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HOME > 遊戯王SS一覧 > 5話 嘲笑う者

5話 嘲笑う者 作:19

カードリーパーの基地となっている廃墟。大牙を含む数十人だけが出入りし、彼らは日々パズルシティの住民から密かにカードを略奪している。

 大牙「…っち。こんな奴じゃ、全然腹いっぱいにならないな…。もっと、強い奴じゃなきゃあな…」

男はボロ雑巾のように地面に倒れ、辺りにはカードが散乱している。身を隠していた他の部下たちはその無残な光景を見て怯えていた。彼らにとってその残酷なデュエルは「お前たちもこうなる」と言わんばかりの物だった。
裏切るようなマネはできない。元々悪人ばかりの集団で、一人でいればセキュリティに捕まってしまうが、大牙の部下であれば捕まらないのだ。彼が強すぎるから…。

 大牙「…」

考えるように一点を見つめる大牙。彼の脳内に、入る筈の無い別の人物が存在し、彼に話しかけていた。

 ?「臭うぜぇ、嫌ぁな天使様の気配がよぉ。この街だ。この街のどっかに隠れてやがる。きっと俺を狙ってるんだ…!」
 大牙「お前が、悪魔だからか?」
 ?「そりゃそうさ。アイツらは俺達が大っ嫌いだかな~。気を付けた方がいいぜぇ。きっとここに攻めてくる!そうなれば、お前だってタダじゃすまないだろうぜ」
 大牙「お前、俺を誰だと思ってる?お前を匿って、デュエルエナジーを分け与え…。俺が居なきゃ何もできなかったクセに、調子にのるなよ」

細身ながらも筋肉があり、ボロボロな翼を生やした灰色の男。爪は鋭く伸び、額からは角が生えている。コイツが悪魔だ。ヤマトが探している邪悪な存在であり、倒さねばならぬ危険な存在だ。
悪魔と大牙、二人しかいない真っ暗な思考空間。普通であれば完全に悪魔の土俵である空間だが、大牙は堂々と対話している。
コツコツとブーツの音が暗い世界に響く。大牙は悪魔を押し倒す勢いように目の前に立ちふさがった。高身長である大牙の威圧感は凄まじく、悪魔でさえ冷や汗を掻くほどだ。

 悪魔「わ、わかってるって…あんまり怒るなよ…な?」
 大牙「忘れるなよ、悪魔の力なんて興味本位で使ってるだけだ。そんな物無くったって俺は充分闘える。余計な助言はいらない。次俺に指図するならお前もろとも《あのカード》を破り捨てる」
 悪魔「あ…あぁ、そうだな…。(なんだよコイツ。本当に人間か…?悪魔の中じゃかなり力のある方だと自負してたが…コイツは規格外だぜ…)」

大牙は元の意識に戻ると、無線機を取り出してある人物に命令を出した。

 大牙「俺だ。お前に頼みがある。あぁ、前々から言ってたから分かるだろ。《天使のデュエリスト》のことだ…」



その翌日。アオヒサ宅でデッキ調整と戦術を練っていた3人が起床した。

 アオヒサ「クレアちゃぁーん!!おっはよーぅ!」

水玉模様のパジャマでピョコンとはねた寝癖のついたクレアに、アオヒサは大胆に飛びつく。

 クレア「きゃあ!?へ、変態っ!」

咄嗟に突き出した拳は綺麗に鳩尾にクリティカルヒットする。目を見開きながら、アオヒサはベッドの横に撃沈した。

 ヤマト「ん…ん~?」

クレアの悲鳴に目覚めたヤマト。彼女以上に激しい寝癖は重力を無視したように真上に反り立っていた。

 クレア「っ!?ちょっと…その髪型は反則…!あっはははは!」

笑いを堪えようとするクレアだったが、たまらず笑声を上げる。手鏡を手に取り、ヤマトにもその髪型を見せる。
 
 ヤマト「ん?って、うわっ!?ホントなにコレ!?」
 クレア「おかしいわ、はっはっはっは!あ~、お腹痛い…」
 ヤマト「カッコいい…!!」
 クレア「え!?」

笑いすぎでお腹を押さえるクレアはヤマトの発言に驚く。起き上がったアオヒサもヤマトの髪を見てクレアと同じように涙を流しながら抱腹絶倒した。ただ、当の本人は気に入ってしまった。

