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HOME > 遊戯王SS一覧 > 4話 海底に届く光

4話 海底に届く光 作:19

アオヒサの場に召喚された最上級モンスター『ハント・カリスリヴ』。圧倒的な攻撃力をもってヤマトの前に立ちはだかる。

アオヒサ LP7500 手札0
 場
ハント・カリスリヴ ☆9 攻撃力3900
魔 ワンスワールド ●×6
罠 ハント・オブ・アドバンス

ヤマト LP10400 手札2
 場
メドロウ・ガードイル ☆3 守備力1900
Hメドロウ・フェニクス ☆6 攻撃力2200
Hメドロウ・ヴァルキス ☆7 攻撃力1900


 アオヒサ「バトルだ!『ハント・カリスリヴ』で『Hメドロウ・ヴァルキス』に攻撃!《ディープ・ハンティング》!」
 ヤマト「くっ!『Hメドロウ・ヴァルキス』の効果発動!相手モンスターと戦闘を行う時、相手モンスターが元々の攻撃力または守備力が変化していれば、その数値分このモンスターの攻撃力をアップする!シャイン・アップ!」
 アオヒサ「残念だったな。『ハント・カリスリヴ』が攻撃するバトルフェイズ中、相手フィールド上のカードの効果は全て無効になる。よって攻撃力も1900のままだ」
 ヤマト「そんな! うぐあぁ!」

ヤマト LP10400 → 8400

折角回復したライフが大幅に削られてしまった。始めのライフより微量に多いが、このままだとすぐに0にされてしまう。

 クレア「攻撃力3900。破壊耐性とかが無いにしろ、バトルフェイズ中は無敵って事よね…。厄介な効果だわ。ミラーフォースも次元幽閉も効かない。召喚自体を潰すようなカードじゃない限り、アイツを倒すのは無理ってことね…」
 アオヒサ「その通りだよクレアちゃん。コイツはバトルフェイズ中は敵無し…。俺はこれでターンエンドだ。さぁ…どうする?」

アオヒサは余裕の表情を見せつけ、ターンを終了した。まだ場にはモンスターが残っている。早くこの状況を抜けださなければ勝機は無い…。

アオヒサ LP7500 手札0
 場
ハント・カリスリヴ ☆9 攻撃力3900
魔 ワンスワールド ●×6
罠 ハント・オブ・アドバンス

 ヤマト「僕のターン…ドロー!」

引いたカードと手札の2枚、合計で3枚のカードを見て次の戦術を引き出す。

 ヤマト「(く…この手札じゃ勝てない…) カードを1枚伏せる。『Hメドロウ・フェニクス』を守備表示にして、ターンエンドだ」

ヤマト LP 8400 手札1枚
 場
メドロウ・ガードイル 守備力1900
Hメドロウ・フェニクス 守備力0
セット魔法罠カード×2

 アオヒサ「俺のターンだ。ドロー!装備魔法『サイレント・ハント』を『ハント・カリスリヴ』に装備!装備モンスターは貫通効果を得る!」
 ヤマト「貫通効果!?『Hメドロウ・フェニクス』の守備力は0。この攻撃が通れば、ライフが…リバースカードオープン!速攻魔法『天聖の加護』!デッキの『メドロウ』モンスター1体を墓地へ送ることで、このターン自分が受ける戦闘ダメージを墓地へ送ったモンスターの攻撃力分下げる!僕が墓地へ送るのはレベル3『メドロウ・イグニス』!攻撃力は1500。よって1500ポイントダメージは軽減させてもらう!」
 アオヒサ「なるほど、バトルフェイズ中にカードが使えないから、バトルが始まる前に使う…確かに賢いやり方だ。でも、どこまでもつかな…バトル!『ハント・カリスリヴ』で『Hメドロウ・フェニクス』を攻撃!《ディープ・ハンティング》!」

目を真っ赤にした捕食者が海中の不死鳥に食らい付く。一瞬にして粉々にされた不死鳥の火の粉が飛び散り、貫通ダメージを食らってしまった。

 ヤマト「うぐぅ…。『Hメドロウ・フェニクス』は、デュエル中3回までしか蘇生できない。これで、すべての蘇生権を使い切った…そして。蘇生できなくなったとき、自分は1000ポイントのダメージを受ける…」

