で2000、『天聖の加護』の効果で1500。合計…3250!
Hメドロウア・ワイバーン 攻撃力2500 → 5750
少年「それでも届かない!」
ヤマト「届かせて見せる!いや…君を超える!『Hメドロウア・ワイバーン』の効果発動!このモンスターの攻撃力を500ポイント下げ、僕のライフを500ポイント払うことで、相手がコントロールするモンスター1体の効果、または効果の発動を無効にする!『アルティメット機械王』の効果を無効化!」
ヤマト LP1100 → 600
Hメドロウア・ワイバーン 攻撃力 5750 → 5250
アルティメット機械王 攻撃力8400 → 400
少年「そ、そんな…!」
ヤマト「これで…超えられた!バトル!『Hメドロウア・ワイバーン』で、『アルティメット機械王』を攻撃!《シャイニング・バスター》ァァ!!」
あらゆる光を全身で吸収し、口元まで持っていく。そしてそれを自分のエネルギーと共に一気に発射。攻撃力がガクンと下がったアルティメット機械王を爆破する。
少年「ぅ、うわあああぁぁぁ!」
少年 LP300 → 0
ヤマト:勝利!
倒れている少年の元に歩み寄る。半身だけ起こした彼は怯えるように後ずさりをするが、そんな彼に優しく微笑む。
ヤマト「…良いデュエルだったよ。君、強いね」
手を差し伸べると自然と少年も手を出し起き上がった。服についた埃をパンパンと叩いてあげると、少年は俯いたまま押し黙った。
少年「…」
ヤマト「約束だったよね。悪魔のカード…僕に渡してくれないか」
少年「うん…。 はい、コレ…」
差し出しされた『アルティメット機械王』のカード。それを手に取ると、邪悪な気がゾワゾワとカードから這い出してきてヤマトの手首を締め付ける。
ヤマト「…」
少年「ひっ…!な、何なのこれ!?」
ヤマト「悪魔のカードの力だよ。僕が天使だから、僕に使われることを抵抗して攻撃してるんだ…」
腕に力を入れて、その締め付けに耐える。悪魔のカードといっても、悪魔は宿っていない。悪魔に触発されたカードなのでそれほどの力は持っていない。
ヤマト「(それにしても…中々力があるな…。気を緩めたら手首を完全に締め付けられそうだ…)」
グググ…。黒いオーラのような触手はヤマトにしつこく絡み、右腕を締め付ける。心配そうに見つめる少年に「大丈夫だ」と伝え、一枚のカードを取り出す。
少年「そのカードって…」
取り出したのは『Hメドロウア・ワイバーン』のカード。そのカードを『アルティメット機械王』の上に重ねる。すると…。
ヤマト「これでなんとかなる筈だよ…。ほら」
なんと悪魔のオーラは熱せられたようにジュワジュワと蒸発し、消滅した。残ったのは、普通のカードに戻った『アルティメット機械王』だけ。
ヤマト「はい。このカードは返すよ」
少年「え…でも…」
ヤマト「悪魔のカードの力は無くなった。このカードで、存分に遊んでおいで」
そう微笑むと、少年も満面の笑みで頷き、元の公園に走っていった。
ヤマト「…やっぱり人間の笑顔が一番の栄養だなぁ」
清々しい気持ちで心が満たされる。それと同時に、あることを思い出し、顔が青ざめる。
ヤマト「しまった…クレアに待っててって言われてたんだったー!どうしよう…!兎に角戻らな…あ…」
振り返ると鬼の形相のクレアが居た。アオヒサも、その気迫に押されて木の陰からそっと覗くだけだった。
クレア「ヤ~マ~ト~…」
ヤマト「あ、え、いや…これは…ちょっと…あ、悪魔のカードを…ね?さっきの子供とデュエルして…ね?」
クレア「言い訳無用!突然いなくなって、心配するじゃないの!大牙の部下がいつ挑んでくるかわからないのに、一人で行動しないの!」
襲いかかってきたクレアに頭を拳でグリグリされる。すごく痛い!さっきの悪魔のカードを賭けたデュエルのダメージより痛いんじゃないだろうか…とにかく痛い!