 ヤマト「戻っちゃった…かっこよかったのに…」
 クレア「元の髪の方がカッコいいわよ…ふふ、それに…あのままいられたら、面白すぎてデュエルどころじゃないわ…ふふっ」

紅茶を飲もうとするが、思い出し笑いのせいで上手く飲めないクレアは言った。

 アオヒサ「髪は面白かった。いい目覚ましになったぜ、ヤマト」
 ヤマト「むぅ…」
 クレア「…それにしても、大牙のデッキが本当に気になるわ」

話は突然難しい物になる。クレアの真剣な表情に、二人も真面目な顔付きになる。

 クレア「大牙…セキュリティを全く寄せ付けない程の実力者よ。正直、私たちなんかで勝てるのかも怪しい所…」
 ヤマト「でも、やるしかないじゃないか。悪魔のカード…あんな危険なものを野放しにできないよ。僕たちだけでもなんとかしなきゃ」
 アオヒサ「普通のデュエルで勝負っていうなら俺ももうちょっと気楽に行けたんだけどな…。今回ばっかりは相手が悪すぎるぜ。ダメージをリアルに受けるなんて考えられないしよ」

気弱に言うアオヒサ。ヤマトは紅茶をグイッと飲み干して言う。

 ヤマト「それでもやるしかない。僕たちがしなきゃ…これからももっとたくさんの人が大事な物を奪われていく」
 クレア「そうね。それにアナタも協力してくれるんでしょ?昨日も言ってたじゃない」
 アオヒサ「そりゃ、一度言っちゃあ今更取り消しなんて言わないさ。ただ、相手は盗賊集団カードリーパー。ふつうのデュエルじゃないんだ。一度でも負ければ、デッキごと…」
 クレア「もうっ。自信ないわね…。昨日はあれだけノリノリでデッキ考えてたじゃない…。私達とじゃ、心配…?」

クレアは人差し指を小さく加え、瞳をウルウルとさせてアオヒサに訴える。それに対してアオヒサが気合を取り戻さないわけがない。

 アオヒサ「ぜっっんぜん!全く心配してないぜクレアちゃん!パズルシティ大会準優勝者の俺がいれば、カードリーパーの一人や二人、いや100人や1000人でも圧勝だぜ!」
 クレア「よね~♪頼もしいわっ」
 アオヒサ「おうよ!」

気が良くなったアオヒサは朝食であるトーストをがっつき、気合を入れる。二人もそれを見て朝食に手を付ける。



食事が終わった3人は着替えて外に出た。昨日と同じく晴々とした空が温かく、春の兆しを告げている。

 クレア「う~んっ。やっぱり動くのが一番ね~」

腕をグッと伸ばして体をピンと張る。元気な少女の声は、これから街で一番危険な人物とデュエルをしに行くような口調には聞こえない。

 ヤマト「カードリーパーが近くにいたら、僕が分かる筈だよ。大牙の持ってる悪魔のカードに中てられて邪悪な気を微かに出してる人…その人がカードリーパーだ」
 アオヒサ「なるほど、流石にカードリーパーでも、3体1じゃ分が悪いよな」
 クレア「確かにそうだけど…そんな事してたらいつまでたっても大牙の場所にたどり着けないわ」

街中を散策しながらクレアが話す中。突然ヤマトが足を止めた。

 ヤマト「…いる。ちょっと遠いけど…。確かにいるよ」
 アオヒサ「ホントか!どっちだ!?」
 ヤマト「この感じは…」

四方に少しずつ歩みを寄せ、手探り状態で相手の場所を確認する。

 ヤマト「これは…こっちだ!」

ヤマトが走り、二人も後を追う。数分も進んでいくと、人通りの少ない団地に到着した。

 ヤマト「…カードリーパー!ここに居るのはわかってるんだ!出てこい!」

ヤマトの声が静まり返った団地に響き、しばらくして二人の男が駐車場の陰から現れた。短髪で、黒い髪の方と赤い髪の二人。二人とも迷彩柄のズボンを穿いており、上は黒のタンクトップとかなりの薄着だ。