ヤマト LP 8400 → 6000 → 5000

 アオヒサ「ターンエンド。さて、それだけ手札があるんだ。何とかしてくれるんだよな?」
 ヤマト「なんとかしなくちゃ…いけないんだ!ドロー!」

アオヒサ LP7500 手札0
 場
ハント・カリスリヴ 攻撃力3900
魔 ワンスワールド ●×6
魔 サイレント・ハント
罠 ハント・オブ・アドバンス

かなり危険な状況だ。『メドロウ・ガードイル』には戦闘・効果での破壊を一度ずつ免れる効果がある。しかし、『ハント・カリスリヴ』の効果の前では破壊耐性は無意味。

 ヤマト「手札から『メドロウ・ゴブリン』を召喚!」

メドロウ・ゴブリン ☆4 攻撃力1600

小柄な魔物、「ゴブリン」のモンスターが召喚される。このモンスターもサイクロスと同じように、魔物であり、仲間でもあるモンスターである。

 ヤマト「このモンスターは自分フィールド上に他の『メドロウ』モンスターが存在する場合、相手にダイレクトアタックすることができる。『ハント・カリスリヴ』で無効にできるのは、カリスリヴが攻撃する時だけ…、つまり、自分から仕掛ければ無効にはされない!バトルだ!『メドロウ・ゴブリン』でダイレクトアタック!」

棍棒を取り出したゴブリンが浮遊するカリスリヴの真下を通ってアオヒサを殴りつける。

アオヒサ LP7500 → 6700

 アオヒサ「んぅ!…って、あれ?800?」
 ヤマト「『メドロウ・ゴブリン』の効果でのダイレクトアタックで相手が受ける戦闘ダメージは半分になる。カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

ヤマト LP5000 手札1
 場
メドロウ・ガードイル 守備力1900
メドロウ・ゴブリン 攻撃力1600
セット魔法罠カード×1

 アオヒサ「俺のターン、ドロー。さて、だいぶキツくなってきたんじゃないのか?『ハント・ハベリア』を召喚!『ハント・ハベリア』が召喚されたことで、『ワンスワールド』にカウンターが一つ置かれる。アップする攻撃力は700!」

ハント・ハベリア ☆6 攻撃力1500 → 1900 → 2600
ハント・カリスリヴ 攻撃力3900 → 4000
海底の岩盤から化石が浮上して破裂する。中からはカンブリア紀に生息していた「ハベリア」そっくりなモンスターが出現する。そして、二つの魔法罠カードの効果で攻撃力を一気に1100ポイントもアップさせた。

 ヤマト「攻撃力2600。またライフが削られる…」
 アオヒサ「その通り。バトルだ!『ハント・ハベリア』で『メドロウ・ゴブリン』を攻撃!」

他のハントモンスターと違わず、目を真っ赤にした『ハント・ハベリア』は『メドロウ・ゴブリン』に襲いかかり、噛みついた。

ヤマトLP6000 → 4000

 ヤマト「『ハント・ゴブリン』が相手によって破壊された場合、墓地に存在するこのモンスター以外のレベル4以下の『メドロウ』モンスター1体を選択して手札に加えることができる。『メドロウ・ドリアー』を手札に加える。さらに、自分のライフを800ポイント回復する!」

ヤマト LP5000 → 4800
 
 アオヒサ「ライフ回復が多いな…。だが、また減らせば問題はない!『ハント・カリスリヴ』で『メドロウ・ガードイル』を攻撃!《ディープ・ハンティング》!貫通ダメージを受けてもらう!」
 ヤマト「うああぁ!」

ヤマト LP4800 → 2700

 アオヒサ「ターンエンド…。次で何かしなければ、本当に終わりだ」

アオヒサ LP7500 手札0
 場
ハント・カリスリヴ ☆9 攻撃力4000
ハント・ハベリア ☆6 攻撃力2600
魔 ワンスワールド ●×7
罠 ハント・オブ・アドバンス


 ヤマト「僕のターン…」

デッキに指を置き、目を瞑る。「天界の神様達。この一枚に全てを…」願ったヤマトは、勢いよくカードを引いた。

 ヤマト「…来た。クレア…。あのカード。今なら使えるよ…!」
 クレア「あのカードって…。『天聖の儀』のこと?でもあれって何も書かれてなかったんじゃ…」
 ヤマト「手札から『メドロウ・ドリアー』を召喚!そして効果発動!デッキトップを3枚確認する!」

魔法カード、魔法カード…モンスターカード!