ヤマト「痛い!痛いよクレア!ギブアップ!ギブギブ!アオヒサさん、助けて!」
アオヒサ「あ~ゴメン。俺今怪我してるからさ。なんとか耐えてくれ」
ヤマト「そ、そんなぁ!痛い痛い痛い!」
クレア「ダイレクトアタック!ダイレクトアタックぅ!」
ヤマト「うわあぁ~~!」
グリグリグリグリ…。その攻撃はしばらく続き、林の中に天使の悲鳴が木霊する…。
アオヒサ「居ないのか?」
クレア「おかしいわね…。ここで待っててって言ったのに…」
ヤマトが居なくなっていたことを不審に思った二人は街中を散策することにした。
アオヒサ「しかし…大牙ってのはかなり怖い奴だよな。一回デュエルに負けたからって人を殺すなんて…」
クレア「そんな奴よアイツは…。アナタだって、なんとか助かってるけど知ってるでしょ?セキュリティだって、アイツが関係してるってなった事件な何軒も目を背けてきたわ。それだけ危ないの。大牙に関わるって…」
クレアはセキュリティで仕事をする父親が精鋭部隊に派遣された時、全滅させられた挙句に重度の大怪我を負わされたことを根に持っている。その父親は未だに病室のベッドで寝たきりにされているとか…。
クレア「もう1年前の話よ。まだ父さんは目を覚まさない…時々病院に行くんだけど、本当に息をしてるだけ…」
アオヒサ「そうだったんだ……。でもまぁ、きっと目を覚ましてくれるよ。その時までに大牙を倒して、オヤジさんをビックリさせてやろうぜ!」
クレア「…ふふ、そうね。できてるといいわね…」
ヤマト LP9400 手札1
場
メドロウ・ケイロン ☆4 攻撃力1700
メドロウ・サイクロス ☆4 攻撃力1900
セット魔法罠カード×1
少年 LP6800 手札3
場
ジェットメン ☆3 攻撃力1200
セット魔法罠カード×1
少年「ぼ、僕のターン、ドロー!」
ヤマトのライフ回復コンボに驚きながらも戦術を考えた少年は、一枚の魔法カードを発動する。
少年「僕は手札から永続魔法『機械帝国』を発動!このカードが発動されている限り、僕の場の機械族モンスターは1体で二体分として扱い、攻撃力・守備力を400ポイントアップする!」
ジェットメン 攻撃力1200 → 1600
少年「さらに、手札から『パトロボ』を特殊召喚!」
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
キャタピラの脚。ロボットのような上半身は、ハニワのような形をしている。
少年「『パトロボ』は相手フィールド上にモンスターが存在し、自分の場に機械族モンスターが存在する場合に手札から特殊召喚できる。そして、魔法カード『機械複製術』を発動!僕の場に存在する攻撃力500以下の機械族モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名のモンスター2体をデッキから特殊守召喚する!攻撃力500の『パトロボ』を指定し、2体特殊召喚!」
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
少年「『パトロボ』は自分フィールド上に存在するモンスターの数だけ戦闘では破壊されない」
ヤマト「『機械帝国』の効果で場の機械族は1体で2体分になる…つまり『パトロボ』自身を含めて、合計8回の攻撃に耐えられるのか…!」
少年「そうだよ。そのまま僕はターンエンド。そして、エンドフェイズ時に『ジェットメン』の効果発動!相手に600ポイントのダメージを与える!そして、自分の場に機械族モンスターが3体以上存在する場合、与えるダメージは2倍になる!」
ヤマト「うわあぁ!」
ヤマト LP9400 → 8200
少年「まだだよ!『パトロボ』の効果発動!自分ターンのエンドフェイズ時、僕の場に存在する機械族モンスターの数×100ポイントのダメージを与える。僕の場には2体分になっているモンスターが4体…800ポイントのダメージだ!」
ヤマト「くっ!うぅ…!」
ヤマト LP8200 → 7400
少年「『パトロボ』はもう2体残っている…残りのダメージも受けてもらうよ!」
ヤマト「ぐうぅぅ!」
ヤマト LP7400 → 6600 → 5800