 ?1「ここがバレる筈なかったんだが…どうやら、お前が天使らしいな」
 ?2「自分達から来てくれるなんて探す手間が省けてちょうどいいぜ。3体2だろうがかまわねぇ。かかってこいよ。もちろん負けたら…デッキを貰う!」

二人はグレーのデュエルディスクを装備し、デッキをセットする。

 アオヒサ「じゃあ遠慮なく!ヤマト、クレアちゃん!」
 クレア「アオヒサ。ここは私達だけに任せて」
 アオヒサ「えっ…?」

驚くアオヒサを引き下がらせ、クレアはヤマトと共にフィールドとなる駐車場に足を踏み入れる。

 クレア「アナタはこいつ等が逃げないように見張っててほしいの。それに…3体2なんて卑怯な事はしたくないわ」
 ヤマト「うん。正々堂々勝負しよう」
 ?1「なんだなんだ?みんなで来ないのかよ、情けないなぁ」
 ?2「どうせ、負けた時の言い訳が欲しかったんだろう」
 クレア「言い訳?そんな物、用意しておくのは貴方達の方ね!」
 イット「威勢の良い女だこと…。言い忘れてたな。俺の名前…いや、コードネームは『イット』」
 イズ「そして俺が『イズ』だ…行くぜ!」


 ヤマト&クレアVSイズ&イット「デュエル!」

ヤマトLP8000 手札5
クレアLP8000 手札5
イットLP8000 手札5
イズLP8000 手札5

 イズ「まずは俺のターンからだ!2体2のデュエル…だったか。だがよぉ、チームプレイってのは、こんなこともそうなんだぜ!魔法カード『ラストバトン』発動!俺のライフを0にする!」

イズ LP8000 → 0

 ヤマト「何!?」
 クレア「開始1ターン目から…自滅!?」

 イズ「くくく…何もただ自滅した訳じゃねぇぜ。このカードの効果はそれだけじゃない。このカードを発動したデュエルがタッグデュエルの場合、自分が失った分のライフを味方のライフにプラスし、さらに手札もタッグプレイヤーに渡す効果さ!」

イズは残りの手札4枚をイットに投げ渡す。手札を大量に補充したイットは勝利を確信する。

イット LP8000 → 16000 手札 9枚
 イズ「さらに…このカードを発動した次の相手ターン、相手は攻撃宣言をすることができない。その内に強力なモンスターでも出して破壊されないようにしてるんだな」
 イット「しかも今のカードで、俺の手札にカードはそろった…お前達に勝ち目はないぜ」
 クレア「確かに…次の私のターンでも攻撃はできない…。それでも1体2の状況を作るのは危険すぎるわよ?」
 イット「俺達は只のカードリーパーじゃない。大牙様から直々に選別された選りすぐりのメンバーだ!」
 ヤマト「選りすぐりのメンバー…!?」
 イズ「FT(ファングトルーパー)さ。お前達に勝ち目はねぇぜ。お前達の負ける姿をゆっくり眺めさせてもらうとするか…」

フィールドの隅に置いてある車のボンネットに跳び乗り。あぐらを掻いて不敵に笑う。

 クレア「私のターン。ドロー!私は手札から『H・Cサウザンドブレード』を召喚!そして効果発動、手札の『ヒロイック』モンスター1体を墓地へ送ることでデッキからレベル4以下の『ヒロイック』モンスター1体を特殊召喚し、このモンスターを守備表示にするわ。『H・Cウォーハンマー』を墓地へ送って、『H・Cダブルランス』を特殊召喚!」