 ヤマト「レベル3『メドロウ・シルフ』を特殊召喚!」

メドロウ・シルフ ☆3 攻撃力1200

緑色の肌をした風の精がヤマトの場に特殊召喚され、半透明の羽を広げてドリアーと隣り合った。

 ヤマト「『メドロウ・シルフ』の効果発動!墓地に存在する『メドロウ』モンスター1体をゲームから除外することで、そのモンスターのレベルを『メドロウ・シルフ』に+する!墓地の『メドロウ・ケイロン』を除外!」

メドロウ・シルフ ☆3 → ☆7

 ヤマト「これで条件はそろった。リバースカードオープン!『天聖の儀』!」
 アオヒサ「『天聖の儀』…?儀式召喚か!?」
 ヤマト「最初は僕もそう思った。けど、違うんだ。これは…シンクロ召喚!」
 クレア・アオヒサ「シンクロ召喚!?」

二人が同時に驚く中、ヤマトは声高らかに宣言する。

 ヤマト「『天聖の儀』の効果により、レベル7『メドロウ・シルフ』に、レベル2『メドロウ・ドリアー』をチューニング!」

普通のシンクロ召喚ではなく、罠カードの効果によるシンクロ召喚。異質な召喚方法に、アオヒサは息をのむ。

 ヤマト「天の光よ、大いなる正義よ、勇翼を煌めかせ、地上に舞い降りろ!」

7 + 2 = 9

 ヤマト「シンクロ召喚!!! 天臨せよ!『Hメドロウア・ワイバーン』!!」

Hメドロウア・ワイバーン ☆9 攻撃力2500

白い身体に、金色の翼と両腕。縦に二本の黒いラインが入っている大きな竜、ワイバーンがヤマトの真上に出現した。

 アオヒサ「コイツが君の切り札か…!でも、俺の『ハント・カリスリヴ』の攻撃力には及ばない!」
 ヤマト「シンクロ素材とした『メドロウ・ドリアー』の効果により、自分は1000ポイントライフを回復する。そして、発動した『天聖の儀』の効果により、『Hメドロウア・ワイバーン』はこのターン中2回攻撃ができる」

ヤマト LP2700 → 3700

 アオヒサ「でもそれだけじゃ…」
 ヤマト「『Hメドロウア・ワイバーン』の攻撃力は、このモンスターをS召喚するまでに自分が回復したライフポイントの半分の数値だけアップする。僕が回復した回数は『メドロウ・ケイロン』の効果で1000ポイント、『メドロウ・ドリアー』の効果で3000、『メドロウ・ゴブリン』の効果で800ポイント。合計4800ポイント!そしてその半分の数値…2400が『Hメドロウア・ワイバーン』に上乗せされる!《ホーリー・アベレージ》!」

Hメドロウア・ワイバーン 攻撃力2500 → 4900

 アオヒサ「攻撃力4900の2回攻撃だと…!?」
 ヤマト「いけぇ『Hメドロウア・ワイバーン』!『ハント・ハベリア』に攻撃!《シャイニング・バスター》!!」

金色の翼と両腕が海底に降り注ぐ光を全て吸収する。全てのエネルギーを口に持っていき、それを一気に放出した。攻撃表示の『ハント・ハベリア』は光線に飲み込まれ爆発四散し、アオヒサは大きなダメージを受けてしまった。

アオヒサ LP7500 → 5200

 アオヒサ「うぐぅ!『ハント・ハベリア』が破壊されたことで、『ワンスワールド』にハントカウンターを一つ乗せる!『ハント・オブ・アドバンス』の効果により、さらに100ポイントアップ!」

ハント・カリスリヴ 攻撃力4000 → 4100

カリスリヴの攻撃力が微量ながら上昇する。しかしカリスリブの攻撃力はヤマトが召喚したメドロウア・ワイバーンに及ばない。ヤマトはメドロウア・ワイバーンで攻撃を続ける。

 ヤマト「『ハント・カリスリヴ』を攻撃!《シャイニング・バスター》!!」
 アオヒサ「うわあああぁぁ!」

アオヒサ LP5200 → 4400

ついに、強敵であった「ハント・カリスリヴ」を破壊することに成功した。 

 ヤマト「これで、ターンエンド。エンドフェイズ時に『Hメドロウア・ワイバーン』の攻撃力は500ポイントダウンする」

Hメドロウア・ワイバーン 攻撃力4900 → 4400

ヤマト LP3700 手札1
 場
Hメドロウア・ワイバーン


 アオヒサ「ちぃ、こんなモンスター聞いてないぜ!ドロー!…俺の場にモンスターが存在せず相手の場にモンスターが存在する場合、墓地の『ハント・フルディア』の効果を発動!俺の場に『ハント・トークン』1体を特殊召喚する!」