少年 LP6800 手札1
場
ジェットメン ☆3 攻撃力1600
パトロボ ☆1 守備力1000 ×3
魔 機械帝国
セット魔法罠カード×1
ヤマト「くぅ…僕のターン、ドロー!」
壁を固めてくる戦法、戦闘破壊耐性を持つモンスターが場にならび、しかも効果ダメージまで与えてくる。早く決着をつけなければ、このまま効果ダメージだけで押し切られてしまう。
ヤマト「手札から魔法カード『天聖の転生』を発動!僕の手札の『天聖』カード1枚、または『メドロウ』モンスター2体をデッキに戻すことで、デッキからカードを2枚ドローする。そして、ドローしたカードが『メドロウ』モンスターなら、さらにもう一枚ドローが可能。『天声分離』を戻して…ドローォ!」
引いた2枚のカードを確認する…。
ヤマト「手札には『メドロウ・ドリアー』が存在していた、よって、さらにもう一枚ドロー!」
手札を2枚から3枚に増やすことに成功したヤマトは、一気に畳み掛ける。
ヤマト「悪いけど、一気に突破させてもらうよ!手札から『メドロウ・ドリアー』を召喚!」
メドロウ・ドリアー ☆2 攻撃力300
木の精霊であるモンスターが召喚される。このモンスターからの幾つもの逆境を乗り越えてきたのだ。
ヤマト「このモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキの一番上のカード3枚を確認できる。その中にレベル5以下の『メドロウ』モンスターが存在するなら、そのモンスター1体を特殊召喚する…!」
カードを3枚めくり、確認する。 魔法カード…罠カード…、モンスターカード!
ヤマト「確認した中には、レベル5『メドロウ・ゴーレム』が存在した。『メドロウ・ゴーレム』を特殊召喚!」
メドロウ・ゴーレム ☆5 守備力2200
ヤマト「ここで、僕は手札から『メドロウ・ノーム』の効果発動!このモンスターを手札から捨てることで、僕の場の『メドロウ』モンスター2体につき1枚デッキからカードをドローする。僕の場には4体のモンスターが存在する。よってカードを2枚ドロー!」
メドロウ・サイクロス、ケイロン、ドリアー、ゴーレムの4体がいることによって手札を4枚にまで巻き返す。
ヤマト「まだだ、レベル5『メドロウ・ゴーレム』に、レベル2『メドロウドリアー』をチューニング!」
二体のモンスターからそれぞれのレベルとなる☆が放たれ一列になり、それを光線が飲み込む。
ヤマト「聖戦士が翼を広げ、剣を振るう…!シンクロ召喚! 大いなる光!舞い踊れ!『Hメドロウ・ヴァルキス』!」
Hメドロウ・ヴァルキス ☆7 攻撃力1900
少年「シンクロ召喚…」
ヤマト「そう、これがシンクロ召喚だ。そして『メドロウ・ドリアー』が『メドロウ』シンクロモンスターの素材となった場合、自分は1000ポイントライフを回復する」
ヤマト LP5800 → 6800
少年「でも、ライフを回復しただけじゃ僕のコンボは超えられないよ…」
ヤマト「そうだ、だから、僕はこのカードを使う!リバースカードオープン!罠カード『天聖の粛正』発動!相手の場のモンスターが僕の場の『メドロウ』モンスターより多い場合、その差だけ相手は場のモンスターを手札に戻さなければならない!破壊耐性があっても、手札に戻るのは破壊じゃない…!」
少年「そうか…『機械帝国』の効果で、モンスターは2体分…その差は…4体!?」
そう、4体のモンスター、つまり少年の場のモンスターを全て手札に戻さなければならないのだ。
少年「うぅ…」
渋々モンスターを回収する少年に対し、ヤマトは宣言する。
ヤマト「バトルだ!『メドロウ・サイクロス』でダイレクトアタック!」
少年「うわっ!」
少年 LP 6800 → 4900
サイクロスが少年を突き飛ばし、ダメージを与える。子供が苦しんでいるのは心が痛むが、悪魔のカードを引き離す為だと自分に言い聞かせ攻撃を続けた。
ヤマト「次だ!『メドロウ・ケイロン』でダイレクトアタック!」
少年「わあぁ!」
少年 LP4900 → 3200
ヤマト「最後だ!『Hメドロウ・ヴァルキス』で、ダイレクトアタック!」
少年「うわああぁぁ!」
少年 LP3200 → 1300