H・Cサウザンドブレード ☆4 攻撃力1300 → 守備表示1100
H・Cダブルランス ☆4 攻撃力1700

 クレア「レベル4『H・Cサウザンドブレード』と『H・Cダブルランス』で、オーバーレイネットワークを構築!」

二体の戦士は光となって、地面に出来た虹色の大きな穴に吸い込まれてゆく。中でまじりあった二つの力が何色にも輝く爆発とともに、全く違うモンスターへと姿を変える。

 クレア「その一撃は速く遠く…一矢報う流鏑馬の騎士!エクシーズ召喚!『H-Cガーンディーヴァ』」

騎馬に乗った騎士が、腕にボウガンを装備して現れた。1ターン目からのエクシーズ召喚により、ヤマトも少し安心する。

H-Cガーンディーヴァ ランク4 攻撃力2100

 クレア「『H-Cガーンディーヴァ』は1ターンに一度、相手がレベル4以下のモンスターを特殊召喚した場合、素材を一つ取り除くことでそのモンスターを破壊する!さぁ展開してみなさい!カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

クレア LP8000 手札2
  場
H-Cガーンディーヴァ ランク4 攻撃力2100
セット魔法罠カード×2

 イット「俺のターンだ。ドロー!ライフを2000ポイント払うことで、手札から『戯曲魔神・ドラマドーラ』を召喚!」

イット LP16000 → 14000
戯曲魔神・ドラマドーラ ☆4 攻撃力1700

 カウボーイハットをかぶったピエロが召喚され、肩を震わせながら不気味に笑う。

 イズ「来たか…。このデュエル、勝ったな」
 イット「バトル!『戯曲魔神・ドラマドーラ』で、『H-Cガーンディーヴァ』を攻撃!」
 クレア「自爆特攻!?でも攻撃したのは間違いよ。リバースカードオープン!速攻魔法『虚栄巨影』発動!私の『H-Cガーンディーヴァ』の攻撃力を1000ポイントアップさせるわ!」

H-Cガーンディーヴァ 攻撃力2100 → 3100

 クレア「攻撃力はこっちの方が断然上!その差の数値、1400のダメージを受けてもらう!」
 イット「そんなの意味ないな!『戯曲魔神・ドラマドーラ』の効果発動!このモンスターが戦闘を行う場合、その戦闘が終了するまで、このモンスターの攻撃力または守備力を、フィールド上に存在する他のモンスターの攻撃力または守備力と入れ替えることができる!」
 ヤマト「なんだって!?」
 イット「俺は、『戯曲魔神・ドラマドーラ』と『H-Cガーンディーヴァ』の攻撃力を入れ替えるぜ!《トリックレイル》!」

ドラマドーラが作り出した大きな二枚の丸鏡。ドラマドーラとガーンディーヴァの二体を挟むように写しだし、合わせ鏡の中で二体のモンスターが交互に映る。

戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力1700 → 3100
H-Cガーンディーヴァ 攻撃力3100 → 1700

丸鏡の奥に映るガーンディーヴァが、反対の鏡に映るドラマドーラの内の1体をボウガンで撃ちぬく。撃たれたドラマドーラが元のガーンディーヴァの姿に戻り、破壊される。そして、戦闘に勝ったガーンディーバが兜を外すと、なんとソイツがドラマドーラだった。ケタケタと笑って、馬から飛び降り、鏡の中からヌッと姿を現してクレアをあざ笑う。

戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力3100 → 1700

 クレア「くぅ!なんなのこの効果…!」

クレア LP8000 → 6600
 
 イット「はっはっは!その程度かよ!俺はカードを4枚伏せて、ターンエンドだ!」

イット LP14000 手札5
  場
戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力1700
セット魔法罠カード×4

 ヤマト「僕のターン、ドロー!手札から魔法カード『天聖の呼び声』を発動!手札の『メドロウ』モンスター1体をデッキに戻すことで、戻したモンスターのレベル以下の『メドロウ』モンスター1体を特殊召喚!『メドロウ・グリフォニス』を戻して、『メドロウ・ケイロン』を特殊召喚!」