ハント・トークン ☆1 守備力0

 アオヒサ「…カードを1枚セットし。ターンエンドだ」

小さな化石から小さなハントモンスターが登場する。カリスリヴを小さくしたようなモンスターだが、カリスリヴ程の脅威性や気迫はみられない。

アオヒサ LP4400 手札0
 場
ハント・トークン ☆1 守備力0
セット魔法罠カード×1
ワンスワールド ●×7
ハント・オブ・アドバンス


 ヤマト「僕のターン、ドロー!バトルだ!『Hメドロウア・ワイバーン』で『ハント・トークン』を攻撃!《シャイニング・バスター》!!」
 アオヒサ「これは繋ぐ!リバースカードオープン、罠カード『ハード・フォッシル』発動!俺の場に存在する岩石族モンスターは、このターン中戦闘・効果じゃ破壊されない!これでモンスターは破壊されない。次のターン…次のターンで…!」
 ヤマト「次のターンは来ない!手札から速攻魔法『天聖の光撃(てんせいのこうげき)』を発動!墓地の『メドロウ』モンスター3体をゲームから除外し、僕の場の光属性のシンクロモンスター1体に、貫通効果を与える!墓地の『メドロウ・ディーネ』『Hメドロウ・ヴァルキス』『メドロウ・ドリアー』を除外し…これで、終わりだぁ!」

メドロウア・ワイバーンの金色の翼と両腕は、さっきの二発以上に光を吸収する。まるでデュエルの終わりを告げるかの如く放たれた光線は、強固な化石となったトークンを飲み込み、そしてそのままアオヒサを吹き飛ばした。

 アオヒサ「うあああぁぁぁ!!」

アオヒサ LP4400 → 0


 勝者:ヤマト


ヤマトが勝つと、深海だった背景はスゥっと元の屋上の風景に戻っていく。倒れた衝撃で打ち付けた頭を擦りながらアオヒサは起き上がる。
 
 アオヒサ「痛ってぇぇ…。でも…良いデュエルだった」
 ヤマト「うん。僕も、すっごい楽しかった」

アオヒサに手を差し伸べ、立ち上がらせる。クレアもヤマトの勝利にVサインを送り、ヤマトも同じように返す。

 アオヒサ「これだけの実力があるなら…大牙に勝てるかもしれないな。確実な保証はないけど…」
 クレア「クヨクヨしてたってしょうがないわよ。やってみなきゃ分からないんだから」
 ヤマト「そうだよ。それに、アオヒサさんもいれば百人力だよ」
 クレア「確かにあのデュエルはかなりの物だったし、それこそ3人がかりなら大牙に勝てるわ」
 ヤマト「倒そう!大牙を…悪魔のカードを…!」
 クレア「うんうん…。って、まだ大牙が悪魔のカードを持ってるって決まったわけじゃないじゃないっ!」
 アオヒサ「はっはっは。ヤマトはせっかちだなぁ」

笑いあう三人。晴々とした空は、三人の友情誕生を祝杯しているようだった。



 男「ひ、ひぃぃ!」
 
その頃、無人となり、朽ち果てて人の寄り付かなくなった廃墟に、男の怯える声が木霊する。その男は、路地裏でヤマトとのデュエルに敗北した男だった。

 男「す、すみません…、結局カードを奪われて…一枚も、成果は…うぐぁ!」

黒いコートを羽織り、顔に斜めの大きな傷を持つ男…大牙は、成果を出せなかった男を瓦礫の山から蹴り落とした。
鋭い目つきから放たれる眼孔は、まるで極限状態まで追い詰められた獣のようなプレッシャーを放っていた。

 大牙「カードが回収できなかった…か。ならしょうがない…。お前のカードを食わせてもらう」

大牙の装備する黒いデュエルディスクから禍々しいオーラが溢れ、男の足を捕まえた。強制的にデュエルをするために…。

 男「ま、まって…まってくれよぉ!」
 大牙「待つか。バーカ…!」

大牙はモンスターを召喚する…。
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