ヤマト「(うぅ…相手が子供だと攻撃し辛いな…。それに、ダメージだって実際に起きてるんだし、死なないだろうけど、子供相手には…)カードを1枚伏せて、ターンエンド」
ヤマト LP6800 手札3
場
メドロウ・サイクロス ☆4 攻撃力1900
メドロウ・ケイロン ☆4 攻撃力1700
Hメドロウ・ヴァルキス ☆7 攻撃力1900
セット魔法罠カード×1
少年「ま…ま、負けない…」
ヤマト「?」
倒れた少年は、唸るように小さく言った。拳を作り、腕に力を入れている。
少年「大牙の兄ちゃんは…僕にレアカードをくれたんだ…僕が負けちゃったら…せっかく貰ったカードで、負けたことになるから…兄ちゃんが…がっかりしちゃうから…僕は、負けたくないんだぁ!」
立ちあがった。まだ子供だというのに気合を出して立った。その力が悪魔のカードからの影響なのかはヤマトには分からない。それとも、人間が持つ底力というものなのだろうか…。
少年「ドロー! やっと…来てくれた…!」
少年の表情に余裕が映る。
少年「僕は手札から魔法カード『機械王の号令』を発動!ライフを500ポイント払うことで、手札からレベル3以下の機械族モンスターを可能な限り特殊召喚する!さっき戻された『ジェットメン』と『パトロボ』3体を特殊召喚!」
少年 LP1300 → 800
ジェットメン ☆3 攻撃力1200 → 1600
パトロボ ☆1 守備力600 → 1000
フィールド魔法、機械帝国の効果によってステータスがアップした機械族モンスター達。しかし、少年の狙いはバーンではなく、手札に残っている『切り札のモンスター』であった。
少年「僕は、2体分となっている『ジェットメン』をリリースして、『パーフェクト機械王』をアドバンス召喚!」
パーフェクト機械王 ☆8 攻撃力2700 → 5700 → 6100
白と赤を基準とした巨大な人型のロボットが召喚され、木々をなぎ倒しながら場に降ってきた。砂煙を上げ堂々と現れたモンスターに、少年は期待の眼差しを向ける。
ヤマト「攻撃力…6100!?」
少年「『パーフェクト機械王』は、このモンスター以外の僕の場に存在する機械族モンスター1体につき攻撃力を500ポイントアップさせる効果がある。僕の場には、『機械帝国』の効果で2体分になった『パトロボ』が3体…。6体分攻撃力をアップしてるんだ!」
ヤマト「『機械帝国』の効果でさらに400アップ…なんて攻撃力だ…!」
少年「バトル!『パーフェクト機械王』で『Hメドロウ・ヴァルキス』を攻撃だ!《パーフェクトナックル》!」
拳を振り上げ、機械王はその大きな拳でヴァルキスに殴りかかる。
ヤマト「くっ、ヴァルキスの効果発動!このモンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ時、相手モンスターの攻撃力または守備力が元々の数値と違っていた場合、その変化している数値だけ、ヴァルキスの攻撃力をアップする!《シャイン・アップ》!」
空からの光を吸収したヴァルキスに力が宿る。機械王の上昇した3400分の数値がヴァルキスに加わった。
Hメドロウ・ヴァルキス 攻撃力1900 → 5300
少年「でも、そんな攻撃力じゃ僕の機械王には勝てない!」
その通りだった。攻撃力の上がったヴァルキスは左手に持つ盾で防ごうとしたが、その威力に負けて破壊されてしまった。
ヴァルキスの弱点…。それは元の攻撃力が1900以上のモンスターには攻撃力をアップしても勝てないということ…。変化するのは相手が変化した数値だけ、攻撃力が100でも上回るモンスターが居れば、数値を変化させたところで相手も変わっている…。それがヴァルキスの弱点なのだ。
少年「ターンエンド。ここで、『パトロボ』の効果発動!僕の場の機械族モンスター1体につき100ポイントのダメージを与える!それの…三回分だ!」
ヤマト「うあああぁ!」
ヤマト LP6800 → 6000 → 5200 → 4400 → 3600
パトロボから発射される8発の小型ミサイル。それを3体がそれぞれ乱れ撃ちし、ヤマトに当たって爆発したり、地面を小さく吹き飛ばしたりする。
ターンが終わる度に2400ものダメージ、これでは回復が追いつかない…!