メドロウ・ケイロン ☆4 攻撃力1700

 ヤマト「ステータスを入れ替える効果は確かに強力だよ。でも、同じ攻撃力を持つモンスターとの戦闘なら意味はない!」
 イット「なるほど、確かにな…だが、俺には4枚も伏せがあるんだぞ?攻撃してくるのか?」
 ヤマト「脅しなら通用しないぞ!まずは『メドロウ・ケイロン』の効果発動!手札の『メドロウ』モンスター1体を墓地へ送ることで、次の相手ターン終了時まで、戦闘では破壊されない!バトルだ!『メドロウ・ケイロン』で『戯曲魔神・ドラマドーラ』を攻撃!」
 イット「人の話を聞いてなかったみたいだな…!ドラマドーラが入れ替えられるのは攻撃力だけじゃないんだよ!『戯曲魔神・ドラマドーラ』の効果発動!ドラマドーラの守備力と、お前の『メドロウ・ケイロン』の攻撃力を入れ替える!《トリックレイル》!」

戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力1700 → 1700
メドロウ・ケイロン 攻撃力1700 → 1300

ガーンディーヴァがやられたように、二体のモンスターを丸鏡が挟む。鏡の中の合わせ鏡の中のケイロンがドラマドーラを殴ると、殴られたドラマドーラがケイロンに変化する。代わりに、殴った方のケイロンがドラマドーラの姿に戻っている。
 ヤマト「く…そうだった…!でも、戦闘破壊まではされない…!」

ヤマト LP8000 → 7600

 イット「はっはっはっは!馬鹿野郎だな!天使様はトーシローかぁ!?」
 クレア「ヤマト、あんな奴の挑発に乗っちゃだめよ。ここは冷静にならないと」
 ヤマト「そうだね…、僕は、カードを1枚伏せてターンエンド!」

ヤマト LP7600 手札2 
  場
メドロウ・ケイロン 攻撃力1700
セット魔法罠カード×1

 イット「俺のターンだ!ドロー!」

味方のリタイアを糧に多大なライフとアドバンテージを得たイットは、手札を見てはニヤリと笑う。

 イット「俺はリバースカード、永続罠『嘲笑パンドラ』を発動。このカードが発動されている限り、俺のモンスターが攻撃する度にお前のライフを600ポイント回復させ…1200ポイントのダメージを与える」
 クレア「まどろっこしい効果ね。回復させるくらいなら普通に600ダメージを与えればいいじゃないのよ」
 イット「アメとムチだよ。上げて…落とす!バトルだ!『戯曲魔神・ドラマドーラ』で、天使のトーシローにダイレクトアタック!」

ヤマトの目の前に大きな丸鏡が出現し、写り込む自分の姿が歪んでドラマドーラに変わる。驚いて後ずさりすると、突然後ろからドラマドーラがナイフで斬りつけてきた。

 ヤマト「うぐぁぁ!」

ヤマト LP7600 → 5900

背中に走る激痛。どうやダメージが実体化しているようだ。跪くヤマトを見て、ドラマドーラがケケケと笑い、イットの元に戻っていく。

 イット「ここで、『嘲笑パンドラ』の効果によりお前に600ポイントのライフボーナスだ。受け取りな」

ヤマト LP5900 → 6500

 ヤマト「痛みが、ほんの少し引いた…?」
 イット「そして、コイツがムチだよ!1200ダメージだ!」
 ヤマト「!?うああぁ!」

ヤマト LP6500 → 5300

 イット「さてと…ターンエンドだ。かかってこいよ嬢ちゃん、へへへ…」
 クレア「アナタのターンの終わりにこのカードを発動させてもらうわ。リバースカードオープン、罠カード『トゥルース・リインフォース』。私のデッキからレベル2以下の戦士族モンスター1体を選んで特殊召喚する。このカードを発動したターン私は攻撃できない…けど、発動したのは貴方のターンのエンドフェイズ、そのデメリットも意味はないわ。『H・Cアンブッシュ・ソルジャー』を特殊召喚」
 イット「へぇ。トーシローな天使様とは違って色々考えられてるじゃん」

イット LP14000 手札6
  場
戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力1700
罠 嘲笑パンドラ
セット魔法罠カード×3