少年 LP800 手札0
場
パーフェクト機械王 ☆8 攻撃力6100
パトロボ ☆1 守備力1000 ×3
魔 機械帝国
セット魔法罠カード
ヤマト「僕のターン、ドロー!」
なんとかしなければいけない。あの攻撃力を超えるモンスターを出す、またはカード効果で除去するしかない…。
ヤマト「『メドロウ・サイクロス』と『メドロウ・ケイロン』を守備表示にし、『メドロウ・ケイロン』の効果発動。手札の『メドロウ・イグニス』を墓地へ送って、ライフを1000ポイント回復する。さらに、墓地に存在する『メドロウ・マーメイド』の効果発動!このモンスターを除外することで、僕は墓地に存在する『メドロウ』モンスター1体につき200ポイントライフを回復する」
ヤマトの墓地には『メドロウ・ドリアー』『メドロウ・ゴーレム』『Hメドロウ・ヴァルキス』が存在している。合計で600ポイントの回復だ。
ヤマト LP3600 → 4600 → 5200
ヤマト LP5200 手札2
場
メドロウ・サイクロス ☆4 守備力0
メドロウ・ケイロン ☆4 守備力300
セット魔法罠カード×2
少年「僕のターンだ、ドロー! …リバースカードオープン!魔法カード『究極へのプログラム』発動!」
ずっと伏せられていたカードがついに発動された。まるで今までは力を蓄積していたかのようなそのカードにヤマトも身構える。
少年「僕のライフを500ポイント払って、僕の場に存在する攻撃力4000以上の機械族モンスター1体を除外して発動する。手札・デッキ・墓地から『アルティメット機械王』を特殊召喚するっ! きて…、『アルティメット機械王』!!!」
少年 LP800 → 300
発動した魔法カードが輝き、パーフェクト機械王は異次元の彼方へと吸収された。その異次元から飛来する黒いパーツがパーフェクト機械王に装備されていき、全く別の姿へと変化する。白い部分は黒へ、赤い部分は輝く緑に変わり、体格も一回り大きくなる。
パーフェクト機械王はアルティメット機械王へ変化し、異次元の彼方より帰還する。辺りに砂埃をまき散らし、木々を揺らしながら現れた巨大なロボットモンスター。
アルティメット機械王 ☆11 攻撃力???
ヤマト「コイツが…悪魔のカードか…!」
戯曲魔神・ドラマドーラと同じだ。イットとイズが持っていたあのカードと同じ邪悪な気。大牙が所持していたカードなのだろう。禍々しい気を感じる。
少年「『アルティメット機械王』の攻撃力と守備力は、僕の場に存在する機械族モンスター1体につき1000ポイント攻撃力をアップする。つまり、攻撃力…」
ヤマト「『機械帝国』と合わさって8400…!!」
アルティメット機械王 攻撃力8400
少年「それだけじゃない。手札から装備魔法『メカニカルブレード』を『アルティメット機械王』に装備! 装備モンスターが攻撃する場合、相手に半分の貫通ダメージを与える!バトルだ!『アルティメット機械王』で『メドロウ・サイクロス』を攻撃!《アルティメット・スラッシュ》!!」
アルティメット機械王が右手に持つ大きなツルギに自身のエネルギーを注ぎ込み、渾身の一撃を守備表示のサイクロスに与える。切り裂かれたサイクロスは爆散し、ヤマトは大ダメージを受けてしまう。
ヤマト LP5200 → 1000
吹き飛ばされたヤマトは後ろの木に叩きつけられる。そして、ライフは風前の灯となってしまった…。
少年「ターンエンド…。3体の『パトロボ』の効果で、お兄ちゃんのライフは0だ…!」
ヤマト「り、リバースカードオープン!速攻魔法『天聖の加護』発動!僕のデッキから『メドロウ』モンスター1体を墓地へ送ることで、そのモンスターの攻撃力分ライフを回復する!デッキの『メドロウ・イグニス』を墓地へ送り、その攻撃力1500分のライフを回復! うぐぅう!」