 クレア「そして私のターンよ…ドロー。スタンバイフェイズ時にアンブッシュ・ソルジャーの効果が発動されるわ。このモンスターをリリースして、手札・墓地からアンブッシュ・ソルジャー以外の『ヒロイック』モンスター2体を選択して特殊召喚するわ。手札に存在する2体の『H・Cエクストラソード』を特殊召喚!」

H・Cエクストラソード ☆4 攻撃力1000

二つの剣を構えた緑の鎧の戦士が2体同時に場に特殊召喚される。

 クレア「まだよ。手札から『H・Cダブル・ランス』を召喚!ダブル・ランスが召喚に成功した時、手札または墓地のダブル・ランス1体を守備表示で特殊召喚する!墓地のダブル・ランスを特殊召喚!」

H・Cダブル・ランス ☆4 攻撃力1700
H・Cダブル・ランス ☆4 守備力900

 ヤマト「凄い…一気に4体のモンスターを並べるなんて」
 クレア「ふふん。そうでしょ?だって私だもんっ。でも、もっと凄いの見せてあげるわ!2体のエクストラソードと、守備表示のダブル・ランスで、オーバーレイネットワークを構築!」

3体のモンスターが虹色の穴に入り込み、輝きながら爆発する。

 クレア「朱き鎧武者よ。今こそ剣(つるぎ)に光を灯し、抗う敵に終止符を…エクシーズ召喚!『H-Cクサナギ』!!」

H-Cクサナギ ランク4 攻撃力2500

朱い鎧を纏った大きな武者がエクシーズ召喚された。罠カードの発動を無効にし、攻撃力を上昇させる力を持つヒロイックモンスターのエースの1体だ。

 クレア「『H・Cエクストラソード』をエクシーズ素材としたモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。素材にしたエクストラソードの数は2体…攻撃力を2000ポイントアップよ!」

H-Cクサナギ 攻撃力2500 → 4500

 イット「攻撃力4500か…だが、戦闘じゃドラマドーラに勝てる奴なんていなんだよ!」
 クレア「そうね。だから、私はカードを2枚セットしてターンエンドよ。次のターンアナタの負けが決まったわ。覚悟しなさい」

鋭い目つきで淡々と言い切ったクレアは、今までに無い程力に満ち溢れていた。

クレア LP6600 手札0
  場
H-Cクサナギ 攻撃力4500
H・Cダブル・ランス 攻撃力1700
セット魔法罠カード×2

 イット「俺のターン、ドロー!」
 クレア「リバースカードオープン!『バトルマニア』発動!このターン、相手の場のモンスターはかならず攻撃宣言をしなければならない!さぁ、かかってきなさい!返り討ちにしてあげるわ!」
 イット「コイツ…正気か?ドラマドーラの効果をあれだけ味わっておいて…ドラマドーラに攻撃をしろってのかよ!じゃあお望み通りにバトルだ!『戯曲魔神・ドラマドーラ』で、『H-Cクサナギ』を攻撃!効果発動!クサナギの攻撃力と、ドラマドーラの攻撃力を入れ替えるぜ!《トリックレイル》!」

戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力1700 → 4500
H-Cクサナギ 攻撃力4500 → 1700

ケタケタと笑うドラマドーラがまたも丸鏡を出現させて互いのモンスターを挟み、合わせ鏡を作り出す。それに合わせて、鏡に映ったクレアもニヤッと笑った。

 イット「!?まさか、リバースカード!?」
 クレア「その通りよ!リバースカードオープン!カウンター罠、『威風堂々』発動!バトルフェイズ中に発動した相手の効果モンスターの効果を無効にして、破壊する!消えなさいピエロ!」

リバースカードが発動されると、鏡の中に映るすべてのクサナギが一斉に動き出した。一糸乱れぬ動きで背に映るドラマドーラの首をガシッと掴み、手にする剣でドラマドーラを突き刺し、破壊した。

 イット「そ、そんな…!」
 クレア「FGとか言ったかしら?盗賊集団の幹部なら…もっと相手の伏せは警戒するべきね」
 ヤマト「すごいやクレア!最初からそれを狙ってバトルマニアを」
 クレア「そうよ。ただ、相手の伏せ3枚はブラフだったみたいね。バトルマニアを発動した時点で疑う筈よ。なのに何もしてこなかった…つまり、あれはこけおどしね」
 イット「ちぃ!好きかって言いやがって!だが、忘れてねぇか!?俺は『嘲笑パンドラ』を発動している!その効果によって、お前にアメとムチのダメージだ!」

発動されている罠カードから電撃のような光線がクレアを襲う。初めは癒しの光として、次はもっと大きなダメージとしてクレアを苦しめた。

クレア LP6600 → 7200 →6000

 クレア「くぅ…!癒されてるのか痛いのかよくわからいわね…!」
 イット「ブラフだって言ったよなぁ…違うよぉコイツはなぁ!これからのお前達の敗北を彩る為のカード達なんだよ!もっともっと足掻けよぉ!?カードを1枚伏せてターンエンドだ!来いよ、天使様よぉ!」

イット LP14000 手札6
  場
罠 嘲笑パンドラ
セット魔法罠カード×4

 ヤマト「僕のターンだ!…ドロー!」

勢いよくドローして手札を確認する。2体1の変則デュエル。二人居る分こちらの方が有利に思えるが、相手には4枚の伏せカード、6枚の手札と14000という多大なライフがあり、油断はできない。

 ヤマト「『メドロウ・ドリアー』を召喚!そして召喚時の効果発動!ドリアーが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分はデッキの一番上のカード3枚を確認できる。その中にレベル5以下の『メドロウ』モンスターが存在する場合、そのモンスターを特殊召喚する!」

メドロウ・ドリアー ☆2 攻撃力300

3枚のカードを同時にドローし、一枚ずつ確認する。罠カード、魔法カード…モンスターカード!

 ヤマト「『メドロウ・グリフォニス』を特殊召喚!」
 
メドロウ・グリフォニス ☆5 1600

鷹の顔をした虎に翼が生えたような神話生物が特殊召喚される。それに対し、イットもカードを発動する。

 イット「へっ!そのままシンクロして一斉攻撃だろうがよ!させねぇぜ!リバースカードオープン!罠カード『戯曲魔神の台本(シナリオ)』!相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、俺の墓地に存在する『戯曲魔神・ドラマドーラ』を特殊召喚する!戻ってこい…あざ笑う奇術師!」

戯曲魔神・ドラマドーラ ☆4 攻撃力1700

折角破壊したドラマドーラが復活した。しかし、ヤマトはそれを見越していた。

 ヤマト「ドラマドーラ…確かに強力なモンスターだよ。だけど、僕だってそれを超えて見せる!レベル5『メドロウ・グリフォニス』にレベル2『メドロウ・ドリアー』をチューニング!」

5+2=7

 ヤマト「聖戦士が翼を広げ、剣を振るう!大いなる光!舞い踊れ!『Hメドロウ・ヴァルキス』!」

Hメドロウ・ヴァルキス ☆7 攻撃力1900

金髪のヴァルキリーが天より舞い降り、ヤマトの場に白い翼を広げる。

 イット「シンクロ召喚か!危ない危ない…さらに別のカードを使わせてもらう!リバースカード、速攻魔法『サモン・ペナルティ』を発動!相手がモンスターを召喚・特殊召喚した場合、相手に、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える!そして、与えたダメージの数値分、俺の場のレベル4モンスター1体の攻撃力をアップする!」
 ヤマト「そんなもの効かない!シンクロ素材とされた『メドロウ・ドリアー』の効果によって、自分は1000ポイントライフを回復する。さらに、特殊召喚に成功した『メドロウ・フェニクス』の効果によって、自分がこのターン相手から受ける戦闘・効果ダメージは半分になる!」

ヤマト LP5300 → 6300 → 5350
戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力1700 → 3600