発射されたミサイルが着弾する前になんとかライフの回復に成功し、ギリギリで持ちこたえる。
ヤマト LP1000 → 2500 → 100
少年 LP300
場
アルティメット機械王 ☆11 攻撃力8400
パトロボ ☆1 守備力1000
ヤマト「僕の、ターン……。ドロー!」
引いたカードを見て、ヤマトはフッと微笑む。
少年「?」
ヤマト「君は、大牙を良い人だと言ったね」
少年「う、うん…」
ヤマト「違う。ソイツは、恐ろしい奴なんだ。何人も人を殺し、カードを奪い…。君が持っているそのレアカードだって、他の人から奪った物だ」
少年「そ、そんな…」
ヤマト「君の『アルティメット機械王』…ソレも、人から無理矢理………。僕は君を助けたい。悪魔のカードは危険だ。現に、今デュエルしてる僕はこんなに傷ついている。僕はまだしも、君はその力を友人に使うのか?誰かを傷つけることで、君の大切な人は喜んでくれるのか…?」
少年「そ、それは…」
押し黙ってしまった。小さな子供には、重いことを言ってしまっただろうか。
ヤマト「だから、僕は君から悪魔のカードを引き離す。そして、君みたいな人間たちを助けたい…!」
少年「人間たち?」
ヤマト「僕はね、人間じゃないんだ。天界から来た、天使なんだ。その力を持って、君を守る!」
白い翼を広げ、天使であるということを証明する。少年は驚いているが、ヤマトはそのままデュエルを続ける。
ヤマト「僕は手札から『メドロウ・ディーネ』を召喚!」
メドロウ・ディーネ ☆3 攻撃力1000
下半身が魚の少女が召喚される。ヤマトの反撃が始まった。
ヤマト「『メドロウ・ディーネ』が召喚に成功した場合、墓地に存在するレベル4以下の『メドロウ』モンスター1体を選択して特殊召喚する。『メドロウ・ドリアー』を特殊召喚!」
メドロウ・ドリアー ☆2 攻撃力300
ヤマト「『メドロウ・ドリアー』の効果発動!このモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキトップのカード3枚を確認し、その中に存在するレベル5以下の『メドロウ』モンスター1体を特殊召喚する!」
カードを確認していく。罠カード、罠カード……… モンスターカード!
ヤマト「確認した中には『メドロウ・シルフ』が存在していた!よって、『メドロウ・シルフ』を特殊召喚!」
メドロウ・シルフ ☆3 攻撃力1300
ヤマト「そして、リバースカードオープン!『天聖の儀』発動!このカードの効果で僕はシンクロ召喚する! レベル3『メドロウ・ディーネ』とレベル4『メドロウ・ケイロン』にレベル2『メドロウ・ドリアー』をチューニング!」
3体のモンスターが宙を舞う。一列に並んだ☆を光が飲み込み、逆転の一手を生み出すモンスターへと変化した!
3 + 4 + 2 = 9 !
ヤマト「天の光よ、大いなる正義よ、勇翼を煌めかせ、地上に舞い降りろ! シンクロ召喚!」
EXデッキから一体のシンクロモンスターが場に出される。
ヤマト「光臨せよ!『Hメドロウア・ワイバーン』!!」
Hメドロウア・ワイバーン ☆9 攻撃力2500
白い翼竜が天より姿を表し、光の粒を降らせながらアルティメット機械王を見下ろす。
少年「でも、その攻撃力じゃ僕の『アルティメット機械王』には…!」
ヤマト「『Hメドロウア・ワイバーン』はシンクロ召喚に成功した場合、シンクロ召喚に成功するまでにこのデュエル中自分が回復した数値の半分、攻撃力をアップする!そしてシンクロ素材となった『メドロウ・ドリアー』の効果によって、自分は1000ポイントライフを回復する!」
ヤマト LP100 → 1100
ヤマトがこのデュエル中に回復した数値、『メドロウ・ケイロン』の効果で2000、『天声の呼び声』の効果で1000、『メドロウ・ドリアー』の効果で2000、『天聖の加護』の効果で1500。合計…3250!