ダメージを最小限に押さえたが、ドラマドーラの攻撃力は高く上昇した。しかし、今のヤマトはその程度の事では屈しない。

 ヤマト「攻撃力が上がったって…ヴァルキスには効かない!バトルだ!『Hメドロウ・ヴァルキス』で『戯曲魔神・ドラマドーラ』を攻撃!」
 イット「自爆特攻…!?」
 ヤマト「そんなわけない!シンクロ素材とされた『メドロウ・グリフォニス』の効果によって、ドラマドーラの攻撃力を1000ポイントダウンさせる!そして、『Hメドロウ・ヴァルキス』の効果発動!このモンスターと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力または守備力が、もともとの数値と違っていた場合、バトルフェイズ終了時まで、変化している数値だけ、ヴァルキスの攻撃力をアップする!《シャイン・アップ》!」

戯曲魔神・ドラマドーラ 攻撃力3600 → 2600
Hメドロウ・ヴァルキス 攻撃力1900 →2800

攻撃力をダウンされながらも邪悪なオーラを醸し出すドラマドーラに怖気づくことなく、ヴァルキスは剣を神々しく光らせる。

 イット「うっぐぅ!コイツ…!よくも俺のモンスターを…!」

イット LP14000 → 13800

 ヤマト「カードを2枚伏せて、ターンエンド」

ヤマト LP5350 手札0
  場
Hメドロウ・ヴァルキス 攻撃力1900
セット魔法罠カード×3

 イット「俺のターン…ドロー!トーシローの天使野郎が…!俺の本気を見せてやる!」

二度もエースモンスターを破壊されたことにより、イットの苛立ちは頂点に達していた。その怒りを勢いにしてカードを発動していく。

 イット「『嘲笑パンドラ』をコストに墓地へ送って、リバースカードオープン!永続魔法『パペットフォース』発動!俺の墓地に存在する『戯曲魔神・ドラマドーラ』を除外し、ライフを半分払うことで…相手の場のモンスターのコントールを全て奪う!」
 ヤマト「な、なんだって!?」
 イット「お前達の場に存在する『H-Cクサナギ』『Hメドロウ・ヴァルキス』のコントールを頂くぜ!」

イット LP13800 → 6900

発動されたカードから無数の糸が飛び出し、ヤマトとクレアのエースモンスターを奪取してしまった。二体のモンスターの顔にはドラマドーラそっくりな仮面が付けられる。 

 イット「『パペットフォース』の効果によって奪ったモンスターは名前を『戯曲魔神・ドラマドーラ』として扱う。これで、俺のサポートカードの恩恵を受けられるというわけだ。しかし…このカードを発動したターン俺はダイレクトアタックができない…」

惜しそうに言うイット。しかし、すぐに表情を変え、狂気と勝機に満ちた顔で言い放った。

 イット「だが、こうしちまえば問題はねぇ!リバースカードオープン!罠カード『クラウン・クラッシュ』発動!俺の場の『戯曲魔神・ドラマドーラ』の数だけ、相手の場に『ドラマトークン』を攻撃表示で特殊召喚する!いけ、俺のピエロたち!」

ドラマトークン ☆4 攻撃力1700 ×2

カードからドラマドーラを小さくしたような奇妙な小人2匹がケタケタと笑いながらヤマトとクレアの場に特殊召喚される。これで、ダイレクトアタックではない戦闘が行え、クサナギの高い攻撃力でヤマトのライフは一気に削られてしまう。

 イット「バトルだ!『H-Cクサナギ』で『ドラマトークン』を攻撃!《嘲笑いのツルギ!》」
 ヤマト「うわああぁぁ!」

ヤマト LP5350 → 2550

 クレア「ヤマト!」
 ヤマト「大丈夫…このくらい…ライフは、まだ残ってる…!」
 イット「ちなみに言っておくが、『ドラマトークン』は表示形式の変更はできない。つまり、次の攻撃でお前も終わりだ!カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

クレアを指差し、絶望的であると追い詰める。しかし、クレアもヤマトも諦めてはいない。負けるわけにはいかないデュエルだ。体勢を立て直したヤマトは、ディスクを構えて勝つための戦術を模索する。
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