Hメドロウア・ワイバーン 攻撃力2500 → 5750
少年「それでも届かない!」
ヤマト「届かせて見せる!いや…君を超える!『Hメドロウア・ワイバーン』の効果発動!このモンスターの攻撃力を500ポイント下げ、僕のライフを500ポイント払うことで、相手がコントロールするモンスター1体の効果、または効果の発動を無効にする!『アルティメット機械王』の効果を無効化!」
ヤマト LP1100 → 600
Hメドロウア・ワイバーン 攻撃力 5750 → 5250
アルティメット機械王 攻撃力8400 → 400
少年「そ、そんな…!」
ヤマト「これで…超えられた!バトル!『Hメドロウア・ワイバーン』で、『アルティメット機械王』を攻撃!《シャイニング・バスター》ァァ!!」
あらゆる光を全身で吸収し、口元まで持っていく。そしてそれを自分のエネルギーと共に一気に発射。攻撃力がガクンと下がったアルティメット機械王を爆破する。
少年「ぅ、うわあああぁぁぁ!」
少年 LP300 → 0
ヤマト:勝利!
倒れている少年の元に歩み寄る。半身だけ起こした彼は怯えるように後ずさりをするが、そんな彼に優しく微笑む。
ヤマト「…良いデュエルだったよ。君、強いね」
手を差し伸べると自然と少年も手を出し起き上がった。服についた埃をパンパンと叩いてあげると、少年は俯いたまま押し黙った。
少年「…」
ヤマト「約束だったよね。悪魔のカード…僕に渡してくれないか」
少年「うん…。 はい、コレ…」
差し出しされた『アルティメット機械王』のカード。それを手に取ると、邪悪な気がゾワゾワとカードから這い出してきてヤマトの手首を締め付ける。
ヤマト「…」
少年「ひっ…!な、何なのこれ!?」
ヤマト「悪魔のカードの力だよ。僕が天使だから、僕に使われることを抵抗して攻撃してるんだ…」
腕に力を入れて、その締め付けに耐える。悪魔のカードといっても、悪魔は宿っていない。悪魔に触発されたカードなのでそれほどの力は持っていない。
ヤマト「(それにしても…中々力があるな…。気を緩めたら手首を完全に締め付けられそうだ…)」
グググ…。黒いオーラのような触手はヤマトにしつこく絡み、右腕を締め付ける。心配そうに見つめる少年に「大丈夫だ」と伝え、一枚のカードを取り出す。
少年「そのカードって…」
取り出したのは『Hメドロウア・ワイバーン』のカード。そのカードを『アルティメット機械王』の上に重ねる。すると…。
ヤマト「これでなんとかなる筈だよ…。ほら」
なんと悪魔のオーラは熱せられたようにジュワジュワと蒸発し、消滅した。残ったのは、普通のカードに戻った『アルティメット機械王』だけ。
ヤマト「はい。このカードは返すよ」
少年「え…でも…」
ヤマト「悪魔のカードの力は無くなった。このカードで、存分に遊んでおいで」
そう微笑むと、少年も満面の笑みで頷き、元の公園に走っていった。
ヤマト「…やっぱり人間の笑顔が一番の栄養だなぁ」
清々しい気持ちで心が満たされる。それと同時に、あることを思い出し、顔が青ざめる。
ヤマト「しまった…クレアに待っててって言われてたんだったー!どうしよう…!兎に角戻らな…あ…」
振り返ると鬼の形相のクレアが居た。アオヒサも、その気迫に押されて木の陰からそっと覗くだけだった。
クレア「ヤ~マ~ト~…」
ヤマト「あ、え、いや…これは…ちょっと…あ、悪魔のカードを…ね?さっきの子供とデュエルして…ね?」
クレア「言い訳無用!突然いなくなって、心配するじゃないの!大牙の部下がいつ挑んでくるかわからないのに、一人で行動しないの!」
襲いかかってきたクレアに頭を拳でグリグリされる。すごく痛い!さっきの悪魔のカードを賭けたデュエルのダメージより痛いんじゃないだろうか…とにかく痛い!
ヤマト「痛い!痛いよクレア!ギブアップ!ギブギブ!アオヒサさん、助けて!」
アオヒサ「あ~ゴメン。俺今怪我してるからさ。なんとか耐えてくれ」
ヤマト「そ、そんなぁ!痛い痛い痛い!」
クレア「ダイレクトアタック!ダイレクトアタックぅ!」
ヤマト「うわあぁ~~!」
グリグリグリグリ…。その攻撃はしばらく続き、林の中に天使の悲鳴が木霊する…。
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159 | 16話 声援の中の戦士 | 1734 | 0 | 2015-07-01 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/11/23 新商品 TERMINAL WORLD 2 カードリスト追加。